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週刊SPA!7月23日(金) 11時 7分配信
★都会の[田植え男子]の主張
現在、田んぼをとりまく状況は明るくない。農業ジャーナリストの大野和興氏は「コメ作りの現場はどこも高齢化が進み崩壊寸前。あと5年持つかどうか……」と危機感を募らせる。
「どこの農村でも困っているのは、とにかく人手が足りないこと。よく『耕作放棄』という言葉がメディアで使われます。しかし本当は、農村の人々は耕作放棄しているのではなく、続けたくても続けられないのです。コメの価格が安すぎるため、作れば作るほど赤字になる。また、昨年の農業就業人口の平均年齢は65歳で、そのうち70歳以上が48%という状況です」
大野氏は「多くの若者が農村に行くようになれば、この状況も変わるかもしれない」とも語る。
「そのために重要なのはマッチングです。農業を志す若者をいかに市場に繋げるかということ。政府や農協がやりたがっている国際競争力をつけて外国に農産物を売っていこうというのは古い考え。むしろ、食糧を自給したい都市の若者と、土地を荒廃から守りたい農村の人々が繋がることのほうが現実的です。
コメ作りで忙しいのは、苗床作りや田植え、草取りなど、ある程度時期が決まっています。そうした時期だけでも都会の人が作業をしに来てくれれば、だいぶ助かる。都市に拠点を置きながら、関われるときに農業に参加するだけでも、意義は十分あるかと思います」
普段は大学院で癌の研究、休日はコメ作りを始めた男を直撃!
千葉県県匝瑳(そうさ)市にある農園「アルカディアの里」。ここに、都会で働きつつマイ田んぼでコメを栽培する人々が集まってきている。
「自分が作ったコメは、どんな高級なコメよりうまく感じます」と語る木村真さんもその一人。都内の大学院で癌の研究をしている木村さんは、手伝いを数人呼びながらも、ほぼ一人で1反(約1000平方メートル)のコメを育てている。
「コメ農家の高齢化、食料自給率の低下に危機感を持ち、自分の食べ物は自分で作りたいと思ったんです。安全な食糧を今後もずっと手に入れられる保証はないぞと。実際にやってみると、とにかくすごく気持ちがいい。普段は研究室にこもっているので、土や水や生き物など、リアルなものに囲まれることで、気持ちが解放されます。足腰も強くなり、運動不足の解消にもいい」
■【アルカディアの会】千葉県匝瑳市大寺1767 問:0479-74-0009
ホタルも復活しました…里山保全のために「田んぼ」無償提供
この農園を運営する「アルカディアの会」は7年前に設立、発起人は地元に住む画家の青木栄作さん。周辺農家から土地を提供してもらい、田んぼを無料で貸している。現在は9団体が借りていて、指導を受けながら無農薬米を作っている。田んぼの近くには休憩所も開放され、炊事場を使ったり農具を借りたりもできる。至れり尽くせりだが、なぜ無料でそこまでしてくれるのだろうか?
「先祖から受け継いだ土地が荒廃していることに、農家の人たちも心を痛めているのです。そこで、都会の人にコメ作りを体験してもらいながら、田んぼの保全・里山保全に協力してほしいということで始めました」と青木さんはその理由を説明する。
「かつてはどこにも豊かな里山がありましたが、近年急速に荒廃してきました。エネルギー資源として活用されていた薪や炭に代わってガス・石油が使われるようになり、山の手入れをする人がいなくなりました。そして、コメを作っても儲からず、若者は都会に出ていって働き手がいなくなり、田んぼも荒れてしまいました。昆虫や鳥、植物など、生き物の種類も少なくなりました」
田んぼを復活させ森の手入れを進めると、数年で驚くほど多くの生き物が戻ってきたという。
「ここ3年でホタルも復活しました。川シジミも戻ってきつつあります。トウキョウサンショウウオやニホンアカガエルなどの絶滅危惧種や、キンラン、ギンランなどの希少植物も増えましたし、エサを求めてコジュケイやカワセミ、シラサギなどもやってくるようになりました。森の手入れが進むと、カシタケ、シメジ類など天然のキノコも復活しました」
「アルカディアの里」では月1回、周辺の森の間伐を行っている。
「そもそもこの事業を始めたのは、田んぼを含む里山全体を保全するためです。でも、都会の人にいきなり『里山保全をしたい』と言っても来てはもらえない。最初は『自分たちの食べるコメは自分で作りたい』でいいんです。そのうち、コメを作るにはいい水が必要だ、その水をつくるには森の手入れが必要。そうやって少しずつ里山保全に力を貸してくれるようになればいいなと思っています」
借り手の募集は表立っては行っていない。信頼関係のできた人にだけ貸している。
「最初だけ熱心にやって、放置されても困るので。『この人だったら田んぼを守ってくれる』と見込んだ人にお貸ししています」
企業の有志で借りているケースもある。環境コンサルティング会社「アミタ」では、総勢60人ほどで、1反弱を借りている。「あみたんぼ」と称するこの田んぼの実行委員会・奥陽介さんはこう語る。
「ウチの会社は環境ビジネスをやっているのに、僕らには一次産業の実体験がまったくないじゃないかと。実際にやってみることで、自分の仕事にリアリティが出て、取引先への説得力も増します。先輩や他部署の人など、社内のコミュニケーションがとれるようにもなりました。社外の人も自由に参加できるので、友人も一気に増えました。僕はここで彼女ができましたよ(笑)」
アミタ東京本社では、この田んぼのコメを使った「あみたんぼ米ランチ」を食べられるという。
「コメ作りを始めてから、食べ物に気を使うようになりました。主食を玄米に替えたり、無農薬の野菜を食べるようにしたり」(奥さん)
【あみたんぼ ブログ】http://amitanbo.blog61.fc2.com/
IT会社を経営する吉田基晴さんは、出版社社員の嶋田崇孝さんらとともに1反(10畝(せ))の田んぼを借りている。
「私の母方の実家は徳島県の農家でしたが、後継者がいなくなり、江戸時代から受け継がれている里山の水田を廃棄してしまいました。こうした地方の廃棄田を何とかしたいと思っていました。当社は徳島支社があり、徳島でなら例えば週2~3日はITの仕事、残りは農業という働き方もできるのではないかと。水田や環境の維持、そして食の問題に携わっていくため、まず自分が1~2年やってみようと思いました」
「コメを育てるプロセスは仕事や人生にも共通する。チームワークも必要だし、手を抜いたり、中途半端にやっていると自分に跳ね返ってくる。それから、朝早く起きるので、生活スタイルが自然と朝型に変わりました」(嶋田さん)
池袋でオーガニックバーを経営する高坂勝さんは、夫婦で3畝の田んぼを借り、週1度のペースで通っている。家族3人が1年間食べられるコメが穫れるという。
「田んぼを始めて、夫婦仲もよくなりましたよ」と高坂さん。
「ケンカしていても、無心で作業をしていると気持ちも落ち着きますし、お互い協力しないとできない作業なので自然と会話も生まれます。それから、コメ作りって都会の生活よりも男女の役割がはっきりしてるんです。例えば、用水路の水をせき止めたりする力仕事は男の役目。4回挑戦してやっと成功したときには、私の株も上がりました(笑)」
「頼もしかった。この人と結婚して良かったと改めて思いました。この先、何があっても生きていけるなって」(妻の早苗さん)
高坂さんはコメ作りを始めて2年目。今年から「冬期湛水・不耕起栽培」でコメを作り始めた。冬の間に水を張っておき、肥料や農薬を使わず、土地を耕さずにコメを作る農法だ。雑草が少なく、強い稲が育ち、収量も多いということで近年注目されている。
「こんなに楽にできるのかとびっくりしました。去年に比べて、雑草の数が3分の1に減ったんです。去年は2時間かけてやった作業が、今年は30分で済みました。この農法なら、自分たちが食べるくらいのコメは簡単に自給できる自信がつきました。畦には大豆を植え、味噌や納豆も作っています。味噌は米麹を使いますし、納豆を作るのには稲藁を使う。コメと大豆は非常に相性がいいんです」
最初から「マイ田んぼ」を持つのは敷居が高い……という人々でも、気楽に農業体験ができるプログラムがある。東京から高速バスで約2時間、千葉県鴨川市にある多目的農園「鴨川自然王国」では、日帰りや1泊2日で、棚田の農作業を体験できる「棚田チャレンジ」を主催している。田植え、そして草取り、稲刈りまでの農作業に1回だけ参加することも可能で、作業に多く参加した人が多く分け前をもらえるという仕組み。
この日参加した「田植え男子」は、IT関連の会社に勤めている西賢治さんと、バイオテクノロジー関連の機材販売会社に勤める池田裕二さん。2人は、今年の環境イベント「アースデイ」でこのプログラムを知ったのだという。
この日の作業は田んぼの草取り。田んぼ用の長靴もあるが、皆あえて裸足で田んぼに入っていく。「田んぼの泥がけっこう気持ちいいんですよ」と鴨川自然王国理事の林良樹さんは語る。この田んぼでは、環境や食の安全を重視して、除草剤は使用しない。男女でペアを組み、「田車」と呼ばれる手押しの草刈り機と手で雑草を抜いていく。抜いた草は田んぼの外に投げ捨てるか、田んぼの泥の中に埋める。「これはメタボ対策になりますね」と西さん。田車を押すのは意外に力がいるのだ。一方、昆虫好きな池田さんはどんな虫がいるかが田んぼでの作業の楽しみの一つらしい。
「農薬を使っていないから、いろいろな生き物がいます。都内では絶滅してしまったゲンゴロウの幼虫もいるんですよ。今後、もし機会があれば学生時代に実験していた、除草剤の代わりにカブトエビを使う農法も試してみたい」
「一人で黙々と草取りするのは大変ですが、皆で作業すると楽しいですし、早いですね」と林さん。
作業の後は、のどかな田園風景を眺めながらビールを飲む。
「農作業の何がいいかって、体を動かした後の酒や飯がうまい」と西さんも上機嫌だ。
「先日は土日に泊まりで来たんですが、夜はホタルが飛んでいて、それを眺めながらビール。すごく贅沢な感じでした」(池田さん)
【棚田チャレンジ】http://www.tanemaki.jp/45
★“サーフィン&コメ作り”限界集落、農村の新しい観光の形!
「今度は、午前中から昼にかけて農作業、その後に海に出てサーフィンしようか?」と林さんが2人を誘った。
「楽しい、おいしい、嬉しいというのがキーワード」と言う林さんは、このプロジェクトの目的をこう説明する。
「農業は汚い・貧しい・辛いというこれまでのイメージを変えていきたい。この一帯は、伝統的な棚田が維持され、今も雨水だけで小規模なコメ作りをやっている地域なんですが、これまで政府や農協が進めてきた米国型の機械化・大規模化の流れの中では『お荷物』として見捨てられ、耕作放棄地がどんどん増えています。そこで、小規模で作業効率が悪いという部分を逆手に取ったんです。あえて多くの人々が関わることで、都会の現代人が失っている共同作業の一体感、お祭り的な面白さを味わってもらう。レジャーとしてのコメ作りというのは、新しい観光の形じゃないかと思います。農村にとっても、都会から若い人たちが来てくれたら、伝統的な農法や文化を維持できる」
鴨川自然王国の一帯も、65歳以上が人口の半分を超えるという「限界集落」の典型的な状況だ。
「そこに若者がいるというだけで限界集落が希望集落に変わっていくのです。一人でも多くの人々が来てくれるよう、敷居をどんどん下げていきたいですね」(林さん)
★合コンでの受けもいい!「田んぼ&畑で出会い」密かなブーム!
ここ最近増加中の農業イベントが、新しい出会いの場としても人気が出てきている。昨年あたりから増えてきているのが農業合コン、通称「農コン」。街の中ではなく、田んぼや畑を舞台に、農作業をしながら出会いを探そうという企てなのだ。
東京近郊で密かに流行りだしたこの企画は、小規模な有機農家などが主催することが多く、参加者には農業や食に関心の高い若者が多い。例えば、千葉県いすみ市の自給スペース&マクロビオティックカフェ「ブラウンズフィールド」で1泊2日で開催した農コンは特に女性に人気で、キャンセル待ちが出るほど希望者が殺到。また、神奈川県三浦市にある「たかいく農園」では、バレンタインデーに開催した農コンに200人を超える人が来場した。
またユニークなのは、米ともLLP(有限責任事業組合)が企画運営する「米トモ!」。新潟県長岡市の田んぼを舞台に、都会で働くアラサー女性と田舎の農家男性の出会いを提供している。年間で3回以上の田んぼ作業を企画しているが、昨年はなんとリピーター率100%。「婚活米」と名付けられたそのコメは、活動の最終回に東京・表参道で参加者の手で販売された。
「田植え男子は、合コンでの受けもいい」と語るのは、出版社勤務のSさん(30歳)。
「合コンで『趣味は田んぼ』と言うと女のコの食いつきがすごくいい。『じゃあ今度ウチの田んぼに来てみる?』なんて、下心を感じさせずに誘えます」
それでは、田んぼでモテる男とはどういうタイプなのか? 会社名とか年収とか話術とかルックスとかは、あまり関係ない……と思いたい! というわけで、女性側の意見を聞いてみた。
「重い苗床を持ってくれたり、力仕事をさりげなく引き受けてくれたりしたらキュンとしちゃいます」(Yさん・28歳)
「力仕事のときの腕の筋肉や汗にグッとくる」(Tさん・30歳)
「農業や生き物に関する知識が豊富だったり、みんなが嫌がる草取りを黙々としていたりする姿に、普段とは違った魅力を感じた」(Yさん・24歳)
「家族連れで来ている子供への対応も、しっかりチェックしています」(Nさん・28歳)
総じて女性側の意見も、田んぼでモテるタイプは都会とは違うとの意見が多かった。田の力と書いて男と読む。そんなオトコヂカラを発揮すれば、女子の目の輝きも変わってくるはず。頑張れ、田植え男子たち!
【農業イベント】8月28・29日「茶畑農コン@藤枝」(静岡県)、9月25日「稲刈り@渡良瀬エコビレッジ」(栃木県)、10月2日「稲刈り@森の暮らしの郷八ヶ岳」(山梨県)問:リボーン
http://reborn-japan.com/domestic/1915
メール eco-tourism@reborn-japan.com
★コメ作り崩壊阻止、生態系保全…田植え男子の社会的意義とは!
なぜ今、田んぼがブームになっているのか? 「はじめる自給」「大豆レボリューション」など、若者を農業の現場へ次々と送り込んでいる仕掛け人・ハッタケンタロー氏は、「若者が安心できる繋がり、コミュニティを求めているから」とみている。
「いつも時間に追われ、いつも同じ場にいて、いつも込み入った人間関係に苦労している。そういうストレスから自分を解放する場所として人気が出てきているのでは。つまり、普段とは違う場所、人脈、そして時間の感覚。それから、生活への不安も大きいのでしょう。『自給』という言葉は『自ら糸を合わせる』と書きます。単なる食料の確保だけではなく、人と人の繋がりも確保したい。不安な現代のセーフティーネットのような存在なんじゃないかと思います」
★世界に誇れる農業文化「田んぼ」守ることは生態系を守ること!
さらに、田んぼが荒れることによる生態系の破壊も問題になっている。
「田んぼが地域ごとの生態系の中でしっかりとあることが重要。温暖化や食糧危機の発生などを考えても、田んぼの維持はもはや安全保障の問題ですらあると思う」
こう語るのは「人と自然の研究所」の野口理佐子氏。
「田んぼは人間が作ったものですが、二次的自然として生態系の一部となっています。人間が関わることで、より豊かな生態系を保っているのです。これは世界に誇れる農業文化でしょう。特に、農薬を使わない田んぼは生き物の宝庫で、タガメやトウキョウダルマガエルなど絶滅危惧種の棲み処となっています。それに、田んぼの浄化能力はすごい。かつて100万人都市だった江戸を流れる墨田川が、世界のほかの大都市を流れる川と違って非常にきれいだったのも、人々の排泄物を田んぼが浄化していたからです。田んぼには水源を守るという効果もあり、豪雨のときに水を蓄え、土砂崩れを防ぐなどの治水の役割もあります」
田植え男子のニーズは高く、社会や環境に対する貢献度も高い。今こそ、田んぼで活躍する男子が求められているのだ。
取材・文・撮影/志葉 玲 澤田佳子 北村尚紀(SPA!)
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