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日経ビジネス「オバマと戦争」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20091201/211036/

「菅原出のドキュメント・レポート」
http://i-sugawara.jp/

2010年8月10日 菅原 出(すがわら・いずる)日経ビジネス

7月26日にウィキリークス(Wikileaks)が公開した7万5000点のレポートは、アフガニスタン駐留米軍の最前線の部隊が、日々のミッションの後につけている任務報告書で、部隊にとっての日誌のようなものである。ウィキリークスは米軍内部の漏洩者から9万1000点におよぶこうした秘密の報告書を受け取り、今回7万5000点を公開した。残りの1万5000点は、米軍の情報源となっているアフガン人の身元が判明してしまうなどの理由から、今回は公開が見送られた。

 報告書は、日々の任務を終えた指揮官たちが、時間をかけずに記録ができるようにシンプルなフォーマットになっており、「日時」「出来事の種類」「カテゴリー」などの各欄に入力し、事件や事故で死傷者が出た際にはその数を入力すればいいようになっている。例えば「2004年3月5日」に起きた「敵による行動(Enemy Action)」で、「攻撃(Attack)」に分類される出来事が発生し、「民間人(Civilian)」の「死者(Killed in Action)」が「1」とそれぞれの欄に入力されている。備考の欄には、「NGOの契約者1名死亡、1名が誘拐」と簡潔に記されている。

 無感情に淡々と記されているが、敵の攻撃を受けてNGO関係者が1名死亡し、1名が誘拐されるという悲惨な事件が発生していたことが分かる。

 「出来事の種類」には「対反乱作戦」「非戦闘行為」「爆破物で損害」「不審な事件」などいくつかの種類に選択されており、「カテゴリー」は「暗殺」「攻撃」「逮捕」「対麻薬」「拘束者釈放」など、より詳しくその出来事の内容が分かるように分類されている。

 データベースに収められている報告書は、こうした「出来事の種類」に応じて検索することもできれば、日時や場所から検索することもできる。いずれにしても2004年から2009年末までのレポートを含んだ膨大な量の資料であるため、一つ一つすべてのレポートを見るには相当の時間と労力、忍耐力が必要だ。

極めて貴重なインテリジェンス・レポート
 私は、欧米メディアが大々的に報じた「パキスタンとタリバンの関係」について、原文ではどのように記述されているのかに興味があったので、その観点からレポートを見ていく。はじめはランダムに見ていくが、ほとんどのレポートは、攻撃や事件の概要が淡々と記されている典型的な軍のAfter Action Reportのようなもので、それはそれで興味深いのだが、一つ一つそうした事件報告書に目を通していては時間がいくらあっても足りない。

 「会議」という「出来事の種類」に分類されている一群のレポートがあり、「会議」の中にも「開発」に関する会議について記されているものと、「セキュリティ」について記されているものがあることが分かる。「会議―セキュリティ」に分類されているのは、各県の県知事や警察署長や西側の復興支援チームなどに現地の治安状況についてインタビューをした際の議事録のような内容が多く、背景が詳細に記されている報告書が多い。

 この「会議―セキュリティ」のファイルに的を絞り、その項目に含まれる約750の報告書一つ一つに目を通してみた。以下、その中からいくつかの報告書を引用しよう。

▼2006年12月4日「内務省インテリジェンス部のモハマド・ナワブとのミーティング」

 「この会議の参加者は一様にアフガン政府が機能しないことに対する懸念を表明した。あらゆる政府のレベルで、すべてが政治で決められるようになってしまっており、あらゆる政府の人間―、知事であろうと、警察署長であろうと、大臣だろうと大統領だろうと、全員が外国の利益のために動いている。外国とはアメリカ、ロシア、英国、パキスタンとタリバンを含む。これが腐敗の根幹であり、国際社会がアフガン内政に干渉することで問題を悪化させている(中略)アメリカのPaktyaにおけるインテリジェンス機関は情報源と接する際に全く慎重さが足りない。アメリカは知らずにダブル・エージェントに協力している。イスラム宗教会議のメンバーであっても信頼してはいけない」

面白いことに、翌日の報告にはこの情報源モハマド・ナワブに関して次のようなレポートも入っている。

「ハジ・モハマドはアフガン国家警察の巡査部長であるが、彼によればモハマド・ナワブはイランの諜報機関(MOIS)の訓練を受けた人物だという。またSayed Abdul Wahidはロシアで諜報訓練を受けた経験がある。ハジによれば、この二人とも、いまだにこの両国からの支援を受けている。モハマド・ナワブはアフガン情報機関のPaktyaにおけるエージェントとして動いているが、彼は頭がよく、この地域の腐敗や反乱勢力に関する知識も豊富だ。彼はパシュトゥーン人で、パシュトゥーン語に加え、ダリ語、ロシア語とウルドゥー語も話す。彼はイランのMOISの訓練を受けたがそのことを語ろうとしない。しかし、正規の諜報員としての訓練を受けたことを時折垣間見せる」

▼2007年7月2日「A.K.とのセキュリティ・ミーティング」

 「Tagab(地名)のムラッド知事は、この地域のタリバンのメンバーに武器を供給している。A.K.によれば、ムラッド知事はTagabの安定のためにタリバンに武器を渡すことを考えているようだ。(中略)ムラッド知事は大きな建設会社を保有しており、Tagabでもいくつもの建設契約を受注している。彼の会社は自身の武装警備会社を持っているが、そこで使われている武器はすべて政府の所有物である。彼のライバル会社は頻繁に強盗に遭ったり殺害されるため、Tagabでの仕事を引き受けなくなっている。タリバン指導部とムラッド知事は相互に利益を分け合っている」

▼2007年6月25日「Parwan治安評議会とのセキュリティ・ミーティング」

「宗教指導者Surgulは、Parwanでは有力者で、Herakat Islamiという政党のメンバーでもある。Herakat IslamiはEqtadaar-e-Milli党と提携しており、共にハザラ族の利益のためにWahdat党と対抗しようという政治的目的を持っている。この二つの政党は共にイランとのコネクションが強いことで知られている。インテリジェンス報告によれば、宗教指導者SurgulはKohi Safi地区のタリバンの指揮官をしていた人物で、同地区全域で頻繁に食事や隠れ家をタリバンの戦闘員に提供していることで知られている」

イランと関係の深いハザラ系の宗教指導者が、タリバンのためにも動いているというのは非常に興味深い。さすがにアフガンの利害関係は複雑に絡み合っている。

▼2007年2月7日「国境警備に関するパキスタン治安部隊とのミーティング」

 「パキスタンの治安部隊(Frontier Corp.)を指揮するのはビラル大佐だ。彼がもう一人の少将と共にアフガン・パキスタン間の17キロの国境部分の警備に責任を持つ。ビラル大佐は両国境間の警備を強化するために、アフガニスタン、パキスタン両国のコミュニケーションをもっと行うように提案した。同大佐はアフガニスタン側からロケット砲などが撃ち込まれてくることに対する不満を述べ、こうした事態を回避するためにも相互間の通信が重要だと主張。大佐は本部の衛星電話の番号を提示し、こちらも大隊本部の衛星電話の番号を与えた。

 ビラル大佐は3キロの国境線の戒厳措置をとり、頻繁にパトロールを行うことにより、国境警備は著しく強化されたと述べた(コメント:これはあり得ない。最近、夜間でのパキスタンからアフガニスタンへの進入が報告されたばかりだ。)

 ビラル大佐は最近特に国境警備に力を入れており、タリバン、部族指導者とパキスタン軍との合意により国境の治安は著しく改善されたと主張。パキスタン側をFrontier Corpがしっかりとコントロールしているため、次の春の「タリバンの大攻勢」はないはずだと述べた。

 (コメント:この発言からだけでも、この大佐がいかに現実に起こっていることとピントがずれているかが明白だ。タリバンとの合意の後、パキスタン側の治安は改善したかもしれないが、アフガン側、特にホースト州では、この治安状況は300%悪化した)。

 ビラル大佐は国境警備を強化しようと心から思っているのかもしれないが、彼の兵士たちがタリバンの国境超えを支援しているという現実からあまりにかけ離れている。このタリバンの国境通過にはパキスタン軍と情報機関ISIが絡んでいるのだ。」

この報告書を執筆している米軍指揮官が、パキスタン軍の大佐をまったく信用していないことがよくわかる。


このようなインテリジェンス報告が延々と続いている。まとまった分析ではなく、個々の案件や個別にヒアリングした内容の報告であり、現場レベルでの情報収集の結果である。こうした報告書を読んで行くと、米軍がアフガニスタンで日々どのような活動をしているのかが垣間見えてくる。また、それぞれの地域でどのような問題があり、それを現地の米軍がどのように分析し、報告しているか。そうした現場の感覚がある程度ではあるが、つかむことができる。

 パキスタンだけでなくロシアやイランのスパイまでアフガン治安機関に浸透しており、複雑な諜報戦が展開されている様子が、こうしたわずかな報告書からも読み取ることができて非常に興味深い。そういう意味では、外部者にはめったにお目にかかることのできない極めて貴重な資料だと言える。

逮捕された陸軍情報分析官はウィキリークスに操作されたのか?
 それでは、そもそもこの秘密資料はいったいどのようにしてウィキリークスの手に渡ったのだろうか?

 現在までに明らかになっているのは、昨年11月に、イラクの米軍基地内の高度に保全体制の施された秘密施設で働く「誰か」が機密資料のコピーを始めたということである。今年の2月18日に、ウィキリークスは駐レイキャビク米大使館からワシントンに送られた機密電報を公開し、4月5日にはバグダッドで米軍がロイター通信のカメラマンを誤射する映像を公開した。この4月のビデオは世界的な大スクープとなったのでご記憶の読者も多いだろう。

 この一連の機密資料の公開を受けて、「犯人探し」をしていた米国防総省が、容疑者を見つけたのは5月末のことだという。

 5月21日、カリフォルニアに住むコンピューターハッカーの通称「エイドリアン・ラモ」が、オンライン名で「Bradass87」という人物から接触を受けた。Bradass87は、
「こんにちは。僕はバグダッド東部に派遣されている陸軍のインテリジェンス分析官。もし、一日に14時間、一週間に7日間、8カ月間にわたって、前例のない秘密のネットワークにアクセスできるとしたら、君だったらどうする?」

 その5日後にラモは再び接触を受けたのだが、その中でBradass87は、「2つの秘密資料のネットワーク、Secret Internet Protocol Router Network (SIPRNET)とJoint WorldWide Intelligence Communications System にアクセスするのが自分の仕事だ」と紹介したという。SIPRNETとは米政府の外交および軍事インテリジェンスの「秘密(Secret)」と分類されている文書を収めたネットワークであり、Joint WorldWide Intelligence Communications Systemは、「top secret」までの分類の機密文書を異なる保全システムを使って運搬するためのネットワークである。

 Bradass87は、「私がよく知っている人」がこれらのデータすべてをダウンロードし、圧縮し、暗号化して、ウィキリークスの創設者であるジュリアン・アサーンジだと分かる人物に転送していることを示唆したという。

 こうした告白を受けたラモは5月23日に米軍に連絡をとり、25日には国防総省犯罪捜査部のオフィサーにメールのコピーを渡し、26日にはバグダッド郊外の前方作戦基地Hammerに派遣されていた22歳のインテリジェンス分析官ブラッドリー・マニングが逮捕された。

 ずいぶんと奇妙な話だが、米軍当局がブラッドリー・マニングを逮捕して取り調べているのは事実である。すでにイラクのビデオについてはマニングが漏洩したことがほぼ確実なようであり、今回のアフガン・インテリジェンス9万点についても、彼が漏洩したのではないかという線で捜査が進められている模様だ。

しかも最近の米紙の報道によると、彼個人だけではなく、その友人たち、とりわけマサチューセッツ・ケンブリッジを拠点とするボストン大学、MITの学生たちのコネクションも捜査の対象になっているという。

 またカリフォルニアのハッカー・ラモは、「マニングは、当局に発見されることなく軍のコンピューターから機密データをダウンロードしたり暗号化するために必要な技術的支援をウィキリークスから受けていた」可能性について発言しており、「マニングはウィキリークスに操作されたのだ」とまで述べている。

 真相は藪の中だが、米国防総省が懸念しているのは、まだ公開されていない別の秘密文書があるのではないか、という点である。マニングの発言通り「すべてのデータが」コピーされているのだとすれば、まだまだとてつもない機密資料がウィキリークスの手にわたっている可能性も否定できない。

 実際ウィキリークスは2月、4月と米政府の秘密資料を小出しにしており、しかも今回は公開に先立って資料を米『ニューヨーク・タイムズ』、英『ガーディアン』、独『シュピーゲル』に事前に渡し、同時公開することで世界中にインパクトを与えるという新しい「マーケティング」の手法も使っている。

 次回はさらに手の込んだ手法で、さらにショッキングな暴露を狙ってくる可能性は否定できないだろう。

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