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2011年1月11日(火)小平和良(日経ビジネス記者)

農産物や加工食品の輸出を促進しようという機運が高まっている。TPP(環太平洋経済連携協定)の議論や海外での日本産品への人気が背景にある。しかし、曖昧な安全基準や不十分な国内制度が食品輸出の壁になっている。

 2010年12月、中国・大連に1軒の小さな小売店がオープンした。屋号は「石原製菓」。製菓材料などを販売しているイシハラ(大阪市)の中国進出1号店である。

 イシハラはナッツやドライフルーツ、チョコレートなどを菓子メーカーに販売している。企業を相手にした卸売りが事業の中心だ。

 国内ではBtoB(企業間取引)のビジネスに徹してきたが、中国では自ら小売りも手がける。国内では製菓材料の販売先となっている菓子メーカーの商品のほか、様々な日本製の食材を仕入れ、中国に輸出。現地の消費者や小売り向けに販売する考えだ。

 菓子に限らず食品メーカーには中小規模の企業が多い。少子高齢化が進み、国内市場が縮む中で、海外に打って出ようと考えても投資負担の重さや販路開拓の難しさから現実には尻込みしてしまう。

 こういった中小の菓子メーカーの商品を中国で売ることができれば、自身の新たな成長につながると同時に、先行きが見えない菓子メーカーの売り上げ拡大にも貢献できる。イシハラはそんな効果を狙って、中国に小売店を出した。

衛生証明書を出す機関がない!

 日本で生産した農産物や加工食品の輸出を増やそうという機運が高まっている。きっかけはTPP(環太平洋経済連携協定)参加を巡る議論が巻き起こったことだ。

 原則として農林水産物を含むすべての品目の関税を撤廃するTPPに参加すれば、国内の農業は壊滅的な打撃を受けるとして、農業団体などは強く反対している。その一方で、TPPの議論を契機に農業の構造改革を進め、輸出もできる強い産業にせよとの声もある。中国を中心に日本産の農産物や食品に対するイメージや信頼性が高いことも、食の輸出への期待を高める。

 しかし、食品輸出への課題は多い。

 大連に店舗を出したイシハラはオープンを前に、取引先が製造するおかきやチョコレート菓子を仕入れ、中国国内で販売する手続きを始めた。

 通関に2週間ほどかかったが、これは想定内だった。問題は中国当局が「衛生証明書」の提出を要求してきたことだった。

 中国への食品輸出では、日本で問題なく通していることなどを公的な機関が証明する衛生証明書を求められることがある。水産品については、日中両国間で取り決めていることもあり、日本冷凍食品検査協会などが証明書発行機関となっている。だが、水産品以外の食品については、衛生証明書を発行する機関が日本にはない。

 イシハラの中国法人で総経理に就いた渡辺宏氏は困り果てた。結局、自分で衛生証明書を書き、そこに記す署名を商工会議所に証明してもらう方法でも問題ないことを知り、事なきを得た。

 それでも渡辺総経理の気分は晴れない。「正確には商品を証明しておらず、要求にきちんと応えているわけではない。中国側の考えが変われば、すぐに商品を売れなくなってしまうのではないか」。

税関や検疫でのトラブルは貿易ではつきものではある。特に中国との貿易は、レアアース(希土類)の通関停止問題が如実に示した通り、外交などに影響を受けることもあって、一筋縄ではいかないのは確かだ。

 しかし、経済産業省の幹部は「輸出相手国の問題よりも、日本の仕組みが食品を輸出する前提になっていないことが深刻だ」と指摘する。衛生証明書を発行する機関がないのは、問題の一端にすぎない。経産省幹部は「日本産の食品や農産物の強みと思われている安全性が問題になるケースもある」と話す。

 伊藤忠商事子会社の食品卸、日本アクセスは昨年5月、上海で開かれた展示会に日本の食品メーカーが製造するアイスクリームを持ち込んだ。数社が作っている27品目を出品し、中国国内での販売を目指した。しかし、実際に現地で売ることができたのは20品目にとどまった。日本アクセス国際貿易部輸出入課の奈良崎亮介氏はその理由を「添加物や香料などで引っかかった」と話す。

 「日本の食品安全基準は意外とゆるい」。ある流通関係者はこう語る。「日本では『保存料』や『香料』などと表示すればよくても、海外では細かな成分を求められることもある。また、海外では禁止されている増粘剤などが問題になるケースも多い」

日本の農産物は安全なのか?

 農産物では農薬が問題になることもある。

 北海道倶知安町のようてい農業協同組合は昨年9月、カボチャから基準を超える残留農薬が検出され、約12トンの商品を回収すると発表した。この時、検出されたのは有機塩素系の殺虫剤「ヘプタクロル」。1975年に農薬としての登録が切れ、既に使用されていないものだった。

 冷凍ギョーザの毒物混入事件や野菜の残留農薬の問題が大きく報じられたこともあり、中国産の食品の安全性に不安を持つ人は多い。しかし、中国の生産現場をよく知る大手スーパーの関係者は「輸出品に使われる野菜を作っている農場は日本以上に管理が厳しい」と話す。例えば、土壌の残留農薬を念入りに調べ、栽培中は隣接する農場からの飛散農薬にまで目を光らせる。一方、日本は「消費者が思っているほど厳しく管理していない。いまだに数十年前に使っていた農薬が検出されるぐらいだから」(流通関係者)。

 経産省幹部は「農産物の輸出国であるニュージーランドは、農薬の使用に限らず、運送や保管なども厳密に管理しており、輸出相手国の要求に応えられるようにしている」と話す。日本の場合は、データを求められてもデータそのものがなく、税関で足止めを食うものも少なくないのだという。「栽培や保管などのプロセスを厳しく管理すると、中小の農家では対応し切れない。結局、中小農家を守ろうという制度が、輸出促進の障害になっている」(経産省幹部)。

 今のところ、海外の消費者は日本の農産物や加工食品の安全性や味を高く評価している。しかし、「高い評価はただのイメージにすぎない。自国の経済が発展してくれば、日本の食品も実は大したことがない、ということになるかもしれない」(イシハラの渡辺氏)。

日本は約6兆7000億円の農林水産物を輸入している一方、輸出はその10分の1以下の約4500億円にとどまっている。農林水産省は輸出促進に力を入れるが、海外の展示会への出展を支援するといった施策だけでは不十分だ。

 TPPへの参加は農産物や加工食品の輸出を一気に押し上げる可能性がある。だが、日本の食品安全基準や生産管理の仕組みが非関税障壁となって食品輸出を阻む。TPP参加の議論を進めるとともに、こうした非関税障壁となりかねない制度を見直す必要が出てきている。

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