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「フェイスブック 若き天才の野望」の著者に聞く!

2011年1月21日(金)日経ビジネス 水野博泰(ニューヨーク支局長) 

フェイスブックの企業価値は500億ドル──。

 年明け早々、米ゴールドマン・サックスが明らかにしたソーシャル・ネットワーク最大手に対する評価額は世界の度肝を抜いた。そんな価値があるのか、ないのかの議論は別にして、世界中に6億人ものユーザーを抱える最先端企業を創り出した創業者マーク・ザッカーバーグ氏に対する注目度が高まっている。日本ではザッカーバーグ氏を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」(ソニー・ピクチャーズ)も封切られた。

 ザッカーバーグ氏はメディア取材を受け付けないことで有名だが、その彼に数年間にわたって密着した米国人ジャーナリストがいた。デビッド・カークパトリック氏──。著書「The Facebook Effect」はベストセラーとなり、その日本語版「フェイスブック 若き天才の野望」が今月、日経BP社から発売された。

 フェイスブックを創った男の素顔を、カークパトリック氏に聞いた。

── まずストレートに聞きたい。フェイスブック創業者「マーク・ザッカーバーグ」とはいったい何者なんですか。「今」という時代において何を意味するのですか。

カークパトリック それは大きな質問だ。こう答えよう。

 マーク・ザッカーバーグとは、最も成功した起業家であり、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)やスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)、ラリー・エリソン(オラクル創業者)、孫正義ソフトバンク創業者)に匹敵するスケールを持った人物だ。

 フェイスブックのような巨大企業を作り上げた起業家は、ほんの数えるほどしかいない。ザッカーバーグは今26歳の若さだが、短い時間で目覚ましい成果を上げた。そんなことができたのは、彼が真のビジョナリー(先見の明がある人物)であり、ほかの起業家を超えているからだ。

 彼がユニークなのは「こんな事業を興してやろう」と思ってフェイスブックを始めたのではなくて、「世界を変えてやろう」という気持ちから入ったという点だ。ここは多くの起業家たちと決定的に違うところだ。起業センスに長けているだけでなく、優れたマネジャーでもある。

世界に革命を起こすハッカー

── あなたがザッカーバーグに「天性のCEO(最高経営責任者)だね」と言ったら、彼は不機嫌になった・・・。

 そう、お世辞のつもりだったんだが(笑)。あれは2006年9月に初めて会った時だった。

 僕は早くから「Why Facebook Matters?(フェイスブックに注目せよ)」という見出しの記事を書いたりしていたから、ザッカーバーグ・・・、マークと呼ぶよ、マークも僕のことを知っていた。そういう経緯で僕のところにフェイスブックの本を書かないかという話が持ちかけられたというわけ。

 話を戻すと、マークが「CEOなんかやりたくないんだ」と言うから、「だけど、生まれつきのCEOみたいだよ」と僕が言うと、真剣な顔つきになって「ビジネスはやりたいことをやるための道具に過ぎない。僕は自分がビジネスパーソンだなんて少しも思わない」と。

 マークは自分を「ハッカー」だと思っているんだ。フェイスブックはIBMやソニーみたいなエスタブリッシュメントの企業じゃない。どちらかと言えば、ウィキリークスに近い(笑)。ハッカーも世界を変えようとしているよね。たいていは世界をぶっ壊そうとしているわけだけど。マークがやりたいのは、その逆でクリエイティブな人間たちを集めて世界をもっと素晴らしいものに変えようとしている。だから、ハッカー文化が会社から無くならないように気をつけているし、彼自身は確信的ハッカーなんだ。

── ウィキリークスのジュリアン・アサンジと似ている?

 まあ、共通点はあるね。ザッカーバーグがアサンジをどう思っているかは知らないけど、どちらも現代を代表するハッカーだよ。ナップスター創業者のショーン・パーカーも、グーグルのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンも皆広い意味でのハッカーだった。ビル・ゲイツだってそうだった。

── コンピューターを使った革命家とも言える?

 まさに革命家だな。マークは自分でもそうありたいと思っているはずだ。実際、新しいタイプの人間が世界に出現している。マーチン・ルーサー・キング牧師のように、本気で社会革命を起こそうと思っている連中だ。そのツールはソフトウエアだ。感動的な演説の代わりに、連中は自分たちのアイデアと今とは違う世界へのビジョンをコード(コンピューター・プログラム)に書き込む。そして、そのコードによって自分たちの革命を遂行しようとする。マーク・ザッカーバーグはまさにその代表格だ。

ビジョン、フォーカス、野望、確信、そして強運!

── 古い社会をハッキングしているということ?

そう、社会をハックしているんだ。2000人の社員がそれを手助けしている。そのうち400~500人はエンジニアで、彼らも自分たちをハッカーだと思っている。フェイスブック社内では、そういう文化が大切に守られている。

 現代という時代が生んだ寵児でもある。マークがハーバード大学でフェイスブックを始めた時、彼はオープンソース・ソフトウエアを使った。つまり、無料で世界最先端の高度なソフトウエア・データベースが使えたのだ。フェイスブックは最初から技術的にかなり高度なソフトウエア製品としてスタートしたのだ。これが第1点。

 時代が後押ししたもう1つの点は、スマートフォンを代表とするモバイル機器が2000年代半ばから急速に進化したことだ。スマートフォンはもう立派なコンピューターだろう? 小型で高速で、カメラやビデオ、録音機能のほか、GPS(全地球測位システム)までついている。フェイスブックとスマートフォンがあれば、どこにいても自分のコミュニティーとつながっていられる。携帯電話を持たないで出かけるなんて考えられない。家に忘れたら必ず取りに帰る。それ無しではいられないんだ。

 人々の生活の中に完全に入り込んでいくことが、フェイスブックが目指す方向だ。インターネットを使うためのの道具ではなくて、生活のために欠かせない道具を目指している。

── マーク・ザッカーバーグはメディアの取材をほとんど受けないことで有名ですが、あなたは本人に何回も会い、世界各地に同行もした。生のザッカーバーグについてもっと聞かせてください。

 ザッカーバーグはユニークな男で、普通ではない。最初に会った瞬間から圧倒された。大きなビジョンとフォーカス、野望、確信を持っていた。簡単に言うと、彼は自分が成功することを知っていたんだ。それまでに多くの起業家と会い、テクノロジー企業のトップに会ってきたが、まるで違っていた。マークは自分がとてつもないことをやることを当然だと思っていた。

 だから、この男を追いかけて、いったい何をしようとしているのかを世界に伝えようと思った。この本を書き始めた2008年1月、フェイスブックのユーザーは約5500万人だった。私は賭けたんだ。フェイスブックがはるかに大きくなって、現代の人間社会における巨大な力になり、時代を変革していくだろうとね。そして、書いていくにつれて、アイデアだったものがどんどん現実になっていった。

 新しい技術と新しい種類の人間が世界を変えようとしている。英語の原題を『The Facebook Effect(フェイスブックの影響)』としたのは、そういう考えからだった。

 マークはこの時代の産物と言える。我々も同じ時代に生きているわけだが、彼が違うのは新しい機会とチャンスが目の前にあることに気づいたことだ。そして、時間を無駄にしなかった。チャンスというのはいつ消えてしまうか分からない。もしグーグルがソーシャル系サービスでうまくやっていたら、ザッカーバーグにチャンスは回って来なかったかもしれない。一番良い時に、一番良い場所に居合わせた彼は、間違いなく強運の持ち主だ。

 フェイスブックの前にもソーシャル・ネットワークはあった。米国ではマイスペースやフレンドスター、日本を含めて各国に同じようなものがあった。そうした新しいコミュニケーション手段を受け入れる準備が整っていたところに、マークはすかさず新しい価値を分かりやすく教えた。

── 2000年代の初頭に弾けたインターネット・バブルのことを覚えている人も多かったと思うが・・・。

 マークにとっては大きなマイナスではなかった。ベンチャーキャピタルから何百万ドルも投資してもらうというのは難しかっただろうが、その必要もなかった。2005年春にはかなりの額を調達していたし、シリコンバレーバブル崩壊から立ち直ろうとしているところで、再び楽観的になりつつあるところだった。シリコンバレーの側もフェイスブックの登場を歓迎したんだ。

 

映画は40%ぐらいが真実!

── 映画「The Social Network(邦題はソーシャル・ネットワーク)」が描くマーク・ザッカーバーグは本物と近いですか。

映画は40%ぐらいが真実といったところかな。危険な比率だね。40%が真実だとすると、観る人に全部本当のことのように思わせられる。しかし、ほとんどはフィクションだ。フェイスブックの歴史やマーク・ザッカーバーグという人物を知ろうとして映画を観るとすればかなりミスリーディングだね。

 あれがフェイスブックの歴史じゃない。映画の中には真実がいくつも描かれているが、マーク・ザッカーバーグという人物については完全に間違っている。彼のモチベーションを描いた部分も間違っている。彼の大志を描いていないし、彼のビッグ・チャーも、彼のすごく楽観的なところも抜け落ちている。彼の前向きなビジョンも描かれていない。

 映画では彼をちょっと恐くて、怒りっぽくて、目立ちたがり屋で、妬みっぽい人間として描いているが、本当のマークは違う。彼は他人が持っているものを見て妬んだりしない。必要なら自分で作り出そうとする人間だよ。

 女の尻を追っかけたりもしない。女のほうがマークを追っかけるんだ。彼にはずっとガールフレンドがいたしね。マークは面白いやつだし、自信家だし、世界一のハンサムじゃないかもしれないが不細工じゃない。背はちょっと低めで、オタクだが、女を引きつける魅力を持っている。映画ではそう描いていないね。

―― 日本でも映画が封切りになりましたが、あなたの本を読んでから観たほうが良さそうですね。

 ぜひ、そうしてもらいたい(笑)。まじめな話、本当のザッカーバーグを知ってから観れば、フィクションのエンタテインメントとして映画を存分に楽しめると思う。

―― 本の話に戻りますが、多くのページが政治、メディア、ビジネス、マーケティング、ジャーナリズムに対してフェイスブックが与える影響について割かれています。メディア嫌いの人たちは「フェイスブックとは大衆が手にした新しい情報伝達の武器だ」と言って賞賛していますね。

 だから「The Facebook Effect」というタイトルを付けたんだ。マーケティング、メディア、政府組織、政治などあらゆる分野に影響を及ぼしている。プライバシーとかアイデンティティー、ジャーナリズム、あらゆるビジネスのあらゆる人々にとって、フェイスブックが何を変えようとしているのかを知ることは意味がある。

 特にマーケティングにおいては、ソーシャル・ネットワークが大衆へのリーチに革命を起こしていることを理解していないとしたら大きな損失を被ることになる。顧客、パートナー、社員、同僚、経営トップ・・・、相手が誰であろうとコミュニケーションが劇的に変わる。フェイスブックは個人のツールであるだけでなく、ビジネスのツールでもある。

ジャーナリズムを殺さない、ジャーナリズムを変える!

―― フェイスブックはジャーナリズム、メディアをぶっ潰してしまうのでしょうか。

 ジャーナリズムを殺すとは思わない。フェイスブックやツイッターは、基本的にはメディアの声を増幅することができるブロードキャスト基盤だと私は考えている。正しく使えば、フェイスブックはメディアのオーディエンスを増やすツールになる。私は記事を書くとフェイスブックとツイッターアップする。多くの人がコメントしてくれて、友達に転送してくれる。僕が書いたことが的を射ていれば、ものすごい勢いで広がっていく。メディア側は、顧客や読者やオーディエンスが再送・転送したくなるようなメッセージを作り出すという発想の転換が必要なのかもしれない。

―― 我々メディアはフェイスブックを怖れる必要はないと。

 怖れるべきはフェイスブックではない。フェイスブックのような新しいツールが既に存在していて、誰でもが使えるようになっているということを認めようとしないことが一番危ない。古いやり方を続けていれば大変なことになるだろうね。このクチコミ・メディアはフィードバックのループを持っていて、時々とんでもない反発や反感も返ってきたりするけど、メディアが発信するメッセージを再パブリッシュしたり、再ブロードキャストしたりして、メディアの風景を全く変えてしまうってことを頭に叩き込まなければならない。それさえ、しっかり押さえておけば、逆に活用する道も開けてくる。

 

たった1人の人間が世界を変える!

―― ところで、日本の若者は将来に対して明るい希望をも持てず、内向きになって、新しいことに積極的に挑戦しようという気概が薄くなっていると言われています。彼らは、若干26歳で大成功を収めたザッカーバーグから何を学ぶべきでしょうか。

 良い質問だ。マーク・ザッカーバーグは世界で最も大志を抱いている人物であり、大成功した起業家だ。どんな国であろうと、ああいった起業家をたくさん生み出せたら元気が出るに違いない。だってマーク・ザッカーバーグのような人間がたった1人登場することによって世界が変わるんだよ!

 彼はフェイスブックを立ち上げるために大学を中退した。日本ではなかなか難しいことじゃないかな。伝統的なやり方が大事にされるし、伝統的な規範が今でも極めて重んじられているから。リスクを取るということが難しい。日本で起業して失敗するということは、とんでもなく悲惨なことなんだろ?

 米国には、マーク・ザッカーバーグのような奴が浮上してくる環境というか、受け入れる空気がある。起業家を作るというよりも、そういう環境をどうしたら整えることができるかを考えるべきじゃないかな。

解してもらいたくないんだが、はっきり言ってマークは特権階級の出身だ。なんてったってハーバード大学に入学したんだからね。普通の家庭からでは無理だ。そんでもって中退しちまった。こいつはいくら米国でもとんでもないリスクだ。ただ、彼は自分の力を信じていたし、この新ビジネスを立ち上げるためにリスクを取ってチャンスをつかんだ。

 たった1人の人間が途方もないスケールのことを成し遂げた。26歳で、6億人のユーザーを集め、数百億ドルの企業価値を創り出した。たった26歳でだよ。会社を作ってから7年も経っていないのに。

 そこから何を学ぶか――。2年間にわたってマーク・ザッカーバーグを取材してきたが、僕自身はザッカーバーグのようにはなれないことはよく分かった(笑)。だが、真面目な話、彼は僕に素晴らしい勇気をくれた。僕も起業家の端くれとして頑張ってみようという気にさせてくれたんだ。「テコノミー会議」という新しいカンファレンス・ビジネスをフォーチュン誌時代の仲間と昨年立ち上げたんだ。マークについて取材するうちに、僕も自分の会社を始めるリスクを取ろうという気になったんだ。彼から一番学んだのは僕自身なんだ。

 だから、ザッカーバーグについて知るということは「いっちょうリスクを取ってチャレンジしてみようか」という自信を与えてくれるかもしれない。日本だけでなく、すべての国の多くの人々が、今、必要とすることなんじゃないかな。若者だけじゃなくてね。

 米国にだって、やる気がなくて、学ぶ気がなくて、無知な若者がいっぱいいる。頭をガツンとやって、「おい、自分の仕事は自分で作れよ!“誰か仕事をくれ”なんて嘆いてないでさ!」と言ってやる必要がある。自分の仕事は自分で作り出せ。仕事がないなら会社を作れ。家でごろごろ携帯やパソコンをいじりながら待ってたって、誰も雇ってくれるはずがない。

最も重要なことは「人間を知ること」

―― チャレンジを成功させるために持っているべき素養は何だろうか。

 この時代、コンピュータ・プログラミングは知っていたいな。何百万人という人々がもうスキルを身につけている。米国はこの分野ではかなりいい線をいっている。中国も、ロシアも、インドも。もし、マークがコンピュータ・プログラミングについて知らなかったら、何も起きていなかった。

 ハーバードでコンピューター科学と心理学を学んだことは非常に重要だったと思う。ただ、それがすべてではない。彼の母は精神病医だが今は夫の歯科医院を手伝っている。親の職業もザッカーバーグに少なからぬ影響を与えたと思う。そして、人文学とリベラルアーツを学び、クラシック音楽にも造詣が深い。ギリシア語とラテン語を話し、今は中国語を学んでいる。

 プログラマーでありながら人間味にあふれる人間だ。だから人と人との付き合いというものを理解している。ビル・ゲイツみたいに人付き合いがぎこちなくて何でもかんでも自分でやらなければ気が済まないアスペルガー症候群(内閉性)的な人間じゃない。

 ザッカーバーグは非常に繊細な神経の持ち主なんだ。だから人類史上、最も急速に受け入れられたコミュニケーション・ツールを作ることができた。人間関係における微妙で敏感な間合いを理解していなければそれは不可能だった。フェイスブックは文章を書いてネットにアップするためのソフトウエアではない。生身の人間と交流するためのソフトウエアだ。

「企業100年の計」は孫正義譲り?

―― ゴールドマン・サックスによれば、フェイスブックの企業価値は約500億ドル(約4兆2000億円)という途方もない額だという。

500億ドルというのはフェイスブックに対するかなり強気の評価であることは間違いない。フェイスブックはまだIPO(新規株式公開)するとは言っていない。それはギャンブルだが、狂ったギャンブルではない。

 フェイスブックは2011年にSEC(米証券取引委員会)が定める未公開企業としての株主数の制限を超える見込みだ。その制限を超えると、未公開企業であっても財務情報を公開しなければならない。だから、株式を公開しなければならなくなると言う連中がいるが、それは正しくない。公開企業と同じように財務情報を公開すればいいだけの話なんだ。

 マークが来年あたりに株式公開に動くとは思わない。彼はできる限り未公開企業のままでいたいと考えていると思う。これは私の予測だが、2012年から彼らはすべての財務情報を公開する。しかし、株式上場はしない。それから先はどのぐらいの資金を必要とするかによる。多くの要素に影響されるが、ザッカーバーグはウォール街の短期思考の連中に圧力をかけられたくないと思っている。

 マークは、ソフトバンク孫正義のように100年単位でものを考えるタイプだ。100年はちょっと長いかもしれなが、少なくとも20年ぐらい先は見ている。5年後、10年後、20年後のフェイスブックはどうなっているか、彼はそういうふうにフェイスブックを経営したいと思っている。ウォール街がからんでくると、それはとても難しくなる。

ブームとバブルを超える戦術に注目!

―― グルーポン、リンクドイン、ツイッター、そしてフェイスブックと、IT企業の株式公開ラッシュが始まるのではないかという見方がある。それは、新しいバブルではないかという声もあるが?

 グルーポンなんかを見ると、あまりにも企業価値評価が高すぎて確かにバブルっぽいな。「インターネット・ブーム」「ウェブ2.0ブーム」の次として「ソーシャルネットワーク・ブーム」を期待している連中は多い。ただ、まだバブルの様相ではないし、フェイスブックに投資したら何年後かに紙くずになってしまうというようなことはないだろう。だが、バブルというのはブームに便乗する連中によって作られるものだから・・・。

―― IT企業の浮沈は激しい。フェイスブックは10年後も生き延びているだろうか。

 昨年の夏、マークに同じ質問をしたよ。そうしたら、なんてバカな質問をする奴だって目で見られた(笑)。僕は「20~30年後にもフェイスブックは存在しているだろうか」と聞いた。彼は「当然だ」と言ったね。インターネット・ビジネスの変化と技術革新のスピードは恐ろしく速い。新参の競合企業は次から次へと登場してくる。10年後のフェイスブックがどうなっているかよりも、大局を見ることが重要だ。

 あのグーグルでさえ、最近はナンバーワンの座から落ちかけている。インターネットの世界で10年同じ状況が続くなどということはあり得ないのだ。フェイスブックもこの先多くの課題に直面するだろうが、1つだけ言えるのは、マーク・ザッカーバーグという男は柔軟な戦術家だということだ。戦術を変えなければならない時、彼の動きは速い。マークがどんな戦術を繰り出してくるのか、わくわくしながらウオッチしていくよ。

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