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平成22年 第12回「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」(松江市)有機栽培・JAS認定部門で特別優秀賞を受賞。(食味90・味度83・計173点) 平成25年、第15回魚沼と第16回北京開催運動中! 無農薬魚沼産コシヒカリ生産農家・理想の稲作技術『CO2削減農法』 http://www.uonumakoshihikari.com/
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このプロジェクト自体がリーダーシップの教科書!

古森 私、お話を伺っていて思うのですが、この設立準備プロジェクト自体が、既にリーダーシップの教科書のようなものだなと・・・。

小林 色々苦労しています(笑)。

古森 この設立経緯や、その背景にある思いなどをケースにして、スクールが出来たら教材の一つにすべきじゃないかと思います。リーダーシップの定義も色々ありますが、結局は、「その人のところに人が集まる」ってことじゃないですかね。権限・権力とかポリティクスとかじゃなくて、その「人」自体が引力を持つ。そういう状態が、一番自然にリーダーシップが働く状態だと思うのです。今起きていることは、まさにそれだなと。

小林 そんな大それた話ではないと思っていますが、この取り組みに共鳴して、本当に色々な人々が参画して下さっています。「こういう風になるといいな」という瞬間に、本当にそれを実現する力を持った人があらわれて、力を貸してくれるような感じです。

古森 何か引力があるんですよ、きっと。

小林 先日は、「ウェブに動画を公開したい」と話していたところ、Facebook経由で映像作家の方が名乗り出て下さって、無料で映像を製作して頂けました。「中国語訳が必要だ」と思っていたら、中国語訳をボランティアでして下さる方が現れたりして。困ったときに、天から助けが降りてくるような感覚です。

古森 それは偶然ではなくて、このプロジェクトが目指しているものに多くの人が共鳴しているからでしょうね。世の中の流れとしても、金銭授受を伴わない形で、「良いと思うことをやる」という価値観が、だんだん市民権を得てきていると思います。少し前のスタンフォード大学の卒業式スピーチで、オプラ・ウィンフリーが「お金をもうけることも大事だけど、仕事の意味も大事よね」と語っていたのが印象的でした。「意味の時代」が来ていますね。

小林 たしかに、自己実現の場を見つけようとしている人が増えているように思います。自分の持つ腕、専門性などを世の中に共有化したいという動きは、強くなっていますね。

古森 日本の経済は大変な時期を経て今に至りますが、ある意味で社会に多様性も生まれましたね。必ずしも大勢が同じようなステップで世の中に出て行くわけではなくなったし、半強制的に何かに集中的に取り組まざるを得ない場面も増えていると思います。そういう中で、結果的には多様な価値観や経験を持った人々が、社会の中に増えているのを感じます。

小林 このプロジェクトのメンバーやサポーターも、まさに多様な個性の塊ですよ。先ほどの谷家さんをはじめ、アドバイザリーボードや理事会には実にたくさんの第一線で活躍されていらっしゃる皆様がお名前を連ねてくださっています。

古森 そういう、自分の意思が明確な人々が集まっているチームなら、困難に接しても乗り越えていけるでしょうね。

小林 そうですね。用地の取得や学校の許認可申請など、これでもかというくらいに色々なチャレンジがやってきますが、皆とても明るいのです。「これもラーニングのための必要なステップだ」「きっとなんとかなる」と、非常に前向きです。

古森 やはりこのプロジェクト自体が、小林さんを核としたリーダーシップの象徴的出来事であり、また、今日的なアントレプレナーシップのお手本だと思います。なんというか、圧力のリーダーシップではなく、引力のリーダーシップとでも言いたくなるような。

小林 不可能と思ったら、本当は可能なことも出来ないですから。物事をリードする自分が、まず「出来る!」と思っていないと。

古森 21世紀のリーダーシップは、「ねあか」がキーワードですかね(笑)。

小林 「ノーテンキ」とも言います(笑)。


「学び」のコンセプト!

古森 ところで、実際にスクールが設立された暁には、どのようなプログラムが展開されるのですか。まだ詳細はこれから詰めていくのでしょうが、コンセプトレベルで結構ですので、お聞かせ願えればと・・・。大変興味があります。

小林 まさに今、激論を交わしているところです。狙っている「学び」にも色々な面がありますが、まずカリキュラムという点から言えば、やはり自主性を思い切り引き出すような仕掛けを考えています。

古森 小林さんが留学中に経験したものが背景にあるのでしょうね。受身ではなくて、徹底的に自己、個人の中に動因を求めていくスタイル。

小林 言い換えると、「誰かが決めた課題を解く力」よりも、「課題そのものを見つける力」を養いたいと思っています。例えば、スタンフォード大学の「d.school」ってご存知でしょうか。

古森 いえ、不勉強ですみません。

小林 色々な学部の人たちが集まってプロダクトデザインをするというところからはじまった、「デザイン思考」と呼ばれる面白いプログラムです。今度はそれを小中学校・高校レベルに広げようとしています。シリコンバレーのある学校では8年生までのラボがあって、例えば「今日はサンフランシスコ・メトロ(=地下鉄)が課題です」というと、皆で実際に現場を見に行って、観察やインタビューをすることでユーザーの立場に立ち、解決しなくてはならない課題を見つけます。その後、「何が問題だったでしょうか」「喫緊の課題は何ですか」という具合に、クラスルームで議論が行われます。そしてプロトタイプと呼ばれる試作品を多くつくり、クリエイティビティを発揮しつつ批評も受けながら改善を図ろうとします。

古森 きわめて実践的なプログラムですね。小中学校レベルでも、その方式が機能するのでしょうか。

小林 機能するのです。議論が始まると、「やはりサービスが売りだ」とか、「子供には吊革がつかまりにくいよね」などの声が出てきて、それらが新たなプロダクトデザインの着想につながっていきます。今年実験的に軽井沢でもサマーキャンプに採り入れてみたのですが、2日間の短縮バージョンでも子供達の反応はすごかったですよ。カリキュラムに取り入れていく一つとして、確信を持ちました。もちろんそのまま導入するのではなくて、私たちの学校なりにカスタマイズするつもりです。

古森 面白いですね。企業の経営者から見ても、興味深いプログラムに映るだろうと思います。先ほどおっしゃったように、可視化された課題への取り組み以上に、これからは課題を構想すること自体がビジネスの鍵ですから。10代のうちからこうしたプログラムで鍛えれば、事象に触れた際の思考回路が変わっていくのではないかと思います。

小林 そうした方法論的なものを研究しているところですが、「学び」という視点では生活環境自体にも大きな意味があると思っています。

古森 全寮制で、先生も一緒に住み込みという環境・・・のことですね。

小林 様々な国・バックグラウンドから来た生徒で形成される一学年50名前後のグループ。それが、まずは高校3学年、ゆくゆくは中学校の設立も検討したいと思っているので、そうしたら6学年になって一緒に暮らすわけですから、生活環境に持ち込まれる多様性はすごいことになるだろうと思います。

古森 たしかに、すごいことになりそうですね。楽しいことばかりではなくて、まさに喜怒哀楽のすべてを濃密に経験することでしょう。

小林 いわば、生態系のようなものだと思っています。多様性を高めて、同じ空間に住んで頂き、そこから先はある程度自然に起きてくる有機的な変化も是とするわけです。もめごとも絶えないでしょうし、本当に色々なことが起きるでしょうが、それらは大事な学びの要素になっていくのです。

古森 生態系ですか。なるほど、しっくり来る表現です。

小林 そういう意味では、親御さん達にも理解して頂くことが必要です。

古森 自然の中で、多様な学生達が集まって、どんな生態系が出来るのでしょうね。今から楽しみですね。

 

サマーキャンプの手ごたえ!

古森 先ほどサマーキャンプのことをちらっと触れられましたが、どんな感じでしたか。今年初めて実施したサマーキャンプが、軽井沢インターナショナルスクールの今後を占う試金石的な位置づけになったのではないですか。

小林 そうですね。サマーキャンプは、まさに将来のプログラムのミニチュア版でした。参加者も、我々運営サイドも、色々なことを学ぶことができました。例えば、教育の多様性を提唱していますが、実際にミャンマーなどから参加者があって、その子供たちが参加者全体に与える影響が実体験できたのは大きな収穫でした。参加者の親からも、「この子がこんなに変わったので驚いた」といったコメントがたくさん寄せられています。

古森 参加者の親御さんが綴ったレターが、いくつかウェブサイトに出ていましたね。私も拝読しました。フィリピンから寄せられたレターが特に印象に残りましたが、その親御さんが使う英語の洗練度なども含めて、何かこう、今までにないものが集まり始めているな・・・という雰囲気を感じました。新しい風が吹き始めているようです。

小林 ちなみに、色々な国から多様な人々を集めるために、サマーキャンプにも奨学金の仕組みを導入しています。

古森 日本人だけのためのスクールではないと知りつつあえて聞きますが、日本人の参加者の変化みたいなものは、どんな感じでしたか。

小林 劇的に変わります。先ほどお話した「d.school」の短縮版で子供達が見せた変化には驚くべきものがありましたし、何よりも一緒に過ごす中で自然に発生する刺激のようなものがすごいのです。例えば、ミャンマーから来ていた子は、アウンサン・スーチーさんの活動を生で見て育った世代です。「ビルマの民主化のために一生をささげます」なんて真顔で言うのです。名前に「Aung」という文字が入っていて、聞いてみると、スーチーさんの活動に感銘を受けて、10歳の頃に親に頼んで改名してもらったのだとか。

古森 10歳でその意識ですか。

小林 日本だって色々ありますけど、やはり日本では考えられない環境の中で、まったく違った個性が育っているのです。その子が育った環境や考え方に触れて、日本の子供達も大いに刺激を受けました。フィリピンからも3名来ていましたが、サマーキャンプで10日ほど一緒に過ごしたら、「タガログ語を勉強したい」という日本人の子供も現れてきたりして、せっかくの生徒達の自主的な反応なので、急遽タガログ語の授業を用意しました。

古森 その「タガログ語を勉強したい」というような反応は、要はある種のリスペクトだと思うんですね。10代の多感な時期に色々な個性と触れて、自然な形で異文化にあこがれたり、リスペクトしたりするようになる。これまでのステレオタイプの日本人とは違う、異文化に対する高い受容性を持った人が育っていくかもしれませんね。多様性を集めて、新たな生態系が動き始める・・・。

小林 日本人にも海外からの生徒にも、そういう変化が起きることを期待しています。

古森 短いプログラムとはいえ、サマーキャンプという形でまがりなりにも「本番」が試行されたことの意義も大きいですね。やはり、概念が実際に形になり始めるというのは、運営サイドにとっても世の中から見ても、大きな意味がありますね。

小林 それは、本当にそう思います。色々判断に迷うこともありましたが、サマーキャンプという形で動いてみて良かったと思います。何よりも、得られた反響に手ごたえを感じることができて、プロジェクトチームとしても確信を得ることが出来ました。

古森 まず行動。アントレプレナーシップですね。

小林 講師陣にも一流の人々を招聘したのですが、最初は半信半疑の方もおられました。何しろ伝統も何もない、「ぽっと出」の学校ですから。でも、サマーキャンプを実際に進めていく中で、このプロジェクトに強いコミットメントを持って下さるようになりました。

古森 サマーキャンプという試みが、また一つ、人々が集まる流れを作ったようですね。最後に、2013年の開校に向けて、何か企業セクターに期待することはありますか。現在でも既に、理念に賛同して様々な企業や経営者の方々が応援団に加わっていると伺っていますが。

小林 ありがたいことです。フルタイムでやっているのは私一人で、あとは全部ボランティアという状況で、このプロジェクトが何とかここまで進んできたのは、そういうサポートがあってこそだと思っています。

古森 協賛のような形で資金面の支援ももちろん意味があるでしょうが、他にも企業セクターがやれることはありそうですね。教育のコンテンツ面でも、ビジネスの現場で起きていることのエッセンスを、10代の子供達に伝えられたら有意義なのではないかと思います。日系企業の話もいいですし、日本で苦労している外資系企業の話などもスクールの趣旨にあうかもしれません。「d.school」的な仕組みとの組み合わせも考えられますね・・・。

小林 もしかしたら、様々な国から集まった生徒達に何かを伝えることで、企業の人々にも気づきがあるかもしれませんね。

古森 2013年はすぐにやってくるでしょうが、まだ色々と試す時間もあるわけですよね。昨今、企業としても10代までの人材育成のあり方に強い関心を持っていますから、何かクリエイティブな取り組みが考えられるかもしれませんね。企業セクターとのコラボレーションの可能性、是非またブレーンストーミング致しましょう。

そろそろ、時間になりました。あっという間の90分でしたが、小林さん、今日は本当に有難うございました。今後の展開に期待しております。




[対談終]
~ 対談後記 ~
小林さんがスタンフォードで書かれた修士論文があります。「International Educational Administration and Policy Analysis – Beyond the numbers: An Analysis of the Effectiveness of the Filipino Education Project」と題するその論文は、当時の小林さんの課題意識がじかに伝わってくる力作です。フィリピンでの世界銀行・JBIC共同の教育プロジェクトを題材にとり、途上国支援へのインプットが実際にどうアウトプットにつながるのか、定量・定性の両面から考察を加えた内容です。意欲的で価値ある論文だと思います。しかし、小林さんとの対談を終えた今、良い意味でこの論文が霞んで見えるような気も致します。それは、小林さんが証明すべき対象物が学術的な世界を超えて、今や教育事業そのものになっているからだと思います。その時その時の自分のパッションに忠実に生きているからこそ、残してきた足跡にも光るものがあるのでしょう。

小林さん、有難うございました。


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私は、魚沼産コシヒカリを水口の水が飲める最高の稲作最適環境条件で栽培をしています。経営方針は「魚沼産の生産農家直販(通販)サイト」No1を目指す、CO2を削減した高品質適正価格でのご提供です。
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