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「オスロの仇はどこで討つ」「教える教育」「世界一の格差大国」
2010.10.09(Sat)JBプレス 川嶋諭
それは尖閣諸島で中国人船長が逮捕された以上の衝撃だったに違いない。約20年前の天安門事件で有名になった中国人の活動家、現在懲役11年の刑で服役中の劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞してしまったことである。
ノーベル平和賞に中国政府が激しく反発!
劉氏の受賞の可能性が数週間前に伝わるや、中国国内では「ノーベル賞」というキーワードでの検索に何も結果が出てこないようになったという。
そして、受賞が伝えられると米CNNの中国からの全世界への生中継は突然回線が切れてしまった。
また中国政府は早速、「今回の受賞はアルフレッド・ノーベルを冒涜するものだ」という声明を出し、ノルウェーと中国は深刻な関係に陥るとの脅しまでしてみせた。
JBpressの中国コラムニストである宮家邦彦さんの言葉を借りれば、「中国が最も大切とする面子が丸潰れになってしまった」わけで、当然と言えば当然の対応だろう。
宮家さんの最新記事「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」でも、中国の行動原理は「面子」にあることがよく分かる。
日中間だけだと、「中国の面子を日本がきちんと理解して対応しないといけない」というような日本の責任論になってしまいがちだが、世界からすれば、「中国が異常」と映っていることになる。
それでも外交上手の中国は、国際会議が相次ぎG7も開催されるタイミングでギリシャの支援をしてみたかと思えば、イタリアにも投資の約束をするなど、いわゆる「微笑み外交」に余念がなかった。
しかし、そうした外交も、唯我独尊の真の姿が見えるようになっては、世界からは警戒を持ってしか対応されなくなっている。宮家さんの「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」の記事で紹介されているように、中国の微笑みは化けの皮であることを自ら証明しているからだ。
2007年にフランスのニコラ・サルコジ大統領は中国を訪れ、胡錦濤国家主席との間で原子力発電関連で300億ドルにも及ぶ大商談をまとめた。世界最大の原子力産業グループであるフランスのアレヴァはこの商談に沸き立った。
しかし、そんな喜びも束の間。この商談が中国の思い通りに運びそうがないと判断すると、アレヴァに国家機密の情報を流したとしてアレヴァと取引関係にあるハイテク技術の輸出入を統括する会社の前社長を逮捕してしまう。
鄧小平の訓戒を忘れた中国!
また英豪系資源大手、リオ・ティントへ中国の出資がかなわないことに対しては、同社の中国子会社の社員をやはり国家機密漏洩の罪で逮捕し懲役刑を言い渡したことも記憶に新しい。
中国が世界第2位の経済大国になった自信が背景にはあるのだろうが、最近の中国は現在の躍進の原動力となった故・鄧小平氏の訓戒を全く忘れてしまったようである。
この訓戒については、8月の宮家さんの記事「中国の軍拡に参った? 強硬論後退の米政府」でも書いているが、谷口智彦さんの「インド人の見る尖閣問題」の中でも改めて指摘されている。
その訓戒の最後のくだり、「目立たぬよう努め、先頭に立つことを目指すべからず」というところは、中国指導者やインテリたちがつい最近まで、口を開くと自国の方針であるとして繰り返し強調していたものだと谷口さんは書いている。
しかし、リーマンショックを機に中国はこの訓戒を破るようになったと言うのである。その点に関しては、英フィナンシャル・タイムズ紙が「9.11より9.15の方が世界を変えた理由」の中でも指摘している。
リーマンショックで中国に勢いづかせてしまったことは、アフガニスタンやイラクでの戦争よりも世界を大きく変えたというものだ。
チベットに世界最大のダムを造り水のコントロール狙う!
そして本性をむき出しにし始めた中国に対し、世界各国は警戒の念を強めている。とりわけ中国と陸を接する国はそれが著しい。
谷口さんの「インド人の見る尖閣問題」では、中国の圧力を受けて警戒を強めるインドの姿が浮き彫りになっている。
この記事の中でとりわけ驚かされるのは、中国がチベットに建設を計画しているという貯水ダムの話。世界最大と言われる三峡ダムの数倍の規模に達するダムをよりによってチベットの高地に建設するのだという。
目的は中国の治水だが、インドはその言葉を信用していないという。ヒマラヤの分水嶺を越えて中国側だけではなくインド洋に注ぐ水まで中国が支配しようとしていると危機感を募らせているのだ。
インドと抗争を抱えるパキスタンに対する原子力発電設備などの活発な支援もインドを刺激する。
中国を取り囲む国々との連携を目指せ!
今回の尖閣諸島問題で、ようやく多くの日本人が眉をひそめて中国を見るようになった日本と異なり、インドは中国の脅威に早くから気づき、既に本格的な手を打ち始めている。
例えば、この記事では、核武装を目指そうとしているこれまた中国と西沙諸島、南沙諸島の領土問題を抱えるベトナムに、インドは核技術を供与することすら考えているという。
尖閣諸島を取られないために、そして武力衝突を絶対に避けるために、日本の外交力が問われている。その際、インドやベトナムなどのように中国を取り囲んでいる国に対して、FTAなどを通して非常に親密な関係を築くことがまず必要ではないだろうか。
世界第2位の経済大国になった中国は、為替操作も世界経済にとって看過できない大きな問題になっている。その責任論を皮肉たっぷりに紹介しているのがFT紙の看板記者が書いたこの記事「どでかいことは中国の助けにも妨げにもなる」である。
中国は13億人という世界最大の人口を抱える超大国であるがゆえに、「購買力平価ベースで見ても、1人当たりの国民所得が米国のたった7分の1に過ぎない時に、米議会の怒りを買っている」とFT紙のデビッド・ピリング氏は書いている。
中国元の問題は米国よりも日本の方が被害が大きい!
国のサイズが日本と同じぐらいだったら、まだ誰も気づかなかっただろうに、お可愛そうなことである、というわけだ。
しかし大きいがゆえに、まだ国民所得が米国の7分の1の段階でも世界に大きな影響を与えるわけで、とりわけ日本にとっては深刻な問題である。
日本はどういうわけか、守ることばかりに熱心で、中国や韓国の為替操作に対して強く発言してこなかったが、実は米国よりももっと強く主張しなければならないはずだ。
製造業がとっくに空洞化してしまった米国は、実は中国の元が安いことはデメリットもある反面、メリットも大きい。中国から安い日用品を調達できるからである。中国と米国は補完関係が出来上がっているのだ。
それは、先端のグリーンエネルギー分野にも言える。この分野で日本の遅れを指摘するこの記事「大躍進する中国、投融資額では世界を圧倒」の中に次の一節がある。
グリーンエネルギー分野で中国と米国は手を結ぶ!
「米国ベンチャーキャピタルのほとんどが、中国に製造拠点を持っていない、もしくは、持つ計画のない太陽光ベンチャー企業には出資しないと公言しています」
つまり、企画と事業プランは米国の役割、製造は中国の役割と割り切って世界戦略を描いている。米国が戦略的な分野に掲げているグリーンエネルギー分野で、初めから中国で安く製造することが条件になっているのである。
日本ももちろん中国と補完関係にあるとはいえ、米国よりは競合する分野が圧倒的に多い。そうした中で中国の為替政策に対する批判を米国任せにしているのは日本の国を守るという意味でも、非難されてしかるべきではないか。
国を守るということは、軍事力だけの問題ではない。外交しかり、通貨政策しかりである。小沢問題で国会は紛糾の様相を呈しているが、どうもピンボケな議論に血道を上げているようにしか見えないのは私だけであろうか。
さて、秋が深まり始め、日本では大学3年生が本格的な就活をスタートさせている。大手の就職情報誌が開く就職セミナーは、募集と同時にほぼ満席になるという。それほど大学生の就職は厳しいようである。
「教え」を経験することの重要性!
そんな時に、何と能天気なと就活戦線まっしぐらの学生から批判を受けそうな記事がこれ「大学生よ、就活の前に中学校を目指せ!」だ。米国でLFA(Learning for America)という人気のプログラムが登場、その日本版が日本でも始まったというものである。
LFAとは、全米の優秀な大学生が卒業と同時に2年間、教育格差の激しい地域で子供たちの教育サポートをするというもの。これまで学び一辺倒だった学生が「教える」側に回ることによって、さらに自分に磨きがかかるというアイデアだ。
もちろん、教育現場としても大学を卒業したばかりの優秀で意欲的な人材によるサポートは大変にありがたい。米国ではこうした活動に大企業が資金面などでバックアップ、2年間の教育を経験した“学生”たちは、有力企業へ就職していく。
せっかく大学を卒業したのに2年間も回り道させることはないとの批判は当然あるだろう。しかし、MBAなどの大学院コースで専門性を学ぶことも大切な一方で、人を教えるという経験も長い人生の中ではかなり大切なのではないかと思う。
学教育で専門性が重視される米国では大学でジェネラリストを養成しがちな日本と違って、むしろそうした効果がかなり期待されているのかもしれない。
昔に比べて現代の大学生は教えるチャンスが減った?
いずれにせよ、専門的な大学院に進むのも1つの選択肢であり、教育現場を経験するのも1つの選択肢。米国らしいダイバーシティーということだろう。
実は教えることの効用は日本でも実際に取り入れられてきた。例えば、理系の学生の多くが進む大学院の修士課程。ここでは大学時代よりも専門的な学問を学ぶのがもちろん目的だが、その一方で、学部の学生を教えるという役割も期待されている。
はるか昔の自分のことで恐縮だが、我が大学院生時代を振り返っても、4年生と一緒に過ごした経験が最も貴重だった気がする。今はどうなっているか知らないが、クラブ活動などとは全く別のリーダーシップも要求された。
今は予備校や塾が産業として洗練されてきたこともあり、大学生や大学院生が塾で教える機会は減ってしまったようである。そう考えると、アルバイトのためとはいえ、塾の授業で使うガリ版のテキストを毎回毎回、知恵を絞って作っていたことが懐かしくもあり、また良い経験だったと思い起こされる。
大学を出て2年間の“回り道”もまんざら悪いことではないのではないかと思う。さらに言えば、大学生や大学を出たばかりの社会人1年生だけでなく、社会で様々な経験を積んだ社会人が教育現場でボランティア活動ができる機会も作るべきではないだろうか。それも出身地で。
社会人も入れて日本の各地域が教育を競おう!
自分の故郷の教育に貢献したい、そして地域の活性化に役立ちたいと“故郷に錦を飾る”社会人が増えてくれば、競争原理も働き、職業としての教育者とは別のメリットをもたらすことは間違いないからだ。
国や地域、そして企業がそうした活動を支援する仕組みを作れば、地方や地域が教育水準(有名大学に進学する学生の数を競うというようなことではなく)の高さを競うことにもつながり、教育現場は大きく変わるのではないかと思う。
今週は比較的面白い記事が多かったので、長くなるが次の記事も紹介したい。「日本は世界最悪の格差社会である」だ。
民主党は子ども手当てが、子育て負担に悩む若い人たちを支援する非常に重要な政策であるという。確かに、ないよりはマシなのかもしれない。
しかし、ちょっと意地悪く見ると次のように言えなくもない。
民主党は、投票所に必ず足を運ぶ中高年は票を集めるために最も大切にしている。従って、中高年からそっぽを向かれるような大胆な改革はしたくない。とはいえ、若者から不人気なのは困るし、中高年の間にも少子高齢化対策を求める人たちがいる。
子ども手当ては八方美人政策!
そこで、出てきたのが「子ども手当て」というわけだ。日本を本格的に改革するには年金制度そのものを変えなければならないが、それでは中高年が黙っていない。そこで、子ども手当てで若者たちの支援もしますよ、というポーズを見せようというわけだ。
だとすれば、全くもって八方美人的政策で恐れ入ってしまうが、実は、こうした改革を先延ばしする政策は日本の格差をさらに拡大させてしまい、取り返しのつかない結末を招く危険性がある。
この記事の筆者の試算では、現在の60代以上と20代では、年金の負担と受給額の格差が実に8000万円にも達しているという。恐らく、これから生まれてこようとしている世代と比べれば、1億円を超える差になるだろう。
これはいったいどういうことか。これから何も知らずに生まれてくる人たちは、60代以上の人たちに比べて、生まれた時点で1億円もの格差をつけられていることになる。
声の発せないか弱い者に負担を押し付けるこんな国を民主主義国家と呼んでいいのだろうか。中国を非民主主義国家だと非難できるような状況ではないだろう。
やっぱり立ち上がってほしい小泉進次郎!
国の政策とは、その時々で国民に良い顔をすることではない。しっかりと将来を見据えて、日本という国が永遠に繁栄していけるように手を打っていくことである。とりわけ、少子高齢化の勢いが激しい現在のような時には、日本の将来を見据えて国民に厳しい政策を取らなければならない。
もしそれが日本の政治家にはできないというのであれば、次善の策として選挙制度を変えていかなければならないだろう。選挙権のない20代以前の人たちの権利を守るために、例えば年金の受給と同時に何らかの方法で選挙権を制限するような仕組みが必要ではないか。
しかし、そうした仕組みを作るにしても政治家に頼まなければならない。だとすれば、何はともあれ、若者が立ち上がらないことには改革は進まない。
前に「日本が目指すべきは、大国かそれとも小国か」で、自民党の小泉進次郎氏に期待すると書いたが、ぜひ小泉氏には若者を投票所に引っ張り出してもらいたいものである。
若者が立ち上がれば、確実に選挙は変わる。そのことはこの記事「与党を惨敗に追い込んだ韓国の若者パワー」がお隣の国、韓国の例として示している。
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