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■作り手のユーザビリティを追求する
「もしかしたらウェブ業界は、一部の人の圧力に屈してきたんじゃないだろうか。そんな問題意識は常に頭にありましたね」
世の中には、ムーバブルタイプやワードプレスなど、いわゆるCMSがいくつもある。もちろん、これでも十分に使いやすいとは言えるのだろう。ただし、ある程度の知識がある人にとっては、という限定条件が付く。
「確かにCMSを使いやすいと評価する人たちはいます。しかし、万人向けかというと、決してそんなことはない。一方ではウェブの世界はどんどん進化していて、いよいよリアルタイムウェブの世界に突入だ、なんていわれ始めている。そんな状況になっているのに、作る過程に時間がかかることほどナンセンスなことってないでしょう」
ウェブのように時代の先端を走っている業界でも、成功のジレンマは起こるのだ。過去の成功にこだわり、それに固執すると、さらなる革新に踏み出す勇気を失う。
「次の一歩を踏み出すための一石を投じるのが、我々の役目ではないかと考えたのです。ホームページを作る過程は極端に簡単にして、ユーザーには、何を、どう表現したいのかに集中してもらう。そうすれば、優れたコンテンツが、どんどんネット上に公開されますよね」
自分で、自分の思うままのホームページを、簡単に、時間をかけずに公開できること。これこそがJimdoのコンセプトである。
「それがPages to the Peopleの意味です。インターネットは、People以外の誰かのものであってはいけない。だから作り手にとってのユーザビリティに徹底的にこだわっています。裏側では、ものすごく高度なプログラムが動いている。
でもユーザーには、極めてイージーゴーイングでなくちゃ」
画期的なサービスそのものが拒絶されるとは、高畑氏をはじめKDDIウェブコミュニケーションズでは誰一人として思わなかった。とはいえ、ビジネスとして採算性を考えたときの不安は消えない。
「本当に有料化できるんだろうかという議論は、しょっちゅうしていましたね。なにしろ無料版でもかなりのことができてしまいますから。しかし、最終的には、こんなすばらしいものを世の中に出さないのは罪なんだと、それぐらいの思いで社内が一致しました」
ベストセラーとなった『FREE』に、日本で火がつく前の話である。フリーミアムと言った言葉も、まだ世の中に広まっていなかった。だからビジネスとしてはスモールスタートに徹し、Jimdoは立ち上がった。2009年3月のことである。
■バイラルマーケティングを起動せよ
「どうやれば、バイラルマーケティングを実践できるのか。Jimdoのマーケティングは、我々にとって大きなチャレンジでした」
まだ海のものとも山のものともつかぬJimdoのプロモーションに、コストをかけることはできない。つまり広告を打つことは論外、費用をかけたSEO対策も難しい。残った選択肢がバイラルマーケティングだったというわけだ。
「意識の中には、検索エンジンに縛られたくないというのもありました。極端な話、いわゆるネットショップはすべて、グーグルの上で争っているわけじゃないですか。いかに上位表示されるかが重要で、そのためにSEO対策を徹底する。でも、膨大なお金と時間の両方をかけなければならない。それでは弱者は弱者のまま取り残されてしまう。それってどうなんだろうと思いませんか」
時代が高畑氏に味方した面もある。ソーシャルメディアの勃興だ。先行していたmixiやGREEに加えて、昨年ぐらいから日本で急激に伸びたのがツイッターである。
「検索エンジンに頼らず、どれだけ口コミを拡げることができるか。商品力には絶大の自信があるのだから、ソーシャルメディアでいかに火をつけるかが勝負と考えていました」
高畑氏たちがツイッターに本格的に取り組み始めたのが、2009年6月ぐらいから。しばらく潜伏期間があり、10月頃からJimdoの普及スピードが、日本でも一気に加速し始める。
第2回「契約までは4時間、ローンチまでは1年間」
■午後2時の契約成立
「ドイツでの最初の話し合いが始まったのが朝の10時、そして午後2時には『わかった、日本での独占販売権を渡すよ』と商談が成立しました」
その間、わずかに4時間。当初、日本での展開を渋っていた創業者達の心をゆり動かした力は何だったのか。
「お互いの思いが同じだったこと、これに尽きますね。これ以上、ITに詳しくない人たちを苦しませて、どうするんだと。ウェブの世界は、もっと簡単でなければならない。誰もが気軽に使える世界にしなければならない。この思いで、激しく同意したというわけです」
日本とドイツの間に距離の隔たりはあっても、高畑氏とJimdo創業者たちのインターネット観は、まったく一致していた。
「インターネットの目的は、的確な情報を、的確なタイミングで、的確な相手に伝えること。これだけです。だから、そのための障害はすべてなくさなければならない。HTMLも、FTPも、サーバも何もかも」
Jimdo創業者たちは、さらに過激な信念を抱いていた。インターネットを使うために、勉強して身に付けなければならないような知識は一切不要。知識ゼロでも、思うように自分のホームページを誰でも、すぐに作ることができる、そのためのJimdoである。
「ここに、こんな文章を入れたい。ここには写真を置きたい。思ったところをクリックしたら、何でもできるのが理想で、そのためにプログラミングの知識が必要などということはあってはならない。これが彼らのポリシーであり、強烈な共感を覚えました」
そもそもモニターを見つめているとき、人の意識はどこにあるだろうか。8割方はカーソルに集中しているはずだ。カーソルは、常に自分の興味のあるところに位置している。これが自然な動きだ。その動きを忠実になぞるようJimdoのユーザーインターフェイスは設計されている。
「編集したいところをクリックしたら、そのまま編集できる。例えばiPhoneなら、何かしたいところをタッチするじゃないですか。あれと同じでカーソルも、何らかのアクションをしたい部分に置かれているわけです。そこで操作すれば、思い通りのアウトプットが得られる。ヘルプを一切見ないで使えるのだから、これはすごいシステムだと感激して日本に帰りました」
ところが、意気揚々ドイツから戻った高畑氏を待っていたのは、社内の意外な反応だったのだ。
■無料サービスの成功事例はない
「レンタルサーバで月額料金をコツコツと、これが当社のビジネスモデルです。だから無料サービスを展開することに対する社内の抵抗感は、強烈でした」
そもそもが望まれてドイツに旅立ったわけではない。独占販売契約を結んだとはいえ、言ってみれば高畑氏の独り相撲である。経営陣も、まさか勝手に契約してくるとは夢にも思っていなかったことだろう。
「取れましたって社内で報告すると『ああ、そうなんだ』って。まあ良かったねぐらいのいなされ方で、じゃあ、これからどうやるのって感じでしたね。なにしろ当時、私の知る限りでは、無料サービスで成功しているモデルなんて日本に数えるぐらいしかありませんでしたから」
特に、高畑氏に風当たりが強かったわけではないが、かといってゴーサインが出るわけでもなかった。たまに話に上れば、出てくる話題は無料モデルの失敗例ばかりである。社内的な苦境を高畑氏は、どう乗り切ったのか。
「無料で、しかもBtoB専門でホスティングをやってきた当社が、経験のないBtoCに乗り出して、成功するはずがない。そんな空気が支配的だったところに、孤軍奮闘、やりましょうといっても風向きが変わるとは思えません。だからじっくり時間をかけました」
高畑氏は腹をくくり、社内調整のための時間を取った。といって一人ひとり経営陣を説得していったわけではない。採った戦略は、社内でのファン作りである。
「私自身がJimdoを初めて使ったときに感動したんです。この感動は、絶対にみんなと共有できる、そう信じていました。同じインターネット業界にいる人間なら、ましてや同じ企業文化の中で生きてきた同僚なら、必ずわかってくれる。そう信じて、みんなにJimdoを体験させていったんです」
その結果、起こったのが社内バイラルである。社内にJimdoファンがどんどん増えていった。Jimdoプロジェクトを立ち上げたい、自分がやってみたい、そんな声が静かに広がっていったのだ。
「とうとう最後には経営層も『このインターフェイスはすごい。結果がどうなるかはわからないが、とにかくやってみよう』とゴーサインを出してくれたのです」
ここまで来るのに、契約後約1年がかかっている。そして図らずも、このときのバイラル体験が、後に高畑氏たちの苦境を救うことになる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Jimdo
INSIGHT NOW 編集部/経営戦略
ウェブサイトの完成画面を見ながら、編集できる。究極のWYSWYGはHTMLも、FTPも、サーバも不要。誰でも直感的にウェブサイトを作成できる画期的なクラウドサービス、それがドイツ生まれのJimdoである
第1回 「ブログを読み、国際電話をかけ、ドイツへ飛んだ」
■世界中の人から1人1円ずつ集めれば
「スタッフを増やさずに、売上げを増やすにはどうすればいいか。創業者・山瀬のこの問題意識が、当社の原点です」
KDDIウェブコミュニケーションズ社の前身は、レンタルサーバ事業を手がける株式会社CPIである。しかし、それ以前に山瀬氏は、マーケティングに特化したコンサルティング会社を営んでいた。
「コンサルティングはノウハウが属人的で、しかも時間に縛られるビジネスです。人間1人に与えられている時間は、みんな同じで1日24時間しかありません。売上げを伸ばし、会社を大きくしようと思えば、人を増やすしかないわけです」
しかし、それでは限界がある。では、逆に考えてみよう。人を増やさずともスケールアップが可能なビジネスは、どのようなものがあるだろうか。
「理想は全世界の人から、1人あたり1円ずつもらうようなビジネスです。これなら1人の顧客にかける時間も1円分だけでいい。それでいて60億人にサービスを提供できれば、トータルの売上げは60億円にもなります」
理屈は確かにそうだ。しかし、そんな都合の良いビジネスが世の中にあるだろうか。ここで時計の針を12年分ほど逆戻ししてみよう、今とは違った状況が見えてくるはずだ。今にして思えば当たり前、とはいえ12年前の時点では、先の読める人にしか見えなかったビジネスチャンスが、確かにあったのだ。
「山瀬が目をつけたのはホスティングサービスです。当時はまだ、ホスティングという言葉さえ、ほとんど知られていなかった時代です。しかも当社は、ホスティング事業者としては異例の出自といっていいでしょう」
その頃、ホスティングをいち早く手がけた人たちは、いわゆるインターネットオタクと呼ばれる人たちばかり。すなわち多くの人がまだ知らないインターネットに魅せられ、その素晴らしさに虜となってしまったギークたちである。
「我々のように、純粋にビジネスモデルを突き詰めた結果としてホスティングを始めた事業者はおそらく、他に少なかったんじゃないでしょうか」
自らのビジネスに対する極めてクールなスタンスは、事業を着実に伸ばす土台となった。ホスティングを開始して10年足らずの間で同社は、独立系としては大手のポジションを固めるにいたる。
「前年対比160%ぐらいの伸びを続けてはいたのですが、ただ日本マーケットの特異性には泣かされ続けました。みんな、ブランドに弱い。だから我々がどんなにコストパフォーマンスに優れたサービスを提供しても、大手ブランドさんには勝てないケースもありました」
どうにもならない悔しさの中で同社は、次なる展開を目指すようになる。
■ブログでJimdoを見つけ、直ちにドイツへ
「ある日、TechCrunchを読んでいるとJimdoについて書かれたエントリーを見つけました。スタートアップ企業を紹介する記事でしたが、読んだ瞬間に、これだ!と電気ショックが体に走りました」
2007年のことである。当時、高畑氏はインターネットのあり方、ホームページの作られ方に疑問を持っていた。これから先のインターネットに対して、漠然とした不安を感じていたのだ
「インターネットが普及して約10年経ちました。この先、未開拓のユーザーはどんな人たちなのかと考えたとき、思い浮かぶのはITリテラシーにあまり縁のない人たちばかりです。おそらくはパソコンさえ、まともに触ったことのない人たちを、どうやってネットの世界に招くのか」
確かに、一昔前と比べれば、ネットの敷居はずいぶんと低くなってはいた。mixiが新しい世界を開き、ブログを書く人もどんどん増えていた。
「しかし、きちんとしたホームページを作ろうと思うと、そこにはいくつも障壁がありますよね。HTMLを書けること、FTPを使えること、サーバについての理解も必要。こうしたハードルを、すべてぶっ壊すパワーをJimdoに感じました」
Jimdoに、他の日本企業がアプローチをかけたらどうしよう。焦燥感に駆られた高畑氏は、記事を読み終わるとすぐにドイツへ国際電話をかけた。電話に出たのは、Jimdoの創業者。当時25歳ぐらいの、3人のドイツ人だった。
「ぜひ当社でJimdoを扱いたい。ついては会って話をしたいと告げたのに、なぜか相手は乗ってこない。彼らはどうも日本のことがよくわからないみたいで、同じアジアに出るのなら人口の多い中国だろう、ぐらいの意識しかなかったのです」
局面を打開したのが、KDDIブランドの力だ。CPI社は、当時既にKDDIグループに参加し、社名もKDDIウェブコミュニケーションズと変わっていた。KDDIといえば、日本を代表するブランドである。
「それなら会ってみようかと話は進み、すぐにドイツに飛びました。もっとも社内的には合意はまったくとれていなかったんです。ただ当社にはベンチャー魂がしっかりと根付いていて、おもしろそうだからとりあえず話を聞いてこい、ぐらいのことはトップから言ってもらえたんですね」
ところが話はとんとん拍子に進み、創業者たちと初顔合わせをした、まさにその日のうちに、KDDIウェブコミュニケーションズ社が日本での独占販売権を手にすることになった。
「実はそれからが大変でした。何しろサービスをローンチするまで、ほぼ丸一年かかりましたから」
高畑氏を待ち受けていた障害とは、一体何だったのだろうか。
同じようなラベルがデジタルコンテンツに付けられる日も近いのだろうか。
Internet Content Syndication Council(ICSC)と呼ばれる小規模な業界団体は5月から、「コンテンツミル」への業界の関心を喚起することを目的とした文書の配布を行っている(米国時間7月6日のAdweekの記事で取り上げられた)。コンテンツミルは、急速に成長しつつあるデジタルメディアビジネスの一分野であり、検索結果で上位に表示されるような、簡単で低品質の記事を量産して、そこに広告を掲載している。Demand Mediaや、AOLの「seed.com」、Associated Content(米Yahooが最近買収)などのコンテンツミルは自社について、活字やマルチメディアのコンテンツの制作作業を効率化し、デジタル時代に合った速度で送り出していると説明する。それによって、ウェブに空いた穴を新たな材料で埋めているとしており、その材料はニッチ志向であることが多いという。しかしそうした企業は同時に、怪物のようなビジネスモデルをウェブに解き放ってしまった。多くのジャーナリストやマスコミは、コンテンツミルが生み出すものは質が落ちてきていて、それはおそらく破滅的なほどだと主張する。
ICSCの文書には次のように記されている。「『コンテンツミル』の増加によって、コンテンツ全体の品質が低下するおそれがある。結果として、情報を探すユーザー、さらには自分たちのメッセージを伝える良い環境を求める広告主から見た、インターネットの有用性が下がってしまうことが懸念されている。この脅威に立ち向かうために、Internet Content Syndication Councilは、情報コンテンツの品質基準を維持する最善の方法について、業界として議論を始める時期が来たと考えている」
コンテンツミルが短期間で広まっていることを憂慮するメディア業界の専門家らは、この展開を心強く思うかもしれない。しかし少なくとも今のところ、この問題への具体的な対処方法について、結論に近いものは得られていない。有機認証済みのパイナップルのように、ブログ記事に「品質」ラベルを貼るには、具体的にはどうすればよいのだろうか。
ICSC議長のTim Duncan氏は、7月6日に行った米CNETとのインタビューで、「『コンテンツ』という単語は非常に意味が広く、具体的なものを指すものではない」と語り、ごく予備的な第一段階として、タスクフォースの取り組みの焦点を、意見記事ではなく、「事実に関する」コンテンツ、つまりニュース中心のコンテンツに絞ったと説明した。「コンテンツミルでは、企業による運営方法を記述しているかどうかはともかくとして、1つのテーマを深く追うことはせず、Wikipediaからの引用を2つ持ってきて、そこに署名を付けている可能性がある。その同じ記事が、いわゆる『リンクベイト』になるよう意図的に設計されているために、サーチエンジンで上位に表示されているとしたら、それに対処することは可能なのだろうか」(Duncan氏)
ICSCの会員企業のうち、Reuters やProcter & Gambleなど約10社は、コンテンツミルモデルによって起こり得る問題への最善の対処方法について、対話を始めることに関心を寄せている(米CNETの運営元CBS InteractiveもICSCの会員)。コンテンツミルモデルによって、ジャーナリストの報酬が引き下げられるという問題が起こる可能性がある。同時にジャーナリストは、質が低くて、リサーチが不十分な記事を量産するよう促される(Duncan氏は「人々は、家賃を払うためだけに、そうした記事を1時間で3本のペースで量産する必要があるようだ」としている)ため、パートナーサイトがシンジケート配信をしたがらず、広告主は隣にコンテンツを掲載したいと思わなくなるおそれもある。広まっているメッセージは、「このコンテンツは信用できない」というものだ。
「ブログで、『正確さは重要ではない。なぜなら多くの情報源があり、ユーザーは1つの情報源だけを利用するわけではないからだ』と主張している人がいた。わたしはそれに反論したい。あるサイトを閲覧して、そこに書かれている内容に間違いや正しくない表現があったら、そのサイトを二度と訪問しないと思うかもしれない」(Duncan氏)
もちろん、正確性が欠けているという指摘には、AOLやYahoo、Demand Mediaなどの企業は異議を唱えるだろう。AOLは6月に、「数百人の」フルタイム勤務の記者や編集者も雇う計画を発表している。また同社は、seed.comの舵取りのためにNew York TimesからベテランジャーナリストのSaul Hansell氏を引き抜いていて、この新しい事業に保守的メディアが持つ信頼性を少しばかり与えようとしている。Yahooも、Associated Contentを買収するとともに、フルタイム勤務のジャーナリストを増やした。そしてDemand Mediaは、最も多くの動画をYouTubeへ投稿しているプロバイダーの1社であると同時に、ハイキング情報サイトの「Trails.com」や人気のユーモアサイト「Cracked」のような評判の良いサイトも所有している。
その上、ICSCの力には限界があるかもしれないという事実もある。業界団体は、ガイドラインやベストプラクティス、規制案をまとめることはできる。しかし、食品の品質ラベルを管理する政府機関とは違い、違反者に罰則を与えて回ることはできない。
Tim Duncan氏は、1つの手段として考えられるのは、サーチエンジンを巻き込むことだと述べ、「不適切な検索コンテンツの特定」に対応する、Googleが2月に出願した特許について指摘した。
「特許明細書を読むと、この特許は品質の問題に対処しようとしているように思える」(Duncan氏)
コンテンツミルは、一部のパブリッシャーが安っぽいブログの出所という悪質なものだと思わせようとしているが、そういったものよりも、もっと複雑なものだ。さらに問題を難しくしているのは、このモデルが非常にもうかることだ。少なくともDemand Mediaの場合はそうだ。ICSCにはそうした企業に対する不満に立ち向かう具体的な方法がまだ分からず、始めたいと思っている対話もまだ実現していない。しかしICSCはそうした事実を隠そうとはしていない。
「われわれは実際のところ、電子メールを交換する以上のことは何もしていない。会員の約15社が、対話に参加したいと表明している。その先はどこまで進めるのか分からない」(Duncan氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
SEO Bookのアーロン・ウォールがSEOに関する人気No.1の掲示板フォーラム「ウェブマスターフォーラム」の管理者テッドスターに行ったインタビュー(近日中に翻訳記事配信予定)の中で、テッドスターがコンテンツミルについて話していた。
*コンテンツミルとは一体何だろうか?
コンテンツミルとはチープなコンテンツを配信するサイトのことだ。コンテンツは、ユーザーによって投稿されたものもあれば、お金を払って作られたものもあれば、この2つを組み合わせたものもある。ミル(製造工場)という用語は明らかに蔑んだ言葉であり、コンテンツが検索エンジンに供給されているに過ぎない点、そして、通常は質が低い点を示唆している。
チープなコンテンツを配信しているサイトの中には、価値を与えているサイトもあるが、それは読む人に左右される。例えば、フォーラムをコンテンツミルと考えることが出来る。チープ且つユーザーが生成したコンテンツは、関心を持たないビジターにとっては何の価値もない。しかし、コミュニティの熱心なメンバーによって定期的に情報源が更新される点を考慮すると、まったく価値がないと言い切ることも出来ない。
尋ねる相手によって答えは変わってくるだろう。
アーロン・ウォールも言っているように、2010年、コンテンツミルが大流行している。それではもう少し詳しく見ていこう。
*SEO業者がコンテンツミルに関心を持つ理由
コンテンツミルが注目されているとは言え、アイデア自体は特に新しいものではない。実は正当なSEOの戦略であり、何年も前から利用されている。
キーワードをリサーチする
キーワードに関するコンテンツを作成する
コンテンツを投稿し、検索エンジンの結果ページで上位にランクインさせる試みを行う
上記のステップを繰り返す
広告収益よりも低い価格でページを配信することが出来るなら、そのプロセスを何度も何度も繰り返そう。それで充分だ。また、アドセンス、アフィリエイト、同様のページを収益化する手段を考慮しよう。ディマンド・メディア(註:eHowというユーザーが作成したハウツービデオを何万本も集めたサイトを運営)は多額の収益を上げている。
*コンテンツミルの問題点
コンテンツミルの問題点は、コンテンツの生産コストを予測される収益よりも低くするために、劣悪なコンテンツを作成するサイトのオーナーがいることだ。通常、彼らはユーザーからの無償の投稿を呼び掛ける。
劣悪な例で言えば、Q&Aサイトで、質問を投げかけ、意見を持った人々や情報通の人々のコミュニティが2円足らずの価値の答えを提供するケースが続出している。不幸にも、多くの答えは2円の価値もなく、その結果、読者に対する価値のほとんどないページ、または全くないページが作成される。皆さんもこのようなページを見たことがあるだろう。なぜなら、この類のページは、充分なオーソリティレベルを持つドメインで投稿されている場合、上位にランクインすることが多いためだ。
マハロのようなサイト(註:様々なトピックのページを大量作成し、大半の情報を外部サイトから流用しているサイト。日本でもお馴染みのエンガジェット等を運営していたブログネットワークの会社をAOLに25億円で売却したジェイソン・カラカニスが起業。)は、ページの生成を自動化しているだけにとどまらず、関連する質問のページを自動的に作成している。一体どこまで行けば気が済むのだろうか。
反対に、コストが高く、プロのライターがお金をもらって作成する、調査が行き届いた内容が充実したコンテンツを投稿するサイトもある。要するに、従来型の投稿モデルだ。一般的には、この類のページはエンドユーザーに対して高い価値を与えると言われているが、検索エンジンはこの質の高いページとゴミのようなページの違いを判読することが出来ない。そのため、コンテンツミルが充分なオーソリティを得ているなら、ゴミのようなページが昇格していくだろう。
当然ながら、その中間も存在する。
テッドスターも述べているよう。
「問題はフリーランスのコンテンツの提供者が必ずしもジャンクを与えているわけではないことだ。私の知る限り、両者を分類することが出来るセマンティックな処理技術はない。少なくともアルゴリズムに頼らず、これがどれだけ早く、そして、どれだけ効果的に抑制されるかを予測するのは難しい。この種のスペースを埋めるためのコンテンツはユーザーの役に立つのだろうか? 少なくとも間違いなく私の役には立たない。そのため、グーグルのレーダーには映っているはずである。」
*コンテンツミルの未来
テッドスターの意見は的を射ていると私は思う – このようなサイトはグーグルのレーダーに引っ掛かっているはずだ。なぜなら、ジャンクな、質の低いコンテンツはエンドユーザーの役に立たないからだ。
この問題を解決するのは至難の業だ。簡単ならばとっくにグーグルが解決しているはずだ。しかし、グーグルは低い価値のコンテンツの中でも最低のコンテンツをある時点で追放するのではないだろうか。コンテンツミル戦略を採用しているなら、もしくは今後利用するつもりなら、このような結末に対する準備を整えておくべきだろう。
将来、軽蔑の言葉としてコンテンツミルが利用されることはなくなるだろう。コンテンツミルが質を重視するようになると私は思うからだ。
既に述べたように、質を独断で定義するのは難しい。客観的に計測することは出来ないだろう。なぜなら、ある人にとっては関連性があることも他の人にとっては関連性がない可能性があるからだ。IQ(information quality)の分野から、グーグルのアプローチに関する手掛かりを得ることが出来るかもしれない。IQは情報システムの管理におけるリサーチの形式であり、とりわけ情報の質に対応している。
彼らが利用するメトリクスを幾つか利用する:
オーソリティ- オーソリティとはソースの専門性もしくは権威を意味する。作家やパブリッシャーの評価と考えよう。法律もしくは政府系の情報を利用する際は、ソースが公式の情報の提供者かどうかを考慮する。
範囲 – 範囲はソースがトピックについて調査している範囲のことだ。期間、地理、関連性の管轄および範囲、もしくはさらに限られたトピックを考慮する。
構成および組織- 構成および組織は、情報のソースが有する特定のメッセージを一貫性を持ち、論理的に、順次に提示する能力に関係する。
客観性 – 客観性は、ライターが事実を解釈もしくは分析する際に述べる偏見もしくは意見を意味する。説得力のある言葉の利用、ソースのその他の意見の提示、情報および広告を提供する理由を考慮する。
妥当性 – 幾つかの情報の妥当性は、情報が持つある程度の明らかな事実に関連する。
独自性 – 情報の既知の“独自性”とは、直観的な概念だが、情報の発生点だけでなく、提示される方法、人々に与える印象も仄めかす。私たちが処理するすべての情報の本質は、大部分がこれら2点と一致する。
適時性 – 適時性は、投稿時の情報の新鮮度を意味する。投稿および改訂の日付を考慮する。
再現性
知っている用語はあっただろうか?検索業界は専門用語で溢れているので、ある程度は知っておいてもらいたい。しかし、グーグルがすべての局面を見ていると言うわけではない。あくまでも、ページランクをはじめ、同様のコンセプトを採用してきたと言う意味だ。
ありきたりのSEOの理論では、グーグルはオーソリティに的を絞る戦略等を利用して、この関連性の問題を解決しようとしてきたと結論づけるだろう。信頼性の高いオーソリティサイトは信頼性の高いコンテンツを投稿しているに違いないと言う前提があるからだ。そのため、オーソリティが高いドメインは、オーソリティのレベルが低いサイトよりも有利になる。しかし、この状況は長くは続かないだろう。なぜなら、オーソリティを持つという点に関して、信頼性の高いソースの中には、自動生成されたゴミのようなコンテンツを配信しているサイトもあるためだ。グーグルは、恐らく構成のメトリクスにも注目するようになるだろう(まだ注目していないなら)。
当然ながら、これは推測である。
そのため、「このページは人間の検査をパスするか?」と言う経験則をしばらく利用すると良いだろう。組織に関して、人間の閲覧者にとってジャンクと映るならば、そして、構成に関してジャンクのように思えるなら、恐らくそれはジャンクであろう。そして、グーグルはこの類の情報をアルゴリズムに与える。2007年のグーグルの品質評価者の文書を読めば、グーグルの編集上の方針が何となく分かるだろう。
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この記事は、SEO Bookに掲載された「Are Content Mills the Future of Online Publishing? What Comes Next?」を翻訳した内容です。
*いかがでしたでしょうか?改めてコンテンツミルを簡単にまとめると:
1. 効率的な方法で(一般ユーザーに無料で、または格安で一般ユーザーやフリーランスの方に)検索ニーズ、ユーザーニーズのあるコンテンツを数万単位で大量に生成する。
2. 1つのサイトに数万のコンテンツを集約して掲載。全コンテンツを徹底的にSEOを施し、検索エンジンでロングテールワードで検索時に上位表示させる。
3. サイトにコンテンツ連動型広告を掲載してそこから収益を得る。
と言う手法になります。書いてみると「それだけのことか」と思われるかもしれませんが、上にも少し出てきましたが、例えばハウツーもののビデオ映像を配信しているeHowはフリーランサーが格安価格(1本数千円とか)で毎月1,000本以上のビデオを投稿しており、数万本の様々な超ニッチ分野のビデオが掲載されており、細かなロングテールワードでGoogleで上位表示される結果、月間トラフィック数千万人、年間で数百億円の収益があるとかないとか言われています。この規模で無くともGoogle経由のロングテール重要にマッチしたQ&Aサイトや、特定ジャンルのニッチ情報集約サイトを格安で作成してコンテンツ連動型広告で収益を上げているサイトが増えているようです。本格的に取り組むにはそれなりの資本も必要そうですし、誰もが使える手法ではありませんが、「SEOの考え方や手法を、サイト構造のみならず収益構造やビジネスモデルから徹底的に活かしたサービスモデル」と言えるでしょう。
ここで問題になっているのは、より多くのトラフィックを得るために、コンテンツを検索ニーズに応じて細分化し、内容が薄いコンテンツを大量に作成し、掲載している点です。完全に「質より量の世界」なんですよね。量の分だけ、サイトのページ数が増え、ロングテールワードで検索時に上位表示される確率が増え、トラフィックが増える。ただし、余りに細分化されているため、必ずしもユーザーにとって望ましいコンテンツが無かったり、コンテンツを格安で大量生成する手法を取っているため、コンテンツの品質が低い場合も多い。検索エンジンも状況は理解していますが、コンテンツの品質を判断するアルゴリズムは非常に難しいのも事実ですし、また仮に大半が品質は必ずしも高くないコンテンツであっても、他に同種のコンテンツが無ければ何も無いよりは良いのでしょうし、当然中には質の高いコンテンツがあるケースもあり、完全に排除するのも支障があるでしょう。
非常に難しい問題ではありますが、今後このようなサイトが多数出てくる中で、自然淘汰されていく気もしますが。。。もちろん圧倒的な勝ち組サイトが出てきてしまうかもしれませんが、それはそのサイトが勝ち組としてより魅力的なサイトやコンテンツ作りに力を入れていくかもしれませんし、ネットビジネスの進化の過程では許される自然な流れの気もします。
日本で言えば例えばユーザーがレシピを投稿するクックパッドにしても、あそこまで成功し、皆が頼りにするレシピサイトになると思っていた人はそこまで多く無いとは思いますし。他の大手食品メーカーのレシピサイトに比べれば質より量重視の側面はあるかもですが、あれだけ圧倒的なレシピが溜まるとその中で良いレシピコンテンツも数多く存在するわけで。実際の人気を見れば一目瞭然ですが。コンテンツミルの問題を突き詰めて考えると、UGC(ユーザー生成コンテンツ) vs マスメディア生成コンテンツの議論になってきますね。
日本で同種のサイトと言うと上記のクックパッドも近いと言えば近いのですが、最近のサイトで言えば、nanapiなども近いかもしれません。ただ記事の品質はかなり意識して高く保たれているようなので(投稿数も自社投稿含め1,000本強ですし)コンテンツミルサイトと呼ぶのは失礼な話かもしれません。逆にこのレベルのサイトならGoogleの意向問わず、中長期的に生き残っていくと思いますが。
Q&Aサイトも日本では大手がある程度マーケットを仕切っていますしね。そのサイトがコンテンツミルかはともかく(最近そうなりつつある気もしますが・・・)、SEO的にはQ&Aサイトにやらせ投稿をしてトラフィックを得ると言う使われ方が増えているとは思います。
こうして考えると、まさにコンテンツミル、と言うサイトは日本に存在しないとも思います。品質を無視すればオールアバウトは近い部分があるかもしれませんが。一般人、セミプロにコンテンツを作成してもらい、サイトの情報量を増やすことで検索エンジンのヒット率を高めて大量のトラフィックを集めて収益化しています。トラフィックのために作られた無駄なコンテンツが多すぎる、と言う批判も一部にあった気はします。ただそれ以上に有益な記事が多数掲載されていますし、長年に渡って多くの人に活用されているわけですから、コンテンツミルと呼んでは失礼すぎますかね。
後ははてなキーワードなどもそれに近い部分があるかもしれません。ページ大量生成と検索エンジンからのトラフィックをベースにした広告収益と言う意味では一緒ですし、コンテンツを自ら作っていた訳ではない点など、記事にあったマハロに近いですかね。以前に比べると検索結果の上位に表示される確率が落ちた気がするのですが、どうでしょうか。最も最近ははてなブックマークニュースで独自のまとめ記事を多数作られており、高品質の記事を多数配信しています。
話をコンテンツミルに戻しますが、記事でも紹介されていますが、そもそもSEOの手法であったロングテールや特定のユーザーを狙ったマイクロサイト構築の手法を大掛かりなレベルでビジネスに活用したモデルがコンテンツミルとも言えます。日本でも昔からアフィリエイターが特定のジャンルのマイクロサイトを立ち上げて収益化している例は数多くありますし、SEO会社がSEO目的でキーワードに特化したマイクロサイトを作ることも普通に行われてきました。最近は一部の大手サイトでも集客数アップの目的で行っているロングテールレベルでの大掛かりなマイクロサイト制作を行っています。規模は違えど、どれも考え方としてはコンテンツミル的発想(自らお金をかけてコンテンツを作成し、そこから得るトラフィックを収益に変える)ですよね。
米国でも様々な意見があるコンテンツミルですが、サイトのサービスモデル自体にSEO、特にユーザーニーズからキーワードリサーチ、ロングテール対応を導入し、ビジネスを0から作っていくチャレンジ精神と実行力は流石アメリカ。ネットビジネスに関わる者として見習いたい部分は多いですね。 — SEO Japan
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http://www.uonumakoshihikari.com/
魚沼コシヒカリ理想の稲作技術『CO2削減農法研究会』(勉強会)の設立計画!