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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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東国原英夫
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%9B%BD%E5%8E%9F%E8%8B%B1%E5%A4%AB

蓮舫
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%93%AE%E8%88%AB

猪瀬直樹
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%AA%E7%80%AC%E7%9B%B4%E6%A8%B9

海江田万里
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B1%9F%E7%94%B0%E4%B8%87%E9%87%8C

丸山和也
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E5%92%8C%E4%B9%9F

小池百合子
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B1%A0%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90

山田宏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%94%B0%E5%AE%8F

舛添要一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%9B%E6%B7%BB%E8%A6%81%E4%B8%80


8月27日12時19分配信 スポーツ報知

宮崎県の東国原英夫知事(52)が、来年4月に予定されている東京都知事選への出馬を検討していることが26日、複数の関係者への取材で分かった。次期県知事選(12月予定)には出馬せず、1期限りで知事を引退する意向をすでに固めている。引退表明は、9月定例県議会の閉会日となる10月12日になる見通し。宮崎県で手腕を振るい、高い支持率を得てきた同知事だが、さらなる「地方分権」を実現させるべく、都知事の座を目指すとみられる。

 複数の関係者によると、東国原氏が県知事引退の意向を固めたのは、8月上旬。親交のある政界関係者、芸能界の親しい友人ら数人に「2期目は出ない。県知事を辞めようと思う」と伝えた。来年1月の任期満了が迫り慰留の声が相次いでいるが、支援者からは「都知事選に出るべきだ」との声も多く、都政に関する資料や書籍も手に入れている。

 今年に入り、次期県知事選出馬を含め複数の案を検討していた。親しい関係者との会談の中で、東国原氏は「次期県知事選に立候補した場合、また選んでもらえるかなと思う」と自信を口にした一方で「宮崎は全国的な注目を集め、ブームを起こしたが、次は定番・定着化が必要だ。私が残ることで組織が硬直化していくのではないか」と揺れる胸中を語っていた。「国政に行くなら、60歳では遅い」とも話していた。「地方分権の実現に、一国会議員の力では限界がある」とも考えており、引退表明後は、より大きなフィールドである東京都知事選出馬を最優先に検討を進めている。来年4月には都知事選が行われるが、石原慎太郎都知事(77)は4選不出馬を明言している。

 東国原氏の関係者は「東国原知事から『東京で再スタートを切るので、何かあれば手伝ってほしい』と言われた」と明かした。

 07年1月に県知事に当選してからは「宮崎PR」に力を入れながらも、地方分権を自身の政治活動の中で最大のテーマとして活動してきた。09年8月の衆院選前には、自民党から出馬要請を受け、自身を「総裁候補」とするよう条件を突きつけると同時に、全国知事会が作成した「地方分権についての政権公約」を自民党が採用するよう求めている。また、特定の団体や組織の支援を受けず「しがらみのない政治姿勢」が支持されており、関係者は「派閥の意向を気にしなくてもいい立場。引退の意志は固い」と話した。県知事としての引退表明は、9月定例県議会の閉会日となる10月12日になる見通し。

 東国原氏は10日の記者会見で2期目の進退について、「口蹄疫(こうていえき)からの復興に向けて、今は2期目のことは考える余裕がない」とした上で「9月議会で表明するのが筋」と話している。議会内のどの時期に発表するかについては「わからない」と答えている。

 ◆東国原 英夫(ひがしこくばる・ひでお)1957年9月16日、宮崎県都城市生まれ。52歳。テレビ番組のお笑いコーナー出演をきっかけに、82年にビートたけしの一番弟子に。「風雲!たけし城」「スーパージョッキー」などに出演。90年、女優のかとうかずこ(現・かず子)と結婚。00年、早大第二文学部入学、04年に卒業、同年、早大政経学部に入学。06年2月、かとうと離婚。同3月、同大政経学部退学。07年1月、第52代宮崎県知事に就任した。

 ◆来春の都知事選候補者の情勢 これまでの都知事選で現職が立候補して落選したケースはないが、石原知事はすでに4選不出馬を明言している。作家の猪瀬直樹副知事(63)が“後継”することについて石原氏は「都知事の資格はある」と発言している。09年7月の都議選で初の第1党となった民主党は、99年の知事選で鳩山邦夫氏(衆院議員)、03年は樋口恵子氏(評論家)、07年は浅野史郎氏(元宮城県知事)を支援しているが、いずれも落選。政権交代後初となる都知事選に向け、知名度の高い候補者を中心に選定を進めている。

*東京を“仕分け”します…蓮舫、都知事選出馬の仰天情報!


9・14民主党代表選に向け菅直人首相(63)に対する包囲網が形成されつつある中、内閣の目玉である蓮舫行政刷新相(42)に関する仰天情報が駆けめぐっている。「来年4月にも予定されている都知事選に出馬するのでは」というものだ。これは“夏の怪談”か、それとも…。

 長野県・軽井沢の高級ホテルで夏休みを満喫している菅首相をよそに、蓮舫氏は11日、民主党政策調査会の行政刷新プロジェクトチーム役員会に出席。特別会計などを対象とした行政刷新会議の「事業仕分け第3弾」開始が、当初予定よりやや遅れ10月末になるとの見通しを報告。そのうえで、役員会では仕分け支援のための若手議員によるワーキンググループ(WG)のメンバー88人と、18日にWGの総会を開いて活動を始め、9月末までに刷新会議に結果を報告する日程を決めた。

 「国民が民主党に期待しているのは、税金の無駄遣いを改めてほしいということだ。チーム民主党で仕分けに臨みたい」と意気込む蓮舫氏だが、菅首相が衆参予算委員会などで煮え切らない態度をさらしていたのとは対照的に、年内の規制仕分けもブチ上げている。

 「ナンバーワン」(菅首相)どころか、支持率が低迷傾向にある菅内閣では“オンリーワン”の活躍といっていい。

 実際、蓮舫氏は野田佳彦財務相(53)率いるグループ「花斉会」に所属しているが、「花斉会の首相候補は、もはや野田氏じゃなくて蓮舫氏では」(民主党中堅議員)との声すら聞こえてくるほどだ。

 そんななか、永田町でにわかに囁かれはじめたのが、来春に行われる東京都知事選への出馬説だ。

 自民党都連幹部は「参院選で史上最多の171万票を取った蓮舫氏が、『東京仕分け』と言って出てきたら、誰も勝てない。2011年度予算が今年度内に通る見通しになれば、大臣や参院バッジの『放り投げ』批判もしづらい。それは困ると都連で話題になっている」と打ち明ける。

 財政規模7兆円という日本の首都の舵取りをする都知事は「小国の大統領なみの権力」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)を持ち、並の閣僚よりも格上といえる。実際、現職の石原慎太郎知事(77)は運輸相経験者だ。

 2007年の都知事選で民主党では、石原氏の対抗馬として菅首相や、9月の代表選への出馬が取りざたされている海江田万里衆院議員(61)の名前が挙がったが、結局は元宮城県知事の浅野史郎氏(62)を立てて惨敗した。

 09年の都議選で多数を握った同党としては、来年の知事選でリベンジを果たして東京都の政権交代を完成させたいところだけに、「知名度の高い蓮舫氏はうってつけ」(角谷氏)というわけだ。

 都知事選には石原氏が4選を狙うとの見方のほか、猪瀬直樹副知事(63)、自民党の小池百合子元防衛相(58)、丸山和也参院議員(64)、新党改革の舛添要一代表(61)、日本創新党の山田宏党首(52)らの出馬が取りざたされている。

 蓮舫氏周辺は「参院選で得た票を重く受け止めて、無駄撲滅に燃えている。出ることはないと思う」と話しているが…。


*「本命は都知事選出馬」に焦る猪瀬!

2010/8/7 10:00 ネタりか

海江田万里衆院財務金融委員長(61)が8月3日、国会議員50人超を集めて勉強会を開いた。9月14日の代表選への布石とみられているが、本人は記者団に「憶測にコメントする立場にない」とケムに巻いた。海江田は鳩山グループに属している。ただ、同じグループの小沢鋭仁環境相も勉強会を発足させてやる気マンマンだ。グループの結束は乱れているものの、海江田の出馬意思は固そうだ。
「海江田さんは勝ち負けにこだわっていないでしょう。とにかく出ることに意義があるのです。本命は、ずばり、来年4月の都知事選です。代表選に勝って首相になる可能性もゼロではないが、大臣未経験ではハードルが高い。身の丈を考えれば、首相よりも都知事です。現在は民主党都連のトップ(会長職務代行、会長ポストは空席)だから、候補者選定をリードできるのも強み。9月の代表選で存在感をアピールできれば、たとえ負けてもすんなりと都知事選にチャレンジできると踏んでいるはずです」(政界事情通)
 海江田は衆院5期のベテランだが、選挙に弱く、郵政選挙で落選も経験している。そのため、“出世レース”でも後れを取り、すっかり過去の人になってしまった。
 次のステップを考えるなら、もう一度、顔も名前も売らなければならない。それが代表選出馬だ。都知事選への地ならしは着々と進んでいる。
 そんな動きに気が気じゃないのが、東京都の石原知事が後継含みで引っぱってきた猪瀬直樹副知事だろう。
 8月3日は東京メトロと都営地下鉄の経営統合問題について話し合う初めての協議に出席し、「メトロは都の税金も投入された公共的存在」と国側を説得。「今を逃したら経営統合のチャンスはない」とぶち上げ、久々にテレビに顔が映っていた。
「実績を残そうと焦っているのです。現状では、猪瀬副知事を都知事選候補に担いでくれる政党は見当たりません。石原知事の後継として自公の支援を得られれば万々歳でしょうが、“あいつだけはダメ”との声が多い。エラソーな話し方で言うことを聞かないから嫌われているらしいのです。となると、最後の頼みは無党派層。それにはアピールできる手柄が必要ですからね。必死なんでしょう」(都議会関係者)
 威張る都知事は石原だけで十分だ。

(日刊ゲンダイ2010年8月4日掲載)
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石破議員が『昭和16年夏の敗戦』を引き合いに出した真意!

2010年8月17日 猪瀬直樹の「眼からウロコ」nikkei BP net
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20080923/100453/

破茂議員(自民党政務調査会長)が8月2日に衆議院予算委員会で行った質疑が、党派を超えて反響を呼んでいる。小泉純一郎首相からあとの首相は、みんな政治家としての発言がブレている。石破さんはブレていないから、党派に関係なく政治家としての姿勢が評価されているのではないか。

 質問は、菅直人首相に文民統制について訊(たず)ねるものだった。そのなかで、拙著『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)が紹介されていた。

菅首相に文民統制について問うた石破議員
石破議員 総理、まもなく8月15日がまいります。私はやはり3年前、同じこの場で、たぶん総理も予算委員としてその場にいらっしゃったと思います、猪瀬直樹さんが書かれた『昭和16年夏の敗戦』、こういう本の紹介をいたしました。ぜひ読んでください、と当時の安倍総理に申し上げました。これは1983年の猪瀬さんの著作であったと記憶しております。最近、中公文庫版で出版されました(中公文庫を手に取って見せる)。
 私は、若い方々に、何を読んだらいいですか、と聞かれることがときどきあります。ぜひこの本を読んでくださいと、いつも申し上げるようにしております。『昭和20年夏の敗戦』ではありません。なぜ『昭和16年夏の敗戦』、このような題になっているか。そのことをそのときも縷々(るる)申し上げました。昭和16年、開戦の年です。当時の帝国政府は、いまの首相官邸の裏あたりに、総力戦研究所という研究所を立ち上げました。軍や、あらゆる官庁や、あるいはマスコミや、主に30代の選りすぐりの俊才を集めて、もし日米が戦えばどうなるか、いまで言うシミュレーションをやりました。そして昭和16年の夏、近衛総理や東條陸相や、いならぶ閣僚の前で、その結果が発表されました。
 詳細は申しませんが、そこのシミュレーションの結果は、ほとんど実際と同じことでした。原子爆弾の投下、それ以外は、ほとんどがそこのシミュレーションの通りになったのです。日米戦やれば必敗です、戦わば必敗です、この戦争は何がなんでも避けなくてはならない、そういう結論が出ておりました。いろいろな資料で明らかであって、それは検証すればわかることです。
 何が言いたいか。それは、文民統制、それがいかに重要であるかということを私は申し上げたいんです。私は、軍事と安全保障、それと外交は、車の両輪である、そのように考えております。軍事や安全保障を知らずして、平和を語ることがあっては絶対にならない。それは私の信念です。総理にうかがいます。総理にとって文民統制とはどのような概念ですか。そしてまた、文民統制が有効に成立するためには、どのような条件が必要だと考えておられますか。(8月2日の衆議院予算委員会より)

辰巳栄一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B0%E5%B7%B3%E6%A0%84%E4%B8%80

「PRDC」という符号に注目した辰巳栄一
 総力戦研究所には前史がある。じつは総力戦研究所が設立される10年前の昭和5年(1930年)1月、1人の青年将校・辰巳栄一が駐在武官補佐官としてロンドンに渡っていた。昭和5年は満州事変勃発の前年である。

 明治28年(1895年)生まれの辰巳は、陸軍中将で終戦を迎えて、吉田内閣では非公式軍事顧問として活躍し、警察予備隊(自衛隊)創設に決定的な役割を果たした。『昭和16年夏の敗戦』を書いた昭和58年(1983年)当時、88歳だった辰巳に僕は会っている。高齢の辰巳は、早朝30分の散歩を欠かさないことが健康の秘訣と語っていた。

 駐在武官補佐官としてロンドンで仕事をしていた辰巳は、イギリス陸軍省極東班長マイルス中佐と親交があった。ある日、マイルス中佐が見せてくれた英国陸軍将校名簿をめくっていると、とくに要職にある将官の氏名のところに「PRDC」という符号がついている。気になった辰巳はマイルスに「このPRDCというのは何ですか」と訊ねた。

 すると、ふだん愛想のいいマイルスが、ふと表情を曇らせた。「その符号はPassed Royal Defence Collegeのことだが、これだけはキミにも説明するわけにはいかない」と口を開かない。

 PSC(Passed Staff College=陸軍大学卒業者)のことなら辰巳もよく知っていた。日本にも陸軍大学があり、辰巳はその卒業生だった。しかし、PRDCという言葉は聞いたことがない。強いて訳せば国防大学卒業者、ということになる。陸軍大学と国防大学では、名前が似ているようで全然違うらしい。

 PRDCとは具体的に一体何なのか。マイルス中佐が見せてくれた英国陸軍将校名簿以外にも、ロンドンの紳士録や有名大学の卒業生名簿などを辰巳は調べ始めた。そこにもPRDCという符号のついた人物がいた。軍人にかぎらず、貴族、官僚、学者、実業家と各界にわたっている。しかも注目すべきは、いずれも将来を嘱望されている成長株ばかりならんでいたという点である。

もし日本版国防大学がもっと早く誕生していたら……
 イギリス人が話をしてくれないのならと、フランスのベテラン駐英武官であるボリウズ少将に取材をしてみた。ボリウズ少将は「たしかにこの件になるとイギリス当局は口が堅い」と前置きしたうえで、苦労して入手した断片的な情報を教えてくれた。PRDCの内容は次のようなものだった。

1. 国防大学設立の目的は、平時戦時を通じて軍部と他の政府諸機関との協調連絡をはかるため、その要員を養成するにある。
2. 現在のPresident(学長)はシビリアンではない。教官は優秀な佐官クラスの将校と政治経済等の学識経験豊かなそれぞれ専門の文官が任命されている。
3. 学生は中、少佐クラスの軍人と内務、外務、大蔵など主要な省庁から適任者が選抜されている。
4. 学生数は、軍人、シビリアン合わせて30名ほど。修業年限は1年らしい。

 一方、フランスでも国防大学設置構想が浮上していた。陸海空の3軍に文民を加えた国防大学設立の気運が、欧州各国の1つの風潮になっていたのである。フランス駐在武官の経験のある西浦進中佐は、フランスの動向を研究・観察していたため、国防大学の必要性を熟知していた。辰巳の日本版国防大学構想を引き継いだ西浦は、関係各所に働きかけ、昭和15年に総力戦研究所という名の日本版国防大学が誕生した。

 しかし、日米開戦前夜に泥縄式でつくられた。つくってはみたものの、総力戦研究所としてはやることがわからず、ひとまず「模擬内閣」という形で研究が進められた。その結果、模擬内閣は日米戦のシミュレーションという課題を与えられ、日本必敗という結論を導き出すに至るが、情勢を変えることはできなかった。日米の情勢が引き返せないほど悪化する前に、もっと早く総力戦研究所を設立して本格的な研究を進めていれば、歴史は違っていたかもしれない。

国家戦略がなく首相がころころと代わる状況は戦前と同じ
 大日本帝国の過ちは、国家戦略を欠いていたことだった。帝大法学部卒や陸軍士官学校卒というタテ割りの人材ではなく、横断的に人材を育成し、国家戦略を研究する機関が必要だった。イギリスには戦前からそういう機関が存在して、本当の意味でのエリートを育てていた。なお、イギリス国防大学は、戦後にイギリス世界戦略研究所と名称を変えて、広くその名が知られるようになった。

 いまも昔も、日本は国家戦略をおろそかにしている。タテ割り行政の弊害により、バブル崩壊後の日本は長年低迷してきた。それを打破したのが小泉政権だった。橋本政権で構想されて経済財政諮問会議を機能させ、省庁横断的に国家戦略を打ち立てていった。

 小泉政権を除くと、平成の20年間で日本の首相は1年に1人のペースで交代している計算だ。戦前も、原敬暗殺から太平洋戦争までの20年間で、首相が20回交代した。まったく同じことが起こっている。

 民主党の国家戦略局(法整備前は暫定的に国家戦略室)も、本来であれば、日本の国家戦略を考える機関にするべきだった。しかし、国家戦略室はまったく機能せず、司令塔を欠いた民主党政権は迷走した。初代の国家戦略担当大臣は菅さんだったが、首相になると、国家戦略室を局に格上げすることを諦めて、役割も縮小すると言い出した。経済財政諮問会議もなくし、国家戦略局もつくらないのでは、統合機能を持つ機関は存在しない。批判されてあわてて、やっぱり局に格上げするという話も出ているようだが、ポリシーがないことに変わりはない。

 現在の日本は、経済・財政の危機だけでなく、北朝鮮情勢も緊張が高まっている。経済・財政・軍事の諸問題に対して、首相が国家戦略にもとづいて判断することが重要だ。しかし、菅首相には国家戦略もなければ、最低限の勉強もできていないのではないか。

 だからこそ、石破議員は、文民統制がわかっているのかと質(ただ)したのだろう。最低限の軍事問題を理解したうえで、文民が軍をコントロールするのが文民統制である。タテ割りどころか「オレ割り」になっている。党にも政府にも、機関決定がない。政調会も復活させたが、本気で国家戦略を打ち立ててもらいたい。現状では無理だと思うが。

DHC
http://ja.wikipedia.org/wiki/DHC 
ケア21
http://www.care21.co.jp/index.html

 化粧品・健康食品の通信販売で大手のディーエイチシー(DHC)がこのほど、介護事業に参入した。まずは東京都内でデイサービスセンターを運営し、既存の化粧品事業との相乗効果も図る。創業者の吉田嘉明会長兼CEOが、介護事業を行っているケア21の株式を個人名義で10%超保有するなどしており、今後、介護事業へのより積極的な投資に発展する可能性もある。

8月に「DHC スマイルガーデン」を板橋区高島平に開設した。午前、午後の各3時間の短時間デイサービスで、リハビリとリラクゼーションに特化し、入浴や食事サービスは提供しない。理学療法士の指導でトレーニングマシンを使った個別機能訓練、足湯、マッサージ、メイクアップ、ドリンクサービスなどを行っている。

 スタッフは10人体制で、うち1人は常駐の理学療法士。板橋区、練馬区、北区をサービス提供範囲と見込み、明るく開放的な場を提供して利用者がおしゃれを楽しみながら通える空間を目指した。「オープン前から予約が入るなど好調な滑り出し」(宣伝部広報課)としている。

 今後は1年以内をめどに、夕方以降や定休日の日曜日に中高年向けのフィットネス事業を開始。また、自社商品の物販を行うなどして介護報酬以外の収入も確保し、経営の安定化を目指す。

 将来的には、重度の要介護者も受け入れる一般的な終日対応のデイサービス、特定施設を含めた高齢者施設・住宅事業への発展も視野に入れている。

 DHCの会員は今年8月現在で約802万人。主力顧客である20―50歳代女性の一部が高齢者層に今後移行することを見据え、同社では2年前から高齢者向け事業への参入を検討していた。

■創業者の吉田会長はケア21の大株主

 関東財務局に提出された今年3月10日付の訂正報告書(大量保有)によると、吉田会長はケア21の発行済み株式の11.87%を保有する大株主。吉田会長の株の買い増しやDHCへの譲渡の可能性、ケア21との事業連携の可能性についてDHCでは、「コメントは控えさせていただく」(同)としている。一方、ケア21では「吉田氏から本件について連絡を受けたことはない」(IR担当)と話している。

( 2010年08月25日 22:34 キャリアブレイン )


*日本最大級の通所介護施設、7月に開業―ステアリンク!
http://www.tanpopo-kaigo.co.jp/onsen/info/index.html

ステアリンクは7月1日、愛知県一宮市に建物面積4300平方メートルの通所介護施設「たんぽぽ温泉デイサービス一宮」を開業する。同社によると、開業する施設は通所介護施設で日本最大級の規模という。

温泉やプール、カジノ、パソコン教室、陶芸教室など200の設備を設置。要介護者向けにリハビリを兼ねたレジャー施設として提案する。最大入所者数は200人。総事業費は約10億円。

 利用者の入退室や設備の使用などに必要な各種手続きを電子化して自動処理する独自開発システムを導入。「非接触型ICカードで個人情報や個別のケアプランを管理することで、職員の作業負荷を軽減できる」(筒井健一郎社長)としている。将来的には独自開発した情報システムを汎用化し、通所介護施設向けシステムとして販売する。

 まず職員20人でスタートし、利用者の状況に合わせて80人にまで増員する。

( 2010年04月28日 17:22 キャリアブレイン )


*ベネッセHD、ボンセジュールを傘下に―低価格帯ホーム拡大へ!

ボンセジュール
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB

ベネッセホールディングスは2月22日、投資ファンド「ジェイ・ウィル・パートナーズ」から、有料老人ホームなどを運営する「ボンセジュール」の全株式を取得する契約を結んだと発表した。ボンセジュールは、3月下旬にベネッセHDの100%子会社となる。

ボンセジュールは、首都圏・関西圏を中心に有料老人ホームなど22施設を運営。従業員数は512人(昨年12月25日時点)で、売上高は43億7300万円(昨年5月期・9か月決算)。関連会社の「ボンセジュール・バリエ」についても、今年6月に吸収分割を行い、バリエが運営する7施設を引き継ぐ。
 「ボンセジュール」のブランドは今後も残すほか、高橋陽一郎代表取締役ら現任の3人の常勤取締役が引き続き経営に参画する予定だ。
 ベネッセHDでは「ボンセジュール」の取得により、低価格帯ホームの販売拡大を目指すとしている。

( 2010年02月23日 21:15 キャリアブレイン )
久野義博(株式会社日本ヒューマンサポート代表取締役)
http://www.n-h-s.jp/

 埼玉県の春日部市と幸手市の2か所で、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)や通所介護、訪問介護、居宅介護支援事業所などの複合型施設を運営する久野さんは、コンサルタント会社で数々の介護施設の開設に携わったことを契機に独立して、有料老人ホーム事業に参入した。今後も積極的な施設拡大を目指す民間事業者は、介護業界発展のために何が必要と考えているのだろうか。(外川慎一朗)

―久野さんは、株式会社など民間事業者も特別養護老人ホーム事業に参入できるよう訴えています。
 2000年に介護保険制度ができて以降、介護は自由競争の世界になったはずです。しかし、特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)など介護保険3施設は、社会福祉法人や医療法人しか運営できないのが現状です。また、特養の待機者が約42万人いることなどから、施設整備の必要性が叫ばれる中、都道府県の「総量規制」によって、特定施設を自由に展開できない状況もあります。こうした民間参入や自由競争を阻む制度上の特例や、施設整備を抑制するような規制は廃止すべきです。

―民間の事業者の参入は、どうあるべきでしょうか。
 現在、社会福祉法人が特養を建設する時には、国や地方から補助金を受け、建設費の一部に充当して施設を建設します。また、最近では借地上の施設建設が認められるようになりましたが、賃貸の施設はいまだに認められていません。民間では、地主が建てた建物を一括して借り上げることは一般的ですが、特養などでは認められていないのです。
 厚生労働省では施設待機者を減らそうとしていますが、この国が抱える膨大な国債発行残高の下では、従来のような国庫から補助金を拠出しての施設整備が進まない状況です。
 そのため、既成概念を取り払い、民間を積極的に活用すべきとわたしは考えます。特定施設、訪問介護、通所介護、居宅介護支援などの事業については、民間事業者は社会福祉法人と同様に運営が可能ですが、介護保険3施設は運営できません。しかし、特養と介護付有料老人ホーム(特定施設)で運営方法に違いはないのです。こうした状況や、介護保険法70条の事業者の指定要件などを踏まえると、民間に特養が運営できない理由はもはやないといっても過言ではありません。補助金に頼らず、自前で資金を調達する民間事業者を活用することで、国や地方は財源負担を減らせますし、施設整備によって雇用が創出され、地域の建設会社などが活気を帯びて、さらなる内需拡大も可能になります。

―民間が特養を運営するなど自由競争になった場合、何らかの弊害が発生しませんか。
 われわれ株式会社は、税制面での優遇は一切ありません。一方で、社会福祉法人は、法人税や不動産取得税、固定資産税などの税制面で優遇措置が取られていますが、それでもうまく経営できていない施設が数多くあると聞きます。しかし、「社会が悪い」「制度が悪い」と言っていては、前に進みません。経営努力により、しっかりと利益を出して内部留保を確保し、社会福祉のために再投資して社会福祉に貢献するのが社会福祉法人の使命と言えます。その使命を達成できないなら、自然淘汰や企業の合併・買収(M&A)の対象になるのもやむを得ないのかもしれません。そのような場合に、民間の会社が吸収合併して、施設運営を引き継げるような制度に改善してもらいたいです。

―今後はどんな経営が重要になるのでしょうか。
 民間の会社や社会福祉法人、医療法人などの財務諸表の統一性を図ることが最重要課題ではないでしょうか。特に社会福祉法人の会計処理は複雑で、その道にたけた人でなければ判断しにくいです。これを第三者が客観的に見て経営判断ができるようにすることが必要です。毎月のお金の流れを正確にし、先々の経営上の問題点を常時モニタリングしながら、その時々の経営判断ができる下地をつくることが不可欠と言えます。また、大局を見据えた経営計画を立て、たとえ介護保険法が思いもよらない方向に改正されても、影響を最小限にとどめるような経営が必要です。
 また、施設運営を人に丸投げするのではなく、常にその経営状況を管理するなどして現場職員を引き締めていく必要があります。例えば物品の導入などでも「合見積もり」を取ることは当然。一元的に発注するのではなく分離発注することなどで、コストを抑えることが求められます。固定費や人件費に関する考え方も重要です。過剰な設備投資が行われていたり、「手厚い」のではなく、ダブって「無駄に」人員が配置されていたりすることもあります。管理者レベルでチェック体制を構築し、無駄の排除や売り上げ、人件費率などに至るまで、コストを管理することで本来のマネジメントが確立するはずです。また、経営者は、介護保険の将来像を見定めることはもちろん、政治や経済の流れまで、幅広い知識と情報を集め、会社の方向性を指し示し、管理者を束ねていくことが重要だと考えます。

■利用者獲得には「メディア・ミックス」と「地域でのブランド化」

―施設を経営するに当たり、どのような経営戦略を立てているのでしょうか。
 われわれは成功のカギを、「メディア・ミックス」と「地域でのブランド化」だと考えています。まず「メディア・ミックス」ですが、新聞や雑誌、有料老人ホームを紹介するガイドブック、メール配信、ウェブサイト、地域のローカル誌などで一定期間、集中して広告を打ちます。ガイドブックの広告では、読者の目に触れやすい場所を確保することで、反応は非常に良くなります。施設は一般的に、満床になると広告を打ち切るなどのコスト削減に走りますが、広報活動は短期的にではなく、効率よく長く継続することが重要であり、非常に有効な「投資」なのです。同時に、インターネット検索で上位に表示されるため、ホームページのSEO対策を実施するなど、低予算でわれわれの施設が消費者の目に触れる機会を増やし、認知度を高め、「待機者のいる施設」を目指すことが大切です。

―「地域でのブランド化」は、どのような戦略ですか。
 われわれの存在を地域住民に認知してもらうため、多様な取り組みを行います。例えば、著名な歌手の方を招いて「ミニコンサート」を無料で開いたり、家族介護者が介護技術を学べる教室を開いたりします。また、ボランティア希望者の積極的な受け入れや地域に密着した業者との取引などで地域に開かれた施設として社会に貢献する中で、誰もが知っていて、利用希望者が集まる「地域でのブランド」になっていくのです。

―入居一時金を50万円程度と安く抑えていますね。
 土地と建物に自らの資金で投資した場合、利用者にそれなりのコストを負担してもらわなければなりませんが、われわれはそれらを地主から借り上げているため、安い価格が設定できます。しかし、いくら安いからといっても、建物の外観や内装などに手を抜くことはありません。外観や内装も良く、費用も安く、サービスもしっかりしていれば、利用者にとって「地域で一番手」の施設になるのです。こうした10年後も劣化しないビジネスモデルを確立し、他社との差別化が図れれば、負けることはないと考えます。

―資金計画で重要なポイントは何ですか。
 われわれにとっての損益分岐点は、特定施設だけで経営ができるということであり、これ以外の通所や訪問などはさらなる上積み分と考えています。このような安定した資金計画を立てれば、介護保険の多少の制度改正や報酬改定があったとしても、ほかの事業と相互に補完でき、慌てて資金計画を作り直すようなことはなくなるでしょう。

■介護発展のために従事者の一致団結を

―今後の社会保障政策をどのように考えますか。
 社会保障費を「負担」と考えるのではなく、国が医療や介護に「投資」すると考えるべきです。現在輸出製品が中心の基幹産業を、医療や介護などに特化するのです。これによって賃金を一般業種並みに引き上げ、介護従事者の地位の確立を図るとともに、雇用の創出につなげ、掛かったコストを将来回収できるようにするのです。その投資には、しっかりと財源を確保することが前提になります。そのため、現在40歳となっている介護保険料の負担開始年齢を引き下げるか、「福祉目的税」を創設するかのいずれかの方法を取らなければならないと思います。

―25年には「団塊の世代」が75歳以上になりますね。
 団塊の世代というのは、戦後の高度成長期の日本経済をけん引してきた「功労者」とも言える方々です。彼らが75歳を超えた時に、手厚い介護が受けられるということは誇りですし、世界からも評価されることでしょう。そのため、介護や医療を日本の基幹産業に育てることで、内需を拡大させることも十分可能です。また、これは国内にとどまりません。日本の介護をビジネスモデルとして確立できれば、中国や韓国、インドなどアジア各国で今後高齢化が進む中で、日本が培った介護保険制度のノウハウを一大産業として海外に輸出できるようにもなります。

―介護を基幹産業として発展させるためには、何が必要でしょうか。
 今後高齢化が進むにつれて、これまで以上に多くの介護従事者が必要となります。しかし、女性だけでなく、一般的に「一家の大黒柱」とされる男性が働いて食べていけるだけの収入がないと、介護業界のこれ以上の発展は見込めません。そこで、介護従事者が地位の向上を目指し、施設や居宅などサービスの種類を超えて一致団結することが重要です。そうすれば、時の政権が介護業界の意見を聞きに来るということも実現するでしょう。

―現政権に対して、実現を望むことは何でしょうか。
 これまでに述べてきたほかには、負担と給付のバランスを考え、利用者にとって不公平な介護行政の在り方を改めることです。また、介護報酬の基本点数の大幅な引き上げも欠かせません。もし加算で引き上げた場合に事務量が増え、それが人件費に跳ね返って収益が下がったら、元も子もありませんから。ほかには、政策立案者自らが、実際に疲弊している中小の介護事業者の声に耳を傾け、この国の介護の担い手が救われる環境の整備に尽力してほしいとも思いますね。

( 2010年02月20日 10:00 キャリアブレイン )
国土交通省成長戦略会議
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000911.html

 国土交通省の成長戦略会議(座長=長谷川閑史・武田薬品工業社長)はこのほど、現状1%程度にとどまっている高齢者人口に対する高齢者向けの住まいの割合を、2020年をめどに欧米並みの3-5%に引き上げる方針などを盛り込んだ成長戦略をまとめ、前原誠司国交相に提出した。国交省は成長戦略の一部を来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。

同会議がまとめた成長戦略は、▽住宅・都市▽観光▽国際展開・官民連携―など5分野で構成。住宅・都市分野では、単身高齢者や要介護者が急増する中、高齢者が住み慣れた地域で医療や介護を受けながら安心して暮らせる住まいの確保が重要と指摘している。

 成長戦略では、医療や介護などのサービス付き高齢者賃貸住宅の法律上の位置付けを明確化し、供給の支援や適切な運営の確保を図るとした。具体的には、▽サービス付き高齢者賃貸住宅の登録制度の導入▽事業者へのファイナンスの確保▽高齢者が持ち家を担保に資金の融資を受ける「リバースモーゲージ」拡充など、持ち家からの住み替え支援―などの実現を目指す。
 また、公共賃貸住宅団地を地域の福祉拠点として再整備する方針を掲げ、デイサービスセンターや訪問看護ステーションといった支援施設の導入を実現するとした。
 このほか、医療機関や福祉施設、商業施設を中心市街地に誘導し、「まちなか居住」やコンパクトシティを実現する政策を盛り込んだ。

( 2010年05月21日 12:35 キャリアブレイン )



*高齢者の住まいの在り方はどう変わるか―高齢者居住安定確保法改正!

 2009年5月、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者居住安定確保法)が改正、公布された。改正法では、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)などについて一定の水準を担保するため、基準やそれに伴う新たな登録制度などが設けられた=表=。一方で、施設や住宅には供給の遅れを指摘する声もある。日本の高齢者に占める介護施設や高齢者住宅などの定員数の割合は約4%。デンマークやスウェーデン、英国、米国など欧米諸国と比較しても低い。また厚生労働省は12月22日、特別養護老人ホーム(特養)の待機者が約42万1000人に上ると発表。06年の前回調査時は約38万5000人で、約3万6000人増えたことになる。日本の高齢者は行き場を失ってはいないか―。今回の法改正を踏まえ、高齢者の「住まい」政策の在り方を考える。(外川慎一朗)

■契約書に問題のある事業者も
 高専賃などを手掛ける事業者に対してはこれまで、質の低い事業者が存在する「玉石混交」との指摘があった。例えば、契約書。高齢者向け賃貸住宅事業に参入してきた事業者の一部には、契約書に問題がある事例があるという。
 高専賃などを契約する場合、賃貸借契約と生活支援サービス契約が別に存在する。例えば、賃貸借契約では要介護度が重度化したからといって、居住者に対して部屋を移動するよう求めることはできない。しかし、有料老人ホームの経営などを手掛けてきた事業者の一部には、もともと施設の利用権契約に慣れているためか、「要介護度が重度化した場合に、移り住みがある」などという文言を契約書に記載し、賃貸借契約をすべきところが、実質的には利用権契約になっている事例もあるという。また、契約時の説明が不十分なため、居住者との間でトラブルになる事例もあるという。

■高齢者住宅の水準向上を目指す
 09年5月、高齢者居住安定確保法が改正された。国土交通省住宅局住宅総合整備課住環境整備室の武井佐代里課長補佐は改正の背景について、単身高齢者の増加に伴い、生活支援サービスが受けられる住宅へのニーズが増えていることや、高齢者が安心して住むことができる一定の水準が担保された住宅を供給することなどを挙げる。
 法改正により、これまで国交省の所管だった高齢者居住安定確保法は、国交省と厚労省の共管となり、住宅政策と福祉政策の連携が促進される。また、▽床面積▽設備▽賃貸条件―といった一定の基準を満たす住宅のみを、高専賃や高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)として都道府県に登録することが可能になる。登録可能な住宅の設備基準は、1戸当たりの床面積が原則25平方メートル以上(居間や食堂、台所などが、高齢者が共同して利用するために十分な面積がある場合は18平方メートル以上)とされた。一定以上の面積水準を確保することが求められる。設備については原則、各戸が水洗トイレや洗面設備などを備える必要がある。新たな登録制度は10年5月19日から施行される。施行日の6か月前となる09年11月19日以降は、事前申請が可能になった。施行日までに基準を満たし、都道府県に再登録の手続きを行わない限り、現在の高専賃、高円賃としての登録は抹消されることになる。高齢者住宅の開設支援コンサルティングなどを手掛ける「タムラプランニングアンドオペレーティング」代表取締役の田村明孝氏は、「現在登録されている約4万戸の高専賃のうち、約2割が登録基準からはみ出るのではないか」と話す。その上で、この新たな登録制度について「ハード面での質の向上につながるのではないか」と一定の評価をしている。
 このほか、都道府県による指導監督も強化。住宅の賃貸人に対し、管理の状況に関して報告を求めることもできるとされた。

■自治体や事業者団体の対応策は
 法改正を受け、自治体にも動きがある。東京都は高齢者向け賃貸住宅を運営する事業者などに向け指針を策定。高齢者向け賃貸住宅での生活支援サービスについて、住宅事業者とサービス事業者の両者が協議した上で、生活支援サービスの提供主体を明確にすべきとした。また契約については、入居希望者などに対し、契約の締結や契約前の事前説明が適正に実施されるよう、モデルとなる契約書と重要事項説明書を作成した。トラブルの防止が狙いだ。こうした指針の水準を満たした事業者が都に届け出ると、都はその情報をホームページ上に公表する。都民はこの情報を基に、指針の水準を満たす適切な住宅を選ぶことができるようになるという。
 また、高専賃事業を手掛ける事業者で構成する「高齢者専用賃貸住宅事業者協会」(高専協)も、賃貸借契約書と生活支援サービス契約書などについて、解説を加えた標準モデル契約書などを作成し、ホームページ上で公表している。

■都道府県が老人ホームなどの供給目標計画を策定
 また改正法では、都道府県の住宅部局と福祉部局が共同で、高齢者向け賃貸住宅や老人ホームの供給目標を記載した「高齢者居住安定確保計画」を策定するとされた。

 特養などの介護保険施設はこれまで、十分に整備されてきたとは言い難い。09年9月に発表された第3期(06-08年度)の介護保険施設などの整備率は、当初の計画を大きく下回っていた。例えば特養では、計画見込み数5万847床に対し実績3万7232床で、整備率は約73%にとどまった。
 田村氏はこうした整備の遅れを「行政の不作為」と語る。その上で、「施設整備を促進するため、低利での融資制度を充実させることが重要」と指摘。また、「施設整備を促進するとともに、希望者が入居しやすい環境をつくるため、低所得者が入居できるような家賃の補助があるべき」とも語る。
 国は現在、要介護2-5の人に占める介護保険施設や居住系サービスの利用者の割合を37%以下とする目標、いわゆる参酌標準を掲げている。これについては、「介護保険制度をつくる上で、財政を圧迫しないための数字」と田村氏は話す。その上で、「厚労省や国交省は、国としての供給ビジョンを定めるべき。改正法に都道府県が供給目標の計画を策定する点が盛り込まれたことは、国が本当に必要な施設の供給目標を策定することへの『一歩前進』になるのではないか」と話している。

■今後の課題は?
 国立保健医療科学院施設科学部施設環境評価室長の井上由起子氏は、高齢者住宅の家賃を問題視している。井上氏らの調査によると、都にある高専賃の平均的な家賃は共益費や基礎サービス費を含め、約12万円だった。これに食費や介護保険サービスに掛かる費用などを加えると、厚生年金の平均受給額である約17万円を上回り、約20万円に上ることもあるという。井上氏はこうした状況を踏まえ、「高専賃の供給に当たっては、それぞれの地域の所得に応じた家賃設定ができるかどうかが重要」と話す。
 また田村氏は、「高専賃などに『高齢者』と冠が付いている限り、何らかのサービスやケアが付いていると期待する人が多い。認識の食い違いによるトラブルは今後も続くだろう」と懸念する。

 それでは今後、高齢者の住まいはどのように整備されるべきなのか。井上氏は、「地域社会とのコミュニティーを創造する必要がある」と指摘。「『地域包括ケア』の理念に立った時、高齢者向け賃貸住宅は『多世代型』であるべき」と語る。いろいろな世代で、地域の人間関係をつくり出す。そのためには、高齢者住宅はケアの拠点であり、交流の拠点であるべきなのだが、こうした住宅はまだ日本には少ないのだという。また井上氏は、「日本の空き家率は約13%にも上る。構造補強などにより、建物の安全を確保した上で、空き家など既存のストックを活用すべき」とも語る。
 一方、田村氏は「高齢者の生活が施設での受動的な生活から、自立した能動的な生活に変わることで、介護コストが軽減される効果がある」と指摘。「団塊の世代が75歳以上を迎える25年までに、特養などの施設が自立した生活を営める『住宅型』に変わっていくことが求められる」とも話している。

( 2009年12月31日 14:00 キャリアブレイン )
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