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日本農業、再構築への道<6>最終回

2010.12.21(Tue) JBプレス川島博之

 米国は世界最大の農産物輸出国であり、その輸出額は927億ドル(2007年)にもなる。ただ、米国は747億ドルもの農産物を輸入しているから、輸出額から輸入額を引いた純輸出額は180億ドルに留まる。

 一方、日本の農産物輸出額は23億ドルであり、輸入が460億ドルだから、純輸出額はマイナス437億ドルとなる。純輸出額が多い方が強いとすると、米国農業が強く、日本は弱いことになる。

 日本農業が弱いことは確かである。しかし、より広い視野から見ると、米国がダントツに強いとも言い切れない。

 2007年において農産物の純輸出額が最も多い国はどこか。それは、米国ではなくオランダである。

 オランダの輸出額は676億ドルと米国より少ないが、輸入額が397億ドルであるから純輸出額は279億ドルになり、米国を上回っている。世界で一番強い農業国はオランダということになる。

オランダ農業の強さの秘密は加工貿易にあり!

 オランダは大きな国ではない。人口が1660万人、国土は4万1000平方キロメートル。農地面積は110万ヘクタールと日本の4分の1でしかない。そのオランダが強いのである。

 オランダ農業が強い秘密は、日本が工業で行っているように、加工貿易をしているためである。オランダは近隣のフランスやドイツから飼料用の小麦を輸入して家畜を育て、畜産物を製造し、それを輸出している。

 だが、牛乳の輸出額は2億1000万ドルとそれほど多くない。一方で、チーズの輸出額は29億ドルにもなっている。

 つまり、オランダは安い家畜飼料を周辺国から購入して牛乳を作るが、それを輸出するのではなく、付加価値を高めたチーズの輸出によって利益を得ている。また、トマトが15億ドル、トウガラシが11億ドルなど、野菜の輸出も盛んだ。

 農産物の中で穀物は安い。食料価格が高騰した2008年においても小麦の平均輸出価格は1トン当たり342ドルでしかない。一方、チーズは5652ドル、豚肉は2780ドル、トマトは1186ドル(いずれも1トン当たり)である。

このように穀物は安く、チーズや豚肉、野菜の価格は高いために、飼料にする穀物を輸入して、チーズ、食肉、野菜などを輸出するオランダ型農業が強くなっているのである。

 飼料を輸入して行う畜産は広い農地を必要としない。また、野菜の栽培も1年に何度も収穫できるために広い面積を必要としない。つまり、オランダのような国土の狭い国でもできるのだ。

自由貿易で日本の農業を立て直す!

 オランダの例が示すように、現代農業を行う上では、国土が狭いことは不利な条件ではない。それを逆手に取って、安い穀物は外国に作らせて、付加価値の高いチーズや野菜を作れば、儲かる農業を展開することができる。

 ただし、その場合に食料自給率は低下してしまう。オランダの穀物自給率は14%(2007年)でしかない。

 だが、食料自給率の低下を問題にすべきではない。日本農業もオランダ型を目指すべきである。

 第2回、第3回で説明したように、日本が食糧危機に遭遇する可能性は限りなくゼロに近い。食糧安全保障を政策目標に掲げる必要はない。日本も海外から安い穀物を輸入し、チーズや野菜などを輸出すべきである。

 儲かる農業を展開するには、チーズなど付加価値の高いものを輸出する必要がある。これまでも、1次産業である農業を2次産業や3次産業と組み合わせることにより、農業を「6次産業」化することが提唱されてきたが、オランダの例が示すように、儲かる農業を展開するためには農業の6次産業化が欠かせない。

 オランダはチーズを周辺の国に売るのであるから、オランダ農業にとってEUを中心とした自由貿易圏はなくてはならないものになっている。

 それは、日本にとっても同じである。高齢化が進み人口が減少に転じた国内を相手にしても、農業を成長産業に育てることは難しい。日本農業は世界を相手に商売を始めるべきである。そう考えれば、日本農業にとってWTOFTA、またTPPは反対すべきものでなく、歓迎すべきものだと言える。

これまでの日本農政は大きな間違いを犯していた。食料自給率を上げようなどと考えたために、安い穀物を国内で生産しなければならなくなり、そのことが農業を儲からない産業にしてしまった。

 飼料の国産化は、農民に儲からない農業を押しつけていることに他ならない。また、その儲からない農業の維持のために膨大な税金が使われている。日本農業を立て直すには、抜本的な発想の転換が必要である。

コメだけは例外にすべし!

 ここで、日本農業をオランダ型に転換する上で、1つ重要なことを付け加えたい。それは、コメを例外とすべきだ、ということである。

 本シリーズの第4回、第5回で述べたように、コメ問題は土地問題、また選挙制度と密接な関係を有している。そのためにコメ問題に手をつけると、それは大きな政治問題になってしまう。本来農業とは関係のない土地問題や選挙制度を同時に語ることになってしまうのだ。

 前回に述べたように、コメは日本で1.8兆円程度の市場規模しか有しておらず、縮小傾向にある日本農業においても重要性を失いつつある。コメは産業としてではなく、文化として語るべき時期に来ている。

 コメを例外としてもFTAやTPPへの参加を議論することは十分に可能である。実際に韓国はコメを例外にして、米国FTAを締結しようとしている。

 全てを自由化する必要はない。交渉に例外は付きものだ。「コメは日本文化に密接に関係している」と主張して、相手国から譲歩を導き出すことは十分に可能である。それを実現させることが、外交当局の腕の見せ所であろう。

農協には畜産や野菜から撤退してもらう!

 貿易自由化に強硬に反対している農協も、農業に関連する事業が赤字になっているために、実際には農業から撤退し、利益の上がる金融や保険業務に集中したいと考えている。

 また、畜産や野菜栽培で大規模経営を行っている「やる気のある農家」は、農協と関係が薄くなっている。それ以上に農協と対立している場合も多い。農協が畜産や野菜に関連する業務から撤退すれば、それは「やる気のある農家」を助けることにもつながる。

コメ栽培を続ける兼業農家は今後も農協を必要とするだろうから、農協の農業関連事業はその部分に収斂していけばよい。

 農業は食料を生産するだけでなく、治水や生物多様性にも貢献しているとの議論がある。実際には、その機能はそれほど大きくないと考えるが、コメを現状維持とするならば、兼業農家と農協はそのような機能を有効に生かせるように工夫すべきであろう。

 以上のようにコメを例外として貿易自由化を進めていけば、定年帰農も歓迎される。それは、過疎化の進行を緩和することにつながろう。定年帰農する人にはコメを作ってもらう。そこからの収入に大きな期待はできないが、年金により生計を立てることができれば、自然とふれあう老後は豊かなものとなろう。そのような農家には、生物多様性など農業の有する他面機能にも貢献してほしいものだ。

 このようにコメを例外として自由化を進めることは、抵抗が少なく、かつ成果の大きな改革になる。

 そもそも、コメや畜産、野菜など多くの部門を持つ農業を一括りにして、最も難易度が高いコメを改革議論の中心に据えたことが、これまでの改革が失敗した原因であった。

強い農業を育てるのは「やる気のあるプロ」!

 本シリーズでは、世界の食料生産の現状と日本農業が政治や土地問題と密接に関連している姿を紹介してきたが、広く世界に目を向けて冷静に現実を分析すれば、解決策は必ず見つかるのである。

 本稿の方向に改革が進めば、農業が貿易自由化を妨げ、経済発展の足かせになっているとの批判もなくなるだろう。また、畜産と野菜栽培を中心に「やる気のあるプロ」が農業を行えば、きっとオランダのように強い農業が育つはずだ。

 膨大な人口を有し、かつ経済成長しているアジアを市場にできる日本農業は、EUを主な市場としているオランダよりも成長の可能性を秘めている。

 日本農業の未来は明るい。

⇒ 「日本農業、再構築への道」のバックナンバー
(1)日本人がこれほど「食料自給率」に怯える理由
(2)心配は無用、食糧危機はやって来ない
(3)食糧危機がまだ心配?4つのリスクは杞憂に過ぎない
(4)日本は農村が動かしている国である
(5)日本の農業改革が進まない本当の理由

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