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インテルと日本の電機メーカーの格差はなぜ生じたのか!

2009.06.19(Fri)JBプレス 川嶋諭

 前回、戦略性がないために、現時点でいくら技術力があっても日本の将来は真っ暗だと第8回産学官連携推進会議の旗振り役の1人、東京大学の妹尾堅一郎・特任教授は言い放った。それでは日本はどのような戦略を描けばいいのだろうか。

問 少し復習すると、オープンイノベーションが大切だからと言って、闇雲にそれに突っ走るのは危険だというお話でした。成功するための青写真をきちんと描くべきだと。戦略性の差が如実に現れている事例は何かあるでしょうか。

諸葛孔明が軍配を振っていたインテル!

妹尾 軒並み大きな赤字に悩む日本の半導体(電機)メーカーに対し、独り快調な経営を続けているインテル。これは、まさに戦略性の違いと言えるでしょう。

 こう言うと、決まってインテルにはマイクロプロセッサーの知的財産が豊富にあるからだろうという意見が出てきます。でも本当にそうでしょうか。実は、各社の半導体に関する特許の数を比較した研究があります。

 半導体特許と一概に言っても定義が様々なので正確な数字の比較は難しいのですが、そんな数字が意味を持たないほどの差がありました。圧倒的にインテルの勝ち。そう思う方が多いかもしれません。ところが、全く逆でした。

 日本メーカーは1社で平均して2000弱、全体では1万件以上の特許を持っています。ところが、インテルの特許は320件ほどしかなかったのです。これはどういうことなのでしょうか。

 桁違いに少ない特許しか持たないインテルが、数多くの特許を押さえている日本勢に圧倒的な勝利を収めている。三国志に例えれば、赤壁の戦いですね。今流行のレッドクリフです。大軍を擁する曹操軍にわずかな兵隊で戦いを挑んで圧倒的な勝利を得た劉備・孫権の連合軍が持っていたもの。それは天才的な軍師でした。

 インテルには諸葛孔明がいたんです。残念なことに日本の半導体(電機)メーカーには諸葛孔明どころか軍師そのものもいないという状態です。イノベーションにおける戦略が全く欠如していた。それが、日立や東芝など日本を代表する電機メーカーが軒並み数千億円の赤字を出すような状況に追い込まれた原因です。

なぜ儲からないパソコンを作り続けたのか?

問 軍師がいないというのは面白い表現ですね。ではインテルの軍師はどんな戦略を立てたのでしょうか。

妹尾 まず1つが戦略的オープン化です。マイクロプロセッサーのコア部分は全くクローズにして外には決して出さないのですが、その外側でユーザーに直接つながる部分は全部開放してしまった。

 外側が開放されたために、非常に多くの企業がインテル製のプロセッサーにつながる様々な機器を開発し始めました。こうしてインテル1社だけでなく、多くのプレーヤーが参加してパソコン市場を作り出していったのです。

 ところが、インテルの軍師はこれだけでは満足しませんでした。さらに巧妙な次の一手も用意していたのです。自らマザーボードやパソコンを作って売り出してしまった。

問 利益率の極めて高いマイクロプロセッサーに対し、パソコンは利幅が低い。あえて利幅が薄いか場合によっては赤字にもなる事業に乗り出すというのは、米国流の経営では本来考えられません。ゼネラル・エレクトリック(GE)の経営手法が象徴的ですが、それぞれの市場で1位か2位以外の事業は切り離すのがいわゆる米国流ですよね。ところがインテルは利幅の小さいパソコン事業に乗り出した。これは、パソコンメーカーにとってもライバルが出現することになり、プロセッサーを売るメーカーとしては禁じ手のはずですよね。

妹尾 チップと他の部品をくっつけてパソコンを作るのは、難しいものです。そこで、インテルは、自らパソコンを制作しやすくするマザーボード化の技術を開発しました。

 そして、何と、インテルはその技術を台湾のメーカー群に提供したのです。もちろん、当時の台湾メーカーは喜んでマザーボードを格安でつくります。その廉価なマザーボードはあっという間に普及し、パソコンの組み立てメーカーを雨後の竹の子のように出現させました。

 つまり、パソコン市場をあっという間に何百倍にも拡大したのです。ただしその収益はインテルに還元されることになっています。このような「からくり」を作ったのが、インテルの「軍師団」であったと言えるでしょう。

 こうして積み上げたノウハウをインテルは惜しみなく全部開放してしまいます。もしパソコン事業が大切ならそんなことはしません。明らかに別の狙いでマザーボードやパソコン事業を推進したのです。

 そのノウハウを使ってパソコンのコストが下がり、メーカーも増える。つまり、インテルは市場のディフュージョン(拡散)をこれによって仕掛けたのです。

オープン化と言っても、絶対に開放してはいけない部分がある!

問 そしてある程度ノウハウが浸透したら、パソコンやマザーボードの事業からは撤退してしまった。ディフュージョンは、「呼び水」的な意味合いもありますね。

妹尾 こうした巧妙な戦略を取ったことにより、IBMが支配していたコンピューター産業に大きな風穴を開け、見る見る市場を拡大させていったわけです。IBMがその戦略に気づいた時は既に遅かった。

 また決して忘れてはいけないことは、インテルはプロセッサーの内部については一切、オープン化していないということです。前にも言いましたが、オープン化なんだから何でも開放するという姿勢ではいけません。守るべきところはきちんと守り、オープンにするところは戦略性を持って開放することが大切です。

 私はイノベーションがインベンションだけで起きる時代は終わったと見ています。現在のイノベーションには、インベンションとディフュージョンの両輪が不可欠になってきました。少し頭を整理するために、イノベーションを年代ごとに分類してみましょう。

 第1期は個人発明家の時代です。トーマス・エジソンのような個人の発明家が引っ張った。

 第2期は個別の企業が画期的な技術を開発することでもたらされたイノベーションの時代です。エジソンが作ったGEもそうですし、ナイロンを発明したデュポン、乾式複写機を発明したゼロックスがその代表でしょう。

日本企業が主役だった第3期!

 第3期は複数の企業が切磋琢磨しながらイノベーションを起こす時代です。年代的には1960~80年の20年間位でしょう。この時代の主役は日本企業でした。東芝や日立、三菱電機、ソニー、パナソニック、自動車で言えばトヨタ自動車、日産自動車、ホンダに三菱自動車など。

 国内の熾烈な競争が新しい技術や改良を次々と生み出し、ここで勝ち残ったイノベーションは世界での成功が約束されていた。

 そして第4期に当たるのが、オープンイノベーションの時代です。インテルの例に見られるように、ある部分をオープンにして市場拡散を同時に発生させる。この時代には、イノベーションのモデルそのものがイノベーションされる時代と呼べるかもしれません。

 第4期、つまり現在のイノベーションにとって重要なのは、研究開発だけが主役ではないということです。拡散させる仕掛け、つまり練りに練った戦略的な経営が必要になるのです。既にこの時代に入って時間が経過していますが、日本の大企業の経営者の方々にそのような発想があるのか、私は疑問に思っています。

 このシカケを考える場合、とりわけ大切になってくるのが国際性です。ディフュージョンは日本の国内だけでは意味がありませんから。先進各国、そしてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、NIES(新興工業経済地域)に対してどのような戦略を取るかが重要になってきます。これについては次回に。(明日につづく)
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