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産経新聞 2月13日
大手商社が相次ぎ中国のテレビ通販に参入している。中国国内では沿岸部の都市を中心に家電、アパレル製品、雑貨、食品などの生活用品市場が急成長しているため、テレビ通販の活用で内陸部の消費者も取り込む狙いだ。中国では物流や決済制度など通販事業の環境は十分に整っていないという課題もある。成否のカギは、環境整備がどこまで進むかにかかっている。
三井物産は1月、中国のテレビ局向けの商品供給や物流サービスなどを手がけるCCTVショッピング(北京市)に25%出資した。伊藤忠商事が昨年8月、韓国ロッテグループと共同でテレビ通販大手ラッキーパイに当初約63%出資したのに続いての参入だ。伊藤忠、三井物産とも、出資を足がかりに、日本の通販で扱っている商品を中国に紹介する計画だ。
背景には中国でのテレビ通販市場の急拡大がある。日本総合研究所の試算によると、2010年は前年比約30%増の300億元(約3750億円)を超えたもようだ。自宅で買い物ができる手軽さに加え、「画像で商品が見られる安心感が受けている」(業界関係者)という。
扱われている商品は衣料品や化粧品、家電、健康器具など日用品を中心に広範囲に及ぶ。自動車もヒット商品で、中国・上海の人気テレビ通販番組「東方CJ」は、トヨタ自動車や独BMW、アウディなどの自動車を09年9月~10年7月中旬までに月2回販売したところ、計438台を売った。放送時間にして平均96秒あたり1台が売れた計算になるという。
ただ、課題もある。物流と決済面の整備の遅れだ。注文しても品物が届かないケースもあるとされるほか、決済環境の整備も進んでいない。参入を見送っている別の大手商社は「今後の成長は環境整備の進み具合次第」と指摘している。(松元洋平)
◇日経スペシャル「ガイアの夜明け」 7月14日放送 第374回
熱狂と混乱の中国通販 ~目覚める13億人の消費パワー~
2008年秋のリーマンショック以降、すっかり落ち込んだ世界経済。その世界経済復活のけん引役に期待されているのが、中国だ。事実、上海では休日ともなればたくさんの買い物袋を下げた人々で町は賑わいを見せており、消費意欲は依然旺盛だ。
そんな中国で躍進しているのが通信販売。電話やインターネットで簡単に欲しいものが手に入るこの手法は、国土の広い中国の消費拡大の一翼を担い始めていた。しかし、そこには〝顔を合わせずに買い物ができる通販〟特有の落とし穴も…。
中国で急拡大する通販市場を通して、世界が注目する13億人の消費力の実態に迫る。
【急成長するテレビ通販~目玉商品は、なんとクルマ】
中国内陸部の湖南省。ここから中国全土に放送している湖南衛星テレビ。地方発ながらバラエティなどの娯楽番組で、北京や上海をはじめ中国中で人気のテレビ局だ。そんな湖南テレビが、手掛けて最近注目を集めているのがテレビショッピング。美しいモデルを使い、高級感を打ち出しながら商品を次々と売っていく。メイドインジャパンの家電製品も人気商品だ。
湖南衛星テレビの通販チャンネルを率いる陳社長にはある野望があった。それは上海進出。地方の小さなテレビ局が上海で放送を開始する…言って見ればチャイニーズドリームだ。放送開始の6月14日には上海から生放送を行うという。このイベントを成功させるために陳社長が考えた目玉商品とは、なんと自動車!1台330万円のアメリカ車だ。中国では、テレビショッピングでクルマまで売れてしまうのか?
【通販の落とし穴~業者の内部にカメラが潜入!】
インターネット通販も急成長を遂げている。すでに9兆円の市場規模に達したという報道もある。そんな熱狂の陰で、問題も多いのが現状だ。23歳の会社員、許さんはある悩みを抱えていた。それは若くして薄毛であること。このままでは結婚が危ぶまれると、許さんが意を決して購入したのが〝とねがわ〟という会社の育毛剤。数ヶ月前にネット通販で買ったという。しかしこの薬、全く効き目がないどころか、毛が抜けるという。許さんは言う「ネット上で世界各国で販売していると出ていたので信じてしまった。」返品したくて電話しても一向に応じてくれず、許さんは困り果てていた…。「カネか毛どっちか返して下さい」。
〝とねがわ〟という会社はどんな会社なのか?ホームページを見てみると、本籍は日本にあり、日本の化粧品市場で30%ほどのシェアを持つと書いてある…。日本の富士山脈(?!)にある朝鮮人参を原材料に使っている上、ノーベル賞を受賞した日本人とも深い関係があるという。正体を探りに会社に乗り込んだ取材班。そこで取材班が見た驚きの事実とは?!
【日本式通販も参戦!~カタログを届けろ】
急拡大を遂げる中国の通販市場。日本企業も手をこまねいている訳ではない。日本の通信販売の草分け、千趣会は中国で本格的なカタログ通販に乗り出した。日本品質という信頼の元、順調に売り上げを伸ばすかに見えたのだが…そこに立ちはだかったのが中国の郵便事情。ポストが日本に比べて小さかったり、郵便局員がカタログを勝手に捨てたりと様々な理由からカタログの到着率は一番高い上海で57%、成都ではなんと12%という低い数字に。カタログ通販はカタログが届かなくては意味がない。そこで千趣会が考えたのがカタログを小さくすることだった。小さくしてポストに入りやすくすれば到着率も上がると考えたのだ。しかし、カタログを小さくすることで商品数が減り、売り上げが落ちてしまったのだ!
カタログは小さいままで商品数を増やすにはどうすればいいのか…千趣会が打ち出した起死回生の策とは?!
◇日岩帝人商事(上海)董事長兼総経理 林 永造氏!
2010/08/19 Whenever ONLINE
テレビ通販にいち早く参入=東方購物の「販路」開拓も視野に!
テイジングループのNI帝人商事の現地法人、日岩帝人商事(上海)が、テレビ通販に参入して1年が経過した。これまでの販売を通じ、女性用下着・インナー、家庭用品などで手応えを掴んでいる。テレビ通販市場は今後10年で10倍に成長することが期待され、競争が激化している。同市場で生き残り、成果を上げるため、業界1位の東方購物の「販路」開拓の模索も始めた。同社董事長兼総経理の林永造氏に同事業の現状や課題、今後の目標などを聞いた。
―昨年7月、アジア・ネットワーク・ベンチャーズ・リミテッド(ANV社)に200万ドルを出資し、11月よりANV社のテレビ通販番組へ商品供給を開始した。
「ANV社は、中国テレビ通販業界で売上規模が第4位だ。江蘇省、浙江省、上海市郊外、山東省、広東省、甘粛省などの約60都市のテレビ局で通販を展開し、約1600万世帯をカバーしている。昨年7月、ANV社が新規発行した普通株式200万米ドル相当を引き受けた後、11月の放送から商品の供給を開始した」
―日系の商社の中で、他社に先駆け中国のテレビ通販へ本格参入した。
「参入の理由はなんと言ってもその市場性だ。中国の通販市場は現在約2兆円規模で、その中でテレビ通販市場は2500億円だ。これが今後10年で10倍の規模に成長することが期待されている。中国市場が拡大する中、当社では近年、内需開拓をテーマにしており、非常に大きなポテンシャルを持つテレビ通販に着目した」
―自社製品と顧客パートナーの商品を供している。
「テレビ通販事業では、当社が商品の開発・生産・供給を行う“ 共同開発商品事業”と、顧客パートナーの商品を販売する“プラットホーム事業”の2つで展開している。共同開発商品事業では、当社がこれまで対日本向けOEM事業で培ってきた生産のノウハウとインフラを活用している」
―どんな製品の引き合いが多いのか。
「テレビ通販の視聴者は主婦層が多い。また、ANV社の番組は2、3級都市で放送されるため、消費力は上海などの大都市よりも少し劣るようだ。放送開始から10カ月、こうした層がどんな商品を求めているのか模索してきた。これまで反響が良かったのは、女性用下着・インナー、電気毛布などの家庭用品だ」
―化粧品やサプリメントの取り扱いにも乗り出す。
「今後、販売に注力したいのがサプリメントと化粧品だ。また、家庭用品のアイデア商品なども扱ってみたい。利便性が高く、主婦層にすぐに欲しいと思わせるメイド・イン・ジャパンのアイデア商品が受けそうだ」
―現在、業界1位の東方購物の「販路」開拓も模索している。
「テレビ通販業界は現在、過当競争となっている。こうした中、トップの東方購物の番組に、商品供給を行うことも検討している。東方購物は上海を中心に放送しており、購買力の高い層に向けた商品の拡販が期待できる」
―内販企業は、テレビ通販をテスト販売のツールとして活用することができる。
「テレビ通販は無店舗で、販売員も要らず、店舗販売に比べてコストは非常に安い。これから中国内販を本格化させる企業にとっては、マーケティング調査やテスト販売のためのツールとして活用できる」
―3年後の売上目標は5億円だ。
「3年後に売り上げを5億円に拡大、5年後には30億円を目指す。今後、試行錯誤しながらマーチャンダイジングの精度を向上させ、提携先の拡大にも取り組んでいくつもりだ」
―テレビ通販事業とともに、事業の柱となっている繊維内販事業も好調に推移している。
「これまでは対日本向けの衣料品の製造輸出が中心だったが、近年は内販に主軸をシフトしている。われわれは中国で長年日本企業向けOEM事業を通じて、生産・品質管理やデザインのノウハウ、インフラを構築しており、これらを活用し、現在中国企業の顧客に日本品質の商品を提供している。代表的なお客様は、中国最大手のスポーツ用品メーカー、リーニン(李寧)だ。リーニンとはテイジングループ一丸となってビジネスを展開しており、今後取り引きをさらに拡大していきたいと考えている」
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