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特別区
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%8C%BA

中京都構想、大阪都構想が意味するもの!

2011.02.16(Wed)1JBプレス 木下敏之

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 ここ福岡は少しずつ暖かくなってきています。春の気配を感じる日がだんだんと増えてきました。2月6日の名古屋市長選挙と愛知県知事選挙では、前市長の河村たかし氏が大勝しました。この動きは、日本の政治の膠着状況を打破する春の訪れなのでしょうか? どこまで波及していくのか、次の名古屋市議選挙や大阪市議選挙が楽しみです。

 さて、愛知県知事選では、河村市長が支持し、当選した大村秀章氏が、愛知県と名古屋市を再編する「中京都」構想を提案し、話題になりました。河村市長もこの構想に賛同しています。きっかけとなったのは、橋下徹大阪府知事の「大阪都」構想でした。

 イメージとして「府」が「都」になると格上げという感じがしますが、では、「都」は「府」や「県」と比べて、行政組織としてどのような違いがあるのでしょうか?

23区という「特別区」がある東京都!

時代を遡ってみると、1869年に行われた版籍奉還のあと、明治政府は東京、京都、大阪に府を置き、それ以外は県とすることに定めました。その後、1886年に北海道庁を置き、1943年に戦時法制の1つとして、東京府を東京都に名称変更しました。「帝都東京」とするためです。

 敗戦後に地方自治法が制定されましたが、各都道府県の名称はそのまま引き継がれ、現在の「都道府県」になっています。

 このような経緯を見ると、「都」が「府」や「県」よりも大きな権限を持っているような印象を受けます。

 しかし、都と府と県は、国との関係で見た時に、行政機関として権限の違いがあるかというと、違いはありません(個別の法律に基づく権限は別です)。東京都だけが、他の府県に比べて国から多くの権限移譲を受けているということではないのです。

 一方、市町村との関係で言えば、都とそれ以外の府県を比べると、大きな違いがあります。都には23区という「特別区」があるのです。

 特別区は市町村とほとんど同じ権限を持ちますが、いくつかの権限を東京都が持っています。固定資産税の課税や徴収、消防、水道、下水道などは東京都庁が行っているのです。東京23区のような人口密集地であれば、水道や下水道、消防などは東京都がまとめて行った方が、確かにずっと効率的だと思います。

横浜市の「区」は自治の力を持たない!

 都道府県とほとんど同じ権限を持つ政令市には「区」があります。ところが、政令市の区は、東京23区とはまったく違います。

 政令市の区には、23区のような独自の自治権がまったくないのです。一番大きな違いは、23区には選挙で選ばれた区長と区議会議員がいますが、政令市には選挙で選ばれる区長と議員はいません。

 また、23区の区役所は市町村に準じて予算を編成し、自らのことを決めていきますが、政令市の区にはそのような自治の力はまったくありません。

 しかし、政令市の区は平均して人口が10万人を超えています。日本全国のいわゆる「市」の人口の平均はだいたい10万人程度ですから、独立した自治体としては十分な大きさです。

 横浜市では、区の平均人口が20万人を超え、最大の人口を持つ青葉区は約30万人です。

横浜のような人口368万人の巨大な市では、各区の事情もかなり違います。青葉区は若い人が多く人口が急増している区ですが、一方で、人口減少と高齢化の問題に悩まされている区もあります。

 2つの区はそれぞれ正反対の問題を抱えていますが、いずれも巨大な横浜市の判断を待たないと物事が進まないのです。まるで恐竜のようなものです。

 こうなると、区に自治権を持たせ「特別区」にした方がよいのではないかと思います。

 身近な福祉や街づくりの問題は、できるだけ自分たちの身近なところで決める制度が良いのです。現場の状況に合わせて柔軟な対応ができますし、住民が、自治体の意思決定に影響を与えることができると思えば、政治や行政への参加意識も高まるのではないでしょうか。

身近な問題は地域で決めるのが望ましい
 こうしたことを考えていくと、中京都構想や大阪都構想は、政令市を解体再編し、区を「特別区」にして自治権を持たせるということが、一番意味のあることではないかと思います。

 ただ、現在の法律を改正しないと、政令市を解体して特別区を置くことはできません。

 また、これまで政令市長会が主張してきたように、政令市を解体することなく、政令市の区に特別区並みの権限を持たせるように法律を改正するという考え方も成り立ちます。

 この問題について、一番巨大な政令市である横浜市長や、人口の半分以上が3つの政令市で占められている神奈川県の知事はどう考えているのでしょうか?

 私は、できれば河村市長の最初の公約のように、区役所を特別区にすることをはるかに超えて、人口1万~2万人に1つの地域委員会を作り、そこで身近な問題を決めていけるようにするのが望ましいと思います。自治という観点から考えても、民主主義という観点から考えても、とても良いことではないでしょうか。

どんな制度も住民の関心がなければうまくいかない!

 ただ、どんなに良い制度を導入しても、住民が関心を持って政治や行政に参加しなければ、うまくいきません。今の東京23区は、区長選挙でも投票率が30%台を記録することもあるなど、住民の政治参加が進んでいるとは、決して言えない状況です。

 この観点からすると、今回の名古屋市長選挙で私が一番関心を持ったのは、その投票率でした。これだけ連日、マスコミが取り上げたのだから、投票率はおそらく高かったはずです。70~80%くらいはいったのでしょうか?

 しかし、結果は54%。これが現実の数字です。

 どんなに良い制度でも、住民の関心がなくては効果が出ません。次の名古屋市議会議員選挙の投票率がもっと上がることを期待しています。

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