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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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ニューズウィーク日本版 10月25日(月)12時53分配信小暮聡子(本誌記者)

人間ではなく、ロボットが運転する車に乗りたいと思うだろうか。例えばカーナビに人工知能が搭載されて、道案内だけでなくハンドルまで握り始めたら?

 グーグルは今月上旬、こんなSFさながらの構想を発表した。開発しているのはビデオカメラやレーダーセンサー、レーザー式距離測定器を使って周囲の歩行者や自動車を認識し、目的地まで自動走行するロボット自動車。既に7台の実験車がカリフォルニア州を中心に約22万5000キロ以上の走行実験に成功した。

 開発目的は世界で年間120万人の死者を出している交通事故を減らし、渋滞解消によってエネルギー消費を抑えること。ニューヨーク・タイムズ紙が伝えたグーグルのエンジニアの話によると、ロボット自動車は人間のように注意散漫にならず、周囲の交通状況を確認しながら走るため事故が減る。衝突の心配がなければ車体を軽量化し、エネルギー消費を減らすこともできる。車間距離を最小限にしながらも安全に走行できるため、渋滞も緩和できる。

 グーグルはこの自動車の普及によって、交通事故の犠牲者を現在の半分に減らせると主張。ロボット自動車を高速道路で走らせ、大量に人を運ぶ「ハイウエートレイン」構想までぶち上げた。

 ただこの技術が実用化できるかどうかは未知数。酔っぱらって携帯をいじりながらでも、自宅へ連れ帰ってくれる車ができたらうれしいけれど。

(ニューズウィーク日本版10月27日号掲載)

Google、次のターゲットは交通問題、ロボット自動車技術を開発!

2010/10/11 Yoichi Yamashita

米Googleは10月9日(現地時間)、自律的に走行する自動車、いわゆるロボットカーの技術開発を公式ブログで報告した。公道を使用した試験走行を、すでに140,000マイル(約225,000キロ)以上も行っているという。

公式ブログで自律走行車プロジェクトを説明しているのはGoogleのDistinguished Software EngineerであるSebastian Thrun氏だ。スタンフォード大学のコンピュータサイエンス学部の教授であり、同大のStanford Artificial Intelligence Laboratory (SAIL)のディレクターも務める。2005年に米国で行われた無人ロボット自動車レース「DARPA Grand Challenge」の第2回大会において、同氏が率いるスタンフォード・レーシングチームの「Stanley」が初の完走優勝を果たした。Googleのプロジェクトには、Stanleyのソフトウエア責任者で2007年に市街地を舞台にした無人ロボットカーレースを制したCMUチームのChris Urmson氏、自律走行型のオートバイでDARPA Grand Challengeに参加したAnthony Levandowski氏など、DARPA Challengeで活躍したエンジニアが集結している。

Googleのロボットカーの試験走行車は、カメラ、レーダーセンサー、レーザーレンジファインダーを用いて周りの障害物や道路などを把握し、詳細なマップ(人が運転する車で最新データを事前に収集)と照らし合わせてナビゲーションを決定している。ロボットカーが収集した大量のデータをGoogleのデータセンターで処理することで、すばやいマッピングが実現する。試験走行では、同社のマウンテンビュー本社からサンタモニカ・オフィス(大半が高速道路)、サンフランシスコ市内からゴールデンゲートブリッジ越え(信号や歩行者の多い市街地と、混雑する橋)、パシフィックコーストハイウエイを走行(海沿いの曲がりくねった道路)など、様々な種類の道路を走破してきたという。プロジェクトでは安全が最優先されており、ロボットカーはボタン1つで手動運転に切り替わるように設計されている。試験走行では常に熟練したドライバーが運転席に乗り、またソフトウエアの状態をモニターするソフトウエア技術者が助手席に同乗する。

自律走行車技術の開発は「テクノロジを用いて大きな問題を解決する」というGoogleの理念に従ったプロジェクトの1つだという。この場合の大きな問題とは「交通事故と交通渋滞」だ。World Health Organizationによると、交通事故で毎年120万人以上が亡くなっている。「われわれの技術は、この数字をおそらく半分程度にまで削減できる可能性を備える」とThrun氏。また今日のカーシェアリングの形を変え、車の利用を大幅に減らし、「ハイウエイ列車」のような新たな交通手段を生み出すと指摘。道路を利用してより多くの人が効率的に移動できるようになれば、エネルギー消費の削減と共に、より多くの時間を生産性に割り当てられるとしている。

ところでGoogleの自動運転カーって合法?

【Googleの自動運転カー(動画)】
http://www.gizmodo.jp/2010/10/google_38.html

ギズモード・ジャパン 10月13日(水)12時32分配信

おー飛ばしてるね!グーグルが日曜発表した自動運転カーですよ!

「極秘で開発を進めてきた」割には結構ちょこちょこ出没しており、ご覧のように今年1月にはソーシャルウェブのグル、ロバート・スコーブルが国道280号線で追っかけて撮ってます(下)。まさか無人とは知らずに押さえたそうですよ...さすが。

...とまあ、レイク・タホ、サンフランシスコ-LAを結ぶ国道1号線など、アメリカの公道を走りまくってるグーグルの自走カーなわけですが、これって...合法なの? 当局にずばり聞いてみました!

無人カーは1970年代後半から研究が進められてきたものです。欧州の政府は'80~'90年代に自動走行車の研究に10億ドルの予算を投じています。1995年、オートバーンのテストで人の操作抜きで時速110マイルを記録したベンツのセダンもそのひとつ。

日曜このプロジェクトを公表する中でグーグルは、「既に公道14万マイル(22.5万km)近くを走行済みだ」と言いました。パシフィックコーストハイウェイ(国道1号線)、サンフランシスコの名所ロンバード通りも楽勝で走破したそうな。いや~、あの「世界一曲がりくねった坂道」ロンバードの絶壁クネクネ道クリアしたんなら、もう怖いものナシですよね! 「テスト走行の際には地元の警察に事前に届け出た」ということですが...果たして?

カリフォルニア州の担当の人に話を聞いてみたら、こういう車種のテスト走行を禁じる法律はないんだそうです、有事に対応できる人がハンドルの後ろに控えている限りは。グーグルは一応、テスト車両には常に最低3人が乗っていると話してますから(運転席のドライバーと、さらにソフトウェアとシステムを見張る技師2人)、大丈夫、バッチシ合法というわけです。ま、あんだけ大々的に発表したんですから当たり前ですよね、わははは。

グーグルのソフトウェアは「クルーズコントロールから大きな一歩前進になるね」と、カリフォルニアDMV広報Mike Marandoさんは言ってましたよ。「スピードの出し過ぎ、車線からはみ出た場合、 車を合法に操作する責任は人間にふりかかってきますけどね」

カーマニアにとっては寂しいことですが、現代車は何年も前から運転者の負担が減って、そのぶんテクノロジーに頼ってます。アダプティブ・クルーズコントロールは高級車の多くに標準装備されてますし、フォードやレクサスの車はブレーキ踏むだけで縦列駐車できちゃう! ぶつかりそうになるとブレーキが自動的にかかる高度システムもアメリカのCMではよく流れてます。

今のところグーグルも他の研究者も、運転席に誰か乗っけてさえおけば公道で車を開発しても法的制約はありません。でもそこから一歩進んで人がいなくなると? 技術的問題もさることながら、法的問題の整備もイロイロ必要になりそうですね。

Justin Hyde(satomi)

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メイソンCEO「世界中を“ローカル”でくくり直す」

2010年10月8日 小瀧 麻理子(日経ビジネス記者)

史上最速で成長するネット企業――。

 いまや世界のネットベンチャー起業家の憧れの的となっているのが、割引クーポンの共同購入のネットサービスを手がける、米シカゴのグルーポンだ。設立から2年余りで欧州やアジアなど29カ国、世界200都市に進出を果たした。

 仕組みは単純。事前に決めた地域ごとに毎日ひとつの割引クーポンの販売を24時間以内という条件付で販売する。応募の人数に達した場合に、応募者に50%以上の割引クーポンを販売するというものだ。日本でも今年の春以降、類似の会社が40社以上も出現した。

 同社を率いるのは29歳のアンドリュー・メイソン創業者兼最高経営責任者(CEO)。まるでバスケットボール選手のような190センチという長身だが、大学の専攻は音楽。柔らかい笑顔とは対照的な熱のこもった口調で、世界中を巻き込む“グルーポン革命”について語った。

(聞き手は日経ビジネス記者=小瀧 麻理子)

―― まずはグルーポンの会社の概要を教えてください。

 メイソン 設立は2008年ですが、世界29カ国、200都市で事業を展開しています。地域では北米、南米、欧州、アジアで。これまでに数百万枚のクーポンを発行しましたかね。総額で数億ドル以上(1億ドルは83億円)の割引を実現している計算です。

 従業員は2000人。うち半分くらいが割引サービスを発掘する営業部隊です。

始まりは社会貢献ビジネス
 クーポンの対象は米国でもレストランがやはり一番多い。あとはスパ、エステ、レジャー系、ゴルフやボートクルーズなどまで、いろいろあります。

売り上げは公開していません。しかし、外部のアナリストからは今までのネットの歴史上で一番早く事業が伸びている会社だとも言われています。広告収入などは基本的にありません。

―― そもそも、どうしてこんなサービスを思いついたんですか。

 一番最初は2007年11月にネット上に作った「ポイント」というサービスが始まりです。

 これはある種、社会貢献的な取り組みで、寄付行為や何かのアクションなど、一定の人数が集まって、非営利的な取り組みを進めるプラットフォームでした。

 このサービスの中に、同志を集めてグループ購入する機能があり、それがシカゴで大ヒットしたというのがグルーポン誕生のきっかけになりました。

 大学の学部生の時には音楽を専攻していて、レコーディングスタジオで録音したりバンド活動に励んでいましたが、その一方でソフトを書いたりもしていた。卒業後もソフトウェアエンジニアリングをやっているうちに、周りの人たちがもっと頑張れと出資してくれたりもしました。

奨学金を得て大学院に入学することができ、パブリックポリシー(公共政策)を勉強することになりました。その途中にこのポイントのアイディアに投資してくれる人が現れて、大学院を辞めることになった。

客は新しい体験を求めている
 今はビジネスがどんどん拡大していますが、根本的に考えているのは、このビジネスが誰かの助けになるということを期待しています。

 アマゾンは流通に革命を起こしましたが、グルーポンはさらにローカルの活性化に結びつくところにビジネスの意義があると思っている。今までネットの恩恵を受けていなかった地域ビジネスなどに光を当て、メリットをもたらすのがグルーポンの革命です。

―― これまで提供したユニークなサービスや、地域や産業に影響を与えた例を教えてください。

創業から2カ月目に提供したサービスでとっても奇妙でユニークなのがありました。

 すべての外部からの刺激を閉ざす環境を体験できる、という触れ込みで、常温の水がたたえられた卵形のシェルがあり、真っ暗闇のその中で浮かぶ、というものでした。

 僕らは当時、冗談半分で、楽しいかな、とも思ってやってみたら、5%のユーザーがこのクーポンを購入したんです。

 客は、普通に日常にあるものじゃなくて、新しい体験を求めているんだと学びましたね。

埋もれているものを掘り起こす
 もう1つグルーポンサービスの力は、良いサービスを提供していても、埋もれているものに対して、有効なプロモーション手段になるということです。情報を掘り起こせるんです。

 1つの例がボストンにあるヘリコプターの学校です。

 ここは創業以来、なんと25年も赤字が続いていたのです。25年間の集客は5000人程度でした。ところが、グルーポンを利用したことにより、1日で2500人も集客することができた。今年、遂に初めて黒字化を果たしました。もちろん経営者もハッピーです。

 そういった地域活性化の例は山ほどあります。

―― 今や日本を含め世界中に類似のサービスを手がける会社が誕生しています。どうやって差別化しますか。

 世界中でざっと500以上、グルーポンをコピーしたサービスがあると聞いています。

 音楽の世界ならばロイヤルティ収入が入ってきそうな状況ですが、ビジネスの世界でそうはいかない。それらのサービスと競争するしかありません。

 でも、いろんな競争相手が出てきても、オリジナルは常に次の段階へと行くことができる。米アップルのiPadの類似の商品が多い中でも抜きん出ているのと同じです。

当社と他社の一番大きな違いは提供しているサービスの質です。

 さきほどお話ししたように、うちは従業員の半分の約1000人が日々、面白い案件の発掘に動いている。持ち込みにはほとんど頼りません。持ち込まれる案件8つのうち7つは断っている状態で、高いレベルを保つよう努力しています。

 最近、力を入れているのが、「パーソナライズドディール」というサービスで、地域や過去の購入履歴から分別して、新しいサービスを紹介するようにしている。グルーポンのサービス自体が進化しているんです。

 今、米国でグルーポンの競合がたくさん出てきている理由の1つには、グルーポンに掲載してもらえない店舗が他社に殺到しているということがあります。今はグルーポンは3カ月待ちの状態になっている。

 逆に言えば、グルーポン自体のキャパシティをもっと増やせば、こうした競合サービスは淘汰されていくでしょう。

東京をさらに細分化してみたい
―― この夏には日本の共同購入会社、クーポッドを買収し、日本市場への参入を決めました。

 日本市場は、グルーポンが成功したシカゴなどの都市部と同じ性質を持っています。

 大都市に人口が密集し、いろいろなサービスが存在しており、人々は外に遊びに行くのが好きなようです。グルーポンが広がる好条件がそろっています。

 進出に当たってはクーポッド以外にも様々なチームと接触しましたが、ネットしか分からない企業とはやりたくなかった。ユーザー体験への考え方や企業文化などを重視してクーポッドを選んだ。

 今後はグルーポンのノウハウをクーポッドに提供していきたいと思います。あらゆる失敗をしてきましたからね(苦笑)。

 どのような種類のクーポンをどのような人に組み合わせて販売するのがよいのか、オペレーションや集客のノウハウ、ファイナンスのやり方などいろいろなことを共有していきたいと思います。

 また、大都市ではさらに区分化が進んでいます。例えば東京という地域もより区分けしていくなど、ユーザーから見てより身近に感じてもらえる場所を提供していきたい。

―― 今後やってみたいビジネスはありますか。

 世界中でローカルのビジネスを活性化させていきます。それと同時に、大企業とのタイアップも面白いですね。

 米ギャップと全米全ての都市でタイアップする企画をやりましたが、非常に反響が良くて、1日50万クーポン売れました。こうした新しい分野も拡大していきたいです。

ニューズウィーク日本版 10月1日(金)15時20分配信


ウィキペディアやブログの失速で見えてきた「ソーシャルメディア」の転換点

トニー・ダコプル、アンジェラ・ウー

 2009年の春は、インターネットの歴史の一大転換点だったのかもしれない。オンライン百科事典ウィキペディアの勢いに、陰りが見え始めたのだ。

 03年に10万件だった記事数が現在は全言語版合計で1600万件を突破するなど、ウィキペディアは急成長を遂げてきた。しかし09年春、創設以来おそらく初めてのことが起きた。記事の執筆・事実確認・更新を無償で行うボランティア編集者の人数が大幅に減少したのだ。

 その後も記事の執筆・更新は振るわないままだと、ウィキペディアを運営する非営利団体ウィキメディア財団の広報担当者は認める。状況は「極めて深刻」だという。

 原因については、さまざまな仮説が唱えられている。ウィキペディアが百科事典としてほぼ完成したからだという説もある。一部のボランティア編集者のあまりに攻撃的な編集姿勢や、「荒らし」防止のための複雑過ぎるルールのせいで、気軽に参加できなくなったからだという説もある。

 このような説は、もっと根本的な人間の性質を見落としている。ほとんどの人間は、「ただ働き」なんてしたくないのだ。

「誰もが情報を発信できる」「大勢のアマチュアが協力すれば世界を変えられる」という理念には、多くの人が魅力を感じる。しかし仕事を終えて疲れて帰宅すれば、インターネットを通じて世界に貢献するよりは、かわいい子猫の動画を見たり、安い航空券を売っている業者を探したりしたい。

 その点は、ウィキペディア側もよく心得ている。今後展開していく新しい勧誘キャンペーンでは、オンライン上に人類の知識を集積することの崇高な意義だけを訴えるつもりはない。大学の授業の課題の一環として、学生にウィキペディアの執筆・編集に参加してもらおうと考えている。そのために既に、ジョージ・ワシントン大学やプリンストン大学などの8人の大学教授と合意を交わした。

■ユーザーに広がる倦怠感

 一般のユーザーが情報を発信して主体的に関わる「ソーシャルメディア」は世界を変える可能性を秘めている、その変革のプロセスはまだ始まったばかりだ──テクノロジー系のジャーナリストはそう言い続けてきた。

 なるほど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェースブックは、「幽霊会員」を除いても5億人のユーザーがいるという。オンライン写真共有サイトのフリッカーには、約40億枚の写真が投稿されている。動画投稿サイトのYouTubeの勢いもとどまるところを知らない。

 見落とせないのは、これらのサービスがユーザーに明確な恩恵を提供していることだ。時間と手間をかける代わりに、友達と手軽に連絡を取り合ったり、オンラインゲームを楽しんだり、赤ん坊の写真を親戚や友人に見せたり、ファッションモデルがステージから転げ落ちる動画を見たりできる。

 この条件を満たすものを別にすると、インターネットへのユーザーの主体的な参加を前提とするソーシャルメディアには、このところ元気がなく見えるものが多い。

 これまでは、インターネットが比較的新しいテクノロジーで、ユーザーがいわば集団的な熱狂状態にあった。そのおかげで、オンライン百科事典の記事を書くような作業が新鮮で、格好よくて、楽しいものに思えた。

 しかし今や、アメリカの全世帯の3分の2がインターネットに接続している時代だ。「共通の善」のために無償で奉仕するという発想はやや色あせて見え、ネット上の活動に参加することが退屈に感じられるようになった。

■書き込むのは10人に1人

 そうした倦怠感はさまざまな場面に表れている。アマチュアユーザーが執筆するブログは、「誰でも情報発信できる」というインターネットの民主的な性格を象徴するものとして早い時期に脚光を浴びたが、ここにきて衰退の兆候が表れ始めている。

 ブログ専門検索サイトのテクノラティによれば、プロのブロガーは増えているが、趣味でブログを書く人は減っている。ブログの約95%は、開設されてすぐに更新されなくなるという。民間調査機関ピュー財団の最近の調査によると、アメリカの18~24歳の層で自分を「ブロガー」と位置付けている人の割合は、06年から09年の3年間で半分に減った。

 ミニブログサービスのツイッターにユーザーが流れた面もあるだろう。しかし、ツイッターに実際に書き込んでいる人は意外に少ないのかもしれない。09年のハーバード大学の調査によると、ツイッターのすべての書き込みの90%はわずか10%のユーザーの投稿だという。ツイッター利用者のほとんどは、ほかの人の書き込みを読んでいるだけなのだ。

 ピュー財団の調査によると、ニュース記事や意見記事を書いて投稿した経験があると答えたインターネット利用者は、10人に1人に満たない。ブログやウェブサイトのコメント欄に書き込んだ経験がある人は、わずか4人に1人だ。

 一般ユーザーの無償の活動に頼ってきたウェブサイトは、ユーザーのつなぎ留めに躍起になっている。しかし、ユーザーの争奪戦は激しくなるばかりだ。「資源、つまりユーザーの数は限られているのに、それを活用する場の数は昔に比べてはるかに増えている」と、ミシガン州立大学のクリフ・ランピ助教授(オンライン・コミュニケーション)は言う。

 賢明なウェブサイトは、既に対応し始めている。テクノロジー系ニュースサイトのディグは、ユーザーの投票によりトップページの掲載記事を決める方針で人気を集めている。しかし読者は大勢獲得できたものの、記事の投票を行うユーザー数は伸び悩んでいた。そこで年内にサイトを刷新し、サイト上で友達と交流する機能を取り入れることでユーザーを呼び込もうと考えている。

■カギを握るのは「ご褒美」

 オンラインショッピングサイトのアマゾンや、店舗の口コミ情報サイトのイエルプ、製品レビューサイトのEピニオンズなど、アマチュアが無報酬で寄せるレビューに依存しているウェブサイトは、レビューアーに何らかの「ご褒美」を与える仕組みを取り入れている。イエルプは、レビューをたくさん投稿したユーザーを招いてパーティーを行っている。

 ゴーカーやハフィントン・ポストなど、読者のコメントが売りもののニュースサイトでは、優れたコメントを寄せるユーザーに、星印による評価や特権を与えるなどしている。YouTubeも、カーネギーホールで演奏したりグッゲンハイム美術館に作品を展示したりするチャンスを呼び水にして、投稿を促そうとしている。

 効果はある。ゴーカーが星印によるユーザーの評価制度を導入して、「星付き」ユーザーのコメントをサイト上で目立ちやすくしたところ、コメント欄への書き込み量が過去最高を記録した。

 とりわけ優れたユーザーにさまざまな特権(ほかのユーザーの書き込みを削除する権利など)を認めているハフィントン・ポストは、どのニュースサイトよりコメント欄への書き込みが活発だと胸を張る。イエルプは、3カ月に100万件のペースで新しいレビューが投稿されていると言う。

「ご褒美」を使ってユーザーの参加を促す仕組みは、今後ますます重要になるだろう。従来インターネットがあまり普及していなかった国や地域にサービスを拡大しようと思えば、なおさらだ。

 09年、グーグルはアフリカ東部地域で「キスワヒリ・ウィキペディア・チャレンジ」というプロジェクトを始めた。ウィキペディアにスワヒリ語の記事を増やすために、インターネット接続用のモデムや携帯電話、ノートパソコンなどのプレゼントを用意したのだ。

 この活動は成果を挙げた。『クラウドソーシング──みんなのパワーが世界を動かす』の著者ジェフ・ハウが06年に指摘したように、ソーシャルメディアの世界で勝者になる条件は、「十分に報われているとユーザーに感じさせる方程式を確立する」ことのようだ。

 やがて星印やプレゼントだけでなく、現金を配る日が来るのかもしれない。それでは投稿が仕事と変わらなくなる気もするが。

 


*ボランティアがウィキペディアから“ログオフ”!


2009年 11月 23日 1:00 JST

 

毎月3億2500万人が訪れ、アクセスランキング世界第5位を誇るユーザー参加型オンライン事典Wikipedia.org(ウィキペディア)は、これまでにないほどのボランティア編集者の減少という事態に見舞われている。


 

これはウィキペディアがインターネット上で普及させてきたアマチュアの地位向上という大衆化の旗印に重大な影響を及ぼす可能性がある。

 ウィキペディアのデータを分析する、マドリード(スペイン)のレイ・ファン・カルロス大学の調査グループ、リベロソフト(Libresoft)のプロ ジェクト・マネジャー、フェリペ・オルテガ氏によると、2009年の最初の3カ月で編集者は4万9000人以上減少した。1年前の同じ期間では4900人の減少だったという。

 ウィキペディアは世界中の人々がアクセスできる「全人類の知識の結集」を目指し、2001年、非営利団体の 「Wikimedia Foundation」(ウィキメディア財団)によって設立された。誰もが新規記事の執筆や既存の項目の編集を行えるシステムを採用し、大勢のボランティ ア編集者を参加させ、世界規模で利用者数を拡大することに成功した。米国の市場調査会社コムスコアによると、昨年9月からの一年間で、ウィキペディアの訪 問者数は約20%増加している。


 

訪問者が増加する一方で、ウィキペディアを支えるボランティア編集者が減少している状況に対し、同サイトが今後も拡大し続けることができるのか、 正確性を改善することができるのかという疑問が生じている。ウィキペディアは不正確な情報の表示や、悪意ある投稿者による意図的な虚偽情報の掲載によって、その信頼性が損なわれるという事態にも直面している。

 「ウィキペディアを取り巻く環境はますます厳しいものになってきている」とオルテガ氏は指摘する。「オンライン・ボランティアの多くは、特定の記事の内容について、繰り返し議論しなければならないことに疲れ果てている」


 

ウィキペディアの苦戦は、インターネット時代の最も有望な理念である「クラウドソーシング」の発展にも影を落としている。クラウドソーシングは、大勢のウェブ利用者の知識を集約させる、従来の規則や階層にとらわれない優れた方法として広く紹介されてきた。

 だが、ウィキペディアは成熟するにつれて、自由な発言が制限されるようになり、多くのウェブページに規則が明記されるようになった。ゼロックス社 の研究者の調査によると、記事を編集しようとする新規訪問者は、無意識に規則違反を犯す可能性がある者として通知され、編集箇所が削除される、というケースが増えているという。

 ウィキペディアの創設者であり、ウィキメディア財団の名誉理事であるジミー・ウェールズ氏は、新規訪問者に対する敵対的な態度は是正できる問題だとした上で、自らの最優先事項は記載内容の正確さを期することだと述べた。そして新しい記事を掲載する前に、上級編集者に承認を得ることを要求している。そうすることで今年1月に発生した、エドワード・ケネディ米上院議員の死を実際よりかなり前に掲載するという蛮行は防げるはずだとしている。


 

ウィキペディアは、誰にでも編集可能とすることで、中立的なコンセンサスのみを掲載することを目指してきた。だが、広く普及したことで、この中立性が損なわれる結果になっている。落書き、冷やかし、宣伝といったあらゆる荒らし行為のターゲットになってしまったのだ。

 南カリフォルニア大学の教授で「ウィキペディア・レボリューション」の著者でもあり、自身もウィキペディアの定期的な投稿者でもあるアンド リュー・リー氏によると、2005年、米国のジャーナリスト、ジョン・シーゲンソーラー氏がジョン・F・ケネディおよびロバート・ケネディの暗殺事件にかかわっていた可能性を示唆する事実と異なる記述が4カ月にわたって放置される事件が発生し、ウィキベディアのオンライン編集者はそれ以降、荒らし行為や疑わしい編集行為に対する取締りを強化するようになったという。

 それによって、同サイトはボランティア編集者が新規則を多数設けることを協議しなければならないような階層社会的なものへと変化し、新規訪問者が話題性の高い記事を編集できないようにする機能も導入した。その結果、以前のように新規訪問者が自由に記事を作成できることで人気を博していた時期から大きな転換を迎えることになった。 

 財団が昨年実施した調査によると、編集者の平均年齢は26.8歳で、87%が男性であるという。

 ウィキメディア財団の対外活動責任者であるフランク・シュレンブルグ氏は、新規ボランティア編集者のために基本規則を一箇所に集約する「ブックシェルフ(bookshelf)という取り組みを進め、編集者の減少に歯止めをかけ、増加に持ち込みたい考えだ。

 毎年、世界各地のウィキペディアの執筆者や編集者が集まって開催される国際会議Wikimania(ウィキマニア)の議題のトップは、この5年ほど「ウィキペディアは絶滅寸前」だという。

原文: Volunteers Log Off as Wikipedia Ages


*Wikipedia運営団体、「ボランティア編集者激減」の報道に反論!


 

「Wikipediaのボランティア編集者の減少が拡大している」とする報道に対し、Wikimedia Foundationは、ボランティア編集者の数は安定しているとコメントしている。


 

2009年11月27日 15時31分 更新


 

「Wikipediaのボランティア編集者が激減している」とする報道に対し、Wikipediaを運営するWikimedia Foundationがコメントを発表した。編集者の数は安定していると反論している。

 このコメントは、Wikipediaのボランティア編集者の減少が拡大していると報じたWall Street Journalの記事 を受けてのもの。同紙が引用したスペインの研究者フェリペ・オルテガ氏の調査によると、英語版Wikipediaのボランティア編集者は2009年第1四半期に4万9000人減少した。これに対して前年の同じ時期は4900人の減少だった。

 しかしWikimedia Foundationは、同財団の統計では、ボランティア編集者の数は2年半前をピークに減少したが、その後は安定していると主張している。また読者数と記事数は増えているとも語っている。

 また同財団は、オルテガ氏の調査手法について幾つかの指摘をしている。同氏の調査では、1回でも投稿した人を編集者としてカウントしており、この方式だとWikipedia全体(すべての言語版)で300万人の編集者がいることになる。同財団は5回以上投稿した人を編集者と定義しており、編集者は全部で100万人弱になるという。

 さらにオルテガ氏の調査では、1カ月間の編集者数ではなく、ボランティア編集者がいつ投稿を始め、いつやめたか(ログアウト日を「最後の投稿」と定義)を測定している。Wikimedia Foundationは、この手法では長期的なトレンドを測定するのは難しいと指摘している。

 Wikimedia Foundationの統計では、英語版Wikipediaのアクティブ編集者(1カ月に5件以上投稿)は2007年3月に5万4510人とピークに達し、その後およそ25%減少し、この1年は4万人程度で推移している。この間にほかの言語版のWikipediaの多くでは編集者が増えており、「全体では、編集の数はここ数年、高いレベルで安定して推移している」という。

 しかし同財団は最後に、Wikipediaの内容を充実させるにはもっと多くの編集者が必要だとし、「今よりも大幅に編集者を増やしたい」と話している。

HTML5
http://ja.wikipedia.org/wiki/HTML5

Impress Watch 9月16日(木)12時0分配信

米Microsoftは15日、次期ウェブブラウザー「Internet Explorer 9」(IE9)のベータ版を一般に公開した。日本語を含む33言語版が用意されており、Microsoftの特設サイト「Beauty of the Web」からダウンロードできる。対応OSはWindows 7/Vista。

 IE9では、HTML5やCSS3などの標準規格への対応を強化。新たなJavaScriptエンジン「Chakra」を搭載し、レンダリングにGPUハードウェアアクセラレーションを利用するなどパフォーマンス面でも向上を図った。

 ユーザーインターフェイスも、アドレスバーと検索ボックスが統合されるなどシンプルな構成となり、サイトをWindows 7のタスクバーに登録する機能など、Windows 7と連携する機能を搭載した。

 Microsoftでは、IE9ベータ版の公開に合わせたイベント「Beauty of the Web」をサンフランシスコで開催。「Beauty of the Web」のサイトでは、Facebook、Twitter、MySpaceなど70以上のサイトが、IE9の機能を利用した新しいサイトやウェブアプリケーションをショーケースとして紹介している。

【クラウド Watch,三柳 英樹】



HTMLで図まで描ける!進化した「HTML5」ってどんなもの?

2010年2月3日 18時58分 はてな

 HTML5の特徴の一部としては、次のような項目が挙げられます。

文章の構造化が進み、検索エンジンなどに対してページの内容をより明確に伝えられるようになる。
動画や音声データの公開もより便利に。オフラインでもWebサイトのデータ閲覧が可能に。
まず大きな特徴として挙げられるのが、ページの内容をより明確にコンピュータに伝えるための「文章の構造化」が進むという点です。これまでWebサイトのレイアウトといえば、tableタグやdivタグとCSSの組み合わせによるものが主流でした。ヘッダーとなる部分は<div id=”header”>、フッターとなる部分は<div id=”footer”>といった記述の仕方が一般的でしたが、HTML5では<header>や<footer>といった要素が新たに追加されます。レイアウトにこれらのタグを利用することで、「<header>と</header>で囲まれた箇所はヘッダー部分である」とコンピュータ側が認識するようになり、ページ内の文章構造をより明示的に表すことができます。ヘッダーやフッター以外にも、文章などのセクションを定義する「section要素<section>」や、ナビゲーションエリアを定義する「nav要素<nav>」などがあります。

そして今やWebサイトには欠かせない「動画・音声」といったマルチメディアコンテンツについても、HTML5ではより簡単に扱えるようになります。これまでFlashやAjaxの技術が必要だった機能についても、HTML5とJavaScriptのみで実現が可能になり、画像を貼る<img>タグのように、<video>や<audio>といったタグによって動画や音声をページに埋め込むことができます。

また、既存のブラウザではできなかったデータをブラウザ上に保存する機能や、ネットワークに接続していない環境でもWebサイトの表示をサポートする機能も、HTML5の大きな特徴と言えます。オンラインからローカルに保存しておくことで、ネットワークに繋がっていなくても必要なデータを閲覧することが可能になり、実際にGmailのWeb版でもこれらの機能を生かし、ネットワークに繋がっていない状態でもiPhoneからメールを閲覧できるようになっています。

百度
http://ja.wikipedia.org/wiki/Baidu

DIAMOND online 2010年9月9日  

 グーグル、ヤフーに次ぐ世界3位のインターネット検索サービスBaiduは、創業10周年を迎えた。10人足らずで起業した会社は急成長を遂げ、いまや押しも押されもしない中国首位のインターネット企業となった。創業者の李彦宏(ロビン・リー)会長兼CEOが、Baiduのこれまでの10年とこれからの10年について語る。

自信と起業の夢を育んだシリコンバレーの息吹「6ヵ月で検索エンジンの初版を開発します」──。

時計の針を巻き戻した10年前の2000年初頭、31歳の若き経営者が、海千山千のベンチャーキャピタルの投資家たちを相手に今後の事業計画を熱く語っていた。中国インターネット検索サービス最大手Baiduの李彦宏(ロビン・リー)会長兼CEOである。

「もっと資金を出すから開発を早めることはできないか」。創業したばかりで喉から手が出るほど資金が必要だったロビンにとって、非常に魅力的な提案だった。普通の経営者であれば、「わかりました。やってみましょう」と請け合ったことだろう。しかし、しばし考えたすえに彼が口にした返答は、「できません」だった。

 このひと言で、Baiduとロビンはベンチャーキャピタルの信頼と資金を勝ち取った。あとになって投資家たちから、「あなたの回答には非常に満足した」と聞かされた。ロビンが非常に正直であり、できるかどうかわからないことを軽々しく約束する人間ではないとわかったからだった。

「少許諾,多兌現」(わずかの承諾で、多くを実行すること)──。ロビンの経営信条だ。実際、検索エンジンの初版はわずか4ヵ月で開発を完了し、投資家たちを驚かせた。

 業績だけを見れば、Baiduのこれまでの10年は順風満帆そのものだ。この9年で売上高は684倍の44億元(約572億円)まで急拡大し、中国におけるシェアは70%超と断トツだ。

 だがここまでの道のりは決して平坦ではなかった。創業当初は、「もうダメかもしれない」と何度も挫けそうになった。そんなときロビンを支えたのは、「自分が好きなことにチャレンジするなら、たとえ失敗しても後悔しない」というチャレンジ精神だった。その原点となったのは、8年間の米国生活だ。

門・北京大学で情報管理の学士号を取得したロビンが渡米したのは1991年、23歳のときだった。大学院でコンピュータサイエンスを学び、「ウォールストリートジャーナル」の金融ニュースの検索システム担当を経て、97年、シリコンバレーに本社を構える検索エンジンのパイオニア、インフォシークのエンジニアに転じた。

 世界中から優秀な人材が集い、IT企業が次々と誕生するシリコンバレーの息吹に触れたロビンは、自らも起業への思いを募らせていく。96年には、検索エンジンの主要技術であるハイパーリンク解析技術に関する特許を米国で取得し、検索エンジンの第一人者としての評価を着々と固めていった。

多くの人が恩恵を受け、多くの人が使いたいと思う検索サービスを提供したい」。99年、ロビンはそんな思いを胸に創業を決意する。当時、中国のインターネット市場は急成長を遂げていたが、検索エンジンの分野は技術的に遅れていた。その分野に強みを持つロビンにとっては絶好のチャンスだった。ベンチャーキャピタルから120万ドルの融資を獲得して帰国すると、翌2000年1月1日、ITベンチャー企業が集積する「中国のシリコンバレー」、北京・中関村でBaiduを起業した。

「この10年を振り返ると、嬉しかったときよりむしろつらかったときのほうが印象に残っている」。そう語るロビンの脳裏には、2度の絶体絶命の危機の記憶がまざまざと蘇っていた。

 最初の危機は、創業から1年で訪れた。その頃の中国は、ポータルサイト(インターネットの入り口となるサイト)の最盛期で、Baiduは検索サービスをポータルサイト向けに提供して技術料を得ることで順調に収益を伸ばしていた。だがロビンは、「多くの人が使いたいと思う検索サービスを提供する」という初志を貫徹するためには、エンドユーザーに直接サービスを提供するビジネスモデルへと転換するべきだと考えていた。

 ようやく事業が軌道に乗り始めた時期だっただけに、当然多くの社員や株主、経営陣から反対された。ここで普通の創業社長であれば、鶴のひと声ですませてしまうところだろう。だがロビンは違った。反対者の意見にも耳を傾け、議論し、忍耐強く説得を続けた。そんなとき、ある大手ポータルサイトが、一方的に技術料の支払いを拒否するという事態が起きた。従来のビジネスモデルの限界が露呈したのだ。この事件も後押しとなって、最終的には反対していたメンバーから賛成を取り付けた。

「真摯な姿勢、チームビルディング(個性を生かしつつチームを一つにまとめること)を大切にするリーダーシップ、ピンチでも感情をコントロールできる冷静さがすばらしい」。07年からBaiduの社外取締役を務めている、元ソニー会長でクオンタムリープ代表取締役の出井伸之が評するように、ロビンは、エンジニアの才能だけでなく、経営者としての優れた資質にも恵まれている。

 第2の危機は、米ナスダック上場を間近に控えた05年のこと。中国で検索サービス首位の座を固めつつあったBaiduに対し、マイクロソフトやグーグル、ソフトバンクなどが出資や買収の意向を示したのだ。彼らが提示した価格はいずれも、IPO(新規株式公開)する場合の価格を上回っていた。

 折しも、上場前のロードショー(投資家への説明会)の最中だった。ロビンは、昼間は将来の投資家に対してBaiduのよさを強調し、株式を購入するよう訴えた。一方、夜は売却を望む投資家と会い、Baiduの潜在力を訴え、売却すべきではないと説得した。当時、投資家には拒否権があり、1人でも上場に反対すれば上場できない。まさに絶体絶命の状況だったが、またしてもロビンは持ち前の真摯さと冷静さで全員を説得し、買収の危機は回避された。

 05年8月、Baiduは無事ナスダック上場を果たし、公開価格27ドルに対し終値は4.5倍の122ドル強まで上がり、当時の上場初日株価上昇率の新記録を打ち立てた。

 快進撃を続けるBaiduの強みは何か。

 まず、得意分野に特化していることだ。競合他社は数十ヵ国の言語に対応しているが、Baiduは中国語と日本語の2ヵ国語だけ。7000人あまりのリソースを2言語に注力することで、市場が求める技術やサービスを迅速に開発することが可能になっている。

 もう一つは、優秀なエンジニアチームを持っていることだ。ロビン自身も世界屈指のエンジニアであり、Baiduには中国全土から優秀な人材が集まってくる。

克服すべき課題も見えている。「Baiduはまだ若い会社。技術面では最強を自負しているが、その他の分野はそれほど優れているとはいえない」。GMACやアメリカン・エキスプレスなど外部から優秀な人材を招聘し、マネジメント体制の強化を急いでいる。自分に欠けているものを認識し外部に求めることができることも、ロビンの経営者としての優れた資質の一つだろう。

 またBaidu初の海外進出先である日本事業の拡充も課題の一つだ。グーグルとヤフーの2強が9割超を占める市場で苦戦を強いられているが、「言語や文化に合った独自のサービスや機能を提供していけば、日本のユーザーに受け入れられるはず」と、時間をかけて市場での存在感を高めていく構えだ。

 一方、グーグルがつまずいている中国市場では、Baiduの存在感がさらに高まっている。だが、「今後市場が成長する過程で、新しいビジネスチャンスが生まれ、新たなプレーヤーが参入すれば、競争はいっそう激しくなる」と、手綱を緩める様子はない。

 今年3月15日、Baiduはとうとう株価でグーグルを抜いた。成長市場の中国で、成長産業のインターネットを生業とするBaiduに対する期待の大きさがうかがえる。

 10年後のBaiduはどうなっているのか。「10年後を予測するのは難しい。でも予測できないからこそ、心が奮い立つんだ」──。「少許諾,多兌現」を信条とし、常に期待以上の成果を上げてきたロビンとBaidu。だからこそ、期待せずにはいられない。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)
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