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DIAMOND online 【第24回】 2010年7月27日 竹井善昭 [ソーシャル・ビジネス・プランナー/株式会社ソーシャルプランニング代表
「企業は社会貢献した方が儲かるし成長する」。連載当初から筆者はそう主張してきた。もちろん、これは、筆者のオリジナルな考え方ではないし、筆者だけが唱えてきたことでもない。
経営学の神様マイケル・ポーターを筆頭に、世界中の数多くの学者、企業経営者、社会起業家が唱えてきたし、実証もされてきたことだが、最近はこの「社会貢献資本主義」ともいうべき考え方、つまり工場や金融工学が利益を生むのではなく、社会貢献が利益を生み出す「資本」であることが、体系的な理論として確立されはじめている。
社会貢献資本主義にとって、非常に重要な本が最近、日本でも出版された。ダニエル・ピンクの『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(大前研一訳 講談社刊)がそれで、簡単に紹介すると、「企業は社会貢献した方が社員のモチベーションが上がって成長するよ」ということを、さまざまな科学的研究成果を元に論じたものだ。
これまでも、社会貢献に関心のある企業人などは、なんとなくそうかなあと感じていたが、この本はそれを科学的に明らかにした本であるといえる。社会貢献に関心のある人だけでなく、「社会貢献なんて甘っちょろいこと言ってんじゃないよ!! 企業の目的は金儲けだ!!」と信じてやまない守旧派のビジネス・パーソンも、世界的なビッグウェーブに乗り遅れて溺れ死にたくなければ読んでおいたほうがいいだろう。
グラミン銀行とユニクロが提携!
柳井会長も期待するBOPビジネスの可能性
最近の日本企業の動向を見ていても、勢いがあって利益を出している企業のほうが、この社会貢献資本主義的な考え方をよく理解し実践しているように思える。その代表的な例が、ユニクロ事業を展開するファーストリテイリングだ。なんと、バングラデシュのグラミン銀行と提携して、同国で合弁事業を行なうと発表した。
当連載の読者にはグラミン銀行の説明は不要だとは思うが、社会貢献初心者のために念のために簡単に解説すると、1日1ドルや2ドルで生活しているようなバングラデシュの最貧困層に数ドル程度の事業資金を貸すというマイクロファイナンスという事業モデルを成功させ、貧困層を救うために必要なのは「施し」ではなくて「投資」だということを実証して見せた銀行だ。この事業モデルは、世界中の金融機関が取り入れ、世界の貧困の解消に大きく役立っている。
この功績により、グラミン銀行と創始者のムハマド・ユヌス氏は2006年のノーベル平和賞を受賞している。
グラミン銀行グループはこれまでも、世界的な食品会社であるダノン(ボルヴィックの会社)と提携してグラミン・ダノン・フーズという会社を設立するなど、多くの事業を展開している。これらの事業は単なる営利事業ではなく、バングラデシュの貧困層の生活を向上させる社会貢献事業でもある。今回のファーストリテイリングとの合弁事業もその一環として行なわれる。
この合弁会社は、貧困層でも購入できる1ドル程度の服を製造し販売する。素材調達から販売まで行なうことで雇用を創出し、バングラデシュの人たちの生活向上に貢献するという。
グラミン銀行グループのムハマド・ユヌス氏によれば、バングラデシュでは「服がないから学校に行けない子どもや、衛生用品が手に入らず苦しんでいる女性がいる」という。【クローズアップ2010:ユニクロ、グラミン銀と社会的事業 海外展開へ布石--毎日jp(毎日新聞) より】
また、ファーストリテイリングの柳井会長は、
「これまで主に先進国を対象にビジネスを広げてきたが、世界にはそれ以外の国に住む人々が約40億人いる。バングラデシュは将来性のある国。人々の生活をサポートし、世の中の役に立つソーシャル・ビジネスを開発することで、将来的に大きなビジネスになる」
と記者会見で語っている。【ファーストリテイリング、グラミン銀行とソーシャル・ビジネス始動――2010年07月13日ファッションニュースより】
世界の貧困層向けのソーシャル・ビジネスを「BOPビジネス」と呼ぶが、そこに今後のグローバル企業の成長戦略があることを、柳井会長は語っている。
コーズ・マーケティングに新たな動き。
20社が集まったブックオフのタイアップ
BOPビジネスがグローバル戦略の切り札なら、コーズ・マーケティングは国内市場に向けたマーケティングの切り札だ。ボルヴィック、王子ネピア、アサヒビール、森永製菓、アメックスなど、数多くの企業がコーズ・マーケティングを販売戦略に活用している。
*コーズ・マーケティングについての詳細は、当連載でも解説しているのでご覧いただきたい。第2回「売上げよりも、“ミッション”ありき。それでも売れている「チャリティ商品」の秘密
コーズ・マーケティングは、商品の販売が社会問題の解決に役立つという側面もあるが、多くのケースで売上げを伸ばしているという効用もある。対前年同月比で概ね10%程度。多い場合は40%も売上げを伸ばした事例もある。マーケティング的に有効であることが実証されているので、企業も導入しやすいという事情もあるだろう。
それで、コーズ・マーケティングを導入する企業が増えているが、最近では新たな動きも出てきた。コーズ・マーケティングの「タイアップ」である。
書籍、CD、DVD、ゲームソフトなどの買い取り・販売を行なうブックオフは、8月1日から31日までの1ヵ月間、「BOOKS TO THE PEOPLEプロジェクト」(以下、BTPプロジェクト)を展開する。
これは、期間中にブックオフで買い取った書籍、CDなどのリユース品の買い取り点数に応じた金額(3点で1円)が教育支援NGO「Room to Read」に寄付され、スリランカの子どもたちのために図書館・図書室が建設されるというプログラムだ。
昨年8月から開始され、昨年度は約1300万円が寄付され、図書館3館、図書室18室が建設された。期間中の来店者数、買い取り点数共に対前年同月比で10%以上、アップしたという。また、加盟店や従業員からも好評で、「ブックオフで働くことの誇りを持つことができた」という声も上がったという。
この成功をうけて今年も展開するわけだが、今年の特徴としては数多くの企業がこのプロジェクトにタイアップしていることがある。タイアップの方法はシンプルだ。「ブックオフに本やCDなどを売ると、買い取り点数3点につき1円が寄付される」という仕組みだけが共通で、この仕組みを活かした方法を、タイアップする企業のニーズや事情に合わせて独自にカスタマイズできる。
たとえば、飲食チェーンの企業であれば、自社の店舗にBTPプロジェクトのポスターを掲示して来店客にプロジェクトの告知を行なうこともできるし、社員に呼びかけてプロジェクト実施期間中に不要な本などをブックオフに売ることを呼びかけるという方法もある。
大企業から社会起業家が設立した社会的企業まで、20社を超える企業がこのプロジェクトに参加を決定、または積極的に検討中だという。
コーズ・マーケティング・タイアップでは、ボルヴィックとタイアップした三洋電機の例が有名だ。また、中間支援団体のチャリティ・プラットフォームが展開した「SayLove」キャンペーンには33社が参加した。(2009年12月~2010年3月)
しかし、1営利企業が実施するコーズ・マーケティングにこれほど多くの企業が参加するという事例は聞いたことがない。これは、コーズ・マーケティングの新しい地平を切り開いた事例だと思われる。
キーワードは「大義への共感」。
ネットワークでプロジェクトが成長
コーズ・マーケティング(Cause Related Marketing)はその名の通り、Cause(大義)が生活者に共感されることが重要だ。共感がなければ、商品の購買動機にはならない。共感を得るためには、「知ってもらう」ことが重要だ。途上国の子どもたちに、図書館がなぜ必要なのかを知ってもらわなければ、図書館建設プロジェクトに共感は生まれない。
逆に、初等教育においては読書が重要で、しかし途上国では十分な読書を可能にするだけの本が不足していることが理解してもらえれば、図書館建設という大義は共感を得られる。
この「大義への共感」は、さまざまな企業が展開することが可能だ。コーズ・マーケティングは本来、ワンコーズ・マルチユースが可能な手法なのだが、これまでそのような発想がなぜか無かった。その意味で、ブックオフがBTPプロジェクトに数多くの企業を巻き込んでいるのは、コーズ・マーケティングが本来持っているポテンシャルを最大限、引き出している例だと考えられる。
BTPプロジェクト協力企業に、参加の理由を聞いてみた
三井住友カードは、会員向けのネットショップ「ポイントUPモール」などで、ブックオフのインターネット買取サービス「宅本便」を紹介し、プロジェクト実施期間中に不要な本やCDなどをブックオフに売却するようプロモートする。また、専用ページを設けて「宅本便」サービスを利用したカード会員に対するポイント・プレゼントも実施する。さらに社員に対しても、BTPプロジェクトへの参加を呼びかける。
顧客、社員を巻き込んだタイアップを実施するわけだが、その理由を三井住友カード担当者はこう語る。
「弊社ではCSRを重視する経営を行なっていますが、社員のみならずお客様を含め、幅広い方々に参加頂けるCSR活動として、BTPプロジェクトに参加しました」
CSR活動に顧客を巻き込む考え方は、CSRの正しい方向性である。CSRは今後、ますます顧客を巻き込む方向に進化するだろうが、BTPプロジェクトは、そのために利用しやすい仕組みだともいえる。
首都圏でガラス卸販売を行なっているマテックスは、社内にBTPのポスターを掲示して社員にプロジェクト参加を呼びかける他、8月5日木曜日に開催される「としまエコライフフェア2010」での出展ブースなどでもポスターを掲示し、来場する親子連れなどにBTPプロジェクトの取り組みを広く広報する予定だ。
マテックス社長の松本浩志氏は、BTPプロジェクトに参加した理由をこう語る。
「不要な本など、活用されていない資源を活用することができる仕組みなので参加することにしました。他社の取り組みかどうかは問題ではありません。また、ブックオフさんは、地域に根付いたビジネスを展開されていますし、リユースというテーマで活動されている。そこは、弊社の理念と通じるものがあり、共感できた。そのような理由もあります」
マテックスは、環境省登録の地球温暖化対策地域協議会『エコ窓普及促進会』の設立を支援し、本社内に事務局を設置するなど、エコ活動に積極的な企業として知られている。また、社長の松本浩志氏は、社会起業家育成の中間支援団体「ETIC」が実施する「ソーシャルベンチャー・スタートアップマーケット」事業のサポーターを勤めるなど、社会貢献活動に熱心な若手企業家としても知られる。
つまり、マテックスがBTPプロジェクトに参加するということは、社長である松本氏のソーシャルなネットワークにBTPプロジェクトが組み込まれるということを意味する。これは、プロジェクトの成長に大きな意味を持つ。
コーズに共感してもらえれば、さまざまな分野で活躍するキープレイヤーの共感を得られ、協力を得られ、強力なネットワークを築くことができる。そのことが、プロジェクトを大きく成長させ、そこに参加する企業を成長させることができる。タイアップ型のコーズ・マーケティングは今後の大きな流れとなるだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B8%8B%E3%82%8A
7月29日15時1分配信 毎日新聞
政府は29日、所管関係にある民間企業へ公務員を出向させる対象を審議官ら幹部公務員に広げる方針を固めた。審議官らが省庁を退職した後、出向経験のある民間企業に再就職する「天下り」も条件付きで認める方向で、8月中に人事院規則を改正する。
今回の措置について、政府関係者は「各省庁の天下りあっせん禁止に伴う人事滞留の解消と公務員総人件費抑制が目的」と説明する。しかし、6月には幹部公務員が独立行政法人や特殊法人などへ出向することを解禁したばかり。「現役の天下り」を拡大する今回の措置には、天下り根絶を主張する、みんなの党など野党が反発するのは必至だ。また、審議官など幹部公務員の出向や退職後の天下りがなし崩し的に広がれば「官民癒着」への懸念も出そうだ。
国家公務員の民間企業への出向制度は現在、00年にスタートした官民人事交流制度に基づいて運用されている。人材育成を目的に係長や課長補佐クラスの中堅・若手が対象で、期間は原則3年(5年まで延長可能)。その間の給与は民間企業側が負担している。行政権限を持つ審議官ら幹部公務員については、これまで「民間との癒着や押しつけ的な天下りの温床になりかねない」として禁止していた。
毎日新聞が入手した人事院規則の改正案によると、出向できる対象者を審議官や部長、管区機関の長など幹部公務員に拡大。省庁の所管企業であっても、審議官らが出向前の2年間に所属した部局が直接、監督関係などになければ出向を認める。審査を通じて、すべての民間企業と所管関係にある特許庁などは従来、出向が禁じられていたが、今回の改正で直近2年間に審査した企業でなければ、出向を可能とする。
幹部公務員が退職後、かつての出向先企業に再就職することについても「制度の趣旨に合わず適当ではない」としつつも、「出向の成果を公務に十分還元したと認められる場合はその限りではない」と条件付きで容認する方針を盛り込んでいる。
政府は6月、「公務員の退職管理基本方針」を閣議決定。官僚の独法や特殊法人などへの出向を拡大、日本郵政やNTT東日本など38法人を新たな出向先に決めている。【三沢耕平】
【ことば】官民人事交流制度
00年3月に施行された官民人事交流法に基づく措置。金融機関を含めた民間企業が対象で、交流先企業は人事院が公募して決定する。行政処分を受けた企業や、政府の資材調達などで国と契約関係にある企業については、一定の制限を設けている。昨年末時点で国から民間への出向者は9府省61人、民間からの中央省庁への出向者は13府省157人。
*公務員制度改革 克服できる?頓挫の歴史!
毎日新聞 2010年7月7日 東京朝刊
参院選で消費税に焦点があたる中、各党は国家公務員の人件費削減などによるムダ削減を競うようにアピールしている。しかし、あるべき公務員制度の改革像についての論戦は影をひそめ、「政と官」のあり方が問われた昨年の衆院選とは様変わりした。「古くて新しい課題」とされる公務員制度改革だが、その道のりは険しそうだ。【三沢耕平】
◇議論半世紀、問われる実行力!
「渡辺喜美さんは天下りについていろいろ言われるが、何でもかんでも民主党のやることは0点で、自分は100点というのは、ちょっと言いすぎではないか」。菅直人首相は4日、千葉県市川市での演説で、公務員制度改革で民主党批判を続けるみんなの党の渡辺代表に反論した。
渡辺氏は安倍政権で公務員制度改革担当相を務めた後、麻生政権での制度改革に不満を抱いて自民党を離党。みんなの党を結党して急進的な改革を訴えることで一定の支持を集めている。しかし、霞が関には拒否反応が強く、「(参院選で)みんなの党がどこまで票を伸ばすか不安だ」(経済官庁幹部)との声が漏れる。
渡辺氏が行革相だった08年、民主党との協議で成立にこぎつけたのが国家公務員制度改革基本法。幹部の人事を一元管理する「内閣人事局」の設置やキャリア制の廃止など、改革のメニューと工程を盛り込んだプログラム法で、現在の民主党政権もこの基本法を踏襲している。
政府は先の通常国会で、内閣人事局の設置や新しい幹部人事制度などを盛り込んだ法案を提出。みんなの党と自民党も共同で対案を提出したが、人事局の規模や降格人事のあり方を巡って歩み寄りは見られず、政府案は廃案となった。
民主党政権の「改革マインド」には、政権交代直後から疑問符がついた。昨秋には元次官を起用した日本郵政社長人事などで、野党から「天下り禁止の原則に反する」と批判を受けた。
当時、公務員制度改革担当相だった仙谷由人官房長官の下で制度改革に携わった官僚の一人も「野党時代の仙谷氏からは想像できないほど改革にかける熱意は感じられなかった」と振り返る。
公務員制度改革には給与法改定など人件費や人員を削減しやすくする環境整備が求められているため、「組合を支持母体にする民主党に改革はできない」(自民党中堅)との見方が出ている。
公務員制度改革の歴史は古く、昨年12月まで政府の公務員制度改革推進本部事務局次長を務めた岡本義朗・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員は「長年の議論で改革すべき項目は出尽くしているのに、ほとんど実行されずに頓挫の歴史を繰り返してきた」と指摘する。
改革の検討が本格的に始まったのは1960年代。当時、政府内に設置された第1次臨時行政調査会(第1次臨調)の答申をみると、官僚機構の縦割りの弊害や人事制度の閉鎖性を問題視し、幹部職員の一括採用を提案するなど、現在の公務員制度改革に通じる提案が並ぶ。
その後、橋本政権や森政権などでも同様の趣旨の答申が繰り返されており、岡本氏は「政党には、官僚の抵抗や政治的な利害が絡む中で、どう改革メニューを実行に移していくかが問われている」と話す。
◇天下り「根絶」か「あっせん禁止」か
民主党は昨年の衆院選マニフェストで、政治家と官僚の関係や公務員制度に深くかかわる「5原則・5策」を記載したが、今回の参院選では公務員制度改革の全体像についてほとんど触れていない。マニフェストの巻末に記した公約の進ちょく状況の中で「天下りのあっせんを実質的に禁止した」と明記。その一方で「あっせんによらない『隠れた天下り』は続いており、政権交代前の天下りを一掃できていない」と改革が道半ばであることを指摘している。
自民党マニフェストは「天下りの根絶」を明記し、「公務員版のハローワーク」とやゆされる官民人材交流センターの廃止を盛り込むなど、与党時代にはなかった厳しい改革姿勢をみせている。公明、社民党、たちあがれ日本も「天下りの根絶」を明記し、「天下りのあっせん禁止」を主張する民主党との違いを鮮明にしている。みんなの党は「国家公務員の10万人削減」や「給与2割、ボーナス3割カット」など急進的な改革メニューを並べた。
~総予算の組替えで元気な日本を復活させる~
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201007/__icsFiles/afieldfile/2010/07/27/23yosankumikae_1.pdf
7月27日22時28分配信 ロイター
政府は27日夕に臨時閣議を開催し、2011年度予算の概算要求組み替え基準を決定した。新成長戦略などに重点配分するための「元気な日本復活特別枠」を創設し、その規模は「1兆円を相当程度超える」額とすることを決めた。
既に閣議決定した歳出の大枠71兆円の範囲内で、無駄遣いの根絶や総予算の組み換えを
徹底させ、特別枠の財源を捻出。各省庁の要求額は10年度当初比で一律10%減を原則
とした。
また、来年度国債発行額は「平成22年度(2010年度)当初予算の発行額(約44兆円)を上回らないよう全力を挙げる」とし、財政健全化への取り組み姿勢も明記した。
政権交代後初の本格的予算編成となる11年度予算の概算要求基準決定を受け、菅直人首相は官邸内で記者団に対し、「政治主導を象徴している」と述べ、財務省主導との見方を否定した。
概算要求基準は「新成長戦略を着実に推進し、元気な日本を復活するための極めて重要な予算」と位置づけ、省庁を越えて予算配分を大胆に組み替えることなどで目標とする経済成長や国民生活の質の向上を目指す。
前年度比で10%削減する各省要求の対象は、歳出の大枠となる71兆円から社会保障費、地方交付税交付金、高校無償化・農業戸別所得補償・高速道路無料化のマニフェスト項目を除いた24兆円程度。この10%に当たる2.4兆円から社会保障費の自然増分1.25兆円を差し引いた1.1兆円強が現時点で確保可能な「特別枠」の財源となる。もっとも、民主党は特別枠2兆円を主張しており、その実現には、さらなる歳出削減が必須となる。
一方、10%を超えて削減要求を行った場合は、その差額の3倍を「特別枠」に加算できる仕組みとした。
組み替え基準の概要は以下の通り。
1.元気な日本復活特別枠
デフレ脱却を含めた経済成長の実現、国民生活の安全・安心、新しい「公共」の推進など、元気な日本を復活させるための施策に予算の重点配分を行う仕組みとして「元気な日本復活特別枠」を設定。
規模は、1兆円を相当程度に超えるものとし、歳出の大枠である、約71兆円の枠内で、特別枠の規模を大きくするため、無駄遣いの根絶や総予算の組み替えに徹底的に取り組む。
要望内容は1)マニフェスト実現、2)デフレ脱却・経済成長に特に資する事業、3)雇用拡大に特に資する事業、4)人材育成、国民生活の安定・安心に資する事業。
各大臣は、「要望」にあたって、個々の施策の経済成長への寄与度、雇用増の見込みなどを可能な限り明らかにするとともに、優先順位を明確にする。
特別枠の配分は、外部の意見なども踏まえて政策の優先順位づけを行う「政策コンテスト」を実施し、最終的には首相が判断。
2.無駄遣いの根絶・総予算の組み替え
無駄遣い根絶や総予算の組み替えに対する取り組みはいまだ不十分。
今後、マニフェストの工程を管理しながら、政治行政への信頼を回復し、元気な日本を復活させるための財源を確保するためには、その取り組みをさらに徹底させることが必要不可欠である。
3.財政健全化への取り組み
財政運営戦略に基づく歳出の大枠(約71兆円)は堅持し、国債発行額についても、平成22年度当初予算の発行額(約44兆円)を上回らないよう、全力を挙げる。
4.予算編成の透明性強化の推進
「特別枠」の配分において行う「政策コンテスト」を公開手法で実施することにより、予算配分の一部を国民に開かれた形とする。
(ロイターニュース 吉川裕子記者 伊藤純夫記者)
*MOFウオッチャー:概算要求基準の実効性に疑問の声?
2011年度予算の概算要求組み替え基準について早くも実効性を疑問視する声が出ている。
参院選大敗で危機感をもつ民主党内の歳出圧力が高まっているためで、創設が決まった「特別枠」の規模では早くも政府・民主党内の認識のギャップが表面化している。分野別の歳出削減目標設定など歳出削減に向けた具体的な議論を先送りしてきたつけが、政府に重くのしかかっている。
政府は26日午前、予算編成に関する閣僚委員会を開き、2011年度予算の概算要求基準の原案をまとめた。成長戦略やマニフェスト(政権公約)関連の新規政策に重点配分する「特別枠」について「1兆円を相当程度超える額」で決着し、民主党が要望した2兆円規模から圧縮。また、各省庁の要求額は原則1割削減とする方針も決めた。政府は27日午前の閣僚懇談会で全閣僚と意見交換したうえで、同日中に臨時閣議を開いて閣議決定する段取りを描いている。
しかし、一律10%カットに閣内から異論が出ている。一貫して反対してきた前原誠司国土交通相は「考え方は変わらない」とし、「明日の閣議で議論したい」とはねつけている。同相は16日の閣議後会見で「マニフェストでは4年間で1.3兆円の公共事業を削るということで、国土交通省では1年で達成している」とし、「公共事業をさらに1割削減し、それを(特別枠に)回すということは納得しかねる」と述べ、公共事業のこれ以上の削減には応じられないとの考えを主張している。
一方、特別枠の規模については、早くも政府・民主党内の認識のギャップが表面化。仙谷由人官房長官は26日午前の会見で、来年度新規国債発行を今年度当初の44兆円を上回らないように予算を組むことに配慮し、玄葉光一郎政調会長を説得したと説明し、減額の方向性をにじませた。これに対して枝野幸男幹事長は26日夕の会見で、「2兆円規模はしっかり確保していただけるものと認識している」と述べ、政府のスタンスをけん制している。
迷走の原因の一端は、分野別の歳出削減目標設定を避けてきたことにもあるとみられる。政府は6月に閣議決定した中期財政フレームで、歳出の大枠を10年度当初比横ばいの71兆円とし、新規国債発行は10年度当初の約44兆円以下とすることを決定した。さらに予算編成では「ペイアズユーゴー原則」を守ることも決めた。しかし、肝心な歳出改革については具体論まで踏み込んで議論された形跡はなく、徹底した無駄の排除という姿勢を示すのみだった。
そもそも71兆円の枠内で、新規国債発行の上限を順守しようとすると、2兆円の特別枠の財源をねん出することは困難だ。社会保障関係費と地方交付税交付金を除く基礎的財政収支対象経費は25兆円弱。その10%を削減することで2兆円を超える財源が生まれるが、社会保障関係費の自然増1.3兆円を除くと残りは1兆円程度。当初、財務省を中心に「特別枠」の規模を1兆円とする方向で検討されたのも、ペイゴー原則を守るとの閣議決定が背景にあった。
仙谷官房長官は26日午後の会見で、政府・民主党内の不協和音を察知して「議論があったほうが良い。1日か2日、それがどっちに転ぼうと気にしていない」と述べ、27日の閣議決定が遅れても十分な議論を尽くすべきだとの認識を示している。歳出削減方法や財源ねん出の議論はこれからだが、政府・与党内からも今回の概算要求基準に対して「(歳出)削減に対する意志が感じられない」との声が聞かれる。政府・与党内のギャップが埋まらないまま概算要求基準が決定すれば、その実効性が問われかねない。
(ロイターニュース 吉川 裕子記者 伊藤 純夫記者;編集 石田仁志)
上杉隆
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%9D%89%E9%9A%86
報償費
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%98%E6%88%BF%E6%A9%9F%E5%AF%86%E8%B2%BB
記者クラブ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%98%E8%80%85%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96
日本において、官房機密費問題がこれほどまでに「タブー」であるとは正直、想像の範囲を超えていた。政治側の問題のことを言っているのではない、普通の国ならば当然に、官房機密費の使途をチェックする側のはずのマスコミ、その不作為とごまかしのことを言っているのだ。
それは、この問題の根深さの象徴であると同時に、優秀だとされた日本の新聞・テレビが、実際は一流でもなんでもなく、三流以下の、さらにその下の最低の「犯罪機関」に成り下がっている証左でもある。
春から「週刊ポスト」誌上においてキャンペーンを続けている「マスコミ人に渡った官房機密費」の問題は、きわめて大きな反響を呼んでいる。
「週刊ポスト」誌には
女性からも声援が多数
「週刊ポスト」編集部には、例のないほどの好意的な声が多数寄せられている。しかも、セックスを売り物にした、上品とはいえないこの週刊誌に対して、女性読者からの電話も少なくない。これは創刊以来初のことだという。
それほどまでに、この問題に対する一般国民の怒りは深いのだろう。だが、記者クラブメディアはまだこの問題の大きさに気づいていない。いや実際は気づいているのかもしれないが、どのように対処していいのか、わからないのかもしれない。
記者クラブ問題を追及した時のように、筆者である私の存在を無視してしまうような手段はもはや通用しなくなっている。仮に、うまい具合に私を「抹消」できたとしても、それでは済まない事態が進行し始めている。
この問題に気づいた少なくない良心、とりわけ既存の記者クラブメディアで活躍している人々が声を上げ始めたのだ。
それは世代交代を伴った「革命」のようなうねりをこの国のメディアに及ぼしている。
フジテレビの「とくダネ!」にレギュラー出演している岩上安身氏は、「上杉殿、助太刀いたす」というユニークな表現でもって、早い段階から独自取材によってこの問題を追及しているジャーナリストの一人である。
岩上氏は「週刊大衆」やニッポン放送の番組の中で度々この問題を取り上げているが、何より自らユーストリーム上に設置した「岩上チャンネル」で独自の無料中継を行っているところが大きい。
一銭にもならない完全なボランティアだが、そのためだけに日本全国を飛び回り、マスコミに渡った機密費問題の取材を始めている。まもなく孫の誕生するフリーのジャーナリストが、生活を賭してまでこの問題を追うのは、これが日本という国家、さらには将来の国民にとって、放置できない重要課題だという認識があるからだという。
ツイッター、ユーストリーム、BS放送、
CS放送、ケーブルTVで広がる包囲網
評論家の宮崎哲弥氏も、この「マスコミ機密費問題」に敏感に反応したひとりだ。政治問題から距離を置いていたここ数年だが、やはり岩上氏と同様、これこそが日本の民主主義の根幹に関わる問題だとして発言を続けている。
自らのトーク番組「宮崎哲弥のトーキングヘッズ」(朝日ニュースター)では、ゲストに私を招いて、一時間、自由に話をさせるという冒険を冒し、さらに地上波のレギュラー番組にも、私(上杉)を出演させようと、粘り強い交渉を行っている。もちろん、こうした行為は宮崎氏にとって何一つ得はない。むしろ、現在の仕事をすべて失う可能性のある危険な行為ですらある。
こうした「冒険家」はまだまだいる。
ジャーナリストの小西克哉氏は、自身がMCを務める「インサイドアウト」(BS11)に筆者を呼び、毎日新聞の政治部編集委員と生放送での直接対決の場を作った。
同じく江川紹子氏も、地上波のいくつかのレギュラー番組の中で「記者クラブ」に触れたり、ラジオ番組の中では、このマスコミ機密費問題を批判したりしている。
とりわけ、彼女自身のツイッター上で、この問題に関する意見をつぶやき続けていることの影響は小さくない。
ツイッターといえば同じく水道橋博士も同様だ。立場的にはもっとも既存メディアからの圧力を受ける芸能界に身を置きながら、臆することなく、この問題について語っている。
作家の室井佑月氏も、彼女自身の連載やメディアの中で繰り返しこの問題について言及し、国民の「洗脳」を解くために、危険ではあるが、まっとうな評論を続けている。
著名人の中でこのマスコミ機密費問題をもっとも粘り強く追っているのが、ラジオ界のカリスマでもある吉田照美氏だ。
ラジオもまた心強い味方
7月31日には久米宏氏と生放送
吉田氏は、自身の番組「吉田照美のソコダイジナ」(文化放送)で、私(上杉)がレギュラー出演している水曜日、この件については私以上に熱く追及している。それだけではない。他の曜日も繰り返しこの件について言及している。さらに趣味の領域を超えた趣味ともいえる絵画の分野でも、「マスコミ官房機密費」をテーマに、「3部作」を仕上げ、次回の個展で発表するほどの熱の入れようである。
それもこれもメディアを知り抜いているからこそこの問題の重要性に気づき、敢えて「冒険」を冒しているといえよう。
ラジオといえば、久米宏氏も自身の番組「久米宏のラジオなんですけど」(TBS)でこの問題を取り上げている。しかも、今月末(7月31日)には、私をスタジオに呼んで、生放送しようという試みに挑む。
いいんですよ、ぼくはね、そのためにこの番組がなくなっても――」
先日、久米氏は放送中にこう言ってのけた。「ニュースステーション」の司会者としてテレビジャーナリズムの一時代を築いた「テレビ界の天才」にこうまで言わせるのはなにか。
だが、こうしたビッグネームの発言にも関わらず、テレビ・新聞の「一流メディア」は、この「マスコミ官房機密費」問題についてほとんど完璧に沈黙を貫いている。仮に、海外のメディアだったら、税金の一部が「賄賂」としてそれを追及するはずのマスコミに流れていたとわかったら「大キャンペーン」となっていることは間違いない。だが、記者クラブのある日本では、記事や番組で真正面から取り上げているのは皆無であることが不思議だ。
大新聞・テレビはごく一部を除き
相変わらずの狸寝入り
例外は、TBSの「ニュース23 クロス」で、マスコミの問題を微妙に避けながらも、松原耕二キャスターが最初に、そして執拗にこの問題を追及している。また、「東京新聞」の特報部は、5月21日に一度だけ記事にしている。ただし、わずかにこれだけである。いったいなぜマスコミはこの問題を避けるのだろうか。
いまや、新聞のテレビ番組欄に名前が載っただけで視聴率が跳ね上がり、著書も飛ぶように売れるジャーナリストの池上彰氏もまた、この問題にもっとも理解のあるひとりだ。
かつて、私が「記者クラブ問題」を追及して孤立している時、自身のFM番組にいち早く呼んで生出演させてくれたのも実は池上氏である。今回も、朝日新聞の自身のコラムで、真正面からこの問題を取り上げた(5月28日)。
〈(マスコミに機密費が渡ったことが)もし事実だとすれば、日本のジャーナリズムにとって深刻なことです。政府から機密費を受け取っていたら、政府の批判はしにくくなるでしょう。(略)こんな重大な問題なのに、朝日新聞を含めて新聞やテレビの追及はほとんどありません。どうしてなのでしょうか〉
こう書いた上で池上氏は次のように結んでいる。
〈朝日新聞の編集幹部や、朝日新聞出身の評論家、コメンテーター諸氏は、どうなのでしょうか。取材してみる記者はいませんか?〉
この問題を追及すれば、筆者のように新聞・テレビなどの既存メディアから追放される可能性もあるのだろう。だが、池上氏は少しも恐れていないようだ。以前、私がそうした危険性について指摘すると、池上氏は笑いながらこう応じたのだった。
「僕は少しも構いませんよ、干されたって。だって、NHKでもそうした経験はたくさんしてきましたから――」
権力とメディアの健全な緊張関係、それを構築することこそ日本の健全な民主主義のための第一歩である。マスコミに渡った官房機密費問題の解明はまさしく、そのために避けて通れない問題である。
そうした冒険を厭わない人々はここに挙げた以外にもたくさんいる。
日本のマスコミ界における「革命」は、静かに、だが確実に進行しているのだ。
「国家戦略局」がつぶされた本当の理由!
菅首相が国家戦略室を国家戦略局にする法案の国会提出をあきらめ、法的権限のない「知恵袋」に格下げするという決定は、(おそらく首相の予想以上に)大きな波紋を呼んだ。国家戦略局の法案を書いた、鳩山内閣の官房副長官、松井孝治氏が菅首相に直談判し、それをツイッターで「同時中継」したことも話題になった。
首相が今回の決定の理由を「国会で戦略局を創設する法案が成立する見通しがなくなった」と説明しているのはおかしい。参議院で通らないという意味なら、自民党などが明確に反対を表明している郵政改革法案や子ども手当のほうを先に手直ししなければならないはずだ。国家戦略局に反対を表明している野党はなく、みんなの党などは「内閣予算局」という民主党より強い政策を公約に掲げている。本当の理由は他にあるのではないか。
日本の予算編成は財務省の主計局で行なわれているが、予算は政府の基本方針なので内閣が編成すべきだという議論は自民党政権の時代からあり、橋本内閣の省庁再編のとき予算の基本方針などを調査審議する首相直属の組織として経済財政諮問会議の創設が決まった。これはアメリカの大統領経済諮問委員会(CEA)をモデルとし、経済学者などの専門家を議員として政府に助言する機関だった。
小泉内閣で経済財政担当相になった竹中平蔵氏は、諮問会議を最大限に活用した。民間議員に経済学者を入れ、毎年6月に「骨太の方針」を出して内閣としての方向性を打ち出し、公共事業や福祉予算の抑制を打ち出した。小泉首相は議長としてすべての諮問会議に出席し、「官邸主導」で予算編成を行なった。しかし小泉首相の官邸主導は、あまりにも彼の個人的な「名人芸」に依存していたため、彼の退陣後は諮問会議は形骸化し、「調査審議」する機関に戻ってしまった。
これに対して民主党は昨年の総選挙で、官邸主導を制度化するため国家戦略局を創設することをマニフェストの柱に掲げた。政権交代後は菅副総理が国家戦略室担当相になり、国家戦略局を設立する法案が成立したら正式に発足する運びだった。その政治主導確立法案では、国家戦略局は「予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整」を行なうことになっており、「調査審議する」だけの経済財政諮問会議より強い権限をもつ予定だった。
しかし昨年秋の臨時国会では、法案はできていたのに国会提出が見送られた。概算要求が大幅に遅れて日程が狂ったのが原因といわれるが、これが失敗だった。国家戦略室には法的権限がないため、予算編成では藤井蔵相(当時)が「予算は財務省の仕事だ」として戦略室にタッチさせなかった。通常国会でも、政治主導確立法案は時間切れで継続審議になった。
こうした状況を合わせ考えると、今回のシナリオを書いたのは首相ではなく、もっと強い「見えない力」が働いたと考えざるをえない。それはかつて諮問会議をただの有識者会議に戻したのと同じ力――財務省と霞ヶ関の既得権である。
予算編成を政治主導で行ないたいというのは、政治家の「見果てぬ夢」だが、財務官僚は金を使うのが好きな政治家にまかせたら財政が破綻すると思っているので、あらゆる手をつくして予算編成権を政治家の手から守ってきた。今回も、財務相だった菅氏を「教育」する時間はたっぷりあった。菅氏も消費税騒動で、財務官僚の応援なしに突っ走ると痛い目にあうことを実感したのだろう。
もちろん財務省にまかせているとシーリングのような一律削減しかできず、各官庁の既得権は温存される。しかし霞ヶ関という岩盤の最深部にある予算編成権という聖域に手をつけるには、民主党政権はあまりも弱体だった。これを変えるには、憲法を改正するぐらいの強い政治力が必要だ。次善の策として、法的には生きている経済財政諮問会議を復活させて、予算の「調査審議」だけでもやってはどうだろうか
経済財政諮問会議
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%B2%A1%E6%94%BF%E8%AB%AE%E5%95%8F%E4%BC%9A%E8%AD%B0
日本の経済史
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8F%B2
法人税
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E#.E9.96.A2.E9.80.A3.E9.A0.85.E7.9B.AE
*日本経済には「失われた20年」の大きな貯金がある! 2010年06月17日(木)15時42分
参議院選挙が7月11日に決まったが、今回も「不毛の選択」といわざるをえない。民主党は鳩山首相から菅首相に代わっても「行き過ぎた市場原理主義」を嫌悪して所得再分配ばかりいう方針は変わらない。それに対して自民党は「小さな政府」という対抗軸を打ち出すことに失敗し、選挙の争点がよくわからない。あとの新党は、ポピュリズムや意味不明なものばかり。この調子では、日本経済の「失われた20年」は25年ぐらいに延長されそうだ。
しかし逆に考えると、自民党政権がこの20年間やってこなかった宿題は、解決すれば日本経済を大きく改善する可能性がある。そのうち最大の「貯金」は、当コラムでも取り上げた法人税である。日本の法人税の実効税率は40.7%と、OECD諸国で群を抜いて高い。第一生命経済研究所の推定によれば、これをOECD平均の25%まで下げれば、今後10年間で6兆円以上(GDP比1.2%)の成長が見込めるという。
しかし財務省は、税収減を懸念して法人税の引き下げには慎重だ。たしかに短期的には税収は減るが、長期的には企業の設備投資や海外からの対内直接投資が増え、企業の海外逃避が減ることによって税収が増える効果も期待できる。EU(欧州連合)では、経済統合にともなってルクセンブルクなどの法人税の低い国に合わせる租税競争が起こり、ここ30年で平均税率が50%から30%に下がったが、税収(GDP比)はほとんど変わらなかった。
財政赤字の是正も、消費税という強力な武器がある。先進国の平均は15%程度だから、10%上げれば年間20兆円の税収増が見込める。これは現在の税収のほぼ半分に相当する大きな財源である。これを基礎年金の財源に充当して年金改革を行なえば、深刻な世代間格差の問題も多少はましになるだろう。
他方、歳出も抜本的な見直しを避けたまま水ぶくれしてきた。特に大きいのは、一般会計の29.5%を占める社会保障支出である。菅首相は「強い福祉による強い経済」という意味不明のスローガンを掲げているが、いま必要なのは「効率的な福祉」である。今後、高齢化が進むと、毎年1兆円ずつ社会福祉予算は増えてゆく。年金や医療を個人勘定にするとか、負の所得税のようなルールで所得を再分配するなどのしくみによって、社会保障費の膨張を押さえる必要がある。
さらに本質的な貯金は、政府がずっと先送りしてきた規制改革だ。いったん雇用した労働者は会社が倒産の危機に直面するまで解雇できないという規制は、企業の労働需要を低下させ、若年労働者の非正規化をまねいている。これを緩和するとともに、新卒一括採用に片寄っている雇用慣行を改めれば、労働人口の移動によって労働生産性が向上することが期待できる。
競争を阻害する規制を見直す規制改革も重要だ。流通の近代化を阻害してきた大店法(大規模小売店舗法)は、いったん廃止されたものの、新大店法(大規模小売店舗立地法)としてよみがえった。薬品のネット販売を規制したり、理髪店に洗髪台の設置を義務づけたりする「コンプライアンス」の名による既得権保護も横行している。官僚が周波数を恣意的に割り当てる社会主義的な電波行政で、日本の通信業界は危機に瀕している。
自民党はこうした既得権者との約束を守り、問題を先送りして負の遺産を積み上げてきた。これは逆にいうと、民主党が当たり前の政策を実行するだけで経済を改善できる資産を残してくれたことになる。しかし官僚機構は業界との約束を破れないので、政治家に正しい情報を上げない。だから大事なのは、むやみに「政治主導」を呼号することではなく、民主党が自前の政策立案能力を高めて官僚の嘘を見抜く力を身につけることだ。政策シンクタンクに投資すれば、貯金を効率的に運用するリターンは非常に大きいはずである。
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