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日本の老舗一覧
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%80%81%E8%88%97%E4%B8%80%E8%A6%A7

MONEYzine 9月19日(日)10時40分配信

 創業100年以上の長寿企業が注目されている。帝国データバンクが8日に公表したレポートによれば、長寿企業は8月時点で日本全国に2万2219社も存在する。

 最古の長寿企業は、飛鳥文化時代の578年に創業した金剛組(大阪府、木造建築工事業)だ。以下、587年創業の池坊華道会(京都府、生花教授業)、705年創業の西山温泉慶雲舘(山梨県、旅館経営業)と続く。金剛組は2006年に廃業の危機を迎えたが、同業者の支援を受け、新「金剛組」として事業を継続することができた。

 業歴1000年以上の企業は7社存在する。江戸時代より前に創業された企業ということで絞れば、200社近くにも達する。9割の長寿企業は、江戸時代末期以降に創業しており、業歴は100~150年だ。

 都道府県別で見ると、1位は東京都で2058社とダントツの多さになっている。以下、愛知県、大阪府、京都府、新潟県がそれぞれ約1000社で続く。新潟県に長寿企業が多いことに驚かれるかもしれないが、明治初期には新潟県は日本で一番人口の多い県だった。

 業種別で見ると、製造業、卸売業、小売業で全体の8割近くを占める。長寿企業の多くは中小企業だが、歴史の荒波や景気変動などをたくましく生き抜いてきた。

 世界でも日本の長寿企業は突出している。ヨーロッパ最古の企業は、1369年に創業したイタリアのエトリーニ・フィレンツェ社(金細工メーカー)であり、金剛組には遠く及ばない。また、中国最古の長寿企業も、1669年創業の北京同仁堂(漢方薬業)だという。国内政治が安定せず、植民地になったことなども影響して、日本以外のアジアには長寿企業が少ないとされる。

 日本の長寿企業に代々伝わる家訓も特徴的だ。たとえば、「不義にして富まず」「良品は声なくして人を呼ぶ」「諸相場或ハ是ニ類似之所業堅く禁止之事」といった家訓を持っている(野村進著『千年、働いてきました──老舗企業大国ニッポン』による)。

 長期的な信用を重んじ、あくまでも伝統的な本業を中心線にしながら、絶えず時代に合わせて新しい領域に挑戦し、マネジメントについても革新を怠らない。こういった点が、日本の長寿企業が存続する秘訣となっている。
(宮島 理)



特別企画 : 創業100年以上の「長寿企業」実態調査
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100902.pdf

創業100年以上の「長寿企業」、全国に2万2000社
~ 長寿トップは西暦578年創業の金剛組、創業500年超は39社 ~

9月20日は「敬老の日」。国民の祝日に関する法律によれば、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを主な趣旨とする。社会への貢献という意味では、人も企業も同じであり、業歴を重ねた企業には戦争や災害など幾多の困難を乗り越えてきた強さがある。

帝国データバンクでは、2010年8月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(130万社収録)などから、創業100年以上の企業(個人経営、各種法人含む)を集計し、創業時期別、都道府県別、業種別に分析を行った。なお、同様の調査は今回が初めてとなる。

1.創業100年以上の「長寿企業」(個人経営、各種法人含む)は、2010年8月時点で2万2219社にのぼった。創業が最も古かったのは、寺社仏閣建築の「金剛組」で西暦578年
2.創業時期別では、創業300年超が605社(2.7%)、同500年超が39社(0.2%)
3.都道府県別では、「東京都」(2058社、9.3%)がトップ。2位は「愛知県」(1211社、5.5%)
4.業種別では、「小売業」(6279社、28.3%)がトップ。酒小売、呉服小売など目立つ

お問い合わせ先
株式会社帝国データバンク 産業調査部
TEL:03-5775-3073 FAX:03-5775-3169
PR
新)日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業
~廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージとして海外展開~
http://www.env.go.jp/guide/budget/h23/h23-gaiyo/034.pdf

平成23年度 廃棄物・リサイクル対策関係予算概算要求の概要
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
http://www.env.go.jp/recycle/info/h23_gaisan.pdf

産経新聞 9月20日(月)12時35分配信

 廃棄物の処理やリサイクル関連の“静脈産業”の海外展開が活発になってきている。上水、下水部門のメジャー展開は、日本は技術力がありながら欧州に後れを取ってしまった感があるが、静脈産業の海外展開は制度的な制約も多いため「今からでも十分打っていける」と鼻息が荒い。環境省は制度といったソフトを含む支援で静脈産業のメジャー化に乗り出す。静脈産業は日本の経済を牽引(けんいん)する力となり得るか-。

■リサイクルは人の身体? “静脈産業”とは少し耳慣れない言葉だが、産業を人の身体の血液の循環システムに例えた言い方だ。資源を加工して有用な製品、例えば車などの製造業は、栄養素を運ぶ“動脈産業”という。これに対して、これらの産業が排出した不要物や捨てられた製品を集めて、有用物質を取り出し、リサイクルする産業を、“静脈”に例える。

 20世紀は大量生産、大量廃棄の“動脈産業”の時代だったが、21世紀は携帯電話に内臓されたレアメタルを取り出し、再利用するといった“静脈産業”の時代といわれる。

 その“静脈産業”が今、アジアで海外展開に打って出ている。

 特筆すべきなのはJFEエンジニアリング(東京)だ。中国・遼寧省にある瀋陽市で、中国との間で合弁企業の話が今月中に煮詰まり、来年、中国・ペットボトルをフレーク状にして繊維としてリサイクルする事業が本格稼働する予定だ。

 もともと中国では、世界の繊維産業の工場生産を担っており、プラスチックを原料とした繊維の需要が高い。中国の業者が日本で集められたペットボトルをリサイクルのために購入しているほどだ。

 ペットボトルのフレークの販売価格も、中国が日本より1トンあたり約2万円高く売れるという。

 ■中国の関心の背景 川崎市と瀋陽市は昨年、循環経済協力協定を締結。中国のナンバー5の要職にある中国共産党中央政治局常務委員の李長春氏が川崎市にあるJFEエンジニアリングのリサイクル工場を見学した際、高い関心を示した。

 李氏が見学した翌月には瀋陽市の副市長ら20人も来日し、ペットボトルと家電リサイクル工場を見学したという。

 成長著しい中国は廃棄物処理に頭を抱えている。基本的に広大な土地に廃棄物を埋め立てて処理してきたが、都市周辺の処分場はすでに満杯状態だ。

 有害廃棄物の処理の問題もある。埋め立て地からはCO2の排出係数が高いメタンの排出量も多い。

 高度経済成長時代の日本は大量生産・大量消費・大量廃棄の反省にたち、循環型社会へと大きく移行した。中国も循環の必要性を認識するようになってきている。

 ■「都市鉱山」からアジアへ 非鉄大手DOWAホールディングズ(東京)は昨年、東南アジアに展開している廃棄物企業MAEHグループを買収、アジアでの環境リサイクル事業に乗り出した。同グループの一つであるインドネシアのPPLi社はインドネシアで唯一、廃油・廃液処理の許可を受けてPCBなどの有害廃棄物処理を行っている。

 “静脈産業”の海外展開の先駆けであるDOWAのたどってきた道はユニークだ。ルーツである秋田県小坂町は別子、足尾とともに国内3大鉱山として栄えた。

 かつて採掘された鉄鉱石から銅、亜鉛、金、銀非鉄を精錬してきたが、鉄鉱石の価格が崩れて採算が取れなくなり、小坂鉱山も閉山に。DOWAも会社存続の危機にたったが、精錬技術を活用して、産業廃棄物から銅、鉛、金、銀といった貴金属を取り出す“静脈産業”に舵をきる。

 特に、「都市鉱山」という言葉が示すように、携帯電話に内蔵されているレアメタルを回収する事業では最先端だ。中国では天津、蘇州で家電リサイクルに乗り出す。

 ■日本は先細り? 日本では、循環型社会形成推進基本法が平成12年に制定され、家電リサイクル法などの関連法案も整備、廃棄物の再資源化が進んでいる。

 環境意識の高まりから分別が進み、家庭や企業などから出るごみ(一般廃棄物)は減少。ピークの平成12年度は5483万トンだったが、20年度は4811万トンと19年ぶりに5000万トンを下回った。政府は24年度に約5000万トンに減らすという計画を立てているが、早くも到達した。少子化もあり、廃棄物はさらに減少するとみられる。

 リサイクル率もスチール缶は約85%、自動車の廃棄物では100%近く、世界でもトップクラスだ。

 資源の有効活用、循環型社会を考えれば喜ばしいことだが、リサイクルではその供給源が減るという相反することが起こってしまう。

 一方、中国を含むアジアでは人口が増加し、経済成長は著しい。中国は資源国であるが、それを上回る成長で化石燃料や鉄鉱石など原料の輸入国にもなっており、使った資源を活用しなければならないのは自明の理になっている。

 ■元気な日本復活特別枠 菅直人首相が打ち出していた1兆円超の「元気な日本復活特別枠」の財源。成長分野に重点配分するとされている特別枠に、環境省は「静脈産業の育成・海外展開促進事業」として13億円を要求している。

 具体的には廃棄物の適正処理や日本が実践している3R(リデュース、リユース、リサイクル)が進んでいないアジア圏で、政府や自治体、事業者の連携を進める。

 リサイクル産業が海外に根付くには、その国で環境基準や廃棄物の適正処理の法規制が整っていなければ、需要が生まれない。リサイクル事業の海外進出に直接的に補助金を出すというのではなく、途上国の廃棄物処理の制度作りを支援、バックアップするというのだ。中国のような国では、民間企業だけで売り込みをかけるより、国がバックアップしているという支援が果たす役割は大きいという。

 資源を効率的に使っているかを測る指標の一つである資源効率性(資源投入あたり作られる経済的価値)が、日本は主要先進国(G7)の中で最も高い。高い技術力を持った日本の“静脈産業”の海外展開は地球全体の持続可能性に貢献し、二酸化炭素排出量を減らすことにもつながる。

 日本国内の廃棄物・リサイクルビジネス市場規模は現在の1兆4000億円から2020(平成32)年までに2兆円規模と試算されている。世界市場は人口増などを背景に06年の約38兆円から50年には73兆円と見込まれている。

 こうした市場を指をくわえて眺めるのではなく、積極的に官民あげて海外展開することの意味は大きい。(杉浦美香・社会部環境省担当)
欠けている「世代交代」の視点!

2010年9月16日(木)日経ビジネス 小黒 一正 

 なぜ政府はもっと借金を増やさないのか?

 「無税の国家が実現できる」という議論を聞いた場合、皆さんはどう反応するだろうか? ほぼ全員が、「そんなにうまい話があるはずがない。うさん臭い」と思うに違いない。

 では、「日本の場合、政府の借金の多くは国内で賄っている。国全体で見ると、国民の『「借金』であると同時に『資産』であるから心配ない」という議論はどうだろうか?

 今度は、「もしかすると、大丈夫かもしれない…」と考える人が増えるに違いない。

 だが、この2つの議論はつながっているのだ。理由は簡単で、もし「政府の借金を国内で賄っている限り、問題がない」のであれば、政府支出のすべてを内国債(国内からの借金)で賄ってしまえばいいからだ。これで、無税国家が実現できる。何かおかしいが…。

 極端な議論であるが、経済学者は古くから国債の負担について議論してきた。その中で、政府支出の経路が定まっている場合に、その財源の一部を租税でなく、国債で賄ったときに、経済に何か変化が起こるかどうかについても議論してきた。

 この連載の目的は経済学の講義でないから、詳しい説明は省くが、「一定の前提条件」が成り立つとき、長期的に財政収支が均衡する限り、租税で賄おうが、国債で賄おうが、同等であると示すことができる。これを、「公債の中立命題」という。この命題の「前提条件」が成り立てば、政府支出を賄う財源として、租税と国債は同等だから、全部を国債発行で賄っても問題ないことになる。

 だが、公債の中立命題は残念ながら成り立たない。それは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアシリーズ)でも説明しているように、世代交代や家計の異質性などがあるからである。以下、この点について少し説明しよう。


 複雑な問題は、簡略化すると「本質」が見えてくる!

 まず、本質を見るため、2つの家計しかいない経済を考えよう。つまり、異質性のある家計で、多くのマネーを持つ家計Iとそうでない家計IIだ。

 また、政府は本来なら適切な財源を確保しなければならないが、増税を先送りして、ここでは国内の家計Iに1億円の公債(内国債)を引き受けてもらい、それを財源にして、家計Iと家計IIに5000万円ずつの減税を行う。いっぽう公債償還時には、公債を引き受けてもらった家計Iに1億円を返済するため、家計Iと家計IIに5000万円ずつの増税を予定しているとしよう。

 このケースにおける政府と家計間のマネーの流れを図示すると、図表1のようになる。まず、公債を発行する時点はどうかというと、それは「1)公債発行時」上段のようになる。家計Iのマネーの動きに注目すると、1億円出ていき5000万円入ってくるから、ネットで「5000万円」出ていく。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」入ってくる。

 この場合、政府は「マネーを右から左に流す単なる導管」にすぎない。このマネーの流れはけっきょく、「1)公債発行時」下段のように、家計IIが家計Iから5000万円のマネーをもらったのに等しい。

 では、公債を償還するときはどうか。政府はマネーを借りた家計Iに1億円を返済する必要があるので、家計Iと家計IIに増税を行う。この場合、マネーの流れは図表1の「2)公債償還時」上段のようになる。その際、家計Iのマネーの動きに注目すると、5000万円出ていき1億円入ってくるから。国債を発行するときとは逆で、ネットで「5000万円」入ってくる。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」出ていく。つまり、この場合はけっきょく、「2)公債償還時」下段のように、家計IIが家計Iに5000万円のマネーを返すことになる。

 このように、公債発行・減税政策は、内国債であるとき、その発行時と償還時のどちらにおいても、政府は単なる導管にすぎない。家計間でマネーをやり取りしているのと同等になる。このとき、家計IIはどのように行動するか? もし家計IIが合理的なら、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに使わず、償還時の増税に備えて、貯蓄しておくだろう。

 他方、もし家計IIが合理的でなく、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに消費してしまい、償還時に5000万円の増税を受けても、損得ゼロだから「自業自得」の話だ(もっとも、家計IIが5000万円の増税を政治的に拒否し、国債の一部をデフォルトさせるか、家計Iに追加負担を迫るシナリオもあり得るが…)。

 
 世代交代があると議論は変わってくる!

 しかし、公債を発行する時点と償還する時点とでは30年程度のタイムラグがある。その間に世代交代があると話が違ってくる。いま、公債を発行した時点と償還する時点の家計は親子関係にあり、償還時の家計I’は、親である発行時の家計Iの子どもが成人した時点での家計としよう。同様に、家計II’は家計IIの子ども世代だ。(図表1で、家計I’のように「’」が付いているのは「子世代」、付いてないのは「親世代」であることを示す)。

 ここで、親子関係にある「家計II」と「家計II’」に着目してみよう。その際、政府の公債発行・減税政策により、公債を発行した時点において、親の「家計II」は5000万円の「得」をした。しかし、償還する時点において、子の「家計II’」は5000万円の増税で「損」をすることになる。

 このとき、もし家計II’の親である家計IIが利他的で、子どもの家計II’のことを(可哀想と本当に)考えているなら、公債が発行された時点にもらった5000万円を消費せず、遺産や贈与といった形で家計II’に残すだろう。もちろん、残し方は、人的資本としての子の価値を高める教育投資のような「贈与」でもかまわない。図表1の下段の「?」ようにマネーが流れる。そうすると、親世代や子世代の消費は変化せず、このような世代間移転政策は、経済全体に何も影響を与えない。これは世代交代がある場合の「公債の中立命題」で、いわゆる「バローの中立命題」と呼ばれるものだ。

 だが、残念ながら、この「バローの中立命題」が成立するほど、各世代は利他的でない。大阪大学のチャールズ・ホリオカ教授をはじめ、多くの実証分析による結果である。

 また、次回に詳しく紹介するが、いまの財政・社会保障制度で、60歳以上の世代が約4000万円程度の「得」をしているいっぽう、将来世代は約8000万円程度の「損」をしている。もしバローの中立命題が成立しているなら、祖父母から孫世代に、遺産や贈与といった手段で8000万円程度の移転がなされるだろう。だが、そのような移転を行うことができる高齢世帯はきわめて少ない。


 資産の歪みは「公債の中立命題」が成り立たない一つの証拠!

 というのは、高齢世帯には異質性があり、その資産分布には「ばらつき」、つまり資産格差があるからだ。「平成21年度・家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)によると、金融資産保有額は、60歳代で平均1677万円(中央値900万円)、70歳以上で平均1379万円(中央値600万円)にすぎない。金融資産の平均と中央値で770万円程度の開きがあるのは、高齢世帯の資産分布に「ばらつき」がある証拠だ(図表2)。実際、60歳代で貯蓄がない世帯は19.9%、70歳以上では21.3%も居る。しかも、金融資産の中央値のみでなく平均も、8000万円を大きく下回るから、孫世代に8000万円も移転できるほど余裕のある高齢世帯はとても少ない。

 このように、もともと、60歳以上の世代の多くは4000万円程度の「得」をしていても、その資産はそれほどない。この実態を見れば、公債の中立命題が成立していないことは明らかであろう。このほか、この命題が成立しない理由はいろいろ考えられるが、理論が想定するほど、人間は合理的でなく、孫世代や子世代がどれくらい損をするかなど、そもそも分かっていないのかもしれない。

 いずれにせよ、国債発行は世代間格差を引き起こし、将来世代に過重な負担を押し付ける。したがって、「政府の借金の多くは内国債だから問題がない」というのは、間違いである。
ストックホルム
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ストックホルムに学ぶ“お上”の役目!

2010年9月16日(木)日経ビジネス 大竹剛のロンドン万華鏡

日経ビジネスの2010年9月6日号の特集「スマートシティ~40兆ドルの都市創造産業」でリポートした通り、欧州でも既存の都市を環境配慮型に転換するプロジェクトが各地で動き始めている。

 昨年12月、デンマークの首都コペンハーゲンで開かれたCOP15(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、欧州は米国と中国に狭間で議論の主導権を握ることに失敗。欧州はこれまで、排出権取引の導入などで世界をリードしてきたが、COP15が低調に終わってからというもの、環境先進地域としての存在感は薄れてしまったかに見える。

 しかし、都市開発の視点で見れば、環境意識の高まりは比較的早く、成功も失敗も過去の教訓が蓄積されている強みはある。そんな欧州を代表する都市の1つ、スウェーデンの首都ストックホルムに今、中国をはじめとする世界各国から、大量の視察団が訪れているという。

都市に住む人口の割合が四半世紀前には約25%だったという中国。今やその率は5割近くまで上昇し、環境負荷の少ないエコシティをいかに作るかが中国政府の悩みの種となっている。その中国にとって、都市開発の手本とする都市の1つが欧州にある。スウェーデンの首都ストックホルムだ。

 水の都ストックホルムは、市の中心部でサーモンやニシンを釣る人を見かけるほど、自然と共存している都市である。1940年代から始まった水質改善努力により、市庁舎前の湖の水はそのまま飲むこともできるほど、環境にやさしくなった。二酸化炭素(CO2)の排出量は、既に1990年比で25%以上削減しており、2015年までには同じく1990年比で45%削減することを目指している。

 北欧の暮らしに欠かせないものとなっている、住宅やオフィスなどを“都市丸ごと”温める地域暖房では、その熱の87%をバイオマス燃料など再生エネルギーで賄っている。2050年までには市全体で化石燃料の使用をゼロにする目標を掲げ、今年は欧州委員会が選ぶ欧州の環境首都第1号にも選ばれた。


エコシティ開発に有利な“お上”による土地所有

 そんなストックホルムに今、世界各地から視察団が訪れている。中でも大量に視察団を送り込んでいるのが、中国だという。あまりの視察団の多さに「エコ以外の視察は受け入れが難しいのでは」と囁かれるほど、千客万来の状況が続いているようだ。

環境関連のプロジェクトを担当するストックホルムのウラ・ハミルトン副市長は、「中国からの視察団には何度も会った。彼らは、ストックホルムがどうやって都市計画を進めてきたのか、都市作りの手法を熱心に聞いていく」と話す。ハミルトン副市長は、中国語を流ちょうに話すアシスタントをそばに置いているほどだ。

 実は、中国のエコシティ関係者がストックホルムに注目するのは、両者の間に、ある共通点が存在するからである。それは、土地の大部分を“お上”が所有しているという、他の先進国ではあまり聞かない都市計画の前提条件である。

 シンガポールなどエコシティ開発で注目を浴びる一部の都市には、同じように国有地(市有地)の割合が極めて高いところもある。その例にもれず、ストックホルムでも約7割の土地を市が所有している。一昔前、社会主義的な政策を背景に、市が用地を段階的に取得してきたからだ。そのため、ストックホルムでは行政主導で大規模な都市計画を進めやすい環境が整っており、それが今になって同市をエコシティへと変貌させる1つの原動力になっている。

 既に水質やCO2の削減などで優れた環境指標を達成していることに加えて、この土地制度の共通点が、中国のエコシティ関係者のストックホルムに対する興味をかき立てるのだろう。中国も、都市の土地を国家が所有しているという強みをテコに、政府主導でエコシティを国内に展開することを目指している。そんな中国にとって、ストックホルムの事例は格好の調査対象ということのようだ。


海の玄関口を「2030年までに化石燃料ゼロ」に

 もちろん、ストックホルムが世界でもトップクラスのエコシティとして評価を受けているのは、都市開発に有利な独特の土地制度を持つからだけではない。エコシティ開発に取り組む、同市の戦略的な姿勢もある。

最近では、エコシティ建設が世界各地でブームになり、開発競争が激しさを増している。一部にはビジョンが壮大なあまり、実現性が疑問視されるようなプロジェクトまであるという。そのような中で、規模という視点で見れば、ストックホルムのそれは中国や中東諸国などと比べると見劣りする。だが、ストックホルムは規模ではなく質で勝負する。

その意気込みが表れているのが、同市の都市開発の歴史で最大規模となるであろう、「ストックホルム・ロイヤル・シーポート」のプロジェクトだ。

 フィンランドの首都ヘルシンキなどとフェリーで結ぶ港湾地区一帯を、2030年までに化石燃料を一切使わない港町に作り変える。プロジェクトは昨年始まったばかりだが、市全体で2050年までに化石燃料ゼロにするとの目標に先駆けて、この地区を未来のストックホルムのモデル地区にする。

 開発地域は236ヘクタール。2030年までに住宅1万戸を建設し、3万人を収容するオフィスを用意する。「化石燃料ゼロ」という野心的なターゲットに加え、「実際に最新技術を導入し、利用シーンを視覚化して見せることで、エコシティの象徴的なプロジェクトにしたい」(ストックホルム市のビジネス・デベロップメント・マネジャー、イリーナ・ルンドベリ氏)という。


ABB、エリクソンなどがこぞって参加

 世界各地のエコシティ開発プロジェクトに負けまいと、市はプロジェクトを最新の環境技術のショーケースと位置付け、スウェーデン企業の輸出促進など産業育成と結び付けようとしている。プロジェクトには、重電メーカーのABBや携帯電話設備メーカーのエリクソン、家電メーカーのエレクトロラックスなど、国際的なスウェーデン企業(ABBの本社はスイス)が数多く参加している。

 産業界全体でロイヤル・シーポートを先端技術の実験場として使いながら、その技術の詳細や導入効果を敷地内に設立したイノベーションセンターで公開するなどして、製品やサービスの拡販につなげようというのである。

 例えば、ABBはフィンランドの電力大手フォータムと共同で、スマートグリッドを導入する。ABBは米国やドイツでもエコシティの開発プロジェクトに参加しているが、スマートグリッドを実証する規模としてはストックホルムが最大級になるという。

 ABBでスマートグリッドを担当するグループ・シニア・ヴァイスプレジデント、カール・エルフスタディウス氏は、「ストックホルムは、市が明確なターゲットを設定している上に国際的な知名度もある。スマートグリッドを実験する場所としては最適な場所だ」と評価する。


「プロジェクトは有名、企業は無名」の反省

 こうした取り組みは当たり前のように聞こえるが、都市開発を担当する行政サイドが企業の市場開拓まで配慮しながらプロジェクトを推進することは、なかなかできることではないようだ。実際、ストックホルム市がロイヤル・シーポートを最新技術のショーケースと位置付けるに至ったのも、過去の苦い経験があったからこそだという。

 ストックホルム市は1990年代から、ウォーターフロントの工業地帯「ハンマルビー地区」をエコタウンとして再生するプロジェクトを進めてきた。2004年のオリンピック誘致に失敗したのち、選手村にする予定だった地域をエコシティのモデル地区として再開発してきたのである。

 ハンマルビー地区は、エコシティ開発の成功事例として世界の関係者から注目を集めた。例えば、スウェーデン企業のエンバックが開発した、ゴミ収集技術もその1つ。家庭などから排出されるゴミを、地下のパイプラインを通じて直接、地域内のゴミ処理場まで高速吸引してしまうシステムは特に有名になった。また、生ゴミなどを処理して作ったバイオガスを家庭のキッチンで使用するなど、同じ時期に建設された他の住宅地より環境負荷は約半分に抑えているという。日本からの視察団も数多く訪れた。

だが、プロジェクトは有名になっても、産業育成という観点では必ずしも成功とはいえなかった。ハミルトン副市長は2006年に就任直後、「ハンマルビー地区のプロジェクトに参加した企業のリストを担当部署に提出させようとしたら、何も出てこなかった」と振り返る。市としてプロジェクトに参加した企業の製品やサービスを売り込む手助けをするという視点が欠け、エンバックのような一部の例外を除けば、せっかくの宣伝機会を逃してしまっていたのである。


“お上”といえどもマーケットは大事

 その反省に立ち、今、ストックホルム市はエコシティとしての広報活動に余念がない。ロイヤル・シーポートはその最たるものだが、市ではなく民間が土地を所有している地区でも、いかに効率的な都市開発を進めるかを実証するプロジェクトをスタートする。

 1960年代に作られた古い住宅を残しつつ、環境負荷を減らすプロジェクトにも取りかかる。市でロイヤル・シーポートのプロジェクトを担当するイングマリー・アルベリ氏は、「参加企業がどんな技術を使い、どのような効果を上げたのか、プロジェクトの進捗は市としてしっかりと把握し企業の市場開拓を支援したい」と話す。

 実際にロイヤル・シーポートを訪れてみると、集合住宅の建設予定地の土壌改善が済んだばかりで、第1段階の住宅建設が始まるのは来年春頃だという。ロイヤル・シーポートの再開発を皮切りにした、2050年までに化石燃料ゼロにするというストックホルムの挑戦が成功するのかどうか、その判断を下すのはまだずいぶんと先の話になる。

 しかし、産業育成という視点で見る限り、市としてエコシティの開発をきっかけに、スウェーデン企業の技術力を世界にアピールしよう動き始めた心意気は、見習うべきところがある。

 スウェーデン企業にとって、人口約920万人という国内市場は決して大きくない。しかし、その首都であるストックホルムには、エコシティのフロントランナーとして中国を始めとする世界から注目が集まっている。そんな貴重な機会を逃さず産業育成に生かそうという同市の姿勢は、“お上”といえどもマーケット志向がなければ、もはや企業や市民の期待に応えられないという現実に改めて気付かせてくれる。
氏家齊一郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%8F%E5%AE%B6%E9%BD%8A%E4%B8%80%E9%83%8E

青木愛 (政治家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E6%9C%A8%E6%84%9B_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6)

2010/9/13 12:11 ネタりか


民主党代表戦の真っ只中に投下された、小沢一郎前幹事長と"小沢ガールズ"の一員である青木愛衆院議員の"密会映像"。

 これは8月14日に京都の鴨川沿いにある老舗割烹旅館「吉屋」で開かれた高島良充前参院幹事長らの慰労会終了後に撮られたものだ。慰労会の模様は17日の日本テレビ系ニュース番組『News every』で放送された。もちろん「密会映像」の放送は自粛していたのだが、それがあろうことか、代表戦の最中に流出。政治系ニュースでは最も実績のある「週刊文春」(文藝春秋)「週刊新潮」(新潮社)の2誌に同時にスッパ抜かれた。それもお蔵入りしていたはずの「密会映像」が、確たる証拠として両誌に使われていたのだ。

 これに小沢一派の議員は大激怒。日テレに対して、流出経路と流出させた人物の特定と厳罰を強く求めた。

 日テレも報道機関としての面子にかかわる問題だけに、早急に調査チームを作ったと言われている。だが、同局の幹部社員は「それは表向きの話」と断言した上で、次のように続ける。

「一介のディレクターが小遣い稼ぎで流出させたというレベルの話ではない。もっと大きなモノが動いていると思う。代表戦真っ只中に狙ったように流出するなんておかしいでしょ。上層部が調査に積極的でないことも気になる」

 全てはデキレースとでもいうのか――。そんななか、裏社会を知る人物が証言する。

「"脱・官僚政治"を掲げる小沢氏は敵が多い。日テレの氏家齋一郎会長や読売グループの"ドン"である渡邉恒雄氏らもその1人。かねて『小沢にだけは政権を取らせない!』と豪語していた。考えすぎかもしれないが、そうした勢力の意向が働いたのかもしれない......」

 この世には決して表に出てこない"フィクサー"と呼ばれる人物が数多くいる。そうした者の考えることは常人には理解不可能。"青木爆弾"はそうした勢力から小沢氏へのメッセージなのかもしれない......。
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