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圧縮比向上でガソリンエンジンの燃費を15%向上!

2010.11.09(Tue)JBプレス 両角岳彦

前回は、マツダの「圧縮比14」という、マツダの「常識破り」のディーゼルエンジンがいかにして実現されたかを解説した。

 そこにもう1つ、機械製品としての重要なポイントを追記しておこう。

 圧縮比が高いこれまでのディーゼルエンジンだと、グッと狭く押し縮められた燃焼室の中に燃料を噴き込んで一気に燃やす。その瞬間、急激な圧力の上昇が生ずるため、それに耐えるために構造を頑丈にしなければならない。

 だが、今回のマツダの新ディーゼルエンジンは圧縮比を下げたことで、その圧力急上昇も押さえられる。つまり骨格や運動部品を必要以上に頑丈にしなくてもいい。すなわち軽くできる。シリンダーブロックはアルミ合金が使えるし(普通は鋳鉄)、ピストンやクランクシャフトはコンパクトに軽くできた。

 燃焼のピークが「ガツン!」と出ないことも合わせて、きれいに回るエンジンになるはずである。

燃焼コントロールで世界基準の厳しい排ガス規制をクリア
 さらにこのディーゼルエンジンがすごいのは、今日、世界的にものすごく厳しくなっている排出ガス規制に、最小限の後処理システムだけで対応できる、ということ。

 世界中の乗用車と商用車のメーカーが、特に窒素酸化物(NOx)処理のために専用の触媒を付加せざるを得ないと判断している。その1つである「NOx吸蔵触媒」は、捕えたNOxを分解するために余分な燃料を燃やないまま排気側に流し出す必要があるし、燃料の中に硫黄分がわずかに混じっているだけでも浄化性能が一気に劣化する。

 「選択反応型触媒(SCR)」は排気の中に尿素を吹き込むことでアンモニアを作り、それでNOxを分解する。尿素水(商品名:AdBlue)を使う手法が主流になりつつあるが、クルマにはそれを積むタンクと調量噴射システムなどを載せる必要があり、もちろん燃料とは別に尿素水を供給するインフラも要る。

 マツダの新しいディーゼルエンジンは、そうした複雑な、あるいはデメリットも多い「後処理システム」を使わず、EGR(排出ガス再循環)を含めた燃焼のコントロールだけで、世界で最も厳しいアメリカの「Tier2-Bin5」規制にも、ヨーロッパの次期ターゲットである「Euro6」規制にも対応できる、という。

 もし本当にそうなのであれば(既に認証段階に入っているので『本当』なのだが)、世界の内燃機関開発者にとっては「常識の壁」が壊されたことになる。

 さらに酸化触媒とDPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)を組み合わせた基本的な排気浄化システムの中に使う触媒物質(白金)の量も大幅に減らせるという。NOx後処理の簡素化と合わせて、排気対策のためのコストは、それこそ劇的に削減できるはずである。

開発責任者であるマツダの人見光男さんは、「そのコスト削減分でターボチャージャー(過給機)を2つ付けて、出力と応答性を高めることができました」と笑っていた。とはいえ、最新の乗用車用ディーゼルエンジンとしては、ターボチャージャーを2機装着するのは「常識」である。

ガソリンエンジンの圧縮比「14」は常識外れの高さ!

 マツダが新たに開発したガソリンエンジンの方は、フォルクスワーゲンを筆頭に欧州勢が進めている「ダウンサイジング」の方向とは少し趣が異なる。

ダウンサイジングとは、エンジン本体の、特に排気量を小さくすることで、メカニズムが動き、摺動することで失われるエネルギーを減らし、力の方は過給して空気をたくさん入れることで十分なものを出す、という方向である。マツダは、もちろんこの「機械損失」を減らすことも様々に考え、手を打ってはいるのだが。

 目標としては、エンジン単体での燃料消費を15%改善すること。ちなみにメディア諸氏が唯一その記憶に止めた「コンパクトカーで1リッターあたり30キロメートルの燃費」は、10-15モードの「お受験燃費」の話に過ぎない。特にガソリンエンジンの場合は、現実の走行で本当に燃費の良いクルマができるかどうかは、エンジン単体だけでなく、人間の運転操作への反応などまで様々な要素を最適化することにかかってくる。

 ガソリンエンジンの燃費改善、言い換えれば熱効率改善の鍵もまた、圧縮比にある。最近の定石では「10」前後の圧縮比を「14」まで高めたのである。

 同じ「圧縮比14」でも、ディーゼルエンジンにおいては「低い」のに対して、ガソリンエンジンにおいては「高い」。

 F1などの競技専用エンジンで、使われ方も、燃料も、そして耐久性も、様々な条件がそろった時には14ぐらいの圧縮比を使ってはいるが、市販車では「異常」と言えるほどの高圧縮比である。

排気系レイアウトの改良でノッキングを回避!

 圧縮比を高めた時に心配になるのはまず「異常着火」、もう少し正確に言うなら「早期自己着火」、つまり火花による点火よりも早く勝手に火がついて、一気に燃え広がってしまう現象である。いわゆる「ノッキング」だが、低速で無理な負荷をかけた時に「カリカリ」と音を立てるものとはちょっと違う。そもそもそうした低速ノッキングは、今のエンジンではもう起こらない。その始まりを検出するセンサーを付けて点火時期などを細かく制御しているからだ。

しかし、強い力を作っている時に異常着火が起こると、ガソリンエンジンとしては致命的なことにもなりかねない。

ガソリンエンジンの燃焼プロセスはディーゼルエンジンとは別のものである。空気と燃料をあらかじめ混合して、それがうまく混ざり合ったところでスパークプラグで火花を飛ばし、そこから火炎を一気に全体に燃え広がらせる(ディーゼルエンジンは、圧縮して高温になった空気の中に軽油を噴射して、それが気化しつつ着火してゆく)。つまり、「予混合・火花着火・火炎伝播」がガソリンエンジンの基本原理である。

 ここで火花を飛ばす前に混合気の着火、燃焼が起こり、シリンダーとピストンが作る空隙の中の圧力が急上昇すると、エンジン本体が壊れてしまう。自動車競技で時おり発生する「エンジンブロー」の原因の1つでもある。

 だから、まず、この異常着火を起こす「因子」を分析し、それらが重なり合わないようにすればいいはずではないか。

 ノッキングを回避するだけならば、そこで火を着けるタイミングを遅らせれば何とかなる。しかし、そうやって燃やすタイミングを、ピストンが下がり始めた後になるぐらいまでずらすと、エンジンが出す力は落ちる。しかも、その「力が出ない」ゾーンが、日常的に使う低中速領域に現れてしまう。この辺りをあれこれやってみて、世の中のガソリンエンジンの圧縮比は10前後に落ち着いているのである。

 ならば、その重要な運転領域で高い圧縮比のままノッキングを起こさずに「うまく燃える」のにはどうしたらいいのか。

 結局、マツダの技術陣は、ここも原理原則に戻って、燃えた後のガスをきれいに吐き出し、新しい空気に入れ替えるのがうまくいくように、排気管の長さとレイアウトを煮詰めている。

 現在はガソリンエンジンでも、排気浄化のために、触媒を思い切りエンジン排気出口に近づけるのが「定石」。始動直後に、触媒が冷えて「活性化」していない状態で、HC(炭化水素)がそのまま外に出てしまうかどうかが、米国主導の排気規制強化の中で「(電気自動車に電力を供給する)火力発電所なみ」の排出ガスレベルを達成するポイントになっているからだ。

 だが、触媒をエンジン排気出口に近付けることは、シリンダーから燃焼ガスを「引き出し」、新しい空気を引き込むという点から見れば、むしろ効率の悪い形になっていた。

 それならば始動直後に早く触媒を暖めることさえできれば、排気系を理想的なレイアウトにできる。燃焼室の微妙な形も、圧縮比を高め、小さくなった燃焼室から燃え広がるプロセスに焦点を絞って考え、実験を重ねた結果だ。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの圧縮比がともに「14」になったことについて、前出の人見さんは「その辺りがいいのでは・・・、という(技術者としての)感覚があって、14という切りのいいところで決めた。ガソリンとディーゼルが同じ数字になったのは、それぞれ別々にやった結果だけど、でも、『そうなるといいかな』という思いがなかったわけでもないかな」と笑っていた。

新型エンジンの基本的な発想を提唱していた1人の技術者
 ここまで語ってきたマツダの新エンジンにおける基本コンセプト、つまり、「ディーゼルエンジンもガソリンエンジンも圧縮比14」「鍵は膨張比にある」「排気系のレイアウト改良」などは、実はずいぶん前から1人の技術者によって提唱されてきたものだ。

 かつてはいすゞ自動車でディーゼルエンジンの設計と開発に携わった技術者であり、その後は今はなき「モーターファン」誌で「究極のエンジンを求めて」と題した「毒舌エンジン評論」を連載していた、故・兼坂弘さん(1923~2004年)がずっと言い続けていたことである。さらに「排気量半分・出力4倍」の「ダウンサイジング」も。

 兼坂さんが「発明」した「ミラーサイクル」エンジンは、彼自身のコンサルティングを発端に、マツダが世界で初めて実用エンジンにまでまとめあげ、「ユーノス800」に搭載して世に送り出した。これは、吸気バルブを閉じるタイミングを選ぶことで、実際にシリンダーの中でピストンが気体を圧縮するプロセスを短くする、つまり実効圧縮比を小さくして、機構的な圧縮比の全てを「膨張比」として利用する、というもの。吸気バルブを早く閉じる、あるいは遅く閉じることだけで、「圧縮比」と「膨張比」が「非対称」にできる、という、コロンブスの卵のような発想である。

 トヨタ自動車がハイブリッド車のガソリンエンジンに使っている「アトキンソンサイクル」は「兼坂=ミラーサイクル」とまったく同じものであって、ただ、基本となる熱サイクルの発明者として誰の名前を冠しているかの違いでしかない。この「ミラーサイクル」の導入例は他にも広がってきている。

 その兼坂さんの「布教活動」に反応し、兼坂=ミラーサイクルを現実に「ユーノス800」に積むV型6気筒の形にまで作り上げたコアメンバーの1人が人見さんだった。技術を生み出す発想とそのエネルギー、そこに醸成される知見等々は人から人へと受け継がれてゆくものなのである。

 そして私も兼坂さんには「お前みたいな人間を『半可通』と言うんだ!」と何度となく罵倒されつつ、実に多くのことを教えられた。だから今回の「内燃機関の改良」の内容も、「なるほどね」と表面だけではあるけれども咀嚼することができたのである。

 その内容が、そして「技術というものの面白さ」が、十分に伝えられたかどうか。そこは読み手の皆さんに判断していただくしかないのだが、でも、「マツダの株価が跳ね上がって当然」な内容が詰め込まれていることは、ご理解いただけたのではないかと思う。

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