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中国共産党
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A
国家イベントのため強化されたネットメディア統制は解放されるのか?
2011年1月27日(木)日経ビジネス 加藤嘉一
初回コラムでは、中国社会のこれからを探る上で重要な役割を果たすであろうポイントを挙げた。共産党のガバナンス力(トップダウン、上からの抑え込み)とネットメディア――ブログや掲示板機能を持つポータルサイトなど――の普及(ボトムアップ、下からのうねり)のぶつかり合いである。共産党は数万人にも上るネット監視員を投入し、インターネット上の反体制的な言論を24時間体制で監視、削除している。監視システムを日増しに強化している。
一方、4.5億人を超えたネットユーザーたちの活発で、相互的な議論は、自然発生的に拡大、深化している。前回コラムでは、特に「エリート」と呼ばれる中国の若者が、インターネットを通じて旺盛にインテリジェンスを展開している現状を紹介させていただいた。7000万人以上の党員を擁し、全国にネットワークを巡らす百戦錬磨の中国共産党にとっても脅威になる。中央政府はネット世論を「社会の安定を揺るがす不安要素」と認識し、神経を尖らせている。
民主主義と言論の自由――あからさまに抑えられていること。日本人を含めた外国人が中国に対して「不気味、得体が知れない」と懐疑心を抱かせる「飛車角」的な存在である。言論・情報統制はそのシンボルタワーのようだ。
今回コラムでは、ここ数年における当局の統制政策を、ネットメディア対策という側面から振り返る。読者のみなさんには、「中国共産党の情報・言論統制の内部ロジックとからくり」を理解していただければと思う。
北京五輪や中国建国60周年を前にネットメディアの監視を強化!
「ネットメディア環境に進展はあるのか?」
2010年、メディア関係者や大学教授、シンクタンク研究者の間でこのテーマが話題になった。ネットメディアは世論に大きな影響を与えるようになり、自由度、開放度、民主度の進展を象徴するものになった。しかし2008年の北京五輪前から2009年の中国建国60周年記念にかけて、中央政府は監視規制を強化した。
2008年の北京五輪前後、それまでアクセスできたユーチューブ、ツイッター、フェースブックが突如ブロックされた。今でも一切のアクセスが禁止されている。当局による赤裸々な締め付けだ。
昨今では、中国国産の“ツイッター”が立ち上がり、活発な議論が行われている。しかし、このサイトも当局の監視下にある。運営者は処罰を恐れ、自己規制に忙しい。「天安門事件」、「劉暁波」など敏感なキーワードは即座に削除する、削除される、という投稿者とのいたちごっこが続いている。
2009年7月、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で暴動事件が起きた。当局は建国60年を前にして、北京五輪前にウルムチで起きたテロ事件以上に警戒していた。中央宣伝部は8月下旬ころ、「新華社以外の原稿は使わないように」との指令をメディア各社に出している。
有識者は「中国はここ数年で完全な警察国家に化した」と愚痴をこぼした。
「インターネット世論への監視規制は2010年に緩和されたのか? 2011年以降はどうなのか?」という筆者の質問に対し、党の役人たちは「なんとも言えない」、「状況次第」、「政治常務委員次第」、「トップですら決定する権限を持たない」と答える。
党の中でさえ統一見解はないのである。
中国では4つの党・政府機関がネットメディアを監視する機能を果たしてきた。「国務院新聞弁公室ネット宣伝管理局」、「中共中央宣伝部輿論事情情報局」、「国務院新聞弁公室ネット研究センター輿論事情処」、「中共中央宣伝部ネット局」である。このほか、公安部や国家安全部も独自のネットメディア監視機能を備える。
基本的に「縦割り」であるため、省庁間における監視機能は重複せざるを得ない。中央宣伝部のある局長は「縦割りの監視状況をいかにコーディネートするかが今後の世論統制にとって極めて重要になる」と先日筆者に語った。
建国60周年前後に規制は最高潮に!
統制が最も強かったのが建国60周年の記念式典前後である。中央政府の世論政策は、「マイナス面の報道があってはならない」の一点に尽きた。「北京五輪を経験しているみなさんは事情を正しく認識していると思う。各自自制し、的確な報道を徹底するように」と通達した。2010年に開催された上海万博、広州アジア大会の際も同様であった。
「イベント期間中、一切のマイナス報道を禁止する」。
不都合な報道があれば、事後厳しく処罰するということだ。新聞、雑誌、ウェブのメディア関係者たちは「プロパガンダ当局からはマイナス面の報道をしてはいけないと言われる。プラス面、肯定的意見、賛辞の報道をするしかない」と口をそろえて漏らしていた。
投稿者の実名登録を求める、メディアの記事の位置まで指定する
世論対策を分析するうえで面白い動きがあった。国務院新聞弁公室、中央宣伝部は、建国60周年世論対策の一環として、2009年8月15日以降、ネットメディアに対して『ネットユーザーの実名登録制』を徹底するように指令を出した。
近年、ネットメディアにおける書き込みが世論に与える影響が大きくなっている原因の1つに「匿名制」があったからだ。誰でも自由に書き込めて、責任は一切追及されない。
指令によって、登録する際には、氏名、身分証番号などの入力が必須となった。「指令の内容は絶対保密を命じられていて、一切の公開・流出が禁じられている」とネットメディア関係者は言う。ただし実際は、適当な名前を入力し、けた数を満たした番号を入れれば登録・ログインが可能になっている。「形だけの対策だ」(ポータルサイト、ブログ担当編集者)。
政府関係者は、実名登録制によってネット世論を完全に抑えられるとは全く思っていない。中央宣伝部の幹部は「適当な名前、IDによる登録も十分可能だ。書き込みしたユーザーの身元を識別することもほぼ不可能。手続きが複雑になったことで、書き込みの意欲を失うユーザーが多くなることはあるかもしれないが」と分析する。
「実名登録制」の導入と合わせて、当局が「建国60周年世論対策」として実施したのが「ブログ、掲示板コンテンツ押さえ込み」だった。2009年9月以降、さまざまなウェブサイトのトップページ、あるいはヘッドラインから博客(ブログ)、論壇(掲示板)の項目がなくなった。あるいは、下のほうの目立たない位置に移動させられた。当局が、官製メディア以外のすべての商業ウェブメディアに課した指令である。
ブログや掲示板には、反体制的な意見、政治的に不正確な言論もしばしば見られる。日本の2チャンネルのごとく、過激な言論が錯綜する。当局はすべてをコントロールできるわけではない。「安定第一」を最優先する当局は「これらの項目を目立たせない」、「読者にアクセスさせにくくする」というやり方で不安要素、リスクを抑えようとした。
軍事パレードを含めた60周年記念イベント前後、すべてのネットメディアのトップページには『中華人民共和国建国60周年万歳』というスローガンが掲げられた。当局の仕業である。ほかのメディアコンテンツも含めて、内容・位置のほとんどを当局が決定した。イベント期間中、宣伝部からメディアに担当者が「出向」し、現場で直接指揮する光景すら見られた。
規制に反発し、罰金、左遷が相次ぐメディア業界!
統制強化によって、身動きが取れなくなっているのがメディアである。すべてのネットメディアが「審査部」という特殊部門を設置し、反体制的な報道、言論を「自制」するよう努めている。後手に回って、当局に見つかって罰金を課されるよりは、一定のコストをかけても、事前にリスクを回避したほうが賢明というわけだ。
ただし、メディア側も唯々諾々と当局に従ってばかりいるわけではない。デスクたちは24時間体制で監視当局の担当者と戦っている。「このニュースはダメだ。すぐに削除しろ」、「先ほどXXで発生したYY事件は報道するな」などといった指令が下される。これらを握りつぶして数十万円規模の罰金は日常茶飯事。幹部の左遷も相次ぐ。
メディア関係者の現状認識は監視サイドとは異なる。「2010年も規制が緩和されることはなかった。事件や問題別に緩めたり、引き締めたり、という状況はあったが、大きな趨勢としては間違いなく引き締め強化の方向に向かっている。言論の環境が多様化すればするほど、当局は規制を強化せざるを得ない。究極のジレンマだ。共産党の体制存続第一なんだから、他に選択肢はない」と大手新聞社の記者は見る。
ここで記者が言う「言論の環境の多様化」は、中国において、「党機関メディア」と「都市報」、「ネットメディア」という3種のメディアが「三国志」のごとく、争いを繰り広げている状態を指す。「党機関メディア」は、党と政府とのプロパガンダ役を実際担っている《人民日報》、《新華社通信》、《中国中央電子台(CCTV)》など。「都市報」は新聞がメイン。各都市で発生する事件や社会問題など、市民に密着した情報を発信する。発信するプレイヤー、議論のプラットフォームが日増しに増えている。
ネットメディアが解放されるかは共産党のトップ次第!
「押さえ込み政策」のネットメディアへの打撃は計り知れない。ネットメディアは、日を追うごとに世論、民意形成への影響力を増している。だが、基本的に取材権がなく、自らの記者を持たない。編集権しか持っていない。新聞やテレビなど既成の伝統メディアが取材し、掲載した内容をお金で買って「転載」しているにすぎない。掲載するニュースは各ネットメディア間で同質化する。必然的に、ブログか掲示板でしか差別化できない。
業界では「互動商品(Interactive goods)」と呼ばれる。ブロガー、コメンテーター、コラムニストなどと読者がインタラクティブに自由に議論し合える唯一のプラットフォームである。
2010年に入り、ブログや掲示板の自由度は少しばかり復活した。ブログが画面の上のほうに移され、アクセス数が増えた。ネット世論調査が積極的に行われ、書き込みも出来るようになっている。オピニオンリーダーと一般ユーザーが激論を交わし、世論を創造していくインタラクティブ・コミュニケーションも増えてきた。2011年1月現在でも続いている。
ネットメディアの「十八番」であるブログや掲示板は、2011年以降自由に、開放的になっていくのだろうか。筆者が見る限り、中国共産党の最高意思決定機関である「中央政治局常務委員会」(常時9人しかいない。中国の政治システムで序列1位~9位を占める)による政策判断次第である。
共産党の政策は世論なしには語れない!?
中国でも、「世論」が勃興している。政策に影響を与えるのだ。ポリシー・メーカーが民意の圧力に屈して、政策方針を変更することだってある。当然、日本との関係においても、である。
2010年の旧正月、筆者は政治局常務委員を経験したことのある某政治家と、共産党の世論政策に関して徹底討論した。別れ際、彼が筆者に優しく語りかけた言葉が忘れられない。
「確かに、中国には西側で言う民主主義や選挙制度は無い。共産党は人民の意志を無視して政策を進める権限を制度的に与えられている。しかし、実質的、あるいは結果的にはどうだろうか。加藤さん、中国に有権者たるものが存在しないと思ったら情勢を見誤る。大衆の間でうなぎ上りに台頭するインターネット上の世論は、365日・24時間、党の政策決定プロセスに影響を与えている。ときに、拉致されたような気分に襲われることさえあるんだよ」。
読者のみなさんはこの言葉をどう受け止めるだろうか。
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