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2011/01/19 フォーサイト 富山創一朗

平成23年度(2011年度)予算案の国会審議が始まる。前年度予算は政権交代でドタバタが続いていたから、民主党政権にとって渾身の予算案と呼べるのは今年度予算からだ。いや、そうなるはずだった。だが、現実には政権交代前から民主党が掲げていた「理念」はことごとく消え失せ、何とも切れの悪い予算案になっている。
 例年よりも国会開会が遅れる中で、自民党公明党、みんなの党など野党は、こぞって批判の声を強めている。そんな批判に「政府案が最終ではなく、議論で変えていい。合理的な修正はやぶさかではない」(岡田克也・民主党幹事長)という発言が飛び出すのも、予算を作った民主党自身に「自信がない」ことの表れと言えるだろう。

2年連続で税収を上回った「借金」!

 予算全体の規模を示す一般会計の総額は92兆4116億円。これは過去最大だ。一方で歳入は税収が40兆9270億円にとどまり、新規国債発行額は44兆2980億円に達する。国債発行という「借金」による収入が「税収」を2年連続で上回る異常事態に陥るのだ。
 借金が税収を上回ったことは過去に1度しかないという。昭和21年度、つまり第2次世界大戦に敗れた翌年度だ。戦費が賄い切れないほど巨額になったことが国債発行依存の理由とされがちだが、現実はやや違う。戦争中も国債発行額よりも税収の方が多かったからだ。
 政府に力があり、国民が政府を支えようとすれば、国民は増税を受け入れる。敗戦直後は政府が国民の信頼を失い、国債発行に依存せざるを得なくなった、と見るのが正しい解釈ではないか。そして、「平和で民主的な国家を作る」という戦後の政府の方針を再び国民が信頼し、税収がメインの財政に戻っていった。
 2年連続で国債発行が税収を上回る現状をどう考えるべきか。敗戦後の日本以上に、国民が政府を信頼していない、あるいは失望している、ということではないか。その意味を熟知しているはずの財務省がなぜ、そんな「政府不信任」ともいえる予算案を作ったか。
 仮説は2つある。民主党政府を早期に葬るため、という考え方と、「財政危機」を煽ることで念願の消費税増税への道筋を付けるため、という考え方だ。どちらにせよ、財務省にとっては好都合というわけだ。これと平仄を合わせるように、自民党谷垣禎一総裁は「財政再建を優先すべきだ」と語っている。

財務省カラー」に染まった首相!

 政権交代の原動力になったのは、民主党の掲げた政策理念に対する国民の共感だったと言ってよい。「脱官僚依存」と「天下り排除」。そして、無駄を徹底的に見直すことで財源が生まれ、「子ども手当」や「高校無償化」、「高速道路無料化」、「農家戸別所得補償」など、民主党マニフェストで掲げた政策が実現できるはずだった。
 それは民主党の中堅幹部が好んで使う言葉でいえば「維新」になるはずだった。旧来型の霞が関中心の官僚主導体制を打破することで、旧政権が失った国民の信頼を新政権が一身に担う。そんな政府になれば、2年目からは国債発行に依存しない予算が組めたはずである。
 自民党財務省シンパに言わせれば、菅直人氏が財務大臣を務めた数カ月間で勝負が決まった。菅氏と長年付き合う民主党関係者によると「菅さんは総理になりたいだけで、政策としてやりたい事はなかった」。財務省は抜け目なくそこをついたのである。日本の国家財政がいかに危機に瀕しているかを徐々に刷り込み、財政再建をやり遂げられた首相が歴史に名を残すであろうことを耳打ちした。財務大臣だった当時、菅氏は官僚の接触を忌避していたから、もっぱら話を伝えたのは財務省シンパになっていた野田佳彦副大臣(当時、現財務大臣)や財務省出身の大串博志財務大臣政務官(当時)だった。もちろん菅攻略の司令塔は、主計局長だった勝栄二郎氏(現事務次官)だ。
 首相になって、参院選挙に際して突然消費税を言い出した頃には、菅氏は「財政再建」こそが自分の信念であったかのように思い込んでいた。真空だったがゆえに財務省カラーに完璧に染まったと言える。財務省に近い仙谷由人氏が官房長官になるに至って、菅政権は完全に変質する。あれほど声高に叫んでいた「脱官僚依存」という言葉は、政権内からはほとんど聞かれなくなった。
 菅氏は総理に就任するや、国家戦略室の機能を事実上縮小する。予算編成権を財務省から官邸に移されることを警戒する財務官僚が、もっとも危険視していたのが国家戦略室。それを見事に骨抜きにしたのだ。さらに予算の概算要求基準(シーリング)が復活するに及んで、財務省の復活は決定的となった。

国民にもわけが分からない「子ども手当」!

マニフェストは見直していただかなければいけません」。予算編成を控えた昨年11月。親しい政治家たちとの会合で、勝次官は静かな口調で語ったという。
 もちろん見直しといっても、子ども手当を全廃するわけではない。現行の月額1万3000円をマニフェスト通り2万6000円に引き上げることは受け入れられない、ということだった。1万3000円についてはすでに扶養控除の廃止で計算が合っている。残りの1万3000円は財源がない、というわけだ。
 ところが、1万3000円のままでは児童手当をもらっていた世帯は収入減になってしまう。そこで出てきたのが2歳までは月額2万円という折衷案だった。財務省の思考方法は歳出と歳入の均衡だけ。出すからには財源を、というのが「絶対に譲らない線」で、民主党の「政策実現」は二の次なのだ。結果、子ども手当はもらっている国民にもわけの分からないカネになった。
 1月末に給与が振り込まれて、子どものいる世帯の親たちは首をかしげるはずだ。「なぜ今月はこんなに給料が少ないんだ」と。扶養者控除の廃止で所得税が増え、手取りが減るのだ。もちろん、昨年からもらっている子ども手当と合算すれば、増えている計算になる家庭が多い。だが、子ども手当はもう使ってしまっている。2月は家計を切り詰めなければならなくなる。財務省にとって収支計算が合っても、実際の家計のやりくりでは計算が合わなくなるのだ。
 2月と言えば、国会論戦真っ盛りである。民主党の政策が自らの家計と直結することで、民主党への批判は一段と強まるだろう。民主党議員の中には、それを恐れて扶養者控除の廃止先送りを首相に進言する人もいたが、収支計算が合わなくなる財務省が首を縦にふるはずはなかった。

財務省がこだわる「単年度の帳尻合わせ」!

 単年度の収支を合わせるという財務省の鉄則は、すっかり菅政権の鉄則になった。年末に閣議決定した税制改正大綱にしても同じ。法人税率の5%引き下げを行なう一方で、租税特別措置の廃止・縮減や、損金の繰り延べ限度額の引き下げなど、法人への減税分の半分以上を法人への課税で賄った。そこには、法人減税で企業活動が活性化し、企業が利益を上げれば、雇用も増え、数年後の法人税収や所得税収が増える、という発想はない。とにかく単年度の収支を合わせることが先決なのだ。
 法人税率の5%引き下げは菅首相の“売り物”である「新成長戦略」の柱だ。「分配だけで成長戦略がない」という自民党などからの批判を受けて菅氏が国家戦略担当相の時に着手、首相になって具体策を打ち出した。といっても菅氏に具体的な政策志向があるわけではなく、たたき台を作ったのは経済産業省。企業からの長年の要望であった法人税減税を盛り込んだのも経産省だった。
 民主党政権が企業に良い顔をしたい理由は他にもあった。日本経団連を中心に、民主党の経済政策が企業に厳しいという批判が渦巻いていた。企業経営者にそっぽを向かれては国の経済政策は回らない。民主党への企業献金も増えておらず、仮に早期に解散総選挙となった場合、民主党の軍資金は底をつく。企業に恩を売っておく必要があったわけだ。
 結局、法人減税のツケの一部は個人に回った。所得控除の見直しや相続税の増税を盛り込んだのだ。連立を離脱した社民党や共産党は「法人減税のツケを個人に回すのはおかしい」と強く批判し続けている。心情的にこうした発想に近い菅首相は、負担を「金持ち」に求める形にしたのだ。
 もっとも、相続税の税率が低すぎるという主張は、財務省の主張でもある。また、長年、引き下げが続いてきた個人所得税の最高税率を引き上げたいというのも財務省の発想だ。最高税率の引き上げは民主党だけでなく自民党の政策提言の中にもいつの間にかもぐりこんでいる。要は「取りやすいところから取る」財務省の発想が、民主党にも自民党にも浸透している、ということなのだ。

「歳出」の改革を置き去りに!

 国の財政構造を抜本的に見直すはずだった民主党政権。肥大化した官僚機構や天下り構造、官民癒着など「歳出」サイドを見直すのが「脱官僚依存」の本旨だったはずだ。ところが、抜本的な見直しはいつの間にか、税という「歳入」サイドの見直し議論に変わっている。
 菅首相は年頭の記者会見で、消費税率の引き上げなどに向けた、税制の抜本見直しの協議を野党との間で始めたいという意向を示した。自民党も消費税引き上げによる財政健全化を掲げており、「増税大連立」が実現しそうな気配である。
 だが、本当に国民は消費税増税を受け入れるのだろうか。大阪府の橋下徹知事や名古屋市の河村たかし市長が進めている行政のスリム化の流れは、市民の圧倒的な支持を得ている。大阪、名古屋から生まれる「減税連合」の流れは、全国に広がる可能性もある。
 膨らみ続ける社会保障費を賄うには消費税増税が必要だということは多くの国民が分かっている。だが、無駄を温存し、官僚機構の肥大化を放置したままで消費税を上げることを、国民は許さないだろう。
 大畠章宏経済産業相(当時)は、年明け5日の閣議後の記者会見で、資源エネルギー庁長官だった石田徹氏が退官後4カ月余りで東京電力顧問に就任したことを明らかにした。株主総会で役員になるのが既定路線のようだ。東電側に求められた人事としているが、規制当局のトップが監督業界に就職する典型的な「天下り」だ。新卒大学生の就職が過去最悪の状況に陥る中で、天下りへの国民の嫌悪感は強まっているが、そんなことは全く意に介さないかのような露骨な人事に、霞が関の復活が透けて見える。これでは到底、政府への国民の信頼回復はおぼつかない。
 1月14日の内閣改造では、財務省と考え方の近い与謝野馨氏が経済財政担当相として入閣。政権の財務省主導、増税路線がますます鮮明になった。国債発行が税収を上回る「信頼喪失」状態を抜け出すメドはまったく見えて来ない。

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