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存在感を増す中国資本、日本企業は買われるうちが花?

2011年2月15日(火)日経ビジネス 小屋知幸

チャイナマネー到来!

 中国資本による日本企業の買収が増加している。2009年には中国における家電販売の大手企業である蘇寧電器が、家電量販店のラオックスを買収した。また2010年には大手アパレルのレナウンやゴルフクラブ製造販売の本間ゴルフが、中国企業の傘下に入った。そのほか中国人観光客の増加を見込み、中国企業が日本の旅館を買収するケースも目立つ。

 さらに2011年1月末には、NECが中国のパソコン大手レノボとの資本提携を発表した。レノボとNECは今年6月をめどに合弁会社(出資比率:レノボ51%、NEC 49%)を設立し、NECのパソコン事業部門をその傘下に入れる。これは“提携-合弁”という体裁を取っているものの、合弁会社の経営権はレノボが握るため、実質的にはレノボによるNECのパソコン部門の買収と捉えてよい。

 日本以外でも、チャイナマネーの存在感は急速に拡大している。2010年には中国の民間自動車メーカー、吉利自動車によるボルボの買収が大きな話題になった。また中国企業が海外で資源などの権益を高値で買収することで、日本企業が“買い負け”するケースも目立っている。

 かつて日中企業間のM&Aは、日本企業が中国企業を買収するケースが圧倒的に多く、中国企業による日本企業の買収は皆無と言ってよかった。それだけに「中国企業に買収される」となると、ニュースとしてはセンセーショナルな取り上げ方になりがちだ。「中国資本が日本を買い占める!」と、危機感をあおるメディアも少なくない。


日本はまだ中国の眼中にない!

 確かに中国から外国への直接投資は急増している。2004年時点で55億ドルだった中国の対外直接投資は、2010年には590億ドルと、6年間で10倍以上に増えた。この点だけを見れば「中国が海外資産を買いあさっている」との見方も、あながち的外れとは言えない。

ただし中国の対外直接投資の規模は、その経済規模に比べて、決して大きいとは言えない。中国による対外直接投資残高のGDPに対する比率は5%程度にとどまっており、米国(約22%)、日本(14%)などと比べてまだ低い。逆に言えば対外直接投資に関する中国のポテンシャルは、もっと大きいと考えることができる。

 中国は世界有数の投資受け入れ国だ。今までは中国から外国への直接投資額より、外国から中国への直接投資額が圧倒的に大きかった。中国の対外直接投資が急増した後の2010年でも、その規模は外国から中国への直接投資額のおよそ半分の水準にとどまっている。

 それと同様に、中国企業による日本企業の買収が目立つようになったとはいえ、日中間の直接投資額は依然として日本の大幅な出超だ。2009年における日本から中国への直接投資額が41億ドルに達しているのに対して、中国から日本への直接投資額は1億ドルにも満たない。

 中国の対外直接投資における相手国の構成を見ると、対外直接投資の過半を占める香港は別格とし、その他の上位には南アフリカ、オーストラリアカザフスタンなどの資源国が目立つ。中国では現在、急拡大する国内の資源需要をまかなうため、国有企業が血眼になって資源国の権益を買い上げている。

 そのいっぽう日本への直接投資額の構成比は、中国全体の対外直接投資額の0.1%程度にすぎない。日本は中国に隣接する経済大国でありながら、中国から日本への直接投資はまだ例外的存在なのである。

 つまりまだ日本は、実質的に中国企業の投資対象とはなっていない。ただし巨大な中国が少しでも日本企業に関心を持つならば、中国から日本への直接投資は爆発的に増加する可能性を秘めている。

投資されない国日本!

 中国の経済成長の起爆剤になったのが、外国からの直接投資だ。多くの外国企業が中国に進出し、中国で多額の投資を行ったことが、中国経済の発展に大きく貢献した。

 外国から投資される国の代表が中国だとすれば、外国から投資されない国の代表は日本だ。日銀のデータによれば、海外から日本への直接投資残高は約2000億ドルであり、これは日本の名目GDPの約4%にすぎない。これに対して海外主要国の対内直接投資残高のGDPに対する比率は、米国18.3%、英国46.6%、ドイツ27.4%などとなっており、日本を大幅に上回っている。

さらに最近は、海外企業が対日投資を回収する動きが目立ってきた。財務省の国際収支速報によれば、2010年における海外から日本への直接投資は約1400億円の流出超過となっている。つまり外国企業は日本に投資するどころか、日本から投資を引き揚げているのである。

 2010年には仏ミシュランが日本の生産拠点を閉鎖した。このほか、米シティグループも日興コーディアル証券を売却し、投資の一部を日本から引き揚げた。外国企業の多くは日本での投資を回収するか、日本を素通りして、中国など新興国への投資を拡大しているのである。

 日本は市場成長が期待できないだけでなく、法人税も高く投資には不利だ。このため現在では外国企業だけではなく日本企業までもが、日本への投資を絞り、新興国への投資を積極化している。

 日本経済の低迷に関して、少子高齢化や将来不安などにより個人消費が縮小していることが、その大きな原因であることは間違いない。だが企業の投資が低迷していることも、決して見すごすことはできない。投資の停滞は足元の景気を冷やすだけでなく、技術革新や生産性の停滞にもつながる。

 現在の日本は、投資する魅力のない国になってしまった。そんな日本にとっての希望の光の一つが、中国からの投資なのである。中国は世界第2位の経済大国であるだけでなく、日本の隣国でもある。それゆえ日中両国経済の相互依存関係は、今後着実に高まっていくであろう。そうなれば、現時点で“誤差”の範囲でしかない日本への直接投資が、飛躍的に増大する可能性も少なくないと考えられる。


チャイナマネーが導く企業再生!

 中国から日本への直接投資は、まだ緒に就いたばかりだ。それでもチャイナマネーは産業界の一部において、企業改革の触媒としての役割を担い始めている。

 中国の春節休暇に当たる2月初旬、2010年11月に開店したばかりのラオックス銀座松坂屋店は、大勢の中国人観光客でにぎわった。中国資本の傘下に入ったラオックスは、中国人マーケットを開拓することで、企業再生を図ろうとしている。

 日本の家電量販店業界の競争は厳しい。ヤマダ電機やヨドバシカメラなど大手企業が熾烈な出店競争を繰り広げる中で、中堅以下の企業の多くが存続の危機に直面している。秋葉原を地盤とする老舗量販店であるラオックスも、ここ数年は大幅な赤字に陥っていた。そのラオックスが選んだ起死回生策が、中国の家電販売大手、蘇寧電器の傘下に入ることだ。


蘇寧電器の支援を得たラオックスは、矢継ぎ早に手を打った。同社は中国に対するコネクションを活用し、中国人観光客を店舗へ導く手段を講じた。ラオックスの秋葉原本店や銀座松坂屋店などは、観光ツアーのコースに組み込まれ、中国人観光客が大挙して押し寄せるようになった。またラオックスは新宿、大阪、お台場、千歳空港など、中国人観光客が足を運ぶ観光拠点に次々と店舗を開店している。

 さらにラオックスは、蘇寧電器と協力し中国本土での事業展開も計画している。同社は2011年には北京や上海などで、楽器専門店や生活雑貨店の出店を開始する予定だ。

 ラオックスの企業再生が成就するかどうかは、今後の企業努力にかかる。だが中国資本の傘下に入ることにより、同社が貴重なチャレンジの機会を得たことは間違いない。ラオックスの例にとどまらず、今後、日中両国の資本が相互に往き来し、両国ビジネスの融合が進むことにより、日本企業が新たな企業価値を創造できる可能性は広がっていくのではないだろうか。


日本の枠を超えて企業の可能性を開く!

 2月2日、ワイン専門店を運営するエノテカは、MBO(マネジメント・バイ・アウト)により株式を非公開化する計画を発表した。同社を買収するバッカスは、投資ファンドのユニゾン・キャピタル・グループと、香港の投資会社H.C.B.C.が設立した企業である。H.C.B.C.の経営者であるジョージ・ジョセフ・ホー氏は、2007年にエノテカの取締役に就任し、すでに同社の経営に関与している。MBO後のエノテカはホー氏の指導のもと、中国、香港での事業展開を進めるものと考えられる。

 エノテカは日本におけるワインビジネスのトップ企業である。同社はヨーロッパをはじめとする世界各国のワイン産地とのコネクションを持ち、膨大なヴィンテージワインの在庫を保有している。しかしながら日本の資本市場では、エノテカのポテンシャルが正当に評価されているとは言い難かった。

 今回のMBOにおけるエノテカ株式の買付価格は、直近株価の8万2000円を46%上回る1株12万円となっている。しかし昨年までのエノテカの株価は6万円前後に低迷し、株式の時価総額は30億円程度と、同社の純資産額(約50億円)を大幅に下回っていた。またエノテカは約30億円の商品在庫を持っている。高級ワインは古いほど価値が高まるという商品特性をふまえれば、その含み資産価値も過小評価すべきではないだろう。にもかかわらず日本の投資家は、エノテカの企業価値を高くは評価していなかった。

 日本の消費市場は豊かさが失われつつあり、高級ワインを購入する消費者層も縮小すると見込まれる。つまり日本でビジネスを行う限り、エノテカの企業力が生きる余地は少なかったのである。

 これに対して現在の香港や中国では、高級ワインの市場が急速に拡大している。中国の経済規模や成長力を考慮すれば、将来的に中国が世界最大のワイン市場になる可能性も少なくない。また中国の富裕層がワインの消費を急拡大することで、ワインの価格が高騰し、高級ワインが日本の消費者の手に届かないものになることも既に予想されている。

 このような経営環境であれば、当然エノテカはビジネスの重心を中国に移すべきであろう。また日本の投資家がエノテカのポテンシャルを高く評価できないとしても、中国圏の投資家なら、もっと大きな価値を見出すことができる。中国資本の支援を得たエノテカは、今後大きく成長していくのではないだろうか。


買われるうちが花!

 これまで述べたことから考えると、「中国が日本を買い占める!」という中国脅威論は、まったくの的外れと言ってよいであろう。チャイナマネーの大勢は資源国に向かっており、日本への投資は、現時点では非常に少ない。

 日本経済に対する中国の影響力は、圧倒的に大きくなりつつある。そして中国の成長力を自社ビジネスに取り込めない企業の将来性は、もはや乏しいと言わざるを得ない。日本企業は、中国のプレゼンス向上に合わせ、自社の在り方を変えていかねばならない。「変われない企業」や「買われない(投資されない)企業」は、ビジネスの最前線から退くほかないのである。

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