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2011年01月18日(火)現代ビジネス 田原総一朗
田原: 日本の自動車会社は20年後どうなるんでしょうか。
孫: 彼らがIT自動車メーカーにならなかったら・・・。
田原: どうするとなれるんですか。自動車メーカーはどうやれば20年後に生き残れるか。
孫: シリコンバレーから、あるいは日本にいるコンピュータに詳しい頭脳を持った学生を優先的に自分の会社に入れることです。
日本の自動車メーカーだって、アメリカのシリコンバレーの電気自動車メーカーと提携したりすればいいんです。そして、みずからIT自動車を開発していかなきゃいけない。
20年前、30年前には、日本は車を電子部品化してドイツ車に勝ったわけです。アメリカ車に勝った。
これからの自動車は、電子部品で勝つのは当たり前です。それ以上にITで勝たなければいけない。つまり車1台に20台入っているマイクロコンピュータを1台あたり50台にする、さらにもっと優れたチップにしてセンサーと全部連絡をし、クラウドと交信する、と進化させていかなければいけない。
田原: いずれにせよ日本の自動車会社はこのままじゃあ20年後にないですよ。なぜならば、それは中国や韓国やバングラデシュやインドで、決定的に安い車が出来ちゃうからです。
孫: そうです。これからは日本の自動車メーカーはエンジンのスピードを競うのではなくて、車のなかに入っているマイクロ・コンピュータの計算速度を競うようになります。そのマイクロ・コンピュータがクラウドと通信をする速度を競う。だから新しい自動車メーカーの速度競争は、エンジン速度ではなく・・・。そもそもね、200キロなんて出したら捕まるんだから(笑)、エンジンの速度を競うのではなく、コンピュータの計算速度と通信速度を競う。
そもそもグーグルが今やっている新しい自動車って何かっていうと・・・。
田原: グーグルが自動車をつくってるんですか?
孫: やっているんです。グーグルが資本参加して共同開発しているんです。僕は来月、シリコンバレーに乗りにいってきますよ。
田原: どんな自動車ですか?
孫: 車を人間が操縦しないんです。ロボットカーです。ロボットがすべてを操縦するんです。
田原: 人間はどうしているんですか?
孫: 法律上は一応、運転免許を持っている人が乗っていなきゃいけないので乗っているんだけれど、腕組んでいる。
田原: 薬屋さんみたいなもんだ。
孫: え?
田原: 薬屋さんは、薬剤師の資格を持っている人がいないと薬屋を営業出来ない。でも座ってりゃあいい。
孫: ははは(笑)。だから運転手も腕組んで、コーヒー飲みながら、本を読みながらでいい。車のなかにあるコンピュータが並列処理で、200個くらいある高速カメラ、レーザーカメラが360度スキャンする。通りすがる相手側の自動車、横切るおばあさん、信号、曲がり角、下り坂上り坂全部をコンピュータの目がブワーッとスキャンしながら、それで目的地に交通渋滞を避け、ブレーキも掛けたりする。
この自動車、グーグルが6台かな、常時走らせて、グーグルマップのストリートビューの画像はそのロボットカーで撮影していっているんです。
コンピュータは最後、二束三文になる!
田原: 僕は車の運転手っていうのは最後まで残る筋肉労働だと思っていたけれど・・・。
孫: 違います。人間がクルマを運転すると交通ラッシュの時でも7%しか道路を有効活用していないんですよ。ラッシュの時ですら、道路って93%は空き地なんです。それは人間が非効率的な、しかも事故を起こすような間違った下手くそな運転をやっているからです。
これが人間の運転手を排除して、ロボット運転自動車だけになったらどうなるかというと、交通ラッシュがなくなって、常に事故を起こさないでシューっと同じ速度でガーッと行く。曲がり角も効率よくピャッと曲がる。で事故を起こさない。
田原: 高いんじゃない、値段は?
孫: 高い。今めちゃくちゃ高い。今売っていないですよ、高すぎて。
田原: 将来は安くなる?
孫: コンピュータですから最後は二束三文になる。コンピュータ・チップというのは最後は砂ですから。一回設計してしまえば、コピーなんです。
田原: 今日ここにきている先生たちに申し上げたいのは(この対談には観客として教育関係者150人を招待しました)、今ある大企業が20年後に今のままではほとんどなくなるということです。
孫: そうです。だから日本の自動車メーカーだって、まさにグーグルカーと闘わなきゃいけないわけです。
電気自動車も大事だけれど、電気自動車だって台湾勢、韓国勢、中国勢に抜かれますよ。だってパソコンで使っている電池を積んでいるわけですから。モーターだってピュッと組み合わせたら出来るでしょう。そういうパソコンの組立と同じように自動車も組み立てられる。
だから大事なところは、組立業ではなくて、今言ったロボットカーのようにインテリジェンスのコンピュータで勝負するという時代になったということです。
田原: 肉体労働で勝負しようとするならバングラデシュ並みの給料になっちゃう。それが嫌だったら肉体労働じゃない、インテリジェンスで勝負しようと。こういうことですね?
孫: そうです。だからね、今すぐ電子教科書だIT国家だというと、「それを使えない人たちは落ちこぼれて、どうしますか」という質問が必ず出るんだけれど、いやいや、30年後の日本の中心的労働者を育てるために今の10歳、7歳、15歳を教育しましょうということです。30年なんてすぐくるんです。20年なんてあっという間です。
最初に知り合ったときは社員が3人だった!
田原: 孫さんと知り合ってもう20年以上たつ。
孫: なりますよね。僕がヤフー・ジャパンを作ってからでも15年です。
田原: 孫さんに最初取材したときは、社員が3人だった。
孫: あ~、そうそう。そうですよ。最初のうちの会社案内は・・・。
田原: 僕が推薦している。
孫: 推薦どころか写真付きで登場していただいたんですよね。
田原: その会社がこんなになっちゃったんですからね。
孫: 一番最初の会社案内は田原さん。あの頃はこんなに有名じゃなかった。
田原: 全然有名じゃなかった。
孫: 僕も先見の明があった(笑)。
あっという間に20年なんてたちます。
だから日本の子どもたちの教育というのは大学の受験に通らすための教育ではなくて、その受験を通らすための子どもを作るための教育ではなくて、日本の国家を作るための、日本の天下国家を作るための教育であるべきです。
日本の50年後、100年後は先生方が作るんです。その先生方と「どういう国家にしようか」という議論を、文科大臣がしなきゃいけない、総理大臣がしなきゃいけない。そういう話だと思うんです。
農業でGDP3%成長が達成できるのか!
田原: 一番問題なのは日本の政治なんですよ。今の政治を見ると、民主党はどんどん支持率が下がる。「国民からかけ離れているんだ」とみんな思っている。でも全然かけ離れていないですよ!! 国民に沿いすぎているんです。
民主党の支持率が下がっているのは、国民に沿いすぎているから、密着しすぎているからです。なぜか?
たとえばさっき言った予算で言えば、歳入が37兆円、歳出が92兆円、借金が44兆円プラス10兆円。ムチャクチャでしょう。
これをなんとか健全化するためには、誰が考えてもやっぱり歳入を増やす、増税しかない。だけど国民は増税を嫌がっている。じゃあ増税が嫌なら歳出を減らす、福祉を減らす、地方へのカネを減らす。それも国民は嫌がっている。何にも出来ない---。
大事なことですよ。マスコミはムチャクチャ書いているからね。国民のニーズに、政治が合わせようとするから、結果として何にも出来なくなった。
孫: そうです。だから選挙で勝とうと思うと、甘い言葉を囁かないといけない。甘い言葉って何ですかというと、「すべての福祉には要望通り全部払います。で、増税はしません」と。
だから増税をせずに、なおかつ要望を全部聞きます。そうすると借金がどんどん増える。皆さんの家庭だって収入以上に家族で使っちゃって借金が増えていったら破産します。会社だって、売り上げの倍も経費に使ったら倒産して当たり前です。
田原: 日本は三倍使っているんですよ。収入の。
孫: 日本の国はそれでは保たんということですよね。
田原: ところがね、「これじゃあ保たない」といってみんなが「そうだ」と言うけれど、じゃあ税金を上げるかいうと「ハンターイ」と。福祉を下げるかというと、「ハンターイ」と。だから民主党の菅さんは何にも出来ない。
会場 (笑)
孫: どんどん人気が下がっちゃうんです。だけど、唯一そこに答えがある。
唯一ある答えは何か。今すぐの問題解決は難しい。じゃあ30年後はどうか。30年後まで、日本のGDPを毎年平均で1%ずつ伸ばしたいか? 1%伸ばすと日本のGDPは700兆円になります。2%伸ばしたいか。2%伸ばすと900兆円になります。
田原: すると借金を超える。
孫: 3%伸ばすと1200兆円になる。つまり日本の天下国家を30年のビジョンで、1%成長する国家にしたいか、2%にしたいか、3%にしたいか。
3%にしたい、それで1200兆円にしたいということで、もし1200兆円に出来ても国際社会の中での日本のGDP のランキングはそれでやっと4位が保てるんです。4位です。
もし1%でいくなら8位なんです。インドネシアに負けるんです。日本がODAで助けている国に見下ろされる存在になる。それでいいのかと。
だから3%成長させたいとすると、今よりも700兆円増やさなきゃいけない。今よりもGDPを700兆円増やすということは、倍以上にするということです。その700兆円を増やすのに、農業で増やせますか。漁業で増やせますか。
田原: 今、農業総産出額は8兆円。
孫: うん、農業、漁業全部足して、日本のGDPの2%しかない。農業漁業、全部足して10兆円。その10兆円を倍にしたところで10兆円しか増えない。倍にするのって難しいですよね。
だから先生方が教育すべき日本の労働人口をどこに持って行くべきかというと、倍にしてもたった10兆円しか増えないところに持っていくんじゃなくて、700兆円増やすためには、そのうちの40%をまかなうITなんです。
700兆円増えるうちの40%はITで稼ぐ、頭脳で稼ぐ、頭脳労働者で稼ぐ。これをやると、残り60%の成長も単純労働のものづくりではなくて、頭を使うものづくり、頭を、IT を使った流通、ITを使った金融サービスになる。
だから皆さんの役割は、実は天下国家で一番大きいんです。
田原: 大きい。
孫: 日本のくに作りは、皆さんが担っている! だから今日呼んだんですよ。
会場 (笑)
田原: 皆さんが今教えている生徒たちが一人前になる頃、つまり20年後ですよね。
孫: そう。頭を使う日本人にする。身体を使う日本人ではなく、頭を使う日本人にするというのが皆さんの一番大切な役割です。
そもそも教育って頭を鍛えるためにやるのとちがいますか。身体を使うための教育をしてどうするんだと。頭を使う教育をするんじゃないのかと言いたい。
頭脳労働の世界で平均値を高くしなければいけない。それは全員がというわけにはいかないけど、せめて基礎能力はそこに全員が持たせないかん。全員が英語をしゃべれる必要はないけれど、全員に中学一年生から教育しているじゃないですか。
学校でどんどんディスカッションをして欲しい!
田原: 今日、孫さんは強烈な刺激を皆さんに与えたと思う。この強烈な刺激について、これから皆さんね、それぞれの学校でディスカッションしてほしい。
「孫はこう言っているけれど、こんな問題があるじゃないか」と。それで、「こんな問題があるけれど、その問題を孫さんが言うようにやらなかったら今の教育変わらないよ。どうすんだ」とかね。
これからは、これを刺激として、皆さんがどんどんディスカッションしてほしいと思う。
孫: 具体的なテーマを一つ申し上げます。
「30年後に100万倍の能力のコンピュータが生まれる。これ一台で4億年分の新聞が入ります。そうすると社会はどう変わるか、仕事はどう変わるか。皆さんが社会人になった時、仕事は、社会はどう変わると思うか。その絵を描け。それを議論してくれ」と。
そういうと、それは答えが一つある問題ではないから、まさに生徒たちが目をキラキラさせながら絵を描く、作文をする、議論をする、ディスカッションをする。
そのことは、30年後もその子どもたちは、「ああ、そう言えば僕が10歳の頃、私が10歳の頃、先生がああいう問題を投げかけたな。あのとき、私はこう思った。
こうやって画用紙に描いた。そのうちの半分は現実のものになったな。振り返ると、子どものときは俺は天才だったな。大人になってちょっとズレたけど」と。
田原: ハハハ。
「教育とは何か」をツイッターで問うてみた!
孫: 同窓会をしたときに、そうやって昔を思い出して先生方と子どもたちが語り合えたら、先生方は「幸せな仕事を私は全うした。この子どもたちに真に役に立った。かけ算、九九を覚えさせてなんぼのもんじゃ。みかんの特産地を覚えろ、そんなものを俺に言わせりゃコンビニや。二十四時間売っとるで」と思える。
会場 (笑)
孫: みかんの特産地にもぎに行ったこと、僕は生まれてから一度もないですよ。まあそれも大事だし、みかんの特産地を覚えるなとは言わない。
だけど順番として、もっと大切な議論があるだろう。30年後の皆さんの生活はどうなるんだと。何に頭を使えばいいんだと。そういう議論の方が生徒たちにとってはるかに有益です。あらゆる動画を見て、目をランランと輝かせて・・・。
僕ね、「教育って何だろう」って、ツイッターで問うたことがある。教育で一番大切なことって何だろうってツイッターで問うたら、いろんな答えが一晩で集まりました。その中で一番僕が「なるほど」と思ったのは、「感動を与えることだ」と。
つまり子どもたちは感動したことを一番覚える。感動したことに一番、頭がガーッと活性化する。無理矢理覚えさせられたもの、嫌々やらされたもの、そんなものは覚えない。そんなものは学ばない。それよりも何かにガーンと、僕が最初にチップを見て涙を流したように、そういう感動を与えるものが・・・。
田原: 皆さんが一番軽蔑されている予備校、日本で有名な予備校だけど、その先生が行っていた。「予備校っていうのは何か? 感動を与えるところだ」と。
孫: いいことを言う。
田原: 「今の学校が感動を与えないから、予備校が感動を与えるんだ」と。なぜなら、別に予備校なんて来なくたっていんだから。「感動を与えなきゃ来ない」と、そう言っていた。
孫: だから、紙の教科書で与えられる感動と、電子教科書で与えられる感動とどっちが大きいか。紙の匂いが懐かしい、鉛筆の匂いが好きだと言う人もいるかも知れない。そんなに鉛筆と紙の匂いフェチならば、いくらでも嗅いでおけばいい。いくらでもあげますよ。
そうではなくて、電子教科書で、中国の子どもと英語で、身振り手振りしながら会話をする。繋がる。アメリカの子どもと、ロシアの子どもと、英語でこうやってしながら、自分の30年後の絵をばーっと見せて、これで感動を与える。
田原: よく分かるんだけれども、やっぱり「教育とは何か」ということがちゃんと出来ていないとやんないよ、そんなことは。
孫: そう。だからやっぱり天下国家を政治で議論をし、国家のビジョンを作り、その国家ビジョンに合わせて、教育をそっち方向に持って行くと。
30年後の社会を見据えた教育を!
田原: 孫さんがおっしゃっていることを一言でいうと、20年後、30年後は今の社会とバーンと変わると。大きく変わっていると。トヨタがなくなっているかも知れない。ホンダがなくなっているかも知れない。ホントだよ。
そういうときに世の中に出る生徒たちのために、どういう教育をするのか。
孫: そういうことです。アメリカでゼネラルモーターズが潰れるなんて、30年前、誰一人思わなかった。国家から救済されたわけです。オバマ大統領からね。そんなこと30年前のアメリカ人、日本人、誰も思わない。でもそれが現実になったわけですね。
だから単に単純労働で労働賃金の低い組立業、農業でも労働賃金の低い、700%の関税で人工的に守られているというようなところにすがりついていちゃあだめだ。
農業もITを使って、日本の優れたタネとか農業の工法を科学的なもの、ITを使って磨き、そのタネをベトナムで植える、カンボジアで植えると。そうやって世界に打って出る。TPPの時代でも競争力を保てる農業に変えなきゃいけない。そういうことだと思うんですね。
田原: 皆さん、これが強烈な刺激だと思うんで、「どうすりゃいいんだ」と本気でディスカッションして、ね、孫さん。
孫: はい。僕はちょっと過激に言いますけど、でも本音です。本音で申し上げました。
田原:孫さんの本音はこれまで30年は当たってきたね。
孫: 当たってきたと思いますよ。
田原: これからあとの30年は当たるかどうか分からないけれど、少なくとも彼に僕が取材してからこの30年間は当たっているんだ。
孫: まあいつも当たるとは限りません。しかし、少なくとも今日の話は、アーカイブとして100年後も500年後も残ります。
僕はユーストリーム、ツイッターの経営陣ともしょっちゅう、毎月のように会っています。彼らは「このサーバーに入ったアーカイブは500年は残す」と言っています。ですから30年後に今言っていることが、「なるほど、そういう社会になったな」と思われるか、「あいつはバカだ。嘘っぱちだ。エキセントリックだった」と思われるか、そのときに検証出来ます。そういうことです。
田原: 少なくとも今までの30年間、孫さんが言ったことは間違っていなかった。これからは分かりませんが、たぶん、そうとう信用出来るとは僕は思っています。 (了)
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