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2011.01.19 新潟日報

 中国向けコメ輸出の拡大を目指して5日から北京、上海、蘇州の3都市を訪問した「中国向け新潟米輸出促進協議会」の各訪中団が18日までに帰国した。

昨年12月、筒井信隆農水副大臣が日本からの農産物の輸出拡大で中国側と合意したが、今後、本県はどのような戦略で臨むのか。同協議会会長で、今回団長を務めた加茂田俊則・県農林水産部長に現地での手応えと今後の課題を聞いた。

―訪中した狙いは。

「中国で新潟産コシヒカリはおいしくて安全だと評価されている。一方で中国は広く、まだ知らない人も多い。県産米をPRするため訪中した。デパートで試食宣伝会を行ったほか、11月に中国から招いたレストラン関係者が県産米をどう活用しているかを確認し、関係機関と意見交換した」

―県産米に対する反応はどうでしたか。

「味に対する評価は高い。ただ、現在は春節と中秋節向けの2回、富裕層が買う贈答用に輸出している。業務用としては年間を通して確実に確保でき、欲しいときに欲しい量をそろえてほしいと要望があった。今は検疫の関係で横浜に運んで燻蒸や精米を行い、輸出しているためコストが通常の3倍掛かっている。コストの縮減や現地での保存施設の整備が課題だ」

―高価格が影響して輸出が伸び悩んでいるという指摘もあります。

「新潟コシは1キロ約1,300円程度で販売されていて一般の中国米に比べると高い。だが、中国産の有機米が同約1,500円で売られるなど新潟コシを上回る価格の中国米も出ている。今後は中国米との競争も予想される。レストランでは、すしだけでなく白米のご飯がメニューに登場するなど素材の味を生かした日本食への関心は高い。新潟コシのニーズはある」

―国は年20万トン、将来的には100万トンの輸出を目指しています。

「量は増えれば贈答用だけでなく業務用など幅広いアプローチが可能になり、新潟米を売り込むチャンスだ。中国のデパートやレストランでは差別化を図るため高級な魚沼コシを求める動きもあり、高級ブランドとして着実に販路を広げたい」

―丸紅とJA全農が戦略提携を結ぶなど商社の動きが活発化しています。

「輸出や販売に詳しい商社と関係を築くことは重要。現地でも市場開拓に動き出した商社や売り込みを図る産地があると聞いた。取引はあくまで民間ベースだが、情報交換は活発に行いたい」

―産地間競争が予想されますが本県の戦略は。

「09年度に中国に輸出したのは本県だけだ。先陣をきって輸出し、築いてきた信頼関係やブランドがある。国が国内7ヶ所で燻蒸用倉庫の整備で募集を掛け、本県から1社が手を挙げている。今は物流面の制約で輸出には最低10トンの必要だが、新潟港が活用できれば需要に応じて輸出でき、コストも下がる。国に検疫条件の緩和を要望しているが、時間がかかるかもしれない。国の動きにアンテナを張りながら環境整備を進めたい」


◇海外へのコメ輸出

 日本からの商業用コメの輸出は2009年で1,312トン。国内では秋田県がシンガポール向けなどに412トンを輸出し、3分の1を占めた。本県は09年度、152トン輸出し、内訳は台湾が約100トン、中国が約30トン、香港が約19トン。

中国向けの輸出は全農から中糧集団有限公司(COFCO)を通すルートで行われ、09年度は日本からの輸出の全量(30トン)を本県が占めた。
10年度は富裕層向けの贈答用市場の開拓などで77トンに増えている。

今回訪中した「中国向け新潟米輸出促進協議会」は県、新潟市、上越市、三条市、JA全農にいがた、JA県中の6機関・団体で構成。07年度から北京や上海で試食宣伝会を行っている。
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