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3月危機を乗り切れるかが第1関門、次は6月・・・

2011.01.11(Tue)JBプレス山崎養世

今年最初の東奔西走は重大な警告書になった。一気に読まないと、多面的な状況を把握して解決策を理解することはできないので、最後までお付き合いいただきたい。

 防災の基本は情報収集と事前準備であり、いざ発生した時の断固たる行動が生死を分ける。経済の巨大災害も変わらない。

 日本は、これから2年の間に、戦後最大の経済危機に直面するだろう。考察し、準備し、行動しなければ、日本は破綻する。詳しくは筆者の『ジャパン・ショック』(祥伝社)をお読みいただきたい。またこの問題に対するフォーラムも開催するが、ここではその解決策を紹介したい。

 日本の歴史をひもとけば、絶体絶命の危機ほど大復活を遂げ、世界を驚かせてきたことがよく分かる。それが日本の「国民力」ではないだろうか。

 今回の危機も同じだと思う.立場を越え、力を合わせれば、日本は奇跡の復活を遂げ、世界をリードする国家に生まれ変わると信じている。

驚異の高度成長を遂げた国債発行!

 日本経済は「失われた」「ゼロ成長」の20年間とよく呼ばれるが、実はこの間に8倍もの高度成長を達成した巨大セクターが日本経済にはある。

国債発行である。1990年度は21兆円だったものが2010年度は162兆円に増え、国内総生産GDP)の34%にも達した。

 しかし、不思議なことに世間に流布している国債発行額は2010年度で44兆円しかないのである。それは世間で言う国債発行額は、「新規財源債」という種類の国債に限っているためだ。

 それ以外の、既存の国債の償還のために発行する「借換債」の103兆円や特殊法人や自治体に貸し付けるための「財投債」の15兆円は、政府が発表しマスコミが伝える「国債発行」には含まれていない。

 しかし、これら3種類の国債の違いは資金使途の違いに過ぎず、投資家から見たら全く同じものだ。

 このような情報開示は、企業会計ならば考えられない。もし、上場企業が、社債の借り換えや子会社への貸し付けのために発行する社債を財務諸表に記載しなければ、経営者は刑事罰に問われてしまう。

ところが、国は、発行総額の4分1程度しか「国債発行」と呼ばず、マスコミはそのまま報道するから、日本国民は国債発行の本当の大きさを知らない。

 これでは「借金隠し」「大本営発表」のそしりを免れないのではないか。

自分のお金が国債に使われているのを知らない日本人!

 しかも、国債の93%を保有している割には、日本人には「国債を持っている」という意識が薄い。なぜなら、個人の国債保有は全体の5%に過ぎず、76%は金融機関と年金が持っているうえ、国民の多くは自分の預貯金や年金がどう使われているかに関心がないからだ。

国民の金融資産は過去20年でほとんど増加していない。だから、金融機関や年金は国債の保有を大きく増やした分、民間への貸し出しや株式や不動産への投資を減らしてきた。

 税金を払う民間への資金を減らし、税金を払わない政府部門の借金に国民の貯蓄をつぎ込めば、税収が減るのは当たり前だろう。

 2009年度の一般税収は37兆円しかなく、20年前の60兆円を4割も下回った。税収が不足して財政赤字が膨らみ、さらなる赤字国債の大量発行を招いている。完全な悪循環の構造が出来上がった。

20年間で逆さまになった常識!

 1980年代の行政改革を引っ張った土光臨調の目標は、財政再建であり「赤字国債撲滅」だった。財政赤字=赤字国債=「悪」という健全な常識がそのころの日本にはあった。おかげで、1990年代初めには、赤字国債発行がゼロに近づいた。

 しかし、今では国債は「安全確実」、株や不動産はもちろん民間貸付も「危ない」、という常識がまかり通っている。

 どうしてこのような常識の逆転現象が起きてしまったのか。それは、世界の金融機関を規制する国際決済銀行(BIS)が作ったルールのおかげである。

 その結果、経済開発協力機構(OECD)の国債ならギリシアのように投資非適格のBB格でもリスクはゼロ、一方で企業の社債ならトヨタ自動車のようにAAA格でもリスクは100%という、後世から見たら摩訶不思議な「常識」が誕生したのである。

 なぜ、こんな「常識」が必要だったのか。それは、米国が自国の赤字国債を何とか世界中に買わせたかったからだ。BIS規制が米国発のルールだと知れば、BISのからくりも解けてくる。

 日本政府は、1980年代にはBISルールの採用を拒否していた。規制の中味が日本の金融機関には不利で、当時世界の資産を買い漁っていた日本の金融機関を狙い撃ちにしていたからである。

しかし、1993年になると突然、BIS規制を一転して採用する。何のことはない。日本が自ら大量の赤字国債の発行に踏み切ったからである。

 以後、一貫して「リスク管理」と称して、“リスクがゼロの”赤字国債の買い入れを金融機関や年金に奨励してきた。堕落としか言いようがない。

政府が国民の貯蓄を吸い上げ尽くそうとしている!

 過去20年間の驚異の高度成長によって、地方も合わせた日本の政府部門の借金(国債地方債と借り入れなど)の総額は、ついに1002兆円に達した。国民の金融資産は、住宅ローンなどの借金を差し引けば1079兆円である。その差は、あと77兆円しかない。

 しかも、国債につぎ込める日本人の貯蓄は急速に細っている。20年前は日本の貯蓄率は15%程度であった。ところが、直近の2008年には2%台に低下した。

 高齢化が進んで貯蓄を取り崩す人が増えたうえ、国民の所得が伸びないためだ。だから、1年間に金融機関に流入する貯蓄は10兆円を下回る。年間160兆円の国債発行を消化するにはあまりにも小さい。

 それでも、これまで国債が消化されてきたのは、金融機関や年金が民間への資金を減らした分で国債を買ってきたからだが、それも限界に近づいている。国債の消化不能が見えてきたのだ。

財政悪化はこれからが本番!

 しかも、首都圏を中心とした大都市での高齢化の進行によって、日本の経済と財政はこれからさらに悪化する。

 この問題に関しては、日本の第一人者で、元大蔵省主計官・政策研究大学院大学教授の松谷明彦先生の最新著『人口減少時代の大都市経済』(東洋経済新報社)を読むことをお勧めすしたい。

 首都圏では、今後20年間で生産年齢人口が2割減少する一方、高齢者が8割近くも増加するからだ。

 そうなると、消費も税収も保険料収入は激減するが、高齢者のための社会保障支出や医療介護施設などのコストは激増し、首都圏の自治体の財政は破綻が予想される。

 一方、島根県などの地方では、高齢化は既に進行しているため、影響は比較的に軽微だ。

今後、首都圏が、全国を富で潤す「富士山」から巨大な支出が必要な「ブラックホール」に変わると、戦後日本のビジネスモデルは崩壊し、首都圏も地方も共倒れになる。

消費税増税はできない!

 財政再建の切り札、と良識ある多くの人が考えているのは消費税増税だ。しかし、松谷教授によれば「消費税の増税は財政と社会の崩壊を早めるだけ」なのだ。

 なぜなら、消費税増税は首都圏の経済活動を一層低下させる。そして、現役世代の首都圏脱出を促し、地方の若者の首都圏への流入を思いとどまらせる。首都圏の現役世代はさらに減少し、財政悪化を早める。

 だから、消費税増税は不可能になる。その時は、年金も維持不能だ。東京一極集中の国土と経済の構造を、地方に分散し地方から成長する構造に転換するしかなかったのだが、もう間に合わない。

 そもそも、年間9.6兆円しか税収がない消費税のフローを2倍にするだけでは、1000兆円を超える政府部門債務のストックは解消できない。

国債バブルは最終局面!

 日本国債は、金融商品として見ると、巨大バブルの最終局面にあることは明白である。

 第1に、ファンダメンタルは最悪である。国債を返済すべき財政は、今後さらに悪化が見込まれる。一方、国債の買い手である金融機関や年金に流れ込む国民の貯蓄が尽きようとしている。

 第2に、史上最高値水準だ(つまり、金利は最低水準まで低下している)。1992年1月に価格100でスタートした日本国債先物インデックスは、2011年1月5日で242にまで上昇した。

 さらに、その間、円高が54%も進んだから、日本国債価格をドルベースで見れば、さらに上昇する。

 第3に、規模が巨大だ。市場性国債の市場として世界最大であり、日本の株式市場の3倍近くに達している。

 日本国債下落が始まれば、世界の国債市場だけでなく、株式や不動産市場、さらには、世界の金融機関の経営と各国の財政に巨大な「ジャパン・ショック」を与え得る。

 

こうした点から見て、現在の日本国債は、1980年代末の日本の不動産・株式や、2000年代の米国の住宅・不動産・サブプライムといった、第1級バブルの崩壊前夜に似ている。

下がる時は速い!

 長い時間をかけて積みあがった巨大バブルも、崩壊する時は驚くほど速い。2008年9月14日のリーマン・ショック発生後、日米の株価はわずか3週間で半分以下となった。

 巨大暴落が金融機関の経営危機を誘発し、資金繰り不安や連鎖倒産の恐怖のために、あらゆる資産に一斉に売りが広がるからだ。リーマン・ショックの場合は、欧米政府が300兆円を負担して金融機関を救済することを発表してようやく暴落は止まった。

 ゆっくり上がり猛スピードで下がる点で、バブルの生成と崩壊はジェットコースターに似ている。そのスピードは、温暖化海面上昇と大津波くらい違う。

2011年3月末が危機になる!

 2011年3月末には、日本国債は重大な局面を迎える。赤字国債の発行ができなくなる危険性が高いからだ。

 赤字国債の発行には「特例国債法案」という予算関連法案の可決が毎年必要だが、予算そのものではないため、両院の議決が必要だ。もし野党が多数を占める参議院で否決された場合、赤字国債は発行できない。

 実は、こうした事態が日本でも過去に1度だけ起きたことがある。細川護煕内閣の時だ。当時は赤字国債が極めて少額だったため、補正予算で対応できた。

 しかし、今回は、赤字国債が最大の財源であり、否決されると本当に予算が組めなくなる。

 日本の予算が成立しないことが世界中に知られた時に、世界の債券市場の賢い人たちが何の反応も示さないだろうか?

今まで安全確実と言われてきた日本国債の発行不能状態は、日本の財政の絶望的な悪化と国債のバブル状態との異常な落差に世界の耳目を集めるだろう。

 しかも、その時に、もし国会が解散し総選挙に入って、国家の管理能力に空白が生じれば何が起きるだろうか。

 少なくとも、市場参加者には格好の「売り」の舞台を提供するだろう。その時、国民の財産と生命を守れるのか。久しく問われなかった難問に日本は直面するはずである。

国家予算を弄ぶのは亡国の遊戯!

 政治報道によれば、来年度予算関連法案を人質にとって解散総選挙に追い込むのが野党の戦略だそうだ。

 しかし、危機を目前にして国会の権能を政争の具にすることなど、氷山を前にしたタイタニック号でダンスにうつつを抜かすようなものではないか。

 とりわけ、過去20年間に財政を崩壊させた旧政権党が政権欲しさに世界経済の大混乱の引き金を引けば、市場と国際社会と歴史から厳しい指弾を受けるだろう。

 仮に、3月末の危機を政治が切り抜けたとしても、その先、事態はさらに悪化する危険性が高い。

 6月末には、QE2と呼ばれる米国金融緩和(あとで説明するがFRB=連邦準備制度の国債「全量買取」)が終わるためである。

 それから先は「逢魔が時」だ。計算上、2012年末で、日本の政府部門の借金が国民の純金融資産を上回る。その中で日本国債を買い増すのは、(日本の株価が最高だった)1989年末に日本株を買うようなものだ、と思う投資家もこれから増えるだろう。

臨界点は迫っている。

国債暴落そのものが財政を崩壊させる!

 下落が始まれば、国債はどこまで下がるのだろうか。例えば、金利が1%上昇すれば国債インデックスの価格は5.5%下落する。

 1970年代末に代表銘柄の「ロクイチ国債」は3割暴落した。当時は、国債の残高は小さかったから暴落の影響は小さく、1980年代の成長と税収の伸びで財政は再建された。

 しかし、現在、政府の借金はGDPの2倍に達し、今後、未曾有の人口減少・高齢化と経済衰退が予想される。それなのに、日本国債の価格は史上最高だ。下落幅の予測が難しい。

 仮に国債が3割下落すれば、日本の金融機関や年金には200兆円近い損失が発生する。多くの金融機関が破綻するだろう。

 とりわけ暴落に弱いのが、国債の最大の保有者であるゆうちょ銀行だ。資産の9割近くを国債で(総額160兆円も)運用しているうえ、現金は5兆円ほどしかなく、自己資本(自己資本に組み入れた国債分を除く)も8兆円しかない。

 国債が値下がりすれば、すぐに自己資本不足に陥る。いったん、ゆうびん貯金の解約が大量に起きれば現金が底を尽き、国債を売る以外に解約に応じる資金が捻出できない。

 しかし、大量の国債売却を実行すれば、さらなる国債暴落を呼び手持資産が減少し、貯金が払い戻し不能になり破綻するだろう。「ゆうちょショック」の発生だ。

 筆者が2005年の郵政特別国会の最初の参考人として指摘し、別の会合で当時の生田正治総裁が「その通りのリスクがあります」と筆者に答えた構造的な問題だ。郵政民営化はこの根本問題を未解決のままだ。

 そして、国債を70兆円持つ、かんぽ生命も経営危機に陥るだろう。このほかにも、国債を80兆円持つ公的年金も資産が大きく減少するはずだ。もちろん、民間の金融機関も、国債への集中度合いが高いところは、経営危機に陥るだろう。

金融機関の破綻は財政負担に直結する。個人向けの預貯金や保険・年金は一定限度まで政府が保証している。損失を政府が肩代わりするのだから、仮に国債が3割下落すれば、100兆円を超える財政負担が新たに発生するだろう。

「ジャパン・ショック」が発生する!

 その時は、赤字国債の発行しか救済財源はない。しかし、その時は、これまでの国債の主な買い手である金融機関や年金が破綻しているのだ。とても、巨額の国債を買い入れる資金などない。

 かといって、今さら日本救済のために日本の国債を買うことを外国人に期待することもできない。

 そもそも、与野党の合意がなければ、ねじれ国会では赤字国債の発行そのものが承認されない。そうなると財政負担での金融機関の救済ができず、本当に、預貯金や保険が返ってこなくなる。

 日本は金融恐慌に突入するだろう。取り付け騒ぎが全国で起き、銀行だけでなく、証券取引所も閉鎖となるかもしれない。

 2008年のリーマン・ショックでは、米国EU諸国が300兆円の財政負担を実行したから恐慌は防げた。

 しかし、日本国債の暴落は国債消化の限界で起きる。このままでは、日本は財政負担での救済ができず、日本の金融財政システムは破綻する。

 その時は、GDP比で戦後最高レベルにまで積み上がった欧米の国債市場も同時に暴落し、瞬時に世界の株式や不動産の暴落と金融危機の連鎖反応を誘発するだろう。「ジャパン・ショック」の発生である。日本は戦後初の金融恐慌を起こす国になってしまう。

65年ぶりに「暴落シフト=国債全量買取」に踏み切った米国

 既に暴落シフトを敷いているのが米国だ。FRBはリーマン・ショックから今年6月までで、200兆円もの国債や証券化商品(MBS)を米国の金融機関から買い取る計画を実行中だ。

 これで、FEBのバランスシートは300兆円に達する。米国人が持つ国債の金額に等しくなる。国債の「全量買取」である。

 米国には過去の成功体験がある。FRBは終戦直後の1946年から5年間に国債の全量買取を行って金融危機を回避し、インフレも起こさず、戦後の繁栄の基礎を築いた。

 終戦当時の米国は、金融機関が保有する戦時の長期国債がGDPの1.4倍に達していた。今の日本と同じ水準だ。

 

戦後復興によって景気が回復し金利が上昇すれば長期国債が暴落し、金融機関が破綻して再び大恐慌の悪夢が繰り返す。かといって、金融機関を財政で救済すれば巨額の負担が発生する。

 しかし、FRBが全量買取して持っていれば、国債が暴落してもFRBのバランスシートに損失が発生するだけだ。FRBの穴は、FRB自身が新規の通貨を増発して埋めればいい。

 一方、金融機関に供給した資金は適切に吸い上げてインフレを起こさせない、という方針を立てた。

 当時の米国はその通りに実行した。FRBが金融機関から戦時国債を買い取った。一方、FRBから資金を得た民間金融機関は旺盛な民間投資を実行して、米国経済の黄金の50~60年代の高度成長が始まった。

 国債全量買取の終了時に生まれたFRB財務省の合意がアコードだ。最大の危機は成長への大チャンスに変わった。米国のすごさだった。

 その一方、終戦直後の日本は100倍のインフレを起こして戦時国債を紙くずにし、国民の「国債不信」を生んだ。今でも、お年寄りの中には「国債はとんでもなく危ないもの」という人たちがいるのはそのせいだ。

 英国も、過大な戦時国債に手をこまぬいて処理せず、戦後経済は衰退した。金融政策の成否が、米英の戦後経済の明暗を分けた。

金融危機対応を進めるFRBバーナンキ議長!

 ベン・バーナンキ議長のFRBは背水の陣を敷いている。

 米国民主党は議会少数派に転落した。リーマン・ショックの処理に要した70兆円の財政負担は議会の保守派から批判されている。

 バラク・オバマ政権が、将来、国債暴落が金融機関の破綻につながった時の財政負担に共和党が支配する議会の承認を得るのは困難だ。

 とすると、国債暴落が起きた時の金融システム破綻を未然に防止するには、「全量買取」という中央銀行の伝家の宝刀に頼る以外に選択肢がない。

 インフレと金利上昇リスクは高まっている。既に中国やインドなどの経済は高度成長軌道に戻った。米国ですら、戦後最大の金融緩和策によって景気は回復に向かっている。

石油価格は再び1バレル100ドルに近づき、穀物価格も史上最高値に迫る。先進国は通貨安競争を繰り広げた。しかも、PIIGSと蔑称されるEU諸国の国債不安はくすぶったままだ。世界の債券市場暴落の条件には事欠かない。

 こうした状況を理解したFRBバーナンキ議長は、金融危機に備えて「無限に通貨を供給し得る」という中央銀行のラストリゾートを65年ぶりに使っている。

 現在、FRBは、月間の国債発行額1100億ドルを上回る1300億ドルの国債を毎月買っている。国家の仕組みをよくわきまえた大胆な行動である。

 一方、ねじれ国会によって国債発行そのものが不能になる事態を目前にして、日本の中央銀行は、一体いかなる行動を取っているのだろうか。

より深刻なのに行動しない日銀!

 日本の中央銀行たる日銀が深刻な危機意識を持っているとはとても見えない。

 リーマン・ショック後に国債やMBSを200兆円も買い増したFRBに対して、日銀はなんと30兆円もバランスシートを縮小した。

 この日米金融政策ギャップが、過去2年の激しい円高・デフレ、マイナス成長・税収不足の主因となった。ようやく昨年、日銀は渋々5兆円のバランスシートの拡大を行ったが、むろん焼け石に水である。

 そんな状態だから、米国に倣って金融機関や年金が持つ600兆円の国債を「全量買取」することなど全く考えていないだろう。

 米英にもない「日銀券ルール」というものを持ち出して、長期国債の保有は日銀券の範囲を超えられないと言い張っている。国債の保有をこれ以上増やさないと主張しているのだ。

 しかし、金融システムの安定は日銀の根幹業務なのである。同盟国・米国が最後の手段に打って出ている時、手をこまぬき、小出しの対策を逐次投入(英語では、too little, too late)するだけであれば、日銀の無策によって、日本経済が一面の焼け野原になる事態を迎えることになるだろう。

 そして、日銀の正副総裁や政策委員の任命権者たる政府には、日銀に義務を果たさせる重大な責任がある。

日銀がことあるごとに振りかざす「独立性」という、まるで戦前の軍部の「統帥権」のような言葉に呪縛されて行動を起こさなければ、政府の不作為責任は重大だ。

日本も危機を大転換のチャンスとせよ!

 米国の戦後は、FRB国債を全量買取して金融危機を未然に防止し、金利連動国債などを活用してインフレも起こさなかった。FRBから銀行に供給された資金は民間の成長に投資され、戦後の高度成長が始まり、経済と財政が再建された。

 一方、日本の戦後はインフレを起こして戦時国債を紙くずにしたところから始まった。虎の子を紙くずにされた国民の怒りが赤字国債の発行を「原則」禁止する法律を生み、ために、赤字国債の発行には、両院の議決が毎年要るのである。

 それでも、終戦直後の日本は若かった。復員とともにベビーブームが始まり、人口が急増し、日米同盟と太平洋ベルト地帯での輸出国家モデルが戦後の経済成長を生んだ。

 しかし、これから老いが進み人口が減る今の日本にそんな元気はない。

 ここで日銀の無策や政治の混乱によって金融・財政システムが崩壊すれば、経済大国日本は終焉を迎えるだろう。そうなれば、これから人口が急増し資源・エネルギー・食料不足を迎える世界の中での日本人の生活はとても難しいものになってしまう。

国債「全量買取」からの具体策!

 日本経済を救うには、日銀が国債の「全量買取」に踏み切る以外に方法はない。具体的には、日銀が、今後3年間、年間200兆円、金融機関や年金から既発国債を購入する。合計600兆円だ。

 一方、政府は価格下落のリスクのある長期国債の発行をやめ、下落リスクのない短期国債と金利連動国債にすべて切り替える。

 日銀は、過大な通貨供給を制御するために、金融機関や年金が持つ国債の一部を現金でなくこうした下落リスクのない国債と交換し、インフレを防止する。

 政府と金融機関や年金は、「脱国債」の投融資を進め、今後の高齢化社会に適合した分散化型の地域開発や環境技術や新エネルギー、食料、インフラなどの分野に投資して、新しい成長企業を育てていく。

 地域に競争を促して海外からの資金や人材は積極的に受け入れ、また、世界に売り込める人材を地方に育てる。

当然、日本国内だけでは成長に限界があるから、新興国での地域開発やインフラ投資をシンガポールなどに負けずに進め、日本企業の成長基盤を高め、また、新興国の成長を高める。

 こうした真に有効な「地域発展戦略」「高齢化戦略」「新企業戦略」「国際投資戦略」「新エネ・農林水産戦略」などに金融機関と年金が投資して「成長戦略」を進めれば、企業所得と国民所得が持続的に向上し、老後も子育ても安心できる地域が開発され、エネルギー・食料の自給率を高める方向性が固まる。

 そこから、税収の持続的な向上が可能になる。

 こうした方向性を確認したうえで、現役世代を直撃する所得税や法人税から全世代が負担する消費税などに税収の中心を移し、持続可能な均衡財政を実現する。

国債ゼロの国へ!

 かつて、日本の誇りは赤字国債がないことだった。今はま国債で沈みかけている。

 今も国債発行ゼロの国がある。シンガポールだ。シンガポール社会保障基金は、国家戦略ファンド(SWF)として有名なTamasekやGICを通じて、全て長期成長をする対象に投資されている。

 だから、日本最大の不動産投資家の1つがシンガポール政府だ。中国でも天津などで環境未来都市を展開する。

 日本では、環境未来都市にも高齢化対応地域の開発にも、公的年金ゆうちょ銀行やかんぽ生命の資金は一銭も出ない。だから、シンガポール政府に資金をお願いに行く、というマンガのような状況が日本の金融の現実だ。

 かくして、中国からも遠く離れた赤道直下、淡路島と同じ広さの人口400万人の島国シンガポールの1人当たり国民所得は日本よりも高い。国債ゼロ、長期資金は成長戦略投資という戦略を営々と続けてきた結果だ。

 日本も、借金を将来の世代に背負わせるのを止め、もう一度赤字国債ゼロの国に戻り、長期の貯蓄は長期の成長に投資する、当たり前の国に生まれ変わる今が最後のチャンスだ。


 

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