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2011年3月1日(火) 日経ビジネス 関橋 英作
 
 地方の復活が日本の復活と言われてもうずいぶん立ちました。しかし、一向にその兆しが見えません。近頃では、再び道州制や新たに大阪・愛知の都構想が叫ばれていますが、賛否両論。選挙対策にしか見えないことに加え、既存政党の反発が激しく実現の見通しも立っていないのが現状です。
 誰にでも分かることは、国と地方、県と市町村における、土木建設、医療、福祉などの二重行政。それでも既得権益のパワーは強く、とても国民のことを考えている政治とは思えません。
 政治がしなければならない本当の原点は、弱者と過疎地に目線を置くことのはず。そこを切り捨てるような行政は、効率しか考えないビジネスと同じにしか見えません。それでは、ますます大都会一極集中の国が加速するだけでしょう。
 最も小さな単位の行政に力を与えること。それこそが、この問題を解決する唯一の方法だと思うのですが、どうでしょう。つまりは、その地域のことをよく知り愛している人に任せるのです。どこに孤立した高齢者が住んでいて、何がこの地域を幸せにするのか。そんなことに目が届く人たちです。
 とはいえ、そういう発想はいまの政治家にはないでしょうね。だからこそ、有識者の間でも、政府に頼らない個人の生き方や、日本は政治に頼らない国などの意見が続出するのです。

政府に頼らず地方が生き残る方法

 では政府に頼らず、どうすれば地方は生き残れるのか。その答えの1つが、「B-1グランプリ」。ご存知のように、年々その人気は爆発し、5回目の昨年は46団体が参加、43万5000人の入場者を数えました。
 このB-1グランプリ。実は単なるブームではありませんでした。1人の地域を愛する男の戦略を見据えた戦術。八戸せんべい汁研究所所長木村聡さんの仕掛けだったのです。
 その木村さんにお話を伺う機会がありました。ひとりでマーケッター・PRマン・営業マンをこなしてしまう行動力にあふれた方でした。話していてもアイディアがポンポン飛び出してきます。
 でも、その原動力は何より青森・八戸を愛する気持ち。八戸の魅力を掘り起こし、それを伝えていきたい。そして、ひとりでもたくさんの人が八戸へやってきてほしい。その結果として、八戸が再び活気を取り戻し、住民に笑顔が溢れる町になる。そんなことを話す木村さんの顔には、情熱が満ちあふれていました。聞いているこっちまで、熱くなってきましたから。

何とかしたい気持ちが原動力

 その木村さんは、大学では農業を学んでいてPRやマーケティングとは全く無縁。しかも、Uターン組です。八戸を何とかしたいという気持ちが、あんなすごいムーブメントを起こすことができた理由でしょう。
 木村さんの「せんべい汁」とのきっかけは、東北新幹線八戸駅開業でした。その当時、市の第三セクター「八戸地域地場産業振興センター」に勤務していましたが、2002年にやってくる新幹線の目玉になるお土産をつくることが彼の仕事でした。
 ここまでは、どこの地方都市にでもあるお話。新しい交通やハコモノをきっかけにした、地方ブランドの売り込み。そのほとんどが、一瞬の大きな花火のように雲散霧消しているのです。
 それは、なぜか? 答えはいたってカンタン明瞭。ほとんどのケースがその地域からの一方的なPRに過ぎないからなのです。ときには、ほんとうに地元の人に愛されているかどうか疑わしいものまで露出している。この機会にとばかりに、無理矢理なPR。とにかく、マスコミが取り上げさえすれば人は来ると信じているのです。
 

PRの真価はニュースではなく、ブランド成長につなげていくこと

 残念ながら、全くそんなことはありません。PR過剰時代のいま、最も大事なことは、PRする相手である都会人やほかの地域の人の気持ちを理解すること。何が関心を引くか、何が彼らの空洞を満たすことができるか。そういう相手のココロを把握しなければ、うまくいくはずがありません。PRのことを話すと長くなるのでやめておきますが、PRの真価はマスコミに露出した後、そのニュースからブランド成長につなげていけるかどうかなのです。ところが、ほとんどのPRが露出で満足しているのです。これからのPRについては、また機会を見てお話しします。
 木村さんも、はじめは同じ動機だったでしょう。新幹線開業土産の開発。それでも、せんべい汁に行き着いたのは、木村さんの郷土愛。200年も前から食べられてきた郷土食をみんなに食べて欲しいという素朴な気持ちが、正しい選択をさせたのです。まさに、せんべい汁にとことん惚れ込んだからですね。
 ご存知のない方に、せんべい汁とは何を少しだけ。青森県八戸地方いわゆる南部は、以前は冷害が多く米作は不振でした。それを補うために小麦粉でつくったせんべいを代替食にすることもあったそうです。
 せんべい汁は、ダシ汁と具材の中にせんべいを食べやすく割って一緒に煮込む汁料理。せんべいにダシが染みこみ、アルデンテの固さで食べると絶品です。ちなみに汁用のせんべいはプレーンで、醤油などの味は一切ついていませんのでご想像のものとは全く違います。せんべい汁セットなどが販売されていますから、ぜひお試しください。
 木村さんがまず手をつけたのは、地元や県内の人へのアピール。足下から固めようという作戦です。それでも、味に自信を持つため、全国の人に試食調査。予算がありませんから自分の足でかせぎました。結果は、9割がおいしい、6割が買ってもいいというものでした。
 とりあえずの自信をつけた木村さんは、駅や市内での販売へ。2000個も行けばいいかなという予想をはるかに超えて4万個も売ることができました。問い合わせは、せんべい汁のことを知らない津軽の人にまで波及しました。
 普通ならこれで満足して、増産の結果、失敗というケースも多いでしょう。木村さんにとってこれはベース固めの実験のようなもの。目的はせんべい汁を売ることではありません。八戸を売ることがゴールなのですから迷いはありません。
 
次にやったことは、「八戸せんべい汁研究所」の設立。せんべい汁をフラッグシップにして、八戸を全国区にする。ですから、研究所にはせんべいの生産者や小売りの人は参加させませんでした。目的は販売ではなく、あくまで八戸のPRです。ですので、全員がボランティアによる参加。
 しかし、まだまだ地元の目は冷ややかでした。「だーも、せんべい汁たべるがー」(せんべい汁なんか誰も食べたがらないよ)という、「だー」の壁が立ちはだかっていたのです。
 その頃、出会ったのが、富士宮やきそばの人でした。全国には地元に愛される地元らしい食べ物があることに気づいたのです。しかし、その頃はまったく横の連携がない。これらを一堂に会することができれば、メディアを集めることができる。そういうアイディアが飛び出してきました。
 地元らしい料理、つまりB級グルメ。K-1、M-1ならぬ、B-1グランプリ。木村さんは、早速全国のB級グルメに呼びかけました。第1回開催は、八戸でと。しかし、1カ月経っても参加表明団体はゼロ。企画頓挫の危機に見舞われました。
 それでも、木村さんはめげませんでした。ならばと、熱い長い手紙を書いて再びチャレンジしたのです。「町おこしを自分たちの手で」という思いは各地の人たちに伝わりました。この情熱、郷土愛がすごい。私たちマーケティングに従事する者が忘れかけていることかもしれません。
 
そしてドキドキの開催日。入場者は予想をはるかに上回り、午前中だけで売り切れる店が続出。木村さんは、ハッキリと手応えを感じ、さらに行き先まで見据えることができました。
 その後、取材は殺到しB-1グランプリは注目の的。回数を重ねるごとに入場者、参加団体も増え、いまでは似たようなイベントまで人気を博しています。そして、B-1グランプリに参加した地域は軒並み売り上げ、旅行者アップ。まさに、万々歳の結果です。

一過性のブームにしない努力

 しかし、木村さんのゴールは八戸へ来てもらうこと。地元に来てもらい、地元らしいすばらしさを体験してほしいこと。つまり、多くの人がもっている旅へのイメージを変えることなのです。非日常を味わうことから普段着の心地よさを感じることへ。それこそが、地方の魅力をそのまま伝えることになり、長く愛されることになる。
 木村さんは、B-1グランプリの成功という一過性のブームには満足していません。次のターゲットを普段着の八戸の魅力にフォーカス。「朝市、朝風呂、屋台横町」という市民の楽しみを他県の人たちへアピール。この何でもない魅力が旅行者の心を捉え始め、リピーターが増えているそうです。
 
木村さんの戦術は着実に進んでいますが、これからが本当の勝負。空洞化した市街地に人を呼び戻すことができるか。そのハブとして2月にオープンしたのが、八戸ポータルミュージアム「はっち」。単なるハコモノに終わらず、八戸すべての魅力につながるハブに。その1つの試みが、アーティストが滞在しながら作品をつくれるレジデンスです。アートを町おこしに使っているところはたくさんありますが、こういうチャレンジは少ないようです。
 
木村さんのチャレンジは終わるところを知りません。ほんとうに、八戸が旅行者にとっても住民にとっても楽しいと思える町になる、その夢が実現する日まで。
 木村さんのお話を聞いていて、これこそが地方の復活の正しいあり方だと強く感じました。中央にとって都合のいい政策ではなく、その場所を愛している人が情熱を持って取り組んでいく。いちばん小さな単位でするからこそ、いちばん目が届く。まだまだ、地方にはエネルギーが沸々と沸き立っています。そういう人が日本にはたくさんいるに違いありません。
 そんな人たちが手を携えて行えば、間違いなく日本はまた素敵な国になるでしょう。一人ひとりが楽しく生きる地方から。マーケティングはその手助けをする。中央の論理に追随するマス的な視点ではなく、小さな視点を大きく見る。そうなれば、もっともっと楽しい仕事になりますね、これからのマーケティング。
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