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「会計のプロ」が分析!

2010年12月14日(火) 現代ビジネス 会計評論家 細野祐二

 12月3日に臨時国会が閉会し、予算の季節がやってきた。これだけ厳しい日本の財政事情の下で、どんな予算が組まれるのかと注視していたら、年金特別会計積立金の取り崩し(1.2兆円程度)が財務省ならびに厚生労働省により検討されているという。

 悲惨なほど財源のない政権与党にとって、年金積立金の流用は悪魔の囁きである。年金積立金流用という禁断の果実の目に見えぬ毒素を会計的に解析する。

 財務省の公表する日本国債の発行残高は平成22年3月末に720兆円を超え、政府借入金と短期証券をあわせた政府債務合計は882兆円である。これ以外に政府保証債務が46兆円ある。

借金まみれなのは中央政府だけではない。総務省の統計によれば、平成21年度末の地方財政の借入金残高(地方債と公営企業債の残高に交付税特会借入金の地方負担分を加算したもの)は198兆円である。

 従って、平成22年3月末の日本の公的債務合計は1080兆円(882兆円+198兆円)であるが、社会保障基金による国債保有など一般政府内での相互持合があるので、日銀が公表する資金循環統計上の一般政府の金融純債務は815兆円となる。これに対して金融資産は297兆円しかない。差額の518兆円は一般政府の金融債務超過額となる。

 一方、日本の国有財産評価額は102兆円であり、しかも財務省の公表する国有財産中には、政府出資金61兆円が含まれている。政府出資金は金融資産として既に資金循環統計に取り込まれているので、一般政府の金融債務超過額から控除されるべき実物資産は41兆円に過ぎない。

 そこで、日本国政府の純資産を計算すると、金融債務超過額から実物資産を控除した差額477兆円(518兆円-41兆円)が欠損金として計上されることになる。日本政府は500兆円近い債務超過状態にある。

これだけ財政状況の劣悪な日本が、国際的にはさしたる破綻懸念も喧騒されることなく、その通貨と来た日には史上最高値を伺うほどの円高である。この不可解な現象を説明するために、よく引き合いに出されるのが、実に豊穣な日本の個人金融資産である。

 日銀の資金循環統計によれば、平成22年3月末時点の一般家計の金融資産は1445兆円もある。日本の公的債務が1080兆円あろうとも、個人金融資産が1445兆円もあるので、日本の公的債務はすべて国内資金で賄うことができる。現に、日本国債の外国人保有比率は3%強に過ぎず、日本の公的債務は外国からの借入に依存していない。

 いくら政府が借金まみれであろうとも、日本国民の貯蓄で政府の借金を賄っているのであるから、国全体とすればそれは無借金経営ということになる。日本は、欧米諸国には例を見ない自己完結型資金循環国なのである。だから円は強い。

 そこで次に出てくるのが日本国債暴落論である。日本社会は、急速な高齢化と人口減少の元で、団塊の世代の現役引退を迎えようとしている。貯蓄人口が減少し消費人口が増加するのであるから、頼みの綱の個人金融資産は今後減少していかざるを得ない。

 事実、一般家計の金融資産は平成18年の1543兆円をピークとして、その後純減傾向を示している。一方、平成22年度予算における政府の税収見込みは37兆円に過ぎず、平成22年度予算における国債発行額は44兆円と、公的債務は限りなく増え続けていく。

 仮に今後、公的債務が今までと同規模だけ増え続け、個人金融資産が平成18年以降の減少幅と同程度取り崩されるとすれば、現在の個人金融資産の公的債務に対する超過額365兆円(1445兆円-1080兆円)など、あとわずか数年で使い果たしてしまうことになる。

 そうすると、数年後には日本の財政は破綻し、外国からの借入に頼らなければこの国はやっていけなくなるのではないか。すなわち、いずれ遠からず円は暴落し、金利は上昇し、日本国債は暴落すると言うのである。

 なるほど、日本国債暴落論は、日本社会を覆いつくす現在の閉塞感とも相まって、実に説得力がある。

しかし、日本国債の発行残高は平成13年3月末の380兆円から平成22年3月末の720兆円まで一貫して増え続けてきたのであり、頼みの個人金融資産も平成18年以降減少傾向にある。

 両者の直接的な相関関係が機能しているのであれば、もうとっくに国債は暴落していなければおかしいではないか?

 この間、一般政府の財政赤字は国債の増発で賄われてきたが、その赤字国債は金利上昇をもたらすことなく、順調に国内消化されてきた。

 財政赤字資金は一貫して国内調達されたのであり、ということは、財政赤字を補填するだけの資金余剰が日本国内のどこかで毎年出ていたことになる。ここで一般家計は、少なくとも平成18年以降、資金余剰が出ていない。

 ところで、日銀の資金循環統計上、海外部門は平成22年3月末現在263兆円の資金不足にある。海外部門の資金不足とは、とりもなおさず、日本経済全体の資金余剰を意味する。ここで海外部門の資金不足額は、国際収支における日本の経常収支(正確にはこれにその他資本収支を増減させたもの)の黒字額に一致する。

 日本の経常収支は平成21年にリーマンショックの影響で一時的な落ち込みを経たものの、その黒字基調はゆるぎなく、概ね年間20兆円前後の黒字体質にある。その経常黒字額は資金余剰として必ず国内に流入している。

 ならば、日本の公的債務は、個人金融資産というよりは、国際収支における安定的な経常収支によって支えられてきたと解釈すべきであろう。

 すなわち、日本国債の増発は安定的な経常黒字を原資として国内消化されてきたのであり、平成18年以前の経常黒字は家計部門の貯蓄として反映されていたため、一般家計の金融資産が一般政府の公的債務を支えていたように見えていたに過ぎない。

 平成18年以降の経常黒字は、一般家計の金融資産に反映されることなく、事業法人に残留している。

 事業法人は経常黒字による資金余剰を借入金の返済に廻しているのであり、借入金の返済を受けた金融機関はその返済資金で国債を買っている。すなわち、平成18年以降の国債消化は、家計部門の資金余剰ではなく、事業法人部門の借入返済資金を原資として行われたことになる。

 要は、国際収支における経常黒字が、一般家計に行くか、事業法人に残留するかの違いに過ぎず、いずれにしても経常黒字が公的債務の膨張を支え続けてきたことには変わりがない。ならば、個人金融資産が伸びない中で日本の財政赤字が累積しても、財政赤字が経常黒字の範囲内に収まっている限り、日本国債が暴落する事はない。

 ここで日本の財政経常収支(税収等の経常収入から一般歳出と地方交付税等並びに利払費等の経常支出を控除)は、平成20年度が13兆円の赤字、平成21年度が22兆円の赤字、平成22年度が32兆円の赤字となっている。

平成21年度までの財政赤字は、国際収支の経常黒字の範囲にしっかりと収まっていた。だから平成18年以降も、個人金融資産の減少にもかかわらず、円高が進行し、国債の暴落もなかったのである。

 さて、現在進行中の平成22年度において、日本は初めて財政赤字が経常黒字を超過する時代を迎えるに至った。もはや財政赤字を支えうる経済主体は、日本のどこにも存在しない。事業仕分けや埋蔵金で10兆円規模の財源が出てくるはずもない。そこで俄然目を引くのが年金特会積立金の平成21年度残高128兆円ということになる。

 もとより日本の公的年金制度は賦課方式を採っており、過去勤務費用に見合う財源を積立てる必要はないことになっている。制度上必須ではない積立金であれば、取り崩せないわけではないであろう。しかも、現行年金財政上、過去勤務債務など端から簿外になっている。

 ここで公的年金の積立金を数兆円ばかり取り崩して流用したところで、すでに数百兆円規模にまで膨れ上がった簿外の年金債務が少しばかり拡大するだけの事で、公的債務自体が拡大するわけではない。

 公的年金の積立金は、財政上、埋蔵金と類似の機能を短期的に発揮することができる。

 政府が年金積立金を取り崩す可能性は高いと考えなくてはならない。しかし、その取り崩しは国民に対する年金債務の拡大にほかならず、国家の簿外債務はさらにそれだけ拡大することになる。

 要は、後世代に対する年金債務の付回しであり、その毒素は、少子化の元で雇用不安に苦しむ次世代の国民にずっしりと効いてくる。円と国債の両面において、日本は危ないところに来ている。政府の歴史に対する責任が問われていると考えるべきであろう。

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