平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点)
平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中!
無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』
http://www.uonumakoshihikari.com/
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
欠けている「世代交代」の視点!
2010年9月16日(木)日経ビジネス 小黒 一正
なぜ政府はもっと借金を増やさないのか?
「無税の国家が実現できる」という議論を聞いた場合、皆さんはどう反応するだろうか? ほぼ全員が、「そんなにうまい話があるはずがない。うさん臭い」と思うに違いない。
では、「日本の場合、政府の借金の多くは国内で賄っている。国全体で見ると、国民の『「借金』であると同時に『資産』であるから心配ない」という議論はどうだろうか?
今度は、「もしかすると、大丈夫かもしれない…」と考える人が増えるに違いない。
だが、この2つの議論はつながっているのだ。理由は簡単で、もし「政府の借金を国内で賄っている限り、問題がない」のであれば、政府支出のすべてを内国債(国内からの借金)で賄ってしまえばいいからだ。これで、無税国家が実現できる。何かおかしいが…。
極端な議論であるが、経済学者は古くから国債の負担について議論してきた。その中で、政府支出の経路が定まっている場合に、その財源の一部を租税でなく、国債で賄ったときに、経済に何か変化が起こるかどうかについても議論してきた。
この連載の目的は経済学の講義でないから、詳しい説明は省くが、「一定の前提条件」が成り立つとき、長期的に財政収支が均衡する限り、租税で賄おうが、国債で賄おうが、同等であると示すことができる。これを、「公債の中立命題」という。この命題の「前提条件」が成り立てば、政府支出を賄う財源として、租税と国債は同等だから、全部を国債発行で賄っても問題ないことになる。
だが、公債の中立命題は残念ながら成り立たない。それは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアシリーズ)でも説明しているように、世代交代や家計の異質性などがあるからである。以下、この点について少し説明しよう。
複雑な問題は、簡略化すると「本質」が見えてくる!
まず、本質を見るため、2つの家計しかいない経済を考えよう。つまり、異質性のある家計で、多くのマネーを持つ家計Iとそうでない家計IIだ。
また、政府は本来なら適切な財源を確保しなければならないが、増税を先送りして、ここでは国内の家計Iに1億円の公債(内国債)を引き受けてもらい、それを財源にして、家計Iと家計IIに5000万円ずつの減税を行う。いっぽう公債償還時には、公債を引き受けてもらった家計Iに1億円を返済するため、家計Iと家計IIに5000万円ずつの増税を予定しているとしよう。
このケースにおける政府と家計間のマネーの流れを図示すると、図表1のようになる。まず、公債を発行する時点はどうかというと、それは「1)公債発行時」上段のようになる。家計Iのマネーの動きに注目すると、1億円出ていき5000万円入ってくるから、ネットで「5000万円」出ていく。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」入ってくる。
この場合、政府は「マネーを右から左に流す単なる導管」にすぎない。このマネーの流れはけっきょく、「1)公債発行時」下段のように、家計IIが家計Iから5000万円のマネーをもらったのに等しい。
では、公債を償還するときはどうか。政府はマネーを借りた家計Iに1億円を返済する必要があるので、家計Iと家計IIに増税を行う。この場合、マネーの流れは図表1の「2)公債償還時」上段のようになる。その際、家計Iのマネーの動きに注目すると、5000万円出ていき1億円入ってくるから。国債を発行するときとは逆で、ネットで「5000万円」入ってくる。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」出ていく。つまり、この場合はけっきょく、「2)公債償還時」下段のように、家計IIが家計Iに5000万円のマネーを返すことになる。
このように、公債発行・減税政策は、内国債であるとき、その発行時と償還時のどちらにおいても、政府は単なる導管にすぎない。家計間でマネーをやり取りしているのと同等になる。このとき、家計IIはどのように行動するか? もし家計IIが合理的なら、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに使わず、償還時の増税に備えて、貯蓄しておくだろう。
他方、もし家計IIが合理的でなく、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに消費してしまい、償還時に5000万円の増税を受けても、損得ゼロだから「自業自得」の話だ(もっとも、家計IIが5000万円の増税を政治的に拒否し、国債の一部をデフォルトさせるか、家計Iに追加負担を迫るシナリオもあり得るが…)。
世代交代があると議論は変わってくる!
しかし、公債を発行する時点と償還する時点とでは30年程度のタイムラグがある。その間に世代交代があると話が違ってくる。いま、公債を発行した時点と償還する時点の家計は親子関係にあり、償還時の家計I’は、親である発行時の家計Iの子どもが成人した時点での家計としよう。同様に、家計II’は家計IIの子ども世代だ。(図表1で、家計I’のように「’」が付いているのは「子世代」、付いてないのは「親世代」であることを示す)。
ここで、親子関係にある「家計II」と「家計II’」に着目してみよう。その際、政府の公債発行・減税政策により、公債を発行した時点において、親の「家計II」は5000万円の「得」をした。しかし、償還する時点において、子の「家計II’」は5000万円の増税で「損」をすることになる。
このとき、もし家計II’の親である家計IIが利他的で、子どもの家計II’のことを(可哀想と本当に)考えているなら、公債が発行された時点にもらった5000万円を消費せず、遺産や贈与といった形で家計II’に残すだろう。もちろん、残し方は、人的資本としての子の価値を高める教育投資のような「贈与」でもかまわない。図表1の下段の「?」ようにマネーが流れる。そうすると、親世代や子世代の消費は変化せず、このような世代間移転政策は、経済全体に何も影響を与えない。これは世代交代がある場合の「公債の中立命題」で、いわゆる「バローの中立命題」と呼ばれるものだ。
だが、残念ながら、この「バローの中立命題」が成立するほど、各世代は利他的でない。大阪大学のチャールズ・ホリオカ教授をはじめ、多くの実証分析による結果である。
また、次回に詳しく紹介するが、いまの財政・社会保障制度で、60歳以上の世代が約4000万円程度の「得」をしているいっぽう、将来世代は約8000万円程度の「損」をしている。もしバローの中立命題が成立しているなら、祖父母から孫世代に、遺産や贈与といった手段で8000万円程度の移転がなされるだろう。だが、そのような移転を行うことができる高齢世帯はきわめて少ない。
資産の歪みは「公債の中立命題」が成り立たない一つの証拠!
というのは、高齢世帯には異質性があり、その資産分布には「ばらつき」、つまり資産格差があるからだ。「平成21年度・家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)によると、金融資産保有額は、60歳代で平均1677万円(中央値900万円)、70歳以上で平均1379万円(中央値600万円)にすぎない。金融資産の平均と中央値で770万円程度の開きがあるのは、高齢世帯の資産分布に「ばらつき」がある証拠だ(図表2)。実際、60歳代で貯蓄がない世帯は19.9%、70歳以上では21.3%も居る。しかも、金融資産の中央値のみでなく平均も、8000万円を大きく下回るから、孫世代に8000万円も移転できるほど余裕のある高齢世帯はとても少ない。
このように、もともと、60歳以上の世代の多くは4000万円程度の「得」をしていても、その資産はそれほどない。この実態を見れば、公債の中立命題が成立していないことは明らかであろう。このほか、この命題が成立しない理由はいろいろ考えられるが、理論が想定するほど、人間は合理的でなく、孫世代や子世代がどれくらい損をするかなど、そもそも分かっていないのかもしれない。
いずれにせよ、国債発行は世代間格差を引き起こし、将来世代に過重な負担を押し付ける。したがって、「政府の借金の多くは内国債だから問題がない」というのは、間違いである。
2010年9月16日(木)日経ビジネス 小黒 一正
なぜ政府はもっと借金を増やさないのか?
「無税の国家が実現できる」という議論を聞いた場合、皆さんはどう反応するだろうか? ほぼ全員が、「そんなにうまい話があるはずがない。うさん臭い」と思うに違いない。
では、「日本の場合、政府の借金の多くは国内で賄っている。国全体で見ると、国民の『「借金』であると同時に『資産』であるから心配ない」という議論はどうだろうか?
今度は、「もしかすると、大丈夫かもしれない…」と考える人が増えるに違いない。
だが、この2つの議論はつながっているのだ。理由は簡単で、もし「政府の借金を国内で賄っている限り、問題がない」のであれば、政府支出のすべてを内国債(国内からの借金)で賄ってしまえばいいからだ。これで、無税国家が実現できる。何かおかしいが…。
極端な議論であるが、経済学者は古くから国債の負担について議論してきた。その中で、政府支出の経路が定まっている場合に、その財源の一部を租税でなく、国債で賄ったときに、経済に何か変化が起こるかどうかについても議論してきた。
この連載の目的は経済学の講義でないから、詳しい説明は省くが、「一定の前提条件」が成り立つとき、長期的に財政収支が均衡する限り、租税で賄おうが、国債で賄おうが、同等であると示すことができる。これを、「公債の中立命題」という。この命題の「前提条件」が成り立てば、政府支出を賄う財源として、租税と国債は同等だから、全部を国債発行で賄っても問題ないことになる。
だが、公債の中立命題は残念ながら成り立たない。それは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアシリーズ)でも説明しているように、世代交代や家計の異質性などがあるからである。以下、この点について少し説明しよう。
複雑な問題は、簡略化すると「本質」が見えてくる!
まず、本質を見るため、2つの家計しかいない経済を考えよう。つまり、異質性のある家計で、多くのマネーを持つ家計Iとそうでない家計IIだ。
また、政府は本来なら適切な財源を確保しなければならないが、増税を先送りして、ここでは国内の家計Iに1億円の公債(内国債)を引き受けてもらい、それを財源にして、家計Iと家計IIに5000万円ずつの減税を行う。いっぽう公債償還時には、公債を引き受けてもらった家計Iに1億円を返済するため、家計Iと家計IIに5000万円ずつの増税を予定しているとしよう。
このケースにおける政府と家計間のマネーの流れを図示すると、図表1のようになる。まず、公債を発行する時点はどうかというと、それは「1)公債発行時」上段のようになる。家計Iのマネーの動きに注目すると、1億円出ていき5000万円入ってくるから、ネットで「5000万円」出ていく。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」入ってくる。
この場合、政府は「マネーを右から左に流す単なる導管」にすぎない。このマネーの流れはけっきょく、「1)公債発行時」下段のように、家計IIが家計Iから5000万円のマネーをもらったのに等しい。
では、公債を償還するときはどうか。政府はマネーを借りた家計Iに1億円を返済する必要があるので、家計Iと家計IIに増税を行う。この場合、マネーの流れは図表1の「2)公債償還時」上段のようになる。その際、家計Iのマネーの動きに注目すると、5000万円出ていき1億円入ってくるから。国債を発行するときとは逆で、ネットで「5000万円」入ってくる。いっぽう、家計IIはネットで「5000万円」出ていく。つまり、この場合はけっきょく、「2)公債償還時」下段のように、家計IIが家計Iに5000万円のマネーを返すことになる。
このように、公債発行・減税政策は、内国債であるとき、その発行時と償還時のどちらにおいても、政府は単なる導管にすぎない。家計間でマネーをやり取りしているのと同等になる。このとき、家計IIはどのように行動するか? もし家計IIが合理的なら、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに使わず、償還時の増税に備えて、貯蓄しておくだろう。
他方、もし家計IIが合理的でなく、公債発行時にもらった5000万円のマネーをすぐに消費してしまい、償還時に5000万円の増税を受けても、損得ゼロだから「自業自得」の話だ(もっとも、家計IIが5000万円の増税を政治的に拒否し、国債の一部をデフォルトさせるか、家計Iに追加負担を迫るシナリオもあり得るが…)。
世代交代があると議論は変わってくる!
しかし、公債を発行する時点と償還する時点とでは30年程度のタイムラグがある。その間に世代交代があると話が違ってくる。いま、公債を発行した時点と償還する時点の家計は親子関係にあり、償還時の家計I’は、親である発行時の家計Iの子どもが成人した時点での家計としよう。同様に、家計II’は家計IIの子ども世代だ。(図表1で、家計I’のように「’」が付いているのは「子世代」、付いてないのは「親世代」であることを示す)。
ここで、親子関係にある「家計II」と「家計II’」に着目してみよう。その際、政府の公債発行・減税政策により、公債を発行した時点において、親の「家計II」は5000万円の「得」をした。しかし、償還する時点において、子の「家計II’」は5000万円の増税で「損」をすることになる。
このとき、もし家計II’の親である家計IIが利他的で、子どもの家計II’のことを(可哀想と本当に)考えているなら、公債が発行された時点にもらった5000万円を消費せず、遺産や贈与といった形で家計II’に残すだろう。もちろん、残し方は、人的資本としての子の価値を高める教育投資のような「贈与」でもかまわない。図表1の下段の「?」ようにマネーが流れる。そうすると、親世代や子世代の消費は変化せず、このような世代間移転政策は、経済全体に何も影響を与えない。これは世代交代がある場合の「公債の中立命題」で、いわゆる「バローの中立命題」と呼ばれるものだ。
だが、残念ながら、この「バローの中立命題」が成立するほど、各世代は利他的でない。大阪大学のチャールズ・ホリオカ教授をはじめ、多くの実証分析による結果である。
また、次回に詳しく紹介するが、いまの財政・社会保障制度で、60歳以上の世代が約4000万円程度の「得」をしているいっぽう、将来世代は約8000万円程度の「損」をしている。もしバローの中立命題が成立しているなら、祖父母から孫世代に、遺産や贈与といった手段で8000万円程度の移転がなされるだろう。だが、そのような移転を行うことができる高齢世帯はきわめて少ない。
資産の歪みは「公債の中立命題」が成り立たない一つの証拠!
というのは、高齢世帯には異質性があり、その資産分布には「ばらつき」、つまり資産格差があるからだ。「平成21年度・家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)によると、金融資産保有額は、60歳代で平均1677万円(中央値900万円)、70歳以上で平均1379万円(中央値600万円)にすぎない。金融資産の平均と中央値で770万円程度の開きがあるのは、高齢世帯の資産分布に「ばらつき」がある証拠だ(図表2)。実際、60歳代で貯蓄がない世帯は19.9%、70歳以上では21.3%も居る。しかも、金融資産の中央値のみでなく平均も、8000万円を大きく下回るから、孫世代に8000万円も移転できるほど余裕のある高齢世帯はとても少ない。
このように、もともと、60歳以上の世代の多くは4000万円程度の「得」をしていても、その資産はそれほどない。この実態を見れば、公債の中立命題が成立していないことは明らかであろう。このほか、この命題が成立しない理由はいろいろ考えられるが、理論が想定するほど、人間は合理的でなく、孫世代や子世代がどれくらい損をするかなど、そもそも分かっていないのかもしれない。
いずれにせよ、国債発行は世代間格差を引き起こし、将来世代に過重な負担を押し付ける。したがって、「政府の借金の多くは内国債だから問題がない」というのは、間違いである。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(03/07)
(03/07)
(03/07)
(03/07)
(03/07)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
魚沼コシヒカリ.com
年齢:
70
HP:
性別:
男性
誕生日:
1954/01/01
職業:
農業
趣味:
スキー・読書・インターネット
自己紹介:
私は、魚沼産コシヒカリを水口の水が飲める最高の稲作最適環境条件で栽培をしています。経営方針は「魚沼産の生産農家直販(通販)サイト」No1を目指す、CO2を削減した高品質適正価格でのご提供です。
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(03/16)
(03/17)
(03/18)
(03/18)
(03/18)
P R