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国境を意識しない東アジア企業構想のススメ!

2011年1月31日 DIAMOND online 早稲田大学ビジネススクール教授 内田和成

今回から、経営学教室の新しい連載執筆メンバーとなった。初回は、日本企業であることを捨てて、東アジアに生きる企業を目指したらどうかと提案する。というのも、今や日本市場に頼っていたのでは成長は困難であり、生産拠点としての日本もその地位がどんどん失われている。このままでは座して死を待つことになるからである。

 考えてみれば、製品の国境はすでに大昔に消滅している。消費もボーダレスになり、消費者の国境は限りなく低くなっている。日本から海外に出かける日本人は多いし、海外で活躍する日本人もそれなりにいる。一方で、日本へ来る外国人も年々増えているし、日本で働く外国人も多い。要するに人の流動化も進んでいる。それにもかかわらず、あいかわらず日本企業が国籍にこだわっているのは、時代遅れではないかと思う。

 そうかといって、日本の企業にいきなりグローバル企業に変身しろといっても無理がある。そこで私は、国内にも全国区の企業と地域企業があるように、グローバル企業にもグローバルとリージョナルの二つがあってもいいのではないかと考え、そして普通の日本企業が目指すべきは、東アジアに根を張るリージョナル企業の方が良いと提案したい。その根拠を以下に述べる。

根拠1 進む消費者の均質化!

 最近の若い人たちを見ていると、我々の世代と比較して良くも悪くも、日本に対する思い入れが少ない感じがする。

 しかし、これは実は日本の若者だけに共通する話ではなく、アジアの若者すべてに共通することである。自分の子どもの海外の友達、あるいは早稲田の学生・留学生を見ていると、驚くほど嗜好が均質である。とりわけ、若者にとって重要なアイテムであるファッション、音楽、コミック、アニメ、食べ物などにその傾向が著しい。

 日本の若者が好む韓国の音楽(K-POP)は、台湾ベトナムでもはやる。だからといって、それらの国の人々が全て韓国のものにこだわるかと言えば、そんなことはない。彼らにとって良いものは良いし、好きなものは好きなもので、国籍は二の次である。

シンガポールの紀伊國屋書店に行くと、おびただしい数の現地語のコミック(漫画)が所狭しと売られている。日本のCVSの一つであるファミリーマートは国内店舗が約8100店に対して、海外店舗はすでに9100店もある。いかに海外で人気があるかがうかがえる。

 ベトナムでは韓国製品が大変な人気だという。その韓国に行けば、若者は日本文化を好み、日本製品を愛用する。中国でもタイでも同じようなことが起きている。あるいは「カワイイ」が国際語になっている。

 要するに日本、韓国中国台湾シンガポール、タイなどの若者にとって、自分たちが好きな製品やサービスやコンテンツが、どこの国ものであるかは重要ではない。自分が気に入ったものが、たまたま韓国の音楽だったり、日本の服だったり、中国の食べ物だったりするだけなのである。

 日本に年2回は遊びに来る香港の若者がいる。それも行き先が六本木や青山である。そこに行くのでは香港と変わらないではないかと思い、その理由をよくよく聞いていると、時々東京の空気を吸いに来ているのである。日本の地方にいる若者が、東京に遊びに来る感覚と変わらない。

 あるいは、韓国と日本を行き来する人の数は合わせて年間500万人を超える。これは羽田新千歳間で航空機を利用する人数450万人(往復ベース)を超える数であり、韓国は北海道より心理的距離の近い目的地とも言える。彼らに国境はなく、結果として東アジアはシームレスな市場になっていると考えるべきである。

 そうなれば、国籍を気にしている企業は時代遅れになる。今日、原宿で売れた商品を、明日には上海やバンコックで売ることが出来る仕組みを持たないといけないのだ。その逆も真で、ソウルやシンガポールではやっている製品やサービスなどを、明日は日本市場に投入できる体制が必要だ。

根拠2 自意識の強すぎる日本企業!

 日本はこれまでアメリカに次ぐ経済規模を誇り、自国に大規模市場があり、自国に優秀な人材がいた。そのため、グローバル化も輸出という形を取り、日本型のやり方を多少現地化(ローカリゼーション)しながら対応するというのが普通だった。

 しかし、日本はすでに国としてのピークを過ぎて、成熟段階から衰退段階に入っている。代わりに中国やインドのような新興国が急成長し、日本はもはや大国とは言えない。従って、企業もこれまでのような国内市場を背景にした、大企業発想ではなく、小さな国の企業が世界の中でどのように生きていくかを考えるというように、マインドを切り替えていかなければ将来はない。

 どうも日本企業には、自分たちが日本の企業であるという自意識が強すぎるのではないか。そのため、すぐに日本の雇用を守るとか、資本を外資に渡したくないとか、あるいは経営幹部は日本人のほうがやりやすいといった発想になりがちである。結果として、売上の海外比率は高いが、スタイルはまるで日本的という企業ばかりになってしまう。

 ニーズは多様化しているが、それが国別に違うのではなく、趣味やスタイルによって違うという広大な東アジア経済圏が出現しているときに、相変わらず日本で日本人中心の商品開発やマーケティングでは、市場のニーズを捉えきれないのは当たり前である。

 国もこうした問題は意識しているようであるが、経済産業省の調査「アジア消費トレンド研究会」報告書なども、基本的には日本製品が東アジア市場でどのように受け入れられているかという視点でしか捉えていない。結局のところ、日本という主語は外したくないのである。

小国のグローバル企業に学ぶ!

 かといって、日本の全ての企業がコカコーラやIBMのようなアメリカ型大企業と競って、グローバル市場で勝つのは無理があるシナリオだ。アメリカは依然として世界一の経済大国であり、国内市場も十分大きい上に、自分たちのスタイルを世界に押しつけるだけのパワーもある。

それに対して多くの日本企業は経験も少なければ、英語でコミュニケーションできる人材、外国人をマネジメントするノウハウなど、まだまだ何もないに等しい企業ばかりだ。これでは、海外に出て行っても良いカモにされるだけだ。

 それではどうしたらよいのであろう。実はヨーロッパには日本企業のお手本になりそうな企業がいくつかある。たとえばノキアやネスレが代表例である。ノキアをフィンランドの企業、ネスレをスイスの企業と意識している人もほとんどいない。ノキアもネスレもヨーロッパ企業というとらえ方がされることが多いし、あえていえばノキアはノキアであり、ネスレはネスレだ。

 この2社の特徴は母国が小さいことで、フィンランドは人口500万人しかいないし、スイスでも800万人弱である。これではとても母国市場だけでは食べていけない。自ずとグローバル化せざるを得ないわけである。一方で、こんなに人口が少なければ、経営人材を自国人材だけでまかなうのも、とても無理である。結果として両社ともに多国籍の人材を活用している。特にネスレの場合は、幹部クラスでもスイス人の比率はとても低い。

 私は多くの日本企業が目指すべき道は、こうしたヨーロッパの小国企業のグローバリゼーションではないかと考える。

東アジアリージョナル企業という選択!

 そこで私が提唱するのは、企業を日本国内企業、リージョナル企業、グローバル企業の3通りに分けて考えた時に、グローバル競争力のない日本企業であれば、まずは東アジアに軸足を置いた東アジアリージョナル企業を目指すべきであるというものである。

 日本企業でも営業だけでなく、生産拠点まで海外に移している企業は数多く存在するが、単に生産拠点を海外に移しただけでは、東アジアの変化するニーズには対応できない。すでに述べたように地域的には均質でも、ジャンルごとには、特定の国の商品やサービスに依存しない独自のニーズを持つセグメントだからだ。

したがって、東アジアに軸足を置いてこうしたニーズに応えようとすれば、本社は必ずしも日本にある必要はない、CEOが日本人である必要もない。さらに言えば、活動拠点は機能に応じて最適なところにあれば良く、場合によっては開発は韓国、製造は中国、マーケティング機能はシンガポールでも構わない。それで、どこか日本企業なんだという問いかけには、「そういう発想時代が時代遅れ」と答える。

 敢えて言えば、古代ローマ帝国がそれに近かったのではないか。学問や芸術はギリシアに依存し、戦いはガリア(今のフランス)やアフリカの人々を活用し、言葉も自分たちのラテン語以外にギリシア語も多用していた。良いと思うものは、製品であれ、人材であれ、学問・芸術であれ、その国籍を問わなかったのである。

 同じように考えてみると、本社が日本にあり、役員を始めとした経営幹部は大半が日本人であり、組織の作り方や昇進のさせ方が日本流であり、公用語が日本語というのが、これまでの国際化した日本企業と定義すれば、私の提唱する東アジア企業はこのうちの二つ以上が当てはまらない企業としても良いかもしれない。

 消費者がこれだけ均質化して、結果として巨大な東アジア経済圏が出現しているのに、パン東アジア企業と呼べる企業は、実は他国にも存在しない。どの企業も国籍が明瞭である。他国に先駆けて、日本からこうした東アジア企業が生まれることを期待している。

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