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第4回 もう一人のキーマン、谷家衛の思い《前編》

2010年12月13日(月)日経ビジネス 谷家衛、中西未紀 

あすかアセットマネジメント(東京都千代田区)代表である谷家衛は、投資の世界に生きて23年、様々な企業の姿を見てきて「分かったことが一つある」と言う。それは、「どんな事業であっても、誰がやるかに尽きる」ということだ。

 「優れた技術を開発したり、ユニークな特許を持っていたりしても、会社の経営がうまく軌道に乗らないケースは少なくありません。逆に、最初はそれほどいい商品やサービスだと思えなくても、素晴らしい経営陣がいると、いつの間にか成長企業になっている――そんな経験が何度もあります」

 こう語る谷家は東京大学法学部を卒業後、1987年に米投資銀行ソロモン・ブラザーズに入社、1995年にアジアにおける自己勘定投資部門の共同責任者となった。その後、米大手投資顧問のチューダー・インベストメントの日本拠点であるチューダー・キャピタル・ジャパンの創設に名を連ねる。2002年にMBO(マネジメント・バイアウト=経営陣による企業買収)を実施し、あすかアセットマネジメントと社名を変更、現在に至る。

 チューダー・インベストメントにいた頃は、まさにITバブルの真っただ中だった。IT(情報技術)関連を手がけるベンチャー企業が乱立するも、その後、多くがバタバタと倒れていくことになる。そんな中で、生き残った1社に、谷家とは旧知の仲であった松本大が1999年に設立し、2000年に東証マザーズへの上場を果たしたマネックス証券がある。


投資で学んだ「ビジネスモデルよりも大事なもの」

 インターネットの普及で、いろんな素晴らしいビジネスモデルの会社も出てきていた。そんな中で、谷家は松本に賭けた。「親友だから思うのかもしれないが・・・」。そんな前置きをしながら、谷家は言う。「松本は人格的にも能力的にも滅多にいない人材だと思う。もちろん、運はあります。でも、いったい彼が成功しなかったら、誰が成功するんだと心から思いました。一方、ビジネスモデルに賭けたものは、残念ながら、あまりうまく行きませんでした。やっぱり『誰がやるか』が一番大きいのです」。

 最終的には、ビジネスモデルよりも、「人」である。こうした思いを抱く谷家は、今後の世界を鑑みて、ある結論にたどり着く。

 「これから世界の宝となっていくのは、成長の可能性が大きく、ハングリー精神があるアジアの人々だ。ところが、教育の場がない。そのチャンスを提供すれば、きっと世の中を良くしてくれるだろう」

「アジアの人々は今、一番の激動期を生きていると同時に、最も恵まれた環境にいると思います。まさに成長している段階の中国やインドなどでは、松下幸之助さんや本田宗一郎さんのような人材がこれからどんどん出てくる可能性が大いに期待できます。成熟した社会でハングリー精神を見失いがちな日本の子供たちにとっても、そういったアジアの子供たちと共に生活をすることで、自分の置かれている現状についても考えるようになるでしょうし、刺激を受けることで成長の契機となるのではないでしょうか」

アジアの成長に日本がどのように関わっていくべきか。谷家は常々考えてきた。


世界に通用する高校であれば可能性はある!

 「アジアの成長、ひいては日本や世界が発展していくための人材を育てる学校を作りたい」。いつしか谷家は、会社経営で多忙な日々を送りながらも、その思いを強めていった。それが後に、「日本とアジアをはじめとする世界各国の子供が寄宿する全寮制の高校を作る」という現在のプロジェクトにつながっていく。

 ただ、リーダー育成というと、一般的には大学であったり、ビジネススクールであったりをイメージする。「なぜ高校なのか」。こんな疑問に対し、谷家の答えはこうだ。

 「世界にはアメリカのハーバード大学やスタンフォード大学をはじめ、素晴らしい大学がたくさんあります。こうした大学は数兆円を動かせる資金力を持っており、優秀な教授を招聘したり、研究環境を整えたりすることができます。これに対抗して、新しく世界で通用する大学をこれから日本に作ろうと言っても、ほとんど不可能です。でも、高校や中学校であれば世界が認めるような学校を作れる可能性は十分にあります」

 日本以外のアジア諸国でも、いわゆる進学校は続々と登場している。しかし、谷家の目には“ハーバード大学やスタンフォード大学など、名門大学への入学が唯一の目的になってしまっている”ように映る。

 「全員が単一の価値観に沿って競争するのでは、皆がライバルになって学校生活をフルに楽しめないのではないでしょうか。中学校や高校というのは、もっと自分のエッジやパッションを見つけるために費やされるべき時間だと思うのです。様々な分野でとび抜けた才能を持った生徒たちが、異なる価値観や強みを認め合って、その多様性と共に生活するほうが楽しいし、世界にはその強みに応じた各分野での素晴らしい大学があるので、各々が自分に合った目標を定めることができるようになるのが理想的なのでは・・・」

 確かに日本は「欧米に追いつけ、追い越せ」で経済成長を実現したが、行き過ぎた資本主義は格差拡大や環境破壊といった新たな課題をもたらした側面もある。アジア諸国が同じ轍を踏んではならない。

 アジアの中では唯一、成熟を迎えている日本だからこそできる教育があるはず――。結果として高校卒業後は欧米の名門大学へ通うことになったとしても、「日本やアジア的な哲学を持ちながら西洋社会に飛び込んでいく子供たちは、大きなチャンスに恵まれるはずだ」と谷家は言う。

 強い思い入れはあるものの、目指すところは既存の高校を改革する枠にはとどまらないために、ゼロから設計していく必要がある。そうなると、谷家は会社経営もあり、自分自身が全面的に関わるのは時間的に難しい。そこで「理想とする学校のリーダーにふさわしい人材」を探し始める。


リーダーに必要なのは、人を共感させ動かす力!

 谷家には以前に自らのアイデアを素晴らしい人々の力を得て実現したプロジェクトがある。以前に連載でも触れたが、戦後初となる独立系生命保険会社であるライフネット生命保険(東京都千代田区)の立ち上げだ。

 もともと谷家には「証券も銀行もネット化したのだから、必ず生命保険もそうなる」という考えがあった。「当時は『ネットで不動産と保険は買わない』と言われていましたが、私は逆に、『10年後の人がネットで保険を買っていなかったら、そっちのほうが不思議だ』と思ったのです。いつ風が吹くかは分かりませんが、必ずその時代は来るはずだ、と」。

 そして谷家は、「この人であればネット生命保険会社を成功させられる」と確信を持てる1人の若者に巡り会うことができた。後にライフネット生命保険の副社長となる岩瀬大輔だった。岩瀬はハーバード大学経営大学院で日本人として4人目となるBaker Scholar(ベイカー・スカラー、成績優秀者に贈られる賞)を受賞した人物であるが、谷家が岩瀬に注目したのは留学中のことだった。

 きっかけは岩瀬が書くブログだ。そこに描かれていた岩瀬が持つ切り口の良さと同時に、感受性の強さや人を共感させる力に、谷家は惹かれたのだという。

ただ、岩瀬の能力を高く評価したものの、職歴は外資系のコンサルティング会社や投資ファンド運営会社などで、生保の業務は未経験だった。そこで、「実務に通じたパートナーが不可欠」と考えた谷家は、今度は知人の紹介で出口治明(現在はライフネット生命保険社長)に出会う。日本生命という確固たる組織に所属しながらも自分よりずっと前から「オンラインによる生命保険」を構想していたという出口に、谷家は驚いた。まさに最適の人材だった。

 こうして、出口が社長、岩瀬が副社長という形でライフネット生命保険が誕生する。2008年3月のことだった。以降、順調に保有契約件数を増やし、業績を伸ばしている。谷家は言う。「2人が素晴らしいのは、自分たちがあれだけ優秀なのに、自分と同じくらい優秀な人たちを心からリスペクトできるところです。だから、どんどん優秀な人材が集まってくる。ライフネット生命保険の一番の財産は、“人”だと思います。残念なことに、起業家のほとんどは、なかなか優秀な人材を集めることができないんですよね」。

 一方で、学校プロジェクトの構想については、なかなか適任者が見つからず、月日が流れていった。それには谷家が、「新しい学校を作るうえでもっとも重要なのは『創業者の思い』である」という信念のもと、妥協するつもりがなかったということもある。

 谷家自身、日本トップクラスの名門である灘高校を卒業している。この学校の設立に関わったのは、講道館柔道の創始者で教育者としても名高い嘉納治五郎だ。その思いが今でも学校に息づいており、生徒の教育に大きな影響を与えていることを、谷家は体感として分かっていた。

 ただ、“残された”時間がどんどん減っていることも、谷家は強く感じていた。日本は経済的にも政治的にも、国際社会の舞台ではリーダーシップを失いつつあった。「日本が『アジアの憧れ』であるうちに学校を設立しなければならない。シンガポール中国に追い抜かれてからでは間に合わない」。こんなふうに焦り始めていた頃だった。

 学校プロジェクトを大きく動かす、“運命”とも言える出会いを演出したのは岩瀬だった。2008年に、当時はユニセフ(国連児童基金)職員としてフィリピンで働いていた小林を、谷家に紹介したのだ。もちろん、この時、小林は教育に関心は持っていたものの、「学校を作ろう」という考えは全くなかった。

 しかし、谷家には「理想とする学校の代表にぴったりの人物」と思えた。「岩瀬くんにも共通していることですが、小林さんには『人を共感させて動かす力』があります。それは意識の高さから来ています。今、軽井沢インターナショナルスクール設立準備財団にこれほど多くの方に賛同していただき、ボランティアでやってくださる方々によって運営できているのは、小林さんの力があってのことでしょう」。


「満足感の共有」が成功には欠かせない!

 「人」によって始まる学校作りは、ある意味で企業の成り立ちと共通する部分が多い。しかしそこは、似ていて非なるもの。長年投資の世界で企業の成功を数々サポートしてきた谷家だが、「学校を成功させる難しさはそれ以上だ」と感じている。

 ビジネスには、「利益」という分かりやすいゴールがある。それは、売上高の拡大であったり、株式公開であったり。社員にしてみれば、自分が頑張れば給料が増えるという手応えがある。逆に言えば、「利益」は、そのまま求心力になりうる。

 これに対して、教育では、ビジネスでいう「利益」に相当するものは、「やりがい」に行き着く。お金では動かない分、働く各人の思い入れは強く、意見の相違も出てくる。そこをどうやってまとめ上げるか。トップに立つ人材には、類稀なる求心力が必要になってくる。

 谷家は、小林であればその条件を満たしていると感じた。「自分たちにとってもやりがいがあり、世の中の役に立つと思えることをやる。その満足感を一緒に共有できるかどうかが、プロジェクトを成功させるためには重要だ」。

 谷家が小林を説得して一緒に学校プロジェクトを進めていくようになるまでに、さほど時間はかからなかった。そして今、谷家はこれまで培ってきた人脈を小林と共有し、学校の理念や目標などを仲間たちとともに構築し、深めているところである。

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