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2011年03月01日(火) 週刊現代
 
経済発展にともなって蓄えを得た中国人がいま、大量に渡日している。彼らの多くが棲み家として選ぶのが公団・公営住宅。団地を歩いて回ると、そこはまるでチャイナタウンのようになっていた。

「住民の4割が中国人です」

JR京葉線の稲毛海岸駅(千葉市)を降り3分ほど歩くと、広大な高層住宅街が目に飛び込んでくる。1970年代に住宅公団(現・都市再生機構)が開発した『高洲団地』で、賃貸住宅6000戸以上が所狭しと並んでいる。周囲にはイオンの大型スーパー、分譲マンションなどが建つ一大ニュータウンだ。
 この団地に住む中国人が急増していると聞き、昼下がりに訪れた。団地内に足を踏み入れるとさっそく、談笑している中国人女性2人組に出くわした。
 話しかけてみると、「安いし便利だから住んでいる」とのこと。家賃は3DKで約6万~7万円というから確かに安い。さらに「(団地に住む)中国人は多いですよ。旧正月の頃には中国人世帯だけが参加する集会なども開かれていますから」という。
 団地沿いの歩道を行くと、今度は自転車で併走している3組の女性が目に入る。耳を澄ますと中国語で会話をしている、また中国人だ。携帯電話を片手に中国語で話している住民もいる。訪れてから約30分、まだ日本人に出会っていない。
 団地内の地下から湧き出るという『高洲の名水』を汲んでいた住民に話しかけると、やっと日本人。この60代女性によると、「近くの分譲マンションは高いから中国人はいないらしいけど、こっち(賃貸)は増えるいっぽう。いまや高齢者と外国人ばかりです。民間の賃貸住宅と違い保証人は不要だし、敷金と礼金の負担もほとんどないから、借りやすいんでしょう」。
 近くにいた別の日本人のお年寄りによると、「中国人が増えたのはここ10年ぐらい。交流がないのではっきりとはわからないけれど、全体の1割以上はいるのでは」という。
 
何人かの住民の話を聞くうち、団地から300mほど離れた場所に中国物産店があることもわかった。地元住民によると「中国人しか行かない店」だという。約8畳大の店内をのぞくと、食材、調味料など100種類ほどの乾物が並ぶ。商品名や説明はすべて中国語で、日本語はまったく書かれていない。中国のドラマ、映画のビデオ(VHS)、CDや中国語の新聞も置かれている。この店が地域に住む中国人の食と情報を支えているようだ。
 さらに物産店の近くには中国人が経営する中華料理店もあった。昼時は過ぎているが、ラフなシャツを来た中国人男性2人が食事をしながら会話を楽しんでいた。さしずめ近隣中国人の社交場だろうか。団地住民によれば、この店に来た中国人が夜遅くまで騒いだため、周囲の住民から警察に苦情が寄せられ、深夜にパトカーが来たことが何度かあったという---。
 実はいま、このように「チャイナタウンと化した公営・公団住宅」が全国的に広がっている。本誌が外国人住民が多いとされる主だった公営・公団住宅に取材してみても、「約1500戸の賃貸住宅のうち、300戸以上を中国人世帯が利用しています」(千葉県船橋市の『行田団地』自治会)、「年々中国人は増えていて、いまでは団地の4割ほどは中国人世帯となっています」(埼玉県川口市の『芝園団地』自治会)といったところが続々と出てくる。
 中国人人口が5年前に比べて6割も増えたという長野県駒ケ根市でも「市営住宅に入居する中国人は多い。特に『馬見塚市営住宅』では5年前に全戸数の3分の1ほどが中国人世帯になっていた」(馬見塚市営住宅の住民)、埼玉県本庄市にある『県営本庄小島住宅』ではペルー人、ブラジル人、中国人などの外国人の割合が3割を超えているが、「特に最近は中国人が増えている。南米系の外国人が'08年からの不況で大量に工場を解雇になって祖国に帰ると、取って代わるように20代、30代の若い中国人が入ってきた」(県営本庄小島住宅の住民)というのだ。

口コミでどんどん集まる

 背景にあるのは、中国人の大量流入。法務省入国管理局の統計によれば、外国人登録した中国人は'09年末に68万人を超え、10年前の2倍以上に膨らんでいる。外国人登録者数では'07年に在日コリアンの数を抜いて以来、中国人が3年連続で最多である。
「日本に住む中国人が一番苦労するのは家探し。民間住宅は賃料が高いうえ、手ごろな物件があっても外国人を断るところがある。そのため、民間より家賃が安く、かつ在留資格などを満たせば外国人にも門戸が開かれている公営・公団が受け皿になる。いい団地があるという噂は口コミであっという間に広がり、続々と仲間の中国人が移り住んでくるのです」(全国のチャイナタウンを取材するノンフィクション作家の河添恵子氏)
 さらに公団・公営住宅側にはこんな事情がある。
「建物の老朽化、住民の高齢化が進んだ結果、〝空洞化〟が深刻な問題になっているところは多い。老人が白骨化して発見される孤独死の現場となることもあり、イメージが悪化、若者が離れていった。こうした事態を危惧した公団側は空室を埋めるために家賃を一定期間無料にするなど様々な対策を講じているほどで、外国人が来てくれることは渡りに船なんです」(住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏)
 
ただそうした中で、多くの団地で中国人と日本人住民の間でトラブルが顕在化しているのも事実。中国人世帯率が4割に届くという「日本一チャイナ化」した埼玉県芝園団地で住民に聞くと、その実態は想像以上に凄まじい。
 
JR蕨駅から歩くこと7~8分。1978年に建てられたこの団地は総戸数2454、1DKから3DKまでの部屋の家賃は5万2600円から11万5000円となっている。
 休日に訪れてみると、確かに中国人がたくさんいる。玄関前で中国語で談笑する「吉林省出身」の老人男性、娘を連れて歩く30代女性など年齢層も様々だ。
 20代の中国人男性に話を聞くと、「友人から聞いてここを知って、環境もいいので入居した。ただ人気で2ヵ月待ちでした」という。ほかにも日本語堪能な中国人が多く、いずれも主にIT関連企業に勤める20代の若者というのが特徴的だ。
 団地内の商店街と駅に向かう通りには1店舗ずつ中国雑貨店があり、「四川ザーサイ」といった中国産食料品や「日本新華僑報」など中国系新聞が販売されている。ここでもチャイナタウン化はかなり進んでいる。
 
一見すると静かで穏やかなニュータウンの団地。しかし日本人住民に話を聞くと、不満の声が多く聞かれる。中でも中国人住民の一番の問題は「ゴミ処理」にあるという。
「燃えるゴミも燃えないゴミも同じ袋に入れて出す。ゴミの分別をしないだけでなく、ゴミ出しの曜日も守らない。ゴミ捨て場ではないところに粗大ゴミが捨ててあることもあった。きちんとマナーを守って欲しいです!」
 50代の女性住民は困ったようにこう語る。ほかの団地でも「芝生にゴミ袋を投げ捨てていた」(千葉県松戸市『常盤平団地』の住民)とゴミ問題は深刻になっている。さらに芝園団地では、中国雑技団もビックリのこんな「空中芸」が飛び出したこともあったという。
「ベランダからゴミを放り出す人がいたんですよ。よく道路に唾も吐くし、なんでもポイポイ道に捨てるのは、中国では当たり前なんですかね? ほかにも上層階から投げ捨てられたタバコが、下層階の洗濯物を焦がしたこともありました」(40代の男性住民)

踊り場で放尿

 こうした事態を受けて、ゴミ捨て場や掲示板の注意書きに中国語が併記されるようになり、トラブルは少なくなってきているという。
 しかし、中国人の「マナーの悪さ」は変わらない。
 
「2DKの部屋に住んでいた中国人家族の部屋では、十数人の中国人が集まってよく夜中に酒を飲んで、騒いでいた。それだけでも嫌だったのに、その部屋が空いたときに清掃業者が入ると、部屋は土足で使われていて、畳の上まで泥だらけだったそうです。エレベーターの中や階段の踊り場で放尿する中国人が目撃されたり、時には汚物が発見されたこともありました。一体どういう衛生観念をしているのでしょうか」(70代の男性住民)
 ここまでくると文化の違いという言葉では片付けられない「奇行」としかいいようがない・・・。自治会では「まずは対話をしよう!」と決起、何度か中国人たちと交流して状況を改善しようと試みてきたが、これもうまくいっていない。大きな「コミュニケーションの壁」があるのだ。
「10階のベランダからゴミをポイ捨てする中国人を一度、注意したことがあるんです。でもそうしたら『ゴミを集めておカネをもらっているゴミ収集員がいるんだ。ゴミを集めるのは彼らの仕事だろ』と逆ギレされて・・・。次の言葉が出ませんでしたし、怖くなって、それからは声をかけられません」(60代の男性住民)
 自治会に加入する中国人もほとんどいないという。
「どうにか中国人住民と交流しようということで、公民館でスポーツ交流会を企画。一度は日本人チームと中国人チームで卓球の交流試合をやったんですが、それもいつしか立ち消えになった。最近も中国人のバドミントンチームに試合をやろうと声をかけたんですが、今度は参加もしてくれなかった」(自治会役員)
 どんどん増えていく中国人は身内でつるみ、日本人とは隔絶したコミュニティを作っていく。そのため「どんな人が近くに住んでいるのかわからず、気味が悪い」と感じる住民も少なくない。昨年には、「外国人排斥」を訴える市民団体が団地に押しかけ、デモ活動を行う事態まで起きた。中国の雑貨店を前に、「中国人は出て行け!」のシュプレヒコールが団地に鳴り響いたという。団地内で商店を営む男性は嘆く。
「客の中国人は『本国では芝園は有名になっている』と言っていた。これからも口コミで広がって、芝園団地に中国人たちが押し寄せるでしょうね。団地の運営サイドにはこれ以上中国人を増やさないでくれと頼んでいますが、曖昧な対応ばかり。そのうち100%中国人になってしまうんじゃないでしょうか」

中国語の回覧板?

 こうした声は多くの団地で聞こえてくる。ただ公営住宅を運営する自治体側も指をくわえて黙っていたわけではない。最近では自治体が「強硬策」に出るところも出てきた。
 現場となっているのは福井県庁から約4km、新興住宅地として栄える地区に建つ『東安居団地』だ。この市営住宅は県内で外国人入居者数が最も多い団地として知られ、福井市住宅政策課によれば、328戸世帯のうち外国人世帯が約1割、中でも最も多いのが中国人世帯だという。ここでもご多分に漏れず、中国人住民とのトラブルが起きていた。
「そこで市側は、公営住宅の入居基準に『日本語での日常会話の能力が不十分な外国人の入居を拒否する』という旨の内規を設けたんです。要するに日本語が話せない人には住まわせないということ。これに対して外国人を支援する団体などから『人権を無視している』と抗議が出ている。ただ地元住民からは『市の対応を支持する』という賛成意見が多数寄せられているんです」(全国紙記者)
 
かつて滋賀県の県営住宅でも日本語ができない外国人を入居制限したことがあった。同様に豊田市では空室より少ない募集しか出さず実質的に入居制限したという事例もある。
 福井ではいまも反対運動が展開されているが、あくまで市側は「住民から外国人との関わりについて様々な意見があり、特に防災や安全にかかわる情報の共有をどうするかという点で問題が生じていると判断。回覧板を外国語にするなどの対応は予算等の関係で実施できる見込みがないので、日常会話が不十分な外国人の入居は難しいと内規を設けた」(福井市住宅政策課)と語り、内規撤廃には否定的な態度を貫く。
「東京随一のチャイナタウンが形成されている池袋では、'08年に中国人の民間団体が『東京中華街構想』をぶち上げた。神戸や横浜のような中華街を池袋駅を中心に作ろうというものだったが、これは地元商店街から『地元商店会に入るのが先だろう』『中国マフィアが入ってきたらどうするのか』などと猛烈な反対にあった」(池袋の商店街店主)
 中国人との共生は簡単なことではないのだ。ただ放っておいても、中国人は増えていく。自治体や地元が反対しても、チャイナタウンは全国的に広がっていくだろう。『中国に人民元はない』などの著作があり、中国事情に詳しいビジネス・ブレークスルー大学(通信制)教授の田代秀敏氏はこう指摘する。
「人口減と高齢化で経済が疲弊している地域は、『中国人移民』の活用が必須です。しかし、中国人が集住するとその地域に中国系のスーパーや雑貨店ができ、その商品を求めて中国人がさらに集まり、やがてチャイナタウン化する。アメリカが一つの人種や民族が偏らないようにする移民政策を採っているように、日本も地域別、団地別に中国人の割合に上限を設け、彼らの日本化を図るべきでしょう」
 入郷随俗(郷に入れば郷に従え)---。中国人にはまず、この言葉を肝に銘じて欲しい。
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郵政民営化に続き、改革に逆行

2011年02月28日(月) 高橋 洋一
 
また政権末期での官僚のやりたい放題だ。新聞はあまり報道しないが、政府は2月25日、日本政策金融公庫から国際金融部門の国際協力銀行(JBIC)を分離・独立させる「株式会社国際協力銀行法案」を閣議決定し、国会に提出した。
  JBICは2008年秋、政府系金融機関の改革で日本政策金融公庫に統合されたが、政府・民主党は再び独立させることにしたのだ。これで、JBICは再び財務省の有力な天下り先になるだろう。
 実は、私は小泉政権で郵政民営化とともに政策金融改革も担当していた。小泉政権時代にも、財務官僚のいいなりになってJBIC等の政策金融改革に反対した「過去官僚」(官僚出身)の自民党議員が多かったが、それでも郵政民営化とコインの裏表になる政策金融改革を行った。
 その政策金融改革のポイントは、組織をできる限りスリム化して、政策金融機能を限定しながら、いざというときには民間金融の力を借りて、天下り先を作らなくても業務拡大できるという制度設計だった。

具体的には、各省ごとの持っていた政策金融機関を一つに統合して組織のスリム化(各機関が各省事務次官クラスの天下り先だったのを一つにする)し、機能も直接融資から保証などの間接融資にするものだ。その改革では、政投銀や商工中金という財務省と経産省の事務次官天下り先を完全民営化することも含まれていた。
 日本はそれまで政策金融機関が多かった。しかし、この改革の結果、政策金融機関はあったとしても日本政策金融公庫一つで十分という世界の標準になった。
 ところが、民主党は政策金融改革をすべて反故にして、10年前以上も昔に戻してしまったのである。民主党も、過去官僚が多く、官僚に理解がある人が多い。自民党では党人派の小さな政府主義がそれなりに影響力があったが、民主党は大きな政府路線で、官僚の言いなりが多い。
 
実は、政策金融ばかりでなく、貿易保険でも民主党は改革を逆行させた。事業仕分け第3弾の初日である2010年10月27日に行われた貿易再保険特会。貿易再保険特会を独立行政法人日本貿易保険(NEXI)に統合となったが、これは酷い。

官僚の高等戦術に騙された民主党

 そもそも再保険と保険の二本建てになっているのは、もともと国営の貿易保険を、再保険は国、保険は民間とするために2001年の省庁再編時に、再保険は特会、保険は独立行政法人のNEXIと決めたからだ。その後、NEXIの民営化(特殊会社化)となり、貿易保険には民間会社が参入した。
 しかし、民主党の目玉の事業仕分けで、民営化がなくなった。再保険と保険が独法でひとつになり、以前の特会が独法に変わっただけなので、2001年以前に逆戻りだ。貿易再保険の廃止という言葉でごまかし、NEXIの民営化を反故にした官僚の高等作戦に、民主党が騙されたのだ。
 
 
 
 
 
 
さらに、今回、JBICが政策金融改革に逆行してまで行おうとしているのは、米国南テキサス州で東京電力や東芝が出資して進めている原発建設プロジェクトに対する融資である。
 日本政策金融公庫では、先進国向けの金融は原則行わないことになっており、JBICを傘下に収める際にも従前に行われていた先進国向けの金融業務は原則廃止された。ところが、政令において「国際競争力向上」という曖昧な抜け穴を作っていた。
 経済学ではノーベル賞受賞者のクルーグマン・プリンストン大教授が口を酸っぱくして何度も警告を発しているが、国際競争力という言葉は実態のないもので、官僚のいいように利用されるだけだ。
 さらに、米国の原子力案件では、24日、米国の環境団体NIRS(Nuclear Information and Resource Service)が日本政府にプロジェクトを中止するように要望している。その要望には、日米の170を超える団体が賛同している。
 その内容は、米国では電力市場の規制緩和による価格低下があるので、原子力プロジェクトは採算がとれないというまっとうな話だ。
 もともと官業の政策金融機関はリスク評価が甘かった。そこで、政策金融改革では、金融機能を保証などの間接金融に限定し、直接融資は民間金融機関を活用するスキームにした。その場合、リスクを官民でシェアすることにより、民間のリスク評価機能を活用するというものだ。
 ところが、政策金融は古い昔の官業が「フルセット」で行うものに逆戻りしてしまった。とてもきちんとしたリスク評価ができるとも思えない。

事業仕分けに悪乗り

 米国では、プロジェクトの売り上げに応じて債券の元利を支払いレベニューボンドなど、多種多様なリスクを評価してそれに応じて最適な資金調達する仕組みが整備されている。そうした資本市場の発達した先進国の米国でも、採算が危ういというのに、わざわざ金融技術が優れているとは言い難い官業JBICが出て行く理由が不透明だ。
 せめて政策金融改革後の姿になっていれば、リスク評価とそれに対する国民負担が明確になったはずだが、逆戻りの官業のどんぶり勘定ではそれも期待できない。
 それでも、原発プロジェクトのリスクを問いただすと、NEXIの保険でカバーするから国民負担はないという。この論法にマスコミは騙される。
 たしかに、NEXIには補助金などが明示的に入っていないかも知れない。しかし、なぜ補助金なしでできるかといえば、貿易再保険を経産省ががっちり押さえていて、NEXIを民間保険会社との競争から守っていて超過利潤が発生するからだ。
 
しかも、民主党の事業仕分けに悪のりして、NEXIと貿易再保険の統合を行った。それによって、これまで民間保険会社が細々と貿易保険業務を行っていたが、これからはNEXIの事実上独占になるだろう。
 なんのことはない。NEXIを競争から隔離したり、独占にしたりで、利用者から超過利潤をとって、それでJBICの穴埋めに回すということだ。
 こんな競争のない金融社会主義みたいなことをしていたら、日本は官僚天国になってしまう。
 それにしても、菅政権の閣僚として与謝野大臣は閣議のサインをしているのにはあきれる。郵政民営化や政策金融改革には、自民党の政調会長として関わっていた。やはり平成の変節王だ。
 

『メッシュ』著者に聞く、新潮流の共有型ビジネス最前線(前編)

2011年2月24日(木) 日経ビジネス 瀧口範子
 
 
――どんなきっかけで、この『メッシュ』を書こうと思ったのですか。
 
ガンスキー 私は、テクノロジー業界のアントレプレナーとして、これまでいくつもの企業を立ち上げてきました。こういう仕事をしていると、自然とテクノロジーの観察者になるものです。
 どんな新しいテクノロジーが出てきたのか、そのマーケットは何か、人々の関心はどの程度か、そのテクノロジーによって新しいサービスが提供されるのか、それとも古いものが新しい方法で提供されるのか、といったことを分析するようになるのです。
 
 1999年にオフォト(現コダックギャラリー)という写真シェアリングの会社を起業した時(後にコダックに売却)、物理的なビジネスだった写真がデジタル・テクノロジーによってすっかり変わり、しかも人々が結婚式や休暇などの人生のイベントの記録を共有したいのだということが分かりました。
 デジタルにアクセス可能にしておけば、その写真を好きな時に見られる、それが大人気を呼んだのです。
 その後、写真だけでなく音楽、映画も、アップルのiTunesなどを利用することでわざわざCDやDVDを買わなくても、好きな時に楽しめるようになった。今や、モバイルやGPS(全地球測位システム)などのテクノロジーのおかげで、他にもいろいろなものを簡単に安価に探し出せるようになりました。
 そこで考えたのです。さて、そうすると我々はモノを所有する必要があるのか――と。リサーチが始まったのはここからです。

考えてみると、都市というプラットホームも共有されるべく計画

――『メッシュ』では、テクノロジーのプラットホームを利用することで、個人や企業が共有できるモノやサービスの多様な例が出てきます。好例がカーシェアリングですね。
 
ガンスキー 考えてみると、都市というプラットホームも共有されるべく計画されてきました。道路や公共交通機関、ホテル、アパート、レストラン、公園、警察、消防署など、すべて人々が必要な時にアクセスするためにある。この世界において共有はかなり長い歴史があるわけで、むしろ所有することへの執着は一体いつから始まったのかと考えざるを得ません。
 例えば、アメリカやカナダ、ヨーロッパでは、個人が自家用車を利用するのはたった8%だけです。自動車は高い買い物なのに、あとの92%の時間は使われないままに放置されている。その上、車を持っているとメンテナンスにお金もかかり、街では駐車に苦労し、交通違反をすれば罰金も払わされます。
 ところが、カーシェアリングのサービスを利用すれば、便利でストレスは少なく、満足感も大きい。それならば、所有する代わりに必要な時にアクセスすればいいのです。

企業ではどんな例がある?

――企業のビジネスでは、どんな例があるのでしょうか。
 
ガンスキー これまでは一企業が垂直統合してきたさまざまな機能を共有する例がたくさんあります。工場やテクノロジー、配送センターや顧客サービスセンター、特定のチームなどに及んでいます。
 物理的なモノと情報のインフラを共有して無駄をなくし、最大限の利益を生み出すアプローチで、「イールド・マネージメント」と呼ばれているものです。DHLやUPSなどの配送サービス、日本にも出てきたP2P(ピア・ツー・ピア)型の金融業なども、そうした例に入ります。
 
――『メッシュ』では、共有することだけでなく、そこから派生するいくつかの興味深い側面にも触れられています。
 
ガンスキー メッシュとは、網の目のことですが、「織り込む」という意味があります。コミュニティ、情報、物理的なモノをインターネットというネットワークの網に一緒に織り込んでいったら何が出てくるか。メッシュ・コミュニティやメッシュ・ビジネスが最初に提供できるのは、モノやサービスの共有です。しかし、その次に、共有することによってデータが得られることが特徴です。
 例えば、車を買うと、顧客と店との接点は一度限りでしょう。顧客は車に乗って走り去ってしまうからです。けれどもカーシェアリングならば、顧客は繰り返し利用するわけですから、店にとっては同じ顧客とのやりとりが多くなる。顧客の意見を聞いてサービスを向上させられれば、店と顧客双方にとっていい結果となります。しかも、今は口コミの時代ですから、宣伝費などよりも、顧客との関係に投資をした方がはるかにメリットを生むのです。
 さらに、パートナーシップ(提携関係)もメッシュが可能にする広がりです。たとえば、家電量販店がただ製品を売るだけでなく、業者と提携して廃品回収も行ない、消費者にポイントを還元すれば、P/L(損益計算書)の数字も向上します。
 今や廃棄によるコストは無視できなくなっているうえに、持続可能性(サステイナビリティ)への配慮は企業ブランドにとって大きな影響があるからです。コカコーラが再生ペットボトル素材で家具を作るといったことをやっていますが、こうした提携は今後大きなトレンドになるはずです。

モノを売るビジネスでのメッシュはある?

――モノを売るビジネスをしている既存の企業にも、メッシュに関わるチャンスはあるのでしょうか。
 
ガンスキー メッシュは、ゼロから始めなければならないわけではありません。個人ならば、家や車、自転車などを所有しています。使っていない期間があれば、それをバケーション・レンタル(休暇期間限定貸し出しサービス)などで貸し出すことができます。
 
カーシェアリングには、ジップカー(Zipcar)などの企業が運営するものもありますが、消費者同士のP2P型カーシェアリングのしくみもたくさん出てきました。そうやって貸し出して、毎月数100ドルの収入を得ることも可能です。私とあなたとの間でも、共有できるものがたくさんあるはずです。
 企業ならば、使っていないオフィスビルや工場、設備などを貸し出すことができます。要は、企業はすでに持っているものからどう最大限の利用価値を引き出し、廃棄を減らすかを考えればいいのですが、さらにはメッシュ的な未来に向かって、少しずつ変化していく必要があるということです。
 製品をどうデザインするのか、販売ルートをどう変えるのか、価格をどうつけるのかを再考するのです。メッシュ時代の製品は、共有されるのに向くようなデザインで、サイズが調整できたり、耐久性が高いものであったりする必要があるでしょう。
 
――消費者が所有をやめると、企業は損をすることになりませんか。
 

ガンスキー 例えば、映画のDVDをこれまで30ドルで売っていたとしましょう。これならば1回売っておしまいで、売り上げは30ドルです。ところが、マイクロ(少額)リースをして、5ドルで何度も貸し出せば、売り上げは増えるうえ、顧客との接点も多くなります。したがって、顧客にとっては安く、企業にとっては売り上げが増え、顧客も広がるという嬉しい状況が生まれるのです。

メッシュビジネスが失敗するケースとは

――メッシュ・ビジネスが失敗するのは、どういう場合でしょうか。
 
ガンスキー いつも顧客にアピールする魅力的なサービスを維持しなければなりません。例えば、バイクシェアリングのサービスで採用されているのは、数年前まではごく普通の自転車でした。ところが、今やGPSがついていたり、天気がわかったり、ロックが一体型になっていたりと、すっかり新しくなっている。自分の自転車はその間何も変わらないのに、シェアリング・サービスではそうしたアップデートが常に行われ、顧客を退屈させない。
 また、ぴったり合った顧客層を見つけることも必要です。若者は、携帯電話以外のモノを共有することに抵抗はありません。また年配者は、ともかくモノを減らした生活をしたいと思っているので、彼らも共有に向いています。
 ところが、その間の世代は、子育ての最中です。カーシェアリングを利用しようとしても、子供にオムツにカーシートと、いろいろな荷物を持って駐車場へ何ブロックも歩いていくのは、ロジスティック的につらい。
 サービスと顧客と価格設定のもっと微妙な関係性を抑えることも重要です。ブロックバスター(Blockbuster)は、DVDレンタルというシェアリング・サービスでした。ところが、返却期間に遅れると超過料がつき、本来ならばいい顧客であるはずの人々を苦しめたのです。
 
ネットフリックスの創業者は、休暇後ブロックバスターに返却に行って40ドルも徴収されたことがきっかけとなって、起業しました。ネットフリックスには超過料がありません。同じDVDレンタルのビジネスですが、テクノロジーを利用してビジネスモデルを変え、大成功したわけです。
 
――『メッシュ』には、共有、オープンさ、透明性、エコ・サイクルなど、これまでもテクノロジー分野などで語られてきたコンセプトが数多く出てきます。そうしたものを語る際の、『メッシュ』とウェブ2.0的な捉え方との違いは何ですか。
 
ガンスキー 1つは、物理的なモノにそうした考え方を適用したことでしょう。また、メッシュは、それら個々のコンセプトがシステムとして統合されたものだといえます。
 ビジネスに携わる人間は、材料に付加価値をつけて売ることが商売だと考えますが、私は「逆方向のバリュー・チェーン」に注目しました。売りっぱなしでなく、顧客との関係性を保ち続けることや廃棄の部分も含めてコア・ビジネスを考えることが、これから重要になると強調したいのです。
 その際に、ウェブ2.0では、お金を使って顧客の関心を惹き付けておくアプローチを採るかもしれません。しかし、メッシュとは有機的なプラットホームであり、自分以外の誰かほかの人たちがそこへ結びついていることが経済的にも環境的にも理にかなっているという、つながりを基盤とした利他的なビジネスモデルなのです。

『メッシュ』著者に聞く、新潮流の共有型ビジネス最前線(後編)

2011年2月28日(月) 日経ビジネス 瀧口範子
 
 
――コミュニティでの共有というと、とかく閉じられた狭いグループ内でのことに終始するのではないかと思われがちですが、メッシュ・コミュニティやメッシュ・ビジネスはスケイラブル(拡張可能)なものなのでしょうか。
 
ガンスキー カーシェアリングは20~30年前からあります。またヨーロッパでは、100年前からバイクシェアリングがありました。しかし、現在はテクノロジーのプラットホームを統合することで、それを拡張できるようになったのです。
 また、こうしたシェアビジネスは、フェイスブックのようなSNSを土台にして構築することもできます。その際、1000人友達がいるとして、そのうち自分の車を貸してもいい相手は100人、家を貸してもいいのは30人、子供の面倒を見てほしいのは5人、といった具合にフィルタリングをかけることになる。そういうふうにサービスを伸張自在に捉えることもできるでしょう。
 現在、いろいろな試行錯誤が行われていますが、その試行錯誤のコストも、既存のプラットホームを利用したりなど、安いものになっています。

3分の1の収入で充分にやっていけるし、その方がストレスもないいい生活

――『メッシュ』には、ビジネスと社会の両方をつなぐ糸があるように思われますが、この本にどの程度社会変革への思いを込められたのでしょうか。
 
ガンスキー 私はいつも、ビジネスとは社会的(ソーシャル)なものだと捉えてきました。顧客、市場、コミュニティが結びついたところに成立し、いつも顧客を惹き付けておかなければならない。
 しかも現在の世界は、10年前とは違ったものになっています。人々が何に幸せを感じ、何に不安を感じるかがすっかり変わったのです。景気後退が人々を打撃し、もう大企業のブランドにも信頼感を持てなくなった。払うコスト分の価値があるのかを、人々が真剣に問い始めたのです。
 私の友人で、ニューヨークの金融業界に務めていた人が2人も解雇されました。いずれもいわゆるタイプA人間で、負けず嫌いで競争心が激しい。ところが、その後どうしているかと心配になって電話をしたら、1人はこう言うのです。よくよく計算したら、高級なスーツを身につけて毎日出勤するような生活をやめれば、3分の1の収入で充分にやっていけるし、その方がストレスもないいい生活だ、と。こうした時代の雰囲気に追い風をもらったのは確かです。
 
――景気後退がなくても、メッシュ的な世界は起こっていたと思いますか。
 
ガンスキー すでに起こりかけていたと思います。ジップカー(Zipcar)やネットフリックス(Netflix)、アマゾンのウェブサービスなどが始まったのは、いずれも10年ほど前です。それらはすべて、今や巨大なビジネスに成長しています。
 
そしてもう1つは、人々がシンプルな生活を望んでいること。それも、確かにモノは少ないけれども、何かを我慢するのではなく、返ってより豊かな経験を手にしたいと希望している。またそれが可能になりました。CDやDVDは持っていなくても、音楽や映画は以前よりたくさん鑑賞するようになったでしょう。
 
不動産のような業界でもメッシュは起こっていて、短期間のマイクロ賃貸やポップアップストア(移動型店舗)、共同作業(コワーキング)スペースのハブ(Hub)などが人気を得ています。大きなコミットメントが必要だった不動産ですら、タパスのような小皿モードのサービスになったということです。
 私は「メッシュの眼鏡をかける」という表現をしていますが、いまの暮らし、ビジネスの中でシェアできるモノ、希少な資源、余っているモノは何かという観点で常に見直すことから、新しいビジネスのてがかりは必ず見つかるはずです。

 

メディアはどうなる?

――メッシュ的な情報の共有とはどんなものでしょうか。それによって新聞やメディアのビジネスが生き延びる方法はあると思いますか。
ガンスキー コミュニティや国、企業、ライフスタイルに対して、われわれが長年抱いてきた考え方は大きく変化しています。分り易くいえば、「単一の制御ポイント」のある世界からメッシュ・モデルへの移行です。政府、企業、報道機関のすべてにそれが影響します。メッシュ・モデルは、有機的で各所にノード(結節点)があり、敏感に反応する。つまりP2P(ピア・ツー・ピア)的なあり方なのです。
 
 これをメディア企業にあてはめて考えると、発信源は1つではなく、さまざまな見解が多様な場所で発せられるということでしょう。我々にとっての課題は、事実を確認したり、偏向報道を捉えるために広い文脈の中で書き手や話し手の言い分を理解したりというジャーナリズムの貴重な実践方法を失わないようにすることです。
 
とは言うものの、最近中東で起こっていることは、人々がつながり合うことで透明性が増すのだ、ということを示しました。フェイスブックやツイッターといったプラットホームによって、人々の生活やコミュニティの問題が分かった。従来のメディアは、それを再報道することしかできなかった。
 
 P2Pのつながりは、言語や文化による壁をも乗り越えています。たとえば、私の著書を原著で読み、フィイスブックで私にアプローチしてくれた20代の日本人男性がはじめたプロジェクト・メッシュがその一例です。プロジェクト・メッシュには自然発生的に80人以上が参加し、私の公式サイトmeshing.itの日本語版をソーシャル翻訳という方法で手がけました。プロジェクト・メッシュのボランタリー(自発的)なグループが、日本でのメッシュ・ビジネスやコミュニティを広げようとしています。
 
  このようなソーシャル翻訳という動きを見ても、これからのメディア企業のありかたが伺えるような気がします。つまり、外国語に長けた人々がニュースを広げていく。こうしたメッシュによるニュースのネットワークは、ニュースそのものによって日々かたち作られます。
 世界はもうかなりインタラクティブなものになっていて、企業も政府も一般市民も誠意をもって耳を傾け、応答することが必要になっているということです。

実は政治のリーダーには変化のために使える時間的余裕がほとんどない。それは予算やその関連法案が通るか通らないかという近視眼的な意味ではない。

スリム化を終えた日本企業、銀行は国債が買えなくなる

 日本企業はデフレに苦しんだ20年間で財務体質の改善を進め、それがほぼ最終章を迎えようとしている。金融機関からの借入金を減らしてきた企業は、それもそろそろ限界に近くなっているのだ。

 つまり、実質的に借入金のない無借金経営に近い企業が増えている。これが何を意味するのだろうか。

 借入金の返済で貸し出し先を失った資金の大半は、日本国債の購入に回っている。これがなくなるということは、国債を日本の金融機関はもう買い増せなくということである。

 つまり、国債の国内消化ができなくなるということを意味する。国債を発行する側だけでなく引き受ける側でも衝撃的な臨界点が近づいているということだ。

 武者さんの言うチャンスがあるなら、リーダー次第でそれは大ピンチになるということでもある。チャンスの女神は前髪しかない。延命装置に頼り大胆な行動ができなくなっている政権は、今の日本には害毒以外の何者でもない。

民主化運動がリビアに飛び火、石油価格に火がついた

 さて、世界は今年に入って大きく変わりつつある。遠く中東やアフリカで起きている反政府・民主化デモは世界にとっても日本にとっても重大な意味を持つ。

 チュニジアで始まった民主化を要求するデモはエジプトへ飛び火してムバラク政権を倒し、いまリビアのカダフィ政権の打倒に挑んでいる。

 リビアは石油の埋蔵量で世界第8位。この国からの石油輸出が止まれば、中国インドなどの消費拡大で受給が逼迫している世界市場に大きな影響を与えるのは必至だ。

 実際、リビアからの原油輸出がストップしたとの報道もある。世界経済の観点からもリビアから目が離せない。

 

 しかし、そのリビアよりももっと目を向けておかなければならないところがあると、「バーレーンと沖縄の奇妙な共通点」を書いた伊東乾さんは指摘する。タイトルにあるバーレーンである。

東アジアの沖縄、中東のバーレーン

 「バーレーンはまた、米国と防衛協定を結ぶペルシャ湾の軍事的要衝でもある。バーレーン島には米国第5艦隊司令部が置かれ、バーレーン島の南4分の1ほどが米軍基地になっている」

 「バーレーンに米軍基地がある、のではない。言わばバーレーン島自体が軍事基地なのだ・・・」

 沖縄が東アジアにおける軍事的要衝として極めて重要であるように、バーレーンは米国にとって中東における橋頭堡である。この地での反政府デモの行方は米国にとって、民主主義・資本主義体制にとって極めて重要な意味があるというのである。

 バーレーンは2001年にそれまでの絶対王政から立憲君主制へと体制を変えている。その国で起きている反政府デモは、反独裁の民主化を求める動きとは意味合いが違う。

 映画の中の世界という連載を続けている竹野敏貴さんも今週はこの話題を追っている「リビアに達した革命の嵐、欧州に押し寄せる難民」ので、その中から引用させてもらおう。

シーア派スンニ派の主導権争いに

 「2001年にはそれまでの首長独裁型の絶対王政から立憲君主制へと体制変更も済ましており、西欧諸国としては組みやすい国なのだが、そのバーレーンでも反政府デモの嵐が今吹き荒れている」

 「チュニジアエジプトとは少々スタンスが違い、迫害され続けてきた多数派であるシーア派住民が、王家も属し権力や富が集中しているスンニ派へ不平等の是正を要求する、というものである」

 「ディルムン文明のような中継地、そして酒の飲める息抜きの地というだけでなく、ペルシャ人のイランとアラブ人のサウジという2つの異民族大国の緩衝地帯という政治的民族的意味合いもあるのだ」

 「それはシーア派スンニ派の宗派的緩衝地帯であることにもなり、そのバランスが崩れることは、宗派間対立の続くイラクをはじめとした中近東全体の力関係にも影響してくることになる」

 

伊東さんの記事に戻ると、次のように書いている。

ついに米軍が出動する可能性も

 「歴史的にはバーレーンは、サファビー朝以来のペルシャ、つまりイランがその領有権を主張している。イランシーア派イスラム革命政権が、バーレーンやサウジアラビア東部州でのシーア派暴動の背後に存在する」

 「バーレーンのハマド国王は2月23日サウジアラビアを公式訪問して対策を協議、国内に到達するイラン国営放送の電波と、イラン系のインターネットサイトを遮断する決定を下した」

 「イランの意向の背後にはロシアと中国の思惑があり、それらは決して日本の社会経済とは無縁でない。万が一ペルシャ湾を挟んで緊張が高まれば、駐留している米軍が動かねばならない可能性も出てくるだろう」

 「報道ではリビア情勢がかまびすしいが、日本にとって実際に深刻な影響が懸念されるのは、むしろ湾岸のど真ん中、バーレーン情勢の行方なのである」

 バーレーンは楽園伝説のモデルとも言われている。完全無欠な生活を送っていたアダムとイブだったが、禁断の木の実を食べたことで、ここを追放される。そして、罰としての労働を与えられる。

中東・アフリカの民主化運動は中国へ飛び火するか

 西欧の労働に対する考え方の原点もここで生まれたと言える。そこで、背後にイラン、そして中国とつながる地球のへそのようなところでの政変は、歴史の流れを大きく変える可能性がある。

 そして、中東、アフリカでの民主化を求めるデモのうねりは、東アジアの巨大な独裁国家、中国への波及も避けられない。中国政府はその流れを必死で食い止めるべく、インターネットの検閲を強化したり、デモの核となりそうな学生や活動家を検挙したりしている。

 果たして中国でも一気に民主化運動が活発化するのだろうか。これに関しては、英フィナンシャル・タイムズ紙と中国の専門家である宮家邦彦さんのどちらもが否定的な見解を示している。

 「ジャスミン革命なんか怖くない、でも・・・」の記事で、宮家さんは次のように書いている。

 

「中東のジャスミン革命が直ちに中国に波及する可能性は低いという筆者の見立ては今も変わらない。中国の現状に鑑みれば、誰が責任者かも分からないネット上の呼びかけだけで数十万の民衆が動き出す可能性は低いだろう」

ネット監視だけではない、中国公安の恐るべき底力

 「実際に、2月2日、中国の各大学には大学生・教員の外出を禁止する通達が出されていたらしい。これも立派な「社会管理」の強化である。メディアではインターネットの規制ばかり注目されるが、中国公安の能力を過小評価すべきではない」

 「中国の警察・公安組織は十分な情報と強制手段を持っている。2月20日の動きを見る限り、ネット上で呼びかけられたデモは、2月27日以降も、当面は不発に終わり続ける可能性が高いのではないか」

 一方、FT紙のデビッド・リング氏は「中国の指導者たちが神経過敏になる理由」の記事で、やはり中国政府による取締力の高さを挙げて、中東の民主化デモは簡単には飛び火しないと述べている。

 「筆者は先日のコラムで、エジプトでの出来事(今ではリビアでも同様なことが起きている)に共鳴した動きは、中国ではあまり生じていないと指摘した」

 「中国各地で抗議行動を起こそうというインターネットを介した呼びかけに強い反応が見られなかったことから、この指摘は部分的に裏付けられた」

中東のデモより怖いインフレと成長率の低下

 「筆者の同僚によれば、北京市内のマクドナルド前での集会(ミッキーマウス革命なるものの起点の1つになるはずだった)は、デモというよりは外国人特派員協会の会合のようだったという。抗議の声を上げる参加者よりも、その様子を取材しようと集まったジャーナリストの方がはるかに多かったからだ」

 しかし、と宮家さんもリング氏も言う。

 中国を襲っているインフレの波が低所得者の生活を直撃、その不満のマグマは確実にたまっている。そこでもし、経済が減速するようなことがあれば、民主化を求める行動に駆り立てる可能性は高いというのだ。

 リング氏は次のように書く。

 

 

「10%の経済成長は数多くの罪悪を覆い隠してくれる。だが、このペースでさえ、成長に付随する社会悪は隠し切れない。国家財政にとって欠かせない土地の没収、汚職、大きな貧富の格差といったものだ」

 「経済がフルスピードで成長している今でさえ、それが本当なのだとすれば、景気が減速した時に何が起き得るか想像してみるといい」

 石油価格の高騰は世界の景気を冷やし、インフレを加速させる。中東とは違った形で、中国でも民主化運動に火がつく可能性は否定できない。

鼻息の荒かった韓国経済にも陰り?

 今週はこの記事も大変な人気だったので最後に紹介したい「日本の巻き返しを怖れ、韓国がとんだ勇み足」。

 アラブ首長国連邦(UAE)で原子力発電所を強引に受注するなど、官民が一体となった韓国経済は鼻息があらかったが、ここに来て変調を見せている。日本の巻き返しに合っているのだ。

 そんな中、焦った韓国政府がインドネシアの外交官に対してスパイ事件を起こしたというもの。それが見事に成功したかと言うとあにはからんや。

 インドネシアの外交官が泊まるロッテホテルに侵入したものの、帰ってきたインドネシアの外交官に見つかってしまうという、何とも間抜けなお話だ。

 死せる孔明生ける仲達を走らすという比喩は当たらないかもしれないが、日本の底力を韓国が畏れている証拠でもある。

 

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