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2010年11月11日 asahi.com

清津川(十日町市)の水を発電に使った後、魚野川(南魚沼市)へ流す東京電力湯沢発電所の水利権をめぐり、十日町市が水の返還を求めている問題で、泉田裕彦知事と関口芳史・十日町市長、井口一郎・南魚沼市長は10日、魚野川流域の水の確保を前提に、清津川の水量を増やすという内容の協定書に調印した。水の確保をめぐって長年綱引きが続いた分水問題は、解決に向けて一歩踏み出した。(大内奏、服部誠一)

   ◇

 協定書は、
(1)魚野川流域の水資源を確保するため、県と南魚沼市で年内中に枠組みをつくる
(2)暫定措置として、清津川への試験放流の増量を検討する――ことが柱。
1923(大正12)年に湯沢発電所が稼働して以来続いている分水のあり方について、問題解決を図るうえでの初の合意文書となった。

 調印後、泉田知事は「協定は県政史の重要な一コマ」としたうえで、コメ作りや冬の消雪用に水を必要とする南魚沼市側、清津峡の自然環境回復などを訴える十日町市側双方の事情について「宿題を負った」との認識を示した。

 今年末が期限となる湯沢発電所の水利権の審査は、両市の対立により県の意見照会の段階でストップしていた。調印を受け、県は10日、国土交通省北陸地方整備局に「水利権更新に同意する」と回答。同局は水利権を許可した。来年1月1日からの新たな水利権について、東電は今月中にも更新を申請する。

   ◇

 協定が結ばれ、清津川と魚野川の水をめぐる議論は二つになった。一つは、分水問題そのものの抜本的解決策について。もう一つは、湯沢発電所の来年1月1日からの水利権更新に合わせて、当面、清津川への試験放流量をどの程度増やすかだ。


 抜本的解決策は、県と南魚沼市が、河川、農業、漁業各分野の専門家らをメンバーとした委員会を年内中に立ち上げる。委員会では、魚野川の水が減ったときの流域への影響を調べ、清津川の水にできるだけ頼らない方策を探る。ダムやため池の新設を含めて検討し、議論は長期化し、難航も予想される。井口市長は「5年や10年で片付くとは思っていない」と話す。


 また、来年からの試験放流量は、県と両市が東電を交えて話し合う。12月中旬以降に開かれる「清津川・魚野川流域水環境検討協議会」で話し合われる見通しだ。だが、今よりどの程度増量するか、その数値は、両市の間で隔たりがあるうえ、10日付の協定書に付された覚書には「抜本策が実現するまでは、試験放流量は原則見直ししない」と表記されている。このため、「暫定」とはいえ、今後10年単位での清津川の流量が決まることにもなり、協議が行き詰まる恐れもある。

   ◇

清津川の分水問題 1923(大正12)年に運転を始めた東京電力湯沢発電所は、清津川から取った水で発電し、その水を魚野川に流してきた。取水量は最大毎秒6・121トン。2002年ごろから、生活用水の不足や清津峡の景観への悪影響を心配する十日町市側で「水返還」を求める運動が強まり、農業用水として使ってきた南魚沼市側との対立が深まった。05年7月からは毎秒最低0・334トン~1・056トンを清津川に戻す試験放流が始まったが、十日町市側は全量返還を基本に放流量を増やすよう求めている。


「清津川へ放流増」で県と2市調印へ 湯沢発電所水利権!

2010年10月30日 asahi.com

清津川(十日町市)の水を発電に使った後、魚野川(南魚沼市)へ流す東京電力湯沢発電所(湯沢町)の水利権をめぐって、下流の両市が対立している問題で、十日町市の関口芳史市長と南魚沼市の井口一郎市長は29日までに、清津川へ放流する水を増量することで合意した。

 この問題をめぐっては、来月上旬にも、泉田裕彦知事と両市長による2回目の三者会談が開かれる。この席で3氏は、
(1)魚野川流域の水資源を確保する抜本策に向けて、県と南魚沼市で委員会をつくる
(2)抜本策ができるまでの暫定措置として、清津川への試験放流の増量を検討する。南魚沼地域に支障のない範囲とする――ことについて、協定書に調印する見通しだ。

 現在の試験放流は、清津川の渇水対策のために5年前から実施されている。清津川から最大で毎秒6.121トン取水し、季節によって毎秒0.334~1.078トンを戻すというもの。十日町市内で28日に開かれた「清津川・魚野川流域水環境検討協議会」は、清津川の河川環境に「効果があった」と結論づけた。

 今後はこの数字をベースにして、清津川への増量をさらに検討することになるが、十日町市側が「検討協に提案した毎秒1.68~2.94トンの常時放流をたたき台にしたい」としているのに対し、南魚沼市側は「清津川への放流は、年平均で毎秒1トン未満に収めたい」としている。増量する数値については、なお曲折が予想される。

 湯沢発電所の水利権は、今年末で期限が切れるが、県による地元意見照会の段階でストップしており、いまだ許可が下りていない。東電は来年1月1日からの水利権について、現在の試験放流の内容通りに、11月中に国土交通省北陸地方整備局へ申請する。期間は20年間。県と両市の議論の行方によっては、流量の変更はあり得るとしている。(服部誠一)

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