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無能なリーダーによる政治主導が日本を滅ぼす!

2011.02.07(Mon)JBプレス 織田邦男

もし参謀の意見を聞かない指揮官がいたなら、敗軍の将となるのは間違いない。昨年9月の尖閣事案で、政府は中国の圧力に屈して船長を釈放した。この時、外務省には意見を求めるどころか知らせもしなかったという。

敗軍の将となった菅直人首相!

船長を釈放しても中国政府は軟化せず、強硬一点張りの態度に驚いた日本政府は、官僚の助言には耳を貸さず、押っ取り刀で素人の政治家を特使として送り、中国に足元を見透かされた。

 案の定、無様な対応で世界に醜態を晒し、菅直人首相は敗軍の将となった。

 「政治主導」は今や流行語のようだ。だが国民が危うさを感じるのは「政治主導」と「官僚排除」を同一視している世の風潮だ。

 官僚組織はシンクタンクであり専門家の「頭脳集団」である。その先駆的形態は軍隊の参謀組織にある。参謀組織はプロシアで発展した。

 それまでは指揮官は自らの才能に依拠して指揮統率を行っていたが、ナポレオン戦争の頃から参謀組織の必要性が認められるようになった。軍隊規模の拡大と機能の多様化に伴って生ずる指揮官の複雑多岐にわたる各種業務を、適切に補佐する必要が出てきたのだ。

史上最強のシンクタンク、ドイツ参謀本部!

 平時は軍事研究を行い戦時においては指揮官を補佐する常設機関が、プロシア軍に採用された。参謀組織を育て、戦争ではその機能を駆使したモルトケ参謀総長は、宰相ビスマルクとの絶妙の政軍タッグにより普墺戦争、普仏戦争に短期完勝した。

 参謀組織は一躍世界の注目を集めることになる。今日でも歴史上最強のシンクタンクは、プロシアのモルトケが育てたドイツ参謀本部だと言われる。

 霞が関の官僚組織は、日本最大のシンクタンクであり最強の参謀本部である。これを使わない手はない。

 官僚をバカ呼ばわりし、退けることで悦に浸っている政治家を見ると、有能な参謀を使いこなせない愚劣な指揮官を見るようで、哀れさを感じる。愚劣な高級指揮官は敵より怖いと言われる。

マックス・ウエーバーは近代官僚制の持つ合理的機能を強調し、官僚制は優れた機械のような技術的卓越性があると主張した。もちろん官僚制度の弊害も多いが、むしろ問題は官僚制度そのものよりも、それを使う側にある。

黒子役を忘れ人形師になった霞が関

 参謀組織や官僚組織は簡単に言えば、誰がリーダーでも80点の合格点は取れるように構築されている頭脳集団である。

 有能な官僚から英知を引き出し、これにリーダーの先見性、構想力、深謀遠慮、胆力、交渉術などを加味し100点満点を勝ち取るのが真の政治主導なのである。

 自民党政権は官僚に依存し過ぎた。図に乗った官僚は「黒子」であることを忘れ、操り人形を扱う人形師に成り上がった。

 政治家は御輿に乗る心地よさに満足し、勉強を忘れ、知的怠惰に陥った。それでも80点は取れたため、長く政権は維持できたが、その間、官僚依存の弊害が肥大化した。

 自民党政権との区別化を強調するため、民主党政権はことさら官僚排除を打ち出している。「脱官僚」をアジェンダとする「みんなの党」もそうだ。

ヒトラーと重なり合う菅直人!

官僚依存の弊害を除くため、官僚制度が持つシンクタンクとしての機能まで捨ててしまうのは、あたかも汚れた産湯を捨てるのに赤ン坊まで流してしまうような愚かなことだ。

 総理に意見具申をしても怒鳴り散らされ、挙句の果てにはバカ呼ばわりされると某高官が嘆いていた。尖閣事案に見られるごとく、菅政権の官僚排除の体質を見る時、第2次世界大戦のアドルフ・ヒトラー総統が彷彿される。

 ヒトラーは下層階級の出身で、第1次世界大戦では伍長で従軍した。彼はプロの軍人、特に名家出身の秀才の多く集まっているドイツ参謀本部には劣等感を持っていた。その裏返しとして、参謀本部案にはことごとく反対したいという根強い欲求があったという。

 第2次世界大戦前、ドイツ参謀本部はフランスのマジノ要塞突破は不可能と判断し、フランス攻略には反対であった。


ヒトラーは参謀の意見具申に激怒し、参謀本部が採択しなかったというただそれだけの理由でマジノ要塞突破によるフランス攻撃を命じた。

初期の成功がのちの大失敗を育んだ!


だがこれが不幸にも見事に当たってしまう。電撃戦によってマジノ線は容易に破られ、パリは短期間で陥落した。

 ヒトラーの劣等感は優越感に変わり、その後は何かにつけ参謀本部案をひっくり返し、自分の軍事的天才を自慢するようになる。独裁者に「王様は裸だ!」と言う者はいない。いったん思い上がるともう手をつけられなくなる。

 参謀本部の案をことごとく退けて喜ぶのは、いかにも子供じみている。だが、成功は長く続かない。その後、小局では成功を収めることもあったが、大局で取り返しの利かない失敗を重ねることになる。

 ヒトラーは、2正面作戦の不利を主張して参謀本部が反対した対ソ開戦を決断する。それでもドイツ軍の巧妙な戦術により、モスクワ陥落寸前まで追い詰めた。

 だが、最終局面でヒトラーは気まぐれな目標転換を行う。これが対ソ作戦の致命的な失敗の原因となる。これでスターリンは救われた。この時、「ヒトラーは強力な援軍だ」とスターリンはつぶやいたという。

気まぐれな考えが勝ち戦を負け戦に変えた!

 英国攻略作戦「バトル・オブ・ブリテン」でもそうであった。

 約40日続いた昼夜を分かたない空中戦闘で、少数精鋭の英空軍パイロットは被害も大きく疲労困憊。あとひと押しで英空軍総崩れという時、ヒトラーは攻撃目標を制空権獲得からロンドン爆撃に変更を命ずる。

 独空軍の被害はたちまち甚大、しかも英空軍に立ち直りの時間を与える結果となり、ドイツは英本土攻略の機会を逸した。

 この時、「我方にとっての真の秘密兵器はヒトラーそのものである」とウィンストン・チャーチルは嘲笑ったと言われる。

ヒトラーは晩年、「エネルギーの多くは参謀本部との争いで浪費された」と怒り、敗戦の責任を参謀になすりつけた。

軍隊よりもはるかに複雑な国家経営!

 「政治主導」の御題目が「官僚排除」「脱官僚」にすり替わり、この無益な目的に余計なエネルギーを費やす。

 官僚が作成した案というだけで反対し、官僚の助言に耳を傾ける謙虚さもなく、ただがみがみと叱りつけ官僚のやる気を削ぐ。

 そして挙句の果ては失敗を官僚のせいにして責任逃れに汲々とする。官僚に対する劣等感の表れであり、菅政権のこれまでの失態はまさにヒトラーの失敗そのものである。

 国家の運営は、単なる軍事行動よりはるかに複雑多岐にわたる。

 専門家による情報入手、分析、助言は欠かせない。どんな天才でも1人では何事もなせない。頭脳集団である官僚組織から如何に知恵を引き出すかが政治家の指導者としての優劣を決定すると言って過言ではない。

参謀組織のなかったナポレオンの限界!

天才ナポレオンでさえ、晩年、作戦規模が拡大するに従って敗北が目立つようになる。ナポレオン軍の強さは天才ナポレオンのリーダーシップに拠っており、ナポレオン軍は近代軍のような参謀組織を持っていなかった。

 ナポレオンがモスクワに進撃した時は50万を動員した。50万の兵員を率い、未知で広大な戦場に赴くには、厖大な見積もり作業を要する。

 道路や補給の状態、食料の現地調達、師団の分散行軍と相互連携、詳細な地理の把握、気候状況、敵情入手などである。

 参謀組織を持たなかったナポレオンは、属人的な仏軍の限界を露呈し大敗北を喫す。モスクワから逃げ帰った敗残兵はわずか1000人だった。

ナポレオンのリーダーシップはリーダーが戦場を直接に掌握している範囲での強さであり、その範囲を超えた時にナポレオンの限界が表れたのだ。

民主党の政治家がナポレオンになれるはずがない!


「政治主導」と称して官僚を排除し、ナポレオン型リーダーシップ政治を思い浮かべているなら、思い上がりも甚だしい。

 国家の運営はナポレオン時代の戦争よりはるかに複雑で多岐にわたる。外交戦略を構築するには、多方面の専門家の衆知を集めた分析、検討、そして質の高い情報が必須である。

 見識浅薄で経験寡少な政治家がいくら集まってみたところで、ナポレオンになれるわけはない。まして天才ナポレオンでさえ、大会戦では敗北したのだ。

 複雑系の国家運営に浅学非才な俄か政治家が雁首そろえたところで、重厚な戦略一つ組み立てることはできない。最強の参謀本部である「霞が関」を使いこなせるかどうかが、名宰相と愚昧宰相との分かれ道になるのである。

 政権交代後、官僚を排除した結果、普天間問題、尖閣対応と大失態を繰り返してきた。高い授業料を払ってなお官僚排除で外交や安全保障ができると思っているとしたら、自意識過剰で思い上がりも甚だしい。

耳の痛い情報ほど価値がある!

 愚劣な政治家で迷惑するのは国民である。

 官僚排除は誤りであるが、何も官僚の意見を全面的に取り入れろと言っているのではない。官僚はじめ専門家の意見を聴取したうえで、政治的決断をしろと言っているのだ。

 耳に痛い情報こそ聞く耳を持たねばならない。自分の方針と異なるからと言って門前払いをしてはならない。説明を聞く度量があってこそリーダーの器である。

 リーダーは孤独である。「王様は裸だ!」と面と向かって言ってくれる者を大切にしなければ、質の高い情報は入ってこない。

このほど菅再改造内閣が発足した。心機一転、改むるに憚ることなかれである。

名将・武田信玄の言葉を肝に銘じよ!

 尖閣事案のような不測事態は、明日にもまた起こる可能性はある。安全保障は待ったなしだ。官僚や専門家の意見を聞かなかったこと、そして閣僚間の調整がなされなかったことが大敗北の原因だった。同じ愚を繰り返してはならない。

 名将と愚将の差は部下の使い方である。名将・武田信玄は部下を使うにあたって「余は人を使うのではない。人の力を使うのだ」と言った。

 彼が現代の政治家であれば、官僚を使うにあたって「余は官僚を使うのではない。官僚の力を使うのだ」と言ったであろう。

 政治主導と官僚排除は全く違う。官僚や専門家の助言に耳を傾ける謙虚さが「政治主導」の御題目によって邪魔されているのなら、「政治主導」は亡国への引導に違いない。

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