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2010.4.25 09:56 産経ニュース

■狂躁ぶり描く驚嘆リポート

 一読して驚いた。日本での中国人の迷惑行動は承知だったが、本書はカナダはもとよりイタリアからアフリカまで世界各地の中国人の狂躁(きょうそう)ぶりを余す所なく描く。実に驚嘆すべき実態リポートである。

 ある移民コンサルタントが移民の相談をしに来た中国人に「卒業証明書は?」と尋ねたら、「どこの大学がいいか? 明日準備するから」と言われて絶句したという話が書かれている。偽造書類作成は朝飯前のツワモノぞろいの中国人世界である。中国国内では人民元の偽札問題が日常化している。銀行のATMからも偽札が出る。銀行は回収してくれない。中国の全通貨発行量の20%は偽札だと囁(ささや)かれている。

 賄賂(わいろ)による無税の収入と不動産と株売買で得た不労所得がメーンとなった中国バブル経済で突如成金となった一部富裕層は、先進国に永住権を求めて世界中に飛び出した。彼ら中国人は中国人を信用していないし、中国を愛してもいない。あらゆる手段で他国に寄生し、非常識と不衛生と厚顔無恥な振る舞いのオンパレード。納税してもいない先進国で、教育も医療も同等の待遇を得ようと、がむしゃらな打算で欲望のままに生きようとする。自国との関係は投資目的だけ。自国の民主化なんかどうでもいい。

 私は非社会的な個人主義者である中国人がなぜ現在世界中から恐れられているようなまとまった国家意志を発揮できるのか今まで謎だった。しかしこのリポートの恐るべき諸事実を読んで少し謎が解ける思いがした。法治を知らない民の個々のウソとデタラメは世界各地に飛び散って、蟻が甘いものに群がるように他国の「いいとこどり」の利益だけしゃぶりつくす集団意志において、外からは一つにまとまって見えるだけである。

 「ウソでも百回、百カ所で先に言えば本当になる」が中国人の国際世論づくりだと本書は言う。既に在日中国系は80万人になり、この3年で5万人も増えている。有害有毒な蟻をこれ以上増やさず、排除することが日本の国家基本政策でなければならないことを本書は教えてくれている。(産経新聞出版・1365円)

 評・西尾幹二(評論家)



*中国、国防動員法施行 軍への政府の影響力拡大 !

2010.7.1 19:38 産経ニュース

北京=矢板明夫】有事の際に軍務を優先し、国と軍が民間のヒトとモノを統制する「国防動員法」が、1日から中国で施行された。1990年代から進められた国防に関する法整備の一環で、共産党支配下にある国防分野への政府の影響力が拡大された点が、注目されている。一方、「有事」の規定はあいまいで、中国に進出している外資企業も同法に基づき統制の対象になる可能性もあり、懸念の声があがっている。

 今年2月に全国人民代表大会常務委員会で可決された同法は、97年に施行された安全保障の基本法である「国防法」を補完するものと位置づけられ、日本が戦前に制定した「国家総動員法」(38年)の狙いとほぼ同じだと指摘されている。

 49年に建国された社会主義の中国は当初、企業や建物などをすべて公有化し、労働者を公務員のように扱ったため、国は自由に物資を調達し人を動かすことができた。だが、78年に始まった改革開放以降、民営や外資系企業が急増し、社会が多元化したため、有事の際の法整備の必要性に迫られた。

 今回の法律には「国務院(政府)と中央軍事委員会が、共同で全国の国防動員工作を指導する」と、政府の国防分野への影響力行使が明記された。巨大な組織と軍事力をもつ中国の軍事機構は、これまでは完全に政府から独立し、共産党の中央軍事委員会の指揮下にあった。

 このため、2008年5月に起こった四川大地震の際も、いち早く現地入りした温家宝首相は軍を動かすことができず、その4日後に、軍事委員会主席を兼ねる胡錦濤国家主席が到着してから、ようやく軍民一体の救援態勢が整ったといわれている。

 一部の香港メディアは、国防動員法によって「四川大地震のときの教訓が生かされ今後、有事の際に政府も軍を動かすことができるようになった」と解釈している。これに対し「共産党が軍の国家化を認めるはずはなく、拡大解釈だ」と否定する見方もある。

 同法にはまた、市民からの財産収用を制限する条項や、建物などを使用した後に損害を補償する条項などが盛り込まれている。この点について「法治国家に向けわずかながら前進した」(北京在住の弁護士)と評価する声もある。

 同法の前提である「有事」についての規定はあいまいだ。「国家の主権、統一、領土が脅威に直面するとき」と書かれているだけだ。チベット、ウイグル族など少数民族地域での騒乱や、大規模な民主化運動が発生したときなどにも適用される可能性がある。

 また、国防動員委員会総合弁公室の主任、白自興少将は記者会見で「外資、合弁企業も、国防動員における生産を担うことができる」と述べ、日本を含む外国系企業も法律の適用対象であることを明言した。具体的な条項としては「民間企業には、戦略物資の準備と徴用、軍関連物資の研究と生産に対する義務と責任がある」という部分だ。

 北京の米大手メーカーの関係者は「中国が外国から侵略を受けたときに協力させられるのは理解できるが、民主化運動や少数民族弾圧などにも手を貸せといわれたらかなわない」と話している。
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