平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点)
平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中!
無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』
http://www.uonumakoshihikari.com/
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軍師を仕立て三位一体の戦略を! 2009.06.20(Sat)川嶋諭
本日から2日間の予定で開催されている「第8回産学官連携推進会議」で、妹尾堅一郎・東京大学特任教授は、オープンイノベーションについてキーノートスピーチをする。それに先立ち、このコラムでは妹尾教授に日本におけるイノベーションモデルのあり方を2回にわたって聞いてきた。最終回の今回は、先進国との連携のあり方、新興国や発展途上国とはどのようにつき合うべきかなど、ディフュージョン(拡散)にとって不可欠な国際戦略を中心にお伝えする。
NIESやBRICsを取り込んで事業組み立てた欧米諸国!
問 前回はイノベーションにはディフュージョンが欠かせないことをインテルの例を中心にご説明いただきました。グローバル化が進んだ現在、それは緻密な国際戦略が必要になっているということだと思います。先進国や新興国、発展途上国とでは、その場合の取り組みも大きく異なってくるでしょう。先生はどのようなディフュージョンのあり方が日本にとっては必要だと考えていますか。
妹尾 日本の戦略を練るには、欧米がどのような戦略を取ってきたかを目に焼きつけておく必要があります。そこから説明しましょう。
欧米企業は、イノベーションを効率的かつ加速度的に起こすために、NIES(新興工業経済地域)やBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の力を利用しました。ここにはコストが安くて生産性の高い労働力があります。また、今後の発展を期待するまでもなく非常に大きな市場があるのです。なにしろ数十億人という人口を抱えています。
欧米企業はここに拠点を設け、製造はほとんど委託してしまった。開発は欧米、製造はこうした国々という分業体制を作ったのです。言葉は悪いですが、かつての植民地政策的な考え方で推進していきました。
ただし、昔と決定的に違うのはNIESやBRICsの人たちがそれを喜んで受け入れているということです。製造工場ができることで雇用が生まれ所得が上がる。そして経済が発展するという好循環をもたらしたからです。
かつての植民地政策を垂直分業とするなら、水平分業まではいかないので、斜形分業とでも名づけましょうか。
植民地支配時代とは違うウイン・ウイン関係の斜形分業!
問 斜形分業とは面白い言葉です。しかし、日本もASEAN(東南アジア諸国連合)や中国に製造拠点を設けて製造はかなり移管していると思います。不十分ですか。
妹尾 根本の発想が違うのではないでしょうか。欧米企業は製造部分はオープン化させて任せてしまう方式です。日本の場合は日本のある部分を持って行ったという程度でしょう。しかも日本企業として現地で生産している場合がほとんどです。
欧米企業は、もはや製造部門は持たず、NIESやBRICsの企業に移管してしまいました。もちろん一部、自前で作っているところもあるでしょう。こうしてこれらの国々と持ちつ持たれつの強い関係を作ってしまった。その意味が大きいのです。
日本の場合は中途半端なので、欧米とNIES、BRICsのような強い関係が作れていない。
問 製造は新興国に移管、つまり丸投げしてしまうことで、自分たちは開発に特化、開発のスピードが上がり、新興国では逆に製造に特化しているので、製造のスピードや効率、品質管理の向上が一気に進むわけですね。
妹尾 そうです。欧米とNIES、BRICsがそのような関係を作ってしまった仕組みの中に中途半端に日本が出て行けばどうなるか。私は日本が独自の仕組みを作ることができずに、欧米の作った仕組みの中にうまく取り込まれてしまうと思います。
実際に欧米の企業は日本にラブコールを送っていると思います。彼らは日本の優れた技術が欲しい。それを自分たちの中に取り込んで、新興国と結んだ仕組みの中で、新しいイノベーションを起こそうと狙っているわけです。
取り込まれても構わないのかもしれませんが、その時、日本にはどのような利点があるのか、その点は考えておかなければなりません。私は個人的に、日本の技術を取られてしまうだけのような気がしてなりません。
日本は科学技術大国だが技術立国ではない!
問 欧米と新興国が作ったタイトな協調関係、これこそがイノベーションの一部というわけですね。その中に日本が入っても歯車の1枚にされるだけで得策ではないと。それでは、これだけの開発力、技術力のある日本はどのような方策を取ればいいのでしょう。
妹尾 まさしくここを議論しなければならないのです。最も大切なイノベーションはイノベーションのモデルを作ることです。今までの日本の科学技術政策において、ここが決定的に欠落していたのではないかと思います。
もっと言うと、頭の良い政策担当者は分かっているんですよ。ところが、こういう議論が必要だとすると、今までの政策からカーブを切ることになるので、かなり大変なのです。例えば、今までに申し上げたことを敷衍すれば、実は「ニーズとシーズのマッチング」などというのは、ほんの一部の話にしか過ぎなくなってしまうからです。とはいえ、これまでのモデルを超えて新しい時代の政策立案にぜひ勤しんで欲しいところですね。
日本は科学技術大国であることは間違いがありません。しかし、科学技術立国になっているのかと言えば、明らかにノーです。立国できる政策がまだまだ不十分で、かつ旧式なものが多いからです。
実はそのために変な現象が起きています。科学技術で勝てないから、科学技術にさらに力を入れましょうとだけしがちになってしまうという点です。でも本当なのでしょうか。それだけではなく、科学技術大国を立国化するために、ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントを促進する政策を打つべきなのです。
私はこれを「江戸時代の糖尿病」と呼んでいるんですよ。
江戸時代の糖尿病治療と同じで全く逆の処方をしていないか?
問 江戸時代にも糖尿病という病気は認知されていたんですか。
妹尾 おしっこに蟻が群がることから、分かっていたようです。それで当時の医者たちは何をしたかと言うと、おしっこから糖が出てしまい体が弱ってしまうから、どんどん飴とか砂糖を取りなさいと処方したんですね。全くの逆療法です。
今の日本の置かれた状況もこれと同じではないでしょうか。既に科学技術大国とはいえ、いつ追いつかれてもおかしくない。だから、科学技術に注力するのは当然です。しかし、大国から立国へ移るためにもっと注力すべきは、ビジネスモデルと知財マネジメントといった側面なのです。科学技術を活かすためには、科学技術以外に予算を使うべきだというパラドックスを理解しなくてはならないのです。
どうすべきか。産学官がその点を建前なしの本音で真剣に考えなければなりません。きれいごとを言っていても何も解決しない。そうこうするうちに米国や欧州、中国などが国益を考えた手を次々と打ってきます。
米国のオバマ大統領が世界最大の米国を象徴する企業の1つだったゼネラル・モーターズ(GM)を潰す決断をしました。これは何を意味しているのかを日本のリーダーたちはしっかり読み解かなければなりません。GMを潰すことで次の覇権につながる手を打っているわけです。複雑なしがらみにがんじがらめにされた組織を壊し、次のイノベーションが効率的、加速度的に進むことに国家として取り組んでいるのです。
それに比べ日本はなんと能天気なことでしょうか。シリコンバレーの電気自動車メーカー、テスラ・モーターズが横浜で実証実験をすることを支援しています。敵に塩を送るようなものでしょう。さらに電気自動車について言えば、日本の電力会社は電気自動車に電気を供給するためのプロトコルで全く別々の案を提案して内輪もめ状態です。これでは電気自動車の普及が進みません。
技術、知財、事業の三位一体によるイノベーションを!
問 技術だけせっせと開発してもイノベーションは生まれない。それよりもイノベーションを生み出す仕組みに知恵とコストをかけよということですね。
妹尾 私は三位一体のモデルが必要だと思います。研究機関と知的財産を扱うところ、そして事業戦略が三位一体になってイノベーションを起こす戦略を練らなければなりません。研究機関は今まで日本が得意だった改善による進化ではなく、全く新しい急所技術の開発。
そして知財のところは標準化してオープンにするか、外には一切出さないか、それらをしっかりと使い分けるしたたかな戦略が求められます。また事業のところでは、どのようにディフュージョンを起こすのか事業拡大と収益拡大とが同時にできるようなビジネスモデルの開発をしなければなりません。
この3つをばらばらにやっても意味がなく、お互いが協調し合いながら最も効率的にイノベーションが起こる仕掛けを考える。その役目が、前にも言った軍師だと思います。この軍師に求められるのは非常に高い世界観と、もちろん技術を読み解く目が必要です。また、それにも増して交渉力というものが求められるのです。日本人が一番弱いところかもしれません。
OSをオープンソース化したアップルコンピュータの狙い!
前にインテルの例を出しましたが、あれは半導体メーカー主導で、その上のモジュール化された部品のメーカー、そして完成品メーカーを巻き込んでイノベーションを起こしたケースでした。私はこれをコマーシャルをもじって「インテル・インサイド」モデルと呼んでいます。
一方で、逆のパターンだって考えられますよね。それが実は「アップル・アウトサイド」モデルだと思います。これはスティーブ・ジョブズ氏が率いてイノベーションを起こしたアップルコンピュータのケースです。
インテルのケースと違って、ここの核となる技術はコンセプトにあります。部品の大半は日本の東芝など外の企業に任せて作り、自分はもっぱらコンセプト作りに注力した。「iPod」「iPhone」という商品はそれ自体画期的ですが、これには「iTunes」というサービスがついていて、実はここの著作権を核としたサービスビジネスとの相乗的関係づくりがアップル成功の「からくり」なんですね。
アップルはかつての虎の子だった基本ソフト(OS)をオープンソース化してしまいました。それによって様々なソフト会社がアップル向けのソフトを次々と開発してくれるようになりました。インテルのケースと同様、事業の中心はあくまでクローズにし、それ以外でディフュージョンに不可欠なところは次々とオープン化していく。
その決断ができたのがジョブズ氏です。彼がアップルの軍師であることは疑いがありません。
もっと危機感を持った議論を!
問 ジョブズ氏のような強烈な個性を持った人が日本企業の中でリーダーシップを取るのは難しいかもしれません。
妹尾 確かに。大企業の場合は可能性は薄いでしょうね。しかし、中小企業のレベルだと、その可能性はあると思っています。「第8回産学官連携推進会議」では、実はそんな中小企業の方にめぐり会えるのではないかと期待しているのです。
これまで例に出してきたインテルもアップルもまたIBMも、大きな敗戦を経験しています。日本メーカーに痛めつけられて非常に苦しい時期がありました。しかし、苦しいからこそ、次の戦略を徹底的に考えたのです。
日本は今、本当に苦しい。それをバネにしなければなりません。残念ながらまだ危機感が薄いのではないかと感じていますが、本気で考えれば日本発のイノベーションは不可能ではないと思います。そのためには産学官が本当に一体となって戦略を練る必要があります。
本日から2日間の予定で開催されている「第8回産学官連携推進会議」で、妹尾堅一郎・東京大学特任教授は、オープンイノベーションについてキーノートスピーチをする。それに先立ち、このコラムでは妹尾教授に日本におけるイノベーションモデルのあり方を2回にわたって聞いてきた。最終回の今回は、先進国との連携のあり方、新興国や発展途上国とはどのようにつき合うべきかなど、ディフュージョン(拡散)にとって不可欠な国際戦略を中心にお伝えする。
NIESやBRICsを取り込んで事業組み立てた欧米諸国!
問 前回はイノベーションにはディフュージョンが欠かせないことをインテルの例を中心にご説明いただきました。グローバル化が進んだ現在、それは緻密な国際戦略が必要になっているということだと思います。先進国や新興国、発展途上国とでは、その場合の取り組みも大きく異なってくるでしょう。先生はどのようなディフュージョンのあり方が日本にとっては必要だと考えていますか。
妹尾 日本の戦略を練るには、欧米がどのような戦略を取ってきたかを目に焼きつけておく必要があります。そこから説明しましょう。
欧米企業は、イノベーションを効率的かつ加速度的に起こすために、NIES(新興工業経済地域)やBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の力を利用しました。ここにはコストが安くて生産性の高い労働力があります。また、今後の発展を期待するまでもなく非常に大きな市場があるのです。なにしろ数十億人という人口を抱えています。
欧米企業はここに拠点を設け、製造はほとんど委託してしまった。開発は欧米、製造はこうした国々という分業体制を作ったのです。言葉は悪いですが、かつての植民地政策的な考え方で推進していきました。
ただし、昔と決定的に違うのはNIESやBRICsの人たちがそれを喜んで受け入れているということです。製造工場ができることで雇用が生まれ所得が上がる。そして経済が発展するという好循環をもたらしたからです。
かつての植民地政策を垂直分業とするなら、水平分業まではいかないので、斜形分業とでも名づけましょうか。
植民地支配時代とは違うウイン・ウイン関係の斜形分業!
問 斜形分業とは面白い言葉です。しかし、日本もASEAN(東南アジア諸国連合)や中国に製造拠点を設けて製造はかなり移管していると思います。不十分ですか。
妹尾 根本の発想が違うのではないでしょうか。欧米企業は製造部分はオープン化させて任せてしまう方式です。日本の場合は日本のある部分を持って行ったという程度でしょう。しかも日本企業として現地で生産している場合がほとんどです。
欧米企業は、もはや製造部門は持たず、NIESやBRICsの企業に移管してしまいました。もちろん一部、自前で作っているところもあるでしょう。こうしてこれらの国々と持ちつ持たれつの強い関係を作ってしまった。その意味が大きいのです。
日本の場合は中途半端なので、欧米とNIES、BRICsのような強い関係が作れていない。
問 製造は新興国に移管、つまり丸投げしてしまうことで、自分たちは開発に特化、開発のスピードが上がり、新興国では逆に製造に特化しているので、製造のスピードや効率、品質管理の向上が一気に進むわけですね。
妹尾 そうです。欧米とNIES、BRICsがそのような関係を作ってしまった仕組みの中に中途半端に日本が出て行けばどうなるか。私は日本が独自の仕組みを作ることができずに、欧米の作った仕組みの中にうまく取り込まれてしまうと思います。
実際に欧米の企業は日本にラブコールを送っていると思います。彼らは日本の優れた技術が欲しい。それを自分たちの中に取り込んで、新興国と結んだ仕組みの中で、新しいイノベーションを起こそうと狙っているわけです。
取り込まれても構わないのかもしれませんが、その時、日本にはどのような利点があるのか、その点は考えておかなければなりません。私は個人的に、日本の技術を取られてしまうだけのような気がしてなりません。
日本は科学技術大国だが技術立国ではない!
問 欧米と新興国が作ったタイトな協調関係、これこそがイノベーションの一部というわけですね。その中に日本が入っても歯車の1枚にされるだけで得策ではないと。それでは、これだけの開発力、技術力のある日本はどのような方策を取ればいいのでしょう。
妹尾 まさしくここを議論しなければならないのです。最も大切なイノベーションはイノベーションのモデルを作ることです。今までの日本の科学技術政策において、ここが決定的に欠落していたのではないかと思います。
もっと言うと、頭の良い政策担当者は分かっているんですよ。ところが、こういう議論が必要だとすると、今までの政策からカーブを切ることになるので、かなり大変なのです。例えば、今までに申し上げたことを敷衍すれば、実は「ニーズとシーズのマッチング」などというのは、ほんの一部の話にしか過ぎなくなってしまうからです。とはいえ、これまでのモデルを超えて新しい時代の政策立案にぜひ勤しんで欲しいところですね。
日本は科学技術大国であることは間違いがありません。しかし、科学技術立国になっているのかと言えば、明らかにノーです。立国できる政策がまだまだ不十分で、かつ旧式なものが多いからです。
実はそのために変な現象が起きています。科学技術で勝てないから、科学技術にさらに力を入れましょうとだけしがちになってしまうという点です。でも本当なのでしょうか。それだけではなく、科学技術大国を立国化するために、ビジネスモデルと標準化を含めた知財マネジメントを促進する政策を打つべきなのです。
私はこれを「江戸時代の糖尿病」と呼んでいるんですよ。
江戸時代の糖尿病治療と同じで全く逆の処方をしていないか?
問 江戸時代にも糖尿病という病気は認知されていたんですか。
妹尾 おしっこに蟻が群がることから、分かっていたようです。それで当時の医者たちは何をしたかと言うと、おしっこから糖が出てしまい体が弱ってしまうから、どんどん飴とか砂糖を取りなさいと処方したんですね。全くの逆療法です。
今の日本の置かれた状況もこれと同じではないでしょうか。既に科学技術大国とはいえ、いつ追いつかれてもおかしくない。だから、科学技術に注力するのは当然です。しかし、大国から立国へ移るためにもっと注力すべきは、ビジネスモデルと知財マネジメントといった側面なのです。科学技術を活かすためには、科学技術以外に予算を使うべきだというパラドックスを理解しなくてはならないのです。
どうすべきか。産学官がその点を建前なしの本音で真剣に考えなければなりません。きれいごとを言っていても何も解決しない。そうこうするうちに米国や欧州、中国などが国益を考えた手を次々と打ってきます。
米国のオバマ大統領が世界最大の米国を象徴する企業の1つだったゼネラル・モーターズ(GM)を潰す決断をしました。これは何を意味しているのかを日本のリーダーたちはしっかり読み解かなければなりません。GMを潰すことで次の覇権につながる手を打っているわけです。複雑なしがらみにがんじがらめにされた組織を壊し、次のイノベーションが効率的、加速度的に進むことに国家として取り組んでいるのです。
それに比べ日本はなんと能天気なことでしょうか。シリコンバレーの電気自動車メーカー、テスラ・モーターズが横浜で実証実験をすることを支援しています。敵に塩を送るようなものでしょう。さらに電気自動車について言えば、日本の電力会社は電気自動車に電気を供給するためのプロトコルで全く別々の案を提案して内輪もめ状態です。これでは電気自動車の普及が進みません。
技術、知財、事業の三位一体によるイノベーションを!
問 技術だけせっせと開発してもイノベーションは生まれない。それよりもイノベーションを生み出す仕組みに知恵とコストをかけよということですね。
妹尾 私は三位一体のモデルが必要だと思います。研究機関と知的財産を扱うところ、そして事業戦略が三位一体になってイノベーションを起こす戦略を練らなければなりません。研究機関は今まで日本が得意だった改善による進化ではなく、全く新しい急所技術の開発。
そして知財のところは標準化してオープンにするか、外には一切出さないか、それらをしっかりと使い分けるしたたかな戦略が求められます。また事業のところでは、どのようにディフュージョンを起こすのか事業拡大と収益拡大とが同時にできるようなビジネスモデルの開発をしなければなりません。
この3つをばらばらにやっても意味がなく、お互いが協調し合いながら最も効率的にイノベーションが起こる仕掛けを考える。その役目が、前にも言った軍師だと思います。この軍師に求められるのは非常に高い世界観と、もちろん技術を読み解く目が必要です。また、それにも増して交渉力というものが求められるのです。日本人が一番弱いところかもしれません。
OSをオープンソース化したアップルコンピュータの狙い!
前にインテルの例を出しましたが、あれは半導体メーカー主導で、その上のモジュール化された部品のメーカー、そして完成品メーカーを巻き込んでイノベーションを起こしたケースでした。私はこれをコマーシャルをもじって「インテル・インサイド」モデルと呼んでいます。
一方で、逆のパターンだって考えられますよね。それが実は「アップル・アウトサイド」モデルだと思います。これはスティーブ・ジョブズ氏が率いてイノベーションを起こしたアップルコンピュータのケースです。
インテルのケースと違って、ここの核となる技術はコンセプトにあります。部品の大半は日本の東芝など外の企業に任せて作り、自分はもっぱらコンセプト作りに注力した。「iPod」「iPhone」という商品はそれ自体画期的ですが、これには「iTunes」というサービスがついていて、実はここの著作権を核としたサービスビジネスとの相乗的関係づくりがアップル成功の「からくり」なんですね。
アップルはかつての虎の子だった基本ソフト(OS)をオープンソース化してしまいました。それによって様々なソフト会社がアップル向けのソフトを次々と開発してくれるようになりました。インテルのケースと同様、事業の中心はあくまでクローズにし、それ以外でディフュージョンに不可欠なところは次々とオープン化していく。
その決断ができたのがジョブズ氏です。彼がアップルの軍師であることは疑いがありません。
もっと危機感を持った議論を!
問 ジョブズ氏のような強烈な個性を持った人が日本企業の中でリーダーシップを取るのは難しいかもしれません。
妹尾 確かに。大企業の場合は可能性は薄いでしょうね。しかし、中小企業のレベルだと、その可能性はあると思っています。「第8回産学官連携推進会議」では、実はそんな中小企業の方にめぐり会えるのではないかと期待しているのです。
これまで例に出してきたインテルもアップルもまたIBMも、大きな敗戦を経験しています。日本メーカーに痛めつけられて非常に苦しい時期がありました。しかし、苦しいからこそ、次の戦略を徹底的に考えたのです。
日本は今、本当に苦しい。それをバネにしなければなりません。残念ながらまだ危機感が薄いのではないかと感じていますが、本気で考えれば日本発のイノベーションは不可能ではないと思います。そのためには産学官が本当に一体となって戦略を練る必要があります。
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