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記者クラブといくら会見してももう意味がない!

2011.02.03(Thu)JBプレス 烏賀陽弘道

深夜、フリー記者仲間の寺澤有さんからメールが来た。彼の裁判で意見書を書いたお礼にホルモン焼きをおごってもらう約束をしていたので、その話かな、などのんびり開いたら、「明日、ある超大物がフリーの記者を対象に会見を開くので来ませんか」とある。そういえば、寺澤さんが記者クラブの開放を求めて、活発に取り組んでいるニュースを、インターネットで見ていた。

 私は朝日新聞社在社時代、新聞記者だった時はクラブの内側にいて、アエラ編集部に移ったとたんにクラブから蹴り出される側になった。両方を知っている者として、クラブ(会見)開放の動きにはずっと注目していた。

 特に、寺澤さんをはじめ、上杉隆さん、岩上安身さん、畠山理仁さんといったフリー記者たちの取り組みには注視していた。そこへこのお誘いである。

 寺澤さんが「超大物」が誰か言おうとしないのも「事前に漏れると困る」という大ニュースの匂いがして鼻がぴくぴくする。何だか面白そうだ。すぐに次の日の予定を全部キャンセルした。

なぬ! 小沢一郎がやって来て会見を開く?

 恥ずかしいことに、私はそのクラブ会見開放の「最前線」である首相官邸や総務省の会見に行ったことがない。なのに寺澤さんは「20席のうち2席をもらったので一緒に」という。まったく申し訳ない。恐縮、汗顔の至りである。

 そうしたら、当日朝になって「ニコニコニュース」の亀松太郎編集長から携帯電話に電話がかかってきた。亀松さんは私と同じように、かつて朝日新聞の記者だった。一緒にメシを食ったり、なんだかんだとユルい交流がある。

 留守電を再生したら、いつも通りののんびりした声で言うではないか。「今日、小沢一郎氏の会見があるんですけど、よかったらウガヤさんも来ませんか」

 なぬ! 小沢一郎!? そりゃ行きますわな。「ナマ小沢」が見られるからではない。フリー記者たちが自主的に開く「非記者クラブ会見」に、その行動や発言に最高度のニュースバリューがある小沢一郎氏が出てくる、ということそのものが驚きだ。

 もしかしたら「記者クラブ制度」を弱体化させる一撃になるかもしれない。マスメディア問題に関心のある記者として、これは逃すわけにいかない「歴史的な事件」だ。

 といった次第で、翌日午後3時半にJR原宿駅前で寺澤さんと待ち合わせした。派手に着飾ったお姉ちゃんやお兄ちゃん、修学旅行生が入り乱れる竹下通りをかき分けるように歩いて「ニコニコ本社」にたどり着いた。

 45分の会見の中身は新聞でも報道された。あちこちブログやUstreamに流れている。私が撮影した会見の写真も公開しておいたのでそちらを見てほしい。

去年「記者クラブ問題」が社会問題として議論が激しくなってきたあたりで、私は「2011年をポスト記者クラブを考える元年にしたい」と提案してきた。そこにちょうどこの話である。

 今回の小沢一郎フリー記者会見をどう理解したらいいのか。今後どうしたらいいのか。私見を述べることにする。

記者の頭の中に「記者クラブ」問題は存在しない!

 私が小沢一郎会見のあと、記者クラブ問題についての意見をツイッター上で話していたら、自称「新聞記者」(匿名)からリプライが来た。「社内では記者クラブのことなど話題にすらなったことがない」というのだ。

 ため息が出た。が、自分もかつて新聞社にいた身として、この環境は想像できる。朝日新聞社もそうだったからだ。

 私がいた頃、朝日新聞社には記者だけで約2500人がいた。これだけ巨大な組織が朝夕刊1日2回の紙面を作り、送り出す。これだけ複雑な業態では「業務を事故なく遂行する」ことが自己目的化してしまう。ダイヤ通りに列車を運行することを至上命題とする鉄道会社みたいなものだ。

 そこに「記者クラブ内ゲーム」でしかない「特ダネ競争」(待てば発表されるようなネタを先に書く、他社より早く書く、など)が加わると、記者たちはもうアップアップだ。「記者クラブ制度」という自分の業務の「構造」「土台」を反省して見直そうなどという余裕がない。

 私が在社した2003年までの17年間、記者クラブ制度への批判はずっとあった。新聞からアエラ編集部に異動したとたん、記者クラブから蹴り出された私自身も、はらわたの煮えくり返る思いを何度もした(拙著『朝日ともあろうものが』参照)。

 だが、新聞社側が改革を検討したことなどほぼ皆無だった。なぜか。答えは簡単。記者クラブからのニュース供給がないと、日々の紙面ができない。さらに、改革などしなくても、ライバルがいないから困らない。そんな消極的な理由だ。

ネットの会見報道はノーカット、無修正!

 ところが、この戦後ずっと続いたぬるい環境が、インターネット媒体の普及でコペルニクス的な転換を遂げてしまった。

 特にネット普及率が50%を突破する2005年前後以降の状況は、それまでとはまったく別世界とも言えるありさまになった。以前の常識がまったく通用しないのだ。

ところが、新聞社内にいると、この外部の激変には案外気づかない。気づいても、その重大性を過小評価してしまう。タイタニック号のような巨大客船に乗っていた乗客は、それが転覆して沈没するなど想像できなかっただろう。それに似ている。

 例えば、ネット記者がUstream やYouTubeといった動画サイトで公開している小沢一郎氏とのインタビューを見てほしい。ノーカット、無修正で一問一答から再現するのだから、活字メディアは言うに及ばず、時間の制約がある地上波テレビですら太刀打ちができない。

 その濃厚なリアリティーを見た瞬間、視聴者にはもう後戻りのできない変化が起きる。「ああ、これが現実だったのか」と。すると、オールドメディアが物足りなく見えてしまうのだ。

 今、オールドメディアに起きている変化は、自分たちが立っていた地面が動いてしまうような劇的な変化だ。自分たちが位置を変えなくても、座標軸が移動してしまう。(+,+)の第1象限にいたはずなのに、(-,-)の第3象限に落ちてしまった。それに気づかない。

 明治時代、生まれて初めて汽車に乗った婦人が、客車に乗る時に草履をホームで脱ぎ、降りる駅のホームに自分の草履がないことに戸惑った、という逸話に似ている。

ここまで事態を悪化させた記者クラブに腹が立つ!

 小沢一郎氏は、その発言や行動が日本で最高のニュースバリューを持つ人物である。その小沢氏は「記者クラブとはいくら会見してももう意味がない。いくら説明しても報じてくれないんだから」とまで言って、ネット会見に出てくる。

 既存メディアに不満を持っている人は小沢氏だけではないだろう。こうした人々が、既存のメディアは「言いたいことの一部しか書いてもらえない」「自分のバイアスに沿って編集してしまう」「偏見のある記事しか書かない」とネット系メディアの会見に移ったら、どうなるのか。

 いくら記者クラブが「フリー、雑誌記者、海外メディアは入れない」と頑張ったところで、力関係は逆転してしまう。

 政治家だけではない。例えば芸能人。市川海老蔵だったらどうだろう。逮捕され、保釈されたあとの酒井法子小室哲哉だったらどうなっていただろう。「オールドメディアでは、いくら言ってもこちらの言い分を取り上げてもらえない」「悪人に仕立てて編集されてしまう」とネットメディアに来る可能性は高い。

 「不当に逮捕された」という人だって、そうだ。鈴木宗男元議員。ホリエモン。あるいは浮気が噂されたダルビッシュ有のような、スポーツ選手。

 会見を2つやったとしても、速報性も情報量もネットが勝ってしまう。オールドメディアで批判的に取り上げられた時の「保険」としてネット会見を使うことだってあるだろう。

本当にばかばかしい。記者クラブが、フリー記者や雑誌記者、外国人記者に門戸を開いておけばよかっただけの話なのだ。ずっと批判され続けているのだから、10年以上前にさっさと開放しておくべきだったのだ。

 遅くとも、フリー記者たちが記者クラブそのものや会見の開放を働きかけ始めた時点(取材で記者クラブ所属のメディアとは異なる差別的待遇を受けたとして、冒頭の寺澤有さんが国を民事提訴したのは1999年が最初)で、素直に応じていればよかったのだ。

 本来、フリー記者も社員記者も、団結して権力者と対峙するのが一番いいに決まっている。フリー記者の会見に小沢一郎氏が登場、と喜んでいてはいけない。なぜなら、この「記者クラブ」と「フリー記者」の分裂は、権力監視者としての「報道」の分裂に他ならないからだ。

 これを誰より喜ぶのは権力者側だろう。ここまで事態を悪化させた記者クラブ側の遅滞と怠業には、まったく腹が立つ。

記者の仕事を最後に判定するのは読者である!

 最後に。私は「記者クラブがフリー記者を排除しているから、フリー記者も会見から記者クラブ記者を排除する」という運営には反対だ。

 それは「相互主義」「互恵主義」の名前で、選択肢としてはありえる。しかし、読者から見ればそれは「報復」と誤解される可能性が高い。あるいは「排他的な第二記者クラブの結成」と解されるかもしれない。

 会見に行って実感するのは、多数いるフリー記者の中には「温度差」があることだ。記者クラブから排除され続け、その開放を求めて悪戦苦闘し続けた記者たちは、怒りが強い。私のようにその現場にいなかった者は「体温」が低い。そんな私がゴチャゴチャ口出しするのは申し訳ない。そんな気持ちもある。

 記者クラブ記者たちをフリー記者の会見に迎え入れたとしても、彼らは恩義にすら感じないかもしれない。「互恵」など髪の毛の先ほども考えないかもしれない。煮え湯を飲まされるような不愉快な出来事がしばらく続くかもしれない。しかし、そんな彼らの姿を、長期的に読者はどう見るのだろうか。

 記者の仕事を判定できるのは、読者以外にはいない。「寛容」と「自由」を実践する記者たちを、読者は必ず支持するだろう。寛容と自由は民主主義の重要な要素だからだ。新しい日本の「言論」「報道」そして「民主主義」の姿を、フリー記者が示せばいいのだ。

 フリーであろうと社員記者であろうと、報道記者は民主主義という神殿に仕える神官なのだ。

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