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景気に無関心、給料は大企業並みの実態!

阿久根市 市政情報(職員給与・定員・退職手当)
http://www.city.akune.kagoshima.jp/sisei/kyuyo.html

2011.01.19(Wed)JBプレス 木下敏之

 政治情勢はますます混沌としていますが、私の住む福岡市は少し景気の回復が感じられます。

 昨年末の12月30日の晩も博多駅周辺や天神周辺の飲み屋は大いに賑わっていました。居酒屋の店主は、昨年よりは少し客が多いようだと言っていました。政治の混乱にも負けずに、少しでも景気が良くなってほしいものです。

 福岡市でも、新年は各種団体が新春の賀詞交換会を行います。博多の芸妓さんたちが一堂に出席するものもあり、とても華やかです。1月9日に開かれる「十日恵比須大祭」というお祭りには、芸妓全員がお参りする「かち詣り」という行事が行われます。歴史と経済力のある博多らしい、個性ある新年の風景です。

給料が少ないのは九州、沖縄、東北!

 さて、2010年暮れの12月28日に、厚生労働省が毎月統計を取っている「毎月勤労統計調査」(11月の速報値)が発表されました。

 すべての給与を合わせた「現金給与総額」(事業所規模5人以上)は、前年同月と比べて0.2%減の27万7585円で、9カ月ぶりに前年水準を下回ったことが大きく報道されていました。原因は、冬のボーナスなど特別に支払われた給与が11.2%減だったことが大きかったようです。

 この統計は都道府県別にも発表されているのですが、東京などの首都圏と、地方、特に九州や東北とは大きな差があります。

 下位10県は基本的にいつも同じ顔ぶれで、東北と九州・沖縄がほとんどを占めています。現金給与総額を見てみると、2005年は下位10県中、九州・沖縄が6県を占め、東北が3県でした。

 下の2つの表は2009年の現金給与総額(月間の平均、事業所規模は5人以上)です。左の表が上位10県、右の表が下位10県となっています。

下位10県は九州・沖縄が5県を占め、東北が4県です。沖縄県はこの5年間、連続して最下位です。2009年の現金給与額は24万8021円でした。東国原英夫知事の宮崎県は、下から3番目の25万3455円です。

上位10県も、いつも同じような顔ぶれで、東京が毎年トップです。静岡県や岡山県もこの5年、毎年トップ10に顔を出していますし、広島県や栃木県もトップ10の常連です。ちなみに私の住んでいる福岡県は29万7643円で、12位となっています。

なぜ自治体職員は景気に無関心なのか!

 ただし、首長や自治体の職員はこの数字はあまり気にしていません。というよりも、企業で働いている人と比べると、景気の変動や先行きの見通しにあまり関心を持たない人が多いようです。

 多くの自治体の首長は、この市民の給与額の推移にもっと関心を持つべきだと思います。福祉も教育も、まずは暮らしが安定してこそ成り立ちます。失業者の数字と毎月の給料の数字が、政治家にとってはとても大事な数字のはずです。

 自治体の職員にしても、景気の動きや民間企業の給与の動きを気にするのは、予算担当の職員と産業振興の担当職員、そして生活保護担当の職員くらいでしょうか。

 本当は、住民の生活に直結する数字なので、この数字が前年度と比べて伸びているのかどうか、その地域のGDPがどうなっているのかを気にしなくてはならないと思うのですが。

 なぜ景気の動きをあまり気にしないかというと、まず、不況でも自治体が「倒産」することはなく、公務員の給料が遅れたり不払いになることなどないからです。

 それに加えて、自治体職員の給料が、民間の給料や景気の変動に大きく連動していません。

 厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査の給与総額は、従業員が「5人以上」の事業所を対象にしています。一方、自治体職員の場合は、国家公務員にならって、従業員数が「50人以上」の企業の給料のデータを参考にして決めていくことになっています。比較的規模の大きな企業の給与を比較の対象としているのです。

 しかし、事業所の中で50人以上の企業が占める割合は、全国平均で3%程度にすぎません。この割合は、地方に行けば行くほど小さくなります。

 人口が約80万人の佐賀県の場合、佐賀県庁の職員数(約1万4000人)に匹敵するような規模の企業はありません。佐賀県庁の次に規模が大きいのが佐賀大学、そして佐賀市役所と続きます。ほとんどの企業は、従業員が50人に達しない規模なのです。

また、福岡県に本社を置く大きな企業には、九州電力(約1万2600人)、JR九州(約8600人)などがありますが、50人未満の中小の企業の割合が多いことに変わりはありません。

 地方の小規模の自治体に行くと、50人以上の会社の割合はどんどん少なくなりますので、ますます自治体職員と民間企業の給与の差が開きます。

 「ブログ市長 VS 議会」の対立で有名な阿久根市のように、市民の年収の平均が200万円未満なのに、阿久根市役所の職員の平均年収が700万円を超えるようなことになります(阿久根市は職員給与の詳細を発表していますので、関心のある方はどうぞ)。

自治体職員の給与はいつまで「大企業並み」なのか!

 そして、自治体の職員が景気に関心を払わないもう1つの理由があります。政府の収入は、法人税や所得税など景気の変動に直結する税金が中心となっていますが、市町村の収入は、景気の動向にあまり左右されない性格の税金が中心となっている、ということです。

 市町村の主な収入は「固定資産税」と「住民税」、そして国からの「地方交付税」と「補助金」です。

 まず、固定資産税はあまり変動しない仕組みになっています。地価が下がっていたり、建物が古くなっていたりするのに、固定資産税がなかなか下がらないことに疑問を持っていらっしゃる方も多いと思います。

 しかし、例えば建物への固定資産税は、マンションが空き部屋だらけになったり、建築年数がかなり経ったとしても、評価額がほとんど変化しない仕組みになっているのです。

 また、国からの地方交付税交付金は、政治的配慮もあり、急激に減るようなことのない仕組みになっています。

 このように仕組みとして、自治体職員が景気の変動や民間の給料の動きに「鈍感」になるようになっているのです。ですから、景気対策などにしても、どうしても動きが遅くなります。

 市町村合併を繰り返した結果、地方自治体の規模は大きくなりました。しかし、職員数が増えたからといって、社員の多い大企業にならって公務員の給料を決めてよいものかどうか。

 社員数が少ない会社の給与を、公務員の給与にも反映させる時期が来ているのではないでしょうか。

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