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プロボノ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%8E
産経新聞 2月11日(金)
コンピューター企業のソフト開発、金融機関の財務管理…。民間企業の社員が仕事で培った経験や知識を生かし、NPO(民間非営利団体)などを支援するボランティア活動「プロボノ」が浸透してきた。利益ばかりを追求する働き方を見直す機運の高まりなどが背景にある。企業が組織的に後押しする動きも出ており、社会貢献活動の新しい形として認識され始めた。(藤沢志穂子)
「ベンチャー企業の志が刺激になった」「自分の仕事が形になり感動した」
NECが今月、プロボノで支援した企業2社を招いて開いた会合。出席したNECの若手社員は、支援先から活動報告を聞かされると一様に目を輝かせた。
NECは昨夏、プロボノチームを作った。メンバーは若手中心の15人。支援先の1社は、採血による健康診断事業を首都圏で展開するケアプロで、もう1社は農業の収益性向上に向けて高糖度トマトを生産・販売するオリザだ。それぞれ医療と農業の構造問題解決を目指す社会起業家が作ったベンチャー企業だ。
NECはケアプロの顧客情報をデータベース化。診断結果を時系列でグラフ化し、健康状態に応じて診療所を紹介する携帯電話向けプログラムも作った。4月から本格稼働し、ケアプロの川添高志社長は「顧客や広告収入の増加につなげたい」と意気込む。
オリザ支援では、休日に栽培現場を訪れ、農業専門家にも取材してホームページを刷新。NEC側責任者の小林義明氏は「仕事で接点のなかった農業政策の問題を共有できた」と語る。
2000年代以降、欧米で広がったプロボノは、金融機関などの「金もうけ主義」への反発もあって拡大し、日本でも注目されるようになった。希望する個人をNPOなどに仲介する特定非営利活動法人「サービスグラント」(嵯峨生馬代表)の昨年の登録者数は約650人と、前年の2・5倍に急増している。
最近は企業も積極的に参加。ゴールドマン・サックス証券が女性社員中心のチームを作って教育・子育て関連のNPOの財務の見直しを支援しているほか、日本IBMも教育関連のNPOを支援している。
企業側にすれば、社員のやる気を引き出すと同時に取引先開拓やイメージアップも期待できる。サービスグラントの嵯峨代表は「寄付など従来の社会貢献事業を一歩進めた新しい形のボランティアで、地方にも広げたい」と話している。
【用語解説】プロボノ
仕事上の経験や知識を生かしたボランティア活動。ラテン語のPro Bono Publico(公共善のために)が語源で、米英の弁護士が始めた無料法律相談が始まり。資金力や組織力に乏しいNPOや、社会問題解決のためベンチャー企業を起こす「社会起業家」らが支援先となる。
しかし米国は非寛容、ロシア・中国は敵対度強める!
2011.02.12(Sat)jbプレス 川嶋諭
このところ頻繁にフェイスブックのお友達リクエストが舞い込んでくる。フェイスブックは日本でも勢力を伸ばしているようだ。先日は妻からお友達リクエストが来たのでびっくりしてしまった。
日本でもフェイスブックの利用者急増中!
約1カ月前に小久保重信さんが「フェイスブックはなぜ日本で普及しない?」の記事で、実名主義の米国と違って、日本では匿名のネット文化ができてしまっているので、フェイスブックの普及が妨げられていると書いていた。
しかし、わずか1カ月で事情は大きく変わり始めたのではないだろうか。最近の友達リクエストの多さから、そんな気がしてならない。
妻のケースで言えば、ミクシィ(Mixi)など日本のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を利用した経験もなく利用する気もなかったようなので、実名であることに抵抗感はないらしい。
暇さえあればせっせと米国駐在時に友達になった米国人たちを見つけてフェイスブック上で旧交を温めている。
よほどの用がないと1対1のメールでやり取りする機会はないが、友達が多面的につながっているフェイスブックなら気軽にコメントを書いたり写真をアップしたりできるので、大変便利らしい。
友人たちとのコミュニケーション能力と言ったら、手紙の時代はもちろん、電子メールが登場した時と比べても格段に高い。
高いコミュニケーション性能は、ビジネスの世界でも威力を発揮する。そのことを指摘した記事が乘浜誠二さんのこの記事「フェイスブックを始めないとビジネスに不利になる?」である。
ツイッターは企業にとってマーケティングツールの1つとして定着したが、実名でかつ情報量の多いフェイスブックはそれ以上の可能性を秘めているというのだ。
そう考えると、エジプトで続いている民主化を求める反政府デモがフェイスブックによって広がっていったというのは非常によく分かる。
エジプトの混乱収拾に米国は何ができるのか!
民主化されていないイスラム世界や中国などがその威力に戦々恐々なのも当然だろう。
1998年にベルリンの壁を崩壊させた大きな原因の1つがラジオやテレビにあったとすれば、フェイスブックは世界中の政治を変える起爆剤になり得る。
エジプトのムバラク大統領は、9月の任期満了まで大統領を辞任しないと宣言、これにエジプトの国民は反発を強め、反政府デモはますます勢いづいた。
結局、2月11日金曜日、ムバラク大統領は突然辞任を発表、エジプトの混乱はひとまず収拾に向かった。
しかし、今回の騒乱収拾に当たって、米国はほぼ無力だった。
その理由を考察したのが伊東乾さんのこの記事「エジプト動乱、日本だからできること」だった。
宗教的対立を超え手を結ぶイスラム教徒とキリスト教徒!
この地域は歴史的に様々な宗教が入り混じり、お互い寛容さを持って共存してきた。例えば、エジプトを中心に長い歴史を持つキリスト教の一宗派とも言えるコプト教。
イスラム教徒との争いは絶えないものの、うまく共存が図られてきた。その理由が今回のエジプト騒乱で垣間見えた。
イスラム教は1日に5回、礼拝をしなければならない。その際には武器を手にすることができず、敵に襲われたらひとたまりもない。
そんな時、コプト教徒たちが手をつないで人の鎖を作り、デモに参加しているイスラム教徒たちが襲撃を受けるのを守ったという。
また、その返礼として、コプト教徒たちがミサを行っている時にはイスラム教徒たちが人の鎖を作り、襲撃から守ったというのだ。
米国に渡ったインド人が受けた迫害!
伊東さんは、こうした宗教的な寛容さが米国にあるだろうかと言う。
同じように米国の宗教的な非寛容を指摘したのが竹野敏貴さんのこの記事「米国の不寛容が招いた、終わりなき暗殺連鎖」だった。
この記事の舞台はエジプトではなくやはりいくつもの宗教が共存するインド。イスラム教に対する寛容さが、ヒンドゥー教原理主義者たちの不満を買い、暗殺されてしまうインド建国の父、マハトラ・ガンジー。
宗教の対立は根が深い。しかし、それでもガンジーに見られるような寛容さが国づくりをしてきたリーダーたちにはあった。それに対して、米国にはそれがあるだろうかと、竹野さんもまた米国の非寛容を指摘するのだ。
「『マイ・ネーム・イズ・ハーン』(2010/日本劇場未公開)では、米国に移り住んだイスラム教徒のインド人が、9.11後のイスラムフォビアの集団ヒステリーの中、子供を失ってしまったばかりか、自身、テロリストと疑われ拘置までされてしまう」
WASPを頂点とする超格差社会の米国!
「ヒンドゥー教徒の妻とは宗教の壁を乗り越えて幸せな生活を送ってきた主人公は、思いもよらぬ米国の宗教的不寛容に直面するのである」
「民主主義最先進国での宗教的現実は、インド人同士の宗教的不寛容の比ではなかったのである」
米国は世界中から移民を受け入れ多様性を武器に成長してきた世界一の強国だが、その基本構造はWASP(白人、アングロサクソン、プロテスタントのキリスト教徒)を頂点とする格差社会である。
その構造を少しでも脅かすような事態には極めて非寛容である。
それは、西大西洋条約機構(NATO)と並んで極めて重要な同盟国であるはずの日本に対してもしばしば現われる。
米国人をヒステリーにしたトヨタの品質問題が解決!
2月8日、米運輸省がようやくトヨタ自動車の言い分を認め、収束に向かいつつある「トヨタ車急発進問題」にも典型的に現れている。
トヨタの高級ブランド「レクサス」が急発進して衝突事故を起こし4人が亡くなったことに端を発する全米を挙げてのトヨタ叩き。
豊田章男社長が米議会の公聴会に呼び出され、日本人をあきらかに見下す目つきの議員たちに激しくなじられた姿は脳裏に焼きついて離れない。
今回、米運輸省と米航空宇宙局(NASA)は、トヨタ車の電子制御システムには不具合がなく、急発進の事故は運転者のミスやフロアマットがアクセルペダルに引っかかることが原因だったとの結論を下した。
トヨタにとってはまことにお気の毒なことだったが、ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて世界一の自動車メーカーに成り上がった日本車メーカーに対する、米国人の拒否反応がこの事件の根っこにはあった。
東芝の製品も日産の車も叩き壊され放火された!
古くはココム違反で旧ソ連に7軸のマシニングセンターを輸出したとして米国に激しく糾弾された東芝機械の事件も思い起こされる。親会社である東芝の製品が次々と米国人の手によって破壊されたシーンはやはり脳裏に焼きついて離れない。
さらに古くは日米自動車摩擦で、当時の日本車の代名詞だった「ダットサン=DATSUN」。日産自動車のピックアップトラックが、ひっくり返され、ハンマーなどで破壊され、放火されて丸こげになるシーンも蘇ってくる。
いくら世界最強の国とはいえ、欧州から逃れたWASPが作った200年そこそこの国に、寛容性を求める方が無理な相談なのだろう。そして、米国の地位が相対的に低下し始めたいま、逆に非寛容さは増すと考えるべきだろう。
イスラエル建国、中東戦争、イラン革命、アフガニスタン、イラク戦争と続き、中東の人たちは米国が最も嫌いな国になっている。そこに米国が介入しても良い結果は招かない。
翻ってアジアはどうだろうか。菅直人首相の不用意な発言にロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領は怒りをあらわにし、極東の軍事力増強を指示した。
軍事増強に走るロシアと中国!
中国は「殲20」というステルス戦闘機まで開発、試験飛行しているという。宮家邦彦さんは「我々は人民解放軍を過大評価していないか」の記事で、これは人民解放軍のデモンストレーションであり実際の技術力はそれほど高くないのではないかと指摘している。
しかし、「殲20」が単なる張りぼてだったとしても、そうした戦闘機を作ろうという人民解放軍の意志を軽んじてはいけないだろう。何しろステルス戦闘機はハイテクを駆使しなければ実現できないのである。
基本的には同じ速度で飛べばいい爆撃機と違って、急加速・急減速・急旋回しなければならずミサイルなどの装備も多い戦闘機をステルス化するのは格段に難しいと言われる。
こうした極東の軍事情勢に、私たちは直面している。果たして今までのように日米安全保障条約にあぐらをかいていていいものだろうか。
しかも、基本的に米国は自分たちの利益最優先で日本に対しては不寛容なのである。その点は、国防のコラムで多くの筆者が警鐘を鳴らしているので多くは触れたくないが、少なくとも防衛予算を増やさずに防衛力を上げる努力は最低限すべきだと思う。
菅直人首相に強い応援団がついた!
例えば、武器輸出三原則の見なおしなどである。日本の首相がロシアに対して挑発的な発言をして、ロシアの軍事増強を促すのはまことに結構なことだが、足元はしっかり固めてもらいたいものである。
強気の発言には背景が必要だ。それがなければただの犬の遠吠えに近い。
しかし、そんな日本の国民からもほとんど見放されつつある首相に極めて強い応援団がついた。英エコノミスト誌のこの記事である「日本の政治:日本開国」。
「菅氏が前任者たちに続いて歴史の塵と消えるかと思われたちょうどその時、彼はこの20年間の経済停滞期に試されたどんな政策よりも急進的な改革をまとめ上げた」
「外国人を魅了し、優勢なうちに退任した小泉純一郎元首相(2001~06年在任)でさえ、これほど大胆なことは試みなかった」
「日本のビジネスマンは首相の改革を支持し始めた」!
小泉元首相よりも大胆で決断力のある改革者だと言うのである。そして次のようにエールを送る。
「ビジネスマンや読売新聞(発行部数1000万)のような新聞は、菅氏に対する当初の敵意を乗り越え、同氏の改革を支持するようになっている」
「自民党の長期にわたる議事妨害は、同党にはすり合わせるべき建設的な2案などないということを示すだけだろう」
私には皮肉の塊のような記事としか読めなかったのだが、もしエコノミスト誌が文面通りに日本の今の首相に期待し、それを全世界に向けて発信してくれているならば、考えを改めなければならないかもしれない。
2011.02.10(Thu)The Economist JBプレス
菅直人首相はここ数十年間で最も大胆な改革を日本に提案している。
日本の機能不全を測る尺度の1つは、この国の制度が弱い政治家がトップに上り詰めるのを許し、次の凡庸な人物を選んでは新首相を次々ポイ捨てするやり方だ。昨年6月までの4年間で、4人の短命な首相がいた。いずれも迫力に欠ける人物だった。
6月以降その座にある菅直人首相は、これと同じ悲惨な型にはまったタイプに見えた。菅氏が政権に就いて実現したことはほとんどなく、メディアと野党、そして自身が率いる民主党の多くの議員が菅氏の追い落としに躍起になっている。
しかし、菅氏が前任者たちに続いて歴史の塵と消えるかと思われたちょうどその時、彼はこの20年間の経済停滞期に試されたどんな政策よりも急進的な改革をまとめ上げた。外国人を魅了し、優勢なうちに退任した小泉純一郎元首相(2001~06年在任)でさえ、これほど大胆なことは試みなかった。
無謀とも言えるほど野心的な改革!
政策は、無謀とも言えるほど野心的だ。菅氏は社会保障を全面的に見直す計画で、日本の将来の社会保障費の支払い能力について、より信頼できる保証を与えようとしている。また、国債発行額が税収を上回り、世界有数の巨額債務を抱える国の財政を安定させる手段として、6月までに消費税率引き上げに関する計画をまとめることになっている。
反対派は、消費税増税はただでさえ窮地にある経済をダメにすると述べている。しかし極めて重要なことに、改革案は財政引き締めと成長刺激策を一体化している。菅氏は、交渉参加国が米国を含む9カ国に拡大した急進的な地域自由貿易圏、環太平洋経済連携協定(TPP)に日本を参加させたいと考えている。
TPPへの参加は、世界でも指折りの手厚い保護政策下にある日本のコメに対する貿易障壁を取り除くために、農業ロビー団体を屈服させることを意味する。
菅氏が米国志向の貿易圏を優先する姿勢は日米同盟復活に向けた同氏の取り組みと一致しており、日本の首相としては小泉氏以降初めて、中国の台頭への対応と世界における日本の地位に関するビジョンを明確にしている。
提案は経済的に理にかなっている。これは日本では珍しいことだ。
しかし、労働組合の強い支持基盤を持つ民主党内でも、声高に反対する議員は多い。数十年間政権を握り、日本の混乱の大部分の責任を負う野党自民党は、政府を引きずり降ろそうと決意している。もし自民党が今春の予算案成立阻止に成功すれば、菅氏も、氏の提案も一巻の終わりとなるだろう。
ミスター菅、国民に委ねなさい!
菅氏は自身の助けになるようなことをしていない。抜け目のない政治家ではあるが、演説は下手で、小泉氏のような華やかさは全くない。しかし、菅氏には奥の手がある。古い政治に対する国民の不満の高まりである。
もし自身の改革に対して政治家の支持を得られなければ、小泉氏のように、政治家の頭越しに農家などを甘やかすことにうんざりしている都市部の有権者にアピールすべきだ。今のところ、国民は態度を決めかねているように見える。世論調査は、自由貿易についても消費税増税についても、複雑な感情が入り混じっていることを示唆している。
しかし、ビジネスマンや読売新聞(発行部数1000万)のような新聞は、菅氏に対する当初の敵意を乗り越え、同氏の改革を支持するようになっている。自民党の長期にわたる議事妨害は、同党にはすり合わせるべき建設的な2案などないということを示すだけだろう。
菅氏は、自身の職と民主党に対するリスクを伴おうとも、解散総選挙に踏み切らざるを得なくなるかもしれない。有権者が外国とのさらなる関与を嫌がる可能性もある。しかし自身の改革案が無謀さの結果ではなく信念の産物であることを証明するために、菅氏は勇気とリーダーシップを示さねばならない。
もし改革案を通すことができれば、菅氏は日本が、ある観測筋が言うような「フロントガラスに潰されるのを待っているただのハエ」ではないということを世界に証明したことになる。
© 2010 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はhttp://www.economist.comで読むことができます。
オバマ大統領が韓国教師を称賛!
2011年2月9日(水)日経ビジネス 趙章恩
オバマ米大統領が1月25日、一般教書演説で、韓国の教育とインターネット環境の優秀性を称賛する内容の発言をしたことが日韓で大きく取り上げられた。
オバマ大統領は米国の政府予算緊縮に関して、他の支出は減らしても未来のために教育、ブロードバンドインターネット、高速鉄道、エコなエネルギーといった核心分野の支出は伸ばさないといけない、数学と科学の教師を10万人増やす、といった話をしながら韓国と中国を事例として登場させた。
「子供の成功に対して、両親の次に影響を与える存在が教師である。韓国では教師が国家の建設者(nation builders)とされている」、「米国も子どもを教育する人たちに対し、尊敬の心を持たなければならない」、「韓国家庭のインターネット接続は米より優れている」などなど、韓国の教師とネットインフラを称賛した。
日本では、「KOREA」という言葉は7回も登場したのに日本については何も言及しなかったと、わざわざ指摘した新聞もあった。一般市民からすれば何の意味もない比較である。米国に褒められることがそんなにうれしいのだろうか? それに韓国の小中高校の教育は大学入試がすべてある。どういう過程を経たかに関係なく、結果として名門大学に何人入学させたかで学校の評価が決まってしまう。韓国の教育制度は問題だらけだというのに、オバマ大統領に褒められてしまうと、なんだか後ろめたい。
教育科学技術部長も、オバマ発言にためらい!
この演説があった数日後、韓国では、教育科学技術部(韓国の文科省)が「学校教科課程先進化エキスポ」を開催した。主なプログラムは、1)子供の学習負担を軽減しつつ学習効率を高めるために、子供一人ひとりに合わせた教育を行ったモデル学校の授業事例発表、2)教育フォーラム、3)国際セミナー、4)大学入試政策セミナーなど。教師、学生、保護者が参加した。
このエキスポでオバマ大統領の演説が話題になった。エキスポの開会式に出席した教育科学技術部の長官は、「韓国の経済成長を海外では教育の力であると解釈しているようだ。私教育に奪われた学校の影響力を早く取り戻せるよう努力したい」、「米大統領が見習おうと言った韓国の教師をどうすればうまく生かしていけるか、一緒に悩みましょう」とコメントした。教師も教育も韓国内では叩かれてばかりなのに米に褒められて、困ってしまった、といった雰囲気だった。
「私教育」の負担が重く出産をあきらめる家庭も!
長官がコメントした「私教育」とは、塾やEラーニング、家庭教師といった民間企業による教育のことである。以下の理由から、学校の授業よりも塾の授業を大事にする風土が生まれてしまった。名門大学に入るためには早期教育、英才教育が必要。学校教育は全員に合わせているから自分の子供にとってはレベルが低すぎる。
日本でもたびたび紹介されているように、韓国では収入の8割ほどを教育費、つまり私教育に注ぎ込む。子供のためにオールインした結果、自分の老後対策を全く取れることができず、子供に依存するしかない構造となっている。ここまでやったのに子供が名門大学に入れず就職もできなかったら、一家が都市貧民になるのは時間の問題である。
韓国教育開発院が、全国2527世帯を対象に2010年に実施した調査によると、3歳以上の子供の私教育参加率は99.8%であった。74.3%私教育費に負担を感じていて、42%私教育費のために生活費を切り詰めていると答えた。さらに、42.7%は私教育費が負担で出産をあきらめたことがあると答えている。「私教育費負担が出産率低下の主犯である」という項目に95.8%が「イエス」と答えている。私教育費が負担で子供を産まなくなる国が他にもあるだろうか。それでも65%は、経済的余裕があれば私教育費支出を増やしたいとしている。
子供の代わりに親が塾で勉強!
私教育は学校教育の信頼性、教権が地に落ちたことの象徴として大変な問題になった。李明博大統領は就任当時、学校教育をしっかりさせて私教育費を軽減させる、塾に行かなくても良い大学に入れるようにすると公約した。実際に、無料で利用できるインターネット教育放送や放課後学校(放課後、科目ごとに専門講師を呼んだり、教室のIPテレビを使ってEラーニングで授業を受けられるもの)を実施している。塾のない地方に住んでいても、高い参考書が買えなくても、豊富な参考資料を使って勉強できるデジタル教科書の導入なども、着々と進めている。いずれも学校教育を立て直すためのプランだ。
2009年に行われた国政満足度調査では、最も満足度が高いのは経済で57%、最も低いのが教育で44%であった。ただし、李大統領が導入した教員能力評価制度、放課後学校実施、就職後学資金返済などの政策については満足度が高かった。
それでも「自分の子供にはもっと良い教育を」、「よりレベルの高い教育を」と目指す保護者は後を絶たない。留学を含め、私教育費の負担はあまり変化がない。どれぐらい熱心かというと、お母さんたちも子供と分担して塾に通う。子供が国語の塾に行っている間、お母さんは数学の塾に行って授業を聞き、その内容を家で子供に教える。こうしたことは当たり前すぎて話題にもならない。
まだ30代だというのに、同窓会で自分の話ではなく、自分の子供がどれだけ優秀なのかと何時間もしゃべりまくる人が多くてびっくりしてしまう。「子供は親の戦利品」という考え方がいまだに根強く残っている。
韓国ではどの地方に行っても、国立ソウル大学への進学率が高い塾の周辺マンションがもっとも値段が高い。交通とか景観とか関係なく、教育環境が不動産価格を左右する。
筆者の家族、親戚はほとんどが現役教師または定年退職した教師である。お正月連休の間、よく話題になったのはやっぱり今回のオバマ大統領の演説であった。「海外から見たらそうかもしれない」というのが共通した意見だった。
韓国では大学入試で合格することが子供たちのゴールになっているので、大学に入学したとたんに目標を失う子供が多い。何をしたいのか、どんな人になりたいのか、自分の人生を考える暇もなく、すぐ就職競争が始まる。多くの韓国人は、米のように自由にのびのびとした環境、大学では好きな研究ができるようしっかりバックアップしてくれる制度をうらやましく思っている。米国が心配しているのは基礎学力低下であるから、韓国のように成績の良い子供が多く、全般的にある程度の教育水準を保つ国が優秀に見えるかもしれない。
先生は、やはり先生!
教師の質の面でも、韓国の方が優秀に見えるだろう。どんなに私教育が盛んだとはいえ、儒教の考えが残っているから、塾でも学校でも「先生様」の言うことは従う。昔から「君師父一體」といって、王様と先生と父の恩は一緒、と教えられてきた。先生の影も踏んではならないとされている。
今はそうでもないかもしれないが、韓国人の多くは「思い出の恩師」が1人ぐらいはいる。この前も知人が長年勤めたIT業界を引退して飲食店を開くというので開店祝いに行ったら、大雪の中4時間もかけてやってきたというおじいさんがいた。知人の小学校時代の恩師だという。「教え子の人生第2幕を祝ってやりたくて来た」という恩師の激励にもらい泣きしてしまった。
韓国でも、教師に暴力を振るったり、自分の子供にかまってくれないと学校で騒いだりするモンスターペアレントが問題となっている。だが、まだまだ大多数の保護者は自分の子供を教える先生に「先生様」として接し、先生の言うことは絶対と信じている。
ソウル市の教員試験の平均倍率は52.9倍、中には140倍も!
韓国では医師、弁護士、検事、判事など韓国語で「サ」の発音で終わる職業が一番とされてきた。最近はその中の一つが「教師」となっている。給料は少なくても、定年までリストラされることのない教師になりたがる人が増えているからだ。
教師の採用試験の倍率も年々高くなっている。教育庁のデータを見ると、2010年10月に行われた2011年度中高校教師採用試験の倍率はソウル市の平均が52.9倍。科目によっては140倍なんていう場合も珍しくない。小学校教師の採用試験はもっと倍率が高くなる。少子化で子供の数が減っているから教師採用の人数も減り、倍率は毎年高くなるばかりである。競争が激しいから、優秀な人が教師になる。
韓国の教師はITリテラシーも高く、教師の校務はすべてITを基盤になっている。日本ではパソコンが使えない教師がいるので情報化できない、なんて聞くが、韓国では職業に関係なくインターネットとパソコンが使えるのは当たり前、という前提で学校や教室の情報化を進めてきた。もちろん、定年退職に近い年配の教師は若い教師ほど使いこなせないが、研修を重ね、教え合うことで乗り越えている。
熱心に研究に励む若手教師!
20~30代の教師は研究熱心でもある。動画や画像を盛り込んだパワーポイント教材を作成して電子黒板で授業をしたり、より良い授業を行うため有名な予備校講師の授業を参観したり、Eラーニングではどんな風に教えるのか体験したり…。教師の教育研修は義務となっていて、毎年夏休みと冬休みは「教材研究」という研修を受けないといけない。
リストラがないからと安心してはいられない。2010年から実施された教員能力評価制度によって、学生、保護者、同僚教師が参加する評価があるからだ。教員評価の結果は外に公表されることはない。それでも評価されるという負担からか、教師の授業準備や保護者に対する態度も、さらに気をつけるようになったという話をよく聞く。
教職にあるうちの姉はよくこう言う。「医師や弁護士は、社会的地位は高いかもしれないが、病人や犯罪者に囲まれた職場。それに比べて、これからの時代を担っていく子供たちといつも一緒にいられる教師は最高ではないか」。こうした「教師」という職業に対する誇りが、「尊敬される教師」につながっているのかもしれない。
大学入試に合格することだけが目標となり、問題の多い韓国であるが、オバマ大統領の発言をきっかけに教育のあるべき姿を振り返ることができた。これからは、世界において、本当に優秀な事例になれるよう変化していきたいものだ。
2011年2月9日 DIAMOND online 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
革命的圧勝!
名古屋市の河村たかし市長が仕掛けた、名古屋市長選、愛知県知事選、加えて名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票のトリプル選挙は、「名古屋革命」と呼びたくなるくらいの河村氏側の圧勝に終わった。
市長選における河村氏の得票は2位候補の3倍を超し、河村氏に呼応して愛知県知事選に立った大村秀章氏も2位候補のほぼ3倍の得票で、加えて、民主党が推薦した御園慎一郎氏は2位にもなれずに惨敗した。愛知県は、これまで民主党が強い地域とされていて、前回の総選挙でも15ある小選挙区で全て民主党候補が勝ち上がった。
河村氏への賛意もさることながら、現政権の政権運営に対する批判が相当に深刻であることが窺える。
菅首相及び枝野官房長官は、地域主権を尊重する観点から、地方選挙の結果にコメントしないとしているが、特定の候補を推薦したのだから、この言い逃れは詭弁というべきだろう。有権者にも失礼だ。
選挙後の民主党執行部の反応には一つ興味深い点がある。今回の選挙の敗北責任について、小沢氏を支持する勢力の代表的な存在で参院の重鎮である輿石東氏は岡田幹事長に対して、「あんたのせいじゃない。こんなことでへこたれるな」(『朝日新聞』2月8日朝刊)と声を掛けたという。輿石氏の立場を考えると、小沢氏を追い込んでいる党執行部の岡田幹事長の責任を問う声が出てもおかしくないが、そうはしなかった。
おそらく、岡田幹事長は、菅政権の中枢に対して距離を置き始めているのではないだろうか。思えば、岡田氏は、外相として普天間問題の矢面に立たされ、その後は小沢氏の処分を巡る問題で成果の出るはずがない立場を押しつけられ、まるで彼の将来の可能性を摘むかのような不利な役割を負わされてきた。岡田氏が、菅首相及びその周囲の勢力に見切りを付けても不思議ではない。
「名古屋革命」の今後!
もっとも、「名古屋革命」はまだ完全に成し遂げられたわけではない。今は、まだ道半ばだ。これから、名古屋市議会を解散し、河村氏の公約を支持する勢力が多数派を確保してはじめて、市民税の10%恒久減税といった河村氏の政策が実現する。
問題は、当面、二つある。
一つは、市議選の候補者だ。候補者は、既存の市議で河村氏の政策を支持する人物、地元の政治家志望者など様々な層から選択しなければならないだろうが、議員の報酬を大幅に引き下げる河村氏の方針の下に、現実にどんな候補者がどれだけ集まるのかが問題だ。
たとえば、就職難の折でもあり、全国から政治に関心のある大学生ないし、卒業生を公募するという手がある。学生なら、議員報酬が安くてもやって行けるし、市議として政治キャリアをスタートさせて、将来国政に打って出るようなコースを目指すことも出来る。河村氏の陣営が、現段階で候補者をどの程度集めているのか、市議選の戦い方をどう考えているのかは、まだ伝わってこないが、インパクトのある候補者を立てて、市議会の多数を確保することが必要だ。
もう一つの問題は、名古屋市及び愛知県の官僚をどうコントロールするかだ。官僚をコントロールできない大臣がどれだけ惨めで、政治的にも成果が上がらないかは、政権交代後の、鳩山政権、菅政権でいやというほど見てきただろう。
減税と共に、市や県の職員の報酬を引き下げなければ、河村氏の名古屋革命は実現しない。しかし、自らの報酬を引き上げることに官僚が協力するか、また、報酬を引き下げられても真面目に働くか。
中央官庁よりも、市や県などの地方の方が、仕事の内容が見えやすいので、政治家が行政をコントロールすることが容易だが、サボタージュや不都合な情報のメディアへの横流しなど、官僚の抵抗の可能性は甘く見ない方がいい。
政権交代後の民主党の各大臣を見ると、独自の政策スタッフを持たずに省庁に乗り込んで、政務三役で仕事を抱え込んだことが、失敗の大きな原因になっていたように思う。市や県の管理職が非協力的だった場合、彼らがいなくても政策を実行する指示が出せるくらい政策と法律、加えて地域の事情に通じたスタッフを揃えることが重要だ。
この場合も、有能なスタッフを集めることと「河村的・清貧」を両立し、維持することが現実的な問題になるだろう。
もちろん、官僚に頼らない意思決定の実働部隊を用意することと同時に、「使える」官僚は登用し、彼らのモチベーションを維持する「マネジメント」が重要だ。本来、地方の首長には大企業の社長さん以上の経営力が必要だ。
河村氏によると、欧米の政治家の報酬は、数百万円前半程度であることが多く、政治家は、それを甘受してでも喜んで政治を行うボランティアの名誉職的なものである場合が多いという。政治家が「政治屋」であってはならないという主張には共感するが、政治家の報酬を下げると、経済的には、生活に不自由しないお金持ちか、あるいは、下がった報酬でも喜ばしいと思う低所得者しか政治家を選ばなくなる可能性があるので、制度の運営を上手にやらなければならない。
河村氏が理想とするような高貴な政治を実現するためには、政治活動のコストをいかに引き下げるか、加えて、金銭的メリットを失う分の政治家の名誉をいかに確立するか、ここでも現実的なマネジメントの問題が浮かび上がる。
名古屋革命」の意味!
それにしても、今回、これだけの大差で河村氏の陣営が支持された理由は何だろうか。河村氏は減税を掲げ、菅政権は今や消費税増税路線を隠さないが、この差だろうか。
それだけではあるまい。思うに、民間の給与が減少し、失業率が高水準で推移する中、公務員の給与は微減にとどまるし、もちろん彼らはクビになったり組織がつぶれたりして失業するリスクがほとんどない。この官民格差に対する怒りと反感が名古屋市民、愛知県民のみならず、全国民レベルで存在するのではないだろうか。
国民の多くは、長期的にはおそらく増税が必要で、その際に消費税率の引き上げが有力なオプションであることを理解している。これは良いことだ。しかし、行政の大きさを現在のままにして、加えて、年金なども総合的な待遇の官民格差をそのままにした増税には共感しないだろう。
前回の総選挙で、民主党は、第1番目の政策として財政支出のムダの削減を掲げ、その中で、公務員人件費の2割削減を目標としていたはずだ。この実行で形を示した後でなければ、国民は増税を支持しないだろうし、菅政権は早晩終わることになるだろう。
愛知の選挙結果の民主党執行部への影響を報じる新聞記事の同面(『朝日新聞』2月8日朝刊、4面)に、「年金一元化先送りへ」との与謝野経財相の方針が報じられている。年金一元化は、サラリーマンの厚生年金、公務員の共済年金、自営業者の国民年金の「条件」を統一する政策だが、これが先送りされると、現在、民間の年金と比較して条件のいい公務員の共済年金の条件が温存され、年金の官民格差が残ることになる。自営業者の所得把握のために、番号制の導入が先ず必要だという与謝野氏の主張にも一理はあるが、共済年金と厚生年金の一本化は、直ぐにでも実行できる。
こうした記事が出ること自体が、菅政権の民意からのズレを象徴しているように思われてならない。
もちろん、消費税増税が、財政再建の名の下で官僚の米櫃の補強を意味することについて、国民は十分理解している。
行政のムダを整理することなく増税路線をひた走る与謝野氏は、今や「官僚の利益」を代弁する「官の忠犬」(「菅」の忠犬かどうかは疑わしい)のような存在だが、彼が活躍するほど、政権の終わりが早まることになるだろう。失礼ながら、氏は政権の貧乏神だ(彼は自民党候補として比例当選したのに議員を辞めずに反対党の政権に入閣した、いわば「非礼議員」であるから、少々非礼に罵っても許されるだろう)。
国政では、「名古屋革命」の意味を全国レベルの行政改革につなげられる「構想力」と「マネジメント力」を持った勢力の登場が待たれる。
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