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中国の技術開発力を測る(後編)

2011年2月14日 日経ビジネス 石原昇

中国の脅威は圧倒的物量である。13億人の人口と世界1の資金量である。そして国策による集中支援である。科学技術や研究開発でも、上位数%は質が高く、それなりの量になる。これが好循環すれば質はさらに向上し、裾野は拡大していく。


中国の技術開発力の量と質!

 OECD統計によると、中国の研究者数は、2008年時点で159万人(中国全国科学研究開発資源調査では2009年に229万人)と世界一多い。2位は米国の141万人、日本は65万人、ロシアは45万人である。科学技術の論文シェアは、2008年時点で、米国に次いで2位にある。米国は27.9%、中国が10.5%。以下、英国7.7%、ドイツ7.5%、日本7.0%と続く。しかし、論文の被引用回数のシェアを見ると、米国の55%、英国およびドイツの12%、日本の8%に対し、中国は6%と質を伴っていない。

 2009年の中国の大卒者数は611万人、日本の54万人の10倍以上である。全世界から米国へ渡った留学生は、70万人ほどいた。このうち、中国からの留学生が約12.8万人で18.5%を占める。トップを争うインドを上回った。ちなみにこの10年間で半減した日本からの留学生は、台湾にも抜かれて6位である。米国の博士号取得者の出身校は、1位が中国の清華大学、2位が北京大学、3位が本国のUCバークレーと驚くべき事態になっている。

 実際、中国の研究機関や大学のトップには、海外留学経験者が多い。中国科学院傘下の91の研究所所長の75%、中国重点100大学の学長の70% に達する。これに対し、日本の国立大学の学長のうち留学経験者は32%である。また中国の研究機関のトップは、40代以下が70%と若い。

 こうした海外の経験や若さが、中国における基礎研究体制を改革していくと予想される。したがって将来、中国人研究者がノーベル賞を受賞する可能性も高くなる。しばらく時間を要するものの、2020年代までには実現しよう。ノーベル賞は、研究成果を発表した後、30~40年後に授賞するのが実情だ。その時、日本が追いつけなくなる事態も予見される。

 ノーベル賞に最も近い日本人科学者の一人、細野秀雄東工大教授に、先週伺った話は辛辣だった。「今現在、物質・材料分野の研究で日本は間違いなく世界一。しかし中国の追い上げは予想以上であり、2009年からトップジャーナルの掲載論文で日本を上回る勢いにある。3年後、日本がトップである保証はない」と警告する。


相次ぐ大学発ベンチャー!

 中国は90年代以降、基礎研究を中心とした大学や公的研究機関の成果を、産業化する政策を強化している。このため大学発・研究所発ベンチャーの設立が増加した。その多くは、サイエンスパークで起業し、インキュベーション施設で大学や政府の様々な支援を受けて成長する。北京大学の方正集団、清華大学の同方集団、中国科学院のレノボなど、世界的なIT企業が大学や研究機関から巣立った。2009年の北京大学の技術移転収入は、1.8億元(約22.4億円)と、東京大学の2.4億円の10倍の規模がある。産学官連携が日本と比べて大きな成果をもたらしている。


国務院直属の自然科学の最高研究機関、中国科学院も多くの企業を輩出している。その傘下の計算技術研究所の研究員が1984年に設立したのがレノボ(聯想集団)である。外国ブランドのパソコン販売から出発し、漢字入力システムの開発で飛躍。1990年に自社ブランドのパソコンを発売。2004年にIBMのパソコン部門を買収した。そして今年1月、パソコン事業におけるNECとの合弁会社の設立を発表した。競争の激しいPC業界で世界4位となり、上位を目指す。

 また中国科学院の傘下にある北京ゲノム研究所は、海外留学経験のある研究者を擁するライフサイエンスの一大拠点となっている。次世代DNAシーケンサーを世界一たくさん保有しており、2002年にイネゲノムの解析、ニワトリやパンダのゲノムマップの作成に成功した。

 こうした中国のゲノム解析技術をベースに、民間企業と政府出資で2001年に設立された注目企業が上海バイオチップコーポレーションである。遺伝子情報の解析技術を使い、1)かかりやすい病気を知らせる遺伝子検査や、2)子どもの潜在能力を判定し教育や職業選択に役立てる潜在能力遺伝子検査など、斬新なサービスを提供している。


群を抜く知財権侵害、将来日本が訴えられる可能性も!

 先端分野において中国が躍進する一方で、模倣問題も深刻だ。特許庁の調査によると模倣被害を受けた日本企業の59.8%が「模倣品は中国で製造されている」と回答している。偽ブランド品やデッドコピー、商標不正登録、ライセンス不許諾品の生産、技術の盗用などである。中国では、「全国専利事業発展戦略」を策定し、2011年から2020年までに中国の創造、運用、保護、管理の水準を向上させることを目標とした。合わせて重点分野における特許件数を大幅に増加させ、2020年までに特許強国になることを掲げている。

 2010年における中国の専利(特許、実用新案、意匠)出願は約100万件である。内訳は、ほぼ同じ比率の3分の1ずつとなっている。日本は2009年38.9万件であり、その内訳は特許34.9万件、実用新案0.95万件、意匠3.09万件である。今年にも、中国の特許件数が日本を上回ることが予想される。

 日中を比べると、中国は実用新案や意匠出願件数が非常に多い。通常、中国では、発明特許を得るのに4~5年を要する。いっぽう、実用新案は6~8カ月、意匠は3~6カ月と短い。また実体審査を経ることなく登録されるため、期間も短くコストも安い。現在、日本企業が中国企業に対し知的財産権侵害を訴え、中国政府は知財保護の実効性がないことを憂えているが、今後は日本企業が、知財武装した中国企業から実用新案権や意匠権の侵害、さらには特許権の侵害を主張される懸念も出てきている。


中国産の規格を国際標準にするビジネス戦略!

 1990年代後半に入り、中国は、知的財産戦略として国際標準化への取り組みを本格化している。とりわけ、ISO(国際標準化機構)が国際標準化したMPEG Audioにおいて、ライセンス料の支払い義務が生じるようになったことが大きい。当時、世界シェアで8割を占めた中国DVDプレーヤーが、ライセンス料の支払いのため輸出価格が高くなり、打撃を受けた。独自規格の製品開発が最重要課題となってきた。独自規格を打ち立て、それを海外へ供与することで新たにライセンス収入を獲得する狙いもある。

 中国の独自規格は、CD-ROMのSVCD(Super Video CD)あたりから本格化し、DVDのEVD(Enhanced Versatile Disk)やHVD(High-definition Versatile Disc)、次世代DVDのCBHD (China Blue High Definition)がパッケージ系メディアとして続いている。また無線LANのWAPI(Wireless LAN Authentication and Privacy Infrastructure)、携帯電話では3GのTD-SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)、3.9GのTD-LTE(Time Division Long Term Evolution)へと広がっている。

 2006年2月に中国科学技術部が発表した「国家中期科学技術発展規画綱要」は、中国独自規格を国際標準にする目標を掲げている。こうした「自主創新」は、外国企業を排除するのが目的ではない。日本企業とも共同開発を積極的に進める国際協調戦略と位置付けている。

 しかし、携帯電話の3G規格のTD-SCDMAのように、運用が著しく遅れ、他国への普及が進まない例が多い。また中国市場へ参入するための条件として、独自規格に準拠することを強要する事例もある。この点、注意を要する。それでも、オープンな国際標準化において日本がリーディングポジションを得るためには、中国の産業界や大学との協調は重要となっている。

「第4期科学技術基本計画」にみる日本の危機感!

 日本では2011年度から、科学技術基本法にもとづく政府の中長期の科学技術政策、「第4期科学技術基本計画」が始まる。これまでの自由な研究をうながすボトムアップ型から、課題解決に役立つ研究重視のトップダウン型に大きく転換する。少子高齢化や環境問題といった日本の最重要課題の研究領域に予算を割く。第3期の計画は、縦割りの重点・推進8分野に予算を手厚く配分する方式だった。

 計画期間の5年間で25兆円(年間5兆円)の政府予算は変わらないが、満額執行を目指す。第3期の実績は21.6兆円程度にとどまる見通しだ。日本の科学技術研究費の官民合わせた総額は、2009年度は前年度比8.3%の17兆2463億円。2年連続の減少となっている。GDPに対する比率は3.62%である。政府の目標は官民合わせて4%以上である。

 こうした流れを受け、2011年度の政府予算案では、若手研究者の研究を支える文部科学省の科学研究費補助金(科研費)が、前年比32%増の2633億円となった。10年ぶりの2けた増に、科学技術関係者から賞賛の声が上がった。

 また政府は外資企業の日本への拠点立地をうながすため、「アジア拠点化推進法案」をまとめ、今通常国会へ提出する。税制優遇のほか、補助金や審査の迅速化など、事業環境を整備する。これらに対し、「効果が薄い」、「遅きに失する」との声もあるが、科学技術立国としての日本の存亡をかけて、ようやく政府も本腰を入れたものとして、まずは評価したい。


中国に対する3つの「きょうそう」!

 日本のメーカーの経営者は、日々、中国との付き合い方に頭を悩ましていることだろう。中国の模倣被害に始まり、決断した中国企業との提携も本意とはかけ離れ、技術者の引き抜きや技術の流用に翻弄されているケースも数多い。もちろん、これらに対する対策は重要だ。しかし中国の市場は巨大であり、技術の進歩も著しい。世界のハイテクメーカーの中国重視のR&D戦略を見ても分かるように、中国との関係を閉ざし、先端の競争を勝ち抜くことは至難である。

 一昔前の、コアR&D拠点やマザー工場を日本に残し、中国をはじめとする海外にローカルR&D拠点や汎用工場を移転するといった理想型は、残念ながら通用しなくなってきた。今後は中国の技術開発のリソースの活用なしでは、世界の先端市場から取り残されることになる。

 中国に対しては、これまでの模倣や技術流出に対する「狂騒」、同じレベルでライバル視する「競争」ではなく、戦略的な「協創」関係を構築する必要があろう。日本に不足しているものは、研究開発人材、豊富な資金と研究インフラ、巨大な市場だ。いっぽう中国は、技術やノウハウ、トータルマネジメントが不十分である。中国は日本の何倍もしたたかだ。日本が技術開発で優位にある今、「協創」関係を築いておかないと有利な条件は引き出せない。日本に残された時間は少ない。

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2011/02/14 サーチナ

 中国メディアは13日、国連安保理改革で常任理事国入りを目指す日本、インドドイツ、ブラジルの4カ国(G4)が国連総会の今会期中に「具体的な成果」を出すと発表したことに対し、「強行すれば改革のプロセス自体を損なう」とけん制する外交部報道官の談話を掲載した。中国のニュースサイトには「日本とインドの常任理事国入りには断固反対」といったネットユーザーの書き込みが寄せられた。

外交部の馬朝旭報道官は「安保理改革では一部の重要な問題で重大な意見の相違がある」とし、「改革の成果をあらかじめ設定したり、未熟な案を強行に進めたりすれば、加盟国の団結に響くだけでなく、安保理改革のプロセスそのものも損ないかねない」とG4をけん制した。中国の主張として「民主的な協議によって、広範な合意を得られる包括的な解決案を追求すべき」とした。

中国のニュースサイト、環球網では、「日本とインドの常任理事国入りには断固反対」とする書き込みが多く見られた。感情的な反対のほか、「アジアの常任理事国はこれ以上要らない、アフリカや南米枠を増やすべき」との意見もあった。

日本に対しては第二次世界大戦に絡む反対意見のほか、「すでにアメリカがいるのだから同じ(意見の)日本が入るのは定員の無駄」、「日本はまず主権を回復してから言え」と対米追従を皮肉る書き込みも目立った。(編集担当:阪本佳代)



◇日本の常任理事国入り…反対約5割、「模範国ではない」=中国人

2010/11/15 サーチナ

オバマ米大統領は13日の菅直人首相との会談で、米国が日本の国連安保理常任理事国入りを、これまで通りに支持することを表明した。大統領は日本を「国際規範を順守し、大国の責任を果たす模範国」と評価した。サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が発表したアンケート結果では、中国人の回答者の半数近くが反対の意を示した。回答者の3割が、「いかなる角度からも、日本は模範になる国ではない」との見方を示した。

  中国では、日本の安保理常任理事国入りに対する反発が強い。2005年に発生した反日デモも、当初は常任理事国入りへの反対運動で、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したことで、激化した。

**********

◆上海サーチナのアンケートで、「日本が安保理の常任理事国になることについて、どう思いますか」との質問に対する回答状況は以下の通り(15日午後3時現在)。

(1)賛成…20.25%

(2)反対…46.84%

(3)何とも言えない…32.91%

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◆「日本は国連加盟国の『模範』と考えますか」との質問に対する回答状況は以下の通り。

(1)そう思う。日本はさまざまな面で、よくやっている…13.92%

(2)思わない。日本はいかなる角度から見ても、模範とは言えない…31.14%

(3)何とも言えない。分野によるから…28.86%

(4)オバマの「日本は模範国」発言は、政治的な意図によるたわごとだ…26.08%

(編集担当:如月隼人)



◇米がインド常任理事国入りを支持 日本とドイツの怒りを買う!

2010/11/12 サーチナ


インド米国オバマ大統領の訪問を利用し、国連常任理事国入りで米国のサポートを獲得したが、ほかの有力な競争相手である日本とドイツの怒りを買っており、レーマー駐インド米大使によると、日本とドイツは、なぜインドが米国の特別な対応を受けることができたのかと米国を問いただしたという。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  駐インド米大使は「米国がインドを支持したのは、オバマ大統領が大きな期待をかけているインドと親密な関係を結ばなければならないという政府の決心の表れであり、インドオバマ大統領の承諾を得るために努力している。こうした承諾の実現はかなり時間がかかるが、インドにとっては非常に肝心なことだ。今までに米国は、日本だけに対して常任安保理事国入りの支持を表明していた」と語る。

  オバマ大統領の姿勢が変わるにつれ、米国の立場もインドに傾き始めている。最近の常任安保理事国入りの投票ではインドが187票を獲得した。これはインドが間もなく常任理事国入りするシグナルだとインド政府は見ており、米国の支持はインドにとっても日本にとっても非常に重要だと考えている。(編集担当:米原裕子)


◇【中国ブログ】日本人よ、何の資格があって「反中デモ」なのか!


2010/10/20 サーチナ

日中両国における対日、対中感情はこのほど、悪化の一途をたどっている。中国では、日本で起こった反中デモの様子が、驚きと怒りをもって受け止められている。

  中国網に独自の考えを投稿した「龍凱鋒」氏は、反中デモを起こした日本人の報道を目にし「はじめは驚がくした。そして、悲しみ、おかしさを経て、怒りを感じた」などと語り、日本人の行動に対する衝撃の強さを振り返った。

  同氏がまず驚がくしたのは、反中の日本人が多かったことだという。「原子爆弾を投下されても、軍事的に米国の傘下に入ることになっても、日本人は反米機運に傾かなかったのに」などと語り、日本人がこれまで、米国ロシアなど大国の不合理な要求に対して大きく反発しなかったことを例に挙げ、「同じことを中国がするとなぜデモに!?」などと戸惑いを見せている。

  しかし同氏は、「中国はこれまで、日本との友好を望んできたのに、日本には恩をあだで返されてきた」との“恨み節”を展開。第2次世界大戦後における日中両国の振る舞いに差がありすぎる、などと中国での「対中歴史観」を元に、「日本人は中国人を愚弄(ぐろう)している」との感慨を示した。

  同氏はこのほか、「資源の乏しい、経済活動のほとんどを外国に依存する」日本人が、「国連の常任理事国であり核保有国、国土の広さと人口の多さを誇る」中国人と張り合えるはずはないと一笑に付し、「日本に未来があるとは言いがたい」などと痛烈に批判。今回の反中デモを展開した日本人に対する怒りを表現した。(編集担当:金田知子)

殲20 パンダ仕様


J-20 (戦闘機)
http://ja.wikipedia.org/wiki/J-20_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)

殲20戦闘機の神話~中国株式会社の研究(97)

2011.02.11(Fri)JBプレス 宮家邦彦

 今回は中国の「殲20」戦闘機の話をしよう。「殲20」とは現在試作中の第5世代ステルス型戦闘機。1月11日の胡錦濤総書記とロバート・ゲーツ国防長官との会談直前に試作機の初飛行が「公開」され、俄然注目を集めた例の「殲20」である。

 ゲーツ訪中の政治的背景については既に書かせてもらったので、ここでは繰り返さない。今筆者が最も関心を持っているのは、兵器としての「殲20」の性能に関する中国メディアのちょっと奇妙な報道振りである。典型例を幾つかご紹介しよう。

殲20を誇示する中国


●殲20が米国のF22に対抗でき、攻撃力がより高く、中国周辺の米空母や在日・在韓米軍基地を重大な脅威に晒すといった憶測は冷戦時代の思考に過ぎない。

●他方、殲20は単なる技術実証機に過ぎず、ステルス性、新型エンジンなどない「ステルス戦闘機の外観をもつ殻だけ」といった批判は殲20を恐れる証拠である。

●殲20は2015-18年までに、基本的に中国空軍に加わることになる。中国が重大な軍事的脅威に直面する場合などには、(時期が)やや早まるかもしれない。

米国は殲20のテスト飛行後、様々な国際世論を誘導して、「中国のハイテク軍事技術はみなスパイ活動によるもの」というイメージを作り上げようとしている。

 いずれも、殲20の高性能ぶりを誇示しつつ、同機が中国独自の技術であると強調している。単なるプロパガンダに過ぎないのか、それとも、本当にF22に匹敵する第5世代(中国では第4世代と呼ぶ)の戦闘能力があるのだろうか。

中国空母のビデオも流出!

 中国側による最新兵器情報のリークはこれだけではない。1月31日付ウォールストリートジャーナルによれば、殲20初飛行の「リーク」から2週間後の1月28日、中国海軍初の空母「施琅Shi Lang」を写したビデオがネット上に流出したらしい。

 初の空母といっても、実態は1998年に中国がウクライナから購入した空母「バリヤーグ」に様々な艤装工事を施した「再生品」だ。米国防総省筋によれば、今年か来年にも就役すると見られていたようである。

それにしても、「殲20」戦闘機といい、空母「施琅」といい、本来なら高度の機密映像のはずだ。これらが最近相次いで中国のネット上に「流出」したことは決して偶然ではないだろう。問題はその真の意図がどこにあるかである。

殲20の実態!


殲20(殲撃20型、欧米メディアではJ-20)戦闘機は中国人民解放軍空軍のための第5世代ステルス型戦闘機であり、開発・製造はAVIC(中国航空工業集団公司)が担当しているといわれる。

 もちろん性能の詳細は非公表だが、欧米メディア報道を総合すると、(1)双発ジェットエンジンの大型戦闘機で航続距離と積載重量に優れる、(2)機首と胴体全部の形状、エッジ・アラインメントなどから見て一定のステルス性を有する。

 他方、(3)そのデルタ翼とカナードはステルス機として必ずしも理想的ではなく、(4)1990年代中葉に開発が中止された旧ソ連MIG 1.42計画が土台となった可能性があり、(5)2000年頃までにAVIC開発者による基本設計が完了したらしい。

 これが事実であれば、殲20が1999年3月27日にコソボで撃墜された「F-117」の技術を盗用して開発されたとの西側メディアの一部報道も、中国側の主張通り、誤報である可能性が高いのかもしれない。

 これまで米国は、殲20の実戦配備を2019-21年頃だと予測していた。それが中国の主張する通り2015-18年以前となれば、米国の太平洋空軍配備や日本のF-X(F-4後継機)の検討にも少なからぬ影響を与えるだろう。

 いずれにせよ、筆者はいわゆる「兵器オタク」ではないので、技術的な優劣はこれ以上分からない。

 しかし、ロシア空軍が断念したMIG 1.42のデザインが土台となったのであれば、それほど大騒ぎする話ではないのかもしれない(ちなみに、ロシアはMIG 1.42ではなくSukhoi T-50を正式採用している)。

さらに、筆者のFSX(航空自衛隊時期支援戦闘機)担当官としての経験から申し上げれば、戦闘機の真の能力は、その形状やステルス性だけでなく、アビオニックス、レーダー、搭載武器、エンジンなどの完璧な組み合わせによって初めて生まれるはずである。

ボマー・ギャップとミサイル・ギャップ!

果たして中国にアビオニックスやターボファン・エンジンについて高度の技術力があるのだろうか。

 欧米の専門家の中にもこの点を指摘する声は多いが、筆者は次の理由からも、この種の軍事技術プロパガンダには大いに懐疑的である。

 1954年2月、米国の航空専門誌「Aviation Week」は、ソ連の新型爆撃機「M-4バイソン」が米国に対する核攻撃能力を有すると報じた。さらに、翌1955年7月、ソ連で開催された航空ショーにそのバイソンが60機も「登場」したため大騒ぎとなる。

 ワシントンでは爆撃機分野での「ソ連の優位」を懸念する声が急速に高まり、米国防総省は米核戦略の見直しを迫られたという。これが、いわゆる「ボマー・ギャップ」だ。

 また、1957年にはソ連が人類初の人工衛星打ち上げに成功し、米国は再び騒然となった。当時のフルシチョフ・ソ連首相はミサイル戦略におけるソ連の対米優位を事ある毎に強調し、執拗に米国に揺さぶりをかけた。これが「ミサイル・ギャップ」である。

ステルス・ショック?

 ソ連のプロパガンダはまんまと成功した。1955年の航空ショーに参加したバイソンはわずか10機に過ぎず、何とその10機の編隊が飛行場上空を6回も周回することにより、あたかもバイソンが60機もあるように「見せかけていた」のだ。

 「ミサイル・ギャップ」も同様である。1960年代になって米国が「U-2」高高度偵察機を投入した結果、ソ連のミサイル配備は米国の予想をはるかに下回る貧弱なものであることが分かったからだ。

 今日でも国際安全保障専攻の学生にとって、「ボマー・ギャップ」、「ミサイル・ギャップ」は古典中の古典だ。その教訓は、ソ連のプロパガンダが一時的に成功しても、それは逆に米国の軍拡を促進させ、結果的にソ連の衰退を招いたということである。

 果たして今回の「ステルス・ショック」、「空母ショック」は本物なのだろうか。どうもこの種のプロパガンダは信用できない。いつの時代にも、軍事力の優劣については慎重な事実関係の検証が必要である。

 

 

ヴァリャーグ(中国海軍初の空母「施琅Shi Lang」)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%BD%E7%90%85

 

航空母艦

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%AF%8D

 

 

 

中国に向け曳航されるウクライナ
 
 
 
中国に売却されたオーストラリア空母メルボルン(Melbourne)
 
 
中国に売却されたロシア空母キエフ(Kiev)
 
 
 
 
USS GeorgeWashington CVN-73_01


 

東方インターナショナル
http://www.tohonet.com/

日中関係改善の“本気度”!


China Report 中国は今! 2011年2月11日 DiAMOND online 姫田小夏

在日中国人向けの中国語週刊紙である「東方時報(※)」の1面に、菅直人首相の春節祝賀メッセージが掲載された。同紙の読者は首都圏在住の華人、中国語で書かれた「菅直人首相向華人祝賀春節」の真っ赤な見出しは、上野駅の売店でも人目を引く。(※発行:(株)東方インターナショナル、東京都)

「華人の皆様が、中国の伝統的な新年である春節を迎えられたことをお慶び申し上げます」の一文から始まる春節祝賀メッセージは、日本の華人、在日中国人に呼びかけるもの。過去、日本の首相が日本の華人に新年のメッセージを送ったのは、08年2月、「戦略的互恵関係」の推進について日中共同声明を出した福田康夫首相の代にまでさかのぼる。

福田・麻生・鳩山首相の春節“祝辞外交”!


08年は北京五輪が開催され、また金融危機で疲弊する世界経済において中国がそのプレゼンスを高めた年でもあった。その中国に世界の注目が集まり、アメリカ、イギリスの首脳もまた自国や全世界の華人に春節の祝辞を送っている。

 福田首相は日中国交正常化35周年を迎えた07年に北京を訪問、胡錦濤国家主席や呉邦国委員長(中共中央政治局常務委員)、温家宝首相など、中国の指導者と会談を実現している。

 日中平和友好条約締結30周年にあたる08年の春節祝賀メッセージは、「今年は中国国家主席による10年ぶりの訪日や北京オリンピックなど、日中関係にとって記念すべき重要な行事が多い。胡錦濤国家主席の訪日と北京オリンピック大会の成功を心から願っている」というものだった。

 一方、麻生太郎首相も、胡錦濤国家主席と共に日中平和友好条約締結30周年記念行事に参加し、「私の訪中を含め、昨年1年間で両国の首脳が5回も相互訪問を行うという画期的な年だった」と伝えた。

また、鳩山由起夫首相は「2009年9月に首相に就任して以来、胡錦濤国家主席や温家宝首相をはじめとする中国の指導者と幾度も交流を重ねてきた。日中双方は戦略的互恵関係の充実で一致を見た」との祝辞を送っている。

 これらからも、当時の日中首脳の交流は記念行事に支えられ、その関係は良好なものであることが読み取れる。

対中感情が過去最悪の今年、菅首相が送ったメッセージは?

 ところで、内閣府が行った外交に関する世論調査がある。これによれば、「現在の日本と中国との関係」について、97年から6年間40%を維持してきた「良好だと思う」という回答は、小泉内閣の05年に起きた反日デモで一気に19.7%にまで落ち、その後、安倍内閣(21.7%)、福田内閣(26.4%)、麻生内閣(23.7%)、鳩山内閣(38.5%)の4年間で回復を図った。しかし、それが2010年の菅内閣で8.3%にも急落する。

 一方で、「良好だと思わない」とする回答は09年の55.2%から10年は88.6%に上昇した。内閣府の資料によれば、この数字は1986年最悪の数字であることがわかる。

 さて、菅首相はどんなメッセージを送ったのだろうか。9月7日の尖閣諸島沖での漁船衝突事件を発端に、過去最悪と言われるまでに落ち込んだ日中の関係改善が求められているだけに、無関心ではいられない。

「一衣帯水の隣国である日中両国間では、大局的観点に立って、時に問題が生ずることがあっても、中長期的に安定した関係を築くことが重要だと考えている」、「現在、日中両国は『戦略的互恵関係』を充実させるべくともに努力しているが、両国ハイレベルや政府間での協力を通じて信頼関係を高めるだけではなく、幅広い分野で国民レベルでの交流を積み重ねることが求められている」――。

「日中改善のための積極的な声を表現した」と評価する在日中国語メディアもあったが、果たして菅直人首相は不得意とされるその外交で「谷底に落ちた日中関係」を改善することができるのだろうか。

歴代総理のなかでも異例の「年頭外交演説会」

 菅首相自身の外交はここのところ変化が見られる。

 1月20日、歴代首相としては初の「年頭外交演説会」が、東京の帝国ホテルで開催された。民間外交推進協会が主催するこの外交演説会は、通常国会施政方針演説ダボス会議に先行するものであり、異例の形で行われた。

 外交に絞っての演説は過去多くはないとも言われる中で、会場にはジョン・V・ルース駐日米国大使、ディビッド・ウォレン駐日英国大使、ミハイル・ベールイ駐日ロシア大使などをはじめとする各国大使、さらに政財界関係者ら600人を超える参加者が詰めかけた。

 国内外に向けた菅直人首相の「発信力強化」のアピールに多くのメディアが注目、カメラは会場の二面を占拠、プレスだけでも会場の3分の1近くを占めているかのような熱気だった。

 菅首相は「歴史の分水嶺に立つ日本外交」と題し、「外交安全保障政策の5本柱」として、「日米基軸」「アジア外交の新展開」「経済外交の推進」「地球規模の課題への取り組み」「安全保障環境への日本自身の的確な対応」を打ち出した。昨年6月に政権が発足して以降、普天間問題、日中関係、日ロ関係における菅首相の外交政策が問われる中で、予定の45分を超過しての熱の入れようだった。

 日中関係については、「透明性をやや欠いた国防力の強化や海洋活動の活発化には懸念を抱かざるを得ない部分もある」と指摘しつつも、「2000年以上つきあってきた一衣帯水の隣国」とし、「日中関係は必ず発展させていくことができる」とした。

戦略的互恵関係」については「内容を深める努力を行っていくことが重要だと考えている。そのためには首脳同士のホットラインだけではなく、党間交流、民間交流をさらに深めて行きたい」と弁舌をふるった。

「打って出る外交」へ転換するも、中国側の反応は冷ややか!

 振り返れば昨年10月、中国でも前原誠司外相の「ヒステリー発言(※)」が大きく取り上げられ、中国の民間人の間でも「外相としてあるべき発言ではない」との反発が出た。(※前原外相は船舶衝突事件をめぐる一連の中国側の対応について「ヒステリック」と述べたことが中国の報道でも取り上げられた。)

 また、菅首相自身も、昨年11月の横浜APECにおいて胡錦濤国家主席と会談の機会を得たものの、「下を向いてメモを読みながら話す」という外交姿勢が大きく問われた。

 その首相がついに反転攻勢に出たというわけだ。「打って出る外交」へと必死に舵を取り直そうとしている。事情通も「前原外相も北京で外相同士話し合う機会を模索するという希望があるようだ」と明かす。

 しかし、中国側の反応は冷ややかだ。中国政府に近い人物は「発言は従来の焼き直し。日中関係の改善を全力で取り戻そうという気合いが感じられない。交流は当面、民間レベルにとどまるだろう」と話す。

 経済面では2010年、日中経済は大きく伸びた。日本と中国の貿易総額は2977億ドルと過去最高に達し、また中国からの訪日旅行者数も141万人と、前年比40.5%の伸びとなった。だが、政治が足を引っ張る。

 中国に進出する日本企業のビジネスの現場では、昨年9月以降、通関手続きの遅れ、日中交流イベントの中止、日本企業に勤務する中国人社員が被るいじめなど、その影響が出るたびに民主党政権への恨み節が口をついて出た。

また、日中の交流に長年携わる有識者たちも「自民党は濁っているとの指摘もあるが、日中人材には恵まれ、パイプ役はいくらでもいる」と、現政権への失望を隠せない。

 支持率低下が危険水域にまで及んでいる菅内閣に対し、1月20日の人民日報海外版は「菅直人逆水行舟」と表現した。「逆水行舟」とは、中国語で「進まなければ押し流される」という意味だ。過去5年で5人も首相が交代した日本、さらに日中関係を落ち込ませた民主党への政権交代…。その不信感は、容易に払拭できるものではないだろう。

パキスタン・イスラム共和国
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3

世界四大文明の地に再び安定繁栄の日は訪れるのか!

2011.02.10(Thu)JBプレス 竹野敏貴

今年(2011)1月4日、パキスタン、パンジャーブ州のサルマン・タシール知事が、首都イスラマバードで、大衆の目前、車から降りたところを自らの護衛警官に撃たれ死亡した。

またしてもパンジャーブ州で暗殺事件!


アシフ・アリ・ザルダリ大統領にも近い存在である知事は、イスラム穏健派として知られている。

 キリスト教徒が犯したイスラム冒涜罪に対し寛容な態度を示していたことから、憤慨したイスラム急進派が犯行に及んだものだった。

 暗殺犯はすぐさま拘束されたが、彼を英雄視する向きもあり、その釈放を求めデモに走る事態も招いている。

 ザルダリ大統領夫人だったベーナズィール・ブットー元首相が、2007年、イスラム原理主義者に暗殺されたのもこのパンジャーブ地方。

そして、強権かつ親米姿勢で批判を浴び続けていたパルヴェーズ・ムシャラフ前大統領もこの地でたびたび暗殺未遂に遭遇している。

 タリバンが実効支配するトライバルエリアも近く、軍司令部や情報機関もあるため、9.11同時多発テロ以降、自爆事件などテロ行為は増え続け、治安は悪化の一途である。

 「パンジャーブ」と言われてもいま一つピンとこないかもしれないが、もともと「5つの川」を意味し、インダス川とその支流が潤す豊かな穀倉地帯のこと。

 今では、パキスタンインドをまたぐ地域となっている。昨年の洪水ではともに大被害をこうむったことは記憶に新しい。

 世界四大文明の1つ、インダス文明発祥の地だから、学校の世界史で真っ先に習う誰もが知っているはずの地でもある。

とはいえ、そのインダス文明の有名な遺跡モヘンジョダロやハラッパ―に行こうと思っても、どこに反欧米勢力が潜んでいるか分からないから、それなりの準備ができなければ、やめた方がいいだろう。

アショカ王時代に文明の最盛期を迎えるインダス川流域!


そんな古代文明発祥の地に、初めて侵入した西洋勢力と言えば、カイバル峠を越えてはるばる東方遠征にやってきたアレクサンドロス大王。紀元前4世紀のことである。

 大王の死後、その地を奪い返したマウリヤ朝がさらにデカン高原をも征服し、インド・アジア大陸に初の巨大統一国家を築き上げることに成功する。

 『アショカ』(2001/日本未公開)でボリウッドと呼ばれるインド映画界の大スター、シャー・ルク・カーンが演じたアショカ王の時代に、国は最高潮を迎えることになる。

 その征服の過程で犯した残忍な戦闘行為を反省したアショカ王が、仏教による平和な統治へと政治を変えていったと言われている。

 もっとも、そこには政治的意図も少なからずあり、既に浸透していたバラモン教による身分階級制で民衆が分断されていたため、速やかな支配のためには階級制度のない仏教の精神を利用した方が有利、と考えたようである。

ギリシャ人の顔をした仏様!


その時代に仏教の中心地となったタキシラの遺跡や博物館を訪れてみてまず気づくのが、仏像の顔が西洋人ぽいことである。

 アショカ王亡き後、衰退してしまったマウリヤ朝の地は、再度侵入したギリシャ人勢力「インド・グリーク王朝」の中心地となっていった。

 そこで、「人間に似せた神」というギリシャ人の伝統を取り入れ、それまで人間の姿で表現することがほとんどなかった釈迦の姿を仏像として表すようになり、仏像もギリシャ人的になったというわけだ。

 これこそヘレニズムという初めての大々的東西文化融和であるのだが、明らかなる異民族がバラモン教社会に食い込むことにより、階級区別のない仏教の方が楽という、純粋な文化的融合以上の政治的意図がギリシャ人の側にもあったのである。

そんな為政者たちにとって有用な道具だった仏教も、中世以降、インドでは少数派となってしまった。

現代史を大きく動かしたアムリトサル!


パンジャーブ地方でも、ヒンドゥー教とイスラム教が幅を利かせるようになっていたが、16世紀には新たに登場したシク教の中心地ともなっていく。

 そして、20世紀。そのシク教の聖地アムリトサルが現代史を大きく動かす舞台となる。

 9.11後の米国愛国者法にも似た強権的対テロ法とも言えるローラット法が英国政府により発布された1919年。

 抗議に詰めかけた大衆が開いたアムリトサルでの集会に軍が発砲、多数の死傷者を出す大惨事となってしまう。

 反英運動に火をつけたこの事件は、マハトマ・ガンジーの非暴力運動の原点ともなっていくのだ。

イスラム教徒への寛容が原因で暗殺される!


こうして、インド独立への道をひた走るガンジーは、たびたび暗殺の脅威に見舞われた。『ボワニー分岐点』(1956)はパンジャーブでのガンジー暗殺を防ぐ英国インド人ハーフ女性の活躍を描いている。

 主人公の悩みは、自分の血の行き所。英国支配時代はその有利さを何とはなしに享受していたが、独立へと向かう中では、一体どちらの血に忠実になるべきか分からなくなる、という血のジレンマである。

 幾多の暗殺の危機を免れてきたガンジーだったが、最後にはデリーで、イスラム教徒への寛容性を嫌ったヒンドゥー原理主義者の手にかかり殺されてしまう。

 そして、再びパンジャーブが南アジアの血腥い歴史の舞台となるのが1984年。度重なるシク教徒との争いに業を煮やし、時の首相インディラ・ガンジーが、その総本山を急襲するブルースター作戦を敢行、リーダーであるジャルネイル・シングを殺害してしまったのである。

内外から少なからず非難も出たこの強硬策は、結局、インディラ・ガンジー自身が、ニューデリーの首相官邸でシク教徒である自分の護衛に殺害されるという悲劇を呼ぶことになってしまう。

血で血を洗う歴史!


まだ血の歴史は止まらない。亡き母の遺志を継ぎすぐさま首相に就任したのが息子のラジブ・ガンジー。

 しかし、スリランカ内戦に軍事介入したことが命取りとなり、少数派抵抗勢力タミル・イーラム解放のトラLTTE)の自爆テロにより、退任後の1991年暗殺されてしまうのである。

 そんなスリランカ内戦も、LTTEの指導者ヴェルピライ・ブラバカランが2009年殺害されることで、ようやく終結した。英米で活躍するタミル人女性ラッパーM.I.A.の父親はそのLTTEのメンバーだったという。

 M.I.A.という名前は Missing in action(戦時行方不明)の略で、父親が内戦で行方不明になったことから名乗るようになったもの。

 そんな彼女の意味深な歌詞のヒット曲「Paper plane」が挿入されている映画『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)は、アカデミー賞を総なめにした大ヒット作品だ。

自分を弄んだ男たちを次々と殺害!

主人公はヒンドゥー教徒から迫害を受ける貧しいイスラム教徒の少年。宗教的な職業選択の締め付けはなくとも、現実に貧困層であることの多いイスラム教徒にはまともな仕事は少ない。

 一方、ヒンドゥー教徒はと言えば、カーストにより就ける仕事は限られてしまう。もちろん現代社会では、特に都市部でその傾向は薄らいできているのだが、やはり自由度は低い。

 そんな中でも、最下位カースト、隷属民に当たるシュードラの現実は酷いものだ。そのシュードラに属する実在の女性プーラン・デーヴィーの半生を描いたのが『女盗賊プーラン』(1994)である。

 かつて自分を弄んだ男たちを次々と殺害するなど数々の殺人や強盗を繰り返したものの、一部の者からは義賊と見なされ“Bandit Queen(盗賊の女王)”として親しまれていた。

 

そのプーランが、インディラ・ガンジー政権との司法取引により極刑を免れることを条件に投降するまでが描かれている。

米国でも下院議員の狙撃事件が発生!


しかし、映画公開の年1994年には、下位カーストの政治参加という公民権運動と連動したポプリスモ政党の尽力もあって、あっさり彼女は釈放されてしまう。

 さらに1996年には、国会議員にまでなってしまうというどんでん返しには、法治国家とは何たるものかと再考させられたものだ。そんな彼女も、2001年、射殺されて波乱の生涯を閉じている。

 ここまで血塗られた話が続いたが、暗殺がこれほど横行していれば、いくら民主主義的選挙制度を使おうと、それにどれだけの意味があるのかと考えてしまう。

 それでも、洗練された民主主義先進国の欧米だったら大丈夫だろうと思いきや、1月4日のパキスタンでの知事暗殺から何日もたたない1月8日には、米国アリゾナ州ツーソンからガブリエル・ギフォーズ下院議員狙撃のニュース。

 もっとも、これは宗教や政治的意図と言うよりも、年に何度かある無差別銃乱射事件のようでもあるし、ツーソンと言えば『リオ・ブラボー』(1959)など数多くの名作西部劇のロケ地として使われたところだから、そんな土地柄なのか、とも思ってしまう。

インドよりも宗教的に寛容でない米国!

インドよりも宗教的に寛容でない米国
 しかし、現職議員への狙撃事件というインパクトも米国以外ではあまり大きく取り上げられないほどに、9.11以後の世界は殺伐としている。

 『マイ・ネーム・イズ・ハーン』(2010/日本劇場未公開)では、米国に移り住んだイスラム教徒のインド人が、9.11後のイスラムフォビアの集団ヒステリーの中、子供を失ってしまったばかりか、自身、テロリストと疑われ拘置までされてしまう。

 ヒンドゥー教徒の妻とは宗教の壁を乗り越えて幸せな生活を送ってきた主人公は、思いもよらぬ米国の宗教的不寛容に直面するのである。

 「民主主義最先進国」での宗教的現実は、インド人同士の宗教的不寛容の比ではなかったのである。


この作品で、主人公を演じたのが自身イスラム教徒でもある『アショカ』の主演俳優シャー・ルク・カーンインドでは押しも押されぬ大スターである。

大スターでもテロリスト扱いする米国


しかし、インド人社会以外での認知度は極めて低く、欧米でも全国的に作品が公開されることはあまりない。

 そんな中、珍しく、多くの地域で公開され好評を得たのがこの作品である。日本でも劇場公開こそなかったが、日本語吹替えつきのDVDが発売された。

 映画同様に、カーン自身、“Khan”という名前やその風貌から、米国入国時テロリストと疑われ、別室検査となり長時間足止めを喰らった経験があるという。

 私も、顔色が日本人離れした黒さで、そのうえ無精髭を生やそうものなら、たちまち言いがかりをつけられ、しばらく足止めを喰らうことなどたびたびなので、その屈辱的気分はよく分かる。

 カーンほどの大スターが米国では全く認知されていないという証拠でもある。

 世界四大文明と言えば、ここまで見てきたとても平和とは言い難いインダス川流域以外に、チグリス・ユーフラテス川、ナイル川、黄河・長江といった大河の流域に栄えた古代文明がある。

残る四大文明の1つ中国は安泰か?

 チグリス・ユーフラテス川の文明の地イラクでは、9.11後の米国が掲げる自由の押しつけに始まった軍事侵攻で、独裁者サダム・フセインこそ排除できたが、その後訪れた宗教的民族的不寛容に基づくカオスの中、市民治安の悪化に全く歯止めをかけられていない。

 一方、ナイル川が育んだ豊かな歴史の地エジプトのホスニー・ムバラク親米政権は、冷戦後世界の大きな不安定要因となっているパレスチナ問題の貴重な緩衝材となってきた。しかし、今、反政府運動の巨大な波に飲み込まれようとしており、先行きが全く見えなくなっている。

 そして、残るはあと1つ。黄河・長江に栄えた太古の歴史を誇る中国であるが、共産党一党支配による押さえつけあるが故に、結果的には四大文明唯一の安泰地域となっている。

 しかし、もしこの地にアラブから始まった改革の波が押し寄せれば、他の3者の比でない影響が世界に起こることは想像に難くないだけに、その動向に世界の目が集まっている。

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