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温家宝首相の夢は閉ざされたのか?

2011年2月17日(木)日経ビジネス 加藤嘉一

「加藤さん、中国の民主化はいつ実現するんですか?」

 2010年9月、尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が発生して以来、拠点としている北京から、日本に帰国する機会が格段に増えた。テレビや新聞、雑誌やラジオの前で、チャイナイシュー、チャイナファクターに関して、お話させていただいている。日本社会の中国への関心が高まっている。可能な限り現地の状況、生の声を理解しようと努める国民の姿勢は、オールジャパンで対中外交・交流を展開していく時代において、武器になる。

 多くの日本国民が「中国」の対応に困惑したに違いない。レアアースの対日輸出を制限し、青少年交流を含めた数々の民間外交を自らストップさせた。中国共産党は一体何を考えているのか。西安、成都、鄭州、重慶など内陸都市で「反日」デモが立て続けに発生した。中国国民は、特にデモに参加した若者たちは日本をどう思っているのか。

 日本の記者やインテリ、政府関係者などと、中国について頻繁に語り合うようになった。最も頻繁に聞かれるのが、冒頭の問題である。

 「2020年から2025年の間くらいじゃないですか」

 中国各界の人間と議論するなかで、また北京を中心に、日ごろ筆者が埋没している現場の空気を察知するなかで、このように直感している。でも、実際のところはまるっきり分からない。根拠なんて無い。主観的観測でしかない。

 「中国の民主化がいつかなんて、胡錦濤さんに聞いてくれ。まあ国家主席である彼にだって、いつ、どのタイミングで民主化しようかなんて、分からないよ。そもそも、彼は2012年に、少なくとも形式上は第一線から退く。偉大な民主化のプロセスを推進する責任を、胡さんは負っていない。そしておそらく、次期リーダーに『内定』している習近平さんも同じ境遇を迎える。すなわち、民主化にむけてのロードマップを明言することなどできない」。

 以上は、筆者のささやかな内心である。そもそも、何をもって「中国が民主化した」とみなすのだろうか。国家主席を国民の直接選挙によって決めることなのか。日本の国会に当たる全国人民代表大会全人代)に、国民の意思を反映するチェック機能を持たせ、議院内閣制のようなシステムを構築することなのか。報道・言論の自由を認め、プロパガンダ政策を廃止することなのか。司法の独立を確立し、政治や暴力が法律やルールの上にはびこる現状を覆すことなのか。それとも、出版や宗教、集会や結社の自由を保障することなのか。

 中国で蓄積してきた経験から自信を持って主張したい。首脳部の中にもコンセンサスはない。ましてや、具体的な手順・ロードマップ--中国共産党における最大級の機密ドキュメント――なんて存在しない。


中国共産党は党主導による民主化のソフトランディングを狙っている!

 前回コラム「中国共産党にとって最大のタブーとは? それは。。。」の最後で、「天安門事件」が後世に残した意味を問うた。この史実が、何を意味し、その後の中国民主化プロセスにどう影響しているのだろうか、という問題提起であった。


結論から申し上げよう。

 1989年、春夏が交わるころ、鄧小平が軍の出動を決断し、暴力的に鎮圧した天安門事件は、中国の民主化プロセスを後退させた。

 中国共産党は、あの事件を経て、若者の間に民主化への欲求が、全国各地に存在することを痛感させられた。特に、物価の高騰や格差の拡大によって経済成長にゆがみが生じ、社会が不安定になったときに、民主化への欲求が党に対する不満へと変化し、ちょっとのきっかけで爆発してしまうことを、思い知った。

 中国には「中南海記者」と呼ばれる政治ジャーナリストたちがいる。日本で言えば永田町、アメリカで言えばホワイトハウスに、常に張り付いている人たちだ。中国における記者の中では、最も特別で、“神秘的”と言ってもいい分類に入る。そのうちの1人が以前、筆者に語ってくれた「中国政治の底線」(底線とは、ボトムラインの意味)が、脳裏に焼きついて離れない。

 「我が党の首脳部は、なんとか和平演変の道筋を探っている。いつになるかは誰にも分からないが、時期が熟したころ、自ら主体的に、民主化のソフトランディングを実現させたいと思っているんだ。逆に、一番恐れているのは、再び天安門に学生が集まり、全国民が呼応し、結果的に党の主導で軍を出動させざるを得なくなることだ」

 彼は続ける。

 「今の時代は1989年当時とは異なる。インターネットや携帯電話が急速に普及し、7500万人程度の共産党ネットワークでは、とても管理できない。情報力という意味では、国民はすでに国家を上回っているんだよ。仮にもう1回天安門事件が起きれば、今度は全く違った展開になることは間違いない。全国主要都市の広場に民主化を要求する学生が集まり、外国メディアと組んでクーデターを狙う局面する出てくるかもしれない」

 彼は最後に結論付けた。

 「そして共産党は、国際社会で孤立無縁になることを、極端に恐れている。自国の経済発展が世界経済と1つにつながっていることを考えれば、なおさらだ」


もう一度、天安門事件が起きたら共産党は統率力を失う

 最大のジレンマである。仮にもう一度、天安門事件が起きた場合、その規模や勢いは確実に前回を上回る。理由は通信技術の発達だ。中国ツイッター中国ユーチューブなどを国民が日常的に愛用している。情報は一瞬にして数万、数千万、数億人に伝わる。百戦錬磨の中国共産党でも対応できない。

 デモを収めるためには、やはり軍の出動が不可欠になってしまう。全国規模で若者と軍が真っ向から対峙する局面を、国際社会はどう見るだろうか。そもそも、軍を出動さえすれば、前回のように鎮圧に成功するなんていう保証は、どこにも無い。

 共産党幹部の一人が筆者に語った。「学生デモのように、共産党へのアンチテーゼとしての事件が起きれば、首脳部は必ず迷う――軍を出動させ、武力で鎮圧すべきかどうか。最高意思決定機関である政治局常務委員9人の間でも、意見が割れてしまう。中央から地方へ、党から軍部へ、政府からインテリへと無限大に伸びる権力闘争につながって、ガバナンスが一気に混乱する可能性が出てくる。そうなると、共産党は完全に統率力を失ってしまう」

1つ付け加えるならば、今日の国家リーダーは、天安門事件当時の鄧小平氏に比べて、個人としてのカリスマ性において劣っている。集団指導体制に移行してきたからだ。リーダーシップよりもチームワークが求められるということだ。これからのリーダーは、よりいっそうこの傾向を強めていくだろう。

 1980年代後半には、胡耀邦という「中国民主化の星」がいた。その死が、学生が民主化を要求するきっかけとなった。昨今のポリシーメーカーは、「きっかけ」の再現を恐れている。だからこそ、国民の目を経済の成長と社会の安定のみに集中させ、政治的な自由を求める余裕を与えないように、慎重にガバナンスをしている。一切の「きっかけ」をつぶそうとしている。


民主化にかける温家宝首相の思い!

 その意味で言うと、劉暁波氏がノーベル平和賞を獲得したのは、その「きっかけ」になり得た。劉氏は、リベラル派の一部インテリから「中国民主化の星」と慕われている。共産党は「西側諸国、ノーベル平和賞委員会の野蛮な行為である。中国の国情・体制を全く尊重していない」と強く批判したが、内心はヒヤヒヤだっただろう。劉暁波氏の存在が、中国一般民衆、学生の間ではそれほど知られておらず、影響力も無かったことが、幸いした。

 2010年8月20~21日にかけて、温家宝首相が、経済特区として改革開放をリードしてきた広東省の深セン市を視察で訪れた。演説の中で、温首相は指摘した。

 「経済体制改革だけでなく、政治体制改革も推進しなければならない。政治改革なき経済改革は、その成果が長持ちせず、効果的ではない。近代化建設の目標も実現しない」

 共産党首脳部としてはそうとう思い切った、突っ込んだ発言である。温首相は同年3月、毎年行う「政府工作報告」の中でも、全く同じ発言をしている。

 実は、天安門事件が勃発する前、1986年6月28日の中央政治局常務委員会において、鄧小平氏が全く同様の発言をしている。政治体制を変えなければ、経済成長は持たない。言い換えれば「民主化なき経済建設は長続きしない、必ずどこかで障害が出てくる」ということを主張しているのだ。

 2012年に第一線から退く温首相の「最後の奮闘」は海外政府・メディアの間では重用された。中国国民、あるいは世界の市民にとって、「中国民主化の星」になるのでは、とすら騒がれた。

 ただ中国国内では、それほどの反響はなかった。民衆に対して説得力を持ったわけでもない。経済政策の舵取りにここ数年奔走した温首相は、疲れきっている。共産党内では、むしろ孤立している雰囲気すらある。

 民主化への道は、塞がってしまったのだろうか。



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