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侵略に備え、着々と手を打つ中国、手をこまぬく日本!
2010.11.18(Thu)JBプレス 松島悠佐
9月7日、尖閣諸島で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突する事件が起きました。日本は中国漁船の船長を拘束しましたが、処分保留のまま釈放し国内外で大きな問題を提起しました。
尖閣は防衛、安全保障問題と認識すべき!
我が国は、日本の領土である尖閣諸島で起きた国内の事件として淡々と調査するとの姿勢を採っていましたが、この問題は単に国内の刑事事件という枠では解決できるものではなく、中国との間にある領土主権の解決が主題であることは明らかです。
それにもかかわらず、中国の威圧に屈し日本の国益を全く無視した政治的措置が採られたことに腹立たしい思いがしています。
尖閣諸島の問題は単に漁業権や資源開発の問題にとどまらず、我が国の防衛、安全保障に直接関わる問題であることをしっかりと国民に伝えていくことが大事な気がします。
中国はこの十数年間、海軍・空軍・ミサイル部隊を中心に著しい軍事力強化を図ってきたことは周知の通りであり説明は要しないと思います。
米国の国防総省が毎年議会に報告している「中国の軍事力」では、次のように注意を喚起しています。
沿岸防護型から外洋型へ、舵を大きく切った中国!
「近年の中国の軍事力は、豊かな経済力を背景にして外洋型海軍の建設を念頭に近代化を進めており、これまでのように自国と国境周辺の安全保障という狭義の役割から脱皮し、グローバルな視点で広く海洋への進出を狙いにしている」
その指摘通り、中国軍とりわけ中国海軍の動きがこの数年活発になっています。
2010年4月、潜水艦や駆逐艦など10隻の中国海軍艦隊が沖縄本島と宮古島の間の海峡(以後「沖縄・宮古海峡」と呼称する)を通過し、西太平洋海域で訓練した後再び同海峡を通過して帰還したことは記憶に新しいことですが、その後もこの種の行動が度々起きています。
このことが示しているように、中国海軍は、「沿岸防護型」から「外洋型」へと脱皮し、空軍もそれに合わせて外洋への出撃能力を高めてきました。
1980年代末までは、広大な国境線を接していたソ連への備えから、中国軍の中心は陸軍であり、海軍は沿岸防備を行う程度の戦力でした。
ロシアとの関係改善で中国の目は西大西洋に向かった!
しかし、その後ロシアとの関係改善が進み国境問題が解決した結果、中国の主題は台湾問題となり、中国軍の潜在仮想敵国はロシアから台湾を支援する米国に変わっています。
中国海軍が東シナ海・南シナ海での海洋権益の拡大を図り、やがて西太平洋に進出してくるであろうことは、相当以前から軍事専門家の間では指摘されていたことです。
海洋正面での中国の戦略は「日本列島~南西諸島~台湾~フィリピン」を「第1列島防衛線」として定め、他国の侵入を阻止し東シナ海~台湾周辺~南シナ海の支配を確実にすることにあるようです。
その目的は第一義的には台湾有事に際して米軍の介入を阻止できる態勢を作ることでしょう。
将来的には、空母建造や宇宙の軍事利用を推進しさらに戦力を強化して「小笠原諸島~マリアナ諸島~グアム~サイパン~パプアニューギニア」を「第2列島防衛線」と考えているようです。
2015~2020年には第1列島線は確保される見通し!
それは先の話としても「第1列島線」の確保は中国にとっては必成の防衛ラインと考えられています。
現在のペースで軍事力強化が進めば、2015~2020年頃には「第1列島防衛線」を確保できる海空軍力が完成されると見られています。
中国がこの防衛線確保の作戦を発動すれば、大隈諸島南北の海峡ならびに台湾北側の沖縄・宮古海峡、南側のバシー海峡が、中国の管制下に置かれ自由な通航もできなくなります。
これらの海峡は国際海峡であり、平素から我が国を含め多くの国が利用する海上交通の要衝になっています。特に我が国にとっては海外からの物流の生命線であり、それが危急に瀕することになるため、そのような暴挙を許すわけにはいきません。
また、世界の警察軍として現在でも中東やアフガンなどにグローバルな作戦展開をしている米軍にとっても、とても容認できることではありません。
米国と中国が第1列島線で対峙する可能性!
横須賀を母港として活動している第7艦隊は、米太平洋軍の主力艦隊として西太平洋~インド洋を守備海域として活動しており、台湾周辺や南シナ海の安全な航行が絶対の要件になっています。
中国が「第1列島防衛線」で米軍の侵入を阻止するような行動に出れば、米軍は安全な航行路確保のための作戦を発動することになるでしょう。
米軍はこの中国の戦略を「anti-access/area-denial(接近阻止・領域拒否)」と呼び警戒感を強くして対応を考えています。
2010年2月に発表されたQDR(QUADRENNIAL DEFENSE REVIEW REPORT)の中でも「軍事力の再調整(Rebalancing the force)」に必要な機能の1つとして「中国などの阻止作戦に対する対応」が取り上げられています。
そこに記されている内容は概略次のようなものです。
米国を悩ます中国の軍事力増強!
「米国の軍事力の役割は世界の安定に寄与するものであり、地球上の各地で起きる紛争に対応できるのは米軍しかいない。従ってこれをどこにでも展開できるような体制を作っておかなければならない」
「ところが最近米軍の介入を阻止する動きが活発となり、冷戦終結以降米軍が作戦展開して紛争を抑止してきた地域にまで作戦展開に支障を来す恐れが出てきている」
「そうなると、米国の優勢な軍事力によって同盟諸国の安全を確保することが難しくなってくる。北朝鮮やイランは、新たな弾道ミサイルシステムを積極的に開発導入しており、それによって前方展開している米軍が危険にさらされている」
「また、紛争事態に即応するために必要な航空基地や上陸港湾、指揮・兵站施設などが危険に直面する可能性が出てきた」
「他方、中国は長期にわたる総合的な軍事力の強化を図り、中距離弾道ミサイルおよび巡航ミサイル、最新の攻撃型潜水艦や戦闘機、長距離防空システムを強化し、さらに、電子戦能力、サイバー攻撃能力、対宇宙システム能力を開発し近代化を進めてきた」
「これによって米国は、同盟国を援助し紛争を解決するために必要な戦略展開を妨げられる危険に直面している」
このQDRに記されている「接近阻止環境下における攻撃の抑止および打破」(Deter and defeat aggression in anti-access environments)とは、まさしく中国が企図しているような列島防衛線への接近阻止という戦略を無効化し、あるいは打破することであり、その必要性が強調されています。
米国による中国対策7カ条!
そしてそのための施策として次の7項目が重視されています。
1.将来の長距離攻撃能力の拡大
2.対潜戦の有利さの活用
3.米軍の前方展開体制および基地インフラの活性化、基地機能回復力の増大
4.宇宙へのアクセス、宇宙使用の安定性
5.主要な情報偵察監視能力の堅固さの強化
6.敵のセンサーおよび交戦システムの破壊
7.海外での米軍のプレゼンスおよび対応性の増大
このことを、東シナ海正面での作戦、特に沖縄・宮古海峡ならびにバシー海峡の作戦に当てはめれば次のようなことになるでしょう。
沖縄・宮古海峡、バシー海峡の防衛戦略!
1.米空母機動部隊の行動を阻止しようとする中国のあらゆる作戦手段を封じ込めるための長距離打撃力を強化すること。
すなわち、中国軍の弾道ミサイル、巡航ミサイルによる攻撃、航空攻撃を封殺するための基地攻撃能力の強化、ならびに空母機動部隊の作戦を妨害する中国艦隊を排除するための遠距離からの海上打撃力の強化。
2.大隈諸島南北の海峡ならびに沖縄・宮古海峡、バシー海峡に仕かける機雷封鎖、潜水艦による閉塞に対して、発見・撃破・排除を適切に行い有利に対潜作戦が遂行できるシステムの開発・活用。
3.日本を含み東アジアに前方展開した米軍の即応性の向上、ならびに沖縄をはじめとして、佐世保・岩国・横須賀・横田・グアムなどの基地機能の活性化。
4.中国の宇宙戦能力の強化を抑え、宇宙戦を有利に展開する能力の確保。
米軍は、中国の西太平洋への進出を封じ込め、自ら両海峡を支配し、航空優勢・制海権を確実に保持できる安全海域を確保して、東シナ海・南シナ海への安全な進出を図る作戦を企図しています。それが米軍の戦略機動路確保の作戦です。
第1列島線付近は係争海域になる可能性が大きい!
国が考えている「列島防衛線」での阻止作戦と米国が考えている「戦略機動路」確保の作戦がぶつかるところは当然ながら係争海域となります。
米国にとっても中国にとっても自らの牽制下に収めておきたい重要な海域が、台湾周辺の沖縄・宮古海峡ならびにバシー海峡、さらには南シナ海であり、ここでは激しい争奪戦が予測されます。
具体的な事例として、もし中台紛争が起きれば、台湾と防衛協定を結んでいる米国としては何らかの介入をするでしょう。
また、中国としては国内問題に米国が介入することを好まず、米軍が空母機動群などを展開するような行動に出れば、それを阻止する作戦行動に出ることが予測されます。
中国軍が沖縄・宮古海峡で採るであろう具体的な作戦を推察すると、次のようなものになると思われます。
中国軍は何が何でも尖閣諸島に警備部隊を常駐させようとする!
「海空部隊を以って第1列島防衛線以東における警戒・哨戒態勢を確立し、航空優勢・海上優勢を確保して米機動部隊の接近排除に努める」
「防衛線に侵入を企図する米機動部隊に対しては、航空機・中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルならびに海上火力によって制圧するとともに、大隅海峡、沖縄・宮古海峡およびバシー海峡に機雷を敷設し、潜水艦を配備して海上を封鎖し、東シナ海、南シナ海への侵入を阻止する」
「なお、沖縄・宮古海峡の封鎖作戦に際しては、釣魚島(尖閣諸島)に警備部隊を配備し、海峡を牽制下に置き、封鎖作戦を容易にする」
「この際、可能な限り先島諸島(宮古・石垣・西表・与那国各島)を牽制下に収め、東シナ海における警戒態勢をより確実にするに努める」
我が国に直接関係する作戦を要約すれば、次のようなものになると思われます。
尖閣諸島は中国軍の橋頭堡になる可能性!
1.機雷・潜水艦による大隅海峡、沖縄・宮古海峡の封鎖
2.海峡東側(列島防衛線外縁)における火力制圧
3.尖閣諸島の占領
中国の海空軍が我が南西諸島の周辺で哨戒活動を行なったり、尖閣諸島を占拠し警備部隊を配備するような行動に出れば、明らかに我が国への主権侵害であり、我が国としては防衛事態対処を余儀なくされます。
さらに国際社会にとっても、国際海峡である沖縄・宮古海峡などに機雷を敷設し、潜水艦を配備し航行を阻害するような行動は、公海の安全航行という国際的な法にも違反する行為であり容認できないことは当然です。
日米と中国双方が「沖縄・宮古海峡」を牽制下に置くための争奪戦を展開する事態になれば、海峡両端の沖縄諸島・先島諸島・尖閣諸島が大変重要な作戦上の役割を担うことになるのは明白です。
沖縄諸島は現在でも南西諸島防衛の中心として日米の主要な基地があり、ここを日米がしっかりと確保している以上、中国軍がこれを牽制下に置くことは難しいでしょう。
尖閣、先島諸島を確実に押さえれば中国軍は阻止できる!
先島諸島には、現在宮古島に航空自衛隊のレーダーサイトがある以外には軍事基地はなく、海峡争奪戦が現実化する頃には我が国としては警備部隊を配置するなどの措置が必要になるでしょう。
尖閣諸島も同様であり、現在は小さな無人島ですが、海峡を牽制下に入れる作戦においては、監視警戒部隊の配置が必要になると思われます。
日米がこの海峡の両端の緊要な地域をしっかり押さえていれば、中国の海峡阻止作戦は難しくなります。従って中国としては、「沖縄・宮古海峡」を自己の牽制下において米軍機動部隊の侵入を阻止するためには、何とかしてこの態勢を打破する必要が出てきます。
沖縄諸島を自己の牽制下に入れることは中国にとって相当の困難性があると思われますが、先島諸島・尖閣諸島を牽制下に入れることは可能性のある作戦と言えます。
先島諸島は、我が国が現在までのような腰の引けた対応に終始し、警備部隊を配備するなどの措置を講じなければ、その虚に乗じて中国が海上封鎖などの措置を取り、宮古島・石垣島などの周辺海域を固めてしまうことも考えられます。
小さな無人島だが軍事的な役割は甚大!
そうなると、日米の「沖縄・宮古海峡」管制の一翼が崩されます。
尖閣諸島については、中国も領有権を主張し、国際的にも機会あるごとに喧伝してきましたので、中国が沖縄・宮古海峡阻止作戦を敢行する際には、自ら警備部隊を上陸させるなどの行動に出ることも予測されます。
尖閣諸島は南西諸島や台湾から約170キロも離れた小さい無人の島ですが、軍事的には非常に大きな価値があります。
中国にとってこの尖閣諸島は、「絶対確保海域」と考えている東シナ海大陸棚の重要な一角であり、台湾の前庭的な位置にあります。
しかも、米機動部隊が東シナ海に侵入する航路を制約する重要な海域であり、中国にとってこの尖閣諸島を制することは阻止作戦のための「必須の要件」になっています。
中国軍を尖閣諸島付近から排除することが「必成目標」!
なぜなら、沖縄諸島・先島諸島・尖閣諸島のすべてを日米がしっかり押さえてしまえば、第1列島防衛線における中国の「anti-access/area-denial(接近阻止・領域拒否)」作戦は、まず不可能になるからです。
さらに中国としては、できれば尖閣諸島のみならず、先島諸島(宮古列島・八重山列島)を含めた台湾の前庭的な海域を支配することを「望ましい要件」と考えていると思われます。
まず尖閣諸島を確保し、それをテコにしてジワジワと侵攻してくる可能性が排除できません。南シナ海における南沙諸島占拠のようなやり方です。
このような分析から判断すれば、我が国としては中国海軍を尖閣諸島周辺から排除して、領海主権を確保しておくことが極めて重要な「必成目標」となることが明らかです。
が国政府の対応はこれまで、「相手の刺激を避け、摩擦を起こさぬ」行動を選択してきましたが、このような政策を採り続けていると、中国はその虚に乗じて尖閣諸島占拠の行動に出る可能性が高まってきます。
日本の許可なく尖閣諸島を調査する中国の調査船!
尖閣諸島付近での調査活動はここ数年継続的に活発になっていますが、それは単に資源開発のためだけではなく軍事行動の準備を進めていると見ておくべきでしょう。
2007年2月、中国の調査船が事前通報もせず尖閣諸島付近での調査活動を行い、わが海上保安庁の巡視船が中止を呼びかけても無視して調査を続行しました。
我が国の抗議に対し中国外務省の報道官は、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)付近で実施した調査活動は正常な海洋科学調査であり正当な主権行為だ」と述べています。
2008年12月には、中国の海洋調査船2隻が尖閣諸島付近の海域を9時間にわたって侵犯しました。日本の抗議に対して、中国外交部の劉報道局長は「釣魚島は古くから中国固有の領土であり、日本に非難されるいわれはない」と述べています。
このような考えに基づいて、2009年8月、2010年4月にも何の連絡もなく、我が国を無視して調査が続いており、同様の不法侵入・調査活動は、最近では継続的に行われています。
話し合いではなく先に手を下す中国の手法!
先般の巡視船と中国漁船の衝突事件もこのような流れの中で起きました。
中国が「領海法」を制定して尖閣諸島の領有権を明確に打ち出してから既に18年経ち、中国の領有権主張も最近富に声高になり、国際的には大分浸透してきたと自認しているようです。
また、第1列島線を確保できる外洋型の海軍もようやく整ってきたようであり、そろそろ軍事力を後ろ盾にして実力行動に出る時期が近づいていると思われます。
無人島占領の中国的手法は話し合いが先ではありません。まず実効支配しそれを背景にして自らの正当性を主張し要求を突きつけるのが手法です。
しかも必要に応じて時間をかけてじっくりやることが多く、国際的批判をうまくかわすことにも長けています。
中国は日本の対応を事細かに分析している!
そのような情勢を総合的に判断すると、尖閣諸島は大変危険な状態になってきました。このまま放っておくと取り返しのつかない事態になると予測されます。
中国は四周の情勢を見るのに非常に慎重な国ですから、今、日本の対応を見ていると思われます。
日本が毅然とした対応をすれば、中国もそれなりに判断して新たな手を考えてくると思われ、逆に日本が何にもしないことが分かれば、そのまま活動をエスカレートさせ尖閣諸島実効支配に動き出すことにつながります。
先の漁船衝突事故で、船長の釈放を巡る是非ばかりを議論していたのでは本質的な問題は解決せず、逆に中国の暴挙を誘うことになります。
尖閣諸島の問題は、我が国の領土主権と防衛に関わる問題であり、それが一番の根底にあることをしっかり認識することが大事だと思います。
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