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財政
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A1%E6%94%BF

2010年8月6日 DIAMONDonline

集権化、ルール、透明性が予算制度改革のキーワード
元一橋大学准教授・田中秀明氏インタビュー

いよいよ民主党政権が初めて一から手掛ける予算編成が始まった。民主党政権はこの6月に、中期財政フレームを含む「財政運営戦略」を閣議決定し、そのベースとなる「経済財政の中長期試算」も公表した。そこでは平成23(2011)、24、25の3年度は、国債費除く一般会計に、71兆円という上限をはめたほか、23年度については一律1割カットと1兆円以上の特別枠を設けるという方針を打ち出した。日本は過去何度も財政再建にトライしたが、いずれも失敗。一方で、予算の大胆な組み替えもままならず、硬直化が指摘されて久しい。どうすれば、このような問題を解決できるのか。予算制度に詳しい元一橋大学准教授の田中秀明氏に、予算編成プロセス改革の方向について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原 英次郎)

――日本の予算編成プロセスにおける基本的な問題は何でしょうか。

 日本の問題に入る前に、なぜ財政赤字は増えるのかという問題を考える必要があります。そもそも政府部門には赤字を拡大させる潜在的な要因が備わっていることが問題です。政府の予算というのは、税金という人のおカネを使うものです。例えば、だれかが今日の宴会は「オレのおごりだ」と言ったら、みんなはそれならばと、高いものを注文してしまうでしょう。自分のおカネだったら、自分の財布と相談して決めます。

政府部門は、マーケットで取引できない財やサービスを提供するのが仕事です。サービスの便益を受ける人と負担をする人は異なるので、できるだけお金をたくさん使いたいという誘因が働きます。政府部門で働く公務員は、予算をたくさんとってくることが、よいパフォーマンスだと評価されます。どこの国でも、政府部門にはこうした性質が備わっているので、日本だけが赤字が増えているのではありません。

 では、どうしたらよいか。財政赤字について多くの研究が行われていますが、一つの結論は、予算編成プロセスや予算制度を改革しないと、問題は解決できないということです。そのポイントは、受益と負担の乖離を小さくすること。改革には大きく分けて二つのアプローチがあって、一つは意思決定システムを集権化すること、二つ目はルールを決めることです。また、透明性を高めることも重要です。

スウェーデンでは
3年分の歳出総額を決める
――具体的には、どのようなことが考えられますか?

 意志決定を集権化するとは、飲み会でいえば幹事さんを決めて、参加者に好き勝手に注文させないことです。あるいは、今日は5000円の飲み放題コースにしようという、ルールを決めることですね。例えば、イギリスやオーストラリアでは、首相、財務大臣など有力閣僚5人くらいで、予算の大枠や重要な資源配分を決めます。一方、オランダは、選挙後の連立政権合意の中に、向こう4年間の予算の大枠を盛り込むし、スウェーデンは、個別の予算を議論する前に向こう3年間の歳出総額に上限を設定します。

 スウェーデンの例が興味深いので少し説明します。予算編成でまず何を決めるかというと、いま2010年度なので、税収見通しをベースにして、3年先の2013年度の歳出総額の上限を決めます。11年度と12年度の歳出総額の上限はすでに2年前と1年前に決まっているので、これで3年分の上限値がセットされることになります。さらに、それを国会で議決する。もちろん、国会で再議決すれば、上限値は変えられますが、政治的な責任が問われるので、そう簡単には変えられません。

しかも、スウェーデンの場合は、この上限値、すなわちシーリングは、当初予算だけではなく、決算ベースでも守らなくてはなりません。スウェーデンは、90年代初め、今のギリシャのような危機的状態となり、赤字を削減するために、こうした厳しい予算制度を導入しました。その結果、98年以降ほぼ黒字を維持していますし、今や借金もマイナス(貯金)になりました。

 どのように予算制度を変えたらよいかについては、ただ一つの答えがあるわけではありませんが、意志決定が集権化されているかどうか、厳しいルールがあるかどうか、透明度が高いかどうかが重要で、これらの要因によって財政赤字の大きさを説明できます。日本の財政赤字が大きいということは、これらの点において、問題があるということです。

――財政再建に成功した国では、どのような予算制度改革が行われたのですか。

 きわめて単純化して言えば、歳出全体の大枠と各省ごとの大枠をトップダウンで決めます。基本的には、その枠の中での予算の配分については各省に任せます。ある予算を増やしたいのであれば、自分で財源を探してくる――いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴーというやり方です。もちろん、政府全体の方針や優先順位に基づいて、資源配分する必要があります。

 個々の予算の切った貼ったをやろうとすると、各省と財政当局の戦いになります。この戦いは、基本的には財政当局の分が悪いのです。なぜなら、予算を切るためには、無駄であることを示す情報が必要です。しかし、それは各省にあり、財政当局にはありません。各省は、都合の悪い情報は出さないのです。民主党政権において事業仕分けが大きな注目を集めましたが、なぜあのように無駄な予算がついていたのでしょうか。財政当局がほんとうに強い機関であれば、無駄な予算などないはずです。

なぜ無駄な予算を切れないかというと、これまでは族議員による政治的な介入によって、予算を増やせという圧力もありましたが、実は財政当局には、個別の事業のどこにムダがあるか、その情報が十分にないのです。多くの情報は各省が持っています。だから、財政当局は各省に頼らざるをえない。こうした状況では、予算編成はゲームになります。ここは切る代わりに、こちらに予算をつけるというギブ・アンド・テイクの関係になります。そうすると、予算の中身を大きく変えることは難しくなります。

 (複数年にわたって大枠を決める)中期財政フレームを作って成功した国は、例えば3、4年間の総額を決めます。予算を切るだけでは、政治的な合意を得ることは難しいので、新しい政策や追加の予算も必要です。しかし、新しい政策をやりたい場合には、各省が自分で財源を見つなければなりません。決められた枠の中で、各省大臣に責任を与えて、スクラップ・アンド・ビルドを促す仕組みになっています。

 鳩山前総理や菅総理が言ったように、各省大臣はまさに「査定大臣」になります。要求対査定の対立を緩和し、予算獲得ゲームをやらないようにすることが重要です。日本でも、シーリングにより予算の大枠をはめる仕組みになっていますが、予算編成はボトムアップ的な仕組みになっています。中期財政フレームにより、複数年にわたり、歳出総額や省庁別の内訳を拘束するものにはなっていません。

――民主党政権は6月に閣議決定した「財政運営戦略」や、そのベースとなる「経済財政の中長期試算」に対する評価は?

 私自身が中期財政フレーム研究会に関わってきましたが、私も含めて有識者が最も強調したのは、慎重な経済成長率を前提に、ベースラインをつくることです。ベースラインというのは、経済成長率や物価上昇率などについて一定の仮定を置き、今の制度が今後も続くとして、歳出や歳入が将来どのようになるかという推計です。

6月の試算では、慎重な前提を置くという点はそれなりにできていると思います。しかし、ベースラインについては、本当のベースラインかどうかは、よく分かりません。中期財政フレームでは、国債費除く一般会計について、71兆円という上限をはめましたが、現在の制度を前提として歳出や歳入がどうなるかについては、よく分からないところがあります。

 10年後にプライマリーバランス(国と地方について国債費を除いた歳出と歳入の収支)を黒字化するという目標はよいのですが、今の制度を前提とした場合と比べて、どのくらい財政再建努力をしなければならないかについてはよく分かりません。例えば、このままでは3年後に一般会計歳出が80兆円に膨らむので、これを71兆円にするのか、あるいは歳出が73兆円になるので71兆円にするのか。つまり、どのくらい努力を要するものかが分からない。もし、80兆円を71兆円にするという話であれば、相当な財政再建になるので、景気に対する影響も大きい。最後は政策判断ですが、景気の状況を踏まえて、どのくらい財政再建をすべきなのかについては、十分な検討が必要です。

 6月に中期財政フレームを閣議決定したときには、各省大臣としては、それほど問題意識は強くなかったのではないでしょうか。だから、一律1割カットという方針が出て、「1割カットなんてできないよ」という不満の声が出ました。

 民間企業でも経営が傾いた会社は、経営幹部が現在の財務状況の厳しさ――債務超過であれば、どのくらいの債務超過なのか――その厳しさを共有して初めて、改革の議論がスタートします。幹部が厳しい財務状況に対する認識を共有しないと、「私のところは大事なので、あちらを削れ」ということになりかねません。予算編成は、まさに、政治主導で行うべきものです。まずは、各閣僚が財政の厳しい状況を認識して、財政再建をするのかしないのか、どの程度の財政再建をするのかについて、徹底的に議論して、決めるべきです。

財政運営の透明性を保証する
ニュージーランドの財政責任法
――まさに、政治が主導権を発揮して、予算のあり方を決めるということですね。諸外国ではそのような例はありますか。

 スウェーデンでは3年分の歳出総額の上限値、を先に決めると申し上げました。次に、財務省が3年分の歳出の内訳(医療費や防衛費といった27分野)の案を作って閣議に提出します。ストックホルム郊外にある総理大臣の別荘に、閣僚が2日間泊まり込んで予算閣議が行われます。閣議では、財務省の提案を変更することができます。ただし、歳出総額が決まっているので、例えば、教育予算を増やすのであれば、必ず他の何かを削らなければなりません。それを閣僚たちが2日間缶詰になって議論し決めるわけです。

 閣僚同士が対立して決まらないということもあります。その場合は、最後は総理大臣が責任を持って決めるということになっています。日本の場合は、自民党時代、予算の難しい案件は、時には調整を党に任せていました。これに対して、スウェーデンでは、総理は責任をもって決めなければなりません。

 日本と違って、政府予算案は国会が修正できます。かつては増額修正ばかりで、財政規律がなくなってしまった時期もありましたが、新しい制度では、国会で歳出総額を先に決めるので、国会がある分野の予算を増やす場合には、必ず他の予算を削らなければなりません。このように、スウェーデンでは、財政規律が働き、それは政治主導が発揮される仕組みになっているからです。

 

――改めて、予算編成プロセス改革の方向をまとめて下さい。

 第1に、複数年にわたり歳出を拘束する中期財政フレームを作り、毎年の予算はこのフレームに基づき決定します。第2に、優先順位や重要な資源配分は、予算閣僚委員会において、集権的に意志決定します。去年の民主党のマニフェストでも閣僚委員会の活用が掲げられていましたので、これを動かすことが必要です。各国も改革は試行錯誤しているので、日本も、経験を積みながら、改革を進めていけばよいと思います。

は、スウェーデン、カナダ、ニュージーランドなど大胆な予算制度改革を実施した国は、大幅な財政赤字となり、国債が売れなくなるなど、危機的状況に陥ったので、改革が実行できたという面があります。幸か不幸か、アメリカや日本などの大国は、なかなか危機的状況に陥らないので、改革が進まないというのも一面の事実です。

――「日本版財政責任法」の導入も提案されていますが、これはどういうものですか?

 これはニュージーランドで導入されたものです。選挙が終わって新しい政権ができると、政府は財政責任法に基づいて、財政運営の目標を策定します。例えて言えば、5キロ減量するとか、10キロ減量するとか、数字を挙げて具体的な目標を設定しなければなりません。そして、政府は、減量(財政運営)が目標通りにいっているかどうかを、定期的に国会で説明しなくてはいけません。しかも、民間と同じ発生主義の会計原則に基づいて、財務諸表の作成が義務付けられています。

 もちろん風邪をひくときもあるので、国債を発行して景気対策を行うこともできます。ただし、財務大臣は、財政赤字がどのくらい悪化するのか、またあらかじめ決めた財政目標から外れるときには、どのくらいの時間軸でどのようにして目標に戻すのかを、事前に説明しなければ、景気対策を行うことができません。例えば、3年後に消費税率を1%上げるといったようにです。

 何を言いたいかというと、民主主義の下では、国民から負託を受けた政府には裁量があります。赤字の削減といっても、強制はできません。その代わりに、財政責任法は、政府に目標を定めることを義務づけ、また、厳しい会計ルールに基づき、財政状況を政府自ら検証することを求めています。

目標を達成できない場合、特に罰則はありませんが、その責任は最後は選挙で問われることになります。予算の透明性を高くして、ルール違反が国民に分かるようにし、ルール違反の政治的なコストを高くしているのです。財政責任法により、ニュージーランドの財政の透明性はOECD諸国の中でも一番高いと言われていますが、ニュージーランドは、94年以来、ごく最近を除けば、財政はほぼ黒字を続けています。(本インタビューは7月30日に行った)

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