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J-CASTニュース 9月3日(金)19時32分配信
2010年夏、恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」(コナミ)の舞台になった静岡県・熱海市にファンが殺到した。ホテル・旅館に宿泊するファンも多く、商店街では、関連グッズが入荷するとすぐに完売するといった状態で、地元では「特需」の効果に驚いている。
コナミは7月10日から8月末にかけて、地元商店街などと協力して熱海で「熱海ラブプラス現象(まつり)キャンペーン」を実施した。
■スタンプラリーに3000人参加
熱海は「ラブプラス+」で女子高生の「彼女」との旅行先に設定されており、ファンにとっては特別な場所。期間中市内29か所にiPhoneで撮影すると、画面に彼女が表示される「ARマーカー」が設置された。これでデート気分を楽しむことができるという趣向だ。
市内6か所には、ゲームに登場する思い出の場所を回るスタンプラリー台を設置した。スタンプシートを配布している熱海駅前の観光案内所「熱海コンシェルジュ」によると、期間中3000人が訪れ、シートを受け取っていったという。
地元商店街では、手ぬぐいなどのオリジナルグッズを販売した。熱海市商店街連盟によると、16店舗がキャンペーンに協力。いずれの店舗でも好調な売れ行きだったという。担当者は、「手ぬぐいは入荷すると直ぐに売り切れてしまいました。オリジナルのかまぼこを販売した店も、大分売れたようです」と話す。
コナミからキャンペーンの話が来た当初は、本当に観光客が来るのか半信半疑だった。商店主は年配者が多く、最初は「ラブプラス」と聞いても「一体なんだろう」という感じだったという。
「こんなに多くの方が来てくれるのなら、もっと多くの店舗が参加すればよかったという思いもあります」
■客の2割近くがラブプラスのファンだった
キャンペーンに協力した熱海市内の焼肉店「秘苑」では、ビビンバをハート型に盛った「ラブンバ」というオリジナルメニューを考案。5000~7000円のラブプラスコースも好評で、7~8月に訪れた客の2割近くがラブプラスのファンだったという。店主の長沢さんは、「これまで年齢が高めのお客さんが多かったのですが、今回のキャンペーンで若い人がたくさん来てくれました。期間中に2回来てくれた人もいます」と明かす。
ラブプラスファンの客は1人ではなく、何人か一緒に来ることが多い。料理を撮影してツイッターやブログに投稿したり、ニンテンドーDSを開いて「彼女」と一緒に食べる人もいたという。
「最初はどんな人が来るんだろうと思っていましたが、皆さん礼儀正しい人ばかり。オタクを見る目も変わりました。これは熱海市全体でそうですよ」
キャンペーン自体は8月で終わってしまったが、「ラブンバ」は引き続き販売する予定だという。
ネット上には、彼女との旅行記が投稿されている。彼女のために布団を2つ敷くサービスを行った老舗旅館、「大野屋」で撮影された写真も多数見られ、「ありがとう熱海! ありがとうリンコ!」などと書き込んでいる。
*ラブプラス+ :熱海で“彼女”と旅行気分 「まつり」式典に市長も、温泉まんじゅうは完売!
2010年07月10日
恋愛ゲーム「ラブプラス+(プラス)」(DS)のイベント「熱海ラブプラス+現象(まつり)式典」が10日、静岡県熱海市の親水公園で開かれた。式典に登場した約200人のゲームファンの前で、斉藤栄熱海市長は「バーチャル(の熱海)を楽しんだら、リアルの熱海も感じてほしい」と宣言していた。
「ラブプラス」シリーズは、キャラクターとのコミュニケーションを重視した恋愛ゲーム。ヒロインと恋人関係になった時点で完結する従来のゲームとは異なり、ヒロインと恋人になってからの甘い時間を楽しめるコンセプトが受け、09年9月に第1弾のソフトが発売されると、インターネットで「彼女自慢」をするユーザーが相次ぎ、ゲームをモチーフにしたクリスマスケーキに列ができて開店前に完売になるなどブームを巻き起こした。今年6月発売の最新作「ラブプラス+」は、熱海を舞台にヒロインとの旅行ができるようになり、尾崎紅葉の小説「金色夜叉」のお宮の松など実在の名所や旅館が登場する。
10日から始まるキャンペーン「熱海ラブプラス+現象」(8月31日まで)では、あいじょう岬や熱海城など市内6カ所を回るスタンプラリーが楽しめる。iPhone用のアプリケーションソフト「ラブプラスi」でAR(拡張現実)のヒロインたちとその場に一緒にいるような写真を撮れるスポットが市内の全29カ所に設けられ、“彼女”と旅行気分が味わえるようになっている。
式典では、ヒロインの等身大看板を持参したり、「俺の人生捧げます」と刺繍(ししゅう)された服を着るファンもいるなどゲームへの愛を表現。生みの親・内田明理プロデューサーが登場すると「お義父(とう)さん」と呼んで、拍手を送った。
市内の土産物店では、ヒロインが描かれた温泉まんじゅうや入浴剤などが販売され、あいじょう岬にある土産物屋の女性店員は「普段ならまんじゅうは1日で3、4個売れる程度。ラブプラスの温泉まんじゅうは80個すべてが売れました」と驚いていた。熱海市観光協会の森田金清会長は「熱海市には年間500万人の観光客が来るが、年配の方や卒業旅行などの客層が多く、ゲームが好きな若者を呼び込んで新たな客層を開拓したい」と話していた。(毎日新聞デジタル)
*この夏、熱海をラブ色に染める「熱海 ラブプラス+現象(まつり)」がいよいよスタート!
http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/1007/12/news084.html
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日経ビジネス 熊野信一郎(香港支局)2010年7月14日(水)
茨城空港に就航予定の中国の格安航空会社、春秋航空。徹底した経費削減と高い集客力で一気に頭角を現した。中国で実現した低コストの経営モデルを日本に持ち込む。
日中間の往復航空券が4000円――。
「“円”ではなく“元”(1元=約13円)の間違いでは?」と思う方もいるだろう。だが紛れもなく「円」である。最近では韓国系LCC(格安航空会社)などの1万円台の国際線航空券も出ているが、さらにケタ違いの価格破壊の波が中国から押し寄せようとしている。
その主役は上海市に本社を構える中国発のLCC、春秋航空だ。同社はこの6月、茨城空港への就航を発表。7月中に上海浦東国際空港との間でチャーター便を飛ばし、日中両方の航空当局の審査などをクリアしたうえで10月までの「上海~茨城間」の定期便開設を目指す。
2005年に営業を始めた春秋航空にとって、茨城線が初の国際便。創業者、王正華董事長は「約半年間の交渉では難局もあったが、安い値段でなるべく多く利用してもらいたいという考え方で、茨城県の橋本(昌)知事と意気投合した。茨城空港を利用する航空会社が少ないのも好都合だった」と話す。
機材は仏エアバス製の「A320」。全席エコノミークラスの180席のうち30席前後を一定期間以上前の予約などを条件に往復4000円程度とする。それ以外にも、例えば8000円、1万6000円、4万円といった具合に数段階の料金を設定する予定だ。
茨城空港は航空自衛隊基地との共用で、フライトが時間変更を余儀なくされる問題を抱える。実際、スカイマークはそれを理由に定期便運休を発表するなど波紋を広げている。春秋航空も初フライトの日程を調整している最中だが、王董事長の「どの航空会社よりも安く」という信念は揺るぎない。
日本ではほとんど知られていない春秋航空だが、中国ではこの数年でLCC最大手としての地位を確固たるものにしている。大手の国営航空会社が市場を独占する中国市場で唯一、民間航空会社を成功に導いた王董事長の経営手法にも注目が集まっている。
設立は2004年。翌年の上海~煙台(山東省)線の開設からわずか5年で、約50路線にまでそのネットワークを拡大した。199元(約2600円)や299元(約3900円)、399元(約5200円)などの割引価格が目玉で、「9並び」の格安チケットは同社の代名詞となっている。
2009年、中国の大手航空会社は燃料代高騰などの影響で軒並み赤字に転落した。そんな中、春秋航空は2009年に前年比27%増の売上高19.9億元(約259億円)、純利益は前年の6倍以上の1.58億元(約21億円)を記録。同じ民間航空会社が経営不振で次々に姿を消す中、低価格路線で旅行ブームの波を捉えることに成功している。
出張にカップ麺持参でコスト削減
一体、なぜここまで安くできるのか。王董事長は「この本社を見てもらえれば分かるでしょう」と話す。上海虹橋国際空港のすぐ目の前、春秋航空の本社が入居するのは、お世辞にも豪華とは言えない古びたビル。中国全土に路線を持つ航空会社の本社とは思えない“地味”なたたずまいだ。
春秋航空が標榜するのは「大衆のための航空会社」。座席はすべてエコノミークラスで、機内食も出なければ機内販売もない。今年1月からは、機内での無料の飲料水の提供を廃止したほどだ。サービスを最低限にとどめる以外にも、あらゆる方法で経費節約に努める。
例えば、経営層から一般社員に至るまで、移動は原則、地下鉄など公共交通機関を使う。中国では企業の管理職は社用車や自家用車での通勤が一般的だが、春秋航空はトップ自らそのルールを実践する。王董事長も海外出張時、中国から3元(約39円)のカップ麺を持参して食費を節約するという徹底ぶりだ。
さらに管理者層の収入を低く抑えているのも特徴だ。張秀智CEO(最高経営責任者)の年収は約20万元(約260万円)。ほかの航空会社トップの7分の1程度だが、代わりに自社株式を与える。「管理コストは4分の1だが、一般社員の待遇や安全などにかけるコストは決して削らない」(王董事長)方針だ。
もちろん“ケチケチ”だけではない。独自のビジネスモデルが他社を大きく引き離す低価格を可能にしている。
まずチケットの販売方法。実は中国では、「春秋」ブランドは旅行会社としても広く認知されている。もともと上海市の役人だった王董事長は、雇用拡大を目的として1981年に「上海春秋国際旅行社」を設立。独自のパッケージツアーが成功し、今では中国最大規模の取扱高と拠点数を誇る。
そのネットワークが大きな武器となっている。中国の航空業界ではチケットの予約や発券を、中国民航信息網絡(トラベルスカイ・テクノロジー)という旅客処理システム会社が独占する。航空会社はこの会社に手数料を支払うことになるが、春秋航空はチケット販売を自前の代理店網とネットに特化。この結果、春秋航空の営業コストは国内航空会社平均の3分の1程度に抑えられるという。
低価格が客を呼び、それがさらに低価格を可能にする。春秋航空の全線の平均搭乗率は95%にも及び、ほかの航空会社の75%程度を大きく引き離す。156席が標準のA320を改造して180席に増やしているので、同じ機材であれば1便当たりの客数が他社より45%も多いことになる。これによって客単価を引き下げることが可能になる。
北九州、新潟など他空港とも交渉
現在、春秋航空の利用客の約8割を個人客が占める。当初はこのグループの旅行会社によるツアー客の動員に依存していたが、ツアー利用者に今度は個人客として旅行や出張に再利用してもらうのがパターンだ。
茨城線も当面は日中双方のツアー需要が中心となる見込み。そのうち約4割は、日本から中国への観光客を見込む。日本の利用者に対しても、まずはツアーで利用してもらって認知度を高め、徐々に出張ビジネスパーソンも含めた個人の割合を高めたい考えだ。王董事長は「LCCの台頭によって、消費者がパソコンの前で少しでも安いチケットを確保しようとするのが普通になった。日本でも同様に低価格チケットのブームが起こるはず」と断言する。
3年前から海外進出を計画してきた春秋航空にとって、日本は最大のターゲット。同社が保有するA320が飛行可能な「5時間圏内」に入る候補地は茨城以外にも数多くある。この7月から実施された日本への観光ビザの取得条件緩和がもたらすであろう日本への旅行ブームも大きな追い風になる。
一方の日本の地方都市にとっても、ケタ外れの観光需要をもたらす中国路線は喉から手が出るほど欲しいところ。既に春秋航空は、北九州空港や新潟空港など複数の地方空港との間で就航に向けた交渉を始めているという。中国で快進撃を続ける春秋航空が、巨額の赤字と利用低迷に苦しむ地方空港の救世主となる可能性もある。
日経ビジネス 2010年7月12日号12ページより
筆者が最初にこの食堂に興味を持ったのは、昨年夏にこのレストランを運営しているブリリアントアソシエイツ(鳥取市)の福嶋登美子社長の記事を日本経済新聞で見つけたことに端を発している。その記事には、「自身のそれまでに製造業で培ってきた視点から見るとサービス業にはまだまだ多くの改善の余地があり、それに積極的に取り組むことで増収増益を続けているだけでなく、雇用も維持している」ことが紹介されていた(日本経済新聞の2009年8月5日の記事)。
この製造業の視点からサービス産業の現場改善を行うことの是非には多くの議論があり、むしろサービス産業の中ではそれに否定的なのが主流であることを本コラムの第2回(「顧客満足と業務効率化、二兎追うものは二兎を得る!」)で指摘した。
「テーブルは片づけるな、顧客は誘導するな」の謎
そこで、この賀露幸の実際の現場で何が行われ、どのような成果を挙げているのかを肌で知るために、実際に自ら現場を訪れたが、そこで得られている成果の大きさに驚いた。
賀露幸を運営するブリリアントアソシエイツの本業は地元のホテル内でのビューティサロンの運営で、地元の典型的なサービス企業である。しかし、ブリリアントアソシエイツにとって異色なのが、元々は建築用資材を製造する金物・板金工を請け負う日本ランドメタル(鳥取市)がルーツであったということである。大きな時代の流れの中で建設需要が低下し、それを補うために日本ランドメタルが最初に行ったのが装飾用の金属ディスプレイ工芸の加工へという展開であった。そして、そこからさらにサービスへ業種を移し、ブリリアントアソシエイツを2004年6月に設立したのである。
ブリリアントアソシエイツが最初に取り組んだ事業が、鳥取県内にあるホテルで女性向けにエステなどのビューティサービスを提供することであった。しかし転機が訪れたのが、地元の特産品を販売するアンテナショップを東京都内で企画することに奔走した時である。この時に、縁で賀露港にあったこのレストラン「賀路幸」の運営を引き継ぐことになった。
当たり前のことであるが、運営を引き継いだ2006年4月当時、レストラン運営のノウハウを持っているはずもなく、結果的に店舗の改修を新たに雇った調理師に依頼した。そして、現場の調理作業やホールオペレーションも現場に任せ切りで、実質的に事業運営を引き継ぐだけの状態であったのである。
とは言っても、開店当初の営業は順調で、休みの日ともなれば店の前に行列ができ、待たねば食べられない状況にあった。特に5月の連休中は多くの人が訪れ、経営を引き継いだ初年度の5月の連休はわずか1日間だけで300人もの人が来店した。このように見ると、レストランという新たな事業領域に進出したことは経営者として大成功のように見えた。
ところが、300人の来店客があった5月の連休のある日、現場を訪ねた福嶋社長は驚くような光景を目にした。店前に行列がある一方で、ホール内の空いているテーブルが片づけられていないうえに、顧客の誘導さえもなされていなかったのである。このため、多くの人が行列を見て立ち去ってしまう。いわば、機会損失を招いていた。
福嶋は社長として現場のスタッフにテーブルの片づけと顧客の誘導を指示したところ、驚くべき回答が戻ってきた。それは「テーブルを片づけると、調理長が怒る」とのことであった。
町工場の視点で作業改善へ
最初、何が現場で行われていたか理解できなかった福嶋社長だが、状況を冷静に観察することで、何が現場で行われているかが次第に判明していった。
テーブルの片づけが行われていなかったのは、実は非常に単純な理由だった。調理作業が間に合っていなかったのである。つまり、もし顧客が食べ終えたテーブルを片づければ、待っている顧客を案内する必要があり、顧客をテーブルに通せば注文を取らなければならない。さらにもし注文を取れば料理を出す必要がある。この当たり前のことが、あまりの忙しさで当時の賀露幸の現場ではできていなかったのである。
このことに気づいた福嶋社長は厨房に飛び込み、何が問題なのか、分析を開始した。すると、厨房のレイアウトが複雑で、作業動線が入り組んでいた作りになっていることが分かった。複雑なレイアウトのため、現場の整理整頓がしっかりとできておらず、調理道具や備品などの物がホールの中まであふれ出してしまい、本来はテーブルが置かれるべきところも倉庫として使われるような事態まで生じていた。このため、作業動線がますます複雑になっていく。こうした結果として、調理などに多くの不必要な時間を要してしまっていたのである。このようなことが開店当時の厨房やホールの現場で行われていたのである。
この問題を認識したことで、まず日本ランドメタルの工場で働く技術者が厨房に入り、工場の生産現場で当たり前のように行われている作業しやすいレイアウトへの変更や整理整頓を進めた。複雑に入り組んでいた作業動線が簡素化され、厨房では食器の下膳と洗浄、さらに料理の調理や盛り付け、配膳などを連続的にできるようにした。作業台や棚も作業に沿って配置するようにした。これにより調理作業が効率化し、整理整頓を進めることができるようになった。
かつてホールまであふれていた品々を厨房の中に戻すことができ、ホールでの顧客の誘導もスムーズにできるようになっていった。このようなレイアウトの変更を2008年10月と2009年4月の2回行った。このような町工場で行われているような作業改善の活動の結果で、スタッフが効率的に働きやすい環境ができただけでなく、倉庫になっていた店舗ホールも開放して、席数を倍増させることができた。
集客数は4年間で4倍超になった
このように製造業の視点でレストランの厨房やホールの改善活動を積み重ね、調理の作業効率の向上とホールでの座席を確保できるようになったことで、そもそも行列ができていたレストランで、さらに集客できるようになった。この結果、5月の連休の1日当たり最大客数が、2006年の開店当初の300人から、2008年が818人、2009年は1072人まで増やすことができ、さらに今年の2010年は1300人までその数字が伸びたのである。
多くの場合、行列ができたことだけで、サービス業の経営者は事業の成功を感じてしまうところ、賀露幸では現場の改善活動を地道に進め、店舗面積を増やすことなく、また投資もほとんど行うことなく、来店客数を当初から4倍以上に増やすことに成功したのである。
このように金属加工を行う会社が、普通であればやらないサービス業へ進出し、そこから製造業の視点で大胆に作業工程を大胆に組み替え、大きな成果を挙げているのである。
このように作業改善を進めたことで、賀露幸ではさらなる集客という大きな成果を得たが、この成果は整理整頓やレイアウトの変更だけによるものではない。様々な要因がお互いにエコーしあい、結果として達成できたのである。
次回は、大きな効果を生んだ従業員の離職率の低下と多能工化の実現を支える仕組みを明らかにする。そして、これまでの築き上げたノウハウから、そもそも今のレストランで何人まで最大集客できるのか、そして今後の事業展開とその課題について紹介していきたい。
星野リゾート
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ビジット・ジャパン・キャンペーン
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識者が語る 日本のアジェンダ DIAMOND online 【第9回】 2010年7月30日
休日の分散化、格安航空会社(LCC)の導入促進、赤字公営リゾート施設の淘汰で日本の観光産業は劇的に変わる!
政府は新成長戦略の目玉の一つとして、観光立国の推進を掲げている。10年後の2020年初めには、訪日外国人を2500万人、将来的には3000万人にすることを目指している。観光産業が、日本の主要産業となるためには、個々の企業、政府は何をしなければならないのか。総合リゾート事業を展開し、数々のホテル・旅館の再建に手腕を発揮する星野リゾートの星野佳路社長に、観光立国実現の道を聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 麻生祐司、客員論説委員 原英次郎)
予想以上に大きい観光産業今後の成長も期待できる!
―素朴な疑問ですが、日本の観光産業は、自動車やエレクトロニクスなどと並ぶ、主要産業になれますか?
はできると思っています。理由はいくつかありますが、第1には産業規模がそもそも大きいということです。日本の観光産業に対する需要は、直接的な需要だけで約23兆円。自動車産業(約49兆円)の半分近くある。
にもかかわらず、なぜ主要産業になっていないのか。問題は収益力にあります。生産性が低くて、23兆円もある需要から利益を引き出す力がないのです。
日本の製造業の生産性は世界でもトップクラスですが、サービス業全体では、米国を100とした指数で測ると60程度と、米国に比べて40%も低いと言われています。これは2004年の調査ですが、その中で観光産業は60どころか25しかありません。ただ、われわれも同じ日本人なのですから、製造業並みの生産性、収益力をつけることは可能なはずです。そうすれば、すでに23兆円もある産業だから、特に地方の経済に貢献できる産業になれるのではないでしょうか。
もうひとつの理由は、観光産業は実は景気の変動に対して、強いということです。
私は、バブル崩壊も今回のリーマンショックも経験しました。製造業は2~3割も需要が落ちましたが、それに対して観光産業はほとんど需要が落ちていません。産業の規模が大きくて、安定しているのです。
加えて、インバウンド(海外から日本を訪れる)旅行客が約800万人います。23兆円のうち1.5兆円がこのインバウンドによるものです。とはいえ、1.5兆円というのは、世界の中では28位にすぎない。フランスが年間8000万人の海外旅行客を呼んでいるのに対して、日本は800万人しかいないのです。
今、日本は国の政策として、インバウンドの旅行客を3000万人にしようとしています。訪問客は約3倍以上に、金額的には1.5兆円を5~6兆円にしようとしている。23兆円が、ひょっとすると10年後には28~29兆円になるかもしれない。つまり、今の日本でこれだけ需要が大きくて、かつこれだけ成長する可能性がある産業というのは、他にないはずだというのが、第2の視点です。
―現在の800万人を3000万人にするというのは、非常に高い目標ですね。実現可能なのでしょうか。
フランスのようにトップの国がさらに伸びようとしているわけではありません。日本がなぜ28位なのか分からないと言われているわけで、実現することはできるだろうと、私は思っています。
一つには、仮に日本が努力をしなかったとしても、実際に訪問客が増えるという現象があります。それはなぜかというと、世界中で、海外旅行をする人が増えている。2010年には(年間)10億人が海外旅行すると言われており、さらに今後10年のうちにその数が16億人に拡大するという予測があります。いままでは、海外旅行客の大半はG8の先進諸国の人びとでしたが、これからはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を含む新興国が加わって、海外旅行人口が増えます。
なにより日本にとって有利なことは、新興国の中心に中国やインドがいることです。10年後には、海外旅行者に占めるアジアのシェアは25%になるとの予測もある。日本の地理的環境から考えると、日本が頑張らなかったとしても、800万人が少なくとも倍程度にはなる可能性がある。だから、努力すれば3倍になる。私たちが今やるべきことは、収益力の強化に尽きます。そうすることによって、観光産業が日本の主要産業の一つになると、確信しています。
日本の製造業にこそ観光産業革新のヒントあり!
―国際的に見て、観光産業の競争力を決めるものは何ですか。
日本には、文化、日本食、北海道から沖縄にいたる多様な自然など、観光資源は圧倒的にあると思います。京都だけでも17か所もの世界遺産があるわけで、これはすごい資源です。
また、日本は実は(海外からの)アクセスがいい。成田空港や羽田空港などに世界中から航空便が飛んできている。ですから、観光資源という意味では恵まれている。何が問題かというと、やはり収益を上げる力です。収益が上がってこないと、結局、お金が設備投資に回らない。
たまに投資しても赤字だと続かない。ですから、設備を常に世界のレベルにアップデイトしておくためにも、収益力というのが、私はやはり一番大事だと思います。
―収益力をいかにして上げればいいのでしょうか?
収益力は生産性で決まります。その点で言えば、日本の強みは製造業にあると思っています。日本の観光産業やホテル業は、外資系のホテル会社に学ぼうとし過ぎています。彼らは全世界最適を考えたマニュアルや運用システムを持っていますが、それをそのまま真似しても、日本で労働生産性が上がるとは限りません。たとえば、米国は現実としてミニマムウェイジ(最低賃金)で働く人が多い。一方、日本は時給単価という点では、マネジャーも清掃スタッフも、ほとんど変わらないのです。
こういう労働環境にある国で、労働生産性を上げる最適な仕組みとは、実は外国の(ホテル)運営会社ではなくて、日本の製造業にある。ですから、トヨタに、日産にわれわれは学ばなくてはいけないと、私は言い続けているのです。そこに日本の強みがあるからです。彼らのクオリティコントロールや、ラインで手待ち時間を減らして生産性を上げていく技術を、今こそサービス産業・観光産業に、いかにノウハウとして取り込んでいくかが大事です。そういうノウハウが国内にあることが強みだと思います。
休日の分散化・平準化が観光産業の生産性を上げる!
―個々の企業の努力のほかに、観光産業の育成に対して、何を政府に望みますか。
私が成長戦略会議の中で提言してきた内容というのは、国全体で対応すべきテーマです。
日本のサービス産業におけるボトルネックの一つは、需要の集中にあります。製造業ではそれが起こらない。自動車産業なら、毎月ほぼ同じ台数が売れていく。だから、毎日、ほぼ同じ台数の車を作っている。ところが、私たち観光産業は、需要が100日に集中しています。土日とゴールデンウィークと年末・年始です。それ以外の265日は閑散としています。日本の製造業に、100日は製造していいが、残りの265日は製造してはいけないというと、さすがに生産性も下がるでしょう。
観光産業では、そういう状態が日本全国で起こっている。だから、休みを平準化するというのは、日本のサービス産業・観光産業の生産性を格段に上げる手段として、非常に有効なのです。国の施策としては、休日の平準化が、生産性の向上に一番効くと思います。
生産性が上がると、いいサービスやいい施設を海外の人にも、提供できるようになるので、もっとインバウンドも増えていく。ですから、現状の23兆円から利益を出さずして、インバウンドを劇的に増やすことは、私はできないと思いますね。
―製造業などからは、各地域で休みがずれると、生産計画を立てるのが大変だという声が、上がっていますが。
よく考えてみて欲しい。なぜこれをやるかといえば、国の財政に頼らず、日本の旅行文化を、大きく変えていくことによって、今まで家族旅行をしていなかった人たちに、どんどん旅行をしてもらうという内需拡大策です。
たとえば、ゴールデンウィークに旅行するのは大変なことですよね。飛行機代は高く、宿代も高くて、なおかつ一杯。ですから、旅行に出かけても1泊とか、結局、旅行をやめるケースが増えてしまう。
ところが、休日を平準化すると、今週は九州だけがゴールデンウィークという状況が出てくる。そうすると日本全国の有名観光地が、九州の人に来てもらうためにはどうするかを、考え始める。九州の人には飛行機代を安くするとか、九州の人に向けたパッケージツアーをつくるとか。ですから九州のゴールデンウィーク前には、各エージェントの店頭に、日本全国の有名観光地による九州の人に向けた商品が並ぶ。このように休日を平準化すれば、日本の観光文化の大変革が起こると思っています。
一部製造業の人たちが生産を考えると困ると言っているけれども、いまでも海外からも部品が来ており、海外とは休みが同じではないにもかかわらず、うまくやっている。そもそも国内で休みを分散化しても、うまくやる方法があるのではないでしょうか。
もう一つ、家族旅行が増えると、製造業にとっても需要が増える。たとえば、運動会の前になると、ビデオカメラやデジタルカメラが売れたりしますね。これと同じように、家族旅行が増えると、ビデオカメラやデジタルカメラの需要が増えると考えられる。それからレンタカーの利用も増えるし、走行距離が伸びるので、ガソリンの消費も増える。日本は今、需要の減少に困っているわけで、需要の拡大につながることは、「みんなで努力して、何とかやってみようよ」というのが、私の主張です。
連泊の顧客を増やすには泊と食を分離することが大事!
―生産性を上げるほかに、ホテルや旅館のサービスというソフト面では、どのような改革が考えられますか。
具体例を挙げれば、「泊食分離」です。現在は泊まりと食事がセットになっているケースが多く、1泊2食という形の料金体系が一般的です。2泊も3泊もして、同じ場所で食事をするという人はあまりいないわけですから、食事の料金と宿泊の料金を分離することが大事だと思っています。
旅館においても、泊まるだけの料金もあれば、朝食だけの料金も、1泊2食の料金もあるというようにしたほうがよい。「星のや 軽井沢」は、泊まっている人の半分しか、館内で食事をしていません。その代わり連泊がほとんどです。2泊、3泊していただくためには、「泊」と「食」を分けていくということが大事です。
―泊まりだけ、あるいは朝食だけと、提供するサービスのオプションを多くすると、生産性は落ちませんか?
内情をお話しすると、宿泊事業とレストラン事業のどちらの収益性が高いかというと、宿泊事業のほうが高い。お客様にとっては、選択の幅が広がる。一方、集客にお金がかかるので、平均1泊だったものを、平均1.3泊~1.4泊にするだけで、劇的に収益性が上がっていく。
宿泊を増やすためには、毎晩同じところで、同じものを食べることを、お客様に強制してはダメです。「泊」と「食」を分離して、「食」を自由にするからこそ、何泊もしていただける可能性がでてくる。したがって、「泊食分離」というのは、ソフト面の変革では、最も重要かもしれません。
中国だけに焦点を当てた発想は危険!
―経済成長を続ける中国の人にもっとたくさん来日してもらおうと、政府はビザの要件を緩和するなど、中国に焦点を当てた政策を進めています。
その点について、主張しているのは、中国の市場は大きいですし、これからも、日本に来る人の数は増えていくけれども、だからといって日本は、中国だけをターゲットにしていてはいけないということです。
中国やインドも含めて、最終的に彼らが安定して行き続ける場所というのは、世界の人から支持されている場所。情報が欧州や米国の旅行雑誌から発信されていますから、欧米系から受けない観光地は最終的には中国、インドでも受けない。
これはすごく大事なポイントです。これからの時代は中国だから、中国人にたくさん来てもらおうという発想がすごく危険で、それよりもどうやったら全世界から支持される観光地や観光施設になれるだろうかという発想をしなくてはいけない。
そのためには何をすべきかというと、私は二つくらいあると思っています。まず基本的には、きちんと収益を上げて、設備とサービスのレベルで、世界的に見て最低限のものを揃えるということ。それが今、私たちはできていない。
設備とサービスは、やはり車の両輪なワケです。その設備・サービスで世界のトップレベルに追いついていくことをビジョンにする。それを実現するための資金調達は、やはり収益です。私が収益、収益といっているのは、収益から設備、サービスにお金が回ってきて、結果的にレベルが高くならないと、世界の人に注目してもらえない、世界の人に満足してもらえない、世界から支持されないものは中国だってインドだって支持してくれない――こういう構造だと思っているからです。
国内の23兆円でもっと利益が出れば、資金調達ができて、設備・サービスにお金がかけられる。そこに休日の平準化などが効いてくると、稼働率も平準化してくる。そうなると、社員をもっと雇えるようになるので、サービスのレベルも上がる。そうなって、世界の一流リゾートのレベルに追いつくと、注目してもらえる、だから情報発信されて、結果的に中国から訪日する人が増え、そのシェアが上がるかもしれない。逆に目先のことだけを追いかけると、結局、質の劣化を招くと思います。
―地方も経済活性化のために、観光産業に注目しています。政府や自治体に実行して欲しいことは何かありますか?
二つあります。一つは国内LCC(格安航空会社)の導入です。これは“圧倒的”に必要です。日本に800万人の観光客が来るが、その60%が東京観光です。これからは、いかに東京からインバウンドの観光客を地方に流すかを考えないと、3000万人は達成できない。かつ、日本の経済への波及効果を考えると、地方が動かないと話にならない。
今はなんと言っても、成田空港に着いてから、地方に行くには、大変な苦労がいる。かつ運賃が高い。中国や韓国から1万円で東京に来て、3万円払わないと札幌に行けないというのでは、地方には人が流れません。
もう一つ、地方の観光産業がなぜ疲弊しているかといえば、原因の一つは実は公的な施設が多すぎるためです。市町村が経営している温泉施設や、第3セクターが経営しているスキー場などのことです。採算を度外視した、公的部門と戦うというのは、すごく大変なことです。
では、そういう公的施設が利益を出して、地元に還元しているかというと、その多くは赤字であり、税金をつぎ込んでいる。税金をつぎ込んで、一方では、民間を圧迫して、そちらから上がるはずの税収を落としている。
したがって、健全な競争を促して欲しい。健全な競争とは、赤字のところがやはり淘汰されるという意味です。淘汰されないのは、公的な施設の特徴で、これを早くやめないといけない。観光産業が日本の経済に貢献する主要産業になろうとしているのに、福祉的な発想で、温泉施設などにどんどん税金をつぎ込まないでくださいということです。
最後に、政府や自治体にお願いしたいことを、まとめます。基本的にできることは三つです。
一つは休みを平準化して、国内の「埋蔵内需」をばっと顕在化させて、観光産業の生産性を上げる。
二つ目は飛行機による移動は、あまりに運賃が高かったので、東京周辺の観光地がひどく有利になっているという状況を解消する。
三つ目は公的な役割と民間の役割を明確にして、公が民業を圧迫するようなことは、日本中でやめる。
この三つをやっただけでも、日本の観光産業はガラッと変わると思う。それにこの三つの政策には、ほとんど財政資金は必要ない。むしろ税金の節約にもなります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A5%E7%A7%8B%E8%88%AA%E7%A9%BA
百里飛行場(茨城空港)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E9%87%8C%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E5%A0%B4
◇初就航で歓迎式典
茨城-上海を定期的に結ぶ中国・上海の格安航空会社(LCC)「春秋航空」のプログラムチャーター便が28日、茨城空港(小美玉市)に初めて就航した。県はチャーター便運航で実績を積み、秋以降の定期便化を狙うが、初日は出発が1時間以上遅れるトラブルに見舞われた。また、1番機で来県した同航空の王正華会長は会見で、合意していた週3回(月・水・土曜)の往復のうち1回は成田空港を利用する修正計画を表明。航空自衛隊百里基地との共用空港に中国民間航空機が週3回利用することに国から「待った」がかかった格好だ。上海便就航を海外LCC活用の突破口にしたいという県のもくろみはまたもや出鼻をくじかれ、改めて軍民共用空港のハードルが浮き彫りになった。【大久保陽一】
上海からの到着便は定刻より10分早い午後0時45分に到着。同航空の王正華会長が到着ロビーに真っ先に姿を見せ、出迎えた橋本昌知事や県幹部らと熱い握手を交わした。その後、空港内で開かれた歓迎セレモニーで王会長は「これからはLCCの時代になる」と力説。県民の7割は海外旅行未経験とされる説を持ち出し「我々が県民を海外に行かせる。その代わり中国人を日本に行かせてほしい」などと訴えた。
出発便は、搭乗予定リストに掲載された乗客数と実際の乗客の人数が合わないトラブルが起き、定刻の約1時間20分遅れの午後3時15分離陸。今回のトラブルは代理店が、出発直前まで航空券を販売したことによって起きたミスとみられる。中国国内では、春秋航空は大幅な遅延が数多く発生しているという指摘もある。今回の遅れについて王会長は「中国の航空会社全体から見れば、平均的な時間の遅れだ」と述べた。
県などによると、到着便の搭乗率は85%で中国人の団体ツアー客が多数を占めた。いずれもバスで東京や愛知、大阪などを5泊6日で回り、再び茨城空港から中国に帰国するという。到着ロビーには、「熱烈歓迎」などと書かれた垂れ幕が掲げられ、県立大洗高のマーチングバンドが記念演奏で出迎える中、中国人観光客らが続々と姿を現した。
上海で日本語を勉強しているという李玉〓さん(24)は「とても楽しみにしていた。訪日ビザが取得しやすくなってすごく便利。日本での買い物が楽しみだ」と喜んでいた。中国人のツアー客には、県内の名所や大型電機店の地図が書かれたパンフレットが県の職員から手渡された。
一方、上海に向かう出発便の搭乗率は80%。国内の旅行代理店などで航空券が販売されたことから、日本人観光客の姿が目立った。運賃の最安値は往復3万3000円だったという。家族と上海旅行に向かうという東京都板橋区の会社員、渡辺和彦さん(55)は「新幹線で国内を移動するよりも安いし、空港には駐車場も完備され、便利だ」と話した。
◇基地共用で国難色か
同航空のプログラムチャーターは、6月の県と同航空が結んだ覚書で「週3回」で合意された。しかし、この日の会見で王会長は、1回は成田に国の要請で振り分けられる状況を説明し、「本来は、茨城か成田かのいずれかに拠点を集中させたい」と不満を口にした。県関係者によると、国交省、防衛省とも百里基地との共用空港である茨城空港への週3回の乗り入れに難色を示したという。
県空港対策課によると、8月2、23、30日の月曜便は成田空港に乗り入れる。県の担当者は「今、国ともめて定期化の許可が出なければどうしようもない」と静かにする構えだが、ある県幹部は「(成田乗り入れに至った経緯について)国土交通、防衛両省には説明責任がある」と国の対応には批判的な声も出ている。
県は今後、茨城空港への週3便完全乗り入れに向け、国との協議を続ける方針。プログラムチャーターの許可は1カ月単位で国から出されることから、月単位の協議は難航するとの見方も出ている。
会見で王会長は、茨城-上海間の座席の約1割について、片道4000円の航空券をインターネット販売する方針も表明したものの、「(成田乗り入れ問題を)クリアしないと、実現できない」と強調。さらに「週1回、成田だと(販売する際)お客様が混乱する。当社や県にもクレームが来る」と懸念を示した。
*茨城空港:スカイマーク運休表明の遠因、百里基地航空祭 神戸便定時に出発 /茨城
◇県、渋滞対策で安堵
茨城空港(小美玉市)に就航するスカイマーク(東京都大田区)の神戸便運休問題で、同社が運休表明する際に理由に挙げた航空自衛隊百里基地の航空祭が25日、同基地で開かれた。県は、同社が運休表明する遠因となった空港周辺の交通渋滞について対策を取り、神戸便は定時に出発。目立った混乱もなく、関係者は一様に胸をなで下ろした。
県空港対策課や同基地などによると、昨年の同祭には約8万人が詰めかけ、周辺道路では早朝から交通渋滞が頻発。時には5、6時間の渋滞もあったという。このため、防衛省は航空祭当日のダイヤ変更を各航空会社に要請したが、これを嫌ったスカイマークが一時、神戸便運休を発表。防衛省と民間機の運航調整の難しさが浮き彫りとなった。
今回、県は渋滞緩和のため、県警や基地と事前に連絡会議を開き対応策を協議。基地駐車場を従来より2000台増やして1万2000台としたほか、例年より多い約350人の誘導係を配置。さらに、搭乗者が渋滞に巻き込まれないよう、周辺道路を搭乗者用と航空祭見学者用にルートを分け、そのことを示す立て看板を各所に設置するなど徹底した対策を取った。
このためか、同社は今月20日、神戸便再開に加え、札幌便と名古屋便の2路線増設を突如発表。短期的な視野で経営判断する同社に対し、県の「気づかい」が功を奏した格好と言える。
一方、航空祭は午前8時半スタート。県の対策の結果、この日は午前中から大きな渋滞はなく、神戸便は午前10時35分に定時出発。約7万5000人の航空ファンがブルーインパルスの曲技飛行などを楽しんだ。
トラブルに備え空港事務所に待機していた県空港対策課の勝谷一則課長は「乗り遅れた客もおらず、ほっとしている」と安堵(あんど)の様子だった。【大久保陽一】
*茨城空港:活性化に交流ゴルフ 韓国の若手女子プロ8人を招待--きょうから /茨城
◇3会場で
茨城空港のソウル便を活用して日韓交流を加速させようと27~29日、韓国の若手女子プロゴルファー8人を招き、県北地域の3カ所のゴルフ場でゴルフコンペ(日韓親善ゴルフ交流実行委員会主催)が開催される。
127カ所と全国でも有数のゴルフ場を誇る県は、ゴルフ観光を空港活性化につなげたい考え。空港からゴルフ場までの送迎や外国人客の受け入れ態勢が整っていないゴルフ場が多いなど、関係者は手探りの状態を続けている。
ゴルフコンペは、茨城より先にソウル便が就航した福島県を中心に韓国と日本の文化交流を行っているNPO法人「韓日文化交流を計る会」(村田秀一理事長)や県の働きかけで開催が決定。6月初旬、新・西山荘カントリー倶楽部(常陸太田市)の松原一彦・総支配人を委員長とする実行委を作った。
コンペは27日、同倶楽部▽28日、日立ゴルフクラブ(日立市)▽29日、新セント・フィールズゴルフクラブ(常陸太田市)で行われる。
一方、韓国資本のゴルフ場が点在する福島県と違い、県内のゴルフ場は「値段も高く、半分以上は日本人の会員優先」(県観光物産課)。あるゴルフ場関係者も「韓国人客が多くなると、日本人客に敬遠されがちになる」と外国人客の誘客に消極的だ。
松原委員長は「手探りだが、コンペを空港とゴルフ場の活性化につなげたい」と話している。コンペには一般の人も当日参加可能。問い合わせは各ゴルフ場へ。【鈴木敬子】
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