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なぜ医者は二代、三代続くのか
 
 では、本人にも説明できないような「ひらめき」や「直感力」は遺伝するのだろうか。こうした要素が勝敗に大きく作用するのが囲碁や将棋の世界。日本棋院棋士会長の小川誠子6段(59歳)の話は興味深い。
「囲碁の場合、すでに4~5歳でセンスのあるなしがハッキリ分かります。その年頃の子供は石で囲った地がどちらが多いかなどの計算はできません。なのに、センスのある子はカンでどちらが勝っているか分かってしまう。そういう子供は、いいポイントにポンポン楽しげに打っていたかと思うと、要所要所では打つ手を止めて、ジッと考え込むこともできる。どこが勝敗の大事なポイントなのか、本人が何かを察知するから、考え込むわけです。これは教えたからできるという類のものではありません」
 
 プロ棋士になるには、本人の先天的な能力というものが大きいようだ。さらに小川氏は・棋風・について語った。
 
「こういう能力を持った子供たちがプロを目指して、囲碁の先生の元に集まり、道場で内弟子生活を送りながら、切磋琢磨して囲碁を習っています。興味深いのは全員が同じ指導を受けているのに、・棋風・はみんな違うことです。囲碁は環境によって後天的に打ち方が変わってくるというより、本人が持って生まれた資質や考え方のほうが碁盤に出やすい。
 
最近はプロ棋士同士で結婚される方も多く、生まれたお子さんがまたプロ棋士を目指すケースも増えてきました。棋士の世界では親が子供に直接、教えるということはあまりなく、他の先生に預けて鍛えてもらうのが一般的ですが、親から習ってもいないのに、・棋風・は親子で似てくることが多いんです」
 顔や体格が似るという次元とは異なり、科学的に証明することは難しいだろうが、遺伝の不思議を感じさせる話だ。
 
もう一人、言葉では表現しにくい独特の「感覚」と遺伝との関係を語る人物がいる。心臓外科の世界で天才外科医と呼ばれている南淵明宏医師(52歳、大崎病院東京ハートセンター・センター長)である。外科医には「神の手」と称される名医がいるが、彼らは普通の外科医とどこが違うのか。
 
「私は普通の人より空間認識能力に恵まれているんだと思います。たとえば、『明日は大変な手術がある』という日は、寝床で目を閉じると頭の中に、ごく自然に心臓の3D画像が浮かび上がってくるんです。
 そして、その画像をあらゆる角度から覗きこむように、頭の中で自在に回転させることが、ほとんど無意識にできる。その頭の中の画像で『ここはこうなっているから、こうやって。ここは10針くらい糸をかけて……』といった具合に繰り返し、翌日の手術のシミュレーションをするのです。
 
 こういう感覚は持って生まれた能力で、子供の頃から変わりません。友人の家に遊びに行って、次にまた遊びに行くとき、まったく違う道を通ってもちゃんと目的地に着ける。一緒に行った友人は『どうして、通ったこともない道を知っているんだ?』と不思議がるのですが、私の頭の中には常に東西南北と距離感が入っているので、一度行ったところは迷いようがない。
 
 同様の才能は兄にもあって、子供の頃、兄弟でプラモデルを作るのに2人とも設計図なしで、部品だけを見て、あっという間に組み立てることができました」
 
 南淵氏は自分の親にも同じような空間認識能力があったかどうかは分からないと言う。ただ、性格的には父親と非常に似ている面があり、それが心臓外科医としての仕事に大いに役に立っているそうだ。
「私の父は無茶なところがあって、神戸大学の経営学部を出たのに『みんなが就職するなら、俺は就職しない』と、自分で事業を立ち上げた人でした。そういう自分を修羅場に置いて楽しむような性格は、明らかに私に受け継がれています。心臓の外科手術は、ちょっとした手違いで患者が亡くなるかもしれないという猛烈なプレッシャーの中で行わなくてはならない。私はそういうプレッシャーがかかったほうがやる気が出るタイプ。医者の世界では二代、三代と続く家系が珍しくないし、そういうお医者さんは几帳面で、優等生的な人が多い。私とは正反対なんですね」
 
李忠成の父も元サッカー選手
 
 ここまでは親の持つ「天賦の才」が、子供に遺伝するかという観点で話を聞いてきた。逆に、才能ある子供の親を見て、遺伝による影響を感じるケースもある。サッカーアジア杯決勝のオーストラリア戦、延長後半で劇的な決勝ボレーシュートを決めた日本代表の李忠成(25歳)はその典型だろう。李の父・李鉄泰氏(52歳)も実業団チームの元サッカー選手だった。鉄泰氏が語る。
 
「喜怒哀楽の表し方や、負けず嫌いの性格など、忠成と私が似ている点はいろいろあるんですが、身体能力で言えば、彼は子供の頃から天性と言えるヒザ下の柔らかさを備えていて、そこが私と一番似ていましたね。まだ、幼稚園児のくせに、ボールを止めて蹴るという動作が楽々とできたのも、ヒザ下が柔らかかったからでしょう。ブラジル選手のように、リズミカルでしなやかな忠成のプレースタイルは、実業団選手だった私の目から見ても『この子は、いずれものになりそうだな』と感じさせるところがありました」
 
 ここで少し李親子の話から外れるが、一流のスポーツ選手に在日コリアンが多いことにも触れておこう。もともと、日本民族と朝鮮民族の遺伝子にはほとんど違いがないことが分かっている。つまり、在日コリアン選手の活躍は遺伝よりも環境の要因が強いということだ。鉄泰氏もこう語っている。
「忠成が生まれたのは、私が現役を辞めて5~6年経ったころでした。私は子供にはサッカーをやらせるつもりはなかった。我々の時代はJリーグもなかったし、実業団でも強豪は一流企業ばかり。残念ながら、私ら在日はそんな会社には入れない。今で言う助っ人外国人のような扱いで、外国人や在日選手と契約していたのが読売や全日空がスポンサーをしているチームで、私は全日空が資金援助していた横浜トライスターと小遣い程度のおカネで契約したんです。
 
そんな苦労があったから、息子がプロスポーツの世界に進むなら、野球かゴルフのほうが経済的にも成功できると思ったのです。ところが、今の西東京市というのはサッカーが盛んな土地柄で、幼稚園の頃からサッカーの対抗戦があったりする。それで忠成もどんどんのめり込んでいった。もうしょうがないですよね。我々在日の人間が勝ち残っていくには、並の野心や闘争心ではダメ。忠成に幼稚園から柔道をやらせたのも、闘争心を育てようと考えたからなんです」
 
 プロスポーツの世界は実力がすべて。理不尽な差別への反骨精神があるから、日々の厳しいトレーニングにも耐えられる。在日選手の活躍にはそんな背景がある。
 後の項でも触れるが、運動能力には、体格的な面と体力的な面、さらには球技のセンスなど感覚的な面もある。そして、一流選手の子供たちが活躍するのは、親が小さい頃から指導するという環境も大きい。身長や骨格などは親からの遺伝だということがほぼ明らかになっているが、球技などのセンスの部分は後天的という説が研究者の間では一般的になっている。逆に、走る・跳ぶ・投げるといった基礎的な運動能力は遺伝するという見方が多い。
 
 李忠成などはヒザ下の柔らかさという身体的特徴もさることながら、父から伝わった闘争心で、一流の仲間入りをしたのだろう。
 
 双子はコメントまで似る
 最後に100%同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の話を紹介する。語るのはともに漫画家の兄・かわぐちかいじ氏と弟・川口協治氏(ともに62歳)だ。まずは兄のかいじ氏の話。
「2人で中学の時に、黒澤明の映画『用心棒』を観て、衝撃を受けてね。シナリオが掲載されたキネマ旬報を買って、何度も読みました。2人とも頭の中でストーリーを組み立てるのが得意だったんですが、これはお袋の存在が大きい。お袋が厳しくて、門限を守らずに遊んでいたら、物凄く怒られる。でも、怒られると分かっていても、つい2人で遊んで時間を忘れてしまう。それで、家に帰る道すがら、必死で母親への言い訳になるストーリーを考える。どう言えばリアルになるか設定を話し合ったりしてね。やっぱり、発想も似ているんですよ」
 
 次いで協治氏の話。
 
「子供の頃から2人とも好きなものが似ていました。特に絵は大好きで、近所の子供たちが野球で遊んでいるのに目もくれず、2人して地面にクギを使って絵を描いていた。絵を描く場合でも、戦艦の絵を描くのに普通の子供のように真横から描かず、兄も私も斜めから描いたり、下からあおって描いたりしていた。相談したわけでもないのに、アングルまで似ていましたね。そう言えば、黒澤明の『用心棒』に強いショックを受けて、キネマ旬報に掲載されたシナリオを2人で毎晩のように読んだ時期もありました。兄はその後もシナリオライターの本を読み漁っていたから、それが今の作風にも影響していると思います」
 
 2人はそれぞれ別に取材したのだが、同じ黒澤明のエピソードが出てくるあたりは、さすが一卵性双生児ということだろう。2人からは「母方の祖父は絵がうまかった」という共通のエピソードも語られた。なお、双子でも違うと思うところはどこかという質問に、それぞれこう答えている。
「僕のほうが粘り強いというか、執念深いところがある」(かいじ氏)
「かいじのほうが根気があり、粘り強く続けていくタイプ。これは母親譲り。自分はひらめき型で、父親の性格を受け継いだのでしょう」(協治氏)
 
 もはや、2人の遺伝について言うことはあるまい。
 
 各界の才能の持ち主たちの話を聞いていて分かったことは、突出した存在になるには、どれか一つの才能が秀でているだけではダメだということだ。たとえば、科学的には未解明だが、南淵医師の空間認識能力などは、特殊な能力が兄弟間で共通していることを見ても、遺伝の可能性を感じさせた。それでも南淵医師が持って生まれた才能だけで天才と呼ばれるのではないことは、年間200例以上の手術で技術を磨いてきたことからも明らかだろう。
 
 発明家エジソンは、「天才とは1%の才能と99%の努力である」との言葉を残したが、今回、紹介した人たちもまた、人には言えぬ努力を重ねてきたことは間違いない。
 前出の根岸氏も遺伝や素質だけでは、真の才能は生まれないと言う。
 
「私が今日あるのは、遺伝のおかげだけではありません。多少の素質はあったのかもしれませんが、私は努力できることこそが真の才能だと思います。私の場合は努力することが苦にならず、苦労を楽しむことができた。だからこそ、学問の世界でこれまでやってこられたんだと思うんです」
 いくら親から才能を受け継いでも、開花させることなく、平凡な一生を送る人は少なくない。その才能を磨き続けた人のみが、「天才」と呼ばれる資格を持つのである。
 
双子で開成1位2位を独占
 
 よりその思いを強くしてしまうような話を、現在国家公務員の、東京大学法学部卒の20代開成OBが語ってくれた。彼の双子の兄は、日本一の偏差値を誇る筑波大附属駒場高校('10年度実績で、東大合格者数100名)に通っていたという。
 
「小学校から兄とは得意科目が同じでした。成績もだいたい同じだったので、特別意識していたつもりはないんですが、ちょっとしたライバル関係にはなりましたね。社会と算数が得意だったんですが、あとで聞いたらそれぞれ父と母の得意科目だったそうです。
 両親は2人とも早稲田大卒です。親戚で言えば、母方の叔父は東大卒で、父方の叔父は、開成から東大へ行ったと聞いています。
 だからかもしれませんが、僕は、親戚に会っても、開成や東大だからといって特にチヤホヤされた記憶がありません。東大の友達はみんな、実家に帰ったら英雄扱いだ、と言っているので、ちょっと羨ましいときもあります。
 
 
 遺伝といえば同じ学年に、2人揃って開成という、有名な一卵性双生児がいました。中学1年の時からずっと、学年の成績1位と2位になっていて、終業式にはいつも2人で表彰を受けていました。顔がそっくりで部活も同じで区別できなかったので、2位をとることの多かった兄の方は一部で・デキない方・なんて呼ばれていて、なんだかなあ、と思っていました」
 この他多くの開成の現役生とOBに取材をしたが、兄弟で開成なんてたくさんいる、という話は全員から聞こえてきた。
 
 こうした親子鷹ならぬ兄弟鷹が多いというのは西の雄・灘高でも、同様のようだ。兄と揃って灘高から東大に行った30代サラリーマンはこう言う。
 
「私のように兄弟で灘というケースは少なくないようです。というのも、私が灘を受験するときに、親が兄の担任と話したところ、『お兄さんが灘なら弟さんもまず大丈夫でしょう』と言われたそうですから。
 両親は2人とも高卒です。親と共通しているとすれば、兄も私も数学が得意、というところでしょうか。父は建築関係のサラリーマンですが、一級建築士の資格もわりあいすんなり取れていたようなので、数学は得意でしょう。母は珠算をやっていたこともあって、暗算が早かった」
 結局学力は遺伝なのか。元日本人類遺伝学会理事長で、元東京大学医学部教授の中込弥男氏はその疑問にこう答える。
 
「現在、ヒト遺伝子カタログ(OMIM)というものがネット上で公開されていて、登録されている数は2万327。そのうち知能に関するものだけで、すでに400以上見つかっています。
 ということは、当然、知能にも遺伝の影響はあります。遺伝子は両親から半分ずつ受け取るわけですから、知能のレベルはだいたい父親と母親の平均くらいになります」
 さらに、別の角度から遺伝子を研究する東京大学の石浦章一教授は解説する。
 
「一定のIQ以上の者しか入会できないMENSAという国際交流団体があります。彼ら数千人分のDNAと普通の人のDNAを比較したデータがあるんですが、その間には確かに明らかな配列の違いが発見されました。
 ただその違いが、タンパク質をつくる、つまり人間の身体をつくるとされている、遺伝子にはなかった。遺伝子というのはDNAのうちの数%で、残りの九十数%はジャンクと呼ばれる、まだ機能が特定されていないところです。配列の差が見つかったのはそのジャンク部分でした。
 
 直接知能に影響を与えているかどうかははっきりしないのですが、たしかにDNA上に差は見つかっています」
 だが、灘高校から東京大学医学部に進み、現在は精神科医の和田秀樹氏は異論を唱える。
「学力は遺伝ではなく、実は環境とか、親が勉強のやり方を知っているかどうかで決まると思います。
 僕は席次5番で灘中学に入学しましたが、中1の終わりには、170人中120番台まで落ちてしまいました。入学時に僕より成績が下だった子が上がってきていたんです。そういう子はみんな親が東大や京大出身だったり、医者だったりしました。それで当時僕は、これは遺伝だと思った。
 でも、よく考えてみると簡単な話で、僕の家のような普通のサラリーマン家庭は、子どもが灘に入るとそれだけで浮かれて1年くらい遊んでもいいかな、という雰囲気になってしまうんです。ところが高学歴の親がいる家では、中1からしっかり勉強させる。それが入学後の差につながるわけです」
 
遺伝かカネか
 
 保護者の年収が高いほど子どもの学力が高い、という研究結果がお茶の水女子大学の耳塚寛明副学長によって発表されたのは'09年のこと。学力と経済力の相関は、比較的はっきりしている。
 勉強のデキる子とデキない子を分けているのは、遺伝よりは環境ということか。
 
実際、開成は私立校ということもあり、保護者もそれなりの高給取りであることが多いという。現在開成高校に通う息子を持つ主婦に話を聞いた。
「保護者会や地域の開成会なんかで会う他所のお母さんは特に変わったところはなかったと思います。ただやはり旦那さんが弁護士とか医者のお母さんは多かったですね。特に弁護士は多くて、もしかすると全体の2割近くいたんじゃないでしょうか」
 
灘の校門 毎年合格発表では大変な人だかり
 
 学力は遺伝か環境か、議論は終わりそうにない。
 ただ全体に共通しているのは、「勉強してもデキない子」というのは確かに存在するが、「勉強しなくてもデキる子」はいない、ということだった。当たり前ではあるが、開成の生徒も灘の生徒も、みんなしっかり努力していた。前出の30代灘OBは言う。
 
「やっぱり勉強しないヤツは灘に入れないですよ。だから僕は学力は環境だと思っていました。
 でも、自分に子どもができて思うのは、最初のわずかな差がのちのち大きく広がるのではないか、ということです。最初のスタート位置が人より一歩だけでも前だと、そこから良い循環に入る。
 小さいときに少しだけ周りより読み書きができるとか、足が早いとか、絵がうまいとか、そういう差が自信に繋がり、成長してさらに差が広がっていくのではないでしょうか」
 一人の人間としては小さく見える一歩の差が、人生にとっては大きな一歩になる。そしてそのはじめの一歩は、生まれる前に踏み出されている。
 
 
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