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軽井沢インターナショナルスクール設立準備財団
http://isak.jp/isak/top/
第6回 「学校の宝は教師と生徒」という共通の思い!
2011年1月31日(月)日経ビジネス 小林 りん、中西 未紀
2013年、軽井沢に日本とアジアをはじめとする世界各国の子供が生活を共にする全寮制の高校を作る――。こんな目標を掲げて、日々、奔走する女性がいる。軽井沢インターナショナルスクール設立準備財団代表理事の小林りん氏だ。
2010年の夏、財団では中学生を対象に2週間のサマースクールを開催した。その際に招いた米名門校の教師陣の力添えもあって、プロジェクトはいよいよ形になり始めている。
全寮制高校を日本で開校することによって、小林氏は何を成し遂げようとしているのか。小林氏が仲間たちとともに「ゼロから学校を作る」取り組みを追っていく。
第1回 「サマースクールで子供たちに教えられました」から読む
第2回 「学校って、どうやって設立するのでしょう?」から読む
第3回「恵まれた環境に感謝、そして社会に恩返ししたい」から読む
第4回「学校設立は、リーダー選びから始まる」から読む
第5回「自分の得意を活かせる人材を育てたい」から読む
2010年11月、小林りんは中国の上海と香港を訪れた。
上海は実に15年ぶりである。その街の変貌ぶりには、今の中国の勢いを感じずにはいられない。
上海に向かった目的は、2013年に日本で開校しようとしている全寮制インターナショナルスクールに中国の富裕層がどのような反応を示すかを探るためだった。
学校は、アジアを中心に世界各国から生徒を募集する予定だ。この際、奨学金を給付してきてもらう優待生と同じくらい、自費で学費を支払ってでも日本で学びたいという生徒をいかに集められるかが、学校の成否の鍵を握る。アジアで最も勢いがある中国から日本に生徒を呼べるか、大いに気になるところだ。知人に紹介してもらった何人かに話を聞くうちに、小林は確信した。
「日本は、まだいける」
自然が豊かで治安が良い日本に、学術レベルが高く内容の充実した学校があれば、ぜひ子供を入学させたい――そんな中国富裕層の声を聞いて、小林は少し胸をなでおろした。
米名門校の校長と自宅でランチミーティング!
香港では、あるフィリピン人に会った。アメリカトップ10に入る名門の全寮制高校で評議員を務めている。アジア人が評議員になるのは、その全寮制高校では初めてのケースだという。
実は、その名門全寮制高校の校長が近々日本を訪れるという情報を、小林は事前に入手していた。
「アメリカで『トップ10スクール』と称される高校が、今、アジアに注目しています。その全寮制高校では日本の卒業生会を訪問したり、生徒募集の説明会などを行ったりするために、校長が来日を予定していたようです」(小林)
ぜひ日本で会って話をしてみたい。こう熱望した小林は、日本の卒業生をまとめる会長に話をしただけでなく、香港に住む評議員にも自分の思いを伝えておきたかった。
こうした努力が実を結び、2010年12月、小林はとうとうその名門全寮制高校の校長と面会の約束をとりつける。「せっかくの機会、何か印象に残るような形で会えないか」と考えた末に申し出たのは、自宅に招いての“ランチミーティング”だった。
ホームパーティーに慣れているアメリカ人とは言え、初対面での自宅招待はかなりのインパクトがあったようだ。つかみはOK。食事をしながら話も盛り上がり、当初1~2時間の予定だった会合は、3時間半を超えるものとなった。ここで小林は痛感したという。「教育は、やっぱり『人』だ」。
2世紀を超える歴史を持つ古い全寮制高校の校長は、就任して間もなく、年齢は40代だった。元数学教師で、学校の卒業生でもある。校長に同行していたのは、60代のベテラン教師、卒業生会の責任者、生徒募集の責任者。バラエティに富んだ面々であった。
迎えるのは、小林と、軽井沢インターナショナルスクール設立準備財団で共同代表理事を務める谷家衛。知人のシェフに頼んでイタリアンのランチを用意し、テーブルを囲んだ。
開口一番、校長は「なぜこのプロジェクトを行っているのか」と尋ねてきた。どうやら先方も、小林らのプロジェクトには関心を寄せていたようだ。
小林はいつものように、自分たちのプロジェクトについての思いを情熱的に説明した。
彼女がそもそも教育に生涯を捧げたいと思うようになった原体験としての、カナダの高校時代そしてフィリピンの国連職員時代の話。日本初となる全寮制のインターナショナルスクールで実現する、本当の意味での多様性(ダイバーシティ)。そのために必要な、充実した奨学金制度。「日本らしさ」を基盤とし、アジアから世界に通用するリーダーシップを育てるカリキュラム。地域のコミュニティとも共存する学校に――。
「彼らが『その通りだ』と強く賛成してくれたのは、『教師と生徒こそが学校の資産』という私たちの意見でした。グローバル化が進む世界の未来を担う子供たちが学習・成長するために、我々大人には何ができるのか。学校のミッションと、それに共鳴する教師と生徒、これがすべてだと。200年以上の歴史を持つ学校でも、それは同じなんですよね」(小林)
4人は口を揃えて言った。「歴史がないとか、名前がないとか、そういう次元の話じゃない。『教師と生徒が学校にとって一番の宝なのだ、ということをあなた方自身が思っている』、そのことこそが大事なんだ」。小林と谷家にとっては心強い言葉であった。
彼らとはまた、「生徒の自主性が重要だ」ということでも意見が合った。トップ10スクールとも呼ばれる学校であれば、親の希望で入学を考える生徒も多いだろう。しかし、親元を離れて全寮制学校で3年間を過ごすためには「自分で選んでここへ来た」という気持ちを生徒自身が持つことが不可欠である。それは、小林らもかねてから感じていたことだった。
「全寮制学校で学ぶということは、決して容易いことではありません。勉強面もハイレベルでチャレンジが必要になってきますし、集団生活を送る中ではケンカや揉め事もあるでしょう。様々な困難を乗り越えながら、しっかり自立してたくましくならなきゃいけない。その時、自分でこの道を選んだという責任が持てる子供であればこそ、伸びていけるんだと思います」(小林)
名門校教師も直面する「多様性」の問題!
4人に気づかせてもらったこともある。例えば、奨学金の制度。彼らの学校では、全体の4割近い生徒に奨学金を出しているが、その対象者は主にアメリカ人で、アジア人にはほとんど枠がないという。アジアからの留学生は裕福な家庭の子供たちばかりだ。
「これには驚きました。学校を日本で設立して奨学金を設けても、海外の名立たる学校にはどう対抗していくのかという話は以前から出ていたのですが、そもそもアジアの子供たちにとっては、奨学金によってアメリカのこうした学校に留学できるチャンス自体が少なかったという可能性もあります」(小林)
小林が「私たちは、優秀な子供たちには国籍を問わず奨学金を出していきたいと思う」と話すと、彼らは「それは非常にいいことだ」と賛成してくれた。ただ、そこにある大きなハードルについての指摘も忘れなかった。
それは、「奨学金対象者の国の事情をどのように把握して、選定基準を決めるのか」ということ。自国の家庭であれば税金の申告書類などを見ればその経済状況もすぐに分かるが、海外であればそれは難しくなる。まして、法整備が整っていないような国ならなおさらである。
「とてもよい指摘でした。私たちとしては、サマースクールの生徒募集などを通して実地で判断していくしかないと思っています。この国の場合はこのルートを通せば私たちの教育哲学に合った優秀な生徒が募集できる、といった経験を模索しつつ重ねていく必要がありますね」(小林)
また、話をする中で、小林は校長の高い意識を垣間見た。トップ10スクールには、世界中から生徒が集まって来る。しかし、生徒がどんどん多様化していく一方で、教師はアメリカ人ばかりで、しかも同じ学校に20~30年といった長期にわたって勤務する傾向にある。教師自身が多様化していない点を、校長が問題視していたのだ。
「生徒たちの多様化に、教師が実体験としてついていけていないと言うんです。だから先生をもっと外に出したいと。伝統ある名門校でそんな問題意識を持つことができるなんて、本当に度量が大きいですよね」(小林)
校長は言った。「生徒たちのバックグラウンドを知るためにも、教師たちはもっと海外へ出て教鞭をとるべきだ」。
ただし、アメリカ人教師が海外で教鞭をとろうにも、そもそも英語で授業できる学校でなければならない。この条件を、小林らが作ろうとしている学校は満たしている。なおかつ、教育方針にも共感できる。2011年のサマースクールには、ぜひ教師を送りたい――校長らからは願ってもない提案が寄せられた。
話は盛り上がった。最初は「水で結構」と言っていた4人だったが、「私たちの未来に乾杯しましょう!」と、ワインも開けられることになる。強力な助っ人を得た瞬間だった。
いったい何を教えればいいのか!
もちろん、トップ10スクールの若き校長と同じように、小林らもまた学校の「多様性」を重んじる。それは募集する生徒もそうだが、授業の内容についても同じだ。「私たちは、ただアメリカの先生を連れてきてアメリカの教育をしたいわけではありません」と小林は強調する。
学校のカリキュラム作成は、昨年のサマースクールを終えたすぐ後から着々と進んでいる。それは、サマースクールに参加するために海外から来日した3人の教師による惜しみない協力があってのことだった。
サマースクールが終わってからの2日間、スタッフは軽井沢に留まって「エデュケーターズ・ワークショップ」として、海外からサマーキャンプに参加してくれた教師や国内外の大学教員、また南アフリカでリーダーを養成する高校の設立に関わった女性などに教えを請うた。学校のコンセプトはどうあるべきか、カリキュラムをどのように作ればいいのか、マネジメントの仕組みや教師の採用基準はどう考えればいいのか・・・。あらゆるテーマを議論した。
「特にサマーキャンプの教師を務めてくれた3人の先生たちは口を揃えて、『一生に一度あるかないかのチャンスだ』と言っていました。歴史ある学校の先生たちにとっても、自分たちで一から学校を作り上げる経験はなかなかできませんからね。実は先ほどの名門学校以外にも、もう1校、私たちのサポーターの方がご紹介下さった米国の名門校が、同様の興味を持って下さっているんです。その学校でも私たちの今年のサマーキャンプに先生を派遣することを考えて下さっています」(小林)
ワークショップに参加してくれた教育者たちは、それぞれの国に戻ってからも協力を惜しまない。現在は、無料インターネット電話サービス「スカイプ」を使って、日本のカリキュラム開発メンバーと月に1~2度の会議を行っている。毎回、2~3時間を費やす熱の入れようである。また、大学教員の1人は第二言語習得の専門家であり、今後、英語を母語としない日本やアジアの生徒が英語での高度な学習内容をこなしていくための英語プログラムを開発することになっている。今年4月にはバンクーバーで一堂に会し、カリキュラム内容の最終決定をする予定である。
「科目をひとつとってみても、話し合うべきことはたくさんあります。例えば社会科。経済学は大学でも社会人になってからでも初歩から学ぶことができます。であれば、感受性豊かで心が柔らかい高校生の時期に様々な国からきたクラスメートと共に歴史を学ぶことは何ものにも代えがたい経験になるはずだから、社会科のカリキュラムの中では経済学よりも歴史をより重視すべきではないか、といった具合です。また、歴史を学ぶにしても、様々な国籍の生徒が集う教室で、アジアの歴史をどのような角度から教えていくべきかなど、論点はいくらでも出てきます」(小林)
カリキュラムの基準にしようとしているのは、世界的に大学入試の資格として認められている教育課程「国際バカロレア」だ。その一方で、日本の文部科学省が提示している学習要項からはあまり逸脱し過ぎないようにする必要がある。そのまま両方を教えようというのでは、生徒はいくら時間があっても足りない。
「学習要項の枠組みに準じたうえで、どうやって国際バカロレアの要素を入れていくか、今まさに模索しています。芸術の授業で演劇を扱うなど、知恵を絞っているところです」(小林)。
学校に賭ける思いは大きい。その分、カリキュラムに対する理想も高くなる。
全体のカリキュラムを構成していくうえでのキーポイントは3つある。1つは世界に通用する実践的な「リーダーシップ」教育。2つ目は、あらゆる物事について問題提起できる力を養う「デザイン思考」の導入。3つ目は「アジア」の学校ならではの教育プログラム。
リーダーとは、谷家の言葉を借りれば「自分の人生を、自分の信じること、情熱を感じることを貫き、思いきり生きることができる人。そして、他者の共感まで引きだし感化させて、新しいモノを作り上げたり周りの人間に良いインパクトを与えたりできる人」。そのために、何を教えていかなければならないのか。「デザイン思考」は、昨年のサマースクールで授業を行っている。その成果を踏まえて、内容を詰めていかなければならない。「アジア」の一員として日本で学校を開く意義についても、世界中の人に対して明確に示していかなければならない。
考えなければいけないのは、授業だけではない。どんな課外活動をし、放課後や週末はどのように社会との接点を持たせるか。
「リーダーシップのあり方は、100人の生徒がいれば100通りある、と私たちは考えます。学校全体を生徒が主体となってチームで役割を担いながら運営するなど、全寮制ならではの経験を通じていろいろな役割のリーダーシップを体験してもらうことで、自分なりの個性を活かす方向を見つけてもらいたいんです。それからアウトドア活動やアジア各国でのフィールドワークもカリキュラムに組み込んで、生徒には、受動的に社会を見るだけではなく、授業や寮生活での学びを総動員し、『その土地の社会問題を解決するために自分たちに何ができるか』といった視点から、物事に取り組んでもらいたいと思います」(小林)
さらに、学校を卒業した後の進路についても、視野に入れていかなければならない。「海外の名門高校でも、カレッジカウンセラーはとても重要と位置づけられていて、あらゆる大学とネットワークを築いています。その大学がどんな生徒を求めているかを熟知していて、かつ生徒一人ひとりをよく見ているんです。学力だけではなく、『この生徒はどこに行ったらハッピーか』を提案し、入学するためにしなければいけないことも助言する。それができる人材も、私たちの学校には必要だと思っています」(小林)。
現時点で最大の悩みは土地の入手!
カリキュラムは形になりつつあるが、学校設立に向けてやらなければならない作業は山積みだ。2011年上半期の課題の1つは、書類申請関係である。内閣府から「公益法人認定」を得るための書類は、昨年12月に申請した。この認定が得られれば、「寄付金控除」の対象となる。「学校設置許可」や「特例校申請」といった各種許認可申請に向けた書類も準備しなければならない。
そして今、学校を設立するために不可欠な土地探しが難航している。軽井沢という目標を掲げながらも、条件に合う土地がいまだに確保できていない。
「少人数クラスと言っても、1学年に50人で計150人の生徒が通う学校です。しかも全寮制で、先生方も家族と一緒に寮に住むことを考えると、だいたい200人くらいの宿泊施設が必要になります。のびのびスポーツができるグラウンドも用意したいということになると、ざっと見積もっても7000~1万平方メートルの土地が必要です」(小林)
それだけの広大な土地はなかなか出てこない。立地が重要なことも、昨年のサマースクールで分かった。生徒たちが病気にかかったりケガをしたりした際に、場合によってはすぐに病院へ運ばなければならない。あまりに街から離れていては、緊急時の対応が遅れてしまう。
今年の春までに決めなければ、2013年の開校はかなり難しくなる。主な不動産はすべて回った。「正直、120%満足、という土地にはまだ巡り合えていない」という小林。
設立資金をできるだけ奨学金や教育の中身に振り分けるためにも、本音を明かせば「土地については寄付や非常に廉価での取得が望ましいところ」(小林)。しかし、なかなか現状は厳しいようだ。今は有力候補の土地の所有者と条件交渉を行ないながらも、「よりよい」土地との出会いを求めて、支援者などの助けを借りながら奔走している最中だ。
本当に2013年に全寮制インターナショナルスクールができるのか――。まだまだ予断を許さない状況ではある。刻一刻と時間は過ぎていく。まもなく、今年のサマースクールの募集が始まる。
メタンハイドレート
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88
読売新聞 1月30日(日)
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、次世代資源の切り札として期待される日本近海のメタンハイドレート開発のため、海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」を使った海底掘削調査を2月5日から実施する。
日本近海の海底はメタンハイドレートの宝庫で、埋蔵量は国内の天然ガス消費量の約90年分に上るとの試算もある。ただ、海底下の厳しい低温高圧環境に封じ込められ、取り扱いが難しい。採掘の際にメタンガスが異常噴出し、制御不能になるといった事故を防ぐには、事前に地質を綿密に調べ、採掘の地点や方法を注意深く決める必要がある。
今回の調査では、水深700~1000メートルの海底を100~400メートルくらいまで掘り抜き、ハイドレートを取り巻く層の地質構造や、掘削穴とパイプの安定性などを調べる。ちきゅうは、海底下7000メートルまで掘り進める、世界最高性能の掘削船。学術探査を目的に建造されたため、コンピューター断層撮影法(CT)などの高度な分析装置まで搭載し、海底地質の調査能力は飛び抜けている。
◇近海の宝」掘り出せ メタンハイドレート 世界最大の試験装置導入!
2011.1.11 産経ニュース
天然ガスの原料として海底などに眠っているシャーベット状のメタンガス、メタンハイドレートの採取に向けて、政府が今春、世界最大の室内試験装置を導入して本格的な実証を開始することが10日、分かった。メタンハイドレートは日本近海に大量に存在することが確認されている。平成24年度には海洋実験に乗り出す方針だ。実用化されれば、石油や天然ガスなどを輸入に頼る日本のエネルギー戦略にとって画期的な技術となる。
メタンハイドレートは日本近海のほか、南シナ海やロシアの永久凍土地帯などに存在している。油田のように掘り当ててもメタンガスが噴出することはないため、採取技術をめぐり日本や米国、韓国、中国などが国家プロジェクトとして研究を進めている。
今回、世界最大の室内試験装置を設置して実証実験を行うのは、経済産業省が所管する独立行政法人産業技術総合研究所。これまでの採取実験で、130気圧の状態で存在するメタンハイドレート層を30気圧に減圧すれば、最も効果的にメタンガスを取り出せる仕組みを突き止めており、これを応用することにした。
具体的には、海底のメタンハイドレート層に接した部分まで井戸を通し、ポンプで海水を吸い上げる方法でメタンハイドレート層にかかる井戸内の気圧を下げて、気泡状のメタンガスを発生させる技術を確立したい考え。3月に産総研のメタンハイドレート研究センター(札幌市)で井戸を想定した内径1メートル、高さ3メートルの世界最大となる室内産出試験装置を導入し、井戸に必要な強度などの調査に乗り出す。
メタンハイドレートは、日本近海の東部南海トラフだけで日本の天然ガス年間消費量の13・5年分に相当する約1兆1400億立方メートルの存在が確認されており、現在のガス田の埋蔵量ランキングにあてはめると世界20位程度に位置する。
このため、政府は6年から通産省(現経済産業省)が中心となって基礎的研究を開始し、12年に開発検討委員会を発足させて技術開発に乗り出していた。
経産省・資源エネルギー庁は30年度に商業生産技術を確立する計画で、実験費用などとして23年度予算案に89億円を計上。「減圧法による海洋や漁業への影響も、ほとんど問題のないことが分かっている」としており、実用化を急ぐ考えだ。
世界一強欲で2番目に大きな経済が破裂した時・・・
2011.01.29(Sat)JBプレス 川嶋諭
中国のコラムで人気の宮家邦彦さんの記事が中国を代表するネットメディアに転載された。と言っても、私たちが英エコノミスト誌や英フィナンシャル・タイムズ紙の翻訳権を得て記事を掲載しているのとは違う。無断転載だ。
中国の代表的なメディアがJBpressから無断転載!
環球網に載ったのは、宮家さんのこの記事「なぜ日本人の対中親近感は急降下したのか」だった。
10年前に比べて日本人が中国に親しみを感じると答えた人が20%も急落、その理由を分析したものだった。
恐らく、中国にとっても日本人の気持ちの変化は注目すべきテーマだったのだろう。
しかし、環球網は環球時報という人民日報系の国際評論を専門とする新聞社が運営するネットメディアである。中国を代表するネットメディアの1つと言っていい。
そこが、発行元である私たちに何の連絡も、もちろん翻訳権の話もなく、勝手に記事を翻訳して掲載する。
しかもご丁寧なことに、宮家さんの記事の中から天安門事件に触れた部分はすべて削られている。記事に改竄を加えているわけだ。
宮家さんの元の記事にはコメントが3通寄せられていたが、環球網に載った記事には260通ものコメントがついている。
宮家さんによるとそのほとんどが日本人と日本に対する罵詈雑言だという。
さすが中国の大手メディア。その影響力は計り知れないと脱帽させられるが、中国を代表するメディアが著作権など全くお構いなしというのはいただけない。
欧米や日本ではあり得ない話だが、中国ではまかり通る。日本を抜いて世界第2位の経済大国にのし上がった中国は、いつまで国際的なルールを無視して自分勝手を貫くのだろう。
逆に、半年ほど前だったか、中国の新華社通信が記事を買わないかと営業に来た。政府系のメディアとして中国では無料で配信している記事の翻訳権を相当な値段で買えと言う。自分たちの権利だけは欧米や日本ルールでしっかり主張するお国柄らしい。
ベトナム人の少女を拉致、中国で人身売買!
そう言えば、以前紹介した北朝鮮の女性を売春婦として人身売買していることを指摘した記事「岡崎議員は見て見ぬふりなのか、中国が北朝鮮女性の人権を蹂躙」と似たような事件を、1月28日付の朝日新聞が報じていた。
中国とベトナムとの国境付近で、ベトナムの少数民族の若い女性を拉致して中国国内で売春婦として売り飛ばしているというのである。
21世紀の世界第2位の経済大国・国連の安保理常任理事国で起きていることなのだ。
人身売買の件は政府の取り締まり不十分が原因だとしても、著作権に関しては確信犯であることはまず間違いない。上海万博のテーマソングの例もある。
そうした中国が大変な勢いで力をつけている事実を私たちはもっと真剣に考える必要があるだろう。私たちの常識が通用しない強国といかに付き合いどんな対応が必要か。
米国が世界に誇る企業を手に入れた胡錦濤!
その意味で今週の谷口智彦さんのこの記事「GE、中国と仰天のディール」は重要な指摘だった。
既にレームダックと化している胡錦濤国家主席の訪米はめぼしい成果はほとんど上げていないと日本や米国では見られているが、実は違うというのである。谷口さんは記事の最後で次のように書く。
「それでも帰路、胡錦濤氏は機中の人となり、GEと交わしたあれこれを思っては微笑を浮かべたかもしれない。訪米は総じて成功だったとすら思わなかったか」
中国が今回の胡錦濤国家主席訪米でもらった最大のプレゼントは、米国を代表する企業ゼネラル・エレクトリック(GE)からの技術供与だと言うのだ。
GEは周知の通り、発明王エジソンが起こした会社である。中興の祖と言える前会長兼CEO(最高経営責任者)であるジャック・ウェルチ氏によって大胆にリストラされ、経営資源を成長分野に徹底的に振り分けた。
中国が喉から手が出るほど欲しい航空電子システム!
現在の会長兼CEOであるジェフ・イメルト氏は利益率が8%を下回るような事業はGEがやるべきではないとし、ウェルチ氏以上の決断力で事業の再構築に取り組んだ。
航空機産業やヘルスケア産業、エネルギー産業など最先端で高い成長が見込める事業ばかりを世界中で展開している。米国を代表する企業、というより世界の企業の鏡とも言える会社である。
バラク・オバマ大統領は、そのGEの技術を胡錦濤国家主席への手土産とした。これは日本や米国のメディアはほとんど指摘しないが、衝撃的な事実ではないかと谷口さんは言う。
「何と言っても特筆すべきは航空技術分野での提携だろう。GEは今度の合意によって、中国航空工業集団公司(AVIC)と、折半出資のジョイント・ベンチャー(JV)を上海に作ることになった」
「AVICとはほかでもない、先頃ロバート・ゲイツ米国防長官が訪中のさなか、時期を合わせたかのごとく新鋭戦闘機の試験飛行をやってのけた当の会社である。ステルス性に富む次世代戦闘機、J20とか、殲20と呼ばれる例の機体だ」
供与したハイテク技術は必ず軍事転用される!
「そんな会社にGEは航空電子システムを供与するという。民間機用だから精度は軍用に比し何段階か劣るとして、もしやGEは高を括っているのだとしても、中国はハイテクのかたまりエイビオニクス(航空電子技術)を喉から手が出るほど欲しかったはずだ」
これらの技術供与によって、中国の航空産業やエネルギー産業は一層成長の速度を上げるに違いない。これは、成長産業で日本にとっても強力なライバルとなる可能性がある。
例えば、三菱重工業が開発している三菱リージョナルジェット「MRJ」との競合は避けられない。民間の技術競争だけならまだしも、それはほぼ間違いなく軍事転用され、仮想敵国である日本や米国に向けられる。
今回のオバマ大統領のプレゼントは歴史的な贈り物になるかもしれない。
オバマ大統領にすれば、中国を通貨や通商問題などで国際的な土俵に乗せるための気持ちだったのかもしれないが、果たして中国にその意識があるのか。何しろ通貨問題一つとっても全く譲る気配がない。
通貨問題に全く取り組まない唯我独尊!
英FT紙のマーチン・ウルフ氏は「中国がドルを愛するのを嫌がる理由」の中で次のように書いている。
「中国にとって解決策は、今のような規模でドルを買うのをやめ、人民元がより速く上昇するのを認めることだ」
「これは確実に調整の問題を生む。しかし、こうした調整は中国の利益になる。調整を進めないと、中国はさらに多大な外貨準備を積み上げる羽目になり、自国の金融システムを歪め、金融の統制力を失う恐れさえあるからだ」
「しかし、今見られる証拠は、中国はまだ非常にゆっくりとしか動くつもりがないことを示唆している」
そして、最後にこう悲鳴を上げている。
中国のマンションは1億円以上がざらに!
「胡主席に対する筆者のアドバイスは単純である。中国があの忌むべきドルの横暴から逃れたいのであれば、買うのをやめろ、というものだ。どうかお願いだから」
中国は現在のような政策を続ければ、中国にとって大きな問題になることは分かっている。すでに過熱した経済は、バブルとなって表面化しているからだ。
大都市の不動産価格は急上昇。高層マンションでは1億円以上の物件がざらだという。日本のバブル最盛期を髣髴させる。
そのため、ここに来て、行き過ぎた投機を防ごうと固定資産税の導入を一部で試み始めている。しかし、焼け石に水とはこのことだろう。
では、なぜ問題が分かっているのに中国は本格的な改革に着手できないのか。そのことを示しているのが柯隆さんのこの記事「格差固定のコネ社会を待ち受けるもの」である。
日に日に強まるクローニーキャピタリズム!
「中国の経済と社会システムは市場メカニズムを取り入れ、平等をモットーとする社会主義の理念はわずか20年で姿を消した。一部の保守的な左派の論者は、現行の社会システムが毛沢東路線から大きく逸脱してしまったとして、猛烈な批判を展開している」
「とはいえ、毛沢東路線への逆戻りは、もはやできない。人々の私利私欲が膨張し、他人よりも豊かになろうとするモチベーションは、予想以上に高まっている」
「そして、あの手この手で一度富を手にした者は、それを保持し続けるために、家族内で継承しようとする。結果的に中国ではクローニーキャピタリズム、すなわち縁故重視型の経済の色彩が日に日に強まっている」
この一度富と既得権益を得た人々が、それを絶対に手放したくない、家族内で継承させたいという強い気持ちが、改革を妨害するのである。
固定資産税やさらに検討されている相続税の導入は、こうした既得権者には徹底的に嫌われる。しかも、政治を司る人たちが、そうした既得権益者なのだ。
政財界の個人資産は1人平均30億円!
「中国人民解放軍の元大佐・辛子陵氏によれば、政財界にいる約3000人の太子党は個人資産が平均で2億元(約30億円)に上ると言われている」
こうして中国はバブル経済を膨らまし続けていく。その結果待ち受けるのはバブル崩壊だろうが、それは世界経済にとっても深刻な影響を及ぼすことになる。既に、中国をはじめとした新興国の高成長は資源や食料の高騰となって表れている。
それを示しているのが英エコノミスト誌のこの記事「騰勢強めるコモディティー価格」だ。
「コモディティーが2008年のような盛り上がりを見せている。石油価格は1バレル=100ドルにあと一歩まで迫り、2008年10月以来の高値をつけている」
「本誌(英エコノミスト)が算出している指数で見ると、世界の食料価格は2008年7月のピーク時の水準に戻っている。昨年11月初頭から17%も値を上げた銅も史上最高値を記録している」
リーマン・ショックは単なるきっかけにすぎなかった!
世界は2008年のリーマン・ブラザーズの破綻によって大きな経済的ダメージを受けた。しかし、リーマンの破綻は実は根本原因ではなくきっかけにすぎなかった。
世界が不況へと突入した原因は、リーマン破綻の1年以上前から世界中を覆い始めていたコモディティー価格の高騰だった。
「最近の大不況(great recession)は、概して金融危機に端を発したとされているが、実は米国経済が投資銀行リーマン・ブラザーズ破綻の1年近くも前から収縮を始めていた事実は忘れられがちだ」
「カリフォルニア大学のジェームズ・ハミルトン教授は、大不況の原因は石油だったと考えている。2007年末から2008年第3四半期にかけての景気悪化は概ね、2007年初頭以降の石油価格の上昇で説明できると教授は言う」
バブル化した経済で世界の資源を買い漁る中国。そして、米国の景気回復も軌道に乗り始めたことで、食料や資源に対する需要はさらに強くなると予想される。
中国と米国が原油価格をつり上げる!
中でも世界経済にとって大きいのが石油の需要だとエコノミスト誌は書く。
「ゴールドマン・サックスのジェフリー・カリー氏は、米国の石油需要が回復すれば、中国と『衝突』することになると懸念している。というのも中国は現在、 2007年実績を23%上回る量の石油を消費しているからだ」
中国の需要増などだけでも既に1バレル100ドルに迫る状況の中、世界最大の需要国である米国で本格的な景気回復が始まれば、騰勢は一気に高まるに違いない。
「中国ではほかにも、銅の消費量が63%、綿花と大豆の消費量が18%増加し、ワインの消費量も増えている」
世界経済は大きな転換点を迎えつつあることは間違いない。恐慌はどこか1カ国が原因で起きるのではなく複合的な原因で発生する。しかし、中国という世界一強欲な経済が、強欲さを控えるどころかますます強めているのは世界にとって心配の種だ。
格付けに疎い首相がダボス会議で何を話すの?
先進国経済は景気回復期に入ろうとしている矢先ではあるが、既に遠くに聞こえてくる大恐慌の足音が空耳になることを願うばかりである。
そして、いまやピエロになった感がある日本の首相。下半身が問題にされているイタリアの首相の方がまだましかもしれない。米国の格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に日本国債の格付けを8年ぶりに1段階引き下げられた。
そのことを聞かれて、「そういうことにはちょっと疎いので」とコメントを避けた。まあ、いい。揚げ足を取るつもりは全くない。たかが民間の格付け機関の判断などに日本の首相たる者がコメントしないのが慣例であるらしいから。
しかし、民主党政権になって2年続けて税収より国債の発行額が上回るという異常事態がその大きな原因であることの認識が全くないのだろうか。そういう首相が社会保障費を確保するために消費税の増税を与野党で議論しましょうと平気でおっしゃる。
ダボス会議にはどうしても行きたいそうだが、そこで何を話すつもりなのか。日本人が世界で笑いものにされないように、ぜひ発言には細心の注意を払ってほしいものだ。
2011/01/27 フォーサイト
社民党は昨年5月に連立政権を離脱したものの、12月に再び民主党との連携強化を模索し始めるなど、完全な野党ではなく重心を与党に置いた存在である。だが、その社民党の福島瑞穂党首は1月19日の記者会見で、自民党の肩を持たざるを得なかった。
「よくも裏切ったな、絶対に許さない――。自民党がそういう気持ちになるのは大変理解できる」
福島氏が言っているのは、14日の内閣改造で、与謝野馨氏が経済財政担当相に起用されたことである。このとき、福島氏は尋常ではない怒りをみせ、菅政権に対して次々と非難の言葉を浴びせかけた。
福島氏の怒りは、主に与謝野氏が消費税増税論者だという点に向けられている。自民党を引き合いに出したのは、増税論を牽制するためのだしに使ったのだろう。
ただ、福島氏の発言には、自民党の比例代表で復活当選した与謝野氏が昨年4月に自民党を離党して「たちあがれ日本」を結成し、挙げ句の果てにそこも離党して民主党政権の閣僚になったということについて、自民党の悔しさと恨みの念を慮(おもんぱか)ったという意味も込められているのではないか。というのも、社民党も連立離脱のきっかけとなった米軍普天間飛行場移設問題や成立を目指してきた労働者派遣法改正などで、民主党に裏切られ続けてきたからである。
「菅は信用できない」!
菅直人首相は1月13日の民主党大会でも、社会保障と税制に関する一体改革を進めるための与野党協議に関して、野党が協議に参加しないのなら、「歴史に対する反逆行為である」などと、あえて挑発的な言辞を弄して、自民党の反発を買った。
自民党の逢沢一郎国対委員長は1月19日、記者団から、「与謝野氏の入閣は社会保障改革の与野党協議に障害になるのか」と尋ねられて、こう吐き捨てた。
「障害になるに決まっている。どういう心境なのかね。人の心情を逆撫でするようなことをしておいて……。それで、自分の言うことを聞かなければ『歴史に対する反逆』だってぇ。おい、けんか売ってんのか」
売られたけんかは買わねばならぬ、というわけでもないだろうが、自民党の谷垣禎一総裁とたちあがれ日本の平沼赳夫代表は同夜、東京・虎ノ門のホテルオークラで会談し、「1日も早く菅政権を倒すために両党は協力する」ことで一致した。たちあがれ日本の党幹部によると、会談の中では、さらに、菅首相が逃げる可能性が指摘されたという。「逃げる」というのは、次のような意味だ。
まず、社会保障改革も消費税率引き上げも、民主党内の意見はまとまらない。だが、そのままでは改革案を示せず、民主党が国民の批判を浴びる。そうならないために、菅首相は与野党協議に野党を引きずり込む。ここでも意見がまとまらない。菅首相はやむを得ず「野党が反対したのでまとまらなかった」と言って改革を断念する。
つまり、菅首相が改革失敗の責任を野党に押しつけるために与野党協議を呼びかけている、という筋書きだ。
ずいぶんな言われようである。野党側の勝手な推測であり、さすがに菅首相がそこまでずる賢いというのは言い過ぎの感がある。ただ、ひとつだけはっきりと言えるのは、自民党とたちあがれ日本の菅首相への不信感が頂点に達しているということだ。
「一体改革も与野党協議も必要だ。だが、菅は信用できない」
出席者の1人は会談後に記者団に向かって、こうつぶやいた。
ここまで敵愾心をあおってしまったら、自民党やたちあがれ日本が与野党協議に乗ってくるわけがない。菅首相は一体改革を進めるために与謝野氏を入閣させたはずだ。しかし、逆に両党を激昂させ、与野党協議の開催を困難にしてしまったのだ。
政策実現への戦略は?
第177回通常国会が24日に召集された。この国会の最大のテーマは、言うまでもなく2012年度予算案と関連法案である。ねじれ国会のもとでは両方とも参院では否決される可能性がある。予算案については、憲法60条に基づいて衆院優越の原則が適用されるため、参院が否決しても成立するが、関連法案は衆院で再可決が可能な3分の2以上の議席がないためそうはいかない。赤字国債の発行などを規定する関連法案が成立しなければ、予算は事実上執行不能となる。その場合、菅首相は衆院解散・総選挙で信を問うか内閣総辞職するかを選ばざるをえないという窮地に陥るだろう。
また、国会審議とは別に今年前半の政策上の大きな2つのテーマとして、一体改革と環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加問題がある。いずれも、菅首相は24日の施政方針演説で、与野党協議を呼びかけて6月までに結論を出すと言っている。
関連法案成立を含めたこうした難題の解決について、菅首相はあきらかに野党の協力をあてにしている。ところが、野党の協力を必要とする一方で、逆に野党の怒りを買うようなことばかり繰り返している。
「菅首相は一体、何を考えているのか」。民主党幹部のひとりはそう言って、ため息をつく。野党の協力がほしいのかほしくないのか。与党内にも、菅首相は理解不能だという声が充満している。
菅首相はTPPによって「平成の開国」を目指すとしている。一体改革によって「最小不幸社会」を作るとも言っている。だが、それをどのように実現させるのか。野党の反発を招いた最近の菅首相には、戦略が決定的に欠けている。
菅首相が人の心を読めないことは、与党内にもひびを生じさせている。内閣改造当日の1月14日午後、国民新党の亀井静香代表は菅首相から首相官邸に招かれた。改造人事はすべて決定済みで、次々と新閣僚が官邸に呼び込まれようとしていた。
官邸の特別応接室で、菅首相を待つ亀井氏は不満顔だった。国民新党は連立与党の一角を占めているにもかかわらず、その党首である亀井氏に対して閣僚人事の相談がなかったからだ。菅首相を待ちながら、亀井氏はあきれ顔で、小さな声で周囲につぶやいた。
「全部決めてから、セレモニーに呼ぶんだから、ふざけたもんだな」
ほどなく菅首相が現れ、亀井氏に対して、国民新党の自見庄三郎郵政改革・金融相留任を含めて、人事を細かく伝えた。その上で、亀井氏に「これから自見大臣を最初にここに呼び込みます。一緒にいてください」と話しかけた。だが、亀井氏は静かな口調でこう返答した。
「もういい」
与野党の幅広い協力を得て改革を進めようとしている菅首相。だが、気配りに欠けているというか、人徳がないというか……。国民新党も菅首相を見限り始めている可能性がある。
仙谷氏を非難した鳩山氏!
一方、民主党内に目を向けると、いまだに小沢一郎元代表の資金管理団体に関連する政治資金規正法違反事件が尾を引いている。民主党執行部はこの問題に早急に幕を引いて混乱を収束させたいようだが、むしろ党内対立は深まっている。
執行部は通常国会召集を前にした1月中旬、党所属議員に対して希望調査書を配布した。衆参両院にはそれぞれ所掌事務に応じて、内閣委員会や総務委員会、外務委員会、厚生労働委員会など20~30程度の常任委員会・特別委員会等が設置されており、各党は本人の希望や適性に応じて各所属議員を各委員会に振り分ける。調査書は、今国会でどの委員会に所属したいかを議員に尋ねるものだった。
だが、配布された調査書の「回答欄」を見て、一部の議員は目を疑った。そこには、外務委員会などと並んで当然記載されているはずの「予算委員会」と「政治倫理審査会(政倫審)」の欄がなかったのだ。これでは、予算委員会や政倫審の委員になりたいと思う議員は、自分の希望を伝えられない。
執行部の意図はあきらかだ。通常国会では、小沢氏の問題が大きな焦点になる。とりわけ小沢氏の政倫審出席や衆院予算委員会での証人喚問が注目されている。これらのメンバーを反小沢系の議員で固めれば、小沢氏を追い詰めやすくなる。要は、議員らの要望を聞くことなく、予算委と政倫審については執行部にとって都合のいいメンバーをそろえようというわけだ。
小沢氏と近い鳩山由紀夫前首相は19日、反小沢系議員の筆頭格であり現執行部の陰の主役でもある仙谷由人代表代行と会談し、次のように非難した。
「予算委と政倫審を外して希望をとっているとうかがっていますが、こういうことをなさらない方がいいんじゃないでしょうかね。いろいろと憶測を呼ぶことになりますよ」
だが、仙谷氏は「これは国会対策委員会がやっていることですから」と、木で鼻をくくったような回答に終始した。
「Aチーム」対「Bチーム」
前国会まで予算委員でもあり政倫審委員でもあった川内博史氏は小沢寄りの議員として知られており、小沢系議員排除の動きを報道で知って19日に国対幹部らに直談判で留任を要求した。
「改造にしても執行部人事にしてもBチームを排除する方向で進んでいるという報道がなされている。それはおかしいのではないか」
だが、希望を受け入れられず、21日に党執行部が発表した今国会の委員会人事で、川内氏はその両方から排除された。見過ごせないのは、川内氏が「Bチーム」という言葉を使っている点である。これは、現時点での党内主流派である反小沢系=親執行部系がAチームであり、自分たち親小沢系はBチームという意味だろう。ねじれ国会に一枚岩で立ち向かわなくてはならないときに、民主党ではすでに事実上のチーム分けがなされているのだ。
川内氏は同日、同じく小沢系議員として知られる森ゆうこ参院議員とともに岡田克也幹事長に質問状を手渡した。内容は小沢氏追及はもうやめて党内対立を解消して予算案成立に全力を尽くすべきだという趣旨である。
質問状を見た岡田氏は、こう要求した。
「質問状の差出人は誰でしょうか。議員有志と書いてあるが、これは誰のことだ。名前を明らかにしてください」
これに対して、森氏はこう答えた。
「名前を明らかにしなくてはいけませんか。皆びくびくしているんです」
そうして、2人は賛同者の名は秘したまま、自分たちの氏名だけを書き込んだ。他の議員の実名を書けば、その議員が役職をはずされるのではないかと懸念したというのだ。森氏が言っていることが事実なら、民主党内では今、独裁国家で国民が粛清を恐れているといったような雰囲気が広がっていることになる。これでは、党がいつ分裂してもおかしくない。民主党が割れれば政権は崩壊する。
逆に小沢系議員の言うがままに小沢氏追及をないがしろにすれば、菅首相は国民の支持を失うだろう。近く小沢氏は強制起訴される予定だ。もうすぐ菅首相は政権維持のために、小沢氏を切るべきかどうか、つまり離党を勧告するかどうかという判断を迫られることになる。
時事通信 1月27日(木)
菅直人首相は27日午後の衆院本会議で、金融機関で預金者の死亡などで長期の利用がない「休眠口座」について「(国が)活用できる道がないか、内閣、民主党として、あるいは他党の皆さんにも検討いただきたい」と述べた。新党日本の田中康夫代表への答弁。
田中氏は「休眠口座の預貯金を金融機関から国家へと移譲する法改正を行い、それを元手に新しい公共施策を展開する英国を見習うべきだ」と提案。これに対し、首相は「そういう活用はあってもいい」としながらも、「金融機関の財務への影響など多くの論点があり、慎重な検討が必要だ」とも述べた。
◇田中康夫の東京ペログリ日記リターンズ
8月27日(金)
平河町のヘッドオフィスでスタッフ・ミーティング。議員会館の自室で金融庁監督局の面々と「休眠口座」に関して意見交換。
任意団体の全国銀行協会は、「流動性預金及び自動継続定期預金以外の定期性預金のうち、最終取引日以降、払い出し可能の状態であるにも拘らず、長期間移動のないもの。自動継続定期預金のうち、初回満期日以降、長期間継続状態が続いているもの」を「睡眠預金」と定義。「最終取引日以降10年を経過した睡眠預金」で、「残高1万円以上の睡眠預金については、(1)最終取引日から10年を経過した日の6ヶ月後迄に各預金者の届出住所宛に郵送による通知を行った上で通知が返送されたもの(2)残高1万円未満の全ての睡眠預金について利益金として計上」と規定。早い話が金融機関の"不労所得"として処理。
例えばの話、配偶者を始めとする親族に内緒で貯蓄していた預金者が死亡した場合、件の口座の存在を遺族は知り得ず。金融機関のみが把握。10年後の時点で「各預金者の届出住所宛に郵送による通知を行っ」ても、遺族が居住している可能性は極めて低く、転居先への転送期間も既に終了。故に金融機関の"不労所得"。
一昨年、僕が金融庁に照会した段階では、益金処理した「休眠口座」の睡眠預金に関するデータを、日本で活動する民間銀行や地方の銀行協会等が構成員の全国銀行協会は持ち合わせず。詰まり、調査自体を行っていないって事。今回、改めて金融庁に具体的数値の把握を求め、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガ銀行に聞き取り調査した結果、'22年3月末に303億円、21年3月末に242億円を「利益金」として益金処理。金融機関全体として毎年、数千億円を超えると想定。
イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相は休眠口座の預貯金を、国が新たに設ける「ビッグ・ソサエティ・バンク」に「寄付」する法改正を行い、NPO支援を始めとする社会施策の元手とする構想を発表。グラミン銀行の英国版。日本でも同様の取り組みを行ったなら、無利子非課税国債の発行と並んで、真っ当な「財源」の誕生だね。
で、10年ならぬ5年で、郵便貯金の「休眠口座」を、ゆうちょ銀行の"不労所得"でなく国家への「寄付」とする法改正を、日本郵政株式会社の株主たる日本政府が敢行すれば、全国津々浦々の国民も拍手喝采。巨額の公的資金投入を受ける一方で、頭取等の役員年収は1億円を超え、他方で過去15年間に亘って法人事業税を1円も納税していないメガバンクを始めとする市中金融機関も、同様の仕組みを受け入れざるを得ない展開に。亀井静香財務大臣誕生の暁には可及的速やかに実施を!
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魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!