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日本製品“高品質神話”の意外な落とし穴!
2010年12月29日 DIAMOND online 山谷剛史 [フリーランスライター]
上海や北京などの大都市に外国ブランド製品が中国初上陸し話題らしい話題となるのは過去の話。最近は内陸都市に様々な外資系ブランドが進出することのほうがその都市その土地で話題になる。
中国の消費者は経験から母国製品の品質をよく思っておらず、企業規模の大小を問わず詐欺に関するニュースが連日報道されているため、金に余裕さえあれば外資系製品を購入したいと思っている(そうは言っても、近年の物価上昇・生活費上昇の中でそんな余裕もなかなかないのが現実ではあるが)。
中国にも商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情(中国語で「投訴」)や問合せなどを受ける「消費者センター」は存在する。インターネット上の「投訴サイト」は多数の苦情を受け付け、有効な苦情や意見は公開され、公開された苦情の一部は、例えば著名企業の製品の苦情であるために、どこかのサイトでニュースとなったりする。
中国におけるインターネットの利用者の年齢構成は世界的にみても極めて特殊で、文革を経験していない35歳以下に偏っている。そのためインターネット上の投訴専門サイトで公開されている苦情は、中国のインターネット世代が好む「インターネットサービス」「家電製品」「IT製品」「車」「化粧品」などに偏っている。インターネット世代以外の世代に向けた製品ジャンルでは、老人向けの健康グッズで詐欺まがいの事案が頻繁に発生している。
筆者は中国のITについて執筆する物書きであるため、仕事柄頻繁に新製品を購入しては使っているが、多くのモノに関して使い始めた当初は問題は無いが使ってしばらくすると壊れるか、どこか不具合が生じたりしている。
読者の方々もニュースなどを通じて爆発するトイレの便座の話は聞いたことがあるかもしれないが、筆者自身の経験を挙げるだけでも「突然再生できなくなったDVDプレーヤー」「突然起動しなくなるパソコン」「電源をつけると何かが燃える臭いがする電気ストーブ」「電源を入れるとキーンという音が鳴るテレビ」「充電できなくなった充電器」「すぐに片方から音が出なくなるイヤフォン」など、枚挙にいとまがない。
恨み節を書いても仕方ないが、要は中国メーカーは品質管理を徹底せずそこそこの品質チェックをした後に、「この程度でいいや」とばかりに出荷する傾向にあり、それが低賃金・デザインの模倣とともに低価格を実現する要素のひとつとなっている。
投訴サイトでの中国製品に関する苦情の東の横綱は、「突然壊れた」「おかしくなった」というものである。ちなみに、中国製品に関する西の横綱は「誇大広告で実際買ったら全然違うもの・サービスだった」というものだ。
日本においてメーカーサポートの多くは「購入から一定の期間内のユーザーの過失以外の故障は無償修理」「ユーザーの過失や無償修理期間が過ぎたら有償修理」であり、いずれにしろ故障したらサポートセンターまで持ち込むか、宅配業者が家まで来て故障した製品をひきとってくれるというものである。だが、それが中国の消費者にウケが悪い。
「中国人は謝らない」とよく言われるが、品質が良くないことは中国メーカー自身も認識している。建前上保証期間は設定しているものの、故障や問題が発生した場合、原因究明を待たずして購入後どれだけ時間が経っていても、各都市のサポートセンターが無償交換対応をしてくれる。これは企業規模の大小を問わない。中国の消費者は品質の悪さや壊れやすさに慣れているが、一方で迅速な新品無償交換サポートもまた彼らの中の常識なのである。
投訴サイトからは外資企業にも多くの苦情が集まっていることが確認できる。日系メーカーに対しても家電製品、IT製品、車のそれぞれの製品ジャンルで苦情が多く投げかけられている。
その原因は中国メーカーにありがちな製品の品質ではなく、まさに日本式サポート体制にある(ちなみに韓国サムスンも同様にサポート面で苦境に立たされている)。日本人なら経験したことがあるであろう「故障したときに下手したら修理で部品を交換するだけで、ワンランク下の新品が買えてしまう修理代を見積もられる」ということが中国の消費者には到底受け入れられないのだ。
故障品をサポートセンターに送った場合、中国メーカーならすぐに新品を送り返してくれるのに、日系メーカーなど外資系企業は原因調査等を理由に、交換のための時間も中国メーカーよりもずっとかかる。
中国の地場メーカーに比べれば、中国全土の各都市でのサポートセンターの展開は遅れがちだ。大都市に中国メーカーのサポートセンターは幾つもあるのに、日系メーカーのそれは1つしかない場合が多い。
日系メーカーの製品のほうが、中国メーカーの製品よりもずっと値段が高いことから、中国の消費者の期待を裏切る結果となり、こうした感情的なことも背中を押して、投訴ネットへの苦情へと繋がる。
都市の大きな書店には、家電や車など本来「開けるな、危険」の製品の修理マニュアル本が並ぶ。都市の繁華街にはないが、大都市でも地方でも住宅地にはよろず修理屋があり、メーカーや製品ジャンルを問わず修理を試みてくれる。
就職難の現在、各都市には修理のプロになるための専門学校も次々に出来ている。ネジ一本でもゆるめようものなら「無償サポート対象外」が先進国のメーカーのお作法だが、そうした点でも中国のメーカーは寛大であり、中国の消費者もそうした寛大さを外資系メーカに望んでいる。
中国において315は消費者センターの代名詞。315とは3月15日のことで、この日は日本ではなじみがないが「世界消費者権利デー」である。
この日、中国では毎年のようにテレビ、新聞、ネットメディアにおいて、サポートを含むあらゆる面から著名企業をチェックする。そこでやり玉に上がってしまった企業は、一時的とはいえ評価が急降下する。
中国に進出している企業担当者は、年始からでも遅くないので、安心の品質面はそのままに、サポート体制も今一度見直してみてはいかがだろうか。
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