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本命デフレ対策への日銀の決意が問われる!
日本銀行
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%8A%80%E8%A1%8C
【第79回】 2010年9月3日 DIAMOND online
8月30日に、政府・日銀が金融緩和政策と経済対策を公表したが、その効果は1日と持たず、円相場は円高に振れた。世界的に見ても、経済成長率は低く、政府は膨大な債務を抱え、政治は混乱している。本来なら、円が売られる要因を抱えていながら出現した「おかしな円高」は、なぜ起こったのか。まずは、今回の円高の要因を整理してみよう。
第1の要因は、アメリカの短期金利の低下が、長期金利の低下にまで波及し、日本の実質金利が高くなってしまったことだ。8月には米FRB(連邦準備制度理事会)が、保有するモーゲージ証券などの償還資金を、米国債の購入に当てる金融緩和政策を維持することを決定し、長期金利の低下が進んだ。
プロの投資家たちは、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利を基準にしてマネーを動かす。ごく大雑把にいえば、日米の名目の短期金利はほぼ0%で同じ。にもかかわらず、米国のインフレ率は2%弱で、日本はマイナス1.5%程度というデフレだから、アメリカの実質金利は0-2でマイナス2%とマイナス金利なのに対して、日本は0-(-1.5)でプラス1.5%と、日本の実質金利がアメリカを大きく上回っていることがわかる。
08年のリーマンショックに端を発した金融危機を防ぐために、米国のFRBは、あの手この手の大幅金融緩和に踏み切った。このところの景気減速懸念を受けて、更なる金融緩和の姿勢も示している。
実際、アメリカを巡るマネーの動きを見てみると、短期の債券については、昨年の4月あたりから売られて,マネーがアメリカから流出している。さらに今年に入ってからは、中長期債に対する買いも細ってきている。
恐るべし!中国政府の巧みな為替オペレーション
特に減少の目立つのが、ユーロとアジア(日本を除く)からのマネーの流れだ。中長期債および株式への投資の動きを見ると、6月ではユーロからの投資額は約100億ドルで、前年同月の532億ドルから5分の1にまで急減している。アジア勢は昨年6月には367億ドルの買い越していたのに、2億ドルの売り越しとなっている。短期債は売り越されてマネーが流出してドル売りの増加となり、中長期債は投資額が減少してドル買いの減少となっているわけだ。
第2が中国の巧妙な為替政策。中国は2006年から2009年まで1000億ドルレベルの米国債を購入していた。それが今年上半期では230億ドルと急速にペースダウン。6月には150億ドルも売り越している。一方、ドルに代わるかのように、今年の上半期で約1兆7300億円も日本国債を購入しているのだ。昨年はわずかながら売り越していたのにである。
これによって、貿易摩擦が問題となっている、米国のドルに対してはやや元高となり、円に対しては円安となって、総合的な元の実効レートを安定させるという構図を作り出している。しかも米国の長期金利の低下局面(国債価格は上昇)をとらえて、米国債を売ってキャピタルゲインを手中しているのだから、お見事というほかない。
第3はユーロが、ドルに代わる受け皿にならない状況が続いていることだ。ユーロの中心国であるドイツなどの経済の実態は、日本に比べて悪くないにもかかわらず、ギリシャ問題や銀行の不良債権問題を抱えているために、ユーロが買われない。むしろ、ドイツなどにとっては、実力以上のユーロ安で輸出が伸び、居心地がよい状態だ。
世界の主要国にとって、現在の為替の動きは望ましい状況にあり、まさに円は孤立無援なのである。
今のアメリカは日本に助けてもらう必要なしでは、過去の円高局面とは、どう違うのだろうか。
1990年代半ばの円高局面の要因は、クリントン政権が冷戦終了後の世界において、世界経済の最大のライバルは日本と位置付けていたことにある。日米の貿易不均衡を是正するための手段の一つとして、為替を用いた。このため、95年4月には1ドル79円75銭という円の最高値をつけたが、ドルは円ばかりでなく他の通貨に対しても弱くなり、ドル全面安という危機的状況をみせる。ここに至って、日米が協調介入に動き、ドル安は是正されることになった。
一つは、日銀が2001年3月から2006年3月まで実施していた量的緩和政策への復帰だ。消費者物価がある目標を上回るまで金融緩和を続けることを約束し、銀行が日銀に預けている当座預金の残高を、法律で決められている以上に積み増すという政策である。マネーを一段とジャブジャブにすることによって、長期金利の引き下げを狙う。この変形だが、インフレターゲティングという政策もある。
もうひとつが長期国債の買い切りオペ(国債購入)の大幅な増額である。メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミストは、30日と同様にもう一回固定金利オペの拡充(1年物の可能性)を実施した後、国債買い切りオペの増額を実施する公算が大きいと見る。その場合、長期国債の保有額を日銀券発行残高以下に抑えるという「日銀券ルール」の見直しや撤廃が焦点になるという。この日銀券ルールには、経済的理論的な根拠は薄い。このルールを改廃して取り組めば、そのインパクトは小さくないだろう。
結局のところ、政府・日銀が今回の円高をどう理解し、経済運営にどのようなポリシーで臨むかが問われているのだ。円高を放置して、この水準では国内でやっていけない産業の消滅を促し、内需型産業主体の産業構造への転換スピードを上げるというのも、一つのポリシーではある。
一方、風邪の患者が肺炎になるのを防いでから、産業構造の転換を進めていくというのも、もう一つの考え方だ、不況の中で産業構造の転換を進めていくことが難しいのは、戦前の金解禁政策の失敗が教えるところでもある。「治療法が正しくても、患者の体力によっては、命を奪うことがある」ことを、政策当局者は肝に銘じておくべきだろう。
代表選にうつつをぬかす民主党、量的緩和の有効性に疑問を持つ日銀。彼らには、日本経済の運営に対するどのような政策理念があるのだろうか。
2000年代初頭の円高圧力に対しては、日本政府は大規模な円売り・ドル買い介入を実施してこれを吸収した。03年半ばから04年はじめにかけて、その額は20兆円を上回った。なぜ、このような大規模介入が許されたかといえば、ここでも日米の利害の一致があったからだ。
アメリカでは2000年のITバブルの崩壊、9・11テロに伴って景気が後退する一方、イラク侵攻などで財政支出が膨らみ、財政赤字が急増していた。赤字を埋めるための国債の増発で、長期金利が上昇し、景気に悪影響を与えかねない状況にあった。これを救ったのが、日本の為替介入だった。日本政府は円売り・ドル買いで手にしたドルで米国債を購入し、結果的に、米国の長期金利の上昇を抑えることに協力する形になった。これによって、2004年からアメリカの景気は力強い回復を見せ、つれて日本の輸出も増えていくことになる。
今回はと言えば、FRBがマネーをジャブジャブに金融市場に供給した結果、長期金利も低下してきている。短期債からは海外に資金が流出するほどのカネ余りである。しかも景気回復のために輸出振興を掲げるアメリカにとっては、秩序あるドル安は望ましい方向で、もはや日本に助けてもらう必要はない。
対策の本丸はやはりデフレ対策 それでは日本に残された道はあるのか。
財務省による円売り・ドル買い介入は、円高阻止の象徴的な意味で許されるとしても、いまの世界情勢を考えると、太規模な介入は許容されないだろう。そうなると効果も弱い。
そもそも今回の円高が、日本の実質金利の高さに起因しているとすれば、これを是正する、あるいは是正に向けた強い意志を示すことが処方箋になる。言い換えれば、期待インフレ率を高めるデフレ対策そのものに他ならない。現在、日本の名目の短期金利はほぼゼロ金利だから、打つ手は限られているように見えるが、そうとばかりは言い切れない。打つ手は「量的緩和政策」である。
一つは、日銀が2001年3月から2006年3月まで実施していた量的緩和政策への復帰だ。消費者物価がある目標を上回るまで金融緩和を続けることを約束し、銀行が日銀に預けている当座預金の残高を、法律で決められている以上に積み増すという政策である。マネーを一段とジャブジャブにすることによって、長期金利の引き下げを狙う。この変形だが、インフレターゲティングという政策もある。
もうひとつが長期国債の買い切りオペ(国債購入)の大幅な増額である。メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミストは、30日と同様にもう一回固定金利オペの拡充(1年物の可能性)を実施した後、国債買い切りオペの増額を実施する公算が大きいと見る。その場合、長期国債の保有額を日銀券発行残高以下に抑えるという「日銀券ルール」の見直しや撤廃が焦点になるという。この日銀券ルールには、経済的理論的な根拠は薄い。このルールを改廃して取り組めば、そのインパクトは小さくないだろう。
結局のところ、政府・日銀が今回の円高をどう理解し、経済運営にどのようなポリシーで臨むかが問われているのだ。円高を放置して、この水準では国内でやっていけない産業の消滅を促し、内需型産業主体の産業構造への転換スピードを上げるというのも、一つのポリシーではある。
一方、風邪の患者が肺炎になるのを防いでから、産業構造の転換を進めていくというのも、もう一つの考え方だ、不況の中で産業構造の転換を進めていくことが難しいのは、戦前の金解禁政策の失敗が教えるところでもある。「治療法が正しくても、患者の体力によっては、命を奪うことがある」ことを、政策当局者は肝に銘じておくべきだろう。
代表選にうつつをぬかす民主党、量的緩和の有効性に疑問を持つ日銀。彼らには、日本経済の運営に対するどのような政策理念があるのだろうか。
(ダイヤモンド・オンライン客員論説委員 原英次郎)
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