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中国の技術開発力を測る(前編)

2011年2月7日 日経ビジネス 石原昇

世界の有力ハイテクメーカーは、中国を重視した研究開発(R&D)戦略を打ち出している。その多くは、90年代から中国に研究開発拠点を立ち上げてきた。さらに、これまで慎重だったメーカーも新規の拠点開設に動き出した。また中国を、中国国内向けの拠点としてだけでなく、アジアの地域拠点、さらにはグローバル拠点として位置づける動きが加速している。


世界のR&D拠点が中国へシフト!

 トヨタ自動車は、同社にとって初となる中国の研究開発拠点を江蘇省に新設する。この春から、従業員数200人で立ち上げ、将来的に1000人を目指す。中国市場向けエンジンの開発や、省エネ車の研究、人材育成も行う。テストコースも含めて6億8900万ドル(約570億円)を投じる計画である。またGMは2010年、先端コア技術を研究するR&Dセンターを上海に建設した。合弁相手の上海汽車と共同で中国車の改造を手掛け、汎アジアの技術を確立する。

 GEは今年から3年間で20億ドル以上を投資し、中国における研究開発とカスタマーサポートを強化する。成都、瀋陽、西安にイノベーションセンターを設立し、医療から再生可能エネルギー、スマートグリッド、水処理、運輸、航空といった分野の新製品の開発を進めていく。またマイクロソフトは2010年、北京の中関村にあるR&D拠点に約20億元を投資して2棟のビルを建設し、5000人が働く海外最大規模の拠点とした。

 医薬品業界では、日本から中国へ研究開発拠点をシフトする動きが続いている。2006年にメルクの岡崎と熊谷、2007年にバイエルの神戸、グラクソ・スミスクラインのつくば、2008年にファイザーの愛知、それぞれ日本各地にあった研究所が中国へ移転した。ノバルティスもつくばを閉鎖し、上海をグローバルR&D拠点として強化する。2014年までに10億ドルを追加投資する。

 こうした動きは、日本の地位低下と中国の躍進が背景にある。中国の現地のニーズを研究し、これを取り込んで製品を開発し、巨大な消費を抑えることは急務である。中国は、独自の規制があり、明文化されていないものも多いため、規制緩和による事業拡大、規制強化への迅速な対応が必要である。また中国の豊富な人材や資金、インフラなどを活用して、研究開発成果を世界へ展開する狙いもある。途上国向けに低価格の汎用品を開発する拠点として、先進国向けには低価格で効用の高い新製品を生み出すリバース・イノベーションの開発拠点として、中国を重視する流れはますます高まるだろう。


自動車から高速鉄道、航空機へ広がるハイテク輸出!

 中国は、巨大な自国市場に外資企業を誘致し、協力して事業を推進することで、技術やノウハウを吸収している。鄧小平の時代から、「4つの近代化」――工業、農業、国防、科学技術――のなかで科学技術の近代化を最も重視してきた。幾多の中長期計画、また今年から始まる第12次5カ年計画でも「科学と教育による国づくり」を改めて強調している。自主開発による創新(イノベーション)型国家の建設は、中国の悲願なのである。

 外国から技術を吸収することで、最も効果が上がったのは、自動車業界であろう。中国の自動車販売台数は、2009年に米国を抜き世界一となり、2010年は前年比1.56倍の1806万台に達した。2011年は2000万台を射程にとらえている。中国は、自動車産業へ参入する外資企業に、中国企業と合弁することを求める。外国の技術やノウハウを国有企業に吸収させることが狙いだ。

 現在、中国の自動車メーカーは130社以上に達した。吉利汽車のボルボの買収、比亜迪汽車(BYDオート)の電気自動車の発売などで世界に存在感を示している。東京モーターショーよりも、北京、上海、広州のモーターショーに注目が集まるほどだ。

 中国政府は電気自動車を2015年に50万台、2020年までに500万台を普及させる目標を掲げている。既存メーカーの集約を図る一方で、電気自動車関連のベンチャー育成にも余念がない。電気自動車を将来の戦略的輸出製品ととらえているからだ。

 中国は他の産業でも躍進している。2010年12月、中国の高速鉄道「和諧号」(CRH380A)はテスト走行で時速486.1キロの世界最速記録を達成した。営業運転も2008年8月以来、世界最速の350キロで運行している。現在、中国の高速鉄道の運営総延長距離は世界トップの7431キロメートル(2位は日本の新幹線で2534キロメートル)になっている。こうした技術は、ドイツフランス、日本などから初期導入したものであるが、自主開発技術であると主張し、サウジアラビアやベネズエラなどにインフラ輸出を始めている。

部品点数の多いハイテク製品の代表、航空機分野では小型旅客機に本格参入している。世界の航空会社は、ジェット燃料の高騰や料金競争の激化から、運航効率の良い100~150人乗りの航空機を求めている。新興国での市場拡大も追い風である。中国の旅客機メーカーである中国商用飛機は、すでに90人乗りの「ARJ21」を開発し、今年から納入を始める。また2014年に初飛行を予定する「C919」は、国内の航空会社を中心に100機を受注した。三菱重工の子会社、三菱航空機が開発中で、日本が期待をかける「MRJ」の強力なライバルとなっている。


先端科学技術で相次ぐ成果:核燃料サイクル、高速計算機!

 最先端の科学技術も、中国の台頭は目覚しい。軍事力や国防力の強化が背景にある。2003年10月にロシア米国に続く有人宇宙飛行を42年ぶりに成功させた中国は、2008年9月に初の船外活動も成功させた。2011年10月には、中国初の火星探査機「火1号」を、ロシアのロケットを使って打ち上げる予定である。

 中国は1964年10月に核実験に成功し、5番目の核保有国となった。核の平和利用である原発は現在11基が稼働中。今後20年間で100万キロワット(KW)級の原発を70~100基建設し、世界最大の原発大国となる見込みだ。そうしたなかで、年明けの1月3日、原発の使用済み燃料から再利用が可能なウランやプルトニウムを取り出す再処理の実験に成功した。核燃料サイクルを実現できる6番目の国になった。

 レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機も開発を進めている。「殲(せん)20」を年明け早々にテスト飛行させ物議をかもした。第5世代戦闘機を単独で開発している国は米国だけであった。1999年にユーゴで墜落した米空軍のステルス戦闘機の機密技術が使われているのではないか、と憶測されている。

 そして何といっても、最近のビッグニュースは、2010年11月に、ミサイル弾道シミュレーションや科学技術計算に欠かせないスーパーコンピュータ(スパコン)で、世界トップになったことだ。世界最速コンピュータを決める「Top500」ランキングで、中国人民解放軍直属の国防科学技術大学の「天河1号A」が世界一の座を獲得した。3位にも中国の曙光信息の「星雲」がランクインしている。ちなみに2位は、米国クレイの「Jaguar」だ。現在、日本は、事業仕分けで問題となった次世代スパコン「京」の来年秋の供用を目指している。同機の演算速度の目標は、「天河1号A」の4倍となる毎秒1京(1兆の1万倍)回だ。


中国の技術開発力はどれくらいの国際競争力があるか!

 こうした技術開発(科学技術と研究開発)における華々しい中国の躍進に対し、疑問や批判も多い。技術の流用疑惑や基礎研究のただ乗り、要素技術や設備装置の海外依存、知的財産保護の欠如や独自標準の強要など議論の的である。

 中国の研究者が書いた技術論文が引用される率も低い。論文は研究成果の質を示す。建国以来、中国国籍のノーベル賞受賞者がいまだいないことも基礎研究が弱い証しとして、毎年マスコミから指摘される。

 現時点で中国の技術開発の実力はどの程度であろうか。そこで、主要ハイテク分野の特許件数や被引用論文数などの最新データ、さらに企業や研究機関への現地調査と専門家へのヒアリングを加味して、国別の技術開発の国際競争力比較表を作成した。

ここでは、「基礎研究」を長期視点に立った学術的色彩の強い研究、「応用研究」を特定の問題解決のための研究、「製品開発」を新製品の導入のための研究と定義した。OECD調査では、全研究開発費に占める「基礎研究」の割合は、米国、日本、韓国が15%前後、欧州の20%前後に対し、中国は5%前後に留まっている。「応用研究」も中国以外の国が20~30%に対し、中国は10%強と低い。結果として、中国は「製品開発」が80%強と突出している。

 分野別にみると、次のようになる。
「エレクトロニクス」は、米国が基礎研究から製品開発まで一貫して強い。ディスプレイを除く各分野で圧倒的優位にある。日本は基礎研究で優位にあり、半導体、ディスプレイ、ハードウェア、ネットワーク、オプトエレクトロニクスの応用研究でさらなる強みがある。一方で製品開発になると強みが発揮できていない。欧州は、IMECが主導する半導体、企業がリードするソフトウェアやネットワークに強みがある。韓国は半導体とディスプレイにかなりの競争力があるものの、ソフトウェアが相対的に弱い。中国は応用研究も相対的に遅れているものの、製品開発では半導体やソフトウェアなど、徐々にキャッチアップしつつある。R&Dセンターの集積や欧米企業との連携が進んでいることが背景にある。

 「ナノテク・材料」は、大学の基礎研究からメーカーの製品開発に至るまで日本が世界トップレベルにある。高分子材料、磁性材料に加え、カーボンファイバーやナノチューブの競争力が高い。自動車やエレクトロニクス製品をはじめ、広く日本の製造業を支えている。ただ、人材育成やインフラに対する投資が欧米に比べて低下気味であるとの指摘がある。さらに韓国や中国の論文が急増し、被引用数も高くなっていることから、長期的に日本のトップが万全ではないことが懸念される。

 「ライフサイエンス」は、大学や研究所が全力を挙げて研究に取り組む米国や世界的製薬メーカーが揃う欧州の競争力が圧倒的に高い。日本はライフサイエンス分野が政府の研究開発投資の過半を占めるにしては、パフォーマンスの悪さが目立つ。iPS細胞など再生医療の一部で注目される分野があるものの、論文数や被引用率は相対的に低い。とりわけ、基礎研究論文よりも、臨床研究論文の出遅れが著しい。基礎研究の成果を製品開発につなげる臨床研究に問題があるとみられる。中国は2009年7月にマウスの皮膚からiPS細胞をつくり、世界初となるマウスを誕生させて、再生医療分野の研究の高さを示した。ゲノム分野もシーケンサーなど研究機材を充実し、臨床分野で成果を挙げ始めている。

 「環境」分野では、公害問題を克服してきた日本の技術水準が極めて高い。大気汚染の物質除去や土壌汚染対策、資源リサイクルなどに競争力がある。地球温暖化抑止のためのエネルギー関連技術にも優れ、太陽電池、太陽熱、地熱など新エネルギーもリードしている。一方、バイオ燃料の研究では遅れがみられる。中国は基礎研究で劣っているが、製品開発では、太陽電池などで先行する分野が出てきている。

 結論として、中国の技術開発の国際競争力を総合評価すると、基礎研究は投資のウェイトが低いこともあり、全般に遅れている。応用研究も出遅れているが、製品開発では新エネルギーやゲノム関連で競争力をつけてきた。重要なことは、現時点で遅れている分野も、数年後に競争力をもつ可能性があることだ。全ての分野でベクトルは上を向いており、キャッチアップのスピードは速い。

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