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神風英男
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%A2%A8%E8%8B%B1%E7%94%B7

F-X (航空自衛隊)
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-X_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A)


東京・永田町の衆院第2議員会館にある民主党防衛部門会議座長、神(じん)風(ぷう)英男の部屋を米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたリチャード・マイヤーズが訪ねたのは17日のことだ。話題は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の機種選定についてだった。

 神風「ゲーツ国防長官が辞任するそうだが、そうなるとF22を調達できるか」

 マイヤーズ「F22は調達中止になっており難しい」

 神風「F35はいつ導入できるのか。F35の話に乗っていいのか疑問がある」

 昭和46年に導入が始まり老朽化した空自F4戦闘機の後継機となるFXをどの機種にするのか。中国は高性能の第5世代機の開発を進め、7年後の実戦配備を目指す。対抗するためにも早急な決断が迫られるが、見通しは立っていない。

 当初、日本政府が考えた本命は米空軍の最新鋭戦闘機F22Aラプターだった。だが、米議会は軍事機密を多く搭載しているF22の輸出を認めていない。また、昨年春、バラク・オバマ政権は対テロ戦を重視する国防長官ロバート・ゲーツの主導で、実戦経験のないF22の調達の中止を決めた。当然、日本の調達も困難になった。

 このため、現在、FXの有力候補は米英などが共同開発中のF35ライトニング2、米海軍のFA18E/F、欧州共同開発で英独伊などが採用しているユーロファイターの3機種だ。このうち、最有力はF35だが、開発は遅れている。そこで神風はマイヤーズに、「ユーロファイターという選択肢もあるのではないか」と語った。しかし、空軍出身のマイヤーズはコメントしなかった。

 空自は米国以外から戦闘機を調達したことはない。他国機が話題になること自体が、日米間のすきま風を意味するのだ。




 英国南部ハンプシャー州。7月に開かれたファンボロー国際航空ショーでユーロファイターとFA18が展示飛行した。ユーロファイターは爆弾を想定した積載物をほぼ満載した状態で速やかな旋回を披露した。

 機種選定に割って入ろうと、ユーロファイターの販売を担当する英航空防衛機器大手「BAEシステムズ」は売り込みに躍起だ。16日にはアンディー・レイサム副社長が来日し、防衛省や防衛産業の関係者らと接触を重ねた。

 同社の宣伝文句は「ノー・ブラックボックス」。特許使用料を払えば、日本国内でライセンス生産できる。ブラックボックスだらけのF35と差別化を図っているのだ。

 「日米同盟に波風を立てるつもりはないが、日本も米国だけに依存することを望んでいないだろう」

 BAEの広報責任者ピーター・エドワーズは期待をにじませるが、対米交渉に当たる防衛省・自衛隊の当事者たちは消極的だ。内局幹部は打ち明ける。

 「F35導入をめぐる条件闘争として、ユーロファイターへの興味をちらつかせることも憚(はばか)られる」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、日米同盟にすきま風が吹くなかで、米政府内に強まる不満を肌身で感じる日本政府の当事者らは神風のようにユーロファイターという単語を口に出すことにも慎重だ。些細(ささい)な挑発でも米側から三下り半を突きつけられかねないからだ。

中核の航空防衛戦略、欠落
 7月末、東京・市谷にある防衛省の会議室。平成23年度予算案の概算要求に向けた背広組(内局)と制服組(自衛隊)の幹部を集めた検討会で、次期主力戦闘機(FX)をめぐり激しい議論が交わされた。

 F35戦闘機の新規導入か、F2戦闘機の追加調達か。会議で提示された選択肢は(1)F35の調達費を計上(2)F35導入を見据えつつ調達費計上は見送り、現有するF2戦闘機の追加調達も見送り(3)F2の追加調達費を計上-の3案だった。

 「F2を20機ほど購入し、F35は余裕を持って米政府と交渉すべきだ」

 内局幹部の主張に対し、空自幹部はすぐ反論した。

 「一刻も早くF35導入に動かないと手遅れになる」

 21年度に最初の調達費を計上するはずだった予定から大幅に遅れているFX計画。省内は真っ二つに割れたままだ。

 F35は第5世代機で、ユーロファイターなどは第4世代機。世代間には、レーダーに捕捉されにくいステルス性と状況認識能力で格段の差がある。

 第5世代機は自分の姿をくらまし、敵の戦闘機の位置を把握して情報優位に立つ。最新のコンピューター画面は戦闘局面における最善の策をパイロットに表示する。空自は航空戦力を増強する中国に対抗するため「どんなに第4世代機に手を加えても追いつけない。第5世代機が必要」(幹部)とF35導入を目指す。

 空自は当初「のどから手が出ている」(田母神俊雄前航空幕僚長)とF22にこだわった。その結果、「FX=第5世代機」との錦の御(み)旗(はた)を降ろせなくなり、柔軟な発想も失われた。「第4世代機のFA18に敵の電波を妨害する強力な電子戦機器を搭載すれば、ステルス機と同様に探知されない」(空自OB)といった声は消えていった。

 FXをめぐる検討は近視眼的になりがちでもある。戦闘機は防空システムを構成する一要素にすぎず、F35を導入しても中国のステルス機を探知できない。ステルス機の探知には地上レーダーなどの能力向上が不可欠だが、そうした議論は前面に出てきていない。戦闘機を単体で議論しても意味がないのだ。

 内局OBは断じる。

 「中核となる航空防衛戦略が欠落しているから、視野狭窄(きょうさく)に陥る」




 F35は海・空軍と海兵隊で約2400機を導入する米国を筆頭に、共同開発に参加した欧州各国も50~140機の調達を予定。世界の空を3000機以上が飛ぶ次代のグローバル・スタンダード戦闘機だ。

 空自幹部は「米国の同盟国だからといって優先されるわけではない。早い者勝ちだ」として、F35の発注競争に出遅れると、販売が後回しにされると焦燥感を募らせる。

 ただ、この交渉姿勢を疑問視する向きは多い。内局幹部は警告する。

 「F35の導入に焦れば米国に足元をみられ、高値づかみをさせられる」

 戦闘機は量産態勢に入る前の初期段階が最も価格が高いうえ、性能が安定していないため故障も多い。故障すると米側が修理し、修理代金を支払わされ、データも収集される。

 「米側はデータを性能向上に利用し、米軍用には価格が安くなり、性能も安定した機体を買う」(内局幹部)

 同盟国とはいえ、これがシビアな現実なのだ。

 一方、内局側もFX候補としてF35が最有力であるという見解に異論はない。ただ、既存機のF2の追加調達を唱えるのは、国内の戦闘機生産・技術基盤を維持するためだ。契約済みのF2の最終号機が23年9月に納入されれば、生産ラインは止まる。下請け企業は撤退し、熟練工も消えていく。昭和30年にF86戦闘機のライセンス生産を開始して以降、間断なく続いてきた戦闘機生産が途絶え、「国内で戦闘機を造る基盤を失う」(内局幹部)と危機感は強い。

 「迷走から抜け出すカギは、FXとF2の追加調達を切り離すことにある」

 内局OBは、FXについてはF35の導入に向けて調査を進めつつ、防衛力整備と生産・技術基盤の維持を両立する観点からF2の追加調達も提言する。

 FXの選定は日米同盟、防衛産業の存亡も含めた航空防衛戦略として「鳥の目」で俯瞰(ふかん)することが求められている。本来、日本がどう主体性を発揮していくかという安全保障戦略を描いてこそ、航空防衛戦略とその一角をなすFXの機種選定をめぐる答えも導き出される。




 東シナ海で米中両国の勢力圏争いが激しさを増すなかで、日米の共同対処能力が試され、役割分担の見直しは喫緊の課題だ。防衛計画大綱の年内策定も控えているが、主体性のない迷走が続く。日本の防衛の現状を検証する。(敬称略)

2010年8月22日付 産経新聞東京朝刊
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