平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点)
平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中!
無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』
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介護保険
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA
キャリアブレイン 【第107回】石田光広さん(東京都稲城市福祉部長)
東京都稲城市が始めた「介護支援ボランティア制度」が全国で広まっている。一時は国の認可を得られず、お蔵入りになりかけた同制度だが、今では政令指定都市の横浜市をはじめ、約30の市町村が導入するに至った。稲城市はなぜ、一地方自治体の提案を全国区に広めることができたのか―。石田光広福祉部長に同制度を創設した経緯を聞くと、地域が国を動かす7つの条件が見えてくる。(島田 昇)
■(1)徹底したデータ分析
―介護保険制度が4月で丸10年を迎えました。一地方自治体としてどう評価しますか。
介護保険制度はよくできたシステムです。保険者(市町村)、ケアマネジャー、サービス提供者らが1つのシステム上で、多角的な視点からデータ分析ができるからです。しかも、要介護度別人数の推移やサービス提供による効果、自治体ごとの特徴など、形式的なデータだけではなく、“中身”がよく見られます。
従って、データを分析すればするほど、地域ごとにさまざまな課題や問題点を見つけることができます。自治体はデータ分析に基づき、それぞれの地域特性に適した有効策を個別に考えることができるのです。介護保険制度は、データに乏しかったこれまでの福祉の在り方を大きく変えたと言ってもいいでしょう。
ただ、国が標準的な施策を定め、それを自治体に要求し過ぎると、それに自治体が縛られ、地域ごとの有効策を打ち出しづらくなってしまいます。
例えば、稲城市は都内で最も高齢化率が低く、これから高齢化を迎えていく自治体です。従って、既に高齢化が進んだ自治体とは違う介護予防などの施策に重点を置く必要があります。一方で、国が全国一律に高齢化率の高い地域向けの施策を義務付けたりすると、地域の実情と合わない施策を実施せざるを得なくなります。
また、自治体が独自の施策を打ち出しても、国の助成が受けられないなどで財政的な裏付けが得られないこともあります。であれば、データ分析の基盤を持ち、地域に最適な施策が分かっていながらも、「国が示す一律の施策をやっていた方が無難」と考える自治体が出てきてもおかしくはありません。
■(2)地域特性に合う施策の立案
―「介護支援ボランティア制度」の概要と、制度ができるまでの経緯を教えてください。
介護支援ボランティア制度は、介護施設などでボランティア活動をする高齢者にポイントを付与し、現金などに換金できる制度です。現在、稲城市の高齢者約400人が参加しており、政令指定都市の横浜市をはじめ、全国で約30の自治体で実施しています。
当初の狙いは、地域活動に積極的に参加する高齢者の介護保険料を安くすることでした。高齢化率の低い稲城市は、介護予防につながる元気な高齢者の地域活動を奨励する仕組みを用意することが、要介護者の増加を抑制し、結果として介護保険の給付費を抑制できると考えたためです。
しかし、2005年に「介護支援ボランティアへの保険料控除制度」として提案した際、国は実施に向けた検討を行ったものの、認めませんでした。次に、「介護支援ボランティア特区」として改めて制度の創設を要望しましたが、やはり保険料軽減は認めないという方針でした。ただ、「保険料そのものの軽減は認めないが、実質的な軽減は認める」という方針が示されました。そこで折り合いをつけ、稲城市では07年9月から試行し、08年4月から本格運用を始めました。
―国は、自治体の都合で保険料自体を上げたり下げたりするのは、日本の社会保障制度の根幹を揺るがすという考えで認めないものの、介護支援ボランティア活動による実質的な軽減は認める方針を示したのですか。
保険料は自治体でコントロールすることができないということは確かなことです。つまり、自治体はいくらデータ分析を重ねて地域の有効策を打ち出そうとしても、それは保険料外で行わねばならず、しかもそれを実現するには、非常に時間がかかるということは分かりました。それでも、介護支援ボランティア制度は全体の保険料抑制効果があることは認めていただけました。
■(3)担当者の粘り強さ
―ただ、実質的な保険料軽減は実現しました。何が成功に結び付いたのですか。
粘り強く、具体的なデータを国に示し続けたからだと考えています。それには、国と自治体の双方にとって有効であることが分かるように明快に説明することと、インターネットを活用して情報公開する戦略が欠かせませんでした。
制度を運用することで、具体的にどれだけの人が参加し、どれだけの保険料が軽減され、介護予防にどれだけの効果があるのかなど、さまざまな視点からシミュレーションし、制度の有効性をアピールしました。実際、介護支援ボランティア制度は、参加者が何人であっても、結果的にはわずかながらも介護予防効果は表われ、保険料の給付費が軽減できる仕組みになっています。制度を実施して損をすることはないのです。
■(4)住民の支持を得る
制度の概要や狙い、国とのやりとりが分かるように、Q&Aや報告書はすべて市のホームページで公開しながら制度創設を進めました。市民の同意が得られないと、どんなにいい仕組みであっても成就しません。市民の間でどういう論点があって、どういう反対があるのかもすべて公開しました。全員が賛成なら自然に機能するわけで、制度にする必要はありません。だから市が制度を必要と考える真意を世に問い、問題点を改め、民意としての提案に国が反論できないまでに深化させるよう、インターネットを活用しながら仕掛けていったわけです。
■(5)長期戦で賛同者を広める
こうした戦略には、見せ方やどう広めるかという視点のほかにも、時間的な視点も重要です。今は関心がなくても、時がたてば介護支援ボランティア制度に興味を持つ自治体も出てくるだろうと考えるためです。インターネットは、今その時にどう評価されるかということだけではなく、時間がたって評価されることも可能にしやすいプラットフォームです。そもそも問題意識の共有には時間がかかりますし、ましてや自治体によって問題意識はさまざまです。ですから、すぐに他の自治体からの賛同は得られないと考え、時間をかけてわれわれの主張を理解してもらうという意味でも、インターネットの活用は重要と考えました。
■(6)地域資源に意味付けをする
―制度設計に大きく影響を与えた視点や考え方はありますか。
新しい制度を創設しようとは思わなかったことです。どういうことかというと、「既にいる地域のボランティア活動をする人たちを介護支援のボランティアとした」ということです。つまり、「このボランティアさんたちに手帳を配り、この人たちをクローズアップして感謝の意を示す」という、既存の地域資源を活用したのです。新たに制度をつくったというわけではなく、今あるものに意味付けをしたことが、われわれが「介護支援ボランティア制度の創設」としてやったことの本質的な取り組みなのです。
ですから、無理なく制度を開始することができたし、参加者もその受け入れ施設も、ある程度の数で開始することができました。結果、開始当初からある程度の規模で進めることができて、この制度に参加したいというボランティアや受け入れ施設も順調に伸びていったのです。これも重要な戦略的視点でした。
■(7)柔軟に考え本質をとらえる
―今後の課題を教えてください。
介護支援ボランティア制度は、地域の資源を掘り起こし、それら今ある資源を“接着”するための制度です。介護保険だけに頼らない、地域で支え合うことが必要とされる中で、時代に見合った制度になったと思っています。この制度は、自治体が介護保険制度で得られるデータ分析に基づき、制度設計に直接関与し、“地域の芽”を発展させることによって誕生しました。こうした地域の芽をこれからも発掘し、接着する仕組みづくりが必要です。国もこうした自治体の取り組みを支援してもらいたい。
介護支援ボランティア制度でいうと、制度実施地域間でのポイントの共有化など、制度のさらなる進化を目指していきたいです。
本来、ボランティアは無償で行うものだから、換金できるポイントを付与するこの制度を、「ボランティア」と呼んで運用することに反対する意見もあります。稲城市の介護支援ボランティア制度は、高齢者の社会参加のきっかけづくりを行ったものにすぎません。わたしたちは「ボランティア」の呼称にこだわらずに、地域での活躍の場の提供を行っており、これが広がりを見せているのだと思っています。
ボランティアは対価を求めない自発的な活動ですが、さまざまな方法論を探して組み合わせ、結果としてボランティア活動によって実現する社会貢献が介護予防につながればいいと思うのです。柔軟な思考で、ボランティア活動の先にある本質的な実利が取れるのであれば、それはそれでよしとする考え方があってもいいのではないでしょうか。正確なデータに基づき、柔軟で地域の実情に見合った自由度の高い制度設計が、今の自治体には求められているように思えてなりません。
( 2010年05月29日 10:00 キャリアブレイン )
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA
キャリアブレイン 【第107回】石田光広さん(東京都稲城市福祉部長)
東京都稲城市が始めた「介護支援ボランティア制度」が全国で広まっている。一時は国の認可を得られず、お蔵入りになりかけた同制度だが、今では政令指定都市の横浜市をはじめ、約30の市町村が導入するに至った。稲城市はなぜ、一地方自治体の提案を全国区に広めることができたのか―。石田光広福祉部長に同制度を創設した経緯を聞くと、地域が国を動かす7つの条件が見えてくる。(島田 昇)
■(1)徹底したデータ分析
―介護保険制度が4月で丸10年を迎えました。一地方自治体としてどう評価しますか。
介護保険制度はよくできたシステムです。保険者(市町村)、ケアマネジャー、サービス提供者らが1つのシステム上で、多角的な視点からデータ分析ができるからです。しかも、要介護度別人数の推移やサービス提供による効果、自治体ごとの特徴など、形式的なデータだけではなく、“中身”がよく見られます。
従って、データを分析すればするほど、地域ごとにさまざまな課題や問題点を見つけることができます。自治体はデータ分析に基づき、それぞれの地域特性に適した有効策を個別に考えることができるのです。介護保険制度は、データに乏しかったこれまでの福祉の在り方を大きく変えたと言ってもいいでしょう。
ただ、国が標準的な施策を定め、それを自治体に要求し過ぎると、それに自治体が縛られ、地域ごとの有効策を打ち出しづらくなってしまいます。
例えば、稲城市は都内で最も高齢化率が低く、これから高齢化を迎えていく自治体です。従って、既に高齢化が進んだ自治体とは違う介護予防などの施策に重点を置く必要があります。一方で、国が全国一律に高齢化率の高い地域向けの施策を義務付けたりすると、地域の実情と合わない施策を実施せざるを得なくなります。
また、自治体が独自の施策を打ち出しても、国の助成が受けられないなどで財政的な裏付けが得られないこともあります。であれば、データ分析の基盤を持ち、地域に最適な施策が分かっていながらも、「国が示す一律の施策をやっていた方が無難」と考える自治体が出てきてもおかしくはありません。
■(2)地域特性に合う施策の立案
―「介護支援ボランティア制度」の概要と、制度ができるまでの経緯を教えてください。
介護支援ボランティア制度は、介護施設などでボランティア活動をする高齢者にポイントを付与し、現金などに換金できる制度です。現在、稲城市の高齢者約400人が参加しており、政令指定都市の横浜市をはじめ、全国で約30の自治体で実施しています。
当初の狙いは、地域活動に積極的に参加する高齢者の介護保険料を安くすることでした。高齢化率の低い稲城市は、介護予防につながる元気な高齢者の地域活動を奨励する仕組みを用意することが、要介護者の増加を抑制し、結果として介護保険の給付費を抑制できると考えたためです。
しかし、2005年に「介護支援ボランティアへの保険料控除制度」として提案した際、国は実施に向けた検討を行ったものの、認めませんでした。次に、「介護支援ボランティア特区」として改めて制度の創設を要望しましたが、やはり保険料軽減は認めないという方針でした。ただ、「保険料そのものの軽減は認めないが、実質的な軽減は認める」という方針が示されました。そこで折り合いをつけ、稲城市では07年9月から試行し、08年4月から本格運用を始めました。
―国は、自治体の都合で保険料自体を上げたり下げたりするのは、日本の社会保障制度の根幹を揺るがすという考えで認めないものの、介護支援ボランティア活動による実質的な軽減は認める方針を示したのですか。
保険料は自治体でコントロールすることができないということは確かなことです。つまり、自治体はいくらデータ分析を重ねて地域の有効策を打ち出そうとしても、それは保険料外で行わねばならず、しかもそれを実現するには、非常に時間がかかるということは分かりました。それでも、介護支援ボランティア制度は全体の保険料抑制効果があることは認めていただけました。
■(3)担当者の粘り強さ
―ただ、実質的な保険料軽減は実現しました。何が成功に結び付いたのですか。
粘り強く、具体的なデータを国に示し続けたからだと考えています。それには、国と自治体の双方にとって有効であることが分かるように明快に説明することと、インターネットを活用して情報公開する戦略が欠かせませんでした。
制度を運用することで、具体的にどれだけの人が参加し、どれだけの保険料が軽減され、介護予防にどれだけの効果があるのかなど、さまざまな視点からシミュレーションし、制度の有効性をアピールしました。実際、介護支援ボランティア制度は、参加者が何人であっても、結果的にはわずかながらも介護予防効果は表われ、保険料の給付費が軽減できる仕組みになっています。制度を実施して損をすることはないのです。
■(4)住民の支持を得る
制度の概要や狙い、国とのやりとりが分かるように、Q&Aや報告書はすべて市のホームページで公開しながら制度創設を進めました。市民の同意が得られないと、どんなにいい仕組みであっても成就しません。市民の間でどういう論点があって、どういう反対があるのかもすべて公開しました。全員が賛成なら自然に機能するわけで、制度にする必要はありません。だから市が制度を必要と考える真意を世に問い、問題点を改め、民意としての提案に国が反論できないまでに深化させるよう、インターネットを活用しながら仕掛けていったわけです。
■(5)長期戦で賛同者を広める
こうした戦略には、見せ方やどう広めるかという視点のほかにも、時間的な視点も重要です。今は関心がなくても、時がたてば介護支援ボランティア制度に興味を持つ自治体も出てくるだろうと考えるためです。インターネットは、今その時にどう評価されるかということだけではなく、時間がたって評価されることも可能にしやすいプラットフォームです。そもそも問題意識の共有には時間がかかりますし、ましてや自治体によって問題意識はさまざまです。ですから、すぐに他の自治体からの賛同は得られないと考え、時間をかけてわれわれの主張を理解してもらうという意味でも、インターネットの活用は重要と考えました。
■(6)地域資源に意味付けをする
―制度設計に大きく影響を与えた視点や考え方はありますか。
新しい制度を創設しようとは思わなかったことです。どういうことかというと、「既にいる地域のボランティア活動をする人たちを介護支援のボランティアとした」ということです。つまり、「このボランティアさんたちに手帳を配り、この人たちをクローズアップして感謝の意を示す」という、既存の地域資源を活用したのです。新たに制度をつくったというわけではなく、今あるものに意味付けをしたことが、われわれが「介護支援ボランティア制度の創設」としてやったことの本質的な取り組みなのです。
ですから、無理なく制度を開始することができたし、参加者もその受け入れ施設も、ある程度の数で開始することができました。結果、開始当初からある程度の規模で進めることができて、この制度に参加したいというボランティアや受け入れ施設も順調に伸びていったのです。これも重要な戦略的視点でした。
■(7)柔軟に考え本質をとらえる
―今後の課題を教えてください。
介護支援ボランティア制度は、地域の資源を掘り起こし、それら今ある資源を“接着”するための制度です。介護保険だけに頼らない、地域で支え合うことが必要とされる中で、時代に見合った制度になったと思っています。この制度は、自治体が介護保険制度で得られるデータ分析に基づき、制度設計に直接関与し、“地域の芽”を発展させることによって誕生しました。こうした地域の芽をこれからも発掘し、接着する仕組みづくりが必要です。国もこうした自治体の取り組みを支援してもらいたい。
介護支援ボランティア制度でいうと、制度実施地域間でのポイントの共有化など、制度のさらなる進化を目指していきたいです。
本来、ボランティアは無償で行うものだから、換金できるポイントを付与するこの制度を、「ボランティア」と呼んで運用することに反対する意見もあります。稲城市の介護支援ボランティア制度は、高齢者の社会参加のきっかけづくりを行ったものにすぎません。わたしたちは「ボランティア」の呼称にこだわらずに、地域での活躍の場の提供を行っており、これが広がりを見せているのだと思っています。
ボランティアは対価を求めない自発的な活動ですが、さまざまな方法論を探して組み合わせ、結果としてボランティア活動によって実現する社会貢献が介護予防につながればいいと思うのです。柔軟な思考で、ボランティア活動の先にある本質的な実利が取れるのであれば、それはそれでよしとする考え方があってもいいのではないでしょうか。正確なデータに基づき、柔軟で地域の実情に見合った自由度の高い制度設計が、今の自治体には求められているように思えてなりません。
( 2010年05月29日 10:00 キャリアブレイン )
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農業
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