平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点)
平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中!
無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』
http://www.uonumakoshihikari.com/
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週刊文春9月30日号
中国衝突漁船は「スパイ船」だった! 衝撃スクープ
日本巡視船に「仕組まれた突撃」。船員たちの「自供」は中国大使館員の面会で一変した !
すごく簡単…日本を中国の言いなりにさせる3つの方法―中国メディア!
2010/09/23(木) 10:12 サーチナ
尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近で発生した日本の巡視船と中国の漁船との衝突事件の影響で、日中関係は外交上まれに見る緊張関係になっている。中国国内メディアでは日本に対する嫌悪感を示す内容の記事が多くなっているが、IT商業新聞網には「日本を制圧するのは簡単、3つの方法で1カ月のうちに従うようになる」というタイトルの文章を掲載した。
文章では、一連の事件により中国の民衆による反日感情は日増しに高まっていると紹介し、「国際外交紛争は、言ってしまえばどちらが相手を制圧するかの問題で、制圧した方が勝者なのだ」と解説。その上で、日本が簡単に中国の言うことを聞くようになる方法を3つ提起した。
1つ目は、中国各地のスーパーマーケットやデパート、自動車販売店で直ちに全ての日本ブランド商品の販売を停止すること。汽車や電気製品から化粧品まで、生産地を問わず、日本の知的財産権が絡んでいる物は全て棚から卸せば、1カ月もすれば日本企業は東京の首相官邸や外務省の前でデモを行うようになり、日本の株式市場は底なしに下落する、というものだ。
2つ目は、レアアースを肇として、日本が中国から大量に輸入している資源商品の供給を止めること。やはり1カ月もすれば、日本の大手工業企業の株価は暴落し、彼らは金銭や実力行使などで現政権を打倒することになるだろうと予測した。
3つ目は、高い買取価格を提示して中東の産油国が日本に輸出している石油関連商品を中国に供給させるようにすること。これに伴う金銭的損失は、今後日本に資源商品を輸出する際の価格に転化すれば回収できるとのことだ。
結びとして、これらの方法は全て中国側が完全にコントロールできるものであり、アメリカによる支援も必要ない措置だとした。(編集担当:柳川俊之)
米国は中国を封じ込めようとしているか?米中関係の複雑さ(1)2010/09/23(木) 12:03 サーチナ
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
昨今、米中関係が人びとの注目を集めている。ある者は「米国は南北両端から中国を封じ込めようとしており、米中間の戦略合戦は避けがたい」と言う。またある者は「中・米はもともと“見せかけの友人関係”であって“パートナー関係”ではない」と言う。さらにある者は「“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”。現在の中国は国力が強まり、その根本部分は固まった。国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う。この種の議論が及ぶ問題はみな一様に複雑であり、単純化して捉え、対応するべきではない。
■米中関係の複雑さを十分に認識する必要
米中関係は従来から一貫して複雑であって、“黒にあらずんばすなわち白(非黒即白)”というような極端な思考によって捉え、対応するべきではない。
まず第一に、これまで米中関係が再三にわたる困難を克服し現在に至るまで発展し続けている最大の理由は、両国間に“共同の利益”が存在していることである。これは、国交樹立以来三十数年の歴史をみれば、明らかである。冷戦終結前においては、中・米の共同の利益は主に“共同の敵”(ソ連)に対処するという戦略上の利益であった。
“9・11事件”以後は、おもに“共同の使命”(反テロリズム)という戦略上の必要性があった。2008年の金融危機以降は、グローバルな“共同の挑戦”に対処することで形成されるより広範な“共同の利益”が主となった。米中間の矛盾や摩擦は絶えず、またこれを避けることも不可能である。しかし、総体的にいえば、両国の共同の利益の方が両者の一致しない要素を上回っているがために、両国は常に困難を克服して前進し続けることが可能なのである。
第二に、米中関係論の性質は“位置づけ”をすることが困難である。中・米の関係は単純に“友人”ということはできない一方、逆に“敵”であるということもできない。そのため、かつては“敵にも友にもあらず”というような言い方をされたこともある。その後、“建設的戦略パートナー関係”とか“共同の挑戦に対処する戦略パートナー関係”などと称されたり“利益関係を有する者”との捉え方も登場した。このような両国関係の呼称や捉え方が多様であることは、正に米中関係の複雑さを客観的に反映するものであるといえよう。
第三に、中・米両国は、イデオロギーも社会体制も価値観も異なる二つの大国であって、“戦略的相互信頼”を構築することも容易なことではない。中・米の経済・軍事・文化などの領域における二国間関係と、国際或いは地域の問題上直面する“共同の挑戦”とは、両国が協力しWin-Winを実現するのに必要な土台に多くのものをもたらした。しかしこれらはまた同時に、両国間の矛盾や摩擦を生ずる機会の増加にも寄与した。
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
■米中関係が全面的に悪化することはあり得ない
米国の近時の黄海や南シナ海における尋常ならざる挙動は、米中関係を悪化・激化させた。しかし、一部メディアが言うように、米国は一種の“アジア版NATO(北大西洋条約機構)”を打ち立て、南北両端から中国に封じ込めをかけようとしているのだろうか。筆者は、米・中間の戦略関係に実質的な変化は生じておらず、両者の共同の利益はなお一致しない要素よりも大きく、米中関係が全面的に悪化するということはあり得ないと考える。
一歩譲歩して、仮に米国が全面的に中国を封じ込めようと決心したとしても、これは客観的にみて実現し難い。その根拠としては第一に、東南アジア各国の思惑も複雑である点が挙げられる。彼らは米国が完全に撤退することを望んではおらず、米国を東南アジアに引き入れることによって中国に対し抑制と均衡(チェックアンドバランス)が働くことを期待している。しかし、だからといって彼らとしても米国と一緒になって中国を封じ込めるというスタンスには立ちたくないのである。
第二に、ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国の急速な発展に伴って広く利を得ており、中国の発展は彼らにとって好機でこそあれ脅威ではないということを彼ら自身も切実に感じているということが挙げられる。第三に、米国の軍事力は世界一であるとはいえ、現代の世界はとうに、砲艦が横行し強者が王者となるという時代ではなくなっているということが挙げられる。米国は南シナ海において、他国の意見を聞かずに我意を張り欲しいままに振舞うような空間を有してはいない。
そして最後に第四に、米・中相互の利益はもはや分け難いほどに織り交ざっているという点を看過することはできまい。もし米国がさらに米中関係を害することがあれば、それは“石を持ち上げて自分の足に落とす”ようなものであって(自業自得であるさまを表す)、結局最終的には米国は自身の利益を害することになるのである。以上に述べた理由から、米中関係においては、摩擦や面倒が生ずることはあっても、全面的に関係が悪化するということはあり得ないといえるのである。
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
■中国の“主権保護”の過程に大きな困難
中国の“権益保護”の問題は、すでに米中関係における重要問題の一つとなっている。中国の国力が高まって以後、国内のネットユーザーの中には「過去においては“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”であった。しかし、現在では中国の国力も強まり、その根本部分は固まった。中国は国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う者もいる。また、さらには「米国に対して“意見を求める”べき時が来た」と主張する者さえ現れた。
しかしながら、中国の“権益保護”の問題、“米台関係”のような歴史の遺産たる問題は、きわめて複雑であって、決して“竿を立てれば影ができる(直ちに効果が現れるさまを表す)”ように迅速な解決が得られるものではない。
中国の国民一人当たり平均のGDPは世界で100位以内にも入っておらず、未だ“発展途上国”のグループに属しているものといえる。政治学的意義や歴史的背景という観点から見れば、これまでのところ中国は世界の大国の中で唯一の、未だ外来の勢力によって分裂しバラバラにされかねない脅威に直面している国家である。
また、未だに“発展途上国”特有の、他者からの侮辱による傷跡と烙印を明白に残している国でもある。そのため、中国には長期に亘って“発展途上国”であり続ける決心と勇気とが必要である。外交において利益を重視することを忘れてはならないし、多様な(外交)交渉の手段・方式を総合的に運用していくことが求められる。これには、相当の時間と過程を経ることが必要となろう。(おわり 編集担当:米原裕子)
中国衝突漁船は「スパイ船」だった! 衝撃スクープ
日本巡視船に「仕組まれた突撃」。船員たちの「自供」は中国大使館員の面会で一変した !
すごく簡単…日本を中国の言いなりにさせる3つの方法―中国メディア!
2010/09/23(木) 10:12 サーチナ
尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近で発生した日本の巡視船と中国の漁船との衝突事件の影響で、日中関係は外交上まれに見る緊張関係になっている。中国国内メディアでは日本に対する嫌悪感を示す内容の記事が多くなっているが、IT商業新聞網には「日本を制圧するのは簡単、3つの方法で1カ月のうちに従うようになる」というタイトルの文章を掲載した。
文章では、一連の事件により中国の民衆による反日感情は日増しに高まっていると紹介し、「国際外交紛争は、言ってしまえばどちらが相手を制圧するかの問題で、制圧した方が勝者なのだ」と解説。その上で、日本が簡単に中国の言うことを聞くようになる方法を3つ提起した。
1つ目は、中国各地のスーパーマーケットやデパート、自動車販売店で直ちに全ての日本ブランド商品の販売を停止すること。汽車や電気製品から化粧品まで、生産地を問わず、日本の知的財産権が絡んでいる物は全て棚から卸せば、1カ月もすれば日本企業は東京の首相官邸や外務省の前でデモを行うようになり、日本の株式市場は底なしに下落する、というものだ。
2つ目は、レアアースを肇として、日本が中国から大量に輸入している資源商品の供給を止めること。やはり1カ月もすれば、日本の大手工業企業の株価は暴落し、彼らは金銭や実力行使などで現政権を打倒することになるだろうと予測した。
3つ目は、高い買取価格を提示して中東の産油国が日本に輸出している石油関連商品を中国に供給させるようにすること。これに伴う金銭的損失は、今後日本に資源商品を輸出する際の価格に転化すれば回収できるとのことだ。
結びとして、これらの方法は全て中国側が完全にコントロールできるものであり、アメリカによる支援も必要ない措置だとした。(編集担当:柳川俊之)
米国は中国を封じ込めようとしているか?米中関係の複雑さ(1)2010/09/23(木) 12:03 サーチナ
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
昨今、米中関係が人びとの注目を集めている。ある者は「米国は南北両端から中国を封じ込めようとしており、米中間の戦略合戦は避けがたい」と言う。またある者は「中・米はもともと“見せかけの友人関係”であって“パートナー関係”ではない」と言う。さらにある者は「“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”。現在の中国は国力が強まり、その根本部分は固まった。国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う。この種の議論が及ぶ問題はみな一様に複雑であり、単純化して捉え、対応するべきではない。
■米中関係の複雑さを十分に認識する必要
米中関係は従来から一貫して複雑であって、“黒にあらずんばすなわち白(非黒即白)”というような極端な思考によって捉え、対応するべきではない。
まず第一に、これまで米中関係が再三にわたる困難を克服し現在に至るまで発展し続けている最大の理由は、両国間に“共同の利益”が存在していることである。これは、国交樹立以来三十数年の歴史をみれば、明らかである。冷戦終結前においては、中・米の共同の利益は主に“共同の敵”(ソ連)に対処するという戦略上の利益であった。
“9・11事件”以後は、おもに“共同の使命”(反テロリズム)という戦略上の必要性があった。2008年の金融危機以降は、グローバルな“共同の挑戦”に対処することで形成されるより広範な“共同の利益”が主となった。米中間の矛盾や摩擦は絶えず、またこれを避けることも不可能である。しかし、総体的にいえば、両国の共同の利益の方が両者の一致しない要素を上回っているがために、両国は常に困難を克服して前進し続けることが可能なのである。
第二に、米中関係論の性質は“位置づけ”をすることが困難である。中・米の関係は単純に“友人”ということはできない一方、逆に“敵”であるということもできない。そのため、かつては“敵にも友にもあらず”というような言い方をされたこともある。その後、“建設的戦略パートナー関係”とか“共同の挑戦に対処する戦略パートナー関係”などと称されたり“利益関係を有する者”との捉え方も登場した。このような両国関係の呼称や捉え方が多様であることは、正に米中関係の複雑さを客観的に反映するものであるといえよう。
第三に、中・米両国は、イデオロギーも社会体制も価値観も異なる二つの大国であって、“戦略的相互信頼”を構築することも容易なことではない。中・米の経済・軍事・文化などの領域における二国間関係と、国際或いは地域の問題上直面する“共同の挑戦”とは、両国が協力しWin-Winを実現するのに必要な土台に多くのものをもたらした。しかしこれらはまた同時に、両国間の矛盾や摩擦を生ずる機会の増加にも寄与した。
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
■米中関係が全面的に悪化することはあり得ない
米国の近時の黄海や南シナ海における尋常ならざる挙動は、米中関係を悪化・激化させた。しかし、一部メディアが言うように、米国は一種の“アジア版NATO(北大西洋条約機構)”を打ち立て、南北両端から中国に封じ込めをかけようとしているのだろうか。筆者は、米・中間の戦略関係に実質的な変化は生じておらず、両者の共同の利益はなお一致しない要素よりも大きく、米中関係が全面的に悪化するということはあり得ないと考える。
一歩譲歩して、仮に米国が全面的に中国を封じ込めようと決心したとしても、これは客観的にみて実現し難い。その根拠としては第一に、東南アジア各国の思惑も複雑である点が挙げられる。彼らは米国が完全に撤退することを望んではおらず、米国を東南アジアに引き入れることによって中国に対し抑制と均衡(チェックアンドバランス)が働くことを期待している。しかし、だからといって彼らとしても米国と一緒になって中国を封じ込めるというスタンスには立ちたくないのである。
第二に、ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国の急速な発展に伴って広く利を得ており、中国の発展は彼らにとって好機でこそあれ脅威ではないということを彼ら自身も切実に感じているということが挙げられる。第三に、米国の軍事力は世界一であるとはいえ、現代の世界はとうに、砲艦が横行し強者が王者となるという時代ではなくなっているということが挙げられる。米国は南シナ海において、他国の意見を聞かずに我意を張り欲しいままに振舞うような空間を有してはいない。
そして最後に第四に、米・中相互の利益はもはや分け難いほどに織り交ざっているという点を看過することはできまい。もし米国がさらに米中関係を害することがあれば、それは“石を持ち上げて自分の足に落とす”ようなものであって(自業自得であるさまを表す)、結局最終的には米国は自身の利益を害することになるのである。以上に述べた理由から、米中関係においては、摩擦や面倒が生ずることはあっても、全面的に関係が悪化するということはあり得ないといえるのである。
中国現代世界研究センター研究員の肖楓氏が21日、「米国は中国を封じ込めようとしているか?」とする文章を発表した。中国網(チャイナネット)日本語版が伝えた。
■中国の“主権保護”の過程に大きな困難
中国の“権益保護”の問題は、すでに米中関係における重要問題の一つとなっている。中国の国力が高まって以後、国内のネットユーザーの中には「過去においては“弱国に外交なし、落後すれば叩かれる(弱国無外交、落後要挨打)”であった。しかし、現在では中国の国力も強まり、その根本部分は固まった。中国は国家の権益保護につき、もっと急ピッチで推進していくべきだ」と言う者もいる。また、さらには「米国に対して“意見を求める”べき時が来た」と主張する者さえ現れた。
しかしながら、中国の“権益保護”の問題、“米台関係”のような歴史の遺産たる問題は、きわめて複雑であって、決して“竿を立てれば影ができる(直ちに効果が現れるさまを表す)”ように迅速な解決が得られるものではない。
中国の国民一人当たり平均のGDPは世界で100位以内にも入っておらず、未だ“発展途上国”のグループに属しているものといえる。政治学的意義や歴史的背景という観点から見れば、これまでのところ中国は世界の大国の中で唯一の、未だ外来の勢力によって分裂しバラバラにされかねない脅威に直面している国家である。
また、未だに“発展途上国”特有の、他者からの侮辱による傷跡と烙印を明白に残している国でもある。そのため、中国には長期に亘って“発展途上国”であり続ける決心と勇気とが必要である。外交において利益を重視することを忘れてはならないし、多様な(外交)交渉の手段・方式を総合的に運用していくことが求められる。これには、相当の時間と過程を経ることが必要となろう。(おわり 編集担当:米原裕子)
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シーレーン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3
南沙諸島
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6
2010.09.22(Wed)JBプレス泉徹
もしも尖閣諸島を失えば日本の貿易は壊滅状態に!
中国人民解放軍(PLA)の強化は毎年2ケタの伸びに示されるように、衰えを知らない。特に海軍力の強化は、目覚ましいものがある。
中国が海軍を増強しているのは尖閣諸島奪取のため!
米国の「全米アジア研究部会」では、中国軍がグローバルな作戦を可能にする近代化を進める一方で、日本に対しては尖閣諸島の領有権主張のために海軍力を強化し続けるという分析もなされている*1。
我が国は、地政学的に見れば、南北に長く縦深性のない国で、国民の大多数が都市に集中し、自給自足が困難な四面海に囲まれた島国である。
従って、好むと好まざるにかかわらず、自由貿易を主体とする海洋依存国家にほかならない。
現在、海運による自由貿易によって繁栄を極めている我が国であるが、そういった
意味で経済活動を含めた国家の生存が海洋の自由利用にかかっていると言っても過
言ではない。
それは、原材料を輸入し高付加価値にして輸出する経済活動のスタイルも、大きく
変わり得る要素はここ当分考えられないからだ。
こういった状況下、日本の貿易の99.7%が船舶による海上輸送であることを思
えば、現在の海運政策が極めて不十分であることを、多くの国民に知ってもらうこ
とは意義があると考え、以下、我が国の海運から紹介したい。
1. 我が国の海運の現状
外航海運は、我が国の経済および国民生活を支える、まさにライフラインとして極めて重要である。しかし、この海上輸送の基盤を支える日本籍船および日本人船員の状況は惨憺たる状況にある。
まず、日本籍船については次ページ表1に示す通りである。1980年代、我が国の商船隊*2は約2500隻、総排水量1億1500万トンであり、日本国籍の商船は実に約1200隻であった。
それが昭和60(1985)年のプラザ合意後の急激な円高によるコスト競争力の喪失から年々数が減り、2008年における日本籍船は98隻しかなくなった。
これも一部の努力により98隻となっているが、2007年には実は92隻まで減少していた。現在でも約2600隻以上の商船が我が国の外航海運に従事しているものの、その1割にも満たないのである。
つまり、我が国の管轄権が及ぶ商船は98隻しかないことを示している。現在、アフリカ・ソマリア沖において、海上自衛隊が2隻の護衛艦と2機の対潜哨戒機「P-3C」により、海賊対処法に基づき商船の護衛を実施している。
自国の商船でなければ警察権も及ばない!
法律により、他国の商船もその護衛の範囲内とされ、多くの国々から感謝されその成果も著しい。
しかし、あくまで護衛は各国の商船の要望により護衛を実施しているわけで、我が国に関係する重要な商船(便宜置籍船も含まれる)でさえ我が国のコントロールによるものではない。
いや、コントロールできないのである。また、護衛中、他国の商船内において日本人に関係する事件が起きても、我が国の警察権は及ばない。
ご記憶の方もいると思うが、今から8年前の平成14(2002)年、パナマ船籍の商船内で日本人の航海士がフィリピン人船員に殺される事件*3が起きた。この際にも外務省を通じパナマ共和国と交渉し、やっと我が国の捜査が及んだのは、事件が発生してから1年後だった。
昨(2009)年6月19日、「海賊行為の処罰および海賊行為への対処に関する法律」(海賊対処法)が制定され、海上自衛隊が護衛任務についている。
海賊以外の紛争は適用除外される!
その保護対象船舶は(1)日本籍船(2)日本人が乗船する外国籍船(3)日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船または日本の積み荷を輸送する外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶*4とされている。
この法律の制定は、海運を維持・保護する上で極めて重要な進歩である。しかしながら、これは、あくまで海賊対処に関する法律であり、それ以外の事変・紛争等では日本籍の商船に対してのみ該当し、それ以外に対する法整備も進んでいない。
それでは、我が国の外航船員についてはどうだろうか。表2は日本人外航船員の推移である。日本籍船の数が減少している状況と同様に、外航船員に占める日本人の割合も大きく減少している。
外航船員はピークの20分の1に激減した!
1974(昭和49)年には約5万7000人いた外航船員も、今では2600人あまりで往時の20分の1以下である。
かって多くのご同輩は、マドロス姿の小林旭主人公の映画を見て格好良いと思い、外航船に乗って外国に行くことを夢見たものである。
しかし現在では、船乗りになる希望者がいたとしても外航船員を育てる教育機関は減少し、商船大学なるものは既に存在しない。
さらに、現在の外航船員の年齢構成は、45歳以上中高年の占める割合が約54%であり、55歳以上の占める割合は10年前から2倍以上の約28%となっている。つまりベテランの外航船員も定年間近なのである。
近年、科学技術も発達し船員の技能もさほど必要でないと思われる方がいるかもしれないが、いまだ大自然を相手にする大海原では、経験が大きくものを言う。
技術が発展しても人間に頼らなければならない部分は圧倒的に多い!
夜間の視界内の商船や漁船などの動きやその動静の把握、あるいは霧や大雨の狭視界においてのレーダーによる目標の把握、水平線上に昇る米粒にしか見えない竜巻などの自然現象の動き、洋上に流れている流木の確認など、経験が極めて重要である。
そして、こういった経験を伝える場は同じ海の上が最も適している。もちろん、書き物により伝え、机上で口伝えにより伝えることもできるが、同じ環境条件の洋上にいて同じ経験をしつつ実際に見て判断につなげていく感覚的な伝承は洋上でしかできない。
話が横道にそれたが、そういった素晴らしい技能や感覚の持ち主である日本人外航船員の姿が消えていくのである。
日本人外航船員は現在、約2600人であるが、全日本海員組合加盟のフィリピン人は約2万8000人いる。つまり、我が国の海運を支えているのは多くのフィリピン人の方々である。
日本郵船など多くの船会社はこれら外国籍船員と労使契約を結んでいるが、その中には、「軍事行動区域には赴かず、下船して会社負担で送還される権利」が明記されている。
日本のシーレーンが万が一紛争地域になれば船の運航は不可能に
当然と言えば当然のことで、他国の商船において他国で負傷するなど、死ぬ目に遭ったのではたまったものではない。
すなわち、我が国周辺における紛争など危急の際には、多くの外国船員の方々は従事する必要はなく、我が国に関係する海運がストップすることも考えられる。
1980年代のイラン・イラク紛争の時、イラン機の攻撃により労務提供船アル・マナクが被弾し日本人船員2人の方が犠牲となった。それでも当時、延べ6万人と言われている多くの日本人船員が石油輸送を担い、我が国民の生活と経済活動を支えたのである。
しかし、その後、三光汽船の倒産を皮切りに日本船主協会が外航船員1万人は過剰であるとし、日本人外航船員の姿が消えていくのである。
2. 諸外国の海運に対する取り組み!
我が国の海運の現状は目を覆うばかりであるが、それでは諸外国はどうであろうか。いわゆる人件費の高騰により、喘いでいるのは日本ばかりではない。韓国においても同様の状況であり、英国、ドイツでも同様である。
しかし諸外国、特に海運に依存している上述の各国は、政策により必要最小限の海運のツールは維持している。
ドイツは自国船員の訓練費などに年間約6億円の補助を与え、船員の育成に努力している。そして英国では海外で半年間過ごした自国船員の所得税を全額免除し、船員がすべて外国人でも自国船と認める1国2制度制を取り入れている。
この1国2制度制は、ノルウェー、フランスも同様に取り入れ、自国船籍を呼び戻すことに効果を上げている。
日本も1996年から、船長と機関長さえ日本人ならば他の船員がすべて外国人であっても日本籍船と認める「国際船舶制度」を導入したが、もはや船長も機関長も外国人で占められている状況において、効果を上げるまでに至っていない。
迅速に法律を整備してきた韓国
お隣の韓国の外航船員の状況は日本と同様であるが、各種方策を迅速に決定し国の政策に反映している。
まず、韓国を有数の海運国家に育成するため、韓国トン税制度を2005年1月に取り入れ、営業利益が出ている時には節税効果が出る仕組みとし、海運会社の利益を導き出している*5。
また、船舶の韓国籍登録を活性化するため、済州島内の開港を船舶登録特区に指定し、船舶の取得税、漁村特別税、地方教育税、財産税、共同施設税が免除されている*6。
さらに、穀物や原油、石炭などを運ぶ韓国籍船30隻を「国家必須船」に指定し、韓国人の船員を増やすことを条件にして、政府が海運会社に船員コストの差額を補助しているのである。
指定を受けた船舶は、バルク船(糧穀運搬船、鋼炭船)10隻、油槽船6隻、液化天然ガス(LNG)船11隻、コンテナ船3隻である。
米国は75%以上の自国籍船員を義務づけ!
もちろん、この30隻のみで現在の韓国国家経済を賄うことはできないだろうが、少なくとも非常時における考え方を平時から国民に示し、不十分ながらも対応策は整えている。
また、これらにより、必要最小限以下であろうが必要な物資の輸入も自国で賄い、かつ外航船員養成の道も確保している。
さらに付言すれば、あの米国でさえ、自国船籍の米国人船員の割合を75%以下にしてはならない、自国船籍の修繕においては他国で製造した鉄を10%以上使用してはならないなど、事細かく規定し海運を維持運営している。
3. 我が国周辺海域の不安感!
これまで述べたように、我が国周辺海域において紛争や不穏な状況が生起すれば、外国籍船員は我が国の海上輸送に携わる必要はない。
現在、我が国の東シナ海の現状は、中国の大陸棚や尖閣諸島へのアクセスなど、今後10年間における我が国とのいざこざの不安感は拭い切れていない。
1992年の中国の領海法制定以来、東シナ海を中国の内海とし、それまで全く触れていなかった尖閣諸島を自国の領土と明記したのである。
それは、あたかも南シナ海における南沙諸島を領土化した同じ方法をたどっている。もし、この東シナ海で、将来、領土、領海を巡る紛争が起こった場合、我が国への海運への影響は大きく、経済活動のみならず、自国民の生存も危ぶまれる危険性をはらんでいる。
今月発生した尖閣諸島での中国トロール船による海上保安庁の巡視船への衝突事件は、まさにそうした危険を示す格好の材料と言えるだろう。
もし紛争が発生すれば、海上護衛戦を軽視した結果、物資が日本に入ってこなくなった先の太平洋戦争を彷彿させられる。
しかし、現在の海運崩壊の危険性は海上護衛戦を軽視したことではなく、今度は、海洋に生きるしかない我が国の海運というツールを軽視したことによるのである。
4. 終わりに
現在、海上自衛隊は灼熱の中、ソマリア沖、アデン湾の海賊対処に立ち向かい、敢然と海上交通の安全確保の任に就いている。これは、海洋の自由利用と自由な交易を維持するための海上交通の安全確保が何よりも我が国には重要であり、我が国の生存がかかっている任務とも言えるのである。
現在、海上護衛作戦も順調に推移し、海賊件数は増加している中、日本に関係する商船の被害は幸いにして生起していない。こういった努力により、日本船主協会の方々から感謝の言葉を頂き、海上自衛隊員の大きな支えになっている。
しかし、先の太平洋戦争における6万人以上の戦没船員を出した全日本船員組合の不信感は根強く、我が国に関係する商船護衛への理解も乏しい。
そして、先の大戦の国家総動員法に基づく「船員徴用令」を含むものが「有事法制」であるとし、有事法制の制定にも反対しており、有事における我が国の海運確保の問題をさらに複雑にしている*7。
あるブログに、「日本はシーレーンを守るとは言っているが、守る対象がない。守る対象であるシーレーンを作ることから始めなければ、シーレーンを守ると言っても空言である」という書き込みがあった。
まさに、当を得ている提言ながら、この提言を日本国民は、自国のことと感じているのか心配になった。
それは、多くの日本人と政治家や官僚が安全と空気は、この日本にはタダで無尽蔵にあると思い、いつでも手に入れることができると思っているからであろう。
こう言った風潮は、自国民を救出することさえ自衛隊にやらせない国の中では当然のことかもしれないが、万が一の場合、そこに生きている国民はたまったものではない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3
南沙諸島
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6
2010.09.22(Wed)JBプレス泉徹
もしも尖閣諸島を失えば日本の貿易は壊滅状態に!
中国人民解放軍(PLA)の強化は毎年2ケタの伸びに示されるように、衰えを知らない。特に海軍力の強化は、目覚ましいものがある。
中国が海軍を増強しているのは尖閣諸島奪取のため!
米国の「全米アジア研究部会」では、中国軍がグローバルな作戦を可能にする近代化を進める一方で、日本に対しては尖閣諸島の領有権主張のために海軍力を強化し続けるという分析もなされている*1。
我が国は、地政学的に見れば、南北に長く縦深性のない国で、国民の大多数が都市に集中し、自給自足が困難な四面海に囲まれた島国である。
従って、好むと好まざるにかかわらず、自由貿易を主体とする海洋依存国家にほかならない。
現在、海運による自由貿易によって繁栄を極めている我が国であるが、そういった
意味で経済活動を含めた国家の生存が海洋の自由利用にかかっていると言っても過
言ではない。
それは、原材料を輸入し高付加価値にして輸出する経済活動のスタイルも、大きく
変わり得る要素はここ当分考えられないからだ。
こういった状況下、日本の貿易の99.7%が船舶による海上輸送であることを思
えば、現在の海運政策が極めて不十分であることを、多くの国民に知ってもらうこ
とは意義があると考え、以下、我が国の海運から紹介したい。
1. 我が国の海運の現状
外航海運は、我が国の経済および国民生活を支える、まさにライフラインとして極めて重要である。しかし、この海上輸送の基盤を支える日本籍船および日本人船員の状況は惨憺たる状況にある。
まず、日本籍船については次ページ表1に示す通りである。1980年代、我が国の商船隊*2は約2500隻、総排水量1億1500万トンであり、日本国籍の商船は実に約1200隻であった。
それが昭和60(1985)年のプラザ合意後の急激な円高によるコスト競争力の喪失から年々数が減り、2008年における日本籍船は98隻しかなくなった。
これも一部の努力により98隻となっているが、2007年には実は92隻まで減少していた。現在でも約2600隻以上の商船が我が国の外航海運に従事しているものの、その1割にも満たないのである。
つまり、我が国の管轄権が及ぶ商船は98隻しかないことを示している。現在、アフリカ・ソマリア沖において、海上自衛隊が2隻の護衛艦と2機の対潜哨戒機「P-3C」により、海賊対処法に基づき商船の護衛を実施している。
自国の商船でなければ警察権も及ばない!
法律により、他国の商船もその護衛の範囲内とされ、多くの国々から感謝されその成果も著しい。
しかし、あくまで護衛は各国の商船の要望により護衛を実施しているわけで、我が国に関係する重要な商船(便宜置籍船も含まれる)でさえ我が国のコントロールによるものではない。
いや、コントロールできないのである。また、護衛中、他国の商船内において日本人に関係する事件が起きても、我が国の警察権は及ばない。
ご記憶の方もいると思うが、今から8年前の平成14(2002)年、パナマ船籍の商船内で日本人の航海士がフィリピン人船員に殺される事件*3が起きた。この際にも外務省を通じパナマ共和国と交渉し、やっと我が国の捜査が及んだのは、事件が発生してから1年後だった。
昨(2009)年6月19日、「海賊行為の処罰および海賊行為への対処に関する法律」(海賊対処法)が制定され、海上自衛隊が護衛任務についている。
海賊以外の紛争は適用除外される!
その保護対象船舶は(1)日本籍船(2)日本人が乗船する外国籍船(3)日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船または日本の積み荷を輸送する外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶*4とされている。
この法律の制定は、海運を維持・保護する上で極めて重要な進歩である。しかしながら、これは、あくまで海賊対処に関する法律であり、それ以外の事変・紛争等では日本籍の商船に対してのみ該当し、それ以外に対する法整備も進んでいない。
それでは、我が国の外航船員についてはどうだろうか。表2は日本人外航船員の推移である。日本籍船の数が減少している状況と同様に、外航船員に占める日本人の割合も大きく減少している。
外航船員はピークの20分の1に激減した!
1974(昭和49)年には約5万7000人いた外航船員も、今では2600人あまりで往時の20分の1以下である。
かって多くのご同輩は、マドロス姿の小林旭主人公の映画を見て格好良いと思い、外航船に乗って外国に行くことを夢見たものである。
しかし現在では、船乗りになる希望者がいたとしても外航船員を育てる教育機関は減少し、商船大学なるものは既に存在しない。
さらに、現在の外航船員の年齢構成は、45歳以上中高年の占める割合が約54%であり、55歳以上の占める割合は10年前から2倍以上の約28%となっている。つまりベテランの外航船員も定年間近なのである。
近年、科学技術も発達し船員の技能もさほど必要でないと思われる方がいるかもしれないが、いまだ大自然を相手にする大海原では、経験が大きくものを言う。
技術が発展しても人間に頼らなければならない部分は圧倒的に多い!
夜間の視界内の商船や漁船などの動きやその動静の把握、あるいは霧や大雨の狭視界においてのレーダーによる目標の把握、水平線上に昇る米粒にしか見えない竜巻などの自然現象の動き、洋上に流れている流木の確認など、経験が極めて重要である。
そして、こういった経験を伝える場は同じ海の上が最も適している。もちろん、書き物により伝え、机上で口伝えにより伝えることもできるが、同じ環境条件の洋上にいて同じ経験をしつつ実際に見て判断につなげていく感覚的な伝承は洋上でしかできない。
話が横道にそれたが、そういった素晴らしい技能や感覚の持ち主である日本人外航船員の姿が消えていくのである。
日本人外航船員は現在、約2600人であるが、全日本海員組合加盟のフィリピン人は約2万8000人いる。つまり、我が国の海運を支えているのは多くのフィリピン人の方々である。
日本郵船など多くの船会社はこれら外国籍船員と労使契約を結んでいるが、その中には、「軍事行動区域には赴かず、下船して会社負担で送還される権利」が明記されている。
日本のシーレーンが万が一紛争地域になれば船の運航は不可能に
当然と言えば当然のことで、他国の商船において他国で負傷するなど、死ぬ目に遭ったのではたまったものではない。
すなわち、我が国周辺における紛争など危急の際には、多くの外国船員の方々は従事する必要はなく、我が国に関係する海運がストップすることも考えられる。
1980年代のイラン・イラク紛争の時、イラン機の攻撃により労務提供船アル・マナクが被弾し日本人船員2人の方が犠牲となった。それでも当時、延べ6万人と言われている多くの日本人船員が石油輸送を担い、我が国民の生活と経済活動を支えたのである。
しかし、その後、三光汽船の倒産を皮切りに日本船主協会が外航船員1万人は過剰であるとし、日本人外航船員の姿が消えていくのである。
2. 諸外国の海運に対する取り組み!
我が国の海運の現状は目を覆うばかりであるが、それでは諸外国はどうであろうか。いわゆる人件費の高騰により、喘いでいるのは日本ばかりではない。韓国においても同様の状況であり、英国、ドイツでも同様である。
しかし諸外国、特に海運に依存している上述の各国は、政策により必要最小限の海運のツールは維持している。
ドイツは自国船員の訓練費などに年間約6億円の補助を与え、船員の育成に努力している。そして英国では海外で半年間過ごした自国船員の所得税を全額免除し、船員がすべて外国人でも自国船と認める1国2制度制を取り入れている。
この1国2制度制は、ノルウェー、フランスも同様に取り入れ、自国船籍を呼び戻すことに効果を上げている。
日本も1996年から、船長と機関長さえ日本人ならば他の船員がすべて外国人であっても日本籍船と認める「国際船舶制度」を導入したが、もはや船長も機関長も外国人で占められている状況において、効果を上げるまでに至っていない。
迅速に法律を整備してきた韓国
お隣の韓国の外航船員の状況は日本と同様であるが、各種方策を迅速に決定し国の政策に反映している。
まず、韓国を有数の海運国家に育成するため、韓国トン税制度を2005年1月に取り入れ、営業利益が出ている時には節税効果が出る仕組みとし、海運会社の利益を導き出している*5。
また、船舶の韓国籍登録を活性化するため、済州島内の開港を船舶登録特区に指定し、船舶の取得税、漁村特別税、地方教育税、財産税、共同施設税が免除されている*6。
さらに、穀物や原油、石炭などを運ぶ韓国籍船30隻を「国家必須船」に指定し、韓国人の船員を増やすことを条件にして、政府が海運会社に船員コストの差額を補助しているのである。
指定を受けた船舶は、バルク船(糧穀運搬船、鋼炭船)10隻、油槽船6隻、液化天然ガス(LNG)船11隻、コンテナ船3隻である。
米国は75%以上の自国籍船員を義務づけ!
もちろん、この30隻のみで現在の韓国国家経済を賄うことはできないだろうが、少なくとも非常時における考え方を平時から国民に示し、不十分ながらも対応策は整えている。
また、これらにより、必要最小限以下であろうが必要な物資の輸入も自国で賄い、かつ外航船員養成の道も確保している。
さらに付言すれば、あの米国でさえ、自国船籍の米国人船員の割合を75%以下にしてはならない、自国船籍の修繕においては他国で製造した鉄を10%以上使用してはならないなど、事細かく規定し海運を維持運営している。
3. 我が国周辺海域の不安感!
これまで述べたように、我が国周辺海域において紛争や不穏な状況が生起すれば、外国籍船員は我が国の海上輸送に携わる必要はない。
現在、我が国の東シナ海の現状は、中国の大陸棚や尖閣諸島へのアクセスなど、今後10年間における我が国とのいざこざの不安感は拭い切れていない。
1992年の中国の領海法制定以来、東シナ海を中国の内海とし、それまで全く触れていなかった尖閣諸島を自国の領土と明記したのである。
それは、あたかも南シナ海における南沙諸島を領土化した同じ方法をたどっている。もし、この東シナ海で、将来、領土、領海を巡る紛争が起こった場合、我が国への海運への影響は大きく、経済活動のみならず、自国民の生存も危ぶまれる危険性をはらんでいる。
今月発生した尖閣諸島での中国トロール船による海上保安庁の巡視船への衝突事件は、まさにそうした危険を示す格好の材料と言えるだろう。
もし紛争が発生すれば、海上護衛戦を軽視した結果、物資が日本に入ってこなくなった先の太平洋戦争を彷彿させられる。
しかし、現在の海運崩壊の危険性は海上護衛戦を軽視したことではなく、今度は、海洋に生きるしかない我が国の海運というツールを軽視したことによるのである。
4. 終わりに
現在、海上自衛隊は灼熱の中、ソマリア沖、アデン湾の海賊対処に立ち向かい、敢然と海上交通の安全確保の任に就いている。これは、海洋の自由利用と自由な交易を維持するための海上交通の安全確保が何よりも我が国には重要であり、我が国の生存がかかっている任務とも言えるのである。
現在、海上護衛作戦も順調に推移し、海賊件数は増加している中、日本に関係する商船の被害は幸いにして生起していない。こういった努力により、日本船主協会の方々から感謝の言葉を頂き、海上自衛隊員の大きな支えになっている。
しかし、先の太平洋戦争における6万人以上の戦没船員を出した全日本船員組合の不信感は根強く、我が国に関係する商船護衛への理解も乏しい。
そして、先の大戦の国家総動員法に基づく「船員徴用令」を含むものが「有事法制」であるとし、有事法制の制定にも反対しており、有事における我が国の海運確保の問題をさらに複雑にしている*7。
あるブログに、「日本はシーレーンを守るとは言っているが、守る対象がない。守る対象であるシーレーンを作ることから始めなければ、シーレーンを守ると言っても空言である」という書き込みがあった。
まさに、当を得ている提言ながら、この提言を日本国民は、自国のことと感じているのか心配になった。
それは、多くの日本人と政治家や官僚が安全と空気は、この日本にはタダで無尽蔵にあると思い、いつでも手に入れることができると思っているからであろう。
こう言った風潮は、自国民を救出することさえ自衛隊にやらせない国の中では当然のことかもしれないが、万が一の場合、そこに生きている国民はたまったものではない。
離島は守るだけでは能がない、経済も同時活性化を!
2010.09.21(Tue)JBプレス 福山隆
1.中国漁船・尖閣付近領海内接触事件~中国、「海洋権益」で主導権狙い強硬姿勢に!
沖縄県・尖閣諸島付近で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、中国は9月中旬に予定されていた東シナ海ガス田開発の条約締結交渉を延期した。
さらには、戴秉国・国務委員が丹羽宇一郎・駐中国大使を未明に呼び出し、日本側に漁船・漁民の解放を迫り、さらなる対抗措置を打ち出すことを示唆するなど強硬姿勢に転じている。
2.日本を取り巻く戦略環境~米国の凋落と中国の台頭!
米国は今後「ジリ貧」になり、もはや世界の警察官の任を負えなくなる時代が来るのではいかという懸念がある。
この懸念は歴史的な前例に由来するものだ。ベトナム戦争では時価換算で65兆円の金を使い、これにより米主導のブレトンウッズ体制が壊れ、金本位制と固定相場制を放棄した。
さらにはニクソン・ドクトリンが打ち出され、「自分の国は自分で守れ」と同盟国を突き放すような政策まで打ち出した。
この前例を下敷きにして米国の将来を考えてみよう。アフガン・イラクでは既に95兆円の戦費を使い、年内には100兆円にも迫るものと見積もられている。
アフガン・イラク戦費に加え、リーマン・ショックに端を発した金融危機により深刻な経済的ダメージを受けたが、今後米国が「ジリ貧」状態から抜け出せる確証はない。
8月末に公表された「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会(以下「新安保懇」とする)」報告書においても「米国の軍事的、経済的優越は圧倒的なものと見なされなくなりつつある。
米国が超大国ではあるが、他国を無視できるような圧倒的力を持っているわけではないというのが、米国も含めた一般的認識となっている」と述べている。
日本周辺で変化するパワーバランス!
一方、日本を凌ぐ世界第2位の経済大国に躍進する勢いを見せる中国は、その経済力をもとに大幅な軍事力の増強を推進している。
今後、日本周辺の米中のパワーバランスのイメージは図1のように推移し、米中の均衡点が東進することは確実である。
この現象を分かりやすく説明するには気象学を用いるのが便法である。すなわち、「『中国という大陸性高気圧』の勢いが強まり、弱まりつつある『アメリカという海洋性高気圧』を押して、太平洋方向に張り出していく」という説明である。
いずれにせよ、「昇る中国」と「沈む米国」の狭間にある日本は今後、中国の勢力圏が東進する中でいかに国防を全うするかという難問に向き合うことになるだろう。
3.日本は米中覇権争いにおける「天王山」!
故小渕恵三総理は、自らを「ビルの谷間のラーメン屋」あるいは「米ソ両大国の谷間に咲くユリの花」と喩えたという。
同一選挙区に福田赳夫、中曽根康弘、社会党書記長に上り詰めた山口鶴男などの大物議員がおり、小物の自分は「ラーメン屋」ないしは「ユリの花」というわけだ。
これに倣えば、日本は米中覇権争いの中の「ラーメン屋」とも言えるだろう。両超大国の狭間で生き抜くのは大変だろう。日本国民は今後余程の覚悟が必要だ。
冷戦時代は、米ソの主戦場(覇権争いの戦域)は2カ所――大西洋・欧州と太平洋・アジア――存在し、「メーン」は大西洋・欧州で、太平洋・アジア戦域は「サブ」だった。
今日では、米中の主戦場は太平洋・アジアだけである。また、冷戦期、欧州正面においてはソ連に対抗するために北大西洋条約機構(NATO)という軍事同盟が結成され、米国を支える同盟国はイギリスや西ドイツなど10カ国に上った。
一方、今日北東アジアではNATOに相当する軍事機構は存在せず、米国が最も期待できる国は日本をおいてほかにはないと言ってもいいだろう。
日本を自らの影響下に置きたい中国!
このように、日本は米中の覇権争いの場の中心に位置し、いわば「天下分け目の天王山」に相当する戦略上の要域と言える。ちなみに、天正10(1582)年6月、織田信長を本能寺に討った明智光秀とその仇討ちを果たそうとする羽柴秀吉が京都山崎で戦い、同地における戦略上の要地「天王山」を制した秀吉の勝利となった。
米国は今後とも日米同盟を強化し、日本を不沈空母として活用し、中国封じ込めの「最大拠点としての『日本』」を維持確保することを目指すだろう。
一方中国は、政治的には日米同盟の弱体化・離間を図り、日本を自国の影響下に置くことに努力を傾注するものと考えられる。
また、軍事的には、第1列島線(九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるライン)続いて第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)進出のためには、九州周辺の離島の一部を侵食しようとする試みを敢行する可能性がある。
4.中国は海洋国家?
「中国は海洋国家」と言えば笑止千万と思われる向きが多いだろう。だが、海洋国家を「国家の存立を海洋に依拠している国」と定義すれば、中国は立派な海洋国家である。
北の国境は砂漠と産業希薄なシベリア、西はヒマラヤ山脈などの地形障害により陸上ルートで通商を営むには限界がある。中国が13億人余の民を養い経済発展するためには、海洋に依拠するほかない。
冷戦時代、ソ連に対抗するために陸軍を重視したが、中ロ関係が改善した今日では海外の市場開拓・資源確保、シーレーンの安全確保、海洋資源の獲得などの目的から、米国に対抗することを念頭に海・空軍力重視の軍拡に血道をあげているのは当然のことであろう。
また、2009年6月には島嶼保護法を制定し、領海拡張の野望を鮮明にしている。
5.米国にとっての離島・島嶼の価値!
今後、海洋進出を急ぐ中国の海洋戦略を推理する上で、マハンの海軍戦略を採用し、太平洋に進出した米国の歴史を検証することは大いに参考になろう。
マハンは「ハワイは米国のために神様が造ってくれたようなものだ」と述べ、海洋を横断し戦力を遠方に推進するうえで島嶼を基地として活用する重要性を指摘した。
米国はグアム、フィリピン、ウェーク、ハワイにも版図を広げ、今日では日本や韓国にも基地を保持してユーラシア・アジアへの覇権を確保するための手段としている。
ケネス・ボールディングは「力(戦力)の逓減(Loss of Strength Gradient)」について次のように述べ、遠方に戦力を投射する上で基地の重要性を指摘している。
●世界のいかなる場所にでも投入できる1国の軍事力の量は、その国と軍事力を投入する場所の地理的な距離により左右され、目標地域への地理的な距離が遠くなればなる程、活用できる戦力は逓減する。
●複数の前線基地(forward positions)の活用により、「力(戦力)の逓減」は改善できる。
図2は、ボールディングの理論に基づき、米国が太平洋に基地を維持する効用について説明したものである。
「A曲線」は米国がアジア・太平洋に基地を持たない場合の戦力の逓減するイメージである。
「B曲線」は米国がハワイ、グアム、日本及び韓国に基地を維持することにより戦力の逓減を少なくできることを示すイメージである。
この図を見れば、太平洋を越えて戦力を投射しなければならない米国にとって、本土外(海外)基地を獲得・維持することは軍事戦略上必然のことであることが理解できよう。
マハンの時代は、海外に投射する戦力は海上戦力(海兵隊を含む)のみであったが、今日は航空・宇宙戦力が加えられており、必然的に基地は海軍基地のみならず、空軍基地が追加されるのは申すまでもない。
6.中国の海洋進出にとっても離島・島嶼の獲得が不可欠~わが国国防の当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼!
中国は「近海積極防衛戦略」に基づき、2020年までに第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)までの行動能力を確保できることを目標に海空軍の建設を急いでいると言われる。
米国の例に見られるとおり、中国としても第1列島線や第2列島線に及ぶ海空軍の行動能力を獲得するためには、第1・第2列島線周辺の離島・島嶼を確保することは必須の要件と考えられる。
中国が離島・島嶼を確保するのは、十分に時間的余裕を持って獲得する方法と、大規模作戦開始に先立ち短期間に急速侵攻して奪取する方法が考えられる。
もとより中国は離島・島嶼を活用した基地の代替システムとして、米国同様に空母を中核とする機動部隊を運用する構想を持っているようだ。
中国の海洋進出の要領を考えれば、わが国防衛にとって当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼であることに議論の余地はないだろう。今回の中国漁船・尖閣付近領海内接触事件を巡る中国の強硬姿勢は、かかる意図を雄弁に物語るものだと思う。
7.民主党の国防政策~「新安保懇」報告書と2010年版防衛白書!
厳密に言えば「新安保懇」報告書は単なる提言であり、民主党の防衛政策とは言えない。しかし、これが新「防衛計画の大綱」に反映されることを考えれば、民主党の政策に準じるものと見なすことができよう。
「新安保懇」報告書及び2010年版防衛白書においても「離島・島嶼の安全確保」について取り上げ、これを重視する姿勢を明示している。
特に「新安保懇」報告書においては「離島・島嶼の安全確保は日本固有の領土及び主権的権利の保全という主権問題であるが、こうした地域への武力攻撃を未然に防止するためには、平素からコストをかけて動的抑止を機能させることが重要である」と述べている。
また、今次「新安保懇」報告書で注目されるポイントとして「安全保障戦略を支える基盤」を整備するうえで「オールジャパン体制の構築」を掲げている。
財政事情が厳しく、防衛予算の増額が困難視される中で、「より効果的な危機管理・安全保障行政を推進するには、省庁間、中央・地方間の垣根を超えた連携が必要である」と強調している。
戦後、国防を忌避する風潮が高まり、国防の任は憲法上その存在さえ論議された自衛隊に丸投げするような傾向があった。この点から見て、今回打ち出された「オールジャパン体制の構築」というポリシーは多いに評価できる。
8.九州離島・島嶼防衛に関する一提言!
九州の離島・島嶼防衛については、防衛省・自衛隊が鋭意企画・実行することだろう。私は、今次「新安保懇」報告書が取り上げた「オールジャパン体制の構築」という観点から、九州離島・島嶼防衛の具体的要領を以下の通り提言したい。
下記の小論は筆者が自衛隊現役時代に書いたもので、若干の経年変化がある。しかし、当時の「着想」を鮮明に残すために、敢えて手を加えずに紹介することとした。
私は2002年3月、佐賀県目達原にある陸上自衛隊九州補給処長に着任した。九州補給処の任務は、九州防衛を担う陸上自衛隊西部方面隊の後方(兵站)支援である。
ところで九州には2522の島が存在する。このうち有人島が191、無人島が2331である。
冷戦崩壊以降、ソ連の北海道侵攻のリスクが低下し、朝鮮半島や中国・台湾の緊張の高まりにより九州防衛の重要性がクローズアップされる中、西部方面隊にとって今や離島防衛は最重要課題になりつつある。
五島列島の最北端の小島、宇久島に生まれた私にとって、離島防衛は単に防衛だけの視点だけでは語れない。それぞれの島(もちろん有人島)には固有の伝統・文化が根づいている。
単に物理的に島を防衛するだけではなく、これら島固有の伝統・文化までも守ることこそが、離島防衛だと思う。
かかる観点から、島を外国の侵攻から守る以前にやらなければならないことは、有人島からの人口流出、それがさらに高じて無人島になることを阻止することが絶対に必要である。
日本国中で「限界集落」が拡大している。九州離島の有人島も同じ問題――いわば「限界島」問題――を抱えている。
私の故郷・宇久島を例に取ると、第2次世界大戦直後のピーク時に1万2000人あまりいた人口が2003年現在では2000人程度に激減し、かつ高齢化している。年間に生まれる新生児は3~4人程度だという。
私が子供の頃は5校もあった小学校が、今では統合され1校のみ、しかも1学年4~5人程度(教師の師弟を含む)という有様。
今後、続々と無人化すると考えられる島々!
この子供たちが将来島から出ずに100歳まで生きると仮定しても、その数は300から400人となる。現実的には、島の人口は近い将来には100人を下回るのは確実だろう。
無人島化した実例がある。宇久島のすぐ南にある野崎島の場合は、島民は最盛期には131人であったが、昭和46(1971)年に残っていた6世帯31人が島を去り、以後は無人島となってしまった。
野崎島は、その昔、神宮皇后が大陸遠征の途上立ち寄り、航海安全を祈願して太刀一振りを奉納したと伝えられる由緒ある歴史の島である。
無人の野崎島に残る野首教会は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会の1つである。
このように、日本で人口の減少が予想される中、九州の離島においては本島以上に人口流出の加速が懸念される。
無人化を食い止め産業を発展させる方法!
かかる九州の離島・島嶼からの人口流出、引いては無人島化を防ぐことこそが離島防衛の大前提であると思う。
なぜなら、無人島化すれば島を実効支配する名分が低下し、隙を見ていつの間にか第三国人が定住してしまえば、今の日本の弱腰外交では奪回は極めて困難と思われる。
島を人体に例えれば、島を「生かす」には「血流」に相当する「人間」を島に定住させ、旅行者を通わせることである。
私は主として防衛上の観点から、2つの無人島化阻止のための施策を考えた。その1つが「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」、2つ目が「九州離島屯田兵制度」である。
教会巡礼の旅と九州離島屯田兵制度!
(1)長崎・五島キリスト教会巡礼の旅
九州補給処長に着任した年の秋、五島列島防衛のための現地研究を福江島で実施した。現地研究とは、机上で作成した防衛計画について、作戦を実施する現地をくまなく歩いてその妥当性や問題点などを研究・検証するフィールドワークのことである。
福江島を軍事作戦的な視点からくまなく視察していくうちに、同島には教会が多いことに気づいた。旅行パンフレットによると66個の教会があるという。福江島だけでも、福江教会、堂崎教会、水之浦教会、楠原教会、井持浦教会、貝津教会などがある。
どの教会も信者の篤い信仰心を反映し、手入れが行き届き、教会の近くには十字架のデザインのあるキリスト教徒の墓碑が海を見下ろしていた。私はこれらの教会を見るうちに「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」のアイデアが湧いた。
「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」構想の要点について述べる。
この構想は、異国文化の入り口だった長崎市を起点に客船で海を渡り、福江島に、そこから徒歩と小船で五島列島を北上して最北端の宇久島に到達、引き続き船で平戸島に渡り、田平町、佐世保市を経てハウステンボスから島原半島を一周。
そして再び元の長崎市に戻る巡礼コースを設定し、巡礼者という旅人たちの人の流れ(Flow)を作ることにより、五島列島の無人化を防ごうというアイデアである。
このアイデアには、欧米人にとっては「異教徒」と思われる日本人にも、江戸時代に命懸けで隠れキリシタンたちが守り通してきたキリスト教の歴史・文化があることを広く国内外に知らしめたい、という願いも込められている。
このエッセイを書いた後の2008年11月、ローマ法王庁が、17世紀の江戸時代に殉教した日本人キリスト教信者188人に、最高位である「聖人」に次ぐ福者の位が授けられる「列福式」が長崎市で行われた。
もとより巡礼者は日本人のみを対象とするのではなく、広く欧米等全世界からの来訪者を期待するものである。この巡礼の旅を定着させるためには、国、長崎県、関係市町村、教会組織及び旅行業社などが忍耐と知恵を分かち合わなければならないだろう。
この巡礼コースの中には、歴史を経た133に及ぶ素晴らしい教会が存在している。巡礼者はコマーシャリズムに踊らされ、美酒・美食を求めて旅行するのではなく、命懸けで信教を守り抜いた古の隠れキリシタンたちの霊魂と、今に生きるその末裔たちとの心の触れ合いを尊ぶ事が大切だと思う。
そのモデルとして、四国八十八箇所の巡礼や中近東のキリスト教・イスラム教の巡礼制度を研究する必要があろう。
ハンチントンが唱える「文明の衝突」で、日本は完全に非キリスト教国(日本は神道の国)と思われているが、実は隠れキリシタンの歴史に見られるように、世界に誇れるキリスト教信仰と文化・歴史も存在しているのである。
この巡礼制度が定着し、欧米からの巡礼者が増えることにより、日本のキリスト教に関する誤解も少しは解消されることだろう。
(2)九州離島屯田兵制度
離島からの人口流出を防止する政策の1つとして、「九州離島屯田兵制度」を提案したい。この制度は、明治政府が行った北海道への屯田兵制度やイスラエルのキブツにも似た制度である。
政府が人為的に九州の離島に住民を定住させ、これを防衛の一助にするというアイデアである。この法的裏づけは、これまで防衛という概念が全く排除されてきた「離島振興法」の中に記述すればよいと思う。
「九州離島屯田兵制度」の要点を列挙する。
●有人の離島の戦略的重要度に応じて、現職陸上自衛隊の1個中隊(約150人から200人)、1個小隊(約20人から30人)、1個班(約10人)を配備することにより、当該島の防衛の基盤を作るほか、人口減少に歯止めをかける一助とする。
この際つとめて、当該離島出身の子女を採用・配置する。
●上記の現職自衛隊部隊を補強し、支援する離島専用の予備自衛官(新たな予備自衛官制度を創設。「離島屯田兵」と仮称)を島民から採用し、有事には自らの故郷(離島)防衛に当たらせる。これらの採用対象には、農・漁民、役場の職員及び学校の教員などを含める。
●これらの「離島屯田兵」には一定の生活支援給与を支弁する。また、兼業も認める。
●これらの「離島屯田兵」の教育訓練には、主として当該離島に配備された現役自衛官が当る。
●離島配備の現役自衛官はもとより、「離島屯田兵」についても、陸・海・空の所要兵力をバランスよく配備する。
●離島防衛のため、これらの自衛隊兵力(現役自衛隊部隊と「離島屯田兵」)の配備とそのための施設整備に加え、各省庁は所管の業務を通じ、離島防衛と人口流出防止に努める。そのための根拠として「離島振興法」に新たな防衛に関する条項を追加する。
2010.09.21(Tue)JBプレス 福山隆
1.中国漁船・尖閣付近領海内接触事件~中国、「海洋権益」で主導権狙い強硬姿勢に!
沖縄県・尖閣諸島付近で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、中国は9月中旬に予定されていた東シナ海ガス田開発の条約締結交渉を延期した。
さらには、戴秉国・国務委員が丹羽宇一郎・駐中国大使を未明に呼び出し、日本側に漁船・漁民の解放を迫り、さらなる対抗措置を打ち出すことを示唆するなど強硬姿勢に転じている。
2.日本を取り巻く戦略環境~米国の凋落と中国の台頭!
米国は今後「ジリ貧」になり、もはや世界の警察官の任を負えなくなる時代が来るのではいかという懸念がある。
この懸念は歴史的な前例に由来するものだ。ベトナム戦争では時価換算で65兆円の金を使い、これにより米主導のブレトンウッズ体制が壊れ、金本位制と固定相場制を放棄した。
さらにはニクソン・ドクトリンが打ち出され、「自分の国は自分で守れ」と同盟国を突き放すような政策まで打ち出した。
この前例を下敷きにして米国の将来を考えてみよう。アフガン・イラクでは既に95兆円の戦費を使い、年内には100兆円にも迫るものと見積もられている。
アフガン・イラク戦費に加え、リーマン・ショックに端を発した金融危機により深刻な経済的ダメージを受けたが、今後米国が「ジリ貧」状態から抜け出せる確証はない。
8月末に公表された「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会(以下「新安保懇」とする)」報告書においても「米国の軍事的、経済的優越は圧倒的なものと見なされなくなりつつある。
米国が超大国ではあるが、他国を無視できるような圧倒的力を持っているわけではないというのが、米国も含めた一般的認識となっている」と述べている。
日本周辺で変化するパワーバランス!
一方、日本を凌ぐ世界第2位の経済大国に躍進する勢いを見せる中国は、その経済力をもとに大幅な軍事力の増強を推進している。
今後、日本周辺の米中のパワーバランスのイメージは図1のように推移し、米中の均衡点が東進することは確実である。
この現象を分かりやすく説明するには気象学を用いるのが便法である。すなわち、「『中国という大陸性高気圧』の勢いが強まり、弱まりつつある『アメリカという海洋性高気圧』を押して、太平洋方向に張り出していく」という説明である。
いずれにせよ、「昇る中国」と「沈む米国」の狭間にある日本は今後、中国の勢力圏が東進する中でいかに国防を全うするかという難問に向き合うことになるだろう。
3.日本は米中覇権争いにおける「天王山」!
故小渕恵三総理は、自らを「ビルの谷間のラーメン屋」あるいは「米ソ両大国の谷間に咲くユリの花」と喩えたという。
同一選挙区に福田赳夫、中曽根康弘、社会党書記長に上り詰めた山口鶴男などの大物議員がおり、小物の自分は「ラーメン屋」ないしは「ユリの花」というわけだ。
これに倣えば、日本は米中覇権争いの中の「ラーメン屋」とも言えるだろう。両超大国の狭間で生き抜くのは大変だろう。日本国民は今後余程の覚悟が必要だ。
冷戦時代は、米ソの主戦場(覇権争いの戦域)は2カ所――大西洋・欧州と太平洋・アジア――存在し、「メーン」は大西洋・欧州で、太平洋・アジア戦域は「サブ」だった。
今日では、米中の主戦場は太平洋・アジアだけである。また、冷戦期、欧州正面においてはソ連に対抗するために北大西洋条約機構(NATO)という軍事同盟が結成され、米国を支える同盟国はイギリスや西ドイツなど10カ国に上った。
一方、今日北東アジアではNATOに相当する軍事機構は存在せず、米国が最も期待できる国は日本をおいてほかにはないと言ってもいいだろう。
日本を自らの影響下に置きたい中国!
このように、日本は米中の覇権争いの場の中心に位置し、いわば「天下分け目の天王山」に相当する戦略上の要域と言える。ちなみに、天正10(1582)年6月、織田信長を本能寺に討った明智光秀とその仇討ちを果たそうとする羽柴秀吉が京都山崎で戦い、同地における戦略上の要地「天王山」を制した秀吉の勝利となった。
米国は今後とも日米同盟を強化し、日本を不沈空母として活用し、中国封じ込めの「最大拠点としての『日本』」を維持確保することを目指すだろう。
一方中国は、政治的には日米同盟の弱体化・離間を図り、日本を自国の影響下に置くことに努力を傾注するものと考えられる。
また、軍事的には、第1列島線(九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるライン)続いて第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)進出のためには、九州周辺の離島の一部を侵食しようとする試みを敢行する可能性がある。
4.中国は海洋国家?
「中国は海洋国家」と言えば笑止千万と思われる向きが多いだろう。だが、海洋国家を「国家の存立を海洋に依拠している国」と定義すれば、中国は立派な海洋国家である。
北の国境は砂漠と産業希薄なシベリア、西はヒマラヤ山脈などの地形障害により陸上ルートで通商を営むには限界がある。中国が13億人余の民を養い経済発展するためには、海洋に依拠するほかない。
冷戦時代、ソ連に対抗するために陸軍を重視したが、中ロ関係が改善した今日では海外の市場開拓・資源確保、シーレーンの安全確保、海洋資源の獲得などの目的から、米国に対抗することを念頭に海・空軍力重視の軍拡に血道をあげているのは当然のことであろう。
また、2009年6月には島嶼保護法を制定し、領海拡張の野望を鮮明にしている。
5.米国にとっての離島・島嶼の価値!
今後、海洋進出を急ぐ中国の海洋戦略を推理する上で、マハンの海軍戦略を採用し、太平洋に進出した米国の歴史を検証することは大いに参考になろう。
マハンは「ハワイは米国のために神様が造ってくれたようなものだ」と述べ、海洋を横断し戦力を遠方に推進するうえで島嶼を基地として活用する重要性を指摘した。
米国はグアム、フィリピン、ウェーク、ハワイにも版図を広げ、今日では日本や韓国にも基地を保持してユーラシア・アジアへの覇権を確保するための手段としている。
ケネス・ボールディングは「力(戦力)の逓減(Loss of Strength Gradient)」について次のように述べ、遠方に戦力を投射する上で基地の重要性を指摘している。
●世界のいかなる場所にでも投入できる1国の軍事力の量は、その国と軍事力を投入する場所の地理的な距離により左右され、目標地域への地理的な距離が遠くなればなる程、活用できる戦力は逓減する。
●複数の前線基地(forward positions)の活用により、「力(戦力)の逓減」は改善できる。
図2は、ボールディングの理論に基づき、米国が太平洋に基地を維持する効用について説明したものである。
「A曲線」は米国がアジア・太平洋に基地を持たない場合の戦力の逓減するイメージである。
「B曲線」は米国がハワイ、グアム、日本及び韓国に基地を維持することにより戦力の逓減を少なくできることを示すイメージである。
この図を見れば、太平洋を越えて戦力を投射しなければならない米国にとって、本土外(海外)基地を獲得・維持することは軍事戦略上必然のことであることが理解できよう。
マハンの時代は、海外に投射する戦力は海上戦力(海兵隊を含む)のみであったが、今日は航空・宇宙戦力が加えられており、必然的に基地は海軍基地のみならず、空軍基地が追加されるのは申すまでもない。
6.中国の海洋進出にとっても離島・島嶼の獲得が不可欠~わが国国防の当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼!
中国は「近海積極防衛戦略」に基づき、2020年までに第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)までの行動能力を確保できることを目標に海空軍の建設を急いでいると言われる。
米国の例に見られるとおり、中国としても第1列島線や第2列島線に及ぶ海空軍の行動能力を獲得するためには、第1・第2列島線周辺の離島・島嶼を確保することは必須の要件と考えられる。
中国が離島・島嶼を確保するのは、十分に時間的余裕を持って獲得する方法と、大規模作戦開始に先立ち短期間に急速侵攻して奪取する方法が考えられる。
もとより中国は離島・島嶼を活用した基地の代替システムとして、米国同様に空母を中核とする機動部隊を運用する構想を持っているようだ。
中国の海洋進出の要領を考えれば、わが国防衛にとって当面の地域的焦点は九州の離島・島嶼であることに議論の余地はないだろう。今回の中国漁船・尖閣付近領海内接触事件を巡る中国の強硬姿勢は、かかる意図を雄弁に物語るものだと思う。
7.民主党の国防政策~「新安保懇」報告書と2010年版防衛白書!
厳密に言えば「新安保懇」報告書は単なる提言であり、民主党の防衛政策とは言えない。しかし、これが新「防衛計画の大綱」に反映されることを考えれば、民主党の政策に準じるものと見なすことができよう。
「新安保懇」報告書及び2010年版防衛白書においても「離島・島嶼の安全確保」について取り上げ、これを重視する姿勢を明示している。
特に「新安保懇」報告書においては「離島・島嶼の安全確保は日本固有の領土及び主権的権利の保全という主権問題であるが、こうした地域への武力攻撃を未然に防止するためには、平素からコストをかけて動的抑止を機能させることが重要である」と述べている。
また、今次「新安保懇」報告書で注目されるポイントとして「安全保障戦略を支える基盤」を整備するうえで「オールジャパン体制の構築」を掲げている。
財政事情が厳しく、防衛予算の増額が困難視される中で、「より効果的な危機管理・安全保障行政を推進するには、省庁間、中央・地方間の垣根を超えた連携が必要である」と強調している。
戦後、国防を忌避する風潮が高まり、国防の任は憲法上その存在さえ論議された自衛隊に丸投げするような傾向があった。この点から見て、今回打ち出された「オールジャパン体制の構築」というポリシーは多いに評価できる。
8.九州離島・島嶼防衛に関する一提言!
九州の離島・島嶼防衛については、防衛省・自衛隊が鋭意企画・実行することだろう。私は、今次「新安保懇」報告書が取り上げた「オールジャパン体制の構築」という観点から、九州離島・島嶼防衛の具体的要領を以下の通り提言したい。
下記の小論は筆者が自衛隊現役時代に書いたもので、若干の経年変化がある。しかし、当時の「着想」を鮮明に残すために、敢えて手を加えずに紹介することとした。
私は2002年3月、佐賀県目達原にある陸上自衛隊九州補給処長に着任した。九州補給処の任務は、九州防衛を担う陸上自衛隊西部方面隊の後方(兵站)支援である。
ところで九州には2522の島が存在する。このうち有人島が191、無人島が2331である。
冷戦崩壊以降、ソ連の北海道侵攻のリスクが低下し、朝鮮半島や中国・台湾の緊張の高まりにより九州防衛の重要性がクローズアップされる中、西部方面隊にとって今や離島防衛は最重要課題になりつつある。
五島列島の最北端の小島、宇久島に生まれた私にとって、離島防衛は単に防衛だけの視点だけでは語れない。それぞれの島(もちろん有人島)には固有の伝統・文化が根づいている。
単に物理的に島を防衛するだけではなく、これら島固有の伝統・文化までも守ることこそが、離島防衛だと思う。
かかる観点から、島を外国の侵攻から守る以前にやらなければならないことは、有人島からの人口流出、それがさらに高じて無人島になることを阻止することが絶対に必要である。
日本国中で「限界集落」が拡大している。九州離島の有人島も同じ問題――いわば「限界島」問題――を抱えている。
私の故郷・宇久島を例に取ると、第2次世界大戦直後のピーク時に1万2000人あまりいた人口が2003年現在では2000人程度に激減し、かつ高齢化している。年間に生まれる新生児は3~4人程度だという。
私が子供の頃は5校もあった小学校が、今では統合され1校のみ、しかも1学年4~5人程度(教師の師弟を含む)という有様。
今後、続々と無人化すると考えられる島々!
この子供たちが将来島から出ずに100歳まで生きると仮定しても、その数は300から400人となる。現実的には、島の人口は近い将来には100人を下回るのは確実だろう。
無人島化した実例がある。宇久島のすぐ南にある野崎島の場合は、島民は最盛期には131人であったが、昭和46(1971)年に残っていた6世帯31人が島を去り、以後は無人島となってしまった。
野崎島は、その昔、神宮皇后が大陸遠征の途上立ち寄り、航海安全を祈願して太刀一振りを奉納したと伝えられる由緒ある歴史の島である。
無人の野崎島に残る野首教会は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会の1つである。
このように、日本で人口の減少が予想される中、九州の離島においては本島以上に人口流出の加速が懸念される。
無人化を食い止め産業を発展させる方法!
かかる九州の離島・島嶼からの人口流出、引いては無人島化を防ぐことこそが離島防衛の大前提であると思う。
なぜなら、無人島化すれば島を実効支配する名分が低下し、隙を見ていつの間にか第三国人が定住してしまえば、今の日本の弱腰外交では奪回は極めて困難と思われる。
島を人体に例えれば、島を「生かす」には「血流」に相当する「人間」を島に定住させ、旅行者を通わせることである。
私は主として防衛上の観点から、2つの無人島化阻止のための施策を考えた。その1つが「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」、2つ目が「九州離島屯田兵制度」である。
教会巡礼の旅と九州離島屯田兵制度!
(1)長崎・五島キリスト教会巡礼の旅
九州補給処長に着任した年の秋、五島列島防衛のための現地研究を福江島で実施した。現地研究とは、机上で作成した防衛計画について、作戦を実施する現地をくまなく歩いてその妥当性や問題点などを研究・検証するフィールドワークのことである。
福江島を軍事作戦的な視点からくまなく視察していくうちに、同島には教会が多いことに気づいた。旅行パンフレットによると66個の教会があるという。福江島だけでも、福江教会、堂崎教会、水之浦教会、楠原教会、井持浦教会、貝津教会などがある。
どの教会も信者の篤い信仰心を反映し、手入れが行き届き、教会の近くには十字架のデザインのあるキリスト教徒の墓碑が海を見下ろしていた。私はこれらの教会を見るうちに「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」のアイデアが湧いた。
「長崎・五島キリスト教会巡礼の旅」構想の要点について述べる。
この構想は、異国文化の入り口だった長崎市を起点に客船で海を渡り、福江島に、そこから徒歩と小船で五島列島を北上して最北端の宇久島に到達、引き続き船で平戸島に渡り、田平町、佐世保市を経てハウステンボスから島原半島を一周。
そして再び元の長崎市に戻る巡礼コースを設定し、巡礼者という旅人たちの人の流れ(Flow)を作ることにより、五島列島の無人化を防ごうというアイデアである。
このアイデアには、欧米人にとっては「異教徒」と思われる日本人にも、江戸時代に命懸けで隠れキリシタンたちが守り通してきたキリスト教の歴史・文化があることを広く国内外に知らしめたい、という願いも込められている。
このエッセイを書いた後の2008年11月、ローマ法王庁が、17世紀の江戸時代に殉教した日本人キリスト教信者188人に、最高位である「聖人」に次ぐ福者の位が授けられる「列福式」が長崎市で行われた。
もとより巡礼者は日本人のみを対象とするのではなく、広く欧米等全世界からの来訪者を期待するものである。この巡礼の旅を定着させるためには、国、長崎県、関係市町村、教会組織及び旅行業社などが忍耐と知恵を分かち合わなければならないだろう。
この巡礼コースの中には、歴史を経た133に及ぶ素晴らしい教会が存在している。巡礼者はコマーシャリズムに踊らされ、美酒・美食を求めて旅行するのではなく、命懸けで信教を守り抜いた古の隠れキリシタンたちの霊魂と、今に生きるその末裔たちとの心の触れ合いを尊ぶ事が大切だと思う。
そのモデルとして、四国八十八箇所の巡礼や中近東のキリスト教・イスラム教の巡礼制度を研究する必要があろう。
ハンチントンが唱える「文明の衝突」で、日本は完全に非キリスト教国(日本は神道の国)と思われているが、実は隠れキリシタンの歴史に見られるように、世界に誇れるキリスト教信仰と文化・歴史も存在しているのである。
この巡礼制度が定着し、欧米からの巡礼者が増えることにより、日本のキリスト教に関する誤解も少しは解消されることだろう。
(2)九州離島屯田兵制度
離島からの人口流出を防止する政策の1つとして、「九州離島屯田兵制度」を提案したい。この制度は、明治政府が行った北海道への屯田兵制度やイスラエルのキブツにも似た制度である。
政府が人為的に九州の離島に住民を定住させ、これを防衛の一助にするというアイデアである。この法的裏づけは、これまで防衛という概念が全く排除されてきた「離島振興法」の中に記述すればよいと思う。
「九州離島屯田兵制度」の要点を列挙する。
●有人の離島の戦略的重要度に応じて、現職陸上自衛隊の1個中隊(約150人から200人)、1個小隊(約20人から30人)、1個班(約10人)を配備することにより、当該島の防衛の基盤を作るほか、人口減少に歯止めをかける一助とする。
この際つとめて、当該離島出身の子女を採用・配置する。
●上記の現職自衛隊部隊を補強し、支援する離島専用の予備自衛官(新たな予備自衛官制度を創設。「離島屯田兵」と仮称)を島民から採用し、有事には自らの故郷(離島)防衛に当たらせる。これらの採用対象には、農・漁民、役場の職員及び学校の教員などを含める。
●これらの「離島屯田兵」には一定の生活支援給与を支弁する。また、兼業も認める。
●これらの「離島屯田兵」の教育訓練には、主として当該離島に配備された現役自衛官が当る。
●離島配備の現役自衛官はもとより、「離島屯田兵」についても、陸・海・空の所要兵力をバランスよく配備する。
●離島防衛のため、これらの自衛隊兵力(現役自衛隊部隊と「離島屯田兵」)の配備とそのための施設整備に加え、各省庁は所管の業務を通じ、離島防衛と人口流出防止に努める。そのための根拠として「離島振興法」に新たな防衛に関する条項を追加する。
2010/09/20(月) 13:25 サーチナ
韓国聯合通信によると、韓国済州海洋警察は19日、韓国の排他的経済水域(EEZ)内で操業していた中国籍のイカ釣り漁船をだ捕した。韓国側は「船長が罰金を支払えば、帰国させる」としている。環球時報が伝えた。
報道によれば、中国漁船は18日午前7時ごろ、済州市から南西92キロの海域で操業を行っていたという。韓国の警察は当漁船をだ捕し、中国遼寧省出身の中国人船長に対して刑事責任を追求するとしている。
中国人船長はすでに済州市の地方検察に移送されており、今後は状況の調査が行われ、結果に応じて処罰が決定する模様だ。韓国の法律によれば、中国人船長には1500万ウォン(約111万円)の罰金が科せられる可能性があり、罰金を支払うまで拘留される可能がある。(編集担当:畠山栄)
韓国「朝鮮半島の脅威は北と中国」、中国ネット上で反発の声!
2010/09/08(水) 08:56 サーチナ
7日付の環球時報によれば、韓国統一平和研究所は7月、韓国国民を対象に「朝鮮半島の平和にとって最大の脅威」を尋ねる調査を実施した。
調査結果によると、55%の韓国国民が「朝鮮半島の平和にとって最大の脅威は北朝鮮である」と回答したほか、次いで中国の名前が挙がったことで、中国ネット上では反発の声が上がっている。
環球時報では、天安号沈没事件の発生前に「北朝鮮が脅威」だと回答した韓国国民は52%だったが、天安号沈没事件の発生後は55%と、わずか3%しか増加しなかった点に言及。「北朝鮮を脅威とみなす韓国国民は、天安号沈没事件を契機に増加することはなかった」と指摘した。
また、中国を脅威とみなした韓国国民は24%に達し、日本の10%、米国の8%を大きく上回った。これに対し、中国のネット上では反発の声が上がっており、「いつも中国を敵視して何か良いことでもあるのか?」、「朝鮮半島の統一こそ、中国の最大の脅威だ」などといったコメントが寄せられている。(編集担当:畠山栄)
中国による日韓の国債買い越し、「陰謀論」がヒートアップ-中国!
2010/09/03(金) 14:36 サーチナ
中国が日本および韓国の国債を買い越していることに対し、中国証券報は2日、「日韓両国では中国の陰謀論がヒートアップしている」と報じた。
日本財務省によれば、中国は5月に7352億円、6月に4564億円の日本国債を買い越したほか、韓国金融監督院によれば中国の2010年上半期の韓国国債保有高は前年比111%増の34億ドルに達した。
中国による国債買い越しは、日韓両国で大きく報じられた。中国メディアは、「日本メディアは歓迎の意を示すと同時に、国債買い越しがもたらす円高を心配している」と報じた。
韓国メディアは中国による国債買い越しには何らかの意図があると主張、「韓国は中国のご機嫌取りをしなければならなくなる」と不安をのぞかせている。韓国時報は8月22日、「中国が大挙して韓国の債券市場に乗り込んできた」と報じ、中国による韓国国債の買い越しはメリットよりもデメリットのほうが大きいと主張した。
また、中央日報は「中国による日韓の国債買い越しは、人民元の国際通貨化が目的だ」と主張、中国は韓国のウォンに対する影響力を持つことで、人民元を米ドル、ユーロに続く世界第三の通貨にしようとしていると報じた。(編集担当:及川源十郎)
中国で国史改定の動き、韓国警戒「中国人にされてしまう」!
2010/09/01(水) 20:21 サーチナ
中国のウェブメディア・環球網は1日、韓国メディアが「中国が自国古代史の研究を進めており、中華文明の起源を“黄河文明”より先んじた“遼河文明”に修正する可能性があり、そのような修正があった場合、韓国人はすべて“黄帝の子孫”にされてしまう」と報じたことを紹介した。
河北省、内蒙古自治区、吉林省、遼寧省を流れ、渤海に注ぐ遼河流域には紅山文化(紀元前4700-紀元前2900)など、新石器時代の文化があり、その起源が黄河文明と匹敵するとして、中国などでは黄河文明や、中国南方で栄えた長江文明とともに遼河文明と呼ぶ場合がある。
中国の文化が黄河文明単一のものから発展したものではなく、こうした周辺文明・文化が融合して発展していったことはほぼ通説。一方、韓国では、遼河文明が朝鮮半島の神話・伝説のモデルであると広く認識されている。そのため、この遼河文明については、その起源や発展の推移をめぐって、中韓でしばしば論争になる場合がある。
韓国側が、中国を警戒して、中国が韓国人を「黄帝の子孫(つまり、中国人)」にしてしまうつもりだ、と警鐘を鳴らすのは今までもあった。また、遼河文明が「朝鮮半島=韓国人のもの」という発想から、中国文化は韓国人によって創造された、という見解も時々出現する。また、韓国の一部では、遼河文明とのつながりから、中国の東北部はもともと韓国の領土だったと主張する声もある。
今回、中国で国史を改定しようという動きがあり、韓国でこの問題が改めてクローズアップされ、環球網がそれを中国に紹介した形。中国側で国史改定の動きがあるのは事実だが、その中で遼河文明を黄河文明に先んじたものと位置づけ、黄河文明の源流とするような言動はまだ確認されていない(両文明の関連性はともかく、どちらが早く成立していたかについて、現時点では、同じぐらいか、黄河文明のほうが若干先んじていた、との見解が有力)。
環球網のこの紹介記事の中国人ユーザーによるコメントでは、「またか」「遼河文明なんて聞いたことない」「韓国人はもともと、黄帝の子孫だろ」など韓国嫌悪のコメントがある一方で、「中国国内には(中国人としての)朝鮮族の同胞がたくさんいる。彼らへの配慮が必要で、環球網(人民日報系ウェブメディア)がなぜこのような記事を紹介するのか分からない」などの意見もある。
百度ニュース(検索エンジン・百度(Baidu)による、グーグルニュースと同じような記事見出しを編集したニュースサイト)では、環球網によるこの記事が一度トピックスとして取り上げられたが、一時見出しはあるものの、リンクがアクセスできない状態になり、その後またアクセスが復活したという経緯が確認された。中韓や自国含む朝鮮族の感情に絡む問題のため、当局による指導含め、百度側に配慮が働いた可能性もある。(編集担当:鈴木義純)
韓国聯合通信によると、韓国済州海洋警察は19日、韓国の排他的経済水域(EEZ)内で操業していた中国籍のイカ釣り漁船をだ捕した。韓国側は「船長が罰金を支払えば、帰国させる」としている。環球時報が伝えた。
報道によれば、中国漁船は18日午前7時ごろ、済州市から南西92キロの海域で操業を行っていたという。韓国の警察は当漁船をだ捕し、中国遼寧省出身の中国人船長に対して刑事責任を追求するとしている。
中国人船長はすでに済州市の地方検察に移送されており、今後は状況の調査が行われ、結果に応じて処罰が決定する模様だ。韓国の法律によれば、中国人船長には1500万ウォン(約111万円)の罰金が科せられる可能性があり、罰金を支払うまで拘留される可能がある。(編集担当:畠山栄)
韓国「朝鮮半島の脅威は北と中国」、中国ネット上で反発の声!
2010/09/08(水) 08:56 サーチナ
7日付の環球時報によれば、韓国統一平和研究所は7月、韓国国民を対象に「朝鮮半島の平和にとって最大の脅威」を尋ねる調査を実施した。
調査結果によると、55%の韓国国民が「朝鮮半島の平和にとって最大の脅威は北朝鮮である」と回答したほか、次いで中国の名前が挙がったことで、中国ネット上では反発の声が上がっている。
環球時報では、天安号沈没事件の発生前に「北朝鮮が脅威」だと回答した韓国国民は52%だったが、天安号沈没事件の発生後は55%と、わずか3%しか増加しなかった点に言及。「北朝鮮を脅威とみなす韓国国民は、天安号沈没事件を契機に増加することはなかった」と指摘した。
また、中国を脅威とみなした韓国国民は24%に達し、日本の10%、米国の8%を大きく上回った。これに対し、中国のネット上では反発の声が上がっており、「いつも中国を敵視して何か良いことでもあるのか?」、「朝鮮半島の統一こそ、中国の最大の脅威だ」などといったコメントが寄せられている。(編集担当:畠山栄)
中国による日韓の国債買い越し、「陰謀論」がヒートアップ-中国!
2010/09/03(金) 14:36 サーチナ
中国が日本および韓国の国債を買い越していることに対し、中国証券報は2日、「日韓両国では中国の陰謀論がヒートアップしている」と報じた。
日本財務省によれば、中国は5月に7352億円、6月に4564億円の日本国債を買い越したほか、韓国金融監督院によれば中国の2010年上半期の韓国国債保有高は前年比111%増の34億ドルに達した。
中国による国債買い越しは、日韓両国で大きく報じられた。中国メディアは、「日本メディアは歓迎の意を示すと同時に、国債買い越しがもたらす円高を心配している」と報じた。
韓国メディアは中国による国債買い越しには何らかの意図があると主張、「韓国は中国のご機嫌取りをしなければならなくなる」と不安をのぞかせている。韓国時報は8月22日、「中国が大挙して韓国の債券市場に乗り込んできた」と報じ、中国による韓国国債の買い越しはメリットよりもデメリットのほうが大きいと主張した。
また、中央日報は「中国による日韓の国債買い越しは、人民元の国際通貨化が目的だ」と主張、中国は韓国のウォンに対する影響力を持つことで、人民元を米ドル、ユーロに続く世界第三の通貨にしようとしていると報じた。(編集担当:及川源十郎)
中国で国史改定の動き、韓国警戒「中国人にされてしまう」!
2010/09/01(水) 20:21 サーチナ
中国のウェブメディア・環球網は1日、韓国メディアが「中国が自国古代史の研究を進めており、中華文明の起源を“黄河文明”より先んじた“遼河文明”に修正する可能性があり、そのような修正があった場合、韓国人はすべて“黄帝の子孫”にされてしまう」と報じたことを紹介した。
河北省、内蒙古自治区、吉林省、遼寧省を流れ、渤海に注ぐ遼河流域には紅山文化(紀元前4700-紀元前2900)など、新石器時代の文化があり、その起源が黄河文明と匹敵するとして、中国などでは黄河文明や、中国南方で栄えた長江文明とともに遼河文明と呼ぶ場合がある。
中国の文化が黄河文明単一のものから発展したものではなく、こうした周辺文明・文化が融合して発展していったことはほぼ通説。一方、韓国では、遼河文明が朝鮮半島の神話・伝説のモデルであると広く認識されている。そのため、この遼河文明については、その起源や発展の推移をめぐって、中韓でしばしば論争になる場合がある。
韓国側が、中国を警戒して、中国が韓国人を「黄帝の子孫(つまり、中国人)」にしてしまうつもりだ、と警鐘を鳴らすのは今までもあった。また、遼河文明が「朝鮮半島=韓国人のもの」という発想から、中国文化は韓国人によって創造された、という見解も時々出現する。また、韓国の一部では、遼河文明とのつながりから、中国の東北部はもともと韓国の領土だったと主張する声もある。
今回、中国で国史を改定しようという動きがあり、韓国でこの問題が改めてクローズアップされ、環球網がそれを中国に紹介した形。中国側で国史改定の動きがあるのは事実だが、その中で遼河文明を黄河文明に先んじたものと位置づけ、黄河文明の源流とするような言動はまだ確認されていない(両文明の関連性はともかく、どちらが早く成立していたかについて、現時点では、同じぐらいか、黄河文明のほうが若干先んじていた、との見解が有力)。
環球網のこの紹介記事の中国人ユーザーによるコメントでは、「またか」「遼河文明なんて聞いたことない」「韓国人はもともと、黄帝の子孫だろ」など韓国嫌悪のコメントがある一方で、「中国国内には(中国人としての)朝鮮族の同胞がたくさんいる。彼らへの配慮が必要で、環球網(人民日報系ウェブメディア)がなぜこのような記事を紹介するのか分からない」などの意見もある。
百度ニュース(検索エンジン・百度(Baidu)による、グーグルニュースと同じような記事見出しを編集したニュースサイト)では、環球網によるこの記事が一度トピックスとして取り上げられたが、一時見出しはあるものの、リンクがアクセスできない状態になり、その後またアクセスが復活したという経緯が確認された。中韓や自国含む朝鮮族の感情に絡む問題のため、当局による指導含め、百度側に配慮が働いた可能性もある。(編集担当:鈴木義純)
歴史に学び、いま日本がやらねばならないこと!
2010.09.17(Fri)JBプレス 織田邦男
8月16日に内閣府が発表した2010年4-6月期の日本のGDPは米ドル換算で1兆2883億ドルで、中国のGDP(1兆3369億ドル)を下回った。今年中には中国は日本を抜いてGDPで世界第2位の経済大国に躍り出ることが確実視されている。
同16日、米国防省は中国の軍事力動向に関する年次報告書を公表した。
英国で始まった産業革命がついに中国に達した!
報告書では「圧力」や「脅威」といった表現が消え、中国への配慮がうかがえる例年にない抑制されたトーンが気になるところであるが、速度と範囲が著しく拡大した軍の近代化に対し、警戒感を顕わにしている。
中国の近年の経済成長は、18世紀末に英国で始まった産業革命の波が徐々に地球的規模に広がり、ようやく中国に達したことを意味する。
産業革命は工業化を産み、工業化は国力を増進させる。工業化の第1の波に乗り遅れた中国がようやく工業化の道を歩み始めたのだ。廉価な労働力と多額な海外からの投資により著しい経済成長を続け、中国が経済大国として台頭してきたのは歴史的必然と言える。
他方、目覚ましい経済成長を背景に軍事費を21年間連続2ケタ伸ばした結果、1988年に比べて22倍の規模に拡大し、軍事大国としても台頭してきた。
「経済大国は間違いなく軍事大国になる」と米国の元国務大臣ヘンリー・キッシンジャーも語っているが、唯一日本を例外とし、歴史はその正しさを証明している。中国の軍事大国化も歴史的必然なのだ。
中国の軍事大国化は歴史的な必然!
中国の経済大国化も軍事大国化も歴史的必然であれば、もはやこの動きを止めることも逆戻りさせることもできない。
だとすれば、いたずらに中国脅威論を唱えているだけでは芸がない。この歴史的必然を前提として、いかに将来にわたって安全保障を確保するかが今問われている。具体策は限られており、手品師がステージでハトを出すような奇策はないだろう。
中国が独善的、排他的な重商主義に陥ることなく、国際法や国際ルールを順守する責任ある民主主義国家になるよう、そして軍事的無頼漢にならぬよう長い時間をかけて誘導する関与政策が、やはり唯一の現実的具体策である。
関与政策は決して容易ではない。台頭する大国は国際ルールを無視したり、現状維持勢力の言うことを聞こうとしないのが普通である。
南シナ海では「核心的利益」と表現し、国際法を無視して力を背景に実効支配拡大を図ろうとしている。沖ノ鳥島は日本領土とは認めず、付近まで進出した中国駆逐艦から艦載ヘリを海上自衛隊の護衛艦に異常接近させたりした。
巨大国家を中央集権で統治することの難しさ!
沖縄近海では海洋調査中の海上保安庁の測量船に対し、調査中止を要求した。最近のこういった傍若無人の振る舞いが如実にこれを物語る。
だからといって、長期的に地球規模で安定を確保するには、これ以外の道はない。
長い時間がかかる関与政策の過程で緊張や摩擦が生じても最悪の状況だけは免れる備え(ヘッジ)を準備しながら、中国の弱点を梃子として種々の障害を克服しつつ、先進民主主義国家が連携して中国を説得、誘導していくという関与政策を地道に遂行していくしかない。
世界人口の5分の1を有する巨大な国家を、共産党一党独裁により中央集権的に統治するという無理な国家体制が生む歪みやジレンマは、中国の弱点となっている。
1978年、鄧小平は豊かさをもたらさない共産党執政は正統性が支持されないとして、改革開放政策を導入した。
その結果、高度経済成長は得られたが、所得格差、都市部と農村部との地域格差、あるいは職業や業種による職種格差など社会主義とは相いれない重層的な格差が拡大した。
ネット人口急増で情報統制も難しい!
中央集権的な統治は格差問題や汚職、腐敗などに対する国民の不満を吸収、調整する面で欠陥があり、共産党執政への疑問と不振が広がっている。
独裁政権の専売特許とも言える情報統制も、ネット人口が4億人に広がった今、もはや都合の悪い問題を闇に葬り去ることはできなくなりつつある。
国民の生活水準向上を求める欲求は既に解き放たれており、それを満たすためにもさらなる経済成長を求めざるを得ない。またそれが格差拡大につながり、国民の不信、不満につながる。これは解決の目途の立たない深刻なジレンマであり、中国最大の弱点となっている。
人民解放軍も今後の中国を左右するキープレーヤーである。国内の深刻なジレンマは政権の人民解放軍への依存度を上げ、結果的に存在感が増している。激増する国民の暴動を抑え国家の分裂を回避するのは、人民解放軍の重要な役割である。
国民の不満が臨界点に達し共産党統治が危うくなれば、国家戦略の優先順位は経済成長路線を犠牲にしてでも国内統治にシフトするだろう。
深刻な国内問題から国民の目をそらすための対外的挑戦
その際、国際秩序に挑戦することにより国民の目を外に転じ、求心力回復を図ろうとするのは独裁政権の常套手段である。この時も当然人民解放軍が主役となる。
「政権は銃口から生まれる」と毛沢東がしばしば口にしたように、共産党統治における人民解放軍の位置づけはもともと重い。しかしながら近年の経済成長は皮肉にも、人民解放軍の存在感をさらに増す結果となっている。
人民解放軍は着々と近代化を図り、米国の目から見ても看過できない能力に成長してきている。年次報告でも「東アジアの軍事バランスを変える」「台湾をはるかに超えたアジア地域で作戦を行う能力を持つ」などと指摘する。
関与する側が軍事力で圧倒されると、関与政策は失敗する。軍事力で圧倒されないためには中国の弱点を押さえつつ、力のバランスが中国側に極端に傾かぬようにしなければならない。同時に、状況がどう転んでも対応できる備えを準備しておくヘッジ戦略が欠かせない。
人民解放軍の20年以上に及ぶ大軍拡中にもかかわらず、逆に弱点が顕著になってきた面もある。
長年の軍拡によって弱点も生み出した!
中国は経済成長に伴って軍事力の近代化を図り、海軍も大幅に強化した。だが経済成長の結果、シーレーンの脆弱性が顕著になるという大きな弱点を生み出した。中国は経済を支えるエネルギー資源の最大輸入国となり、シーレーンに大きく依存することとなった。
石油エネルギーは1993年以降、輸入国に転落し、近年は2億トン近くを輸入しており、2020年には2.5億トンと米国に迫る原油輸入量が予想されている。中国は工業化進展に伴い、史上初めてシルクロードではなく海上輸送路に圧倒的に依存するようになった。
台湾侵攻に備え、九州、沖縄、台湾、ルソン島につながる第1列島線の内側を聖域化し、伊豆半島、硫黄島、グアムにつながる第2列島線の内側では米海軍や海上自衛隊に対する「接近拒否」が可能になったとしても、中東に及ぶシーレーンはむき出しである。
ここを封鎖されれば、大量資源消費国の中国は大打撃を受ける。
中国はこの弱点をカバーすべく、アンダマン海からインド洋に至る広大な沿岸部に「真珠の首飾り」と呼ばれる中継基地を確保し、長期作戦能力を整備しようとしている。
中国人の果てしない物欲も政権の弱点に!
だが、シーレーン途中には潜在敵国インドが位置している。今後、米海軍を凌駕して中東に至るシーレーンを完全確保するのは至難の業である。このため中国は、中東方面から陸上経由の石油パイプラインを大量に建設しようとしている。
だがこの計画が完成しても、エネルギー資源の約40%はシーレーンに依存せざるを得ないと専門家は言う。
日本、米国、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、インドなど沿岸諸国が一枚岩となって連携すれば、中国の弱点を押さえることができる。近代化された中国海軍をもってしても、傍若無人に振る舞うことはできなくなる。ここに関与政策の梃子が残されている。
もう1つの弱点は、経済成長依存体質そのものである。経済発展の恩恵をもたらさなければ共産党執政の正統性は支持されないとして市場経済を導入した結果、国民の物質的欲望は解き放たれた。中国政府はその期待を満たすために、さらなる経済成長を最優先せねばならない。
経済成長に付随する多くの矛盾を解決しないまま経済成長を続けることのリスクは大きい。さりとて経済成長を続けなければ国が持たない。ここに中国政府が抱えるジレンマがあり、大きな弱点となっている。
排他的重商主義で経済成長は続けられない!
中国は今や貿易立国であり、諸外国との協調なくして貿易は成り立たず経済成長も成り立たない。相互依存によって成り立つ現在の国際関係にあって、排他的、独善的な重商主義では経済成長は期待できない。
主な貿易相手国たる先進民主主義国家が一致、連携して外交、金融、経済政策などのリンケージにより、国際法や国際ルールに従うことが長期的な国益につながることを教え、誘導することが重要である。
この際、あくまで先進民主主義国家が一致して行うことが重要であり、抜け駆けをする国があると「蟻の一穴」となり関与政策全体が総崩れになる可能性もある。
次に、人民解放軍が軍事的無頼漢になる2つの可能性についても想定しておく必要がある。
人民解放軍は中国共産党の軍隊であり、政府には指揮権がないという民主主義国家では考えられない特徴を有する。そんな人民解放軍を将来にわたり政治がコントロールできるのかという懸念がある。
21年間2ケタの伸びを続けた中国の軍事費!
軍事費は21年間、2ケタの伸びを見せた。21年間も続けば、2ケタの伸びを当たり前と認識する軍人が出ても不思議ではない。だが経済成長は永遠に続くわけではなく、軍事費もいつかは鈍化させる時が来る。
軍事費の伸びが低くなると軍内に不満が生まれるのは世の常である。その時、政治が軍を抑えて軍拡を軟着陸させるのは極めて難しいのではないだろうか。
日本においても高度経済成長に支えられ、昭和35(1960)年度から53(1978)年度予算までの19年間、防衛関係費は2ケタの伸びを示した。
だがドルショックや石油ショックを受け、また米ソのデタントもあり、防衛関係費の伸びを抑える必要性が生じた。この時、「基盤的防衛力構想」により防衛関係費を軟着陸させた。
制服サイドは軍事的合理性に欠ける「基盤的防衛力構想」に疑問を抱き、不満を示しつつも防衛庁(省)内における侃々諤々の議論の末、政治的決断としてこれを従容として受け入れた。民主主義の軍隊ならではの決着であった。
軍人経験がない次のリーダーが軍を抑えられるのか!
人民解放軍の場合、自衛隊と同様の軟着陸ができるとは思えない。人民解放軍は政府に指揮権はなく、しかも国家における位置づけは極めて高い。政権への発言力も大きい。
軍の近代化により自信をつけ、ますます存在感を増した人民解放軍が政治に不満を投げかける時、政治が軍の不満を抑えてコントロールするには相当難渋するであろう。
党による文民統制が機能したのは、自ら軍人であった鄧小平が生きている時代までだったと言われる。習近平、李克強など2012年に最高指導者となる共産党文民の第5世代には、軍人としての経験がほとんどない。
今後、人民解放軍に対する党中央のコントロールはますます難しくなるだろう。暴走とは言わないまでも、軍が中国の政治を動かし、政治を振り回す事態になることは十分に予想しておかねばならない。
経済成長が鈍化する時、同時に国民の不満も暴発寸前にまで高まるであろう。前述のように国民の不満を逸らし、軍の不満を抑える特効薬は対外的な軍事行動を取ることである。ここで台湾問題が利用される可能性は十分にある。
奪われたものは取り返す、が中国の掟!
「奪われたものは取り返す」は中国共産党統治の正統性の1つである。これまで香港(1997年)、マカオ(1999年)と実現し、残っているのが「台湾」である。中国は台湾に対する軍事力行使の5つの条件を示している。
(1)独立宣言、(2)外国の干渉、(3)統一に関する対話の無期限延期、(4)核兵器入手、(5)国内争乱の発生――以上の5つであるが、(3)については、いかようにも解釈できる異質な条件である。
あえて恣意的に解釈できる条件を入れておき、共産党統治の正統性が揺らぎ、国民の目を外に転じて国民の求心力回復を図る必要性が生じた時、即座に軍事力行使に踏み切れる大義名分を整えているようにも見える。
「政権は銃口から生まれる」という中国共産党のテーゼは、反面「銃口が政権に向けられる」という危険性を孕んでいる。
経済成長が鈍化し軍事費まで抑制する必要性が出た時、この危険性が顕在化することは十分予想され、これを予期し、対応の準備をしておかねばならない。
形式だけの抗議ならしないも同じ
中国の示威行動やブラフには間髪を入れず適切な手を打つ必要がある。遅疑逡巡は相手に誤ったメッセージを与えることになり、軍事力行使の誘惑をさらに膨張させてしまう。
その際、過剰に反応する必要はないが、国際法や国際慣例に照らして毅然と筋を通した行動を取り、諸外国を巻き込んで国際世論に訴えることが肝要である。
前述の海自護衛艦「すずなみ」に対する中国海軍ヘリの無頼漢的行動に対し、岡田克也外務大臣が中国外交部長に抗議した。
だが、これは全く効果のない形式だけの行為であり、誤ったメッセージを与えた可能性がある。再発防止の観点から言うとむしろ逆効果だったのではないだろうか。
中国海軍の指揮権は政府にはない。外交部は行政機関であって、党の軍である中国海軍に対する影響力を全く持たないし、人民解放軍の行動の追認しかできないのである。
抗議する相手を間違えるな!
岡田外務大臣の抗議に対し「中国海軍は正常な訓練を行っており、日本側の監視活動が妨害となった」と外交部長は切り返したというが、当然の帰結である。
真剣に再発防止を求めるのであれば首相から胡錦濤へ、または防衛大臣から総参謀長へ抗議すべきであった。相手も形式だけの抗議としか受け取らなかっただろう。ここにも軍事音痴の日本の姿が見える。
人民解放軍との軍事交流や人的交流を通じ、人的パイプを作っておくことも関与政策には欠かせない。人的関係は上記のような事態には何より功を奏す。
とかく閉鎖的になりやすい人民解放軍の将校を日本に引っ張り出し、自由と民主主義の風に触れさせておくことも長期的な関与政策に極めて有益である。
軍事的無頼漢になる2つ目の可能性は、中国が軍事力に対する評価を誤る時である。かつて外交は「韜光養晦」(「ぐっと頭を下げて低姿勢」)で実施すべしと鄧小平は主張した。
人民解放軍内で目立つようになった攻撃性高い発言!
また1990年代の対米政策を「屈辱に耐え、実力を隠し、時を待つ」と表現した。朱鎔其元首相も言ったように「強硬になれるかどうかは実力次第だ」というプラグマティックな考えが主流であった。
ところが最近、軍の近代化により自信をつけたのか、威勢のいい声が目立ち、攻撃性の高い言辞が続々登場するようになった。
2005年、中国国防大学の朱成虎少将は、米軍が台湾海峡に介入してきた場合の対応として「米軍が中国領土を通常兵器で攻撃した場合、核兵器で反撃せざるを得なくなる」と述べた。
また核先制不使用原則は「中国と非核国家との衝突の際に適用されるもの」と政府公式見解に反する発言もしている。
最近の学習時報に「将来中国海軍の戦略的展開の範囲は、近海つまり東シナ海、南シナ海にとどまるべきでなく、太平洋の北西部海域に延伸されるべきであり、その海域で敵国艦隊と対等に競い、制海権を奪取するよう努力すべきである」という記事が載った。
軍事力を過大評価した外交政策は大いなる緊張と摩擦を生む
ナショナリズムの高揚は興隆期にありがちだが、これを煽る言説がインターネットで浸透すると民衆の中で増幅され、政府もこれを抑えられなくなる可能性がある。
自らの軍事力を過大評価した外交政策は、人民解放軍を軍事的無頼漢にし、周辺諸国に安全保障上大きな緊張と摩擦を生みかねない。
逆に我々が中国の軍事力を過小評価することも避けねばならない。中国は着実に軍事的実力をつけており、対外的な軍事作戦能力も著しく向上しつつある。過小評価をすることなく、常にヘッジ戦略を準備しておかねばならない。
関与政策の成否はヘッジ戦略の適否にかかっている。ヘッジ戦略の基本は軍事力で圧倒されないことである。
中国は「2人のカール」を愛する国と言われる。カール・マルクスとカール・フォン・クラウゼウィッツであるが、2人に共通しているのは「力の信奉者」であることだ。
力の信奉者は力のバランスが崩れたら躊躇なく入り込む
1973年にベトナムから米軍が撤退するや、74年に南シナ海においてベトナム軍が占守中の永興島(西沙諸島パラセル)を軍事力で占拠し、92年には米海軍がフィリピンのスービック基地から撤退するのに合わせて領海法を制定し、南沙、西沙群島を自国領として明記した。
力のバランスが崩れたところには躊躇なく入り込むのが力の信奉者の常識である。
軍事力増強には増強で、能力強化には能力強化で応え、決して軍事力で圧倒されず、軍事的無頼漢になるのを思いとどまらせるヘッジ戦略は関与政策とコインの裏表である。
急速に台頭する中国の政治、経済、軍事力に伍していけるのは、やはり米国を措いてない。ただその米国が、長引くテロとの戦いやリーマン・ショックからの経済回復の遅れなどで国力が衰弱しつつある。
もはや単独で関与政策、ヘッジ戦略を採ることは難しい。軍事的能力はまだまだ中国を断然凌駕しているが、精神的に自信を失い、嫌気が差しつつあるように見えるのが懸念されるところだ。
善意を持って話し合えば分かるは、ただの空想!
米国を除いて関与政策は成り立たない。当面は米国を中心とする同盟の集積、ハブ・アンド・スポークにより民主主義国家が緊密な連携のもと結集して米国を支え、一体となって関与政策およびヘッジ戦略を遂行することが求められる。
なかんずく日米同盟はヘッジ戦略の要である。さしあたり米軍との間で任務・役割分担を明確にし、足らざるところは防衛力を強化し、同時に在日米軍再配置を適切に進めることが喫緊の課題である。
中国に対しては、善意を持って話し合えばきっと分かり合えるという空想的平和主義や、成熟した国際社会においては軍事的無頼漢がのさばる余地はないはず、などという甘えは禁物である。
軍事的脅威には軍事で対抗するしかない。台頭する中国に対しては、民主主義国家が結束して関与政策とヘッジ戦略を採るしかないのだ。
今月7日、尖閣諸島周辺で海保の巡視船に中国漁船が衝突し、当該船長を逮捕した。中国は過剰に反応し、即時乗組員の釈放と漁船返還を求めた。未明に日本大使を呼びつけるという無礼な振る舞いもあった。
総理が最高司令官だと知らないことの恐ろしさ!
南シナ海のように漁民保護を理由に漁民監視船を派遣する動きもある。漁民監視船は事実上、中国海軍なのである。
今こそ毅然とした日本政府の対応と、緊密な日米同盟による軍事力の裏づけが必要である。
「学べば学ぶほど抑止力が重要であることが分かった」とか「改めて法律を調べてみたら総理大臣は最高指揮官だった」など呑気なことを言っている場合ではない。それこそ政治主導のリーダーシップが要求されているのだ。
2010.09.17(Fri)JBプレス 織田邦男
8月16日に内閣府が発表した2010年4-6月期の日本のGDPは米ドル換算で1兆2883億ドルで、中国のGDP(1兆3369億ドル)を下回った。今年中には中国は日本を抜いてGDPで世界第2位の経済大国に躍り出ることが確実視されている。
同16日、米国防省は中国の軍事力動向に関する年次報告書を公表した。
英国で始まった産業革命がついに中国に達した!
報告書では「圧力」や「脅威」といった表現が消え、中国への配慮がうかがえる例年にない抑制されたトーンが気になるところであるが、速度と範囲が著しく拡大した軍の近代化に対し、警戒感を顕わにしている。
中国の近年の経済成長は、18世紀末に英国で始まった産業革命の波が徐々に地球的規模に広がり、ようやく中国に達したことを意味する。
産業革命は工業化を産み、工業化は国力を増進させる。工業化の第1の波に乗り遅れた中国がようやく工業化の道を歩み始めたのだ。廉価な労働力と多額な海外からの投資により著しい経済成長を続け、中国が経済大国として台頭してきたのは歴史的必然と言える。
他方、目覚ましい経済成長を背景に軍事費を21年間連続2ケタ伸ばした結果、1988年に比べて22倍の規模に拡大し、軍事大国としても台頭してきた。
「経済大国は間違いなく軍事大国になる」と米国の元国務大臣ヘンリー・キッシンジャーも語っているが、唯一日本を例外とし、歴史はその正しさを証明している。中国の軍事大国化も歴史的必然なのだ。
中国の軍事大国化は歴史的な必然!
中国の経済大国化も軍事大国化も歴史的必然であれば、もはやこの動きを止めることも逆戻りさせることもできない。
だとすれば、いたずらに中国脅威論を唱えているだけでは芸がない。この歴史的必然を前提として、いかに将来にわたって安全保障を確保するかが今問われている。具体策は限られており、手品師がステージでハトを出すような奇策はないだろう。
中国が独善的、排他的な重商主義に陥ることなく、国際法や国際ルールを順守する責任ある民主主義国家になるよう、そして軍事的無頼漢にならぬよう長い時間をかけて誘導する関与政策が、やはり唯一の現実的具体策である。
関与政策は決して容易ではない。台頭する大国は国際ルールを無視したり、現状維持勢力の言うことを聞こうとしないのが普通である。
南シナ海では「核心的利益」と表現し、国際法を無視して力を背景に実効支配拡大を図ろうとしている。沖ノ鳥島は日本領土とは認めず、付近まで進出した中国駆逐艦から艦載ヘリを海上自衛隊の護衛艦に異常接近させたりした。
巨大国家を中央集権で統治することの難しさ!
沖縄近海では海洋調査中の海上保安庁の測量船に対し、調査中止を要求した。最近のこういった傍若無人の振る舞いが如実にこれを物語る。
だからといって、長期的に地球規模で安定を確保するには、これ以外の道はない。
長い時間がかかる関与政策の過程で緊張や摩擦が生じても最悪の状況だけは免れる備え(ヘッジ)を準備しながら、中国の弱点を梃子として種々の障害を克服しつつ、先進民主主義国家が連携して中国を説得、誘導していくという関与政策を地道に遂行していくしかない。
世界人口の5分の1を有する巨大な国家を、共産党一党独裁により中央集権的に統治するという無理な国家体制が生む歪みやジレンマは、中国の弱点となっている。
1978年、鄧小平は豊かさをもたらさない共産党執政は正統性が支持されないとして、改革開放政策を導入した。
その結果、高度経済成長は得られたが、所得格差、都市部と農村部との地域格差、あるいは職業や業種による職種格差など社会主義とは相いれない重層的な格差が拡大した。
ネット人口急増で情報統制も難しい!
中央集権的な統治は格差問題や汚職、腐敗などに対する国民の不満を吸収、調整する面で欠陥があり、共産党執政への疑問と不振が広がっている。
独裁政権の専売特許とも言える情報統制も、ネット人口が4億人に広がった今、もはや都合の悪い問題を闇に葬り去ることはできなくなりつつある。
国民の生活水準向上を求める欲求は既に解き放たれており、それを満たすためにもさらなる経済成長を求めざるを得ない。またそれが格差拡大につながり、国民の不信、不満につながる。これは解決の目途の立たない深刻なジレンマであり、中国最大の弱点となっている。
人民解放軍も今後の中国を左右するキープレーヤーである。国内の深刻なジレンマは政権の人民解放軍への依存度を上げ、結果的に存在感が増している。激増する国民の暴動を抑え国家の分裂を回避するのは、人民解放軍の重要な役割である。
国民の不満が臨界点に達し共産党統治が危うくなれば、国家戦略の優先順位は経済成長路線を犠牲にしてでも国内統治にシフトするだろう。
深刻な国内問題から国民の目をそらすための対外的挑戦
その際、国際秩序に挑戦することにより国民の目を外に転じ、求心力回復を図ろうとするのは独裁政権の常套手段である。この時も当然人民解放軍が主役となる。
「政権は銃口から生まれる」と毛沢東がしばしば口にしたように、共産党統治における人民解放軍の位置づけはもともと重い。しかしながら近年の経済成長は皮肉にも、人民解放軍の存在感をさらに増す結果となっている。
人民解放軍は着々と近代化を図り、米国の目から見ても看過できない能力に成長してきている。年次報告でも「東アジアの軍事バランスを変える」「台湾をはるかに超えたアジア地域で作戦を行う能力を持つ」などと指摘する。
関与する側が軍事力で圧倒されると、関与政策は失敗する。軍事力で圧倒されないためには中国の弱点を押さえつつ、力のバランスが中国側に極端に傾かぬようにしなければならない。同時に、状況がどう転んでも対応できる備えを準備しておくヘッジ戦略が欠かせない。
人民解放軍の20年以上に及ぶ大軍拡中にもかかわらず、逆に弱点が顕著になってきた面もある。
長年の軍拡によって弱点も生み出した!
中国は経済成長に伴って軍事力の近代化を図り、海軍も大幅に強化した。だが経済成長の結果、シーレーンの脆弱性が顕著になるという大きな弱点を生み出した。中国は経済を支えるエネルギー資源の最大輸入国となり、シーレーンに大きく依存することとなった。
石油エネルギーは1993年以降、輸入国に転落し、近年は2億トン近くを輸入しており、2020年には2.5億トンと米国に迫る原油輸入量が予想されている。中国は工業化進展に伴い、史上初めてシルクロードではなく海上輸送路に圧倒的に依存するようになった。
台湾侵攻に備え、九州、沖縄、台湾、ルソン島につながる第1列島線の内側を聖域化し、伊豆半島、硫黄島、グアムにつながる第2列島線の内側では米海軍や海上自衛隊に対する「接近拒否」が可能になったとしても、中東に及ぶシーレーンはむき出しである。
ここを封鎖されれば、大量資源消費国の中国は大打撃を受ける。
中国はこの弱点をカバーすべく、アンダマン海からインド洋に至る広大な沿岸部に「真珠の首飾り」と呼ばれる中継基地を確保し、長期作戦能力を整備しようとしている。
中国人の果てしない物欲も政権の弱点に!
だが、シーレーン途中には潜在敵国インドが位置している。今後、米海軍を凌駕して中東に至るシーレーンを完全確保するのは至難の業である。このため中国は、中東方面から陸上経由の石油パイプラインを大量に建設しようとしている。
だがこの計画が完成しても、エネルギー資源の約40%はシーレーンに依存せざるを得ないと専門家は言う。
日本、米国、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、インドなど沿岸諸国が一枚岩となって連携すれば、中国の弱点を押さえることができる。近代化された中国海軍をもってしても、傍若無人に振る舞うことはできなくなる。ここに関与政策の梃子が残されている。
もう1つの弱点は、経済成長依存体質そのものである。経済発展の恩恵をもたらさなければ共産党執政の正統性は支持されないとして市場経済を導入した結果、国民の物質的欲望は解き放たれた。中国政府はその期待を満たすために、さらなる経済成長を最優先せねばならない。
経済成長に付随する多くの矛盾を解決しないまま経済成長を続けることのリスクは大きい。さりとて経済成長を続けなければ国が持たない。ここに中国政府が抱えるジレンマがあり、大きな弱点となっている。
排他的重商主義で経済成長は続けられない!
中国は今や貿易立国であり、諸外国との協調なくして貿易は成り立たず経済成長も成り立たない。相互依存によって成り立つ現在の国際関係にあって、排他的、独善的な重商主義では経済成長は期待できない。
主な貿易相手国たる先進民主主義国家が一致、連携して外交、金融、経済政策などのリンケージにより、国際法や国際ルールに従うことが長期的な国益につながることを教え、誘導することが重要である。
この際、あくまで先進民主主義国家が一致して行うことが重要であり、抜け駆けをする国があると「蟻の一穴」となり関与政策全体が総崩れになる可能性もある。
次に、人民解放軍が軍事的無頼漢になる2つの可能性についても想定しておく必要がある。
人民解放軍は中国共産党の軍隊であり、政府には指揮権がないという民主主義国家では考えられない特徴を有する。そんな人民解放軍を将来にわたり政治がコントロールできるのかという懸念がある。
21年間2ケタの伸びを続けた中国の軍事費!
軍事費は21年間、2ケタの伸びを見せた。21年間も続けば、2ケタの伸びを当たり前と認識する軍人が出ても不思議ではない。だが経済成長は永遠に続くわけではなく、軍事費もいつかは鈍化させる時が来る。
軍事費の伸びが低くなると軍内に不満が生まれるのは世の常である。その時、政治が軍を抑えて軍拡を軟着陸させるのは極めて難しいのではないだろうか。
日本においても高度経済成長に支えられ、昭和35(1960)年度から53(1978)年度予算までの19年間、防衛関係費は2ケタの伸びを示した。
だがドルショックや石油ショックを受け、また米ソのデタントもあり、防衛関係費の伸びを抑える必要性が生じた。この時、「基盤的防衛力構想」により防衛関係費を軟着陸させた。
制服サイドは軍事的合理性に欠ける「基盤的防衛力構想」に疑問を抱き、不満を示しつつも防衛庁(省)内における侃々諤々の議論の末、政治的決断としてこれを従容として受け入れた。民主主義の軍隊ならではの決着であった。
軍人経験がない次のリーダーが軍を抑えられるのか!
人民解放軍の場合、自衛隊と同様の軟着陸ができるとは思えない。人民解放軍は政府に指揮権はなく、しかも国家における位置づけは極めて高い。政権への発言力も大きい。
軍の近代化により自信をつけ、ますます存在感を増した人民解放軍が政治に不満を投げかける時、政治が軍の不満を抑えてコントロールするには相当難渋するであろう。
党による文民統制が機能したのは、自ら軍人であった鄧小平が生きている時代までだったと言われる。習近平、李克強など2012年に最高指導者となる共産党文民の第5世代には、軍人としての経験がほとんどない。
今後、人民解放軍に対する党中央のコントロールはますます難しくなるだろう。暴走とは言わないまでも、軍が中国の政治を動かし、政治を振り回す事態になることは十分に予想しておかねばならない。
経済成長が鈍化する時、同時に国民の不満も暴発寸前にまで高まるであろう。前述のように国民の不満を逸らし、軍の不満を抑える特効薬は対外的な軍事行動を取ることである。ここで台湾問題が利用される可能性は十分にある。
奪われたものは取り返す、が中国の掟!
「奪われたものは取り返す」は中国共産党統治の正統性の1つである。これまで香港(1997年)、マカオ(1999年)と実現し、残っているのが「台湾」である。中国は台湾に対する軍事力行使の5つの条件を示している。
(1)独立宣言、(2)外国の干渉、(3)統一に関する対話の無期限延期、(4)核兵器入手、(5)国内争乱の発生――以上の5つであるが、(3)については、いかようにも解釈できる異質な条件である。
あえて恣意的に解釈できる条件を入れておき、共産党統治の正統性が揺らぎ、国民の目を外に転じて国民の求心力回復を図る必要性が生じた時、即座に軍事力行使に踏み切れる大義名分を整えているようにも見える。
「政権は銃口から生まれる」という中国共産党のテーゼは、反面「銃口が政権に向けられる」という危険性を孕んでいる。
経済成長が鈍化し軍事費まで抑制する必要性が出た時、この危険性が顕在化することは十分予想され、これを予期し、対応の準備をしておかねばならない。
形式だけの抗議ならしないも同じ
中国の示威行動やブラフには間髪を入れず適切な手を打つ必要がある。遅疑逡巡は相手に誤ったメッセージを与えることになり、軍事力行使の誘惑をさらに膨張させてしまう。
その際、過剰に反応する必要はないが、国際法や国際慣例に照らして毅然と筋を通した行動を取り、諸外国を巻き込んで国際世論に訴えることが肝要である。
前述の海自護衛艦「すずなみ」に対する中国海軍ヘリの無頼漢的行動に対し、岡田克也外務大臣が中国外交部長に抗議した。
だが、これは全く効果のない形式だけの行為であり、誤ったメッセージを与えた可能性がある。再発防止の観点から言うとむしろ逆効果だったのではないだろうか。
中国海軍の指揮権は政府にはない。外交部は行政機関であって、党の軍である中国海軍に対する影響力を全く持たないし、人民解放軍の行動の追認しかできないのである。
抗議する相手を間違えるな!
岡田外務大臣の抗議に対し「中国海軍は正常な訓練を行っており、日本側の監視活動が妨害となった」と外交部長は切り返したというが、当然の帰結である。
真剣に再発防止を求めるのであれば首相から胡錦濤へ、または防衛大臣から総参謀長へ抗議すべきであった。相手も形式だけの抗議としか受け取らなかっただろう。ここにも軍事音痴の日本の姿が見える。
人民解放軍との軍事交流や人的交流を通じ、人的パイプを作っておくことも関与政策には欠かせない。人的関係は上記のような事態には何より功を奏す。
とかく閉鎖的になりやすい人民解放軍の将校を日本に引っ張り出し、自由と民主主義の風に触れさせておくことも長期的な関与政策に極めて有益である。
軍事的無頼漢になる2つ目の可能性は、中国が軍事力に対する評価を誤る時である。かつて外交は「韜光養晦」(「ぐっと頭を下げて低姿勢」)で実施すべしと鄧小平は主張した。
人民解放軍内で目立つようになった攻撃性高い発言!
また1990年代の対米政策を「屈辱に耐え、実力を隠し、時を待つ」と表現した。朱鎔其元首相も言ったように「強硬になれるかどうかは実力次第だ」というプラグマティックな考えが主流であった。
ところが最近、軍の近代化により自信をつけたのか、威勢のいい声が目立ち、攻撃性の高い言辞が続々登場するようになった。
2005年、中国国防大学の朱成虎少将は、米軍が台湾海峡に介入してきた場合の対応として「米軍が中国領土を通常兵器で攻撃した場合、核兵器で反撃せざるを得なくなる」と述べた。
また核先制不使用原則は「中国と非核国家との衝突の際に適用されるもの」と政府公式見解に反する発言もしている。
最近の学習時報に「将来中国海軍の戦略的展開の範囲は、近海つまり東シナ海、南シナ海にとどまるべきでなく、太平洋の北西部海域に延伸されるべきであり、その海域で敵国艦隊と対等に競い、制海権を奪取するよう努力すべきである」という記事が載った。
軍事力を過大評価した外交政策は大いなる緊張と摩擦を生む
ナショナリズムの高揚は興隆期にありがちだが、これを煽る言説がインターネットで浸透すると民衆の中で増幅され、政府もこれを抑えられなくなる可能性がある。
自らの軍事力を過大評価した外交政策は、人民解放軍を軍事的無頼漢にし、周辺諸国に安全保障上大きな緊張と摩擦を生みかねない。
逆に我々が中国の軍事力を過小評価することも避けねばならない。中国は着実に軍事的実力をつけており、対外的な軍事作戦能力も著しく向上しつつある。過小評価をすることなく、常にヘッジ戦略を準備しておかねばならない。
関与政策の成否はヘッジ戦略の適否にかかっている。ヘッジ戦略の基本は軍事力で圧倒されないことである。
中国は「2人のカール」を愛する国と言われる。カール・マルクスとカール・フォン・クラウゼウィッツであるが、2人に共通しているのは「力の信奉者」であることだ。
力の信奉者は力のバランスが崩れたら躊躇なく入り込む
1973年にベトナムから米軍が撤退するや、74年に南シナ海においてベトナム軍が占守中の永興島(西沙諸島パラセル)を軍事力で占拠し、92年には米海軍がフィリピンのスービック基地から撤退するのに合わせて領海法を制定し、南沙、西沙群島を自国領として明記した。
力のバランスが崩れたところには躊躇なく入り込むのが力の信奉者の常識である。
軍事力増強には増強で、能力強化には能力強化で応え、決して軍事力で圧倒されず、軍事的無頼漢になるのを思いとどまらせるヘッジ戦略は関与政策とコインの裏表である。
急速に台頭する中国の政治、経済、軍事力に伍していけるのは、やはり米国を措いてない。ただその米国が、長引くテロとの戦いやリーマン・ショックからの経済回復の遅れなどで国力が衰弱しつつある。
もはや単独で関与政策、ヘッジ戦略を採ることは難しい。軍事的能力はまだまだ中国を断然凌駕しているが、精神的に自信を失い、嫌気が差しつつあるように見えるのが懸念されるところだ。
善意を持って話し合えば分かるは、ただの空想!
米国を除いて関与政策は成り立たない。当面は米国を中心とする同盟の集積、ハブ・アンド・スポークにより民主主義国家が緊密な連携のもと結集して米国を支え、一体となって関与政策およびヘッジ戦略を遂行することが求められる。
なかんずく日米同盟はヘッジ戦略の要である。さしあたり米軍との間で任務・役割分担を明確にし、足らざるところは防衛力を強化し、同時に在日米軍再配置を適切に進めることが喫緊の課題である。
中国に対しては、善意を持って話し合えばきっと分かり合えるという空想的平和主義や、成熟した国際社会においては軍事的無頼漢がのさばる余地はないはず、などという甘えは禁物である。
軍事的脅威には軍事で対抗するしかない。台頭する中国に対しては、民主主義国家が結束して関与政策とヘッジ戦略を採るしかないのだ。
今月7日、尖閣諸島周辺で海保の巡視船に中国漁船が衝突し、当該船長を逮捕した。中国は過剰に反応し、即時乗組員の釈放と漁船返還を求めた。未明に日本大使を呼びつけるという無礼な振る舞いもあった。
総理が最高司令官だと知らないことの恐ろしさ!
南シナ海のように漁民保護を理由に漁民監視船を派遣する動きもある。漁民監視船は事実上、中国海軍なのである。
今こそ毅然とした日本政府の対応と、緊密な日米同盟による軍事力の裏づけが必要である。
「学べば学ぶほど抑止力が重要であることが分かった」とか「改めて法律を調べてみたら総理大臣は最高指揮官だった」など呑気なことを言っている場合ではない。それこそ政治主導のリーダーシップが要求されているのだ。
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