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政権幹部の金正日への忠誠心はなおも変わらず!
2011.02.04(Fri)JBプレス 古森義久
今、全世界でも最も閉鎖的な国といえば、北朝鮮の名をまず挙げる向きが多いだろう。
確かに北朝鮮の内部での出来事は、外部にはまず分からない。カルト風の独裁支配体制が国家の機能に秘密のベールを厚くかぶせているのだ。
だが、日本にとって、その秘密の国、北朝鮮の動向は極めて重要である。日本は、北朝鮮に関する情報をあらゆる方面から収集するよう努めなければならない。
その意味で、米国の首都ワシントンに拠点を置く有力研究機関「ピーターソン国際経済研究所」が1月31日に公表した北朝鮮内部の政治・経済情勢についての調査報告の内容は、注視すべきだろう。
その報告の結論を総括すれば、北朝鮮は従来の中央集権の計画経済では民間末端から自然発生するブラックマーケット(闇市)的な市場の広がりを抑えられず、その拡大によって政権存続の根幹を揺さぶられている、というのである。
90年代半ばから北朝鮮に違法の市場が誕生!
米民主党系の民間有力研究機関「ピーターソン国際経済研究所」は1月31日、北朝鮮内部の政治経済情勢についての調査報告を発表した。
報告の作成にあたったのは、同研究所の副所長でアジア経済専門家のマーカス・ノーランド氏と、北朝鮮経済に詳しいステファン・ハガード研究員である。2人が共同でまとめた「変化の証人=北朝鮮の難民の考察」と題する報告を研究書の形で発表した。
2005年と2009年に韓国と中国で行った、北朝鮮難民それぞれ数百人を対象とした聞き取り調査を主体とした内容である。
同報告は、北朝鮮指導部が経済改革を抑える方針を強めながらも市民末端での市場経済志向が激しく、その動きが政権のイデオロギー面を極めて不安定にしていると指摘した。
北朝鮮では建国以来、ソ連型共産主義をさらに過激にした思想に基づき、資本主義経済は否定され、中央が統制する計画経済が実行されてきた。
だが、計画経済は効率が悪く、一般国民の食料や日常品までが不足した結果、1990年代半ば頃から、違法の市場(マーケット)が生まれるようになった。
この市場は、地元住民の共同社会、あるいは住民たちの職場から、党組織、軍組織の一部までを主体として登場した。最初は原始的な物々交換から始まり、少しずつ貨幣を使っての普通のマーケットへと発展していった。
「自主」の共産主義を掲げる政権側からすれば、この市場は違法である。とはいえ、公式の計画経済では住民が飢えてしまうとなれば、違法でもこの種の市場を黙認せざるを得なかったわけだ。
だが、この種の自由市場経済的なマーケットがあまり広がると、「労働党の一党独裁」の教理がいろいろな面で侵されることとなる。このため2005年頃から、労働党政権はこの闇市経済を厳しく取り締まり、抑圧するようになった。「逆改革」と呼ばれる政策である。
市場の拡大が政権の内部崩壊を招く?
こうした流れを踏まえて、ピーターソン国際経済研究所の報告は、現状について以下の趣旨を述べていた。
・北朝鮮政府が2005年頃から市場を弾圧するようになったのは、主として、人民軍幹部が市場経済に反対していることに加え、非効率な国営企業の経営が市場経済の発展によってさらに悪化するという懸念があったためである。
・だが、市場を弾圧しても北朝鮮経済全体は好転せず、かえって食料や日常必需品の供給が悪化して、闇市はまた広がりをみせるようになった
・2009年11月に、北朝鮮政府は市場経済の広がりを抑えるために、旧通貨を新通貨と100対1の比率で交換する通貨大改革(デノミネーション)を断行したが、意図した効果は得られず、かえって国民の間の混乱や不満を強めた。
・政府は市場を「違法」と断じ、「市場経済の犯罪化の拡大」と見なしているが、その一方で、許容することを続けている。そのため、行政、司法、軍部などのあらゆるレベルで腐敗を招き、一般住民の当局に対する反発と嫌悪は激しくなる一方である。
・市場の拡大は、政権の共産主義的中央集権のイデオロギーの空洞化や矛盾を明白にし、一般国民の政権不信を強めることになる。その結果、国家体制の内部破裂の危険性が増す。
・金正日総書記の健康悪化と後継問題が、北朝鮮の政治を不安定にした。首脳部はその経験から、2008年以降は現状維持志向を強くし、経済改革への意欲も大幅に失った。
・市場が広がると、経済活動を通じて住民のつながりが多様かつ多極になる。それは、労働党の独裁体制自体を侵食することにつながる。
以上、要するに北朝鮮の違法の市場の広がりは、政権の求心力に逆行する動きであり、その動きがまだまだ活発であることが政権の基盤を侵食し、不安定にしている、というのである。
さらに、政権にとって最悪な場合、この市場の動きが「内部破裂(インプロージョン)」までを起こしかねない可能性を指摘していた。「内部崩壊」と呼んでもよいシナリオである。
失われていない金正日への忠誠心!
では、北朝鮮ではまもなく、この種の政権崩壊が起きるのだろうか。
報告はこの点について重要な注釈を付けていた。以下の趣旨の記述である。
・しかし、金正日政権を直接支える労働党員、治安機関要員、人民軍幹部らの政権に対する忠誠心は、長年にわたって政権から優遇されてきたことなどによって、なお、かなり強いと見られる。
これこそが北朝鮮情勢の読み方の難しさだと言える。
計画経済の悪化と市場経済の広がりによって、北朝鮮の国家はいつ崩壊してもおかしくない状況である。まさに崖っぷちのぎりぎりまで来ているのだ。
それでもなお、実際に崩壊の引きがねを引く主役や准主役になると見られる勢力は、最高指導者の金正日への忠誠心を強く保持しているというのである。
だから、北朝鮮の内部の崩壊も爆発も「起きやすくて、起きにくい」というわけなのだ。
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