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テリー伊藤
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E4%BC%8A%E8%97%A4

石原都知事肝いりの東京MXテレビ番組で、都税がプロデューサーの生活費に化けていた!


2010年12月27日(月)現代ビジネス

東京都のローカルテレビ局「東京メトロポリタンテレビジョン(以下MX)」で、毎週日曜日の午後9時~9時半に放送されている『TokYo.Boy』という番組がある。今年で11年目を迎えた長寿番組で、松村邦洋東京マラソンを走ったり、レッド吉田が羽田空港を案内したりするユルめな内容ながら、産みの親はあの石原慎太郎都知事(78)。

 彼が初めて都知事に当選した時、親交のあったテリー伊藤(60)に「テリーさん、番組作ってくれないかな」と打診し、知事肝いりで始まった番組である。同番組のHPには、石原都知事とテリーの顔写真がデカデカと掲載されている。東京都生活文化局広報広聴部広報課が言う。

「(『TokYo.Boy』は)都政に関する情報を都民に分かりやすく伝えるため、都政PRの一環として制作しています。番組の制作は東京MXテレビに委託しており、制作費は都税で賄っています」

 都はMXに番組制作を発注しているが、実際の制作は孫請けの番組制作会社「ロコモーション」(以下ロ社)が担当。そのロ社の社長がテリーという仕組みだ。産みの親である彼と石原氏が二人で番組に出演することもある。

本誌が都に情報公開請求して得た資料によれば、MXが都に請求した同番組5本分の「テレビ放送料」(『電波料』を含む)は3445万円。

 1本あたり約690万円になる計算だ。ちなみに1時間の特別番組の場合、請求金額は1592万円だった。キー局プロデューサーはこの数字に首を傾げる。

「民放キー局のゴールデン枠の予算でも2000万円を切りかねない御時世に、ローカル局の単なるPR番組が1500万円もかけているとは、何とも豪勢な話です。失礼ながらオンエアを観る限り、そんなにカネがかかっているとは思えませんが・・・」

さらにこの『TokYo.Boy』の制作に絡んで、使途の不透明な経費があるという疑惑が浮上している。それはロ社のプロデューサーにまつわるものだ。告発するのはMXの関係者、A氏。

「番組制作費は都議会の承認を経て支払われる税金です。私企業であるMXを通っているとはいえ、元々都民の税金だったものが不透明な使われ方をするのは、許されないと思います」

 本誌はA氏から入手した、このプロデューサーが経費として使ったというロ社名義の領収書を元に、買い物をした店に確認取材を行った。

 例えば、米国に本社を置く会員制大型スーパー「コストコ」の領収書。この時、購入されたのはトイレットペーパー2338円、釜揚げしらす670円、食器用洗剤698円、ふきん1578円、柔軟剤1448円、生理用品1298円・・・などで、しめて2万7520円。

領収書の裏にはプロデューサーの筆跡で、「サンプル衣装代、Tシャツ、ワンピース」と書かれていたが、内訳は衣装ではなく、食品、日用品がほとんど。

 裏に「ロケ菓子折 2ヶ」と書かれた5782円の領収書は「明治屋」の都内某店のもの。実際の購入品はパン菓子315円、甘のり399円、ルッコラ380円、銀ダラ西京漬け630円×2などで、これも申告された裏書きと一致しない。

 他にも『三越』でブランド婦人服を3点(計3万9900円)買い、裏に「ロケ衣装 ジャージ サッカーシューズ」と書かれた領収書が。某アウトレット内にある『リーガルシューバー』では、婦人用サンダルを2つとメンズのスニーカーを買って領収書をもらい、「サンプル用 衣装代 帽子、くつ他」と裏書きしていた。フットマッサージャー(4万9800円)の領収書もあった。

 A氏の指摘どおりテレビ番組制作のための経費としては不自然な点が多いため、事実関係を確かめるべくロ社に取材を申し込んだが、「社内調査中」「担当者不在」と繰り返すのみ。それならとMXに尋ねると「事実だとすれば遺憾だが、現時点ではロコモーションの担当者と事実関係を確認中であるため、この件についてはコメントできない」という答えが返ってきた。

 発注元の東京都生活文化局広報広聴部広報課は、「東京メトロポリタンテレビジョンとは番組の制作、放送業務について契約を結んでおりますが、ロコモーションの件については関知していない」と答えた。三者とも責任をたらい回し。都民の大切な税金の使われ方を誰もキチンとチェックしていないのだ。そんななか、ロ社社長のテリー伊藤は次のように回答した。

「食品はスタッフの夜食を作るために買うことがあるし、洋服は潜入取材に使ったりする。女優さんのために生理用品を買うこともあります。ただ、都民の皆さんの誤解を招くようなことがあってはならないので、そこはきちんと指導したいと思います」

 スタッフの夜食が"しらす"や"ルッコラ"とはにわかには信じ難いし、都政PR番組での潜入取材も考えづらいが、そういうこともテレビ業界ではあるのかもしれない。とはいえ、本当に私物を購入していたとすれば、立派な犯罪行為である。日本大学名誉教授の板倉宏氏が言う。

「金額にもよりますが、刑法上の『業務上横領』にあたり、10年以下の懲役刑に問われる可能性があります。制作費が都民の税金から出ているので、倫理的にも悪質だと思われます」

 民間より高い制作費を税金でポンと払う東京都。それを受け取りながら使い道を精査しないMX。その放漫体質が今回のような疑惑の温床になっているのではないだろうか。

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日本丸はゆっくりだが確実に沈みつつあるぞ!

2010年12月27日(月)日経ビジネス 竹中正治 

「私達の抱える経済的諸問題は解決可能である。ほとんどの経済的諸問題には複数の解決法がある。しかしながら、これらすべての解決法は誰かが経済的なコストを負担することなしには実現しない。誰もコストの引き受け手になりたくはない。しかも私達の政治的なプロセスは社会階層の誰かにこのコストを強制することができない。誰もが他の誰かが問題解決に必要な経済的なコストを負って欲しいと望む。その結果、解決法はいずれも採用不可能になってしまう」

この文章を読んで、多くの方が「ああ、まさに今の日本のことだ」と感じないだろうか。しかし、この文章は1980年に発刊されて世界的なベストセラーになった「ゼロサム社会(The Zero-Sum Society)」の一節である。著者のレスター・C・サロー教授が言う「私達の経済諸問題」とは1970年代のアメリカを対象にしたものだ。

 もちろん、ここで指摘されている問題状況は、当時のアメリカのみならず欧州や日本など民主主義的な政治システムを有するすべての諸国について時代を超えて共通するものだ。だから世界的なベストセラーにもなった。

民主政治は特定階層に負担を押し付けられない
 サロー教授が30年前に指摘したこのような現代社会の問題状況に対して、2つの両極端のアプローチがあり得る。

 1つは、所得とコストの分配問題を市場メカニズムに最大限委ねることだ。政府は自由で公正な競争ルールの制定と監督者としての役割は果たすが、分配に直接関与することを回避するアプローチだ。

 アメリカでは「リバタリアン」と呼ばれる政治思想がそれを代表しており、彼らの原理的な主張は医療保険などの完全な民営化などにとどまらない。麻薬や妊娠中絶の問題についても政府の介入や規制を否定して、個人の自由(自己責任)に委ねることを主張する。1980年代のレーガン政権は、アメリカの保守系キリスト教徒の価値観を色濃く代表していたので、リバタリアンほど原理主義的にはなれなかった。「伝統的な価値観の保持と小さな政府思想の折衷」だったと言えるだろう。

 「新自由主義」「市場原理主義」などと小泉純一郎内閣時代の施策をラベルの貼り付けで攻撃する方々がいるが、小泉政権はアメリカのリバタリアンの主張に比べれば極めて中道的だったと私には思える。

 リバタリアン的アプローチと対極をなすもう1つの原理は、「無産階級による有産階級の収奪」「労働者階級による独裁(あるいは執政)」を唱えたマルクス主義的アプローチだろう。もちろん先進諸国ではそうしたアプローチはとうとう実現せず、ソ連邦は最後には崩壊し、中国社会主義経済も大きく変質した。

 両極端の原理主義的なアプローチが現実的でないならば、両極端のどの辺に軸足を置くべきかが、政策原理をめぐる争点となる。そのように考えれば、菅首相のように英国のトニー・ブレア首相の真似をして「第3の道」などと言わずとも、「資本主義vs社会主義」の対立が終焉した時代に生きる私達の選択肢には程度の違いはあれ、元々「第3の道」しかないと言えるだろう。

サロー教授が指摘したように、我々の政治システムは社会の特定階層に負担を押し付けることはできないので、コストは国民が所得や消費に応じて広く負担するしかない。政治家の使命とは問題解決のビジョンを掲げ、そのコスト負担について国民の多数を説得することにある。

 政権交代から1年余りが経ったが、残念なことに民主党政権の財政・経済政策の事実上の破綻は鮮明になるばかりだ。農家への戸別所得補償制度や子供手当などの財政的なバラマキ政策のみが先行してきた。その一方で2009年のマニフェストにも盛り込まれていた「年金制度を一元化し、消費税を財源とした最低保障年金を導入する」など抜本的な改革は、議論すら進んでいない。

 歳出の組み換えと無駄の洗い出しや財政埋蔵金の掘り出しで十数兆円の予算を捻出するという民主党の構想は、財政学者らが事前に指摘していた通り「非現実的」だった。行政刷新会議は埋蔵金よりも大きな「埋蔵損」と呼ぶべき政府のバランスシートに埋もれた含み損に直面した。

 財源手当てが不可能であることが判明したのだから、歳出プランも見直すべきである。ところがバラマキだけは先行させている。その結果、政府債務残高はとうとうGDP国内総生産)の200%に達しようとしている。ここに至っては、農家戸別補償も子供手当も、もはや「選挙民の票を金で買う策」に堕落したと言わざるを得ない。

経済成長だけでは日本の財政は再建できない!


 いまだに「財政再建は経済成長率を引き上げることで増税なしでできる」と唱える政治家や政党がいるのが私には不思議だ。

 簡単な検証をしてみよう。図は水平軸を名目GDP成長率、垂直軸を財政赤字のGDP比率とし、各年度の名目成長率と財政赤字比率を分布させたものだ(対象期間1981~2010年)。確かに成長率が上昇すると財政赤字が縮小する右肩上がりの傾向(近似線の方程式Xの係数0.5161が示す傾き)が見られる。しかしながら、近似線の一次方程式が示す通り、政府の歳入歳出の構造的な改革がない限り、名目GDP1%の上昇で、財政赤字比率は0.52%しか減少しない。

この現実を前提にする限り、年間の財政収支を名目成長率の上昇で均衡させるためには、名目成長率はなんと12%台となる必要がある。対象期間を1990~2010年に変更して計算しても、財政収支を均衡させる名目成長率は9%台が必要という結果になる。

 労働人口(15~65歳の人口)が毎年約0.5%程度減少している日本の実質成長率は、好況期でも2%程度が巡航速度だ。これは1人当たり実質成長率としては先進諸国が収斂する平均的な成長率である。従ってデフレから脱却してインフレ率が仮に2%となっても、名目成長率は4%前後が想定できる上限だろう(名目成長率=実質成長率+インフレ率)。

 9~12%などという名目成長率は先進国ではインフレが暴走しない限り起こり得ない。それとももしかして、経済成長で財政再建を主張する方々は、インフレ高進で過去の政府債務を実質棒引きすること(「インフレタックス」と呼ばれる)を考えているのだろうか。

 

解決策は消費税増税しかない!

 現代の日本の財政赤字膨張の原因は、もはや非効率な公共事業の膨張(1990年代には言えたことだが)でも、公務員給与の増加でもない。過去平均で毎年約1兆円ずつ増え、国債費(国債の元利払い)を除いた一般会計歳出の38%に達した社会保障関係費の増加が、歳出面での最大の増加要因だ(財務省「日本の財政関係資料」平成22年8月、10ページ)。団塊の世代が65歳となって給付の受け取りに回る2012年頃から、この増加は毎年平均約2兆円規模になると見込まれている。

 一般会計における社会保障関係費とは、社会保険費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、失業対策費などで、そのほとんどは国民への様々な給付である。単純化して言えば、引退する世代が政府負債を増加させながら給付を受取り、将来の納税者(自分らの子や孫の世代)から事実上の搾取をしている構造が問題なのだ。給付の削減を否定するなら増税しかない。

 所得税の引き上げは、相対的に所得は大きいが消費は小さい現役世代(将来に備えて貯蓄するため)の負担を相対的に大きくするので、世代間不公平の解消に十分ではない。消費に課税する消費税は引退世代から現役世代まで消費に応じて課税できるので、世代間不公平解消にも寄与する。

 消費税増税がもたらす税負担の非累進的な影響については、所得税率の累進度を多少高めることで調整できる。非課税所得水準以下の貧困あるいは低所得家計には還付する仕組みも良いだろう。一気に消費税を引き上げるとその後に反動の消費減が起こり、景気が失速することを懸念するならば、毎年1%ずつ引き上げて5年で5%、10年で10%引き上げることで対応できる。

 すべてに対応可能な方策がある。欠けているのは政治的な意思だけだ。

 「政府が歳出の無駄や非効率を徹底的に洗い出すまで増税には反対だ」と唱えている方は(それはそれでやる必要はあるものの)、船底に穴が開いて沈みつつある大きな船の中で、水道管の水漏れを先に直せと言っているようなものだ。

目を覚ますには日本国債の「ミニ暴落」が必要?

 このまま日本の財政赤字と政府債務の累積が進むとどうなるのだろうか。先進国の自国通貨建ての国債は、原理的にデフォルトは起きないと考えられてきた。なぜなら自国通貨で償還すれば良いのだから、いよいよとなれば中央銀行・政府の通貨増発で返済できるからだ。単純化して言えば、紙幣を刷る機械さえあれば返済できる。その結果、インフレが高進し、通貨相場が下落しても、償還不能は起こり得ない。返済不能になる可能性があるのは外貨建ての借り入れである。

 こうした投資家の常識に衝撃を与えたのは2001年のアルゼンチンの通貨・金融危機とそれによって生じた国債のデフォルトである。結局、ドルや円など外貨建ての国債と同時に自国通貨ペソ建ての国債も元本棒引きになった。それでもアルゼンチンは先進国とは認識されていないから、「ひどい話だが、ああいう国では、なんでもありだね」と思うことができた。

しかし今問題になっているのは、ユーロ圏という経済的に先進国地域の一角をなすPIIGS諸国のデフォルト懸念だ。ギリシャとアイルランドだけなら経済規模も小さいからデフォルトになっても問題ないと高を括れるだろうか。「ギリシャとアイルランドで起こることはスペインなど他の国でも起こり得る」と投資家は考える。

 金融・投資現象の厄介さはその連鎖性にある。2007年にサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)危機の最初の兆候が起こった時、「サブプライム市場はアメリカの住宅市場全体の10分の1に過ぎないから、アメリカ経済は乗り切れる」と高を括っていた投資家や政府高官は少なくないのだ。

 今欧州で起こっているPIIGS諸国の国債のジャンクボンド化は最終的に「先進国の自国通貨建て国債は絶対大丈夫」の前提を崩壊させるリスクを秘めている。しかも世界の投資家の行動パターンは時に急激に変化する。それまで「大丈夫」だった対象が突然信用を失い、投げ売りの対象に転換することを私達は今次の金融危機で目撃したばかりだ。

 政府や政治家にはいまだに「日本国債は95%が国内で保有されているので大丈夫」と強弁する方々がいるが、国内投資家が日本国債を見限って投資の海外シフトを大規模に始めたら(日本からの資本逃避)、「大丈夫」の前提は崩壊してしまう。日本の対外対内投資は自由化されているので、国内投資を国内にとどめておく規制はない。

 明日や明後日にそうなることはないだろうが、10年のタイムスパンで考えたら、日本からの資本逃避という事態も当然想定して長期的な財政再建に今から取り組むべきなのだ。そのリスクを政治家、国民に知らしめ、重い腰を上げさせるためには、国債の「ミニ暴落」程度のことが起こる必要があるのかもしれない。

 もっとも今のところ投資家、投資機関も腑抜けで、リスク回避指向をつのらせて、後生大事に国債投資を積み上げている。この点にこの国の閉塞の根本があるのかもしれない。

船はゆっくりと沈みつつある、間違いなく!

 今の日本の財政問題に必要なのは「このままでは船は沈みつつある」という厳然たる事実を直視する勇気だろう。その勇気がない政治家も投資家も沈みつつある船にしがみつき、そして最後にパニックになって我先に海に飛び込むのだろうか。

 日本の財政的沈没を食い止める路線転換を民主党が政権を維持したままできるかどうか、残された時間は急速に短くなっている。内閣と民主党に対する支持率が急速に低下しているからだ。党内の路線対立で政策を一本化できないならば、潔く分裂したら良いだろう。

 志のある方々は自民党と連立を組み、消費税増税を含む長期的な財政再建路線とTPP(環太平洋経済連携協定、これについてはまたの機会に)参加を掲げた改革を断行して頂きたい。自民党でもその2つに賛成できない方々は潔く脱党して、民主党の残り半分と組むなりすれば良いだろう。その時、ようやく日本の政党も政策原理に基づいて動き出すことができるのだ。

ないなら即退陣せよ~キューバ危機を回避した君子の豹変!

2010.12.28(Tue)JBプレス 織田邦男

小泉純一郎元首相は12月4日、講演で次のように語った。

 「首相当時、2004年チリでのアジア太平洋経済協力会議APEC)で胡錦濤国家主席との2国間会談を巡り中国側から『来年、靖国神社を参拝しないなら受ける』との打診があった」

 「その際、『必ず参拝する』と突っぱねたところ、おじゃんになるかと思ったら『会談前後に参拝を明言するのはやめて』となった。結局、会談は実現したが、外交とはそういうものだ」

外交は血を流さない戦争である!


11月13日夕刻、横浜で行われたAPECでの菅直人首相と胡錦濤国家主席による日中首脳会談とは対照的だ。この会談は日本側が「やってほしい」と頼み込み、中国側が「仕方がない」と応じたとされる。

 外交は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す外交と言われる。

 首脳会談一つとっても国益をかけての熾烈な戦いである。戦いであるがゆえに足元を見透かされた方が負ける。外交交渉は願望が強いことを見せた方が弱い立場に置かれるものだ。

 日本側が「会談をやってほしい」と頼み込んだ時点で勝負はついていたと言える。

 9月の尖閣沖漁船衝突事件以降、菅政権の拙劣な対応により、日本は血を流さない戦争に全面敗北した。日中首脳会談の菅首相は、さながら降伏調印式の全権代表のようだった。

 実現した会談たるや通訳を入れて約20分間。ほとんど内容もなく挨拶程度に終始し、何ら見るべき成果はなかった。会談を持つこと自体が目的化した茶番劇であり、むしろ日本の外交戦略のなさを白日の下にさらす結果となった。

 さらに悪いことには、菅首相は挨拶程度のコメントさえメモを読むのに終始し、対峙する胡錦濤と目を合わせることもなく、蛇に睨まれたカエルよろしく、格の違いを露呈した。

目は虚ろで、およそ一国の宰相とは思えないオドオドとした態度は嘲笑の的になり、全世界に醜態をさらしてしまった。

外交とは華麗なる衣装を纏った戦争である~ナポレオン

これが菅首相個人の悪評に留まるならまだいい。菅首相の人間力を見透かされた結果、日本の外交力、国際政治力が瀬踏みされ、「日本与(くみ)しやすし」のメッセージを全世界に与えたとなれば、今後の日本の安全保障に暗い影を投げかけたことになる。

 外交とはナポレオンが言うように、華麗なる衣装を纏った戦争である。「日本与しやすし」と思われた途端、各国がこれまでの対日懸案事項をこの機に呑ませようと迫ってくるのは当然である。

 日清戦争に敗北した途端、清国が列強の草刈り場となった歴史を見れば分かる。

 一国のリーダーの未熟さが危機を招来した例として、思い出されるのが1962年のキューバ危機である。

 キューバ危機は米ソの緊張が核戦争寸前にまで達した危機事案であるが、ことの発端はソ連のニキータ・フルシチョフ首相がドワイト・アイゼンハワーのあとを継いで大統領に就任したジョン・F・ケネディを未熟な指導者と見くびったことに始まる。

フルシチョフに見下されたケネディ大統領!

 1959年フルシチョフが訪米した際、上院外交委員会を訪ね次期大統領の可能性があるケネディと短時間ではあるが顔を合わせている。その際のケネディの態度がフルシチョフには軟弱で優柔不断な「ベイビーボーイ」に映ったという。

 1961年ケネディ大統領就任直後の4月、ピッグス湾事件が起こる。在米の亡命キューバ人たちで構成される親米ゲリラ「反革命傭兵軍」が米国の支援を受け、革命政権の転覆を試みた事件である。

 就任したばかりのケネディ大統領は、宥和政策を目指しており、当初、作戦には乗り気ではなかった。だが閣僚やアレン・ダレスCIA(中央情報局)長官らに説得され作戦を決意した。

 米軍最高指揮官としてのケネディの決断は実に中途半端で優柔不断極まりないものだった。突然、上陸地点の変更を言い出して作戦を混乱に陥らせたり、作戦計画にある空爆を躊躇したりした結果、最終的に亡命キューバ人部隊は壊滅した。

作戦失敗の最大原因は、ケネディの心変わりにより命令が二転三転したことにある。

好機と見たフルシチョフは難題を次々と突きつける!


これを見たフルシチョフはケネディを未熟で経験不足の指導者との意を強くし、「少々こづきまわしても構わない」相手だと確信したという。

 指導者の未熟さを露呈したピッグス湾事件から間もなくの1961年6月、ウイーンでケネディ、フルシチョフの初の首脳会談が開催される。

 これまでの懸案解決のチャンスとばかりにフルシチョフは強気に難題を突きつけた。

 この会談の結果、ベルリン危機が生起することになるが、フルシチョフのケネディに対する見方は変わらず、これまで控えてきたキューバに対する兵器供与開始を決意する。

 1962年フルシチョフは核ミサイルをキューバに配備する「アナディル作戦」を発動。同年10月、米空軍の「U-2偵察機」が、アメリカ本土を射程内とするソ連製準中距離弾道ミサイル(MRBM)及び中距離弾道ミサイルIRBM)がキューバに配備されているのを発見。

 ケネディキューバ周辺の海上封鎖および臨検を行うことでソ連船を阻止しようとした。一挙に米ソに緊張が高まり、全面戦争の危機に陥った。キューバ危機の始まりである。

核戦争の危機まで招来したケネディの罪!

 キューバ危機は結果的にはフルシチョフの譲歩で事なきを得た。その後ケネディは暗殺されたため、ケネディは今なお英雄のように祭り上げられているが、そもそも米国を一時的にも核戦争の淵に追いやった原因を作ったのはケネディ本人の未熟さにあったのだ。

 軍隊には「愚かな高級指揮官は敵より怖い」という言葉がある。指導者が未熟であるのは犯罪に近い。

 今回の尖閣事案では、対外的に「脅せば日本は必ず折れる」という印象を与え、しかも検事の背後に隠れて責任逃れをする未熟な指導者の実像を中国のみならず全世界に知らしめてしまった。

 「ルーピー鳩山」に続き、未熟な菅首相に率いられた日本はそれこそ「少々こづきまわしても構わない」とロシア中国北朝鮮が思ったとしても不思議ではあるまい。

今後、各国はこの機を逃さず、対日懸案事項に関し、自国に都合の良い解決を図ろうと強気に出てくるに違いない。

韓国が対馬の領有権問題を言い出す可能性も!

ロシア北方領土問題を初期化して4島ロシア固定化で決着を図ろうとするだろう。ドミトリー・メドベージェフ大統領の北方領土訪問は既にそれが始まっていることを示す。

 中国は尖閣諸島領有化に次の一手を打ってくるだろう。また東シナ海聖域化の完整に向け、さらに傍若無人な振る舞いがあるだろう。

 北朝鮮は次なる朝鮮戦争が生起しても、後方支援基地たる日本が機能しないのを見透かし、緊張を激化させる瀬戸際外交を推し進め、後継者の正統化と核武装を急ぐことが予想される。

 韓国領の延坪島砲撃事案はこの動きが既に始まっていることの証左である。

 友好国側にある韓国も例外ではない。菅政権のうちに竹島領有の国際的認知化や日本海の「東海」化、そして対馬の領有権問題の顕在化を画策してくることも考えられる。

 まさに普天間に続く尖閣などの拙劣な対応が原因で、日本が諸外国の草刈り場と化す可能性があるのだ。

愚かな宰相のせいで草刈り場と化すのか、我が日本国!

 唯一の頼みの綱、米国はどうか。今回の尖閣事案では比較的早期に収拾したことには安堵しているが、未熟な指導者、不甲斐ない日本の対応ぶりについて、特に親日家の失望が大きい。

 オバマ政権内には、頼りにできない同盟国として日本の評価が定着しつつある。これで普天間問題が先送りされるようなことがあれば、日米同盟は後戻りできない漂流に陥る可能性がある。

 その時、米国は日本を見放し中国と手を結ぶことだってありうることを覚悟しておかねばならない。「負かせない相手とは手を結べ」(Can’t beat them, join them)は現実主義アングロサクソンの常套手段なのだ。

 今後「草刈り場」の動きが出てきた場合、政府はどう対応すればいいのか。やはりキューバ危機が参考になる。

 

危機発生後のケネディは人が変わったように極めて的確な対応をしている。まさに「君子豹変」を演じたのだ。

君子豹変したケネディ


スタッフの意見具申を排除し自意識過剰になり独りよがりの決断を繰り返したピッグスの失敗を深く反省し、一転してスタッフの専門的意見に耳を傾け、衆知を結集したうえで戦略的な最終決断を自ら下している。

 ミサイル発見の4日後、ケネディはアンドレイ・グロムイコ駐米ソ連特命全権大使をホワイトハウスに呼びつけ、懸念を表明しソ連政府に対応を迫った。

 同時に、テレビ演説でキューバにミサイルが持ち込まれた事実を国民に説明し、ソ連を非難した。これに加え北大西洋条約機構NATO)など西側指導者たちに状況を説明し、全面的な支持を取りつけている。

 尖閣沖での漁船衝突後、中国大使を呼びつけることもなく、諸外国に説明もせず、しかも衝突映像を隠蔽しようとした菅政権と全く対照的な動きである。

 国連では米国国連大使が、キューバの核ミサイル写真を公開し撤去を迫った。

戦争準備を万端に整えれば戦争は起きない!

 米軍に対してはデフコン2(準戦時体制)を発令、全面戦争に備え大陸間弾道ミサイルを発射準備に置いたほか、日本を含む海外駐留米軍も臨戦態勢に置き、一歩も引かないファイティングポーズを構えた。

 その後、ソ連からは中途半端な妥協案が示されたがケネディは断固拒否。結局フルシチョフはケネディの条件を受け入れ、キューバに建設中だったミサイル基地やミサイル解体を約束。ケネディキューバへの武力侵攻はしないことを約束し危機は終わった。

 「戦争準備を万端に整えれば、戦争は決して起こらない」という箴言がある。

 相手の弱みを握ったうえで、我が方の力を盤石に整えつつ、一歩も引かない気迫を示し、しかも相手の面子を守ろうとする度量も示す。

外交はまさにチキンゲームであり、中途半端に譲歩しても、決して相手は譲歩しない。取り引きした方が得だと相手に思わせる戦略的対応が肝心なのであり、弱みを見せた方が負けなのだ。

いま日本政府がやらねばならないこと!

 事件直後、枝野幸男民主党幹事長代理は「中国は困った隣人だ」と述べた。その通りであるが、嘆息にすぎない言葉を口走るのは一般国民だけでいい。政治家は嘆息を漏らす前に、政府としてのやるべきことをやってこそ選良である。

●安全保障会議を開き、情報・軍事・外交の専門家から意見を求め、総合的、戦略的分析をしたうえで政府としての対応を決める。

中国大使を呼んで懸念を表明し対応を迫る。また起訴せざるを得ない法治国家としての立場を申し渡す。

●なぜ領土問題が存在しないかという歴史的事実を、全世界に向け発信する。

●全世界に映像を公開し、中国の理不尽さを訴え、日本の正当性を訴える。

毛沢東の16文字を肝に銘じよ!


これらが政府として最低限やるべきことであったことは、キューバ危機を参考にすれば危機管理の素人政治家でも分かるはずだ。

 鳩山政権、菅政権と続く未熟な指導者による拙劣な対応により、既に諸外国に日本政府の非力さを見透かされたと言っていい。

 今のうちに懸案を解決しておこうという動機付けが諸外国に働き、続々と日本の主権に関わる問題を強引に係争化、争点化しようという動きが起こっても不思議ではない。

 日本が諸外国にとっての草刈り場と化すのは、何としても阻止しなければならない。特に中国は「力の信奉者」である。相手が非力と見れば容赦なく攻めてくる。毛沢東の16文字はその正体を如実に表現している。


「敵進我退、敵駐我攪、敵疲我打、敵退我追」(敵が進めば退却し、敵が止まれば攪乱し、敵が疲れれば攻撃し、敵が退却すれば追撃する)である。国力が国境や領有権のみならず排他的経済水域を決めるというのが、中国の基本的なスタンスなのである。

国を守る気概はあるのか、菅直人!

 日本は今、喫緊に何をすべきなのか。キューバ危機後のケネディのように指導者は先ず豹変しなければならない。

 外交、軍事、情報など専門家の意見に真摯に耳を傾けることは極めて重要である。そのうえで短時間に国家としての緊急対応を戦略的に決める体制を構築することが必要である。

 同時に日米同盟を漂流から立ち直らせる。そして東アジアにおける日米の役割、任務を米国と協議し、応分の負担を担うことである。

 最も大切なものは国を守る気概と自覚、そして全責任を負う宰相の覚悟である。「法律を調べたら、最高指揮官だった」などと惚けたことを言っている場合ではない。

 官僚が意見を持ってきても、イライラして怒鳴りつけることなく、たとえ耳に痛い情報でも専門家の意見に耳を傾ける度量を持ってこそ宰相の器である。

 政治主導の美名の下、専門家たる官僚を排除し、素人外交を展開して海千山千の周辺諸国に日本を手玉に取られては国民がたまったものではない。

 これまでの失態を自覚、反省し、その責任を認め、そして豹変する。豹変してこそ君子であり、豹変できない宰相なら即刻退陣すべきである。

 

菅内閣の“山場”は、年初早々に訪れる可能性も。理想の政治に近づくまで、政権交代は繰り返される」

【第1回】 2010年12月27日 DIAMOND online 伊藤惇夫

――しかし、小沢氏が新たな勢力をつくり上げたとしても、すぐに彼らが政権をとれる可能性は低い。小沢氏によって民主党が分裂すれば、結局自民党が政権に復帰するだけではないのか?

 必ずしも、以前の自民党政権が復活するわけではないと思う。自民党内閣不信任案を提出させて、小沢氏と小沢グループがそれに乗って党を割り、解散総選挙になる可能性もある。その後、小沢氏が自民党と連立政権をつくる可能性もあるし、他の政党と連立する可能性もある。再編の組み合わせは、何十通りも考えられる。

 国民にとって重要なことは、いざ再編となったときに、それが政策や理念に基づいて行なわれているものか、それとも陣取り合戦なのかを、きちんと見極めることだ。単なる権力闘争では、そもそも政界再編の意味がない。

総選挙の可能性も見据えて、自民や第三極はこう動く!

――今の状態で総選挙になれば、どの党も圧倒的な議席数を確保することが難しく、群雄割拠の状態になることが予想される。今後各党は、再編を睨んでどのように動くだろうか?

 まず、民主党オウンゴールで支持率を上げている自民党は、民主党政権を揺さぶり続けて、何とか解散・総選挙に持っていこうとするだろう。しかしネックは、党内に有力な人材がいないということ。総選挙を睨み、その前の段階で総裁を変えてくる可能性もある。

 また、民主党に歩み寄りを見せている公明党は、地方選挙を最も重視している政党だ。今後民主党に対しては、「統一地方選にとってプラスかマイナスか」という判断をベースにして動くはずだ。

 みんなの党は、一時より支持率が落ちているが、まだ勢いはある。茨城県議選でも2名当選させた。「民主党にも自民党にも期待できない」という層の受け皿になっていることもあり、統一地方選に向けて、同党から立候補したいという人が殺到している。

 彼らの目下の目標は統一選だが、それをクリアすれば、総選挙になっても20~30人の議席を確保できると見ているようだ。再編前の段階で連立に加わるよりも、存在感を示していたほうが得だと考えているため、しばらくは野党の立場を貫くだろう。

――そもそも民主党がここまで追い込まれている大きな原因の1つには、「政治とカネの問題」で揺れる小沢一郎幹事長が、衆院政治倫理審査会への出席を拒否していることがある。小沢氏の処遇は、政局にどのような影響を与えそうか?

 小沢氏の証人喚問も取り沙汰されるなか、その処遇によって今後の見通しも随分変わってくるはずだ。党内事情で苦しい状況に置かれている民主党がとるべき手段は、限られている。

 振り返れば、菅内閣の支持率が最も高かったのは、9月に行なわれた代表選の直後であり、その理由は「脱小沢」だった。菅首相自身が評価されたのではなく、小沢切りが評価された側面が大きい。現政権は、小沢切りと内閣改造をセットで行ない、通常国会に向けて公明党などに協力を求めようと考えているはずだ。

 具体的には、問責決議を受けた仙谷由人官房長官や馬淵澄夫国交相を辞任させること、小沢氏が政倫審への出席を拒否し続けた場合、離党勧告を行なうことだ。

 菅内閣がそういった改革を行なうことができなければ、通常国会で内閣不信任決議案が提出される可能性もある。そうなれば、民主党は首相を変えるしかない。

個別政策を詳しく積み上げても、基本政策がないのが民主党の弱点!

―― 一方で、火種は小沢氏の進退問題ばかりではない。支持率急落の背景には、普天間基地の移設問題や尖閣問題など、迷走を続ける政策への失望もある。

 民主党政権への圧倒的な期待が、ここまで大きな失望に変わっている理由は、個々の政策というよりも、全体的な目標設定を明確に持っていないことにある。つまり、「日本をこういう方向へ導きたい」という国家ビジョンがない。

 民主党は、自民党を倒して政権与党になることだけを目標にしていたため、実際に政権をとった後の目標を用意していなかった。その象徴的な例が、党の綱領がないことだ。綱領と言っても何も難しいものではなく、単なる了解事項に過ぎないにもかかわらず、それがいまだにないから、皆がバラバラな方向に向いている。そのため、大きな政策の決断を迫られると必ず混乱を起こして、迷走する。

 この体質は、民主党という政党の誕生に由来する。民主党は、これまで大きな変化を3回経験している。1996年にできた旧民主党が、98年に新民主党へ発展し、2003年に小沢氏の自由党が合流して、今の形になった。

民主党の結成は、97年末に小沢氏が新進党を解党させた後、98年夏の参院選で自民党に対抗するため、小さな政党が集まったことに端を発する。自民党、社会党、新党さきがけ日本新党など様々な政党の議員が参加したため、始めから政策ポリシーは噛み合わなかった。

 しかし、選挙のタイムリミットが迫っていたため、政策議論は全て先送りされてしまった。今の民主党は当時の体制をベースにしており、外交・安全保障、経済、教育、エネルギーなど、国家の柱となるべき政策のマスタープランは、いまだに統一されていない。だから政権の座についてからも、必然的にこういう迷走が起きる。

――政権運営のベースとなる政策のあり方を根本的に見直さないと、いずれにせよ民主党は行き詰まってしまうのではないか?

 彼らが、マニフェストのようにミクロの政策を積み上げてきたことは、評価されるべきだ。だが、それらは個別政策であって、マクロの基本政策ではない。国の基本政策が必要となる想定外の問題が起きると、ミクロの政策で対応するには限界がある。

 外交・安全保障がそのよい例で、小沢氏は日米中の対等外交、鳩山氏は東アジア共同体構想、菅氏は日米基軸外交と、リーダーが変わる度に外交の基本方針まで変わってしまう。民主党の中にも危機感を抱く人が出始めているが、あまりにも遅いという印象だ。

民主党自体が野に下る可能性は?小沢氏の動き1つで再び政界再編へ!

――ゆくゆく民主党自体が野に下る可能性もあるだろうか?

 依然として、衆院で圧倒的な勢力を誇っている民主党だが、その可能性は否定できない。来年は、政界再編が起きる可能性もある。

 現在小沢氏は、党を割ることを念頭に置きながら、小沢新党への布石を打っているかもしれない。新党が実現すれば、自民党やその他の政党からも、小沢氏に合流する勢力が出るだろう。場合によっては、現在の政界の様相がガラリと変わってしまう。

 もし小沢氏が民主党を出て行くとすれば、その時点で刑事被告人になっている可能性が高いため、これまでのように人気がある政治家を前面に押し出し、自分は後ろで実権を握るという手法をとるだろう。

――しかし、小沢氏が新たな勢力をつくり上げたとしても、すぐに彼らが政権をとれる可能性は低い。小沢氏によって民主党が分裂すれば、結局自民党が政権に復帰するだけではないのか?

 必ずしも、以前の自民党政権が復活するわけではないと思う。自民党内閣不信任案を提出させて、小沢氏と小沢グループがそれに乗って党を割り、解散総選挙になる可能性もある。その後、小沢氏が自民党と連立政権をつくる可能性もあるし、他の政党と連立する可能性もある。再編の組み合わせは、何十通りも考えられる。

 国民にとって重要なことは、いざ再編となったときに、それが政策や理念に基づいて行なわれているものか、それとも陣取り合戦なのかを、きちんと見極めることだ。単なる権力闘争では、そもそも政界再編の意味がない。

総選挙の可能性も見据えて、自民や第三極はこう動く!

――今の状態で総選挙になれば、どの党も圧倒的な議席数を確保することが難しく、群雄割拠の状態になることが予想される。今後各党は、再編を睨んでどのように動くだろうか?

 まず、民主党オウンゴールで支持率を上げている自民党は、民主党政権を揺さぶり続けて、何とか解散・総選挙に持っていこうとするだろう。しかしネックは、党内に有力な人材がいないということ。総選挙を睨み、その前の段階で総裁を変えてくる可能性もある。

 また、民主党に歩み寄りを見せている公明党は、地方選挙を最も重視している政党だ。今後民主党に対しては、「統一地方選にとってプラスかマイナスか」という判断をベースにして動くはずだ。

 みんなの党は、一時より支持率が落ちているが、まだ勢いはある。茨城県議選でも2名当選させた。「民主党にも自民党にも期待できない」という層の受け皿になっていることもあり、統一地方選に向けて、同党から立候補したいという人が殺到している。

 彼らの目下の目標は統一選だが、それをクリアすれば、総選挙になっても20~30人の議席を確保できると見ているようだ。再編前の段階で連立に加わるよりも、存在感を示していたほうが得だと考えているため、しばらくは野党の立場を貫くだろう。

その他の小政党は、政界再編を通じて存在感を示したいという期待を持って、状況を見ながら臨機応変に動くはずだ。

 一方、浮動票の取り込みを狙って、中央政界へ進出する首長も出てくるかもしれない。大阪府の橋下徹知事や名古屋市の河村たかし市長のように、知名度の高い首長が出てきた場合、それなりのインパクトになるだろう。

今はまだ「理想の政治」へと近づく途中、国民は政権交代を通じて長い目で改革を!

――政界再編の気運が高まるなか、数の論理で政権政党が決まり、政策が後回しにされる状況が続く政治に対して、国民は何を問いかけたらよいのか?

 尖閣などの外交・安全保障問題を通じて、「国家はまともな政権の下で運営されないとおかしくなってしまう」ということに、国民は改めて気づいたはずだ。

 民主党自民党も、「人気が高い政治家をトップに据えれば政権を維持できる」という考え方を、ずっと持ち続けてきた。今後国民は、人気者を総理にするのではなく、「総理になった人に人気者になる政治をやらせよう」と考えるべきだ。

 はっきり言えば、「人気者は危ない」という発想を持ったほうがよい。能力を見極めて地に足のついた人間を選ぶのは、国民の責任でもある。そもそも今の民主党政権を誕生させたのは、我々なのだから。

――戦後民主主義の歴史のなかで、民主党政権が誕生したことの意義とは?

 私は、政権交代そのものは評価している。自民党と社会党のもたれ合いの構図のなかで、日本の有権者が事実上政権を選ぶことができない状況が続いてきたことのほうが、むしろ異常だったと言える。それでは、政治に緊張感が出るわけがない。

 その意味で、今回の政権交代はよい経験だった。マニフェストを定着させて国民の目を政策に向かせたことは、民主党の成果でもある。

 国民は現状だけを見て、「結局、自民党民主党もダメだった」と諦める必要はない。ダメならもう一度政権交代をさせればよいのだから。民主主義を定着させるには、手間と時間がかかるものだ。理想の政治は短期間で生まれない。

 多少時間はかかっても、政権交代を通じて少しづつ政治を改革していく。それができない状況なら、強力な野党を誕生させて政権与党に緊張感を与える。もし「理想の政治の姿」というものがあるとすれば、日本の政治はまだそれに向かって歩き出したばかりの状況と言える。

覚醒剤
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%9A%E9%86%92%E5%89%A4

2010/02/01(月)サーチナ

北朝鮮の脱北者夫婦ら4人が、北朝鮮産とみられる覚せい剤260グラムを韓国に持ち込み、販売した疑いで起訴された。2009年11月に中国で購入し韓国に持ち込む際、運び役の女性は覚せい剤を生後6カ月の息子のオムツに隠したそうだ。子どもが幼く、授乳期であることが考慮され、母親は不拘束起訴となった。

  29日の韓国日報によると、逮捕された脱北者夫婦は2008年に脱北者保護施設で知り合い、結婚後は日雇い労働で食いつなぐなど経済難に苦しみ、犯行を計画したそうだ。また、ニュース専門チャンネルYTNの29日の報道によると、運び役の脱北女性はインタビューで「子どもにまで今の生活をさせたくなかった。韓国で北朝鮮出身者は『2等国民』の扱いをされるから」と動機を語ったようだ。警察は北朝鮮離脱住民の間で行われる密輸入と販売などについて捜査を拡大する方針である。


さらに、逮捕された脱北者から「北朝鮮では医薬品の代わりに覚せい剤を頻繁に使用していた」と供述しており、衝撃を増している。ネット上では「北朝鮮では覚せい剤が外貨収入取得の手段であり、一般住民の間でも普通に使用される。このまま続くと遠くない将来北朝鮮は覚せい剤で滅びるかも」との声もみられ、脱北住民に対する犯罪教育問題が浮き彫りになっている。脱北者をめぐっては福祉問題や社会への適応などさまざまな問題を抱えているが、新たに覚せい剤関連の問題が浮上し、問題は山積みのようだ。

  なお、韓国日報では「脱北者」との表記を使用しているが、YTNニュースは「北朝鮮離脱住民」と表記しており、ほかにも「セトミン(新たな拠点で希望を持ち活きる人)との表記もみられる。脱北者の否定的なイメージを払しょくするため、05年から「セトミン」という未来志向的な用語が推奨されているが、いまだにメディアにも浸透していないようだ。(編集担当:金志秀)




「酒井法子事件」誘発の裏に、北朝鮮の覚せい剤責任者粛正という「誰も書かなかった」闇があることを「暴露」する!

松村テクノロジー社長 松村喜秀 2009年 11月12日

酒井法子、押尾学事件の「舞台裏」
 
 タレント酒井法子が夫ともども覚せい剤使用で逮捕されたり、俳優押尾学が合成麻薬MDMAを使用して同衾した女性が死亡するなど、芸能界の麻薬事件が頻発している。

 さらに最近ではマレーシアに大量の覚せい剤を密輸しようとした日本人女性が、空港で逮捕されている。彼女は以前から「運び屋ではないか」とマークされていた。

 すでに押尾学、酒井法子とも執行猶予付きの有罪判決を受けており、この原稿が掲載される頃には酒井法子の夫である高相祐一被告にも判決が出るだろう。

 これらの事件からも窺えるが、現在、日本中に各種の麻薬(特に覚せい剤)がまん延しているのは、厳然たる事実である。

 警察庁「平成21年上半期の薬物・銃器情勢」によると、下表のように、2009年1~6月の覚せい剤押収量は262.7kgと、前年同期に比べなんと5倍以上に達している。

 特に錠剤型の覚せい剤は、1030錠・173kgと、前年同期の10倍以上だ。

 乾燥大麻は77.8kgと逆に16%ほど減少し、大麻樹脂は11.5kgで2倍に増えた。MDMAなどを含めた合成麻薬は3万2524錠と1/5以下になっている。

北朝鮮製覚せい剤再出荷で、末端価格が「総崩れ」の「裏話」
 
 いずれにせ、覚せい剤の大幅増が目立つ。

 この背景の「裏話」をバラしてしまうと、実は、北朝鮮製覚せい剤の再出荷と、中国犯罪組織製造物の流入がバッティングした事実がある。こうした話はほとんどマスコミには登場しないので、よく読んでほしい。

 北朝鮮が「国家事業」として覚せい剤を製造しているのは、「周知の秘密」だ。

 ところが「ある筋」によると、覚せい剤を取り仕切る労働党「責任者」が自ら中毒になり影響で不始末をしでかし、「トップ」の怒りを買って粛正されたという情報がある。このため、北朝鮮では覚せい剤出荷を、いったん止めていたと言われる。

 日本の闇市場では北朝鮮製が過半のシェアを占めていたので、当然、一気に「ブツ不足」になる。それを見て取った中国などの犯罪組織が日本に覚せい剤を流して大儲けをした。

 ところが北朝鮮も、いつまでも在庫を放置しておくわけにはいかない。

 なにしろ「犯罪国家」だから、出荷停止命令下でも、いつの間にか横流しで盗まれて目減りしていくのだ。それでは「トップ」に金が入らなくなる。

 そこで北朝鮮は出荷を再開し、これが一気に日本に流れ込んだ。

 日本ではすでに中国製などが北朝鮮の穴を埋めていたので、需給バランスが崩れ、末端価格がかつての半額以下になってしまった。

 値段が安くなったので、安易に手を出す日本人が増えてしまった。とまあ、こういうカラクリだ。

日本を「食い物」にする外国人薬物売人を許すな!
 
 前述の「平成21年上半期の薬物・銃器情勢」では、2009年1~6月の薬物密輸入事犯の検挙件数は、覚せい剤事犯において102件と、前年同期4倍以上になっている。

 検挙人員では来日外国人が5割以上を占め、検挙人員数も67人と11倍以上だ。下の表を見てもらおう。

覚せい剤事犯で検挙された来日外国人で一番多いのがイラン43人で、次いでブラジル29人、フィリピン21人、タイ20人、中国17人と続く。ただし、香港を含めると中国人は24人となり、ブラジルに次いで多くなる。

覚せい剤をさばく中国マフィア
 
 北朝鮮製覚せい剤の多くは、中国の犯罪組織を通して世界中にさばかれる。

 密輸事件で押収された覚醒剤の仕出地(積み込まれた地)は、件数こそ香港が11件と一番多いものの、押収量では中国が131kgと突出している。

実は、中国の犯罪組織も、近年では覚せい剤を自ら作り始めている。

 北朝鮮製のほうが質が高いので市場人気はあるようだが、北朝鮮が出荷を停止していた間に、この中国製も日本に入り込んでルートを作った。

 さらに日本の暴力団も、大麻取り締まりが厳しくなって「覚せい剤に流れた」事実がある。

覚せい剤は、こんな方法で日本に密輸され、さばかれている
 
 覚せい剤の多くは、日本の暴力団が北朝鮮あるいは中国マフィアと手を組んで密輸する。

 まず、北朝鮮や中国の組織が漁船などに偽装して日本領海に侵入し、大量の覚せい剤を海洋投棄する。その荷にはGPSで位置情報を伝える発信機が取り付けられており、暴力団が回収して日本に持ち込むというわけだ。

 来日外国人が空路で持ち込む覚せい剤はある程度検挙できても、こうした方法で持ち込まれると、現実には対応は難しい。このため警察など当局が押収できる麻薬は、全体の一部に過ぎず、統計をはるかに超える薬物が国内に持ち込まれているのは間違いない。

 少なくとも当局は、GPS発信機を備えた不審物は直ちに回収するか、海底に沈めるべきだ。

 嘆かわしいことに、最近では暴力団や外国人犯罪者だけでなく、普通の日本人も麻薬の売人を平気でやるようになっている。自らの薬物代を稼ぐためや安易な金儲けとして若者が手を染めるケースもある。

 これ以上の蔓延を防ぐため、麻薬所持や売買には厳罰を科すべきではないか。

1回の使用で幻覚症状が現れることも
 
 覚せい剤は依存性が強く、いったん始めると、止めたくても止められなくなる、恐ろしい麻薬だ。

 以前にも、覚せい剤中毒の生徒を更正させようと「オレもいっしょに1本打つ。だからいっしょに止めよう」と提案したものの、結局自ら覚せい剤中毒に落ちた「熱血教師」事件があった。それだけ依存性が高いのだ。

 使用し続けると幻聴や幻視、妄想などが現れ、強い恐怖感を感じるようになる。たった1回の使用ですら、こうした幻覚症状が起こることもある。

 最後には錯乱状態で自殺したり、他人を傷つけたり、使用量が増え死亡することもある。

 覚せい剤中毒からの離脱は、極めて難しい。特効薬などないので、時間を掛けて回復させるしかない。専門的な施設で治療を受けるべきだが、日本には専門病院はほとんどなく、治療面の整備も必要だ。

酒井法子の更正はあるのか?
 
 酒井法子が覚せい剤を使用するようになったきっかけは、「本人の供述」によれば、夫の勧めだ。夫は「自称サーファー」で不良のボンボンと聞く。最初から彼女を「金づる」として狙ったことも考えられる。

 覚せい剤は、夫の公判での証言では「イラン人から買った」だが、これが本当かどうかは不明だ。ルートについては、ここで書けないいろいろな噂が流れている。押尾学事件も同様だ。

 酒井法子は、これまで生きてきた中で、人に言えないような闇を隠していたり、愛情への強い渇望があるのかもしれない。

 専門的な治療と共に、過去のあらゆる思いや恥を徹底的に誰かに告白して救いが求められれば、立ち直れる可能性がある。身辺にそれだけ信頼に足る立派な人物がいればいいが、彼女のバックにうごめく連中は、いろいろだ。保釈の送迎で現れた人物を見てもわかるだろう。

 海外では、聖職者がこうした役割を担うことが多い。日本でも仏教やキリスト教など伝統的宗教がその器になってくれればとは思うが……。

 いまだに彼女のファンは国内外に多いと聞く。ぜひ立ち直って、覚せい剤や麻薬の恐ろしさを社会に啓蒙するような人間になってほしいと願っている。

松村喜秀(まつむらよしひで)
松村テクノロジー社長。偽札鑑定士。セキュリティーアドバイザー。
1949年島根県生まれ。大手電機メーカーを経て独立、センサー技術などを手掛けるフリーの設計士となる。1983年、産業用機器設計・試作品製作を行う仕事を始める。87年、ソウルオリンピック向けに偽札鑑別機開発を大手企業より依頼され、翌年開発に成功、販売。北朝鮮製と思われる偽100ドル札を発見、「スーパーK」と命名し、世界的に有名となる。その後も多くの精巧な偽札を見破り、各国メディアに掲載、出演。
世界中の特殊捜査機関の講師・顧問を務め、日本の大学で講師も務めた。偽札鑑別機以外にも大手が真似できない特殊セキュリティー機器、指紋照合装置などを開発、約250件の特許を取得。クリスチャンであり、クリスチャンの長老(エルダー)を務める。
主な著作に、「ビッグバンで偽ドルがやってくる(旬報社)、「偽造鑑定人調査ファイル」(講談社)、「スキミング~知らないうちに預金が抜き盗られる」(扶桑社)、「アナタの財布も危ない!ニセ札の恐怖」(扶桑社)。

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